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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139921
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】現像剤収納容器および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
G03G15/08 343
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045700
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 圭三
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AA03
2H077AA09
2H077AA33
2H077BA01
2H077BA09
2H077CA02
2H077GA04
(57)【要約】
【課題】現像剤収納部の内壁に現像剤が付着したまま残留することを抑制する。
【解決手段】現像剤収納容器は、内部に現像剤を収納する現像剤収納部と、前記現像剤収納部が装着され、前記現像剤収納部を軸心回りに回転自在に支持する固定部と、前記現像剤収納部からの現像剤を排出する排出口と、閉止位置と開放位置との間を移動可能に設けられたシャッター部材70を有する。シャッター部材70は、前記現像剤収納部側に延伸された振動付与部72を備え、前記現像剤収納部は外周面に突起部53を備える。前記現像剤収納部が前記固定部に装着されるとシャッター部材70は閉止位置から開放位置に移動され、前記現像剤収納部の回転時に振動付与部72が突起部53に当接して前記現像剤収納部を振動させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒形の容器状とされて内部に現像剤を収納する現像剤収納部と、
前記現像剤収納部が装着され、前記現像剤収納部を軸心回りに回転自在に支持する固定部と、
前記固定部に設けられ、前記現像剤収納部からの現像剤を排出する排出口と、
前記排出口から現像剤が排出されるのを抑制する閉止位置と前記排出口から現像剤を排出可能にする開放位置との間を移動可能に設けられたシャッター部材と、
を有する現像剤収納容器であって、
前記シャッター部材は、前記現像剤収納部と前記固定部とに跨がって設けられるとともに前記現像剤収納部側に延伸された振動付与部を備え、
前記現像剤収納部は外周面に突起部を備え、
前記現像剤収納部が前記固定部に装着されると前記シャッター部材は閉止位置から開放位置に移動され、前記現像剤収納部の回転時に前記振動付与部が前記突起部に当接して前記現像剤収納部を振動させることを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項2】
請求項1に記載の現像剤収納容器において、
前記振動付与部は、前記現像剤収納部の外周面に向かって突設されて前記突起部に当接可能な凸部を有することを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項3】
請求項2に記載の現像剤収納容器において、
前記振動付与部は弾性変形可能に設けられ、前記凸部が前記突起部に当接して乗り越えることを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項4】
請求項2に記載の現像剤収納容器において、
前記現像剤収納部の外周面には、前記突起部よりも前記固定部に近接する位置に係止突起が備えられ、
閉止位置にある前記シャッター部材は、前記凸部が前記係止突起に係止して前記現像剤収納部の回転を抑止することを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項5】
請求項4に記載の現像剤収納容器において、
前記凸部は、前記現像剤収納部の回転方向の上流側に位置する第1凸部と、前記第1凸部より前記回転方向の下流側に位置する第2凸部とを有し、前記第1凸部および前記第2凸部が前記係止突起を挟み込むように配設されていることを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項6】
請求項1に記載の現像剤収納容器において、
前記突起部は、前記現像剤収納部の回転方向の下流側に向かって下り勾配の傾斜面を有することを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項7】
請求項1に記載の現像剤収納容器において、
前記突起部は複数設けられ、
前記複数の突起部は前記現像剤収納部の外周面に、周方向に互いに均等な間隔で配置されていることを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項8】
請求項1に記載の現像剤収納容器において、
前記現像剤収納部は、内側方向に突出した隆起部を備え、軸心回りに回転することで現像剤を前記軸心方向に搬送することを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1つの請求項に記載の現像剤収納容器を備えて、前記現像剤収納容器が着脱可能とされたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤収納容器、およびその現像剤収納容器を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用して画像を形成する画像形成装置は、簡易な操作で高画質な画像を形成することができ、保守管理も容易であることから、複写機、プリンタおよびファクシミリなどに用いられ、広く普及している。画像形成装置は、主として、静電潜像が形成される像担持体と、静電潜像をトナーによって顕像化する現像手段と、顕像化されたトナー像を記録用紙に転写する転写手段と、記録用紙に転写されたトナー像を定着する定着手段とを備えている。
【0003】
トナーを使用する画像形成装置では、画像形成によって消費されたトナーを補給する必要があるが、トナー補給の際に飛散が生じないように容器状のトナーカートリッジによって補給する方法がとられる。この種のトナーカートリッジとしては、中空の略円筒形に形成されたトナーボトルを回転させることによってトナー補給を行うものが知られており、トナーボトルの内壁にはスパイラル状の突状部が設けられたものもある。トナーボトルが回転軸を中心に回転駆動すると、突状部によってトナーが排出口の方へ案内され、排出口から排出される。
【0004】
ところが、使用過程ではトナーの流動性が徐々に変化するなどして、トナー凝集が起こりやすくなったり、トナーボトルの内壁にトナーが付着して残留しやすくなったりすることがある。トナーボトルにトナーが残っているにもかかわらず、付着等によってトナーが排出されなくなると「トナーなし」と判断され、トナーカートリッジの交換信号が発信されてしまうといった問題があった。
【0005】
例えば特許文献1には、トナーボトルに連通する排出口の内部に撹拌バネで付勢された突起部を設置し、回転軸を中心に回転するバッフルによって突起部を介して撹拌バネを振動させ、排出口でのトナー凝集を抑制することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-112639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に示される構成では、排出口でのトナー凝集を抑制することが意図されているが、トナーボトルの内壁に付着して残留するトナーの問題を解消することまではできない。
【0008】
本発明は、前記のような問題点にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、トナーを含む現像剤を収納する現像剤収納容器の内壁に現像剤が付着したまま残留することを抑制し得る現像剤収納容器および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、略円筒形の容器状とされて内部に現像剤を収納する現像剤収納部と、前記現像剤収納部が装着され、前記現像剤収納部を軸心回りに回転自在に支持する固定部と、前記固定部に設けられ、前記現像剤収納部からの現像剤を排出する排出口と、前記排出口から現像剤が排出されるのを抑制する閉止位置と前記排出口から現像剤を排出可能にする開放位置との間を移動可能に設けられたシャッター部材とを有する現像剤収納容器であって、前記シャッター部材は、前記現像剤収納部と前記固定部とに跨がって設けられるとともに前記現像剤収納部側に延伸された振動付与部を備え、前記現像剤収納部は外周面に突起部を備え、前記現像剤収納部が前記固定部に装着されると前記シャッター部材は閉止位置から開放位置に移動され、前記現像剤収納部の回転時に前記振動付与部が前記突起部に当接して前記現像剤収納部を振動させることを特徴とする。
【0010】
前記構成を有する現像剤収納容器において、前記振動付与部は、前記現像剤収納部の外周面に向かって突設されて前記突起部に当接可能な凸部を有することが好ましい。
【0011】
また、前記現像剤収納容器において、前記振動付与部は弾性変形可能に設けられ、前記凸部が前記突起部に当接して乗り越えることが好ましい。
【0012】
また、前記現像剤収納容器において、前記現像剤収納部の外周面には、前記突起部よりも前記固定部に近接する位置に係止突起が備えられ、閉止位置にある前記シャッター部材は、前記凸部が前記係止突起に係止して前記現像剤収納部の回転を抑止するように構成されてもよい。
【0013】
また、前記現像剤収納容器において、前記凸部は、前記現像剤収納部の回転方向の上流側に位置する第1凸部と、前記第1凸部より前記回転方向の下流側に位置する第2凸部とを有し、前記第1凸部および前記第2凸部が前記係止突起を挟み込むように配設されていることが好ましい。
【0014】
また、前記現像剤収納容器において、前記突起部は、前記現像剤収納部の回転方向の下流側に向かって下り勾配の傾斜面を有することが好ましい。
【0015】
また、前記現像剤収納容器において、前記突起部は複数設けられ、前記複数の突起部は前記現像剤収納部の外周面に、周方向に互いに均等な間隔で配置されてもよい。
【0016】
また、前記現像剤収納容器において、前記現像剤収納部は、内側方向に突出した隆起部を備え、軸心回りに回転することで現像剤を前記軸心方向に搬送することが好ましい。
【0017】
前記の目的を達成するため、前記現像剤収納容器を備える画像形成装置も本発明の技術的思想の範疇にある。すなわち、画像形成装置として、前記現像剤収納容器を備えて、前記現像剤収納容器が着脱可能とされることが好ましい。
【0018】
上記構成によると、前記現像剤収納部に振動を付与することができ、前記現像剤収納部の内面に付着した現像剤を剥離させ、前記現像剤収納部に残留させることなく安定して排出することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、現像剤を収納する現像剤収納容器に現像剤が付着したまま残留することを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
図2】前記画像形成装置に備えられる現像装置の概略構成を示す説明図である。
図3】本発明の実施形態1に係る現像剤収納容器としてのトナーカートリッジを示す側面図である。
図4】前記トナーカートリッジの要部を拡大して示す斜視図である。
図5A】前記トナーカートリッジに備えられる振動付与部と突起部を模式的に示す説明図である。
図5B】前記振動付与部と前記突起部との当接の様子を模式的に示す説明図である。
図6A】参考例としての突起部と振動付与部を模式的に示す説明図である。
図6B】参考例としての突起部と振動付与部との当接の様子を模式的に示す説明図である。
図7A】前記トナーカートリッジの振動付与部に設けられた凸部が突起部を乗り越える様子を模式的に示す説明図である。
図7B図7Aに続いて、前記トナーカートリッジの振動付与部に設けられた凸部が突起部を乗り越える様子を模式的に示す説明図である。
図7C図7Bに続いて、前記トナーカートリッジの振動付与部に設けられた凸部が突起部を乗り越える様子を模式的に示す説明図である。
図7D図7Cに続いて、前記トナーカートリッジの振動付与部に設けられた凸部が突起部を乗り越える様子を模式的に示す説明図である。
図7E図7Dに続いて、前記トナーカートリッジの振動付与部に設けられた凸部が突起部を乗り越える様子を模式的に示す説明図である。
図8】前記トナーカートリッジの端部に設けられた係止突起を示す断面図である。
図9】本発明の実施形態2に係るトナーカートリッジにおける突起部の構成を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る現像剤収納容器および画像形成装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例であり、後述する本発明に係る現像剤収納容器としてのトナーカートリッジ10が用いられる画像形成装置1の全体構成を示す説明図である。なお、図1に示すように、画像形成装置1を正面から見た場合の左右方向に相当するX方向のうち、向かって左側を左方向のX1方向とし、向かって右側を右方向のX2方向として説明する。また、画像形成装置1を正面から見た場合の前後方向に相当するY方向のうち、画像形成装置1の正面側(手前側)を前方向のY1方向とし、画像形成装置1の背面側(奥側)を後方向のY2方向として説明する。これらの方向は説明の便宜のためであって、画像形成装置1の使用時の設置形態を限定するものではない。
【0023】
また、図1では、画像形成装置1として複合機を例に挙げて示すが、本発明の画像形成装置はこれに限定されるものではなく、プリンタ装置、ファクシミリ装置、あるいは複写機等の各種の画像形成を行う装置であればどのような装置であってもよい。また、画像形成装置1は、後述するトナーカートリッジ10を着脱可能に装着することができ、種々の画像形成が行われる装置であればよい。
【0024】
(画像形成装置)
画像形成装置1は、スキャナ機能、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能等を有する複合機であり、画像読取装置18によって読み取られた原稿の画像を外部に送信し、また、読み取られた原稿の画像または外部から受信した画像をカラーもしくは単色でシートに画像形成する。この画像形成装置1は、光走査装置11、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、帯電装置15、給紙装置17、画像読取装置18、中間転写ベルト装置20、および定着装置44等を備えている。
【0025】
画像形成装置1では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、または単色(例えば、ブラック)を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。画像読取装置18は、原稿または原稿搬送部(ADF)から搬送された原稿を読み取って画像データを生成する。例示の形態に係る画像形成装置1には、4種類のトナー像を形成するための現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、および帯電装置15が4つずつ設けられて、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応するよう、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0026】
ドラムクリーニング装置14は、感光体ドラム13の表面の残留トナーを除去および回収する。帯電装置15は、感光体ドラム13の表面を帯電させる。光走査装置11は、感光体ドラム13の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置12は、感光体ドラム13の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム13の表面にトナー像を形成する。このような一連の動作によって、各感光体ドラム13の表面に各色のトナー像が形成される。現像装置12に各色のトナーを供給するため、トナーを含む現像剤が収納されているトナーカートリッジについては後述する。
【0027】
感光体ドラム13の上側には中間転写ベルト装置20が設けられ、中間転写ベルト21を介して中間転写ローラ26が配置されている。中間転写ベルト21はトナー像が形成される像担持体であり、駆動ローラ22およびテンションローラ23に張架されて矢符Cの方向へ回転(周回移動)する。テンションローラ23は、中間転写ベルト21に所定の張力を付与するために設けられる。各感光体ドラム13の表面に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト21上に順次転写(1次転写)されて重ね合わされることで、中間転写ベルト21の表面にはカラーのトナー像が形成される。この中間転写ベルト装置20の詳細な構成については後述する。
【0028】
2次転写部42の2次転写ローラ43は、中間転写ベルト21との間にニップ域(2次転写位置)を形成して、シート搬送路31を通じて搬送されたシートをこのニップ域に挟み込んで搬送する。シートは、ニップ域を通過する際に、中間転写ベルト21の表面のトナー像が転写されて定着装置44に搬送される。中間転写ベルト21上に残ったトナー等はベルトクリーニング装置41によって回収される。
【0029】
定着装置44は、シートを挟んで回転する定着ローラ45および加圧ローラ46を備えている。定着装置44は、定着ローラ45および加圧ローラ46の間にトナー像が転写されたシートを挟み込んで加熱および加圧し、トナー像をシートに定着させる。
【0030】
給紙装置17は、画像形成に使用するシートが収納されており、光走査装置11の下側に設けられている。シートは、ピックアップローラ33によって給紙装置17から引き出されて、シート搬送路31を通じて搬送され、2次転写部42や定着装置44を経由して、排紙ローラ36を介して排紙トレイ37へと搬送される。シート搬送路31には、シートを一旦停止させて、シートの先端を揃えた後、中間転写ベルト21と2次転写ローラ43との間のニップ域でのカラーのトナー像の転写タイミングに合わせてシートの搬送を開始するレジストローラ35、シートの搬送を促す複数の搬送ローラ34、および排紙ローラ36等の種々のローラ対が配置されている。
【0031】
シートの表面だけでなく裏面にも画像形成を行う場合は、シートを排紙ローラ36からシート反転搬送路32へと逆方向に搬送して、シートの表裏を反転させ、シートをレジストローラ35へと再度導き、表面と同様にして裏面に画像形成を行い、シートを排紙トレイ37へと搬送する。
【0032】
(トナーカートリッジ)
図2は、現像装置12および本実施形態に係る現像剤収納容器としてのトナーカートリッジ10の概略構成を示す説明図である。トナーカートリッジ10は、円筒形状を有する現像剤収納部(後述するトナーボトル50)と固定部60とを備えて、現像装置12の現像槽124に搬送路81を介して接続されている。
【0033】
現像装置12の現像槽124には、現像ローラ121、トナー搬送部材122、トナー濃度センサ123が設けられている。現像ローラ121は、現像槽124の開口部から露出して感光体ドラム13に当接または近接して設けられ、磁気ブラシを形成するためのマグネットローラとされている。
【0034】
トナー搬送部材122は、現像槽124の底部側で現像ローラ121と平行になるように複数設けられ、供給されたトナーをキャリアとともに撹拌しながら現像ローラ121に搬送する。トナー濃度センサ123は、現像槽124の底部に設けられて、現像槽124内のトナーとキャリアとの濃度を検知する。現像装置12の上方には、トナーカートリッジ10の固定部60に接続されたトナー補給部80が備えられ、トナー補給部80から供給されるトナーが搬送路81を通して現像槽124に導かれる。
【0035】
図3は、本実施形態に係るトナーカートリッジ10を示す側面図であり、図4は、トナーカートリッジ10の振動付与部72の周囲を拡大して示す斜視図である。
【0036】
トナーカートリッジ10は、現像剤の含有成分であるトナーを内部に収納するトナーボトル50と、トナーボトル50の一方の端部側においてトナーボトル50を保持する固定部60とを備えている。
【0037】
トナーボトル50は、補給用のトナー(現像剤)を収納する略円筒形の容器状に形成されたトナー容器51と、トナー容器51内のトナーを排出する図示しないトナーボトル側排出口とを備えている。トナーボトル50は、軸心(中心軸)L1回りに回転駆動されることにより、トナー容器51内のトナーを搬送して、トナーボトル側排出口から排出するように構成されている。
【0038】
固定部60は、画像形成装置1の本体部に固定される部分であり、固定部外壁61を備えて、トナーボトル50におけるY2方向の端部に設けられたトナーボトル側排出口を包囲するように設けられる。固定部外壁61の内部には、トナーボトル側排出口から排出されたトナーが一旦格納される。また、固定部60は、トナーを外部に排出する排出口62を有している。排出口62は、固定部外壁61に開口して設けられている。排出口62の外縁部には、Y方向に延びる一対のスライド支持部63が設けられている。
【0039】
これにより、固定部60は、トナーボトル側排出口を含むトナーボトル50のY2方向の端部において、トナー容器51の外周面を全周にわたり包囲するとともに、トナーボトル50を軸心L1回りに回転自在に支持するように構成されている。トナーボトル50は、固定部60に装着されることで、画像形成装置1の本体部から伝達される回転駆動力を受けることができる。
【0040】
図3に示すように、トナーボトル50には、トナー容器51の内側方向に突出したリブ状の複数のトナー案内隆起部52が設けられている。これらの複数のトナー案内隆起部52は、トナーボトル50の回転方向に対応して断続的に分割され、全体としてスパイラル状に配設されている。例示の形態では、トナー案内隆起部52は、トナー容器51に一体に設けられており、外観ではその外周面を内側に窪ませた溝状に設けられている。トナーボトル50が軸心L1回りに回転駆動されることで、トナー容器51内のトナーは複数のトナー案内隆起部52に沿ってY2方向に搬送され、さらに、固定部60の排出口62から外部に排出されるものとなる。
【0041】
トナーカートリッジ10は、さらにシャッター部材70を備えている。シャッター部材70は、排出口62からトナーが排出されるのを抑制する閉止位置と、排出口62からトナーを排出可能にする開放位置との間を移動可能に設けられている。例示の形態では、シャッター部材70は、トナーボトル50と固定部60とに跨がるように配置されている。
【0042】
図4に示すように、シャッター部材70は閉止部71の両端部にY方向に沿って延びるスライド部74を有する。スライド部74は、スライド支持部63に係止されており、シャッター部材70はスライド支持部63に沿って、Y方向と平行なスライドYに移動可能に設けられている。
【0043】
図3に示すように、シャッター部材70がY1方向に移動されて開放位置にあると、排出口62が露出した状態となり、排出口62からトナーが排出可能とされる。この状態から、シャッター部材70がスライド支持部63に沿ってY2方向に移動されると、シャッター部材70の閉止部71が排出口62を覆い隠して閉止位置となり、排出口62からトナーが排出されるのを抑制する。
【0044】
このように排出口62を開放し、または閉止するシャッター部材70には、さらに、トナーボトル50側(Y1方向)に延伸された振動付与部72が設けられている。振動付与部72は合成樹脂系材料または金属系板状部材からなり、外部からの押圧力に応じて弾性変形可能に設けられている。
【0045】
図4に示すように、振動付与部72は、トナー容器51の外周面に向かって突出する凸部73を備えている。例示の形態では、凸部73は、トナーボトル50の回転方向Aの上流側に位置する第1凸部731と、第1凸部731より回転方向Aの下流側に位置する第2凸部732とを有する構成とされている。振動付与部72は、これらの凸部73が突起部53に当接可能とされており、弾性変形可能であるので、トナー容器51の外周面に向かって第1凸部731および第2凸部732が突出して、それらの各先端部はトナー容器51の外周面に接していても接していなくともよい。
【0046】
これに対して、トナーボトル50は、トナー容器51の外周面に突起部53を備えている。突起部53は、Y方向のシャッター部材70の振動付与部72に対応する位置に設けられている。振動付与部72は弾性変形可能に設けられているので、トナーボトル50が回転方向Aに回転するとき、凸部73は突起部53に当接し、そして乗り越えるものとなる。
【0047】
トナーボトル50が固定部60に装着されると、シャッター部材70が閉止位置から開放位置に移動される。トナーボトル50が軸心L1回りに回転するとき、開放位置にあるシャッター部材70の振動付与部72は、凸部73が突起部53に当接し、乗り越えてトナーボトル50を振動させる。
【0048】
ここで、突起部53は、トナーボトル50の回転方向Aの下流側に向かって下り勾配の傾斜面531を有している。図5Aおよび図5Bは、振動付与部72の凸部73が、傾斜面531を有する突起部53に当接する様子を示す説明図である。また、図6Aおよび図6Bは、参考例として、振動付与部72の凸部73が、傾斜面531を有しない突起部530に当接する様子を示す説明図である。
【0049】
図5Aに示すように、トナーボトル50が回転方向Aに回転することで、トナー容器51の外周面に設けられた突起部53が、振動付与部72の凸部73に近づく。そして、図5Bに示すように、突起部53の傾斜面531が凸部73に当接する。凸部73の端部は傾斜面531上を摺動しながらトナー容器51の外周面から離れる方向(図中上方)に動き、突起部53を乗り越える。
【0050】
これに対して、図6Aに示すように、突起部530が傾斜面を有しない、略矩形状の断面形状を有する場合、トナーボトル50が回転方向Aに回転し、突起部53が振動付与部72の凸部73に近づいてきても、図6Bに示すように、凸部73は突起部53に引っかかりやすくなってしまう。凸部73の端部は、突起部53の端部に係止するので、スムーズに突起部53を乗り越えることは困難となる。そのため、振動付与部72が弾性変形可能であることに加えて、突起部53に傾斜面531が設けられていることが好ましい。
【0051】
図7A図7Eは、振動付与部72に設けられた凸部73が、トナーボトル50の突起部53を乗り越える様子を順に示す説明図である。前記のように、凸部73が第1凸部731および第2凸部732を有する構成である場合、図7Aに示すように、トナー容器51の外周面に設けられた突起部53は、トナーボトル50が回転方向Aに回転することで、振動付与部72の第1凸部731に近づいてくる。
【0052】
トナーボトル50が回転することにより、突起部53は第1凸部731にさらに接近し、図7Bに示すように、第1凸部731の先端部が突起部53の傾斜面531に乗り上げるようになる。振動付与部72は弾性変形して、その全体がトナー容器51の外周面から離間する。傾斜面531は、回転方向Aの下流側に向かって下り勾配で形成されているので、第1凸部731がスムーズに傾斜面531に乗り上げながら摺動し、トナーボトル50の回転が円滑に継続される。
【0053】
傾斜面531に乗り上げた第1凸部731は、先端部が突起部53の回転方向Aの上流側端部まで到達した後、図7Cに示すように、突起部53の端部からトナー容器51の外周面に向かって落下する。振動付与部72は弾性復帰し、元の姿勢に戻る。第1凸部731が突起部53から落下する際、第1凸部731の先端部がトナー容器51の外周面を叩くように作用する。これにより、トナー容器51は衝撃を受け、振動する。
【0054】
トナーボトル50が回転方向Aの回転を続けると、図7Dに示すように、突起部53の傾斜面531が第2凸部732に当接する。振動付与部72は弾性変形してトナー容器51の外周面から離間しながら、第2凸部732の先端部が傾斜面531に乗り上げる。第2凸部732は先端部が傾斜面531にスムーズに乗り上げ、摺動する。トナーボトル50の回転は円滑に継続される。
【0055】
その後、図7Eに示すように、第2凸部732の先端部は突起部53の回転方向Aの上流側端部からトナー容器51の外周面に向かって落下する。振動付与部72は弾性復帰し、元の姿勢に戻る。第2凸部732が突起部53から落下する際にも、第2凸部732の先端部がトナー容器51の外周面を叩くように作用する。これにより、トナー容器51は衝撃を受け、振動する。
【0056】
このように振動付与部72の第1凸部731および第2凸部732は、トナーボトル50の回転時に突起部53に衝突して乗り越える動きを繰り返し、トナー容器51の外周面を叩き、規則的に振動を付与するものとなる。
【0057】
トナーボトル50の使用過程ではトナーの流動性が徐々に変化するなどして、トナー凝集が起こりやすくなったり、トナーボトル50の内壁やトナー案内隆起部52にトナーが付着して残留しやすくなったりすることが考えられる。トナーボトルにトナーが残っているにもかかわらず、付着等によってトナーが排出されなくなると「トナーなし」と判断され、トナーカートリッジの交換信号が発信されてしまうといった問題があった。これに対して、本実施形態に係るトナーカートリッジ10では、振動付与部72がトナーボトル50に規則的に振動を付与するので、トナーボトル50に残留するトナーを剥離させることができ、トナー付着を解消することが可能となる。
【0058】
図8は、トナーカートリッジ10の端部に設けられた係止突起54を示す断面図である。前記のようにトナー容器51の外周面に振動を付与するように作用する凸部73(第1凸部731および第2凸部732)は、シャッター部材70が閉止位置にあるときには、トナーボトル50の回転を抑止する部材としても用いることができる。すなわち、図8に示すように、トナーボトル50の外周面には、突起部53よりも固定部60に近接した位置に、係止突起54が設けられている。閉止位置にあるシャッター部材70は、第1凸部731および第2凸部732が係止突起54を挟み込むように係止する。これにより、トナーボトル50の回転が抑止される。
【0059】
このように、トナーカートリッジ10の排出口62を開放し、または閉止するシャッター部材70を利用して、トナーボトル50を振動させて残留トナーの付着を解消させたり、トナーボトル50の意図しない回転を抑止したりすることが可能となる。したがって、トナーカートリッジ10の部品点数および製造コストを大幅に増大させることなく、付着したトナーを振動させて落とすようにすることができ、トナーボトル50にトナーが残っているにもかかわらずトナーが排出されないといった問題を解消することができる。
【0060】
(実施形態2)
図9は、本発明の実施形態2に係るトナーカートリッジ10における突起部53の構成を模式的に示す説明図である。
【0061】
トナーカートリッジ10において、振動付与部72および突起部53の構成は前記実施形態1に示したものには限定されず、トナー容器51に振動を付与するものであればどのように構成されてもよい。例えば、図9に示すように、トナーボトル50は、トナー容器51の外周面に複数の突起部53を備えていてもよい。複数の突起部はトナー容器51の外周面に、周方向に互いに均等な間隔で配置されている。
【0062】
例示の形態では、トナー容器51の外周面には4つの突起部53が均等な間隔で設けられている。いずれの突起部53も、トナー容器51の同一円周上であって、Y方向のシャッター部材70の振動付与部72に対応する位置に設けられている。振動付与部72は弾性変形可能に設けられているので、トナーボトル50が回転方向Aに回転するとき、凸部73(第1凸部731および第2凸部732)が周方向に設けられた各突起部53に順に当接し、乗り越え、落下して、トナー容器51に繰り返し振動を付与する。これにより、より効果的に振動を付与して、トナーボトル50に残留するトナーを剥離させることができ、トナー付着を解消することが可能となる。
【0063】
なお、トナーカートリッジ10に設けられるシャッター部材70は、排出口62に対する閉止位置と開放位置との間を移動可能であって、振動付与部72を有する構成であれば、前記構成を有するものであるに限定されず、凸部73の形状や数などはどのように構成されてもよい。また、本実施形態に係る説明では、本発明のトナーカートリッジ10を図1に示す画像形成装置1や図2に示す現像装置12に適用した例について説明した。本発明はこれに限定されるものではなく、トナーカートリッジや現像装置が搭載され、または搭載可能に設けてあり、現像剤(トナー)を補給する必要のある画像形成装置および現像装置であれば、その他の画像形成装置等にも適用が可能である。
【0064】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 画像形成装置
10 トナーカートリッジ(現像剤収納容器)
12 現像装置
121 現像ローラ
122 トナー搬送部材
123 トナー濃度センサ
124 現像槽
50 トナーボトル(現像剤収納部)
51 トナー容器
52 トナー案内隆起部(隆起部)
53 突起部
531 傾斜面
54 係止突起
60 固定部
61 固定部外壁
62 排出口
63 スライド支持部
70 シャッター部材
71 閉止部
72 振動付与部
73 凸部
731 第1凸部
732 第2凸部
74 スライド部
80 トナー補給部
81 搬送路
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9