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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139928
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】突っ張り固定型の支柱
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
E04F11/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045711
(22)【出願日】2022-03-22
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】505397014
【氏名又は名称】DIPPERホクメイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】北村 明夫
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301LL02
(57)【要約】
【課題】接床体を床面に設置するとともに、天井押圧体が天井に接するように上柱体を伸長させて仮固定状態としたのちであっても、ロック機構によるロック状態が確立されるまでは、下柱体の向きを自由に変更できるようにする
【解決手段】ロック機構5は、ロックハンドル11をロック解除姿勢に操作することで、下柱体2からの上柱体1の引出しが可能となるアンロック状態と、ロックハンドル11をロック姿勢とすることで、下柱体2からの上柱体1の引出しが不能となるロック状態との間で、切換え操作可能に構成されている。そして、ロック機構5がアンロック状態にあるとき、上柱体1および接床体4に対して下柱体2がその軸心まわりに回転可能となり、ロック機構5がロック状態にあるとき、上柱体1および接床体4に対して下柱体2がその軸心まわりに回転不能となるように構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井(R)に接当する天井押圧体(3)を備える上柱体(1)と、床(F)に接当する接床体(4)を備える下柱体(2)と、ロックハンドル(11)を操作要素として、下柱体(2)から引出した上柱体(1)を上下動不能にロック保持するロック機構(5)とを備え、下柱体(2)から引出された上柱体(1)をロック機構(5)でロック保持することで、長さ寸法を変更することができる突っ張り固定型の支柱において、
ロック機構(5)は、ロックハンドル(11)をロック解除姿勢に操作することで、下柱体(2)からの上柱体(1)の引出しが可能となるアンロック状態と、ロックハンドル(11)をロック姿勢とすることで、下柱体(2)からの上柱体(1)の引出しが不能となるロック状態との間で、切換え操作可能に構成されており、
ロック機構(5)がアンロック状態にあるとき、上柱体(1)および接床体(4)に対して下柱体(2)がその軸心まわりに回転可能となり、ロック機構(5)がロック状態にあるとき、上柱体(1)および接床体(4)に対して下柱体(2)がその軸心まわりに回転不能となるように構成されていることを特徴とする突っ張り固定型の支柱。
【請求項2】
下柱体(2)の下端と接床体(4)とは、連結機構により連結されており、
連結機構は、接床体(4)に対する下柱体(2)の回転を阻止するための回転阻止手段(95)を備え、この回転阻止手段(95)が作動することで、下柱体(2)が回転可能となる自由状態から、下柱体(2)が回転不能となる固定状態に連結状態が切換えられるようになっており、
ロック機構(5)をアンロック状態としたとき、回転阻止手段(95)は作動せずに下柱体(2)は自由状態となり、ロック機構(5)をロック状態としたとき、回転阻止手段(95)が作動されて下柱体(2)が固定状態となるように構成されている請求項1に記載の突っ張り固定型の支柱。
【請求項3】
接床体(4)には、下柱体(2)の下端の挿入を許す、上向きの開口を備える連結穴(65)が設けられており、開口を介して連結穴(65)内に下柱体(2)の下端を挿入した状態において、接床体(4)に対して下柱体(2)は上下方向にスライド移動可能に構成されており、
回転阻止手段(95)は、下柱体(2)の下端と、接床体(4)の連結穴(65)を区画する区画壁(66)のいずれか一方に設けられる第1ロック体(96)と、下柱体(2)の下端と接床体(4)の区画壁(66)の他方に設けられて、第1ロック体(96)と係合して下柱体(2)の回転を阻止する第2ロック体(97)と、下柱体(2)と連結穴(65)との間に設けられ、下柱体(2)を上向きに押上げ付勢する付勢体(91)とを含み、
ロック機構(5)をアンロック状態とすると、付勢体(91)の付勢力により第1ロック体(96)と第2ロック体(97)との係合が解除されて、下柱体(2)が自由状態となり、ロック機構(5)をロック状態とすると、回転阻止手段(95)が作動されて、下柱体(2)が固定状態となるように構成されている請求項2に記載の突っ張り固定型の支柱。
【請求項4】
第1ロック体(96)が、区画壁(66)の内周面に形成される内歯車状の固定ロック歯(98)で構成され、第2ロック体(97)が、下柱体(2)の下端の外周面に形成され、固定ロック歯(98)に内嵌する外歯車状の可動ロック歯(99)で構成されている請求項3に記載の突っ張り固定型の支柱。
【請求項5】
天井押圧体(3)が、上柱体(1)が連結される上連結体(27)と、天井(R)に接当する天井接当体(28)と、上連結体(27)と天井接当体(28)とを連結する球継手からなる上継手体(42)と、上継手体(42)による上連結体(27)と天井接当体(28)との相対回転を規制する上回転規制手段(49)とを備えている請求項1から4のいずれかひとつに記載の突っ張り固定型の支柱。
【請求項6】
接床体(4)が、下柱体(2)が連結される下連結体(61)と、床(F)に接する床接当体(62)と、下連結体(61)と床接当体(62)とを連結する球継手からなる下継手体(77)と、下継手体(77)による下連結体(61)と床接当体(62)との相対回転を規制する下回転規制手段(84)とを備えている請求項1から4のいずれかひとつに記載の突っ張り固定型の支柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床と天井の間に設置される突っ張り固定型の支柱に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の支柱に関して、本出願人は特許文献1の突っ張り固定型の支柱を先に提案している。特許文献1の支柱は、天井押圧体を備える上柱体(上枠体)と、接床体を備える下柱体(下枠体)と、上下の柱体の間に設けられるロック機構などで構成される。ロック機構は、下柱体の上部に固定される支点リングと、上柱体を抱持固定する抱持リングと、抱持リングで上下揺動可能に支持されたロックハンドルと、支点リングとロックハンドルを連結する押上げリンクと、抱持リングとロックハンドルの間に設けられたカム構造などを備える。上柱体および下柱体は、内外に差込まれる丸パイプからなり、上柱体の上端に天井押圧体が回転不能に連結され、下柱体の下端に接床体が回転不能に連結されている。
【0003】
特許文献1の支柱を使用する場合には、接床体を設置位置の床に載置して下柱体を起立させ、この状態で下柱体に対して上柱体を上スライド操作し、天井押圧体が天井に接するように伸長させて、仮固定状態とする。続いて、ロックハンドルを下方揺動操作し、カム構造で抱持リングを縮径させて上柱体を抱持固定し、さらにロックハンドルを下方揺動操作し、押上げリンクの押上げ反力で上柱体および天井押圧体を押上げ操作して天井に押圧させる。これにて、前記天井に押圧させる反力で接床体を床に押圧させて、支柱を床と天井の間に突っ張り状に固定できる。このように特許文献1の突っ張り固定型の支柱では、当該支柱の設置位置を定め、床に接床体を載置して仮固定状態としたのちに、上柱体のスライド操作とロックハンドルの揺動操作を行うことで簡便に床と天井の間に支柱を設置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-40153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、従来の支柱では、下柱体の下端に接床体が回転不能に連結されているため、一旦、接床体を床面に設置するとともに、天井押圧体が天井に接するように上柱体を伸長させて仮固定状態としたのちは、ロック機構によりロック状態が確立される前であっても、接床体に対して下柱体をその軸心まわりに回転させることはできず、下柱体やロック機構の向きを変更することは不可能である。このため、例えば、仮固定状態としたのちに、ハンドルの揺動軌跡が側壁面や家具などに干渉することが判明した場合には、一旦、上柱体を下げて仮固定状態を解除したのちに、下柱体とロック機構の向きを変更し、その後に再度、上柱体を伸長して仮固定状態を確立することが必要であり、仮固定状態の解除と再確立の作業が必要であり、支柱の設置作業をスムーズに進めることができない。この問題は、特に床と接床体との接触部分に両面粘着テープなどの接着材を介在させて、当該接着材により接床体を床に接着固定させる場合には顕著となり、仮固定状態としたときに、上記のようなロック機構の向きが不良であることが判明した場合には、接着材をはぎ取って、接床体とともに下柱体の姿勢(向き)を変更することが必要となり、下柱体とロック機構の向きの変更は容易でない。
【0006】
本発明の目的は、突っ張り固定型の支柱において、接床体を床面に設置するとともに、天井押圧体が天井に接するように上柱体を伸長させて仮固定状態としたのちであっても、ロック機構によるロック状態が確立されるまでは、下柱体の向きを自由に変更できるようにすることにある。本発明の目的は、突っ張り固定型の支柱において、ロック機構によるロック状態が確立されるまでは、仮固定状態としたのちであっても、接床体の床面への接着後も接着材を剥離することなく、下柱体の向きやロック機構の向きを自由に変更することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、天井Rに接当する天井押圧体3を備える上柱体1と、床Fに接当する接床体4を備える下柱体2と、ロックハンドル11を操作要素として、下柱体2から引出した上柱体1を上下動不能にロック保持するロック機構5とを備え、下柱体2から引出された上柱体1をロック機構5でロック保持することで、長さ寸法を変更することができる突っ張り固定型の支柱を対象とする。ロック機構5は、ロックハンドル11をロック解除姿勢に操作することで、下柱体2からの上柱体1の引出しが可能となるアンロック状態と、ロックハンドル11をロック姿勢とすることで、下柱体2からの上柱体1の引出しが不能となるロック状態との間で、切換え操作可能に構成されている。そして、ロック機構5がアンロック状態にあるとき、上柱体1および接床体4に対して下柱体2がその軸心まわりに回転可能となり、ロック機構5がロック状態にあるとき、上柱体1および接床体4に対して下柱体2がその軸心まわりに回転不能となるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
下柱体2の下端と接床体4とは、連結機構により連結されている。連結機構は、接床体4に対する下柱体2の回転を阻止するための回転阻止手段95を備える。この回転阻止手段95が作動することで、下柱体2が回転可能となる自由状態から、下柱体2が回転不能となる固定状態に連結状態が切換えられるようになっている。ロック機構5をアンロック状態としたとき、回転阻止手段95は作動せずに下柱体2は自由状態となり、ロック機構5をロック状態としたとき、回転阻止手段95が作動されて下柱体2が固定状態となるように構成されている。
【0009】
接床体4には、下柱体2の下端の挿入を許す、上向きの開口を備える連結穴65が設けられており、開口を介して連結穴65内に下柱体2の下端を挿入した状態において、接床体4に対して下柱体2は上下方向にスライド移動可能に構成されている。回転阻止手段95は、下柱体2の下端と、接床体4の連結穴65を区画する区画壁66のいずれか一方に設けられる第1ロック体96と、下柱体2の下端と接床体4の区画壁66の他方に設けられて、第1ロック体96と係合して下柱体2の回転を阻止する第2ロック体97と、下柱体2と連結穴65との間に設けられ、下柱体2を上向きに押上げ付勢する付勢体91とを含む。ロック機構5をアンロック状態とすると、付勢体91の付勢力により第1ロック体96と第2ロック体97との係合が解除されて、下柱体2が自由状態となり、ロック機構5をロック状態とすると、回転阻止手段95が作動されて、下柱体2が固定状態となるように構成されている。
【0010】
第1ロック体96は、区画壁66の内周面に形成される内歯車状の固定ロック歯98で構成され、第2ロック体97が、下柱体2の下端の外周面に形成され、固定ロック歯98に内嵌する外歯車状の可動ロック歯99で構成されている。
【0011】
天井押圧体3は、上柱体1が連結される上連結体27と、天井Rに接当する天井接当体28と、上連結体27と天井接当体28とを連結する球継手からなる上継手体42と、上継手体42による上連結体27と天井接当体28との相対回転を規制する上回転規制手段49とを備えている。
【0012】
接床体4は、下柱体2が連結される下連結体61と、床Fに接する床接当体62と、下連結体61と床接当体62とを連結する球継手からなる下継手体77と、下継手体77による下連結体61と床接当体62との相対回転を規制する下回転規制手段84とを備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の支柱のように、ロック機構5がアンロック状態にあるとき、上柱体1および接床体4に対して下柱体2がその軸心まわりに回転可能に構成されていると、接床体4を床Fに載置するとともに、天井押圧体3が天井Rに接するように上柱体1を伸長させて、支柱を仮固定状態としたのちであっても、ロック機構5によるロック状態が確立されるまでは、上柱体1および接床体4に対して下柱体2をその軸心まわりに回転させることができる。このように、仮固定状態において、上柱体1および接床体4に対して下柱体2を回転させて、その向きを変更させることができるようになっていると、支柱を仮固定状態としたのちに、ロックハンドル11の移動軌跡が側壁面や家具などに干渉するなどのように、ロック機構5の向きが不良であることが判明した場合であっても、その状態で(仮固定状態を維持したままで)、下柱体2をその軸心まわりに回転させて、これら下柱体2とロック機構5の向きを変更して、上記の干渉状態を容易に解消することができる。以上より、本発明によれば、下柱体2やロック機構5の向きを変更するための仮固定状態の解除作業は不要となり、より作業効率良く、支柱の設置作業を進めることができる。また、下柱体2やロック機構5の向きを気にすることなく、支柱を仮固定状態とすることができるので、この点でも、より作業効率良く、支柱の設置作業を進めることができる。特に、天井Rと天井押圧体3との間、及び床Fと接床体4との間に作用する水平方向のせん断力に対する耐力の向上を図る目的で、天井Rと天井押圧体3との間や床Fと接床体4との間に両面テープなどの接着材を配して、この接着材の接着力により天井押圧体3や接床体4を接着固定した場合において、仮固定状態後に下柱体2のロック機構5の向きが不良であることが判明した場合には、従来の支柱では、仮固定状態を解除するためには当該接着材を剥離する必要があり、当該剥離作業の分だけ支柱の設置作業が煩雑化・非効率化することが避けられないが、本発明によれば、固定状態の解除作業は勿論のこと、接着材の剥離作業をも不要となるので、この点でもより作業効率良く、支柱の設置作業を進めることができる。
【0014】
下柱体2の下端と接床体4とを連結する連結機構が、接床体4に対する下柱体2の回転を阻止するための回転阻止手段95を備えるものとし、ロック機構5をアンロック状態としたとき、回転阻止手段95は作動せず、下柱体2は回転可能な自由状態となり、ロック機構5をロック状態としたとき、回転阻止手段95が作動されて、下柱体2が回転不能な固定状態となるように構成することができる。これによれば、ロック機構5のアンロック状態からロック状態とするロック操作に連動して、回転阻止手段95を作動させて、下柱体2を自由状態から固定状態とすることができる。また、ロック機構5をロック状態からアンロック状態とするアンロック操作に連動して、回転阻止手段95を停止させて、下柱体2を固定状態から自由状態とすることができる。以上より、ロック機構5の操作に連動して、回転阻止手段95を作動させることができるので、確実に回転阻止手段95を作動させて、下柱体2を自由状態から固定状態へと変位させることができる。回転阻止手段95を操作する動作を別途行う必要がなく、従来通りの方法で支柱を設置することもできる。
【0015】
より具体的には、接床体4には、下柱体2の下端の挿入を許す、上向きの開口を備える連結穴65が設けられており、開口を介して連結穴65内に下柱体2の下端を挿入した状態において、接床体4に対して下柱体2は上下方向にスライド移動可能に構成されており、回転阻止手段95は、下柱体2の下端と、接床体4の連結穴65を区画するフレーム筒66のいずれか一方に設けられる第1ロック体96と、下柱体2の下端と接床体4のフレーム筒66の他方に設けられて、第1ロック体96と係合して下柱体2の回転を阻止する第2ロック体97と、下柱体2と連結穴65との間に設けられ、下柱体2を上向きに押上げ付勢する付勢体91とを含み、ロック機構5をアンロック状態とすると、付勢体91の付勢力により第1ロック体96と第2ロック体97との係合が解除されて、下柱体2が自由状態となり、ロック機構5をロック状態とすると、回転阻止手段95が作動されて、下柱体2が固定状態となるように構成することができる。これにより、支柱を設置するときのロックハンドル11の操作のみで回転阻止手段95の状態を切換えることができるので、支柱の設置時に回転阻止手段95を操作する動作を別途行う必要がなく、従来通りの方法で支柱を設置することができる。
【0016】
第1ロック体96が、連結穴65の区画壁66の内周面に形成される内歯車状の固定ロック歯98で構成され、第2ロック体97が、下柱体2の下端の外周面に形成され、固定ロック歯98に内嵌する外歯車状の可動ロック歯99で構成されていると、例えば両ロック歯98・99の歯数を40枚に設定すると、下柱体2の回転力を40か所で分散して受止めることができるので、回転阻止手段95が破損することをよく防止することができる。
【0017】
天井押圧体3が、上柱体1が連結される上連結体27と、天井Rに接当する天井接当体28と、上連結体27と天井接当体28とを連結する球継手からなる上継手体42とを備えていると、天井Rが水平面に対して傾いている場合でも、上連結体27に対して天井接当体28が傾動することで天井Rの傾きを吸収できるので、上下の柱体1・2を垂直に設置した状態で天井Rに天井接当体28を適切に密着させることができる。逆に上下の柱体1・2が垂直に対して傾いた状態であっても、上連結体27に対して天井接当体28が傾動することで天井Rに天井接当体28を適切に接当させることができる。また、上継手体42による上連結体27と天井接当体28との相対回転を規制する上回転規制手段49を備えていると、天井接当体28に対して上連結体27が上柱体1の軸心まわりに回転することを阻止して、支柱を掴み持った際に上柱体1が不用意に回転することを防ぐことができるので、確りと身体を支えた状態で立ち上がりなどの動作を安定して行うことができる。
【0018】
接床体4が、下柱体2が連結される下連結体61と、床Fに接する床接当体62と、下連結体61と床接当体62とを連結する球継手からなる下継手体77と備えていると、床Fが水平面に対して傾いている場合でも、下連結体61に対して床接当体62が傾動することで床Fの傾きを吸収できるので、上下の柱体1・2を垂直に設置した状態で床Fに床接当体62を適切に密着させることができる。逆に上下の柱体1・2が垂直に対して傾いた状態であっても、下連結体61に対して床接当体62が傾動することで床Fに床接当体62を適切に接当させることができる。また、下継手体77による下連結体61と床接当体62との相対回転を規制する下回転規制手段84を備えていると、床接当体62に対して下連結体61が下柱体2の軸心まわりに回転することを阻止して、支柱を掴み持った際に下柱体2が不用意に回転することを防ぐことができるので、確りと身体を支えた状態で立ち上がりなどの動作を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る突っ張り固定型の支柱の正面図であり、ロックハンドルがロック解除姿勢にある状態を示している。
図2】突っ張り固定型の支柱の設置状態を示す正面図である。
図3】ロックハンドルがロック姿勢にあるロック機構の縦断正面図である。
図4】ロックハンドルがロック解除姿勢にあるロック機構の縦断正面図である。
図5図4におけるA-A線断面図である。
図6】天井押圧体の縦断正面図である。
図7】天井押圧体の分解正面図である。
図8図6におけるB-B線断面図である。
図9図6におけるC-C線断面図である。
図10】接床体の縦断正面図である。
図11】接床体の分解正面図である。
図12図10におけるD-D線断面図である。
図13図10におけるE-E線断面図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る突っ張り固定型の支柱の回転阻止手段を示す縦断側面図である。
図15図14におけるF-F線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態) 図1から図13に本発明の突っ張り固定型の支柱の第1実施形態を示す。本実施形態における前後、左右、上下とは、図1および図5に示す矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2において、突っ張り固定型の支柱は、内外に差込まれて伸縮可能に構成される上柱体1および下柱体2と、上柱体1と一体に設けられ天井Rに接当する天井押圧体3と、下柱体2と一体に設けられ床Fに載置される接床体4と、下柱体2の上端と上柱体1の中途部との間に設けられ、上柱体1と下柱体2とを伸縮不能にロック保持するロック機構5とを備える。上柱体1および下柱体2はともに丸パイプで形成されており、下柱体2には意匠性を高めるために樹脂被覆が施されている。下柱体2の内径は上柱体1の外径よりも大きく設定されており、これらの直径差により下柱体2に対して上柱体1を出し入れすることで、上下の柱体1・2は伸縮自在に構成される。
【0021】
図3から図5はロック機構5を示している。ロック機構5は、下柱体2の上端に固定される支点リング8と、上柱体1に外嵌して上柱体1の中途部を抱持固定する抱持リング9と、抱持リング9に設けたハンドル支軸10で上下揺動可能に支持されるロックハンドル11と、支点リング8とロックハンドル11とを連結する押上げリンク12と、抱持リング9とロックハンドル11の揺動基端との間に設けられるカム機構などで構成される。図3において符号13は、上柱体1と下柱体2の上端開口との隙間を封止しつつ、抱持リング9の上部と、ロック姿勢にあるロックハンドル11の上部を覆うロック部カバーである。
【0022】
図4に示すように、支点リング8は丸筒状に形成され、その右側に前後に対向する壁からなるリンクガイド15を備える。リンクガイド15には、押上げリンク12を連結するための上下に長い長孔状のガイド孔16がそれぞれ形成されている。支点リング8の筒部分は、下柱体2の上端内部に収容される状態で固定されており、リンクガイド15は下柱体2の上端右側に切欠き形成された縦溝17から外面に露出している。
【0023】
図5に示すように抱持リング9は、丸筒の右側にスリットを設けた断面C字状に形成され、前記スリットを挟むようにロックハンドル11を支持する一対のブラケット18が前後対向状に一体形成されている。常態における抱持リング9の内径は、上柱体1の直径寸法よりも大きく、カム機構により一対のブラケット18が近接操作されることにより、抱持リング9は縮径されてその内周面が上柱体1に密着し、両者1・9の摩擦力で上柱体1が抱持固定される。支点リング8と同様に、抱持リング9は下柱体2の上端内部に収容されており、ブラケット18のみが縦溝17から外面に露出している。
【0024】
図4に示すようにロックハンドル11は、断面コ字状の棒体からなるハンドル本体19と、ハンドル本体19の外面を覆うハンドルカバー20とで構成されており、ハンドル本体19の端部が前後方向に伸びるハンドル支軸10でブラケット18に対して揺動可能に連結されている。ハンドル本体19の長手方向の中途部には、前後方向に伸びる上リンクピン21で押上げリンク12の一端が回動自在に連結されている。押上げリンク12の他端は、下リンクピン22を介してガイド孔16で上下スライド可能に案内支持されている。ロックハンドル11は、ハンドル支軸10を中心にして、抱持リング9の外側方へ突出する図4に示すロック解除姿勢と、下柱体2の周面に沿う図3に示すロック姿勢との間で上下揺動できる。
【0025】
図4および図5に示すようにカム構造は、ハンドル支軸10の周囲において、ブラケット18の外側面に外向きに膨出形成された一対のカム突部23と、ブラケット18に正対するハンドル本体19の連結部分に内向きに膨出形成された一対の操作部24とで構成されている。ロックハンドル11がロック解除姿勢にあるとき、操作部24のそれぞれは、一対のカム突部23の間に位置しており、この状態における抱持リング9は縮径されておらず、抱持リング9による上柱体1の抱持固定状態は解除されている。ロック解除姿勢にあるロックハンドル11をロック姿勢へと揺動操作すると、ハンドル本体19の各操作部24は、ブラケット18のカム突部23へと乗り上がり、一対のブラケット18の対向隙間を狭める。これに伴い、抱持リング9の筒部分が縮径されてその内面が上柱体1に密着し、抱持リング9による上柱体1の抱持固定状態が確立される。
【0026】
図6および図7に示すように、天井押圧体3は、上柱体1が連結される上連結体27と、上連結体27に連結され、天井Rに接当する天井接当体28とを備えている。上連結体27は、上柱体1に連結される連結フレーム29と、連結フレーム29の外面に被さるフレームカバー30とで構成される。連結フレーム29は、上柱体1の上端が挿入される円筒状のフレーム筒31と、フレーム筒31の上端から外向きに張り出すフランジ状の締結壁32と、フレーム筒31の内部を上下に区画する区画壁33と、フレーム筒31の内部に設けられ、上下の端部にそれぞれ雄ねじ部を有する連結軸34とを備えている。連結軸34は、区画壁33に一体に形成される軸ボス35にインサート固定されており、その上下部分が軸ボス35から突出している。フレーム筒31の下部の左右の筒壁には、後述する連結ねじ57が挿入され、同ねじ57をガイドする上下に長い長孔状のガイド孔36が貫通状に形成されている。フレームカバー30は、逆円錐台筒状に形成されており、下側内面には、上柱体1およびフレーム筒31を受け止める段付き孔からなる受止部37が設けられている。
【0027】
天井接当体28は、円盤状の接当板40と、接当板40の下面に一体に固定される連結ベース41とを備える。先の上連結体27と天井接当体28とは、球継手からなる上継手体42で連結されている。上継手体42は、区画壁33から上方に突出する連結軸34と、連結ベース41の下面中央から下向きに突設されて、下部が半球殻状に形成される突球部43と、区画壁33の上面において連結軸34の周囲に形成されて、突球部43を受け止める受け凹面44と、突球部43の内部に設けられて、受け凹面44と協同して突球部43を挟持する受け凸面45が形成された抜止体46などで構成される。受け凹面44は、突球部43の外面に合致する凹球面で構成され、受け凸面45は、突球部43の内面に合致する凸球面で構成される。
【0028】
連結軸34は、突球部43の下端に形成された軸通孔47を介して突球部43の内部に挿入されており、その上端に形成された雄ねじ部にナット48をねじ込むことにより抜止体46が固定されている。これにより、突球部43の内外面が受け凹面44と受け凸面45とで挟持され、上連結体27と天井接当体28とは分離不能に連結される。球継手からなる上継手体42で連結された上連結体27と天井接当体28とによれば、両者27・28が連結軸34の軸心まわりに回転してしまうので、当該回転を規制する上回転規制手段49が設けられている。
【0029】
上回転規制手段49は、連結ベース41の下面に突設される台形柱状の突部50と、締結壁32の上面に突設され、突部50が侵入する放射状に伸びる一対の壁からなる枠壁51とで構成されている。枠壁51は締結壁32の補強を兼ねている。8組の突部50と枠壁51との対が、上継手体42の周囲に等間隔毎に設けられており、上連結体27と天井接当体28とが相対回転しようとしたとき、突部50が枠壁51の内面で受け止められることで回転が規制される。本実施形態では、図9に示すように、回転時に接する両者50・51の面どうしの隙間は僅かであり、上連結体27と天井接当体28とはほぼ相対回転しない状態で連結されている。また、上連結体27と天井接当体28との対向面、具体的には、突球部43の周囲部分における連結ベース41の下面と枠壁51を含む締結壁32の上面との対向部分には間隙が設けられており、上継手体42を介して上連結体27に連結される天井接当体28は、上連結体27に対して前記間隙の分だけ上継手体42を中心に傾動できる。
【0030】
上柱体1と天井押圧体3との連結は、まず連結軸34の下端部が上下方向に挿通される通孔53が形成された上ソケット54を、圧縮コイルばねからなる押圧ばね55が介在する状態で連結フレーム29に装着する。具体的には、下方からフレーム筒31の内部に押圧ばね55、次いで上ソケット54を挿入して、通孔53から連結軸34の下部が突出する状態とし、連結軸34の雄ねじ部にナット56をねじ込むことにより、上連結体27、押圧ばね55、および上ソケット54が一体化される。このとき、上ソケット54は、ナット56で連結軸34に対して下方向への抜け止めが図られている。
【0031】
次に、上柱体1の上端からフレームカバー30を差込んで外嵌させ、さらに上柱体1をフレーム筒31内の上ソケット54に差込んだ状態で、ガイド孔36を介して上ソケット54に2個の連結ねじ57をねじ込む。これにて、上柱体1と上ソケット54とが一体化される。続いて、締結壁32を介して締結ビス58をフレームカバー30にねじ込むことにより、連結フレーム29とフレームカバー30とが一体化される。このとき、図8に示すように、フレーム筒31は、フレームカバー30の受止部37の大径部分に嵌め込まれ、締結ビス58とともに、連結フレーム29とフレームカバー30との位置決めがなされる。
【0032】
次に、突部50と枠壁51とを位置合わせしたうえで、上方からフレーム筒31の内部に突球部43を挿入し、軸通孔47を介して連結軸34の上端を突球部43の内部に位置させる。続いて、抜止体46を連結軸34に装着し、連結軸34上部の雄ねじ部にナット48をねじ込むことにより上継手体42が構築され、上連結体27と天井接当体28とが連結される。最後に、接当板40の上面に、天井Rに接当板40が接当することによる傷付きを防ぐためのクッションマット59を接着固定して、上柱体1と天井押圧体3との連結が完了する。なお、天井Rに天井接当体28を接着固定する場合には、クッションマット59の上面に粘着層を形成する、あるいはクッションマット59に換えて両面に粘着層が形成された接着材を接当板40の上面に接着する。
【0033】
上柱体1と天井押圧体3とは、上柱体1の外周面と、フレーム筒31およびフレームカバー30の受止部37における小径部の内面とが摺動することで、上下方向に相対スライドできるように連結されている。上柱体1を基準としたとき、天井押圧体3は下方向に沈み込むことができる。詳しくは、図1に示すように天井押圧体3は、押圧ばね55の付勢力で上向きに付勢されており、床Fと天井Rとの間に支柱が設置されていないときには、上柱体1に対する可動範囲の最上部に位置している。この状態では、連結ねじ57でガイド孔36の下端が受け止められており、押圧ばね55の付勢力に抗して天井押圧体3を下方移動させると、連結ねじ57でガイド孔36の上端が受け止められるまで、上柱体1に対して天井押圧体3は下方向に沈み込むことができる。上柱体1に対する天井押圧体3の上柱体1の軸心まわりの回転は、連結ねじ57の頭部がガイド孔36の内面に接することで規制されている。支柱を設置するときには、天井押圧体3は天井Rと接して移動しないので、相対的に見れば天井押圧体3に対して上柱体1が上方に押し込まれるように移動する。
【0034】
図10および図11に示すように、接床体4は、下柱体2が連結される下連結体61と、下連結体61に連結され、床Fに接当する床接当体62とを備える。下連結体61は、下柱体2に連結される連結フレーム63と、連結フレーム63の上部に装着されるキャップ64とで構成される。連結フレーム63は、下柱体2の下端が挿入される連結穴65を有する円筒状のフレーム筒(区画壁)66と、フレーム筒66の外周を覆うように設けられる円錐台筒状の外筒67と、フレーム筒66の上下方向の中途部に形成されて、連結穴65の底部を区画する底壁68と、フレーム筒66の内部に設置され、下端部に雄ねじ部を有する連結軸69とを備える。連結穴65の上端には、下柱体2の下端の挿入を許す上向きの開口が形成されている。連結軸69は、底壁68に一体に形成される軸ボス70にインサート固定されており、その下部分が軸ボス70から突出している。キャップ64は、内径が下柱体2の直径と略同一に設定され円錐台筒状に形成されており、下部内面に連結フレーム63の上部外面に刻設された雄ねじ部71と螺合する雌ねじ部72が刻設されている。
【0035】
床接当体62は、円盤状の接当板75と、接当板75の上面に一体に固定される連結ベース76とを備える。先の下連結体61と床接当体62とは、球継手からなる下継手体77で連結されている。下継手体77は、底壁68から下方に突出する連結軸69と、連結ベース76の上面中央から上向きに突設されて、上部が半球殻状に形成される突球部78と、底壁68の下面において連結軸69の周囲に形成されて、突球部78を受け止める受け凹面79と、突球部78の内部に設けられて、受け凹面79と協同して突球部78を挟持する受け凸面80が形成された抜止体81などで構成される。受け凹面79は、突球部78の外面に合致する凹球面で構成され、受け凸面80は、突球部78の内面に合致する突球面で構成されている。
【0036】
連結軸69は、突球部78の上端に形成された軸通孔82を介して突球部78の内部に挿入されており、その下端に形成された雄ねじ部にナット83をねじ込むことにより抜止体81が固定されている。これにより、突球部78の内外面が受け凹面79と受け凸面80とで挟持され、下連結体61と床接当体62とは分離不能に連結される。球継手からなる下継手体77で連結された下連結体61と床接当体62とによれば、両者61・62が連結軸69の軸心まわりに回転してしまうので、当該回転を規制する下回転規制手段84が設けられている。
【0037】
下回転規制手段84は、連結ベース76の上面に突設される台形柱状の突部85と、外筒67の下部内面から下向きに設けられ、突部85が侵入する放射状に伸びる一対の壁からなる枠壁86とで構成される。枠壁86は連結フレーム63の補強を兼ねている。8組の突部85と枠壁86との対が、下継手体77の周囲に等間隔毎に設けられており、下連結体61と床接当体62とが相対回転しようとしたとき、突部85が枠壁86で受け止められることで回転が規制される。本実施形態では、図12に示すように、回転時に接する両者85・86の面どうしの隙間は僅かであり、下連結体61と床接当体62とはほぼ相対回転しない状態で連結されている。また、下連結体61と床接当体62との対向面、具体的には突球部78の周囲部分における連結ベース76の上面と枠壁86を含む下連結体61の下面との対向部分には間隙が設けられており、下継手体77を介して下連結体61に連結される床接当体62は、下連結体61に対して前記間隙の分だけ下継手体77を中心に傾動できる。
【0038】
下柱体2と接床体4との連結は、まず下柱体2の下端からキャップ64を差し込んで外嵌させ、下柱体2よりも大径の下ソケット89を下柱体2の下端に装着する。下ソケット89の上面には下柱体2が挿入される周回状の溝が形成されている。この状態で、左右から締結ビス90をねじ込むことにより下柱体2と下ソケット89とが一体化される。続いて、底壁68と下ソケット89との間に、圧縮コイルばねからなる押上げばね(付勢体)91が介在する状態で下柱体2と連結フレーム63とを連結する。具体的には、上方からフレーム筒66の連結穴65に押上げばね91を挿入し、さらに下ソケット89が一体化された下柱体2の下端を挿入する。続いて、雄ねじ部71と雌ねじ部72とを螺合させるようにキャップ64をねじ込み操作することで、連結フレーム63とキャップ64とが一体化される。
【0039】
次に、突部85と枠壁86とを位置合わせしたうえで、下方からフレーム筒66の内部に突球部78を挿入し、軸通孔82を介して連結軸69を突球部78の内部に位置させる。続いて、抜止体81を連結軸69に装着し、連結軸69下部の雄ねじ部にナット83をねじ込むことにより下継手体77が構築され、下連結体61と床接当体62とが連結される。最後に、接当板75の下面に、床Fに接当板75が接当することによる傷付きを防ぐためのクッションマット92を接着固定して、下柱体2と接床体4との連結が完了する。なお、床Fに床接当体62を接着固定する場合には、クッションマット92の下面に粘着層を形成する、あるいはクッションマット92に換えて両面に粘着層が形成された接着材を接当板75の下面に接着する。
【0040】
下柱体2と接床体4とは、下柱体2および下ソケット89の外周面と、フレーム筒66およびキャップ64の内面とが摺動することで、上下方向に相対スライドできるように連結されている。詳しくは、図1に示すように下柱体2は、押上げばね91の付勢力で上向きに付勢されており、床Fと天井Rとの間に支柱が設置されていないとき(仮固定状態)には、接床体4に対する可動範囲の最上部に位置している。この状態では、下柱体2よりも外方に張り出す下ソケット89の周縁部分が、キャップ64の内面下端で受け止められており、押上げばね91の付勢力に抗して下柱体2を下方移動させると、下ソケット89が軸ボス70で受け止められるまで、接床体4に対して下柱体2は下方向に沈み込むことができる。また、下柱体2は、接床体4(下連結体61)に対して回転できる。
【0041】
上記のように、接床体4に対して下柱体2が回転可能に連結されていると、設置された支柱を使用者が掴み持ったとき、下柱体2が不用意に回転することがあり、例えば使用者が支柱を掴んで立ち上がる際に下柱体2が不用意に回転すると、バランスを崩して転倒するおそれがある。そのため、本実施形態では、床Fと天井Rとの間に支柱が突っ張り状に設置されていない状態(仮固定状態)では、接床体4に対する下柱体2の回転を許すものの、支柱が突っ張り状に設置されている状態(設置後の状態)では、接床体4に対する下柱体2の回転を阻止する回転阻止手段95が設けられている。
【0042】
回転阻止手段95は、下柱体2と接床体4との間に設けられ、下柱体2が回転可能な状態(自由状態)(図1参照)となる非作動姿勢と、下柱体2が回転不能な状態(固定状態)(図10参照)となる作動姿勢とに切換えられる。図1に示すように回転阻止手段95は、フレーム筒66に設けられる第1ロック体96と、下柱体2の下端に設けられて、第1ロック体96と係合して下柱体2と接床体4との相対回転を阻止する第2ロック体97と、下柱体2を上向きに押上げ付勢する押上げばね91などで構成される。
【0043】
図13に示すように、回転阻止手段95の第1ロック体96は、フレーム筒66の下部内周面に内向き形成される内歯車状の固定ロック歯98で構成される。第2ロック体97は、下柱体2の下端に連結された下ソケット89の下端外周面に外向きに形成され、固定ロック歯98に内嵌する歯車状の可動ロック歯99で構成される。両ロック歯98・99はともに40枚で同じ歯数に形成され、両ロック歯98・99で規定されるピッチ円直径も同一に設定されており、固定ロック歯98に対して可動ロック歯99は、下柱体2の軸心まわりに9度毎に係合することができる。押上げばね91のばね定数は、仮固定状態において、天井押圧体3を含む上柱体1および下柱体2を押上げ付勢できる程度に設定されている。また天井押圧体3が備える押圧ばね55のばね定数は、押上げばね91のばね定数よりも高く設定されている。
【0044】
ここで、ロック機構5の動作を説明する。ロックハンドル11が、図4に示すロック解除姿勢にある状態では、下リンクピン22はガイド孔16の上端に位置しており、抱持リング9による上柱体1の抱持固定状態は解除されている。したがって、抱持リング9および下柱体2に対して上柱体1を自由に出し入れすることができる。この状態からロックハンドル11を、ハンドル支軸10を中心にして図4に二点鎖線で示すように下向きに揺動操作すると、押上げリンク12がロックハンドル11に同行して下降移動し、下リンクピン22がガイド孔16の下端で受止められる。ロックハンドル11をさらに押下げ操作すると、ハンドル本体19の操作部24がカム突部23に乗り上がるため、一対のブラケット18は互いに接近し、抱持リング9の筒部が縮径して上柱体1を抱持固定する。一方、押上げリンク12は、下リンクピン22がガイド孔16の下端で受止められるため、それ以上下降移動することはなく、下リンクピン22を中心に上端が左方に揺動して起立していく。この押上げリンク12の起立に伴い上リンクピン21を中心に、姿勢が下柱体2の周面に沿うロック姿勢に変更されるロックハンドル11によって、上柱体1を抱持固定した抱持リング9は支点リング8に対して上昇操作され、ロックハンドル11がロック姿勢へと切換った時点で、抱持リング9の上昇操作は停止される。
【0045】
本実施形態の支柱は、従来の突っ張り固定型の支柱と同じ操作で設置できる。つまり、支柱全体を床Fと天井Rとの間に配する操作(仮固定状態とする操作)と、ロック機構5の操作とで支柱を設置することができる。より具体的には、まず、接床体4を設置位置の床Fに載置して下柱体2を起立させ、この状態で上柱体1を下柱体2に対して上スライド操作し、天井押圧体3を天井Rに接触させて、仮固定状態とする。この仮固定状態では、ロックハンドル11はロック解除姿勢にあり、抱持リング9による上柱体1の抱持固定状態は解除され、また、押上げばね91の付勢力で固定ロック歯98と可動ロック歯99との係合は解除されている。そのため、天井押圧体3が天井Rに接触し接床体4が床Fに接触している状態、あるいは天井押圧体3が天井Rにまた接床体4が床Fに接着されている状態であっても、ロック機構5を含む下柱体2は、その軸心まわりに回転させることができる。従って、抱持リング9の外側方へ突出するロックハンドル11が、側壁面や家具等に接触するような場合には、下柱体2を回転させることでロックハンドル11の操作が可能になるよう、ロック機構5の姿勢つまりロックハンドル11の向きを変更することができる。
【0046】
ロック機構5の姿勢を決定したのちは、ロックハンドル11を下方へ揺動操作して、ロックハンドル11をロック姿勢へと姿勢変更する。このとき、ロック機構5の操作によって天井押圧体3と接床体4とは上下移動せず、押圧ばね55および押上げばね91が圧縮されることにより、上柱体1と下柱体2とが上下移動して支柱は突っ張り固定される。具体的には、ロックハンドル11の下方への揺動操作により、抱持リング9による上柱体1の抱持状態が確立されると、ロックハンドル11の操作に伴って、ばね定数の低い押上げばね91が圧縮されて下柱体2が下方へと変位される。下柱体2の下方変位が進むと、回転阻止手段95の可動ロック歯99が固定ロック歯98と噛み合い、続いて、下ソケット89が軸ボス70で受け止められて、下柱体2の下方への変位が規制される。
【0047】
下柱体2の下方変位が規制されたのちは、ロックハンドル11の操作に伴って、上柱体1が押圧ばね55の付勢力に抗して上方変位され、押圧ばね55が圧縮されつつ上柱体1が上方へと変位される。上柱体1の上方変位は、ロックハンドル11が下柱体2の周面に沿うロック姿勢へと姿勢変更された時点で終了する。これにて、床Fと天井Rとの間に、支柱は突っ張り状に固定される。設置された状態の支柱は、上下の柱体1・2が押上げばね91の復元力で上方に付勢され、天井押圧体3が押圧ばね55の復元力で上方に付勢される。従って、床Fと支柱との間および支柱と天井Rとの間において上下方向に作用する突っ張り力は、両ばね55・91のばね定数に依存する。
【0048】
上記のように、ロックハンドル11をロック解除姿勢からロック姿勢に揺動操作したときには、可動ロック歯99(第2ロック体97)が固定ロック歯98(第1ロック体96)に内嵌して噛み合って(係合されて)、回転阻止手段95は自動的に阻止状態に切換る。したがって、抱持リング9による上柱体1の抱持固定に加え、回転阻止手段95によっても下柱体2の軸心まわりの回転が阻止される。
【0049】
以上のように、本実施形態の支柱においては、ロック機構5がアンロック状態にあるとき、上柱体1および接床体4に対して下柱体2がその軸心まわりに回転できるように構成したので、接床体4を床Fに載置するとともに、天井押圧体3が天井Rに接するように上柱体1を伸長させて、支柱を仮固定状態としたのちであっても、ロック機構5によるロック状態が確立されるまでは、上柱体1および接床体4に対して下柱体2をその軸心まわりに回転させることができる。このように、仮固定状態において、上柱体1および接床体4に対して下柱体2を回転させて、その向きを変更させることができるようになっていると、支柱を仮固定状態としたのちに、ロックハンドル11の移動軌跡が側壁面や家具などに干渉するなどのように、ロック機構5の向きが不良であることが判明した場合であっても、その状態で(仮固定状態を維持したままで)、下柱体2をその軸心まわりに回転させて、これら下柱体2とロック機構5の向きを変更して、上記の干渉状態を容易に解消することができる。以上より、本実施形態の支柱によれば、下柱体2やロック機構5の向きを変更するための仮固定状態の解除作業は不要となり、より作業効率良く、支柱の設置作業を進めることができる。また、下柱体2やロック機構5の向きを気にすることなく、支柱を仮固定状態とすることができるので、この点でも、より作業効率良く、支柱の設置作業を進めることができる。特に、天井Rと天井押圧体3との間、及び床Fと接床体4との間に作用する水平方向のせん断力に対する耐力の向上を図る目的で、天井Rと天井押圧体3との間や床Fと接床体4との間に両面テープなどの接着材を配して、この接着材の接着力により天井押圧体3や接床体4を接着固定した場合において、仮固定状態後に下柱体2のロック機構5の向きが不良であることが判明した場合には、従来の支柱では、仮固定状態を解除するためには当該接着材を剥離する必要があり、当該剥離作業の分だけ支柱の設置作業が煩雑化・非効率化することが避けられないが、この支柱によれば、固定状態の解除作業は勿論のこと、接着材の剥離作業をも不要となるので、この点でもより作業効率良く、支柱の設置作業を進めることができる。
【0050】
下柱体2の下端と接床体4とを連結する連結機構が、接床体4に対する下柱体2の回転を阻止するための回転阻止手段95を備えるものとし、ロック機構5をアンロック状態としたとき、回転阻止手段95は作動せず、下柱体2は回転可能な自由状態となり、ロック機構5をロック状態としたとき、回転阻止手段95が作動されて、下柱体2が回転不能な固定状態となるように構成したので、ロック機構5のアンロック状態からロック状態とするロックハンドル11のロック操作に連動して、回転阻止手段95を作動させて、下柱体2を自由状態から固定状態とすることができる。また、ロック機構5をロック状態からアンロック状態とするロックハンドル11のアンロック操作に連動して、回転阻止手段95を停止させて、下柱体2を固定状態から自由状態とすることができる。以上より、ロック機構5の操作に連動して、回転阻止手段95を作動させることができるので、確実に回転阻止手段95を作動させて、下柱体2を自由状態から固定状態へと変位させることができる。回転阻止手段95を操作する動作を別途行う必要がなく、従来通りの方法で支柱を設置することもできる。これにて下柱体2を掴み持って立ち上がるときなどに下柱体2を軸心まわりに捩じる方向に力を加えたとしても、下柱体2が不用意に回転することを確実に防ぐことができるので、支柱の安全性を向上させることもできる。
【0051】
第1ロック体96を、連結穴65の内周面に形成される内歯車状の固定ロック歯98で構成し、第2ロック体97を、下柱体2の下端の外周面に形成されて固定ロック歯98に内嵌する外歯車状の可動ロック歯99で構成したので、これら内外歯車状のロック歯98・99により下柱体2の回転力は分散して受け止められることとなる。したがって、回転阻止手段95が破損することを防止することができる。
【0052】
天井押圧体3を構成する上連結体27と天井接当体28を、球継手からなる上継手体42で連結したので、天井Rが水平面に対して傾いている場合でも、上連結体27に対して天井接当体28が傾動することで天井Rの傾きを吸収でき、上下の柱体1・2を垂直に設置した状態で天井Rに天井接当体28を適切に密着させることができる。逆に上下の柱体1・2が垂直に対して傾いた状態であっても、上連結体27に対して天井接当体28が傾動することで天井Rに天井接当体28を適切に接当させることができる。また、上連結体27と天井接当体28との相対回転を規制する上回転規制手段49を設けたので、天井接当体28に対して上連結体27が上柱体1の軸心まわりに回転することを阻止して、支柱を掴み持った際に上柱体1が不用意に回転することを防ぐことができ、確りと身体を支えた状態で立ち上がりなどの動作を安定して行うことができる。
【0053】
接床体4を構成する下連結体61と床接当体62とを、球継手からなる下継手体77で連結したので、床Fが水平面に対して傾いている場合でも、下連結体61に対して床接当体62が傾動することで床Fの傾きを吸収でき、上下の柱体1・2を垂直に設置した状態で床Fに床接当体62を適切に密着させることができる。逆に上下の柱体1・2が垂直に対して傾いた状態であっても、下連結体61に対して床接当体62が傾動することで床Fに床接当体62を適切に接当させることができる。また、下連結体61と床接当体62との相対回転を規制する下回転規制手段84を設けたので、床接当体62に対して下連結体61が下柱体2の軸心まわりに回転することを阻止して、支柱を掴み持った際に下柱体2が不用意に回転することを防ぐことができ、確りと身体を支えた状態で立ち上がりなどの動作を安定して行うことができる。
【0054】
(第2実施形態) 図14および図15は、本発明の突っ張り固定型の支柱の第2実施形態を示しており、回転阻止手段95の構成が第1実施形態と相違する。本実施形態の回転阻止手段95における第1ロック体96は、底壁68の上方に形成された段部の上面に上向きに形成される傘歯車状の固定ロック歯98で構成され、第2ロック体97は、下ソケット89の下端周面に下向きに形成され、固定ロック歯98と噛み合う傘歯車状の可動ロック歯99で構成されている。両ロック歯98・99はともに20枚で同じ歯数に形成されている。以上より、固定ロック歯98に対して可動ロック歯99は、下柱体2の軸心まわりに18度毎に係合することができる。支柱を設置する際のロック機構5の操作(ロックハンドル11をロック姿勢とする操作)により、下柱体2は下方へ変位して、両ロック歯98・99が噛み合うことにより、下柱体2の回転が阻止されるようになっている。他は第1実施形態と同様であるので、同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0055】
上記実施形態以外に、回転阻止手段95は、第1ロック体96と第2ロック体97のいずれか一方を上下方向に突設されるピンで構成し、他方をピンを受け入れるピン穴で構成することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 上柱体
2 下柱体
3 天井押圧体
4 接床体
5 ロック機構
9 抱持リング
10 ハンドル支軸
11 ロックハンドル
27 上連結体
28 天井接当体
42 上継手体
49 上回転規制手段
61 下連結体
62 床接当体
65 連結穴
66 区画壁(フレーム筒)
77 下継手体
84 下回転規制手段
91 付勢体(押上げばね)
95 回転阻止手段
96 第1ロック体
97 第2ロック体
98 固定ロック歯
99 可動ロック歯
F 床
R 天井
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15