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特開2023-139933永久磁石式回転子および永久磁石式回転電機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139933
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】永久磁石式回転子および永久磁石式回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20230927BHJP
   H02K 1/278 20220101ALI20230927BHJP
   H02K 1/06 20060101ALI20230927BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
H02K1/276
H02K1/278
H02K1/06 A
H02K1/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045717
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 恭輔
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 直哉
(72)【発明者】
【氏名】山岸 大介
【テーマコード(参考)】
5H601
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA22
5H601AA24
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD11
5H601DD25
5H601EE39
5H601FF04
5H601GA02
5H601GA24
5H601GA25
5H601GA39
5H622AA02
5H622AA03
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA10
5H622CA14
5H622CB03
5H622CB05
(57)【要約】
【課題】永久磁石式回転子の有効なq軸補助溝の形成を可能とする。
【解決手段】実施形態によれば、永久磁石式回転子100は、ロータシャフトと、各q軸に関し互いに対称なV字に2つの永久磁石収納孔122が形成された回転子鉄心120と、永久磁石収納孔122に収納された永久磁石130を具備する。回転子鉄心120には、q軸を中心とした対称形となるように回転子鉄心120の外周面の外接円に対して径方向内側にオフセットしたq軸補助溝121が形成されている。q軸補助溝121に対向する補助溝対向壁122aはq軸補助溝121に沿った曲面状である。補補助溝対向壁122aのq軸に垂直な方向に対する軸ラベル角度は所定の角度範囲内にあり、外接円とq軸補助溝121に挟まれたq軸補助溝121の面積のd軸間のギャップ空間面積に対して所定の面積割合の範囲内にある。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びたロータシャフトと、
前記ロータシャフトの径方向外側に取り付けられ、前記ロータシャフトの回転軸の垂直断面においてそれぞれのq軸に関し互いに対称にV字配置された2つの永久磁石収納孔が形成された回転子鉄心と、
それぞれの前記永久磁石収納孔に収納された永久磁石と、
を具備する永久磁石式回転子であって、
前記回転子鉄心には、前記垂直断面において、前記q軸を中心とした対称形となるように当該回転子鉄心の外周面の外接円に対して径方向内側にオフセットしたq軸補助溝が形成されており、
それぞれの前記永久磁石収納孔の前記q軸補助溝に対向する補助溝対向壁は前記q軸補助溝に沿った曲面状であり、前記垂直断面において、前記補補助溝対向壁の前記q軸に垂直な方向に対する軸ラベル角度は、所定の角度範囲内にあり、
前記垂直断面において、前記外接円と前記q軸補助溝に挟まれた部分の面積は、互いに隣接するd軸に挟まれたギャップ空間の断面積に対して所定の面積割合の範囲内にある、
ことを特徴とする永久磁石式回転子。
【請求項2】
前記垂直断面において、前記q軸補助溝は、前記q軸方向の軸および前記q軸に垂直な方向の軸を有する楕円の一部であるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の永久磁石式回転子。
【請求項3】
前記所定の角度範囲は、0度以上かつ23度以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の永久磁石式回転子。
【請求項4】
前記所定の面積割合の範囲は、5%以上かつ45%以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の永久磁石式回転子。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の永久磁石式回転子と、
前記ギャップ空間を介して前記永久磁石式回転子の径方向外側に配された固定子鉄心と、前記固定子鉄心内を貫通する固定子巻線と、を有する固定子と、
を備えることを特徴とする永久磁石式回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石式回転子および永久磁石式回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
同期機のうち、永久磁石式回転電機は、巻線形回転電機のような界磁調整の機能を有しない一方、界磁巻線や巻線への直流電力の供給回路が不要であり構造が比較的単純であるというメリットがある。
【0003】
永久磁石式回転電機は、たとえば、電動機の場合、永久磁石が回転子鉄心に埋め込まれた埋込磁石構造の同期電動機(IPMSM)と、永久磁石が回転子鉄心の外周面に配された表面磁石構造の同期電動機(SPMSM)がある。
【0004】
IPMSMは、エアギャップ磁束密度に高調波を多く含み、SPMSMと比べて、トルク脈動やコギングトルクが大きくなる傾向がある。
【0005】
このトルク脈動は、たとえば、回転子鉄心の外周のq軸磁路付近に補助溝を設けることにより、低減効果が得られることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-028807号公報
【特許文献2】特許第6507956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
回転子鉄心の外周のq軸磁路付近に補助溝を設ける方法を用いる場合、トルク脈動の効果を確保するために補助溝を深く設定すると、トップブリッジを侵食し構造強度上、成立しなくなり、有効な補助溝の形成が難しいという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、有効なq軸補助溝の形成を可能とする永久磁石式回転子および永久磁石式回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明の実施形態に係る永久磁石式回転子は、軸方向に延びたロータシャフトと、前記ロータシャフトの径方向外側に取り付けられ、前記ロータシャフトの回転軸の垂直断面においてそれぞれのq軸に関し互いに対称にV字配置された2つの永久磁石収納孔が形成された回転子鉄心と、それぞれの前記永久磁石収納孔に収納された永久磁石と、を具備する永久磁石式回転子であって、前記回転子鉄心には、前記垂直断面において、前記q軸を中心とした対称形となるように当該回転子鉄心の外周面の外接円に対して径方向内側にオフセットしたq軸補助溝が形成されており、それぞれの前記永久磁石収納孔の前記q軸補助溝に対向する補助溝対向壁は前記q軸補助溝に沿った曲面状であり、前記垂直断面において、前記補補助溝対向壁の前記q軸に垂直な方向に対する軸ラベル角度は、所定の角度範囲内にあり、前記垂直断面において、前記外接円と前記q軸補助溝に挟まれた部分の面積は、互いに隣接するd軸に挟まれたギャップ空間の断面積に対して所定の面積割合の範囲内にある、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る永久磁石式回転電機の構成を示す断面図である。
図2】実施形態に係る永久磁石式回転子に形成されたq軸補助溝と永久磁石収納孔との関係並びにq軸補助溝面積割合および軸ラベル角度を説明する永久磁石式回転子の部分断面図である。
図3】永久磁石式回転子にq軸補助溝を設けない場合を説明する永久磁石式回転子の部分断面図である。
図4】実施形態に係る永久磁石式回転子に形成されたq軸補助溝および永久磁石収納孔の第1の例を示す永久磁石式回転子の部分断面図である。
図5】実施形態に係る永久磁石式回転子に形成されたq軸補助溝および永久磁石収納孔の第2の例を示す永久磁石式回転子の部分断面図である。
図6】実施形態に係る永久磁石式回転子に形成されたq軸補助溝および永久磁石収納孔の第3の例を示す永久磁石式回転子の部分断面図である。
図7】実施形態に係る永久磁石式回転子の平均トルク減少率およびリップル率の減少率のq軸補助溝面積割合への依存性を示すグラフである。
図8】実施形態に係る永久磁石式回転子の平均トルク減少率およびリップル率の減少率の軸ラベル角度への依存性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る永久磁石式回転子および永久磁石式回転電機について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係る永久磁石式回転電機1の構成を示す断面図である。
【0013】
永久磁石式回転電機1は、永久磁石式回転子100、および固定子ティース11aが形成された固定子鉄心11を有する固定子10を備える。
【0014】
永久磁石式回転子100は、回転軸方向(軸方向)に延びたロータシャフト110、ロータシャフト110の径方向外側に取り付けられた円筒状の回転子鉄心120、および回転子鉄心120に収納され軸方向に延びた板状の永久磁石130を有する。すなわち、図1は、ロータシャフト11の回転軸に垂直な断面(以下、「垂直断面」)を示す。
【0015】
回転子鉄心120には、それぞれの磁極間のq軸の近傍に、永久磁石130を収納するための、軸方向に延びた2つの永久磁石収納孔122が形成されている。2つの永久磁石収納孔122は、径方向内側に向けて凸のV字配置となるように形成されている。また、2つの永久磁石収納孔122は、垂直断面において、q軸に関して互いに対称となるように形成されている。
【0016】
回転子鉄心120には、垂直断面において、q軸ごとに、当該q軸を中心とした対称形となるように当該回転子鉄心120の外周面の外接円Cs(図2)に対して径方向内側にオフセットしたq軸補助溝121が形成されている。
【0017】
図2は、実施形態に係る永久磁石式回転子100に形成されたq軸補助溝121と永久磁石収納孔122との関係並びにq軸補助溝面積割合Sおよび軸ラベル角度Θを説明する永久磁石式回転子100の部分断面図である。なお、固定子鉄心11については、固定子ティース11aの図示は省略し、固定子鉄心11の内接円Coを示している。
【0018】
回転子鉄心120の外周面に形成されたq軸補助溝121は、垂直断面においては、q軸に沿った軸およびq軸に垂直な方向の軸を有する楕円Ceの一部であるように形成されている。ただし、q軸補助溝121の形状は、これに限定されず、寸法、形状が図面等で指定できれば、他の形状であってもよい。q軸補助溝121は、同一の形状で軸方向に延びている。
【0019】
ここで、垂直断面において、1つのq軸補助溝121と回転子鉄心120の外接円Csとに挟まれた領域の面積をq軸補助溝面積Aで表す。また、q軸に隣接する両側のd軸間であって、回転子鉄心120の外接円Csと固定子鉄心11の内接円Coに挟まれた領域の面積をギャップ面積Gで表す。さらに、q軸補助溝面積Aのギャップ面積Gに対する割合、すなわちA/G(%)をq軸補助溝面積割合S(%)というものとする。
【0020】
次に、永久磁石収納孔122について説明する。永久磁石収納孔122は、図2に示すように、軸方向に延びた5つの壁で形成されている。
【0021】
補助溝対向壁122aは曲面状であり、補助溝対向壁122aとq軸補助溝121により形成されるトップブリッジ123の厚みが周方向に沿ってほぼ均一となるように、q軸補助溝121の形状に沿った形に形成されている。この結果、構造強度上好ましいトップブリッジ123の厚さを確保することができる。
【0022】
補助溝対向壁122aに隣接するq軸に近い側のq軸平行壁122bは、垂直断面においてq軸に平行に形成されている。
【0023】
平板状の永久磁石130の形状に対応して、補助溝対向壁122aに隣接するq軸から遠い径方向外側壁122cと、q軸平行壁122bに隣接する径方向内側壁122dは、互いに対向するように形成されている。
【0024】
径方向外側壁122cと径方向内側壁122dの両者に隣接するd軸平行壁122eは、d軸に平行に形成されている。なお、これに限定せず、平行な場合でなくともよい。
【0025】
ここで、垂直断面において、補助溝対向壁122aの両端P1およびP2を結ぶ直線Lcと、q軸に垂直な直線Lvとがなす角度を、軸ラベル角度Θ〔mdeg〕で表す。ここで「mdeg」は機械的な角度であり電気角ではないことを意味する。軸ラベル角度Θは、q軸から離れるに従って直線Lcが径方向の外側に向かう場合の角度を正とする。
【0026】
図3は、永久磁石式回転子にq軸補助溝を設けない場合を説明する永久磁石式回転子100の部分断面図である。図3は、q軸補助溝を設けない場合の、q軸補助溝面積割合Sおよび軸ラベル角度Θがどのようになるかを参考として示すものである。
【0027】
q軸補助溝を設けない場合には、回転子鉄心120の外周と外周円とは一致するので、q軸補助溝面積Aおよびq軸補助溝面積割合Sはゼロである。また、回転子鉄心120の外周にほぼ平行な補助溝対向壁122aに相当する壁についての直線Lcは、当該壁がq軸から離れるほど径方向の内側に向かうので、軸ラベル角度Θは負の値となる。
【0028】
図4は、実施形態に係る永久磁石式回転子に形成されたq軸補助溝および永久磁石収納孔の第1の例を示す永久磁石式回転子の部分断面図である。この第1の例では、q軸補助溝121は、垂直断面において、q軸に垂直な方向に形成されている。すなわち、q軸補助溝121は、周方向に広がり、軸方向に延びた平面状である。
【0029】
この場合は、永久磁石収納孔122の補助溝対向壁122aも、周方向に広がり、軸方向に延びた平面状となる。
【0030】
したがって、q軸補助溝面積Aおよびq軸補助溝面積割合Sは正の値となる。一方、垂直断面において、補助溝対向壁122aについての直線Lcはq軸に垂直な直線Lvと平行となるため、軸ラベル角度Θはゼロとなる。
【0031】
図5は、実施形態に係る永久磁石式回転子に形成されたq軸補助溝121および永久磁石収納孔122の第2の例を示す永久磁石式回転子の断面図である。この第2の例では、q軸補助溝121がさらに径方向内側にまで形成されている場合を示している。
【0032】
この場合は、q軸補助溝面積Aおよびq軸補助溝面積割合S、並びに、軸ラベル角度Θは正の値となる。
【0033】
図6は、実施形態に係る永久磁石式回転子に形成されたq軸補助溝121および永久磁石収納孔122の第3の例を示す永久磁石式回転子の部分断面図である。この第3の例では、第2の例よりも、q軸補助溝121がさらに径方向内側にまで形成されている場合を示している。
【0034】
この場合は、図6に示すように、q軸平行壁122bが形成されない場合もあるが、補助溝対向壁122aについての直線Lcが引けることから、前述の例2までと同様に、q軸補助溝面積Aおよびq軸補助溝面積割合S、並びに、軸ラベル角度Θが定義され、その値は、第2の例よりさらに大きな値となる。
【0035】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0036】
図7は、実施形態に係る永久磁石式回転子の平均トルク減少率およびリップル率の減少率のq軸補助溝面積割合への依存性を示すグラフである。また、図8は、実施形態に係る永久磁石式回転子の平均トルク減少率およびリップル率の減少率の軸ラベル角度への依存性を示すグラフである。
【0037】
図7の横軸はq軸補助溝面積割合S〔%〕、図8の横軸は軸ラベル角度Θ〔mdeg〕である。図7および図8の縦軸は、平均トルク減少率〔%〕およびリップル率の減少率〔%〕である。
【0038】
図7および図8では、摘出された8つのケースのq軸補助溝121および永久磁石収納孔122の組み合わせのそれぞれについて、q軸補助溝面積割合S〔%〕および軸ラベル角度Θ〔mdeg〕を算出し、その結果としての平均トルク減少率〔%〕およびリップル率の減少率〔%〕を示したものである。
【0039】
なお、平均トルクは、トルクの時間平均の値である。また、リプル率は、最大値から最小値を減じた値を単純平均で除した値を用いている。平均トルク減少率およびリプル率の減少率は、q軸補助溝121を設けない場合を基準とした値である。
【0040】
q軸補助溝121の深さを増大させると、永久磁石式回転電機1のトルクは低下し、永久磁石式回転電機1としては好ましくない方向に移行する。一方、q軸補助溝121の深さを増大させると、リプル率は減少し、永久磁石式回転電機1としては好ましい方向に移行する。q軸補助溝121の深さを増大させることによって、q軸補助溝面積割合Sおよび軸ラベル角度Θが増大することから、これまで説明したように、これらをパラメータとして選定している。
【0041】
この摘出されたケースは、リプル率の減少率と平均トルクの減少率という互いに利益が相反する指標に関しての最適化のパレート解から摘出したケースに、さらにq軸補助溝の深さについて変形したケースを加えたものである。
【0042】
図7では、q軸補助溝面積割合Sの増加に対して、平均トルク減少率はそれほど大きくないこと、およびリプル率の低減については、所定のq軸補助溝面積割合Sの範囲では大きく低減する効果があるが、ある値以上では効果にそれ以上の変化がないことを示している。
【0043】
ここで、リプル率の低減について効果が大きい所定のq軸補助溝面積割合Sの範囲は、図7から、5%ないし45%、すなわち、5%以上かつ45%以下の範囲である。
【0044】
図8では、軸ラベル角度Θの増加に対して、平均トルク減少率はそれほど大きくないこと、およびリプル率の低減については、所定の軸ラベル角度Θの範囲では大きく低減する効果があるが、ある値以上では効果にそれ以上の変化がないことを示している。
【0045】
ここで、リプル率の低減について効果が大きい所定の軸ラベル角度Θの範囲は、図8から、0度ないし23度、すなわち、0度以上かつ23度以下の範囲である。
【0046】
以上のように、本実施形態によれば、q軸補助溝121の形成に際して、所定のq軸補助溝面積割合Sおよび軸ラベル角度Θの範囲で永久磁石収納孔122を形成することにより、トップブリッジ123を侵食することなく、かつ、平均トルクの減少を抑制しながらリプル率を大幅に低減することができる。
【0047】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。さらに、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
1…永久磁石式回転電機、10…固定子、11…固定子鉄心、11a…固定子ティース、12…固定子内側包絡面、100…永久磁石式回転子、110…ロータシャフト、120…回転子鉄心、121…q軸補助溝、122…永久磁石収納孔、122a…補助溝対向壁、122b…q軸平行壁、122c…径方向外側壁、122d…径方向内側壁、122e…d軸平行壁、123…トップブリッジ、130…永久磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8