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特開2023-139952ネイルシンカー取り付け方法、ネイルシンカー及びその取り付け具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139952
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ネイルシンカー取り付け方法、ネイルシンカー及びその取り付け具
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/16 20060101AFI20230927BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20230927BHJP
   A01K 95/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
A01K85/16
A01K85/00 B
A01K95/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045754
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】322013041
【氏名又は名称】株式会社ジャッカル
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】藤松 弘一
(72)【発明者】
【氏名】北村 大樹
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA41
2B307BA44
2B307BA46
2B307BA70
2B307JB01
(57)【要約】
【課題】サイズが小さなネイルシシンカーであってもこれを擬似餌の所望位置に容易に取り付けることができるネイルシンカー取り付け方法を提供する。
【解決手段】ネイルシンカー1Aにその後端部から前方に延びたピン挿入孔が設けられている。押し部材11に前方突出状に設けられたガイドピン12を、ネイルシンカー1Aのピン挿入孔にその後端開口から前方に且つ抜出可能に挿入する。この状態で、押し部材11でネイルシンカー1Aをその前端から擬似餌20中に押し込む。その後、ガイドピン12をピン挿入孔から抜出することによりネイルシンカー1Aを擬似餌20中に残存させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
擬似餌にネイルシンカーを取り付けるネイルシンカー取り付け方法であって、
ネイルシンカーにその後端部から前方に延びたピン挿入孔が設けられており、
押し部材に前方突出状に設けられたガイドピンを、前記ネイルシンカーの前記ピン挿入孔にその後端開口から前方に且つ抜出可能に挿入し、
この状態で、前記押し部材で前記ネイルシンカーをその前端から前記擬似餌中に押し込み、
その後、前記ガイドピンを前記ピン挿入孔から抜出することにより前記ネイルシンカーを前記擬似餌中に残存させるネイルシンカー取り付け方法。
【請求項2】
前記押し部材は、押し込み操作用摘まみ部と、前記摘まみ部の前端部に前方突出状に設けられた押圧突部とを有するとともに、前記ガイドピンが前記押圧突部の前端面からなる押圧面から前方に突出しており、
前記押圧突部の直径が、前記ネイルシンカーの前記ピン挿入孔の後端開口の直径よりも大きく且つ前記ネイルシンカーの前記後端部の直径と同じか又は小さく設定されており、
前記押し部材の前記押圧突部の前記押圧面で前記ネイルシンカーの前記後端部を前方に押すことにより前記ネイルシンカーをその前端から前記疑似餌中に押し込む請求項1記載のネイルシンカー取り付け方法。
【請求項3】
前記押圧面に凸錐状部が形成されるとともに、前記ネイルシンカーの前記後端部の後端面に前記凸錐状部に対応する凹錐状部が形成されており、
前記押し部材の前記ガイドピンを前記ネイルシンカーの前記ピン挿入孔にその後端開口から前方に且つ抜出可能に挿入するとともに、前記押圧突部の前記凸錐状部を前記ネイルシンカーの前記凹錐状部に嵌合し、
この状態で、前記押し部材の前記押圧突部の前記押圧面で前記ネイルシンカーの前記後端面を前方に押すことにより前記ネイルシンカーをその前端から前記疑似餌中に押し込む請求項2記載のネイルシンカー取り付け方法。
【請求項4】
擬似餌に取り付けられるネイルシンカーであって、
後端部から前方に延びたピン挿入孔が設けられており、
押し部材に前方突出状に設けられたガイドピンが前記ピン挿入孔にその後端開口から前方に且つ抜出可能に挿入された状態で、前記押し部材で前端から擬似餌中に押し込まれることにより前記擬似餌に取り付けられるネイルシンカー。
【請求項5】
前記押し部材における前記ガイドピンを押す押圧面から前記ガイドピンが前方に突出しており、前記押圧面に凸錐状部が形成されており、
前記押し部材による擬似餌中への押し込みの際に前記凸錐状部が嵌合する凹錐状部が前記後端部の後端面に形成されている請求項4記載のネイルシンカー。
【請求項6】
擬似餌にネイルシンカーを取り付けるためのネイルシンカー取り付け具であって、
ガイドピンが前方突出状に設けられた押し部材を備え、
前記ガイドピンは、ネイルシンカーにその後端部から前方に延びて設けられたピン挿入孔にその後端開口から前方に且つ抜出可能に挿入されるものであり、
前記押し部材は、前記ガイドピンを前記ネイルシンカーの前記ピン挿入孔に挿入した状態で前記ネイルシンカーをその前端から前記擬似餌中に押し込むものであるネイルシンカー取り付け具。
【請求項7】
前記押し部材は、押し込み操作用摘まみ部と、前記摘まみ部の前端部に前方突出状に設けられた押圧突部とを有するとともに、前記ガイドピンが前記押圧突部の前端面からなる押圧面から前方に突出しており、
前記押圧突部の直径が、前記ネイルシンカーの前記ピン挿入孔の後端開口の直径よりも大きく且つ前記ネイルシンカーの前記後端部の直径と同じか又は小さく設定されており、
前記押し部材の前記押圧突部の前記押圧面が、前記ネイルシンカーの前記擬似餌中への押し込み時に前記ネイルシンカーの前記後端部を押す部位である請求項6記載のネイルシンカー取り付け具。
【請求項8】
前記押圧面に凸錐状部が形成されており、
前記凸錐状部は、前記ネイルシンカーの擬似餌中への押し込み時に、前記ネイルシンカーの前記後端部の後端面に形成された凹錐状部に嵌合される請求項7記載のネイルシンカー取り付け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネイルシンカーの擬似餌への取り付け方法、ネイルシンカー及びその取り付け具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、軟質素材からなる擬似餌(例:ワーム)を用いて釣りを行う場合、水中における擬似餌の沈降速度、泳動動作(泳動姿勢を含む)、水深位置等を調整することなどを目的として、一般にネイルシンカーと呼ばれる比較的軽量な細長い錘(シンカー、ウェイト)をその前端(先端)から擬似餌中に差し込んで取り付けることがしばしば行われている(例えば特許文献1-4参照)。なお、ネイルシンカーはネコリグシンカー、ミサイルシンカーなどとも呼ばれている。
【0003】
このネイルシンカーは数gの重量のものが広く用いられており、最も軽量で0.3gの重量のものも市販されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-115747号公報(段落0002、図4
【特許文献1】特開2021-103951号公報(段落0023、図6
【特許文献2】登録実用新案第3224914号公報
【特許文献3】登録実用新案第3235364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、擬似餌の沈降速度、泳動動作、水深位置等についてより細かい調整を行いたい場合、擬似餌の所望位置に非常に軽量なネイルシンカーを取り付ける必要があるが、そのようなネイルシンカーはサイズがとても小さいため指で掴みにくく擬似餌への取り付けが難しい。
【0006】
本発明は上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、例えばサイズが小さいネイルシシンカーであってもこれを擬似餌に容易に取り付けることができるネイルシンカー取り付け方法、ネイルシンカー及びその取り付け具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の手段を提供する。
【0008】
1) 擬似餌にネイルシンカーを取り付けるネイルシンカー取り付け方法であって、
ネイルシンカーにその後端部から前方に延びたピン挿入孔が設けられており、
押し部材に前方突出状に設けられたガイドピンを、前記ネイルシンカーの前記ピン挿入孔にその後端開口から前方に且つ抜出可能に挿入し、
この状態で、前記押し部材で前記ネイルシンカーをその前端から前記擬似餌中に押し込み、
その後、前記ガイドピンを前記ピン挿入孔から抜出することにより前記ネイルシンカーを前記擬似餌中に残存させるネイルシンカー取り付け方法。
【0009】
2) 前記押し部材は、押し込み操作用摘まみ部と、前記摘まみ部の前端部に前方突出状に設けられた押圧突部とを有するとともに、前記ガイドピンが前記押圧突部の前端面からなる押圧面から前方に突出しており、
前記押圧突部の直径が、前記ネイルシンカーの前記ピン挿入孔の後端開口の直径よりも大きく且つ前記ネイルシンカーの前記後端部の直径と同じか又は小さく設定されており、
前記押し部材の前記押圧突部の前記押圧面で前記ネイルシンカーの前記後端部を前方に押すことにより前記ネイルシンカーをその前端から前記疑似餌中に押し込む前項1記載のネイルシンカー取り付け方法。
【0010】
3) 前記押圧面に凸錐状部が形成されるとともに、前記ネイルシンカーの前記後端部の後端面に前記凸錐状部に対応する凹錐状部が形成されており、
前記押し部材の前記ガイドピンを前記ネイルシンカーの前記ピン挿入孔にその後端開口から前方に且つ抜出可能に挿入するとともに、前記押圧突部の前記凸錐状部を前記ネイルシンカーの前記凹錐状部に嵌合し、
この状態で、前記押し部材の前記押圧突部の前記押圧面で前記ネイルシンカーの前記後端面を前方に押すことにより前記ネイルシンカーをその前端から前記疑似餌中に押し込む前項2記載のネイルシンカー取り付け方法。
【0011】
4) 擬似餌に取り付けられるネイルシンカーであって、
後端部から前方に延びたピン挿入孔が設けられており、
押し部材に前方突出状に設けられたガイドピンが前記ピン挿入孔にその後端開口から前方に且つ抜出可能に挿入された状態で、前記押し部材で前端から擬似餌中に押し込まれることにより前記擬似餌に取り付けられるネイルシンカー。
【0012】
5) 前記押し部材における前記ガイドピンを押す押圧面から前記ガイドピンが前方に突出しており、前記押圧面に凸錐状部が形成されており、
前記押し部材による擬似餌中への押し込みの際に前記凸錐状部が嵌合する凹錐状部が前記後端部の後端面に形成されている前項4記載のネイルシンカー。
【0013】
6) 擬似餌にネイルシンカーを取り付けるためのネイルシンカー取り付け具であって、
ガイドピンが前方突出状に設けられた押し部材を備え、
前記ガイドピンは、ネイルシンカーにその後端部から前方に延びて設けられたピン挿入孔にその後端開口から前方に且つ抜出可能に挿入されるものであり、
前記押し部材は、前記ガイドピンを前記ネイルシンカーの前記ピン挿入孔に挿入した状態で前記ネイルシンカーをその前端から前記擬似餌中に押し込むものであるネイルシンカー取り付け具。
【0014】
7) 前記押し部材は、押し込み操作用摘まみ部と、前記摘まみ部の前端部に前方突出状に設けられた押圧突部とを有するとともに、前記ガイドピンが前記押圧突部の前端面からなる押圧面から前方に突出しており、
前記押圧突部の直径が、前記ネイルシンカーの前記ピン挿入孔の後端開口の直径よりも大きく且つ前記ネイルシンカーの前記後端部の直径と同じか又は小さく設定されており、
前記押し部材の前記押圧突部の前記押圧面が、前記ネイルシンカーの前記擬似餌中への押し込み時に前記ネイルシンカーの前記後端部を押す部位である前項6記載のネイルシンカー取り付け具。
【0015】
8) 前記押圧面に凸錐状部が形成されており、
前記凸錐状部は、前記ネイルシンカーの擬似餌中への押し込み時に、前記ネイルシンカーの前記後端部の後端面に形成された凹錐状部に嵌合される前項7記載のネイルシンカー取り付け具。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以下の効果を奏する。
【0017】
前項1のネイルシンカー取り付け方法によれば、押し部材のガイドピンをネイルシンカーのピン挿入孔に挿入し、この状態で押し部材でネイルシンカーをその前端から擬似餌中に押し込み、その後、ガイドピンをピン挿入孔から抜出することによりネイルシンカーを擬似餌中に残存させることから、サイズ(重量)が大きいネイルシンカーはもとよりサイズが小さいネイルシンカーであっても押し部材のガイドピンをネイルシンカーのピン挿入孔に挿入することによりネイルシンカーを容易に且つ確実に保持することができる。そのため、ネイルシンカーを擬似餌の所望位置に容易に取り付けることができる。
【0018】
前項2では、押し部材は押し込み操作用摘まみ部を有しているので、ネイルシンカーを擬似餌中に押し込む際にこの摘まみ部を摘まんで押し込み操作を行うことにより、当該押し込み操作を容易に行うことができる。
【0019】
さらに、押し部材は押圧突部を有するとともに、この押圧突部の直径がネイルシンカーのピン挿入孔の後端開口の直径よりも大きく且つネイルシンカーの後端部の直径と同じか又は小さく設定されているから、ネイルシンカーを擬似餌中の奥深くにまで容易に押し込むことができるし、ガイドピンをピン挿入孔から抜出する際に押圧突部を擬似餌中から容易に抜出することができる。
【0020】
前項3では、押し部材のガイドピンをネイルシンカーのピン挿入孔に挿入するとともに押圧突部の凸錐状部をネイルシンカーの凹錐状部に嵌合し、この状態で押し部材の押圧突部の押圧面でネイルシンカーの後端面を前方に押すので、ネイルシンカーを擬似餌中に押し込む際にネイルシンカーの安定性が高い。そのためネイルシンカーを擬似餌の所望位置に容易に且つ確実に押し込むことができる。
【0021】
前項4のネイルシンカーでは、前項1と同様の理由により、サイズが小さいネイルシンカーあってもこれを擬似餌の所望位置に容易に取り付けることができる。
【0022】
前項5では、前項3と同様の理由により、ネイルシンカーを擬似餌中に押し込む際にネイルシンカーの安定性が高い。そのため、ネイルシンカーを擬似餌の所望位置に容易に且つ確実に押し込むことができる。
【0023】
前項6~8のネイルシンカー取り付け具は、少なくとも前項1のネイルシンカー取り付け方法に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A図1Aは本発明の一実施形態に係るネイルシンカー及びその取り付け具の斜視図である。
図1B図1B図1Aの縦断面図である。
図2A図2Aは同ネイルシンカーのピン挿入孔に同取り付け具のガイドピンを挿入した状態を示す斜視図である。
図2B図2B図2Aの縦断面図である。
図3図3は同取り付け具を用いた同ネイルシンカーの擬似餌への取り付け方法を説明する図である。
図4図4は同取り付け具を用いた同ネイルシンカーの擬似餌へのもう一つの取り付け方法を説明する図である。
図5図5は本発明の幾つかの実施形態に係るネイルシンカーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0026】
図1A及び1Bに示すように、本発明の一実施形態に係るネイルシンカー1Aは、本発明の一実施形態に係るネイルシンカー取り付け具10を用いて擬似餌20(図3参照)中に押し込まれて擬似餌20に取り付けられるものである。
【0027】
図3に示すように、擬似餌20は一般にソフトルアー(例:ワーム)と呼ばれている軟質素材(軟質樹脂、軟質ゴム等)からなるものであり、その形状は例えば一方向(前後方向)に延びた形状である。釣り針30は擬似餌20の所定箇所(図3では擬似餌20の長さ方向の略中間部)に引っ掛けられた状態で取り付けられる。なお、同図中の符号31は釣り針30のチモト部である。
【0028】
図1A及び1Bに示すように、ネイルシンカー1Aの形状は前後方向に延びた細長い形状であって、その横断面形状は円形状である。またネイルシンカー1Aの前端部(先端部)5は先細り状に形成されている。擬似餌20への取り付けの際にはネイルシンカー1Aはその前端5aから擬似餌20中に押し込まれる(差し込まれる)(図3参照)。
【0029】
ネイルシンカー1Aは例えば金属(タングステン、鉛、真鍮など)製であって鋳造、射出成型、削り出しなどにより製造されたものである。
【0030】
ネイルシンカー1Aにはその後端部3から前方に延びた横断面円形状のピン挿入孔2が設けられている。詳述すると、このピン挿入孔2はネイルシンカー1Aの後端部3の後端面3aの中心部からネイルシンカー1Aの中心軸線上に沿って前方に真直に且つ貫通して延びている。ネイルシンカー1Aの長さ方向(即ち前後方向)においてピン挿入孔2の直径は一定である。
【0031】
さらに、ネイルシンカー1Aの外周面には半径方向外側に僅かに突出した複数(同図では六段)のカエシ部6がネイルシンカー1Aの長さ方向に等間隔に離間して形成されている。このカエシ部6はネイルシンカー1Aの擬似餌20中からの不慮の抜出を抑制するものである。
【0032】
ネイルシンカー取り付け具10は、ガイドピン12が前方突出状に設けられた押し部材11を備えている。
【0033】
押し部材11は、ネイルシンカー1Aを擬似餌20中に押し込む際にネイルシンカー1Aの後端部3(詳述するとネイルシンカー1Aの後端面3a)を前方に押すためのものであり、押し込み操作用の方形板状摘まみ部13と、この摘まみ部13の前端部に前方突出状に一体形成された横断面円形状の押圧突部14とを有している。押圧突部14の長さ方向(即ち前後方向)において押圧突部14の直径は略一定であり、ガイドピン12は押圧突部14の前端面(先端面)からなる押圧面14aの中心部から前方に突出している。
【0034】
押し部材11における押圧突部14の押圧面14aはネイルシンカー1Aの擬似餌20中への押し込み時にネイルシンカー1Aの後端部3の後端面3aを押す部位である。
【0035】
押し部材11において、摘まみ部13及び押圧突部14は硬質樹脂製である。ガイドピン12は横断面円形状であって金属製であり、その長さ方向(即ち前後方向)においてガイドピン12の直径は一定であり且つネイルシンカー1Aのピン挿入孔2の後端開口2aの直径よりも若干小さく設定されている。
【0036】
そして、図1Bに示すように、ガイドピン12の前部側が押圧突部14の押圧面14aから前方に突出する状態に且つガイドピン12の後部側が摘まみ部13の後側に露出する状態になるように摘まみ部13及び押圧突部14がインサート成形によりガイドピン12と一体的に形成されている。また、こうして摘まみ部13及び押圧突部14が形成された状態において、ガイドピン12における押圧突部14の押圧面14aから前方への突出長さが任意に変更可能になるようにガイドピン12が摘まみ部13及び押圧突部14と一体化されている。
【0037】
摘まみ部13の後側に露出したガイドピン12の後端部は円環状に屈曲されることでリング部12bが形成されている。このリング部12bには例えばストラップ等の紐部材(図示せず)が接続される。
【0038】
ガイドピン12における押圧突部14の押圧面14aから前方への突出長さは、上述したように変更可能であり本実施形態では例えばネイルシンカー1Aよりも長く設定されている。そして、図2A及び2Bに示すように、ガイドピン12はネイルシンカー1Aを擬似餌20に取り付ける際にネイルシンカー1Aのピン挿入孔2にその後端開口2aから前方に貫通して且つ抜出可能に挿入される。
【0039】
押し部材11において、押圧突部14の直径は、ネイルシンカー1Aのピン挿入孔2の後端開口2aの直径よりも大きく且つネイルシンカー1Aの後端部3(詳述するとネイルシンカー1Aの後端面3a)の直径と同じか又は小さく設定されている。
【0040】
さらに、押圧突部14の押圧面14aには凸錐状(詳述すると凸円錐状)に突出した凸錐状部(詳述すると凸円錐状部)15が形成されており、この凸錐状部15の頂部からガイドピン12が前方に突出している。ネイルシンカー1Aの後端面3aには凸錐状部15に対応して凹んだ凹錐状部(詳述すると凹円錐状部)4が形成されており、この凹錐状部4の底部にピン挿入孔2の後端開口2aが設けられている。
【0041】
次に、取り付け具10を用いたネイルシンカー1Aの擬似餌20への取り付け方法を以下に説明する。
【0042】
まず図1A及び1Bに示すように、取り付け具10の押し部材11の摘まみ部13を指(図示せず)で摘まんでガイドピン12をネイルシンカー1Aのピン挿入孔2にその後端開口2aから前方に且つ抜出可能に挿入するとともに、押圧突部14の押圧面14aの凸錐状部15をネイルシンカー1Aの凹錐状部4に嵌合させる。この状態では、図2A及び2Bに示すようにガイドピン12の前端12aはネイルシンカー1Aのピン挿入孔2の前端開口から前方に突出して露出している。
【0043】
そしてこの状態で、図3に示すように、押圧突部14の押圧面14aでネイルシンカー1Aの後端面3aを擬似餌20の所望位置(本実施形態では擬似餌20の頭部)に向かって擬似餌20に対して相対的に前方に押し(同図(a))、これによりガイドピン12をその前端12aから擬似餌20中に差し込んでネイルシンカー1Aをその前端5aから擬似餌20の所望位置まで押し込む。
【0044】
同図(b)に示すように、ネイルシンカー1Aが擬似餌20の所望位置まで押し込まれた状態では、ネイルシンカー1Aの後端面3a及びその近傍だけが擬似餌20の外側に位置しており、ネイルシンカー1Aの当該部分以外は擬似餌20中に存在しており、また押し部材11の押圧突部14はその長さ方向(前後方向)の略全体が擬似餌20の外側に位置している。
【0045】
次いで、押し部材11を擬似餌20に対して相対的に後方に引くことにより、同図(c)に示すようにガイドピン12を後方に移動させてピン挿入孔2から抜出し、これによりネイルシンカー1Aを擬似餌20の所望位置に残存させる。
【0046】
以上の手順によりネイルシンカー1Aが擬似餌20の所望位置に取り付けられる。
【0047】
本実施形態のネイルシンカー取り付け方法によれば、サイズ(重量)が大きいネイルシンカー1Aはもとよりサイズが小さいネイルシンカー1Aであっても、押し部材11のガイドピン12をネイルシンカー1Aのピン挿入孔2に挿入することにより当該ネイルシンカー1Aを容易に且つ確実に保持することができる。そのため、ネイルシンカー1Aを擬似餌20の所望位置に容易に取り付けることができる。
【0048】
さらに、押し部材11は押し込み操作用摘まみ部13を有しているので、ネイルシンカー1Aを擬似餌20中に押し込む際にこの摘まみ部13を指で摘まんで押し込み操作を行うことにより、当該押し込み操作を容易に行うことができる。
【0049】
さらに、押し部材11のガイドピン12をネイルシンカー1Aのピン挿入孔2に挿入するとともに押圧突部14の押圧面14aの凸錐状部15をネイルシンカー1Aの凹錐状部4に嵌合し、この状態で、押し部材11の押圧突部14の押圧面14aでネイルシンカー1Aの後端面3aを前方に押すので、ネイルシンカー1Aを擬似餌20中に押し込む際にネイルシンカー1Aの安定性が高い。そのため、ネイルシンカー1Aを擬似餌20の所望位置に容易に且つ確実に押し込むことができる。
【0050】
さらに、ネイルシンカー1Aの後端面3aに凹錐状部4が形成されるとともに、凹錐状部4の底部にネイルシンカー1Aのピン挿入孔2の後端開口2aが設けられていることから、ガイドピン12をネイルシンカー1Aのピン挿入孔2に挿入する際において凹錐状部4がガイドピン12の前端12aをピン挿入孔2の後端開口2aに案内する案内凹部として作用する。そのため、ガイドピン12のピン挿入孔2への挿入操作を容易に行うことができる。
【0051】
さらに、ネイルシンカー1Aの外周面にカエシ部6が形成されているので、擬似餌20中のネイルシンカー1Aがキャスト時に不慮に抜出するのをカエシ部6により抑制できることはもとより、更に、擬似餌20中に押し込んだネイルシンカー1Aについてそのピン挿入孔2からガイドピン12を抜出する際にネイルシンカー1Aがガイドピン12と一緒に擬似餌20中から抜け出るのをカエシ部6により抑制することができる。
【0052】
さらに、押し部材11は押圧突部14を有しているので、図4に示すように、ネイルシンカー1Aを取り付けたい擬似餌20Aの所望位置が擬似餌20A中の奥深くに位置している場合には次の方法によりネイルシンカー1Aを取り付けることができる。
【0053】
すなわち、上述したネイルシンカー1Aの取り付け方法と同じように、押し部材11の摘まみ部13を指で摘まんでガイドピン12をネイルシンカー1Aのピン挿入孔2にその後端開口2aから前方に且つ抜出可能に挿入するとともに、押圧突部14の押圧面14aの凸錐状部15をネイルシンカー1Aの凹錐状部4に嵌合させる。
【0054】
そしてこの状態で、押圧突部14の押圧面14aでネイルシンカー1Aの後端面3aを擬似餌20Aの所望位置に向かって擬似餌20Aに対して相対的に前方に押し、これによりガイドピン12をその前端12aから擬似餌20A中に差し込んでネイルシンカー1Aをその前端5aから擬似餌20Aの所望位置まで押し込む。
【0055】
図4(a)に示すように、ネイルシンカー1Aが擬似餌20Aの所望位置まで押し込まれた状態では、ネイルシンカー1Aの全体が擬似餌20A中に存在しており、更に押し部材11の押圧突部14の長さ方向(前後方向)の略全体も擬似餌20A中に押し込まれて擬似餌20A中に存在している。
【0056】
次いで、押し部材11を擬似餌20Aに対して相対的に後方に引くことにより、同図(b)に示すように押圧突部14及びガイドピン12を後方に移動させて押圧突部14を擬似餌20A中から抜出するとともにガイドピン12をピン挿入孔2から抜出し、これによりネイルシンカー1Aを擬似餌20Aの所望位置に残存させる。
【0057】
以上の手順によりネイルシンカー1Aが擬似餌20Aの所望位置に取り付けられる。
【0058】
この取り付け方法によれば、押し部材11の押圧突部14の直径が、ネイルシンカー1Aのピン挿入孔2の後端開口2aの直径よりも大きいことはもとより更にネイルシンカー1Aの後端部3の直径と同じか又は小さく設定されているから、押圧突部14を擬似餌20A中に押し込む際に押圧突部14が擬似餌20Aからの押し込み抵抗力を受けにくい。そのため、ネイルシンカー1Aを擬似餌20A中の奥深くにまで容易に押し込むことができるし、ガイドピン12をピン挿入孔2から抜出する際に押圧突部14を擬似餌20A中から容易に抜出することができる。
【0059】
以上で本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。
【0060】
また本発明に係るネイルシンカーは、上記実施形態のネイルシンカー1Aに限定されるものではなく、その他に例えば図5に示したネイルシンカー1B~1Gであってもよい。なお同図において、上記実施形態のネイルシンカー1Aの要素と同じ作用を奏する要素には同じ符号が付されており、符号1Aを付したネイルシンカーは上記実施形態に示したものである。
【0061】
同図において、ネイルシンカー1A~1Cはいずれも横断面形状が円形状のものであって、その長さ、重量及びカエシ部6の数が互いに相異している。具体的には、ネイルシンカー1A~1Cの長さは15.0mm~8.87mmの範囲であり、その重量は0.9g~0.45gの範囲である。
【0062】
ネイルシンカー1D~1Gはいずれも横断面形状が略四角形状のものであって、その長さ、重量及びカエシ部6の数が互いに相異している。具体的には、ネイルシンカー1D~1Gの長さは9.32mm~3.86mmの範囲であり、その重量は0.3g~0.1gの範囲である。このように本発明によれば、重量が0.3g未満という非常に軽量のネイルシンカーであっても押し部材11のガイドピン12をネイルシンカーのピン挿入孔2に挿入することによりネイルシンカーを容易に且つ確実に保持できるため、ネイルシンカーを擬似餌の所望位置に容易に取り付けることができる。
【0063】
ここで本特許請求の範囲では、上記ネイルシンカー1D~1Gのようにネイルシンカーの後端部3の横断面形状が多角形状等の非円形状である場合、ネイルシンカーの後端部3の直径とは当該後端部3の横断面の最小外接円の直径を意味する。また同じく、ネイルシンカーのピン挿入孔2の後端開口2aの横断面形状が非円形状である場合、ピン挿入孔2の後端開口2aの直径とは当該後端開口2aの横断面の最小外接円の直径を意味する。また同じく、押し部材11の押圧突部14の横断面形状が非円形状である場合、押圧突部14の直径とは押圧突部14の横断面の最小外接円の直径を意味する。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、ネイルシンカーの擬似餌への取り付け方法、ネイルシンカー及びその取り付け具に利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1A:ネイルシンカー 2:ピン挿入孔
2a:ピン挿入孔の後端開口 3:ネイルシンカーの後端部
3a:ネイルシンカーの後端面 4:凹錐状部
10:取り付け具 11:押し部材
12:ガイドピン 13:摘まみ部
14:押圧突部 14a:押圧面
15:凸錐状部 20:擬似餌
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5