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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139956
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】用紙収容装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/04 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
B65H1/04 320B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045765
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】ブィ チィ タイン
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC30
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA31
3F343HD18
3F343HE04
3F343HE08
3F343HE16
3F343HE24
3F343KB03
3F343KB17
3F343LA04
3F343LA12
3F343LC02
3F343LC12
3F343LC22
3F343LD12
(57)【要約】
【課題】簡単かつ小型化に適した構成でありながら、用紙の両端を規制する一対のカーソルを移動させるだけで、用紙の後端を規制するスライダーを連動して移動させる。
【解決手段】用紙搬送装置10は、第1ピニオンギア26と第2ピニオンギア27を同一の軸で支持して固定し、各幅方向ラックギア24並びに各カーソル22の相互にすれ違う方向の移動に伴い第1ピニオンギア26と第2ピニオンギア27を回転させて、縦方向ラックギア25並びにスライダー23の縦方向の移動を連動させ、各幅方向ラックギア24に、第1ピニオンギア26に歯合する歯の一部を切り欠いた切り欠き部24A(又は24B)を設けたものである。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が積載されるトレイと、
前記トレイ上に載置される前記用紙の幅方向に移動自在に設けられて、前記用紙の両端に当接される一対のカーソルと、
前記トレイ上に前記用紙の幅方向に直交する縦方向に移動自在に設けられて、前記用紙の後端に当接されるスライダーと、
前記各カーソルに連結されて、前記各カーソルの内側に突出し、前記カーソルと共に前記用紙の幅方向に移動される一対の幅方向ラックギアと、
前記スライダーに連結されて、前記用紙の先端側に突出し、前記各幅方向ラックギアと直交する方向に延びる縦方向ラックギアと、
前記各幅方向ラックギアの間に挟まれて、前記各幅方向ラックギアに歯合し、前記各幅方向ラックギア並びに前記各カーソルを連動させて相互にすれ違う方向に移動させる第1ピニオンギアと、
前記縦方向ラックギアに歯合する第2ピニオンギアと、を備え、
前記第1ピニオンギアと前記第2ピニオンギアを同一の軸で支持して固定し、前記各幅方向ラックギア並びに前記各カーソルの相互にすれ違う方向の移動に伴い前記第1ピニオンギアと前記第2ピニオンギアを回転させて、前記縦方向ラックギア並びに前記スライダーの縦方向の移動を連動させ、前記各幅方向ラックギアに、前記第1ピニオンギアに歯合する歯の一部を切り欠いた切り欠き部を設けた用紙収容装置。
【請求項2】
前記トレイには、複数種の定型サイズの用紙が積載可能とされ、
前記各種の定型サイズは、幅の長さよりも縦の長さが長く、
前記第2ピニオンギアの径は、前記各種の定型サイズの幅の長さに対する縦の長さの比率に基づき前記第1ピニオンギアの径よりも大きくされた請求項1に記載の用紙収容装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の用紙収容装置と、
前記用紙収容装置から用紙を引き出して搬送する給紙ローラーと、
前記給紙ローラーにより引き出されて搬送されて来た用紙に画像を記録する画像形成部と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の用紙を積載収容する用紙収容装置、及びそれを備える画像形成装置に関し、特に用紙収容装置に収容されている各用紙の端を揃えるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、画像を記録紙(用紙)に形成するものであり、複数の記録紙が積載収容される用紙収容装置を備え、この用紙収容装置から記録紙が供給される。例えば、図9(A)、(B)、(C)に示すように用紙収容装置101は、複数の記録紙が積載収容されるトレイ102を備える。このトレイ102には、記録紙の幅方向に移動自在に設けられて、該トレイ102に積載された複数の記録紙の両端に当接されて、各記録紙の両端を揃える一対のカーソル103と、記録紙の縦方向に移動自在に設けられて、該トレイ102に積載された複数の記録紙の後端に当接されて、各記録紙の後端を揃えるスライダー104とが設けられている。給紙ローラー105は、トレイ102上の最上層の記録紙に押し当てられて間欠的に回転駆動され、トレイ102上の各記録紙を順次引き出して供給する。
【0003】
ここで、上記用紙収容装置101では、各カーソル103とスライダー104を別々に操作して移動させる必要がある。
【0004】
一方、特許文献1に記載のシート積載装置では、複数の記録紙が積載収容されるカセット筐体と、各記録紙の両端を規制するそれぞれのサイド規制板と、各記録紙の後端を規制する後端規制板と、各サイド規制板のガイドピンをガイドするそれぞれのカム溝が形成されて、後端規制板に連結されたカム板とを備え、後端規制板が記録紙の縦方向に移動されると、カム板が後端規制板に追従して移動され、カム板の各カム溝により各サイド規制板のガイドピンが案内されて移動され、各サイド規制板が記録紙の幅方向に移動される。これにより、後端規制板の移動操作に連動して各サイド規制板が移動され、各サイド規制板及び後端規制板を別々に操作して移動させる必要がなくなる。
【0005】
また、特許文献2に記載のシート積載カセットでは、複数の記録紙が積載収容されるシート収納庫と、互いに接離する方向に連動して移動されて、各記録紙の両端を規制するそれぞれのサイド規制部材と、各記録紙の後端を規制する後端規部材とを備え、一方のサイド規制部材は、記録紙の縦方向に延長されて嵌合溝を形成され、後端規制部材には、一方のサイド規制部材の嵌合溝に嵌合する嵌合部材が設けられ、後端規制板が記録紙の縦方向に移動されると、後端規制部材の嵌合部材が一方のサイド規制部材の嵌合溝で移動して、一方のサイド規制部材が記録紙の幅方向に移動され、各サイド規制部材が互いに接離する方向に移動される。これにより、後端規制部材の移動操作に連動して各サイド規制部材が移動され、各サイド規制部材及び後端規制部材を別々に操作して移動させる必要がなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07-117864号公報
【特許文献2】特開2000-318843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、後端規制板に連結されたカム板を備え、また特許文献2では、記録紙の縦方向に延長されて嵌合溝が形成された部分が設けられたサイド規制部材を備え、カム板及びサイド規制部材のいずれのサイズも大きく、装置本体又はカセット本体が大型化する。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、簡単かつ小型化に適した構成でありながら、用紙の幅方向の両端を規制する一対のカーソルと、用紙の長さ方向の後端を規制するスライダーとを連動して移動させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面に係る用紙収容装置は、用紙が積載されるトレイと、前記トレイ上に載置される前記用紙の幅方向に移動自在に設けられて、前記用紙の両端に当接される一対のカーソルと、前記トレイ上に前記用紙の幅方向に直交する縦方向に移動自在に設けられて、前記用紙の後端に当接されるスライダーと、前記各カーソルに連結されて、前記各カーソルの内側に突出し、前記カーソルと共に前記用紙の幅方向に移動される一対の幅方向ラックギアと、前記スライダーに連結されて、前記用紙の先端側に突出し、前記各幅方向ラックギアと直交する方向に延びる縦方向ラックギアと、前記各幅方向ラックギアの間に挟まれて、前記各幅方向ラックギアに歯合し、前記各幅方向ラックギア並びに前記各カーソルを連動させて相互にすれ違う方向に移動させる第1ピニオンギアと、前記縦方向ラックギアに歯合する第2ピニオンギアと、を備え、前記第1ピニオンギアと前記第2ピニオンギアを同一の軸で支持して固定し、前記各幅方向ラックギア並びに前記各カーソルの相互にすれ違う方向の移動に伴い前記第1ピニオンギアと前記第2ピニオンギアを回転させて、前記縦方向ラックギア並びに前記スライダーの縦方向の移動を連動させ、前記各幅方向ラックギアに、前記第1ピニオンギアに歯合する歯の一部を切り欠いた切り欠き部を設けたものである。
【0010】
また、本発明の一局面に係る画像形成装置は、上記本発明の用紙収容装置と、前記用紙収容装置から用紙を引き出して搬送する給紙ローラーと、前記給紙ローラーにより引き出されて搬送されて来た用紙に画像を記録する画像形成部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡単かつ小型化に適した構成でありながら、用紙の幅方向の両端を規制する一対のカーソルと、用紙の長さ方向の後端を規制するスライダーとを連動して移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る用紙収容装置が適用された給紙カセットを備える画像形成装置の外観を示す斜視図である。
図2】本実施形態の用紙収容装置が適用された給紙カセットを示す平面図である。
図3】本実施形態の用紙収容装置を示す平面図である。
図4】用紙収容装置の一部を拡大して示す平面図である。
図5】用紙収容装置における第1ピニオンギア及び第2ピニオンギアを拡大して示す斜視図である。
図6】各種の定型サイズ毎に、定型サイズの縦の長さ、横の長さ、及び縦横の長さの比率を示す図表Zである。
図7】(A)、(C)は各カーソル及びスライダーの移動を示す図であり、(B)、(D)、(E)は各幅方向ラックギア、縦方向ラックギア、第1ピニオンギア、及び第2ピニオンギアの動作を示す図である。
図8】(A)、(C)は各カーソル及びスライダーの移動を示す図であり、(B)は各幅方向ラックギア、縦方向ラックギア、第1ピニオンギア、及び第2ピニオンギアの動作を示す図である。
図9】(A)は従来の用紙収容装置を示す平面図であり、(B)は従来の用紙収容装置のスライダーを示す平面図であり、(C)は従来の用紙収容装置の各カーソルを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る用紙収容装置が適用された給紙カセットを備える画像形成装置の外観を示す斜視図である。図1に示すように画像形成装置1は、プリンターであり、装置本体2には、画像形成装置1の様々な機能を実現するための複数の構成機器が設けられている。例えば、装置本体2には、操作部3、給紙カセット4、及び排出トレイ6等が設けられ、また装置本体2の内部には、画像形成部及び定着装置が設けられている。
【0015】
画像形成部は、トナーを用いる電子写真方式により、画像データによって示される画像を、給紙カセット4から供給される記録紙に形成する。画像形成済みの記録紙は、定着装置による定着処理を受けた後、排出トレイ6に排出される。
【0016】
操作部3は、例えば、スタートキー、操作入力を確定させる決定キー、数値入力を行うための数値入力キー等を備えており、各種動作及び処理等について、操作者からの指示を受け付ける。また、操作部3には、操作者への操作案内等を表示する表示部が設けられている。
【0017】
図2は、本実施形態の用紙収容装置が適用された給紙カセットを示す平面図である。また、図3は、本実施形態の用紙収容装置を示す平面図であり、図4は、用紙収容装置の一部を拡大して示す平面図である。
【0018】
本実施形態の用紙収容装置10は、給紙カセット4の本体筐体に設けられている。給紙カセット4の本体筐体には、用紙収容装置10の他に、用紙収容装置10のトレイ21上に積載された複数の記録紙Kの先端側に配置されたフレーム11と、フレーム11により支持されて、トレイ21上の各記録紙Kを順次引き出して画像形成部へと供給する給紙ローラー12とが設けられている。
【0019】
用紙収容装置10は、複数の記録紙Kが積載されるトレイ21と、トレイ21上に各記録紙Kの幅方向Yに移動自在に設けられて、記録紙Kの両端に当接される一対のカーソル22と、トレイ21上に各記録紙Kの縦方向X(幅方向Yに直交)に移動自在に設けられて、各記録紙Kの後端に当接されるスライダー23と、各カーソル22に連結されて、各カーソル22の内側に突出し、各カーソル22と共に各記録紙Kの幅方向Yに移動される一対の幅方向ラックギア24と、スライダー23に連結されて、各記録紙Kの先端側に突出し、各幅方向ラックギア24と直交して、当該直交する方向に延びる縦方向ラックギア25と、各幅方向ラックギア24の間に挟まれて、各幅方向ラックギア24に歯合する第1ピニオンギア26と、縦方向ラックギア25に歯合する第2ピニオンギア27と、を備えている。
【0020】
各カーソル22は、トレイ21に各記録紙Kの幅方向Yに延設されたガイドレール(図示せず)などにより移動自在に支持されている。
【0021】
第1ピニオンギア26は、各幅方向ラックギア24に歯合され、各幅方向ラックギア24を連動させて相互にすれ違う方向(幅方向Y)に移動させる。各カーソル22は、各幅方向ラックギア24と共に相互にすれ違う方向に移動される。各幅方向ラックギア24及び各カーソル22は、第1ピニオンギア26を中心にして対称に移動される。
【0022】
スライダー23は、長形の枠体28の一端に固定され、この長形の枠体28に形成された矩形状開口部28Aの内側の一辺に縦方向ラックギア25が形成されている。長形の枠体28は、トレイ21に各記録紙Kの縦方向Xに延設されたガイドレール(図示せず)などにより移動自在に支持されている。スライダー23は、長形の枠体28と共に縦方向Xに移動自在に支持されている。
【0023】
図5に示すように第1ピニオンギア26と第2ピニオンギア27は、同一の軸で支持されて互いに固定され、共に回転する。第2ピニオンギア27の径R2は、第1ピニオンギア26の径R1の3倍に設定されている。
【0024】
このような構成の用紙収容装置10において、トレイ21上に各記録紙Kが積載された状態で、各カーソル22が各記録紙Kの幅方向Y(相互にすれ違う方向)に移動される。このとき、各カーソル22の幅方向Yの移動に伴い、各カーソル22に連結されている各幅方向ラックギア24も相互にすれ違う方向に移動して、各幅方向ラックギア24に歯合されている第1ピニオンギア26が時計回り方向CW又は反時計回り方向CCWに回転し、第2ピニオンギア27も第1ピニオンギア26と共に回転する。そして、第2ピニオンギア27の回転に伴い、第2ピニオンギア27に歯合されている縦方向ラックギア25が各記録紙Kの縦方向Xに移動し、縦方向ラックギア25並びに長形の枠体28の一端に接続されているスライダー23も縦方向Xに移動する。
【0025】
トレイ21上の各記録紙Kのサイズが大きいときには、各カーソル22が相互に離間する方向に移動され、第1ピニオンギア26及び第2ピニオンギア17が反時計回り方向CCWに回転し、スライダー23が給紙ローラー12から離間する方向に移動される。また、トレイ21上の各記録紙Kのサイズが小さいときには、各カーソル22が相互に接近する方向に移動され、第1ピニオンギア26及び第2ピニオンギア17が時計回り方向CWに回転し、スライダー23が給紙ローラー12に接近する方向に移動される。これにより、トレイ21上の各記録紙Kのサイズにかかわらず、各カーソル22が各記録紙Kの両端に接近されたときには、スライダー23が各記録紙Kの後端に接近し、逆に各カーソル22が各記録紙Kの両端から離されたときには、スライダー23が各記録紙Kの後端から離される。
【0026】
図6は、各種の定型サイズ(A4、B5、A6、A5)毎に、定型サイズの縦の長さ、横の長さ、及び縦横の長さの比率Hを示す図表Zである。この図表Zから明らかなように、定型サイズの縦横の長さの比率Hは概ね1.5よりも僅かに小さい。このことから、例えばスライダー23の縦方向の移動距離Δx(図4に示す)を各カーソル22の幅方向の移動距離Δy(図4に示す)の和(2×Δy)の1.5倍に設定すると、各カーソル22が各記録紙Kの両端に接近したときには、スライダー23が各記録紙Kの後端に接近することが分かる。また、各記録紙Kの両端に対する各カーソル22の接近よりも、各記録紙Kの後端に対するスライダー23の接近の方が僅かに早くなる。
【0027】
スライダー23の縦方向の移動距離Δxを、各カーソル22の幅方向Yの移動距離Δyの和(2×Δy)の1.5倍に設定するには、移動距離Δxを移動距離Δyの3倍に設定することでもある。このため、上記のように第2ピニオンギア27の径R2が第1ピニオンギア26の径R1の3倍に設定されて、各カーソル22の幅方向Yの移動に伴い第1ピニオンギア26が1回転したときには、第2ピニオンギア27が1回転して、スライダー23が各カーソル22の移動距離Δyの3倍分(Δx=3×Δy)だけ移動するようにされている。
【0028】
しかしながら、図6の図表Zから明らかなように、各種の定型サイズの間では、縦横の長さの比率Hがバラついている。このため、スライダー23の縦方向の移動距離Δxを各カーソル22の幅方向Yの移動距離Δyの3倍に設定したとしても、定型サイズの縦横の長さの比率Hによっては、各記録紙Kの両端に対する各カーソル22の接近のタイミングと、各記録紙Kの後端に対するスライダー23の接近のタイミングがずれる。
【0029】
そこで、スライダー23が各カーソル22の移動距離Δxの3倍分だけ移動して、各記録紙Kの両端に対する各カーソル22の接近よりも、各記録紙Kの後端に対するスライダー23の接近の方が僅かに早くなるように設定した上で、図4に示すように各カーソル22に連結されている各幅方向ラックギア24の歯の一部を切り欠いた切り欠き部24A(又は切り欠き部24B)を設けている。
【0030】
各カーソル22が各記録紙Kの両端に当接される直前に、スライダー23が各記録紙Kの後端に当接されると、第1ピニオンギア26が各幅方向ラックギア24の切り欠き部24A(又は切り欠き部24B)に達して、第1ピニオンギア26及び第2ピニオンギア27が停止し、スライダー23が停止される。この状態で、更に各カーソル22が移動されて各記録紙Kの両端に当接されても、第1ピニオンギア26及び第2ピニオンギア27が回転せず、スライダー23が停止されたままである。これにより、各カーソル22を各記録紙Kの両端に当接させるための操作を行うだけで、スライダー23を各記録紙Kの後端に当接させることが可能になる。
【0031】
ここで、例えば、最大の定型サイズA4、定型サイズB5、定型サイズA5、及び最小の定型サイズA6のいずれかの記録紙Kがトレイ21に積載されるものとする。
【0032】
図7(A)に示すように最大の定型サイズA4の各記録紙Kがトレイ21に積載されている状態では、各カーソル22が各記録紙Kの両端に当接されて最も外側に移動されると共に、スライダー23が各記録紙Kの後端に当接されて最も左側に移動され、図7(B)に示すように第1ピニオンギア26が各幅方向ラックギア24の始端部に歯合され、第2ピニオンギア27が縦方向ラックギア25に歯合される。
<A4からB5への遷移>
次に、図7(A)及び図7(B)に示す状態で、定型サイズB5の各記録紙Kがトレイ21に積載されて、図7(C)に示すように各カーソル22が相互に接近する方向に移動されて定型サイズB5の各記録紙Kの両端に当接されると、これと共に、スライダー23が右側に移動されて定型サイズB5の各記録紙Kの後端に当接される。この場合、定型サイズA4とB5の幅の差が34mm(2×Δy)であるから、各カーソル22が相互に接近する方向にそれぞれ17mm(Δy)ずつ移動されると、各カーソル22が定型サイズB5の各記録紙Kの両端に当接される。また、定型サイズA4とB5の長さの差が47mmであり、スライダー23の移動距離Δxが各カーソル22の移動距離Δyの3倍に設定されているので、各カーソル22が47mm/3(約16mm)移動されると、スライダー23が約48mm移動されて定型サイズB5の各記録紙Kの後端に当接される。
【0033】
そこで、図4に示すように各幅方向ラックギア24の始端部から16mm乃至18mmの範囲(約2mmの幅の範囲)に、該各幅方向ラックギア24の切り欠き部24Aを形成している。
【0034】
上記のように各カーソル22が相互に接近する方向に16mm移動されると、スライダー23が定型サイズB5の各記録紙Kの後端に当接される。このとき、各カーソル22が定型サイズB5の各記録紙Kの両端の直前に達し、図7(D)、図7(E)に示すように第1ピニオンギア26が各幅方向ラックギア24の端部から約16mmの位置に移動して該各幅方向ラックギア24の切り欠き部24Aに入り、第1ピニオンギア26及び第2ピニオンギア27の回転が停止される。この状態で、各カーソル22が更に相互に接近する方向に1mmずつ移動されると、各カーソル22が定型サイズB5の各記録紙Kの両端に当接され、第1ピニオンギア26が各幅方向ラックギア24の切り欠き部24Aで回転することなく移動される。また、第1ピニオンギア26及び第2ピニオンギア27が回転しないので、スライダー23が停止されたままである。
<B5からA5への遷移>
次に、図7(C)及び図7(E)に示す状態で、定型サイズA5の各記録紙Kがトレイ21に積載されて、図8(A)に示すように各カーソル22が相互に接近する方向に移動されて定型サイズA5の各記録紙Kの両端に当接されると共に、スライダー23が右側に移動されて定型サイズA5の各記録紙Kの後端に当接される。この場合、定型サイズB5とA5の幅の差が28mm(2×Δy)であるから、各カーソル22が相互に接近する方向にそれぞれ14mm(Δy)ずつ移動されると、各カーソル22が定型サイズA5の各記録紙Kの両端に当接される。また、定型サイズB5とA5の長さの差が40mmであり、スライダー23の移動距離Δxが各カーソル22の移動距離Δyの3倍に設定されているので、各カーソル22が40mm/3(約14mm)移動されると、スライダー23が少なくとも40mm移動されて定型サイズA5の各記録紙Kの後端に当接される。
【0035】
上記のように第1ピニオンギア26が各幅方向ラックギア24の端部から切り欠き部24Aまで移動された後、更に図8(A)に示すように各カーソル22が相互に接近する方向に移動されると、図8(B)に示すように第1ピニオンギア26が各幅方向ラックギア24の切り欠き部24Aから出て該各幅方向ラックギア24に歯合され、第1ピニオンギア26及び第2ピニオンギア27が回転される。この状態で、上記のように各カーソル22が相互に接近する方向に約14mmずつ移動されて、各カーソル22が定型サイズA5の各記録紙Kの両端に当接され、第1ピニオンギア26及び第2ピニオンギア27の回転に伴い、スライダー23が少なくとも40mm移動されて定型サイズA5の各記録紙Kの後端に当接される。
<A5からA6への遷移>
次に、図8(A)に示す状態で、定型サイズA6の各記録紙Kがトレイ21に積載されて、図8(C)に示すように各カーソル22が相互に接近する方向に移動されて定型サイズA6の各記録紙Kの両端に当接されると共に、スライダー23が右側に移動されて定型サイズA6の各記録紙Kの後端に当接される。この場合、定型サイズA5とA6の幅の差が43mm(2×Δy)であるから、各カーソル22が相互に接近する方向にそれぞれ約21.5mm(Δy)ずつ移動されると、各カーソル22が定型サイズA6の各記録紙Kの両端に当接される。また、定型サイズA5とA6の長さの差62mmであり、スライダー23の移動距離Δxが各カーソル22の移動距離Δyの3倍に設定されているので、各カーソル22が62mm/3(約20.5mm)移動されると、スライダー23が少なくとも62mm移動されて定型サイズA6の各記録紙Kの後端に当接される。
【0036】
そこで、図4に示すように各幅方向ラックギア24の終端部に切り欠き部24Bを形成している。
【0037】
上記のように各カーソル22が相互に接近する方向に20.5mm移動されると、スライダー23が定型サイズA6の各記録紙Kの後端に当接される。このとき、各カーソル22が定型サイズA6の各記録紙Kの両端の直前に達し、第1ピニオンギア26が各幅方向ラックギア24の切り欠き部24Bに入り、第1ピニオンギア26及び第2ピニオンギア27の回転が停止される。この状態で、各カーソル22が更に相互に接近する方向に1mmずつ移動されると、各カーソル22が定型サイズA6の各記録紙Kの両端に当接され、第1ピニオンギア26が各幅方向ラックギア24の切り欠き部24Aで回転することなく移動される。
【0038】
尚、上記のように各記録紙Kの両端に当接される各カーソル22の移動距離にバラツキが生じ、同様に各記録紙Kの後端に当接されるスライダー23の移動距離にバラツキが生じても、各幅方向ラックギア24と第1ピニオンギア26間のバックラッシュ及び縦方向ラックギア25と第2ピニオンギア27間のバックラッシュによりそれらのバラツキが吸収されるので、これらの誤差が問題になることはない。
【0039】
このように本実施形態の用紙収容装置10では、スライダー23が各カーソル22の移動距離Δxの3倍分だけ移動して、各記録紙Kの両端に対する各カーソル22の接近よりも、各記録紙Kの後端に対するスライダー23の接近の方が僅かに早くなるように設定した上で、各カーソル22に連結されている各幅方向ラックギア24の歯の一部を切り欠いた切り欠き部24A(又は切り欠き部24B)を設けているので、各カーソル22を各記録紙Kの両端に当接させるための操作を行うだけで、スライダー23を各記録紙Kの後端に当接させることができる。このため、本実施形態の用紙収容装置10では、簡単かつ小型化に適した構成でありながら、用紙の幅方向の両端を規制する一対のカーソルと、用紙の長さ方向の後端を規制するスライダーとを連動して移動させることができる。
【0040】
また、各幅方向ラックギア24、縦方向ラックギア25、第1ピニオンギア26、及び第2ピニオンギア27を給紙カセット4の本体筐体の底に重ねて設ける構造であって、それらの占有スペースが小さいので、簡単かつ小型化に適した用紙収容装置10並びに給紙カセット4を提供することができる。
【0041】
尚、上記実施形態では、第2ピニオンギア27の径R2を第1ピニオンギア26の径R1の3倍に設定しているが、これらの径R1、R2の比率を適宜変更してもよい。また、定型サイズとして、A4、B5、A6、A5を例示しているが、別の規格の定型サイズについては、各ピニオンギア26、27の径R1、R2の比率、又は各幅方向ラックギア24の切り欠き部の位置を適宜設定して対応することが可能である。
【0042】
また、上記実施形態では、本発明の画像形成装置の一実施形態としてプリンターを例示しているが、これは一例に過ぎず、複合機、コピー機、ファクシミリ装置等であってもよい。
【0043】
また、図1乃至図8を用いて説明した上記実施形態の構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明を当該構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0044】
1 画像形成装置
2 装置本体
3 操作部
4 給紙カセット
6 排出トレイ
10 用紙収容装置
21 トレイ
22 カーソル
23 スライダー
24 幅方向ラックギア
25 縦方向ラックギア
26 第1ピニオンギア
27 第2ピニオンギア
28 枠体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9