(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139957
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】トレイ開閉装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 11/00 20060101AFI20230927BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
B65H11/00 E
B65H11/00 A
G03G15/00 407
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045766
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ ヴァン クゥオン
【テーマコード(参考)】
2H072
3F063
【Fターム(参考)】
2H072BA06
2H072BA13
2H072BA16
2H072CA01
3F063BA04
3F063BA08
3F063BA09
3F063BC05
3F063CA02
3F063CA04
(57)【要約】
【課題】手差しトレイを閉じるときに、手差しトレイに設けられたスライダーを移動させる操作を格別に行わなくても、スライダーを移動させて装置本体に干渉させないようにする
【解決手段】スライダー13の凸部13Fの底面には下向きの凹凸13Gが形成され、係合部14の主板14Aの上面には各レール12の長手方向に並べられた上向きの複数の凹凸14Eが形成されている。係合部14の主板14Aが各レール12よりも上側に突出したときに、スライダー13の凹凸13Gが係合部14の凹凸14Eに係合し、係合部14が各レール12の上面よりも下側に退避したときに、スライダー13の凹凸13Gが係合部14の凹凸14Eから外れる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の側壁の開口部に設けられて、前記側壁の下端部に設けられて前記開口部の下端に沿う軸を中心にして回転自在に支持されて開閉操作され、前記開閉操作により前記開口部を開放又は閉鎖するトレイと、
前記トレイ上に、前記側壁の下端部に直交する方向に延設されて互いに平行に配置された一対のレールと、
前記各レールにより該各レールの長手方向に移動自在に支持されたスライダーと、
前記各レールの間に設けられて、前記各レールの上面よりも上側に突出する、又は該各レールよりも下側に退避する状態となる係合部と、を備え、
前記スライダーの底部には、下向きの凹凸が形成され、
前記係合部には、各レールの長手方向に並べられた上向きの複数の凹凸が形成され、
前記係合部が前記各レールよりも上側に突出したときに、前記スライダーの底部の下向きの凹凸が前記係合部の上向きの各凹凸のいずれかに係合し、前記係合部が前記各レールの上面よりも下側に退避したときに、前記スライダーの底部の下向きの凹凸が前記係合部の上向きの各凹凸から外れるトレイ開閉装置。
【請求項2】
前記係合部の下面には、該係合部を上側に付勢して、該係合部を前記各レールの上面よりも上側に突出させる弾性部材が設けられ、
前記係合部の端部には、前記弾性部材の付勢力に抗して、該係合部を前記各レールの上面よりも下側に退避させるために操作されるレバーが設けられた請求項1に記載のトレイ開閉装置。
【請求項3】
前記各レールの少なくとも一方の端部には、前記スライダーが当接するストッパーが設けられ、前記ストッパー又は該ストッパーに当接する前記スライダーの部位には、緩衝材が設けられた請求項1又は請求項2に記載のトレイ開閉装置。
【請求項4】
前記係合部の各凹凸は、前記開口部に向きかつ前記レールの上面に対して傾斜した傾斜面と、前記開口部とは反対側に向きかつ前記レールの上面に対して直交する直交面と、を交互に配置して形成される三角の波型のものであり、
前記スライダーの凹凸は、前記開口部とは反対側に向きかつ前記レールの上面に対して傾斜した傾斜面と、前記開口部に向きかつ前記レールの上面に対して直交する直交面と、を交互に配置して形成される三角の波型のものであり、前記係合部の各凹凸と噛合する請求項1に記載のトレイ開閉装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のトレイ開閉装置と、
前記トレイ開閉装置のトレイ上に載置された記録紙を引き出して搬送する給紙ローラーと、
前記給紙ローラーにより搬送されて来た用紙に画像を記録する画像形成部と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体の側壁の開口部を開放又は閉鎖するトレイを開閉自在に支持するトレイ開閉装置、及びそれを備える画像形成装置に関し、特にトレイの開閉操作を簡単化するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、画像を記録紙に形成するものであり、記録紙を供給する給紙部を備える。給紙部としては、複数の記録紙が積載される給紙カセット又は手差しトレイなどがある。手差しトレイは、装置本体の側壁の開口部に設けられて、開閉操作されることによりその開口部を開放又は閉鎖する。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置では、手差し給紙台を装置本体の収容部に開閉操作可能に支持し、手差し給紙台を開いて、複数の記録紙を手差し給紙台に積載し、各記録紙の先端を記録紙押上板で持ち上げて、最上層の記録紙の先端を送り出しローラーに押し当て、送り出しローラーによりその記録紙を引き出して搬送するようにしている。また、手差し給紙台を閉じて装置本体の収容部に収容するときには、記録紙押上板が手差し給紙台とともに回転して収容部に収容され、ストッパーにより収容部からの記録紙押上板の突出が阻止される。
【0004】
また、特許文献2に記載の画像形成装置では、装置本体の壁に対して開閉可能に支持された手差しトレイを備え、手差しトレイを開いて、複数の記録紙を手差し給紙台に積載するようにしている。手差しトレイは、複数の記録紙が積載収容されるトレイ本体と、リフトユニットとを有する。リフトユニットは、各記録紙の先端側を持ち上げるリフト板と、リフト板を押し上げるリフトばねと、各記録紙の両側を揃える一対のカーソルとを有する。手差しトレイが閉じられるときには、各カーソルのガイド部が対向壁部に当接して、リフト板の搬送方向下流側が下方に移動する。これにより、リフト板が押し上げられて上方に移動した状態で手差しトレイが閉じられても、リフト板が下方にスムーズに移動して、リフト板が装置本体の一部に干渉することがなく、これらの損傷が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-146343号公報
【特許文献2】特開2019-089635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記のような手差しトレイに、該手差しトレイ上に積載収容されている各記録紙の後端を揃えるためのスライダーを設けることがある。このスライダーは、手差しトレイ上の各記録紙の縦方向に移動可能に支持され、各記録紙の後端に突き当てられて停止状態にされる
このスライダーは、手差しトレイが閉じられる前に所定位置まで移動させておく必要があり、スライダーを所定位置に移動させずに手差しトレイが閉じられると、スライダーが装置本体に干渉するという不具合が生じる。
【0007】
特許文献1では、手差し給紙台が閉じられると同時に、記録紙押上板が手差し給紙台とともに回転して収容部に収容されるようにしている。また、特許文献2では、手差しトレイが閉じられると同時に、リフト板の搬送方向下流側が下方に移動して、リフト板が装置本体の一部に干渉することがないようにしている。
【0008】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のいずれにおいても、上記のようなスライダーに関する記載がなく、手差しトレイを閉じるときに、スライダーを装置本体に干渉させないようにするための技術的な記載もない。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、手差しトレイを閉じるときに、手差しトレイに設けられたスライダーを移動させる操作を格別に行わなくても、スライダーを移動させて装置本体に干渉させないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面に係るトレイ開閉装置は、装置本体の側壁の開口部に設けられて、前記側壁の下端部に設けられて前記開口部の下端に沿う軸を中心にして回転自在に支持されて開閉操作され、前記開閉操作により前記開口部を開放又は閉鎖するトレイと、前記トレイ上に、前記側壁の下端部に直交する方向に延設されて互いに平行に配置された一対のレールと、前記各レールにより該各レールの長手方向に移動自在に支持されたスライダーと、前記各レールの間に設けられて、前記各レールの上面よりも上側に突出する、又は該各レールよりも下側に退避する状態となる係合部と、を備え、前記スライダーの底部には、下向きの凹凸が形成され、前記係合部には、各レールの長手方向に並べられた上向きの複数の凹凸が形成され、前記係合部が前記各レールよりも上側に突出したときに、前記スライダーの底部の下向きの凹凸が前記係合部の上向きの各凹凸のいずれかに係合し、前記係合部が前記各レールの上面よりも下側に退避したときに、前記スライダーの底部の下向きの凹凸が前記係合部の上向きの各凹凸から外れるものである。
【0011】
また、本発明の一局面に係る画像形成装置は、上記本発明のトレイ開閉装置と、前記トレイ開閉装置のトレイ上に載置された記録紙を引き出して搬送する給紙ローラーと、前記給紙ローラーにより搬送されて来た用紙に画像を記録する画像形成部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、手差しトレイを閉じるときに、手差しトレイに設けられたスライダーを移動させる操作を格別に行わなくても、スライダーを移動させて装置本体に干渉させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るトレイ開閉装置が適用された画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態のトレイ開閉装置の手差しトレイが開かれた状態を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態のトレイ開閉装置を示す斜視図である。
【
図4】トレイ開閉装置における一対のレールを示す斜視図である。
【
図5】トレイ開閉装置における係合部を示す斜視図である。
【
図6】(A)は各レールの間に係合部を配置した状態を示す斜視図であり、(B)及び(C)は各レールの間に係合部を配置する手順を説明するために用いられた模式図である。
【
図7】(A)はスライダーを示す斜視図であり、(B)はスライダーを各レールに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図8】(A)は係合部の主板上面の凹凸がスライダーの凸部底面の凹凸に嵌合した状態を示す断面図であり、(B)は同状態を拡大して示す断面図であり、(C)は係合部の主板を拡大して示す断面図であり、(D)はスライダーを拡大して示す断面図である。
【
図9】手差しトレイ、各レール、係合部、及びスライダーなどを示す断面図であり、(A)は係合部の主板上面の凹凸が各レールの上面よりも上側に突出してスライダーの凸部底面の凹凸に嵌合した状態を示し、(B)は係合部の主板上面の凹凸が各レールの上面よりも下側に退避してスライダーの凸部底面の凹凸から離間して外れた状態を示している。
【
図10】(A)は係合部の主板上面の凹凸がスライダーの凸部底面の凹凸から離間して外れた状態を示す断面図であり、(B)は同状態を拡大して示す断面図である。
【
図11】トレイ開閉装置における手差しトレイを開いた状態を示す断面図である。
【
図12】トレイ開閉装置における手差しトレイを開いて、係合部のレバーを押し下げた状態を示す断面図である。
【
図13】トレイ開閉装置における手差しトレイを閉じる途中の状態を示す断面図である。
【
図14】トレイ開閉装置における手差しトレイを閉じた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るトレイ開閉装置が適用された画像形成装置の外観を示す斜視図である。
図1に示すように画像形成装置1は、プリンターであり、装置本体2には、画像形成装置1の様々な機能を実現するための複数の構成機器が設けられている。例えば、装置本体2には、操作部3、給紙カセット4、手差しトレイ5、及び排出トレイ6等が設けられ、また装置本体2の内部には、画像形成部及び定着装置が設けられている。
【0016】
画像形成部は、トナーを用いる電子写真方式により、画像データによって示される画像を、給紙カセット4又は手差しトレイ5から供給される記録紙に形成する。画像形成済みの記録紙は、定着装置による定着処理を受けた後、排出トレイ6に排出される。
【0017】
操作部3は、例えば、スタートキー、操作入力を確定させる決定キー、数値入力を行うための数値入力キー等を備えており、各種動作及び処理等について、操作者からの指示を受け付ける。また、操作部3には、操作者への操作案内等を表示する表示部が設けられている。
【0018】
図2は、本実施形態のトレイ開閉装置の手差しトレイ5が開かれた状態を示す斜視図である。また、
図3は、本実施形態のトレイ開閉装置を示す斜視図である。
【0019】
本実施形態のトレイ開閉装置10では、手差しトレイ5が、装置本体2の側壁2Aの凹部2Bに開閉自在に設けられている。側壁2Aの凹部2Bの上側部分が壁部2Dとなっており、側壁2Aの凹部2Bの下側部分が装置本体2の内部に通じる開口部2Cとなっている。手差しトレイ5はその一辺に設けられた軸11が、開口部2Cの下端に沿って配置されて回転自在に支持されている。軸11は、側壁2Aの下端部となる位置に設けられている。手差しトレイ5が開閉操作されて、この開閉操作により、手差しトレイ5が凹部2Bから引き出されるか又は凹部2Bに収容され、同時に開口部2Cが開放されるか又は閉鎖される。
【0020】
手差しトレイ5の上には、側壁2Aの下端部及び軸11に直交する方向に延び、開口部2Cに対して交差する方向Xに延設されて互いに平行に配置された一対のレール12と、各レール12により該各レール12の長手方向(方向Xと同じ方向)に移動自在に支持されたスライダー13と、各レール12の間に配置された係合部14とが設けられている。
【0021】
図4は、一対のレール12を示す斜視図である。
図4に示すように各レール12は、手差しトレイ5上に立設されたそれぞれの垂直壁12Aと、各垂直壁12Aの上部から外側に突出したそれぞれのガイド部12Bと、該各レール12の先端側に設けられたそれぞれの支持壁12Cとを有している。各支持壁12Cは、連結部12Dを介して互いに連結され、この連結部12Dが軸11に接している。
【0022】
各支持壁12Cには、それぞれの嵌合孔12E、該各支持壁12Cの上方より各嵌合孔12Eへと通じるそれぞれの切り欠き部12F、及びストッパー部12Gが形成されている。
【0023】
図5は、係合部14を示す斜視図である。
図5に示すように係合部14は、各レール12の間に配置される矩形状の主板14A、主板14Aの先端から両側に突出したそれぞれの支持軸14B、主板14Aの後端に設けられたレバー14C、及び主板14Aの裏面から斜め後方に突出したアーム14Dを有している。主板14Aの上面には、複数の凹凸14EがX方向に配列され形成されている。また、主板14Aの両側には、該主板14Aの反りを防止する補強用のリブ14Rが設けられている。
【0024】
図6(A)に示すように係合部14の各支持軸14Bは、各レール12の支持壁12Cの嵌合孔12Eに挿入されて回転自在に支持される。係合部14の各支持軸14Bは、概ね角柱であって、角柱の一対の対向壁14Fを、断面形状が孤を描く丸まった面で形成すると共に、角柱の別の一対の対向壁14Gを平坦面で形成し、一対の対向壁14Fの離間幅を別の一対の対向壁14Gの離間幅よりも広くしたものである。
【0025】
図6(B)に示すように係合部14を各レール12に対して立てて、係合部14の各支持軸14Bの平坦な一対の対向壁14Gを各レール12の支持壁12Cの切り欠き部12Fに通して、係合部14の各支持軸14Bを各支持壁12Cの嵌合孔12Eに挿入する。そして、
図6(C)に示すように係合部14を倒して各レール12の間に配置すると、各支持軸14Bの一対の対向壁14Fが各支持壁12Cの嵌合孔12Eの内周面に摺接しつつ、各支持軸14Bが回転自在に支持される。また、各支持軸14Bの一対の対向壁14Fの離間幅が各レール12の支持壁12Cの切り欠き部12Fの幅よりも広くされているので、各支持軸14Bが各支持壁12Cの嵌合孔12Eから外れることはない。
【0026】
図7(A)、(B)に示すようにスライダー13は、基台13A、及び基台13Aの後端から上側に突出したつまみ部13Bを有している。基台13Aの内側には、横方向に向かい合う一対のガイド溝13C、各ガイド溝13Cの下側に設けられたそれぞれの縁部13D、下方に向く一対の凹部13E、及び各凹部13Eの間に形成された凸部13Fを有している。各縁部13Dの端面には、それぞれの緩衝材13Mが貼り付けられている。
【0027】
スライダー13は、
図4に示すように各レール12の開放されている後端側から取り付けられるものであり、各レール12のガイド部12Bの後端をスライダー13の基台13Aの各ガイド溝13Cに挿し入れて、スライダー13を各レール12に取り付ける。
【0028】
一方、
図8(A)、
図8(B)に示すようにスライダー13の基台13Aの凸部13Fの底面には、複数の凹凸13Gが形成されている。各レール12の間に配置されている係合部14の主板14Aの裏面からは、アーム14Dが斜め後方に突出している。このアーム14Dは、手差しトレイ5の上面に接して、主板14Aの各凹凸14Eを各レール12の上面よりも上側に突出させ、主板14Aの各凹凸14Eをスライダー13の凸部13Fの底面に形成されている各凹凸13Gに嵌合させる。
【0029】
図8(C)に示すように係合部14の主板14Aの各凹凸14Eは、開口部2Cに向きかつ各レール12の上面に対して傾斜した傾斜面14Jと、開口部2Cとは反対側に向きかつ各レール12の上面に対して直交する直交面14Kとを交互に配置して形成される三角の波型のものである。
【0030】
また、
図8(D)に示すようにスライダー13の凸部13Fの底面の各凹凸13Gは、開口部2Cとは反対側に向きかつ凸部13Fの底面に対して傾斜した傾斜面13Jと、開口部2Cに向きかつ凸部13Fの底面に対して直交する直交面13Kとを交互に配置して形成される三角の波型のものである。
【0031】
図9(A)は、手差しトレイ5、各レール12、係合部14の主板14A、及びスライダー13などを示す断面図であり、主板14Aの各凹凸14Eが各レール12の上面よりも上側に突出してスライダー13の凸部13Fの底面の各凹凸13Gに嵌合した状態を示している。すなわち、スライダー13の凹凸は、係合部14の各凹凸と噛合する。
【0032】
図8(A)、
図8(B)、
図9(A)に示すように係合部14の主板14Aの各凹凸14Eがスライダー13の各凹凸13Gに嵌合した状態では、主板14Aの凹凸14Eの各直交面14Kとスライダー13の各凹凸13Gの各直交面13Kとが互いに対峙するので、スライダー13を開口部2Cに接近する方向に移動させることができない。
【0033】
また、係合部14の主板14Aの各凹凸14Eの傾斜面14Jとスライダー13の各凹凸13Gの傾斜面13Jとが重なり合うので、スライダー13のつまみ部13Bを開口部2Cから離間する方向に引くと、スライダー13の各凹凸13Gの傾斜面13Jが主板14Aの各凹凸14Eの傾斜面14Jを押し下げ、主板14Aの裏面のアーム14Dが弾性変形して、スライダー13の各凹凸13Gの傾斜面13Jが主板14Aの各凹凸14Eの傾斜面14Jを乗り越えるので、スライダー13を開口部2Cから離間する方向に移動させることができる。
【0034】
従って、スライダー13を、開口部2Cに接近する方向に移動させることができなくても、開口部2Cから離間する方向に移動させることができる。
【0035】
また、
図10(A)、(B)に示すように係合部14の主板14Aのレバー14Cを押し下げると、主板14Aが該主板14Aの先端の各支持軸14Bを中心にして回転して、主板14Aの各凹凸14Eが各レール12の上面よりも下側に退避し、主板14Aの各凹凸14Eがスライダー13の凸部13Fの底面の各凹凸13Gから離間して外れる。このとき、主板14Aの両側のリブ14Rにより該主板14Aが補強されているので、主板14Aが反ることなく、主板14Aの各凹凸14Eがスライダー13の各凹凸13Gから確実に外れる。この状態では、スライダー13を、開口部2Cに対して接離する方向に移動させることができる。
【0036】
図9(B)は、手差しトレイ5、各レール12、係合部14の主板14A、及びスライダー13などを示す断面図であり、係合部14の主板14Aの各凹凸14Eが各レール12の上面よりも下側に退避してスライダー13の凸部13Fの底面の各凹凸13Gから外れた状態を示している。
【0037】
上記のようにスライダー13を各レール12の開放されている後端側から取り付けるときには、係合部14の主板14Aのレバー14Cを押し下げて、スライダー13を開口部2Cに対して接離する方向に移動させることが可能な状態にして、各レール12のガイド部12Bの後端をスライダー13の基台13Aの各ガイド溝13Cに挿し入れ、スライダー13を任意の位置まで移動させる。
【0038】
このような構成のトレイ開閉装置10においては、
図2に示すように手差しトレイ5を開いて、装置本体2の開口部2Cを開放し、スライダー13のつまみ部13Bを開口部2Cから離間する方向に引いて、スライダー13を開口部2Cから離間する方向に移動させ、手差しトレイ5の上に複数の記録紙を積載する。そして、係合部14の主板14Aのレバー14Cを押し下げて、
図10(A)、
図10(B)、
図9(B)に示すように主板14Aの各凹凸14Eをスライダー13の各凹凸13Gから外した状態で、スライダー13を開口部2Cに対して接近する方向に移動させて、スライダー13の基台13Aを各記録紙の後端に当接させる。この後、レバー14Cを解放して、
図8(A)、
図8(B)、
図9(A)に示すように主板14Aの各凹凸14Eをスライダー13の各凹凸13Gに嵌合させて、
図11に示すようにスライダー13を位置決めし、各記録紙の後端を揃えると共に、各記録紙の先端を開口部2Cの内側に設けられている各給紙ローラー24の下側に挿し入れる。この状態で、各給紙ローラー24が回転されて、各給紙ローラー24により各記録紙が装置本体2の内部の画像形成部へと順次搬送され、画像形成部によりそれぞれの画像が各記録紙に逐次形成される。
【0039】
また、手差しトレイ5を閉じて、装置本体2の開口部2Cを閉鎖する場合は、
図12に示すように係合部14の主板14Aのレバー14Cを押し下げて、主板14Aの各凹凸14Eをスライダー13の各凹凸13Gから外し、スライダー13が開口部2Cに対して接離する方向に移動可能な状態にする。
図13に示すように手差しトレイ5を閉じて行くと、スライダー13が自重により各レール12上で開口部2Cの方向へと降りて移動し、
図7(B)に示すようにスライダー13が各レール12のストッパー12Gに当接して所定位置に停止する。このとき、スライダー13の各縁部13Dが、それぞれの緩衝材13Mを介して各レール12のストッパー12Gに当接するので、この当接による衝撃音が低減される。そして、
図14に示すように手差しトレイ5を閉じると、スライダー13が開口部2Cに収納され、スライダー13が凹部2Bの壁2Dに突き当たらずに済み、スライダー13などが損傷することがない。
【0040】
このように本実施形態のトレイ開閉装置10では、手差しトレイ5を閉じるときに、係合部14のレバー14Cを押し下げると、スライダー13が開口部2Cに対して接離する方向に移動可能な状態となって、スライダー13が各レール12上で装置本体2の開口部2Cへと移動するので、スライダー13を移動させる操作を格別に行わなくても、スライダー13が装置本体2の壁に干渉するというような事態を避けることができる。
【0041】
尚、上記実施形態では、スライダー13の各縁部13Dの端面にそれぞれの緩衝材13Mを設けているが、各レール12のストッパー12G側にそれぞれの緩衝材を設けてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、本発明の画像形成装置の一実施形態としてプリンターを例示しているが、これは一例に過ぎず、複合機、コピー機、ファクシミリ装置等であってもよい。
【0043】
また、
図1乃至
図14を用いて説明した上記実施形態の構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明を当該構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0044】
1 画像形成装置
2 装置本体
3 操作部
4 給紙カセット
5 手差しトレイ
6 排出トレイ
10 トレイ開閉装置
11 軸
12 レール
13 スライダー
14 係合部