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特開2023-139962芳香制御装置、および、芳香制御方法
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  • 特開-芳香制御装置、および、芳香制御方法 図1
  • 特開-芳香制御装置、および、芳香制御方法 図2
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  • 特開-芳香制御装置、および、芳香制御方法 図3-2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139962
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】芳香制御装置、および、芳香制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60H 3/00 20060101AFI20230927BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
B60H3/00 J
G01C21/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045772
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】松本 栄治
【テーマコード(参考)】
2F129
3L211
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129CC16
2F129EE83
2F129EE91
2F129GG25
3L211BA11
3L211DA76
3L211EA72
3L211EA79
3L211EA80
3L211GA76
(57)【要約】
【課題】目的地に到着するまでの時間に応じて、乗員の気分を高めることができる芳香制御装置および芳香制御方法を提供することを課題とする。
【解決手段】芳香制御装置(100)は、少なくとも、移動体の現在地から目的地までの距離および移動体の速度に基づいて、目的地までの所要時間を判定する目的地判定部(10)と、前記所要時間が第1の時間以内である場合に、所定の匂いの出力を行う芳香制御部(30)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、移動体の現在地から目的地までの距離および前記移動体の速度に基づいて、前記目的地までの所要時間を判定する目的地判定部と、
前記所要時間が第1の時間以内である場合に、所定の匂いの出力を行う芳香制御部と、
を備えることを特徴とする芳香制御装置。
【請求項2】
前記芳香制御部は、
前記第1の時間よりも小さい第2の時間を設定し、
前記所要時間が第2の時間以内である場合には、前記第1の時間以内である場合の出力の強さよりも強い出力の強さで匂いの出力を行う、
請求項1に記載の芳香制御装置。
【請求項3】
前記目的地に応じた属性を取得する属性取得部を更に備え、
前記芳香制御部は、
前記属性に応じて前記第1の時間もしくは前記第2の時間またはその両方を変更する、
請求項1または2に記載の芳香制御装置。
【請求項4】
前記目的地に応じた属性を取得する属性取得部を更に備え、
前記芳香制御部は、
前記属性に応じた種類の匂いの出力を行う、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の芳香制御装置。
【請求項5】
少なくとも、移動体の現在地から目的地までの距離および前記移動体の速度に基づいて、前記目的地までの所要時間を判定する目的地判定ステップと、
前記所要時間が第1の時間以内である場合に、所定の匂いの出力を行う芳香制御ステップと、
を含むことを特徴とする芳香制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香制御装置、および、芳香制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車内において、エアコンや芳香剤などから香りを放出し、運転手の覚醒や心身のリラックス効果を得られるように、運転手の運転状態を判定して香り放出のタイミングを制御する装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両に対する愛着、追憶、および懐古といった感覚をもたらすために、検出された乗員の精神状態に対応付けて、車両内の匂いとほぼ同等の匂いを匂い放出させる芳香発生装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、心身に対する作用目的に応じた匂いの作用をより効果的に発揮させるために、心身に対する作用目的を受け付け、匂い発生部から発生された匂いに対する感覚強度の時間的変化が、受け付けられた作用目的に応じた目標感覚強度特性となるように、匂い発生部における匂いの提示時間および匂いの停止時間を制御する匂い制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-199098号公報
【特許文献2】特開2017-3200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、先行技術では、運転手の運転状態を判定して香り放出のタイミングを制御して、運転手の覚醒や心身のリラックス効果を与えることができるものの、目的地に到着するまでの時間に応じて、乗員の気分を高めることができない、という問題点があった。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、乗員の気分を高めることができる芳香制御装置および芳香制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の芳香制御装置(100)は、少なくとも、移動体の現在地から目的地までの距離および移動体の速度に基づいて、目的地までの所要時間を判定する目的地判定部(10)と、前記所要時間が第1の時間以内である場合に、所定の匂いの出力を行う芳香制御部(30)と、を備える。
【0009】
本発明の別の態様は、芳香制御方法である。この方法は、少なくとも、移動体の現在地から目的地までの距離および前記移動体の速度に基づいて、前記目的地までの所要時間を判定する目的地判定ステップと、前記所要時間が第1の時間以内である場合に、所定の匂いの出力を行う芳香制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、乗員の気分を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施の形態に係る芳香制御装置の一例を示す構成図である。
図2図2は、本実施形態の芳香制御装置100による具体化処理の一例を示すフローチャートである。
図3-1】図3-1は、芳香制御部30の制御による、匂いのグループに応じた時間の閾値(第1の時間、第2の時間、第3の時間)の設定例を示した図である。
図3-2】図3-2は、芳香制御部30の制御による、匂いのグループに応じた出力の強さの設定例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1.構成]
本実施形態の構成の概要を説明する。ここで、図1は、本実施の形態に係る芳香制御装置の一例を示す構成図である。なお、本実施形態では、移動体の一例として、車両に適用した場合について説明するが、これに限られず、船舶や航空機などの移動体に用いてもよい。
【0013】
本実施形態の芳香制御装置100は、車両に搭載されるECU(engine control unit)、カーナビゲーションシステム、カーオーディオシステム、エアコンディショナーの機能の一部として実装されてもよく、あるいは車両の乗員が車両のエアコンディショナー等に設置するアロマディフューザー装置として実行されてもよく、あるいは車両の乗員が車両に持ち込んで使用する、スマートフォンや携帯電話や携帯端末の機能の一部として実装されてもよい。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態の芳香制御装置100は、目的地判定部10と、属性取得部20と、芳香制御部30と、記憶部40と、芳香出力部60とを備える。
【0015】
このうち、目的地判定部10は、少なくとも、車両の現在地から目的地までの距離および車両の速度に基づいて、目的地までの所要時間を判定する。ここで、目的地判定部10は、カーナビゲーション機能の一部として実現されてもよい。例えば、目的地判定部10は、GPS(Global Positioning System)等により現在地を取得し、利用者(運転手などの乗員等)により設定された目的地までの距離を、記憶部40に記憶された地図データから算出し、車速センサから取得した車両の速度で距離を除することにより、目的地までの所要時間を判定してもよい。このほか、目的地判定部10は、公知の所要時間算出手法により、目的地までの所要時間を判定することができる。なお、目的地判定部10は、所定時間ごとに繰り返し、目的地までの所要時間を再計算して所要時間を判定してもよい。このほか、目的地判定部10は、ナビゲーション・アプリケーションを備えた乗員のもつスマートフォンから、無線通信により目的地や現在地などの情報を取得してもよい。
【0016】
また、属性取得部20は、目的地に応じた属性を取得する。例えば、記憶部40に記憶された地図データには、目的地に関する各種情報(名称、キーワード、住所、種類(コンビニエンスストア、レストラン、ラーメン店、カフェなどの種別)、緯度経度、電話番号)が記憶されており、属性取得部20は、記憶部40に記憶された地図データから、設定された目的地に関する情報(キーワード等)を属性として抽出してもよい。例えば、目的地の名称が、「○○ラーメン店」であった場合、属性取得部20は、「ラーメン」というキーワードを抽出することにより属性を取得してもよい。ここで、例えば、「○○山ラーメン店」のように、「山」と「ラーメン」のキーワードなど複数のキーワードが含まれる目的地が設定された場合、属性取得部20は、以下のいずれかの方法、もしくは組み合わせで1つのキーワードを抽出するようにしてもよい。
・属性取得部20は、目的地の名称において、より後方に位置するキーワードを優先的に抽出する。上記の例の場合では、「ラーメン」の方が後方に位置するので、属性取得部20は、「ラーメン」を抽出する。
・属性取得部20は、キーワードに対応する匂いのグループ(匂いのグループについては後述する)において、より強い匂いのグループに対応するキーワードを抽出する。上記の例の場合、「山」はグループA、「ラーメン」はグループBなので、属性取得部20は、「ラーメン」を抽出する。
【0017】
また、属性取得部20は、目的地の緯度経度に対応する地図データ上の位置が、海に対応する青や、森に対応する緑で配色されていた場合、海や森の属性として取得することができる。また、属性取得部20は、目的地について、利用者に属性を設定させることにより属性を取得してもよい。例えば、属性取得部20は、利用者により目的地が設定された際に、芳香出力部60より出力可能な匂いの種類を一または複数、選択できるように利用者に提示し、利用者により選択された匂いの種類(一または複数でも可)を属性として取得してもよい。なお、属性取得部20は、設定された目的地と属性の組み合わせ履歴を記憶部40に記憶させてもよく、記憶部40に記憶された目的地に対応する属性の履歴を読出してもよい。
【0018】
また、芳香制御部30は、所定の匂いの出力を行う。例えば、芳香制御部30は、目的地または目的地の属性に応じて、芳香出力部60から所定の種類の匂いの出力(放出)を行うことができる。なお、「匂い」とは、「芳香」、「香り」などと言い換えることもでき、何らかの嗅覚を刺激するものである。例えば、芳香出力部60には、アロマオイルなどの液体が複数種類用意されており、芳香制御部30は、匂いを発生させる液体を一または複数選択して芳香出力部60から蒸散させることができる。したがって、芳香制御部30は、複数の匂いを調合することも可能である。また、芳香制御部30は、目的地までの所要時間に応じて、所定の匂いの出力を行う。芳香制御部30は、目的地までの所要時間に応じて、匂いの出力の強さを制御することができる。例えば、芳香制御部30は、芳香出力部60から出力される液体の量を増減させることにより匂いの出力を強くしてもよい。また、芳香制御部30は、芳香出力部60のファンの回転数を制御することにより、匂いを発生させる液体の蒸散量を増やして、強い匂いの出力を行うこともできる。
【0019】
ここで、芳香制御部30は、目的地までの所要時間が第1の時間以内である場合に、所定の匂いの出力を行う。例えば、芳香制御部30は、目的地までの所要時間が、閾値である第1の時間を下回った場合に、匂いの出力を開始してもよい。また、芳香制御部30は、第1の時間よりも小さい第2の時間を設定し、目的地までの所要時間が第2の時間以内である場合には、第1の時間以内である場合の出力の強さよりも強い出力の強さで匂いの出力を行ってもよい。なお、芳香制御部30は、より強い出力を行うために、上述したように、匂いを発生させる液体量や蒸散量を増加させてもよく、匂いの種類を増加ないし変更してもよい。また、芳香制御部30は、属性取得部20により取得された属性に応じて第1の時間および/または第2の時間を変更してもよい。例えば、芳香制御部30は、属性が「ラーメン」であった場合には、ラーメンの匂いが強い匂いと分類して、第1の時間および/または第2の時間を、より小さく設定してもよい。これにより、目的地までの時間がより近づいてから匂い放出を行うことができる。別の例では、芳香制御部30は、属性が「海」であった場合には、海の匂いが弱い匂いと分類して、第1の時間および/または第2の時間を、より大きく設定してもよい。これにより、目的地までの時間が十分あっても前もって匂い放出を開始することができる。なお、匂いの種類と匂いの強弱は予め記憶部40に記憶されてもよく、芳香制御部30は、匂いの種類に応じた匂いのグループに応じて、第1の時間および/または第2の時間、すなわち時間の閾値を変更してもよい。ここで、芳香制御部30は、匂いのグループ分けの処理を予め(例えば後述する図2のフローより前に)実行しておく。例えば、芳香制御部30は、芳香出力部60に備えた複数の液体(芳香剤等)を一つずつ同じ強さで出力させ、出力された各液体の匂いを匂いセンサで検出し、各液体の匂いの検出値に応じて匂いのグループ分けを行う。より具体的には、例えば、検出値が所定の閾値未満の場合はグループA、閾値以上の場合はグループBに分類する。なお、所定の閾値は予め設定されていてもよく、検出値に応じて設定してもよい。一例として、全ての検出値の平均値、中央値などを閾値として二つのグループに分けてもよい。
【0020】
また、芳香制御部30は、属性取得部20により取得された属性に応じた種類の匂いの出力を行ってもよい。例えば、芳香制御部30は、属性が「ラーメン」であった場合には、ラーメンの匂いを芳香出力部60から出力してもよい。別の例では、芳香制御部30は、属性が「海」であった場合には、海の匂いを芳香出力部60から出力してもよい。また、芳香制御部30は、シート状態(座っているか否か)に応じた乗員数に応じて、匂いの出力を行ってもよい。
【0021】
また、芳香制御部30は、車内環境に応じて、匂いの出力を行ってもよい。例えば、芳香制御部30は、窓の開閉状態が開状態のときは、匂いの出力を停止してもよい。これにより、車の窓が開いているときは車外に匂いが出てしまって周囲に迷惑となることを防ぐことができる。別の例として、芳香制御部30は、エアコンによる換気がある場合は、匂い出力を強くしてもよく、逆に匂いの出力を停止してもよい。
【0022】
以上の目的地判定部10や属性取得部20、芳香制御部30は、車両のECUやマイクロコンピュータの制御部にて実現されてもよい。例えば、マイクロコンピュータの制御部は、図示しないCPU(CentralProcessing Unit)、ROM(ReadOnly Memory)、およびRAM(RandomAccess Memory)等を含んで構成されてもよい。そして、このCPUが、制御部の全体を統括、制御し、ROMが、各種プログラムや各種パラメータ等を記憶し、RAMが、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられてもよい。
【0023】
また、記憶部40は、各種の処理を実行するためのプログラムやデータを記憶するメモリ(例えば、RAMとROMなど)である。
【0024】
また、芳香出力部60は、アロマディフューザー装置などの芳香拡散装置であり、複数の種類の匂いを拡散させることができる。例えば、芳香出力部60は、アロマオイルなどの液体の芳香剤が複数種類用意されたタンクと、タンクに備えられた芳香剤を発生させ、停止させるように移動する噴霧ピストンと、噴霧ピストンを稼働させるモータとを含んで構成され、モータによって噴霧ピストンを移動させることにより、匂いを発生させる芳香剤を一または複数調合してファンなどにより蒸散させて、芳香剤による匂いの提示、および停止が可能なように構成されている。
【0025】
以上が本実施形態の芳香制御装置100の構成の一例である。
【0026】
[2.処理]
ここで、図2は、本実施形態の芳香制御装置100による具体化処理の一例を示すフローチャートである。
【0027】
図2に示すように、芳香制御装置100の属性判定部20は、カーナビゲーション機能として利用者により設定された目的地の属性を取得する(SA-1)。
【0028】
そして、目的地判定部10は、目的地までの所要時間を算出する(SA-2)。
【0029】
そして、芳香制御部30は、車窓開閉状態センサ等により車窓が開状態であるか否かを判定する(SA-3)。
【0030】
車窓が開状態の場合(SA-3,Yes)、芳香制御部30は、ステップSA-2に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0031】
一方、車窓が開状態ではない場合(SA-3,No)、芳香制御部30は、目的地までの所要時間(例えば、残存時間が第1の時間以内か第2の時間以内か)に応じた出力の強さで匂い放出を行う(SA-4)。なお、芳香制御部30は、属性すなわち匂いの種類に応じた匂いのグループに従って、時間の閾値(例えば、第1の時間および第2の時間)を変更してもよい。ここで、図3-1は、芳香制御部30の制御による、匂いのグループに応じた時間の閾値(第1の時間、第2の時間、第3の時間)の設定例を示した図である。図3-2は、芳香制御部30の制御による、匂いのグループに応じた出力の強さの設定例を示した図である。
【0032】
図3-1に示すように、匂いのグループが、海や山などは匂いのグループA、ラーメンなどの匂いのグループはBなど2種類であった場合、芳香制御部30は、時間の閾値(第1の時間、第2の時間、第3の時間)を、グループAはより大きく、グループBはより小さく設定する。より具体的には、芳香制御部30は、グループAの場合、第1の時間が10分であるのに対して、グループBの場合は、第1の時間は5分に設定する。同様に、芳香制御部30は、グループAの場合、第2の時間が5分であるのに対して、グループBの場合は、芳香制御部30は、第2の時間は3分に設定する。これにより、例えば強い匂いのグループの場合は、目的地までの時間がより近づいてから匂い放出を行うことができる。一方、例えば弱い匂いのグループの場合は、芳香制御部30は、目的地までの時間が十分あっても前もって匂い放出を開始することができる。なお、この例では、目的地までの残存の所要時間に対する時間の閾値を3段階で設定したが、これに限らず、任意の段階で閾値を設定することができる。また、匂いの種類による匂いのグループの分類も2種類としたが、これに限られず、任意の種類で匂いのグループを分類することができる。
【0033】
また、図3-1の例では、匂いのグループに応じて匂いの出力の時間を変更したが、図3-2に示すように、匂いのグループに応じて、出力の強さを変更してもよい。より具体的には、芳香制御部30は、グループAの場合、第1の時間で芳香剤の流量は10ml/sの出力であるのに対して、グループBの場合は、第1の時間は5ml/sの出力に設定する。同様に、芳香制御部30は、グループAの場合、第2の時間が20ml/sであるのに対して、グループBの場合は、芳香制御部30は、10ml/sに設定する。これにより、例えば強い匂いのグループの場合は、少ない芳香剤で匂い放出を行うことができる。一方、例えば弱い匂いのグループの場合は、芳香制御部30は、多めに芳香剤を用いて匂いを強調することができる。なお、この例では、目的地までの残存の所要時間に対する芳香剤の量を3段階で設定したが、これに限らず、任意の段階で芳香剤の量を設定することができる。このように、出力の強さを変更することで、乗員が感じる匂いの強さを変更してもよい。
【0034】
再び図2に戻り、目的地判定部10は、GPS等による現在地情報に基づいて、目的地に到着したか否かを判定する(SA-5)。
【0035】
目的地に到着していない場合(SA-5,No)、ステップSA―2に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0036】
一方、目的地に到着した場合(SA-5,Yes)、芳香制御部30は、芳香出力部60による匂い放出を終了させる(SA-6)。
【0037】
以上が、本実施形態の芳香制御装置100による具体化処理の一例である。
【0038】
[3.実施形態の効果]
以上説明したように、本実施の形態の芳香制御装置100によれば、少なくとも、車両の現在地から目的地までの距離および車両の速度に基づいて、目的地までの所要時間を判定する目的地判定部(10)と、所要時間に応じて、所定の匂いの出力を行う芳香制御部(30)と、を備える。これにより、目的地に到着するまでの時間が第1の時間以内である場合に、匂いが出力されることにより、乗員の気分を高めることができる。例えば、ラーメン店を目的地と設定していた場合には、目的地到着までの時間が閾値時間以内に近づくと、ラーメンの匂いが車内に放出されるので、乗員は食欲を高めることができる。
【0039】
また、本実施の形態の芳香制御装置100によれば、芳香制御部40は、第1の時間よりも小さい第2の時間を設定し、所要時間が第2の時間以内である場合には、第1の時間以内である場合の出力の強さよりも強い出力の強さで匂いの出力を行う。これにより、目的地までの所要時間が近づくにつれて強い匂いを出力させることができる。
【0040】
また、本実施の形態の芳香制御装置100によれば、目的地に応じた属性を取得する属性取得部20を更に備え、芳香制御部30は、属性に応じて第1の時間もしくは第2の時間またはその両方を変更する。これにより、目的地の属性に応じて匂いを出力させるタイミングを調整することができる。
【0041】
また、本実施の形態の芳香制御装置100によれば、目的地に応じた属性を取得する属性取得部20を更に備え、芳香制御部30は、前記属性に応じた種類の匂いの出力を行う。これにより、目的地の属性に応じた匂いを出力させることができる。
【0042】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。例えば、以上の構成要素の任意の組合せ、本実施の形態の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0043】
なお、実施の形態で説明した各装置の機能構成はハードウェア資源またはソフトウェア資源により、あるいはハードウェア資源とソフトウェア資源の協働により実現できる。ハードウェア資源としてプロセッサ、ROM、RAM、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてオペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。
【符号の説明】
【0044】
10 目的地判定部
20 属性取得部
30 芳香制御部
40 記憶部
60 芳香出力部
100 芳香制御装置
図1
図2
図3-1】
図3-2】