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特開2023-13997情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013997
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/14 20060101AFI20230119BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20230119BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
A61B6/14 313
A61B6/00 350A
A61B5/055 390
A61B5/055 380
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108296
(22)【出願日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2021117093
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521314194
【氏名又は名称】関西企画株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】堀田 道憲
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
【Fターム(参考)】
4C093AA07
4C093CA18
4C093DA05
4C093FF37
4C093FF42
4C093FG13
4C096AA18
4C096AB36
4C096AC01
4C096AD07
4C096AD14
4C096AD15
4C096BB22
4C096BB23
4C096DC33
4C096DC36
4C096DD13
(57)【要約】
【課題】歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得できる情報処理装置3、診断支援プログラム38、MRI検査装置1、及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】歯科矯正における診断を支援する情報処理装置3であって、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像63を取得する画像取得手段(制御部35)と、縦断面画像63に基づいて、矯正診断のための計測点を特定する計測点特定手段(表示部31、操作受付部32、制御部35)と、特定された計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得手段(制御部35)とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科矯正における診断を支援する情報処理装置であって、
磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像を取得する画像取得手段と、
前記縦断面画像に基づいて、矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定手段と、
特定された前記所定計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得手段とを備えた
情報処理装置。
【請求項2】
前記画像取得手段は、
磁気共鳴によって患者の頭部を横断面で撮像した横断面画像をさらに取得する構成であり、
前記計測点特定手段は、
前記縦断面画像及び前記横断面画像に基づいて前記所定計測点を特定する構成である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記セファロ座標情報が示す前記所定計測点に基づいた出力データを出力する出力手段を備えた
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力手段は、
少なくとも前記セファロ座標情報が示す前記所定計測点を、前記患者の頭部を撮像した頭部規格写真に重ね合わせた出力データを出力する構成である
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記患者の頭部を撮像した頭部規格写真は、
磁気共鳴によって撮像された画像に基づいて生成された
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記計測点特定手段は、
少なくとも前記縦断面画像を表示する表示手段と、
前記所定計測点を特定するオペレータの操作を受け付ける操作受付手段とが設けられた
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
歯科矯正における診断を支援する装置が実行する情報処理プログラムであって、
磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像を取得する画像取得ステップと、
前記縦断面画像に基づいて、矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定ステップと、
特定された前記所定計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得ステップとを実行する
情報処理プログラム。
【請求項8】
患者の頭部を磁気共鳴によって撮像する撮像手段と、
該撮像手段が撮像したMRI画像に基づいて、少なくとも矢状面に略平行な縦断面画像を出力する画像出力手段と、
請求項7に記載の情報処理プログラムを記憶する記憶手段と、
前記情報処理プログラムを実行する実行手段とを備えた
MRI検査装置。
【請求項9】
歯科矯正における診断を支援する装置が行う情報処理方法であって、
磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像を画像取得手段が取得する画像取得工程と、
計測点特定手段が前記縦断面画像に基づいて、矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定工程と、
特定された前記所定計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程とを行う
情報処理方法。
【請求項10】
歯科矯正における診断を支援する装置が行う情報処理方法であって、
磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な複数の縦断面画像を画像取得手段が取得する画像取得工程と、
複数の前記縦断面画像のうち、1つの前記縦断面画像を表示手段が表示する表示工程と、
前記表示手段に表示された前記縦断面画像を、オペレータの操作によって画像変更手段が断面位置の異なる前記縦断面画像に変更する画像変更工程と、
前記表示手段に表示された前記縦断面画像に基づいて、矯正診断のための所定計測点を特定する前記オペレータの操作を操作受付手段が受け付ける操作受付工程と、
特定された前記所定計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程とを行う
情報処理方法。
【請求項11】
歯科矯正における診断を支援する情報処理装置であって、
磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した前記頭部の三次元モデルを取得する三次元モデル取得手段と、
前記三次元モデルに基づいて、矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定手段と、
特定された前記所定計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得手段とを備えた
情報処理装置。
【請求項12】
前記セファロ座標情報が示す前記所定計測点に基づいた出力データを出力する出力手段を備えた
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記出力手段は、
少なくとも前記セファロ座標情報が示す前記所定計測点を、前記患者の頭部を撮像した頭部規格写真に重ね合わせた出力データを出力する構成である
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記患者の頭部を撮像した頭部規格写真は、
磁気共鳴によって撮像された画像に基づいて生成された
請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記計測点特定手段は、
前記三次元モデル取得手段が取得した前記三次元モデルを表示する表示手段と、
該表示手段に表示された前記三次元モデルの操作を受付けるモデル操作手段と、
前記所定計測点を特定するオペレータの操作を受け付ける操作受付手段とが設けられた
請求項11から請求項14のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項16】
歯科矯正における診断を支援する装置が実行する情報処理プログラムであって、
磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した前記頭部の三次元モデルを取得する三次元モデル取得ステップと、
前記三次元モデルに基づいて、矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定ステップと、
特定された前記所定計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得ステップとを実行する
情報処理プログラム。
【請求項17】
患者の頭部を磁気共鳴によって撮像する撮像手段と、
該撮像手段が撮像したMRI画像に基づいて、前記患者の頭部の三次元モデルを出力する三次元モデル出力手段と、
請求項16に記載の情報処理プログラムを記憶する記憶手段と、
前記情報処理プログラムを実行する実行手段とを備えた
MRI検査装置。
【請求項18】
歯科矯正における診断を支援する装置が実行する情報処理方法であって、
磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した前記頭部の三次元モデルを三次元モデル取得手段が取得する三次元モデル取得工程と、
計測点特定手段が前記三次元モデルに基づいて、矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定工程と、
特定された前記所定計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程とを行う
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば歯科矯正の分野において、頭部規格写真を用いた医師の診断を支援するような情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯科矯正の分野において、患者の上顎骨、下顎骨、及び歯牙の状態を診断するために、頭部X線規格写真(セファログラムまたはセファロともいう)を用いることが知られている。
この頭部X線規格写真を用いた矯正診断では、矯正診断に必要な所定計測点である歯牙の先端や頭蓋の前鼻棘などを、医師が頭部X線規格写真から特定して、顎骨と歯牙との位置関係などの分析に用いている。
【0003】
より詳しくは、例えば医師は、頭部X線規格写真から、歯牙や骨などの硬組織の輪郭、及び筋肉や皮膚などの軟組織の輪郭をトレースしてトレース図を作成する。その後、医師は、矯正診断に必要な所定計測点を、頭部X線規格写真から読み取ってトレース図にプロットして、分析に用いている。
【0004】
ところで、X線を照射して撮像した頭部X線規格写真は、X線透過率の違いから硬組織に比べて軟組織の輪郭が不鮮明となり易い。さらに、頭部X線規格写真は、硬組織であっても骨密度の違いなどによって輪郭が不鮮明となる部位がある。
このため、歯科矯正の分野では、X線を照射して撮像した頭部X線規格写真から所定計測点を読み取った場合、所定計測点によっては位置精度が低くなることが知られている。
【0005】
そこで、例えばX線を照射して撮像された頭部X線規格写真に対して画像処理を加えることで、硬組織及び軟組織が鮮明な矯正診断に適した画像データを取得して、所定計測点の位置精度を向上する様々な技術が提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のように、頭部X線規格写真に対して画像処理を加えて矯正診断に適した画像を得る場合、矯正診断に適した画像が得られるまでに複数の工程が必要であるため、効率が悪く改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-196316号公報
【特許文献2】特開2015-229001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑み、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、所定計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得できる情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、歯科矯正における診断を支援する情報処理装置であって、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像を取得する画像取得手段と、前記縦断面画像に基づいて、矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定手段と、特定された前記所定計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
またこの発明は、歯科矯正における診断を支援する装置が実行する情報処理プログラムであって、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像を取得する画像取得ステップと、前記縦断面画像に基づいて、矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定ステップと、特定された前記所定計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得ステップとを実行することを特徴とする。
【0011】
またこの発明は、患者の頭部を磁気共鳴によって撮像する撮像手段と、該撮像手段が撮像したMRI画像に基づいて、少なくとも矢状面に略平行な縦断面画像を出力する画像出力手段と、上記の情報処理プログラムを記憶する記憶手段と、前記情報処理プログラムを実行する実行手段とを備えたMRI検査装置であることを特徴とする。
【0012】
またこの発明は、歯科矯正における診断を支援する装置が行う情報処理方法であって、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像を画像取得手段が取得する画像取得工程と、計測点特定手段が前記縦断面画像に基づいて、矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定工程と、特定された前記所定計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程とを行うことを特徴とする。
【0013】
上記画像取得手段及び画像取得ステップは、記憶媒体を読み取って縦断面画像を取得する、あるいは通信回線を介して縦断面画像を取得することをいう。
上記計測点特定手段及び計測点特定ステップは、オペレータの操作を受付けるとともに、所定計測点をオペレータの操作によって特定する、あるいは機械学習モデルが所定計測点を自動的に特定することをいう。
【0014】
この発明によれば、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、所定計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得することができる。
【0015】
具体的には、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した縦断面画像を取得することにより、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、X線を照射して撮像した画像に比べて軟組織の輪郭が鮮明な画像を取得することができる。
【0016】
このため、縦断面画像に基づいて矯正診断のための所定計測点を特定する際、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、硬組織の輪郭上に位置する所定計測点を、軟組織部分の輪郭から特定することができる。
【0017】
これにより、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、例えば骨密度が小さく輪郭が不鮮明となり易い硬組織の輪郭上に位置する所定計測点であっても、所定計測点の特定を容易にすることができる。
【0018】
さらに、頭部X線規格撮影によって撮像した所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得することにより、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、取得したセファロ座標情報を、例えば顎骨と歯牙との位置関係の算出やプロフィログラムの作成などに用いることができる。
【0019】
よって、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、所定計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得することができる。
【0020】
加えて、磁気共鳴によって撮像した縦断面画像を用いるため、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、X線を照射して患者の頭部を撮像した場合に比べて、患者の被爆量をゼロに抑えることができる。
【0021】
このため、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、複数回の撮像が必要な歯科矯正において、例えば子供や妊婦に対する負担を大幅に軽減することができる。
【0022】
この発明の態様として、前記画像取得手段は、磁気共鳴によって患者の頭部を横断面で撮像した横断面画像をさらに取得する構成であり、前記計測点特定手段は、前記縦断面画像及び前記横断面画像に基づいて前記所定計測点を特定する構成であってもよい。
【0023】
この構成によれば、情報処理装置は、例えば縦断面画像上の所定計測点の位置を、横断面画像を用いて修正することができる。このため、情報処理装置は、所定計測点の位置精度をより向上することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記セファロ座標情報が示す前記所定計測点に基づいた出力データを出力する出力手段を備えてもよい。
上記出力手段は、出力データを表示する表示手段あるいは出力データを印刷する印刷手段などのことをいう。
【0025】
この構成によれば、情報処理装置は、セファロ座標情報が示す所定計測点に基づいた出力データ、例えばプロフィログラムなどを医師や患者に提供することができる。このため、情報処理装置は、医師による矯正診断をより容易にすることができる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記出力手段は、少なくとも前記セファロ座標情報が示す前記所定計測点を、前記患者の頭部を撮像した頭部規格写真に重ね合わせた出力データを出力する構成であってもよい。
上記頭部規格写真とは、磁気共鳴によって撮像された画像から生成された患者の頭部の三次元モデルを、頭部X線規格撮影で撮像して取得した画像データ、あるいはX線を用いた頭部X規格撮影で患者の頭部を撮像して取得した画像データのことをいう。
【0027】
この構成によれば、情報処理装置は、位置精度の高い所定測定点がプロットされた頭部規格写真を出力することができる。
この際、セファロ座標情報と頭部規格写真とが頭部X線規格撮影によって得られているため、情報処理装置は、例えば画像処理によるサイズ調整を不要にして、セファロ座標情報が示す所定計測点を、頭部規格写真に位置ズレすることなく重ね合わせることができる。
【0028】
このため、情報処理装置は、セファロ座標情報が示す所定計測点を、医師が頭部規格写真にプロットする手間を省くだけでなく、例えば医師が経験に基づいて位置調整しながら、セファロ座標情報が示す所定計測点と頭部規格写真とを重ね合わせる手間を省くことができる。
【0029】
さらに、情報処理装置は、所定計測点がプロットされた頭部規格写真を、例えばモニターを介して医師や患者に提供できるため、患者の診断や患者への説明を容易にすることができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記患者の頭部を撮像した頭部規格写真は、磁気共鳴によって撮像された画像に基づいて生成されてもよい。
この構成によれば、情報処理装置は、X線を照射して頭部X線規格写真を取得した場合に比べて、患者の被爆量をゼロに抑えることができる。このため、情報処理装置は、複数回の撮像が必要な歯科矯正において、例えば子供や妊婦に対する負担を確実に軽減することができる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記計測点特定手段は、少なくとも前記縦断面画像を表示する表示手段と、前記所定計測点を特定するオペレータの操作を受け付ける操作受付手段とが設けられてもよい。
【0032】
この構成によれば、情報処理装置は、オペレータが少なくとも縦断面画像を確認しながら、オペレータの経験則に基づいて所定計測点を特定することができる。このため、情報処理装置は、例えば骨密度が小さく輪郭が不鮮明となり易い硬組織の輪郭上に位置する所定計測点であっても、軟組織の輪郭が鮮明な縦断面画像と、オペレータの経験則とに基づいて、所定計測点をより精度よく特定することができる。
【0033】
またこの発明は、歯科矯正における診断を支援する装置が行う情報処理方法であって、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な複数の縦断面画像を画像取得手段が取得する画像取得工程と、複数の前記縦断面画像のうち、1つの前記縦断面画像を表示手段が表示する表示工程と、前記表示手段に表示された前記縦断面画像を、オペレータの操作によって画像変更手段が断面位置の異なる前記縦断面画像に変更する画像変更工程と、前記表示手段に表示された前記縦断面画像に基づいて、矯正診断のための所定計測点を特定する前記オペレータの操作を操作受付手段が受け付ける操作受付工程と、特定された前記所定計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程とを行うことを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、表示手段に表示する縦断面画像をオペレータが変更しながら所定計測点を特定できるため、硬組織の輪郭上に位置する所定計測点を、軟組織部分の輪郭から精度よく特定することができる。
【0035】
よって、情報処理方法は、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、所定計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得することができる。
【0036】
またこの発明は、歯科矯正における診断を支援する情報処理装置であって、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した前記頭部の三次元モデルを取得する三次元モデル取得手段と、前記三次元モデルに基づいて、矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定手段と、特定された前記所定計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得手段とを備えたことを特徴とする。
【0037】
またこの発明は、歯科矯正における診断を支援する装置が実行する情報処理プログラムであって、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した前記頭部の三次元モデルを取得する三次元モデル取得ステップと、前記三次元モデルに基づいて、矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定ステップと、特定された前記所定計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得ステップとを実行することを特徴とする。
【0038】
またこの発明は、患者の頭部を磁気共鳴によって撮像する撮像手段と、該撮像手段が撮像したMRI画像に基づいて、前記患者の頭部の三次元モデルを出力する三次元モデル出力手段と、上記の情報処理プログラムを記憶する記憶手段と、前記情報処理プログラムを実行する実行手段とを備えたMRI検査装置であることを特徴とする。
【0039】
またこの発明は、歯科矯正における診断を支援する装置が実行する情報処理方法であって、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した前記頭部の三次元モデルを三次元モデル取得手段が取得する三次元モデル取得工程と、計測点特定手段が前記三次元モデルに基づいて、矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定工程と、特定された前記所定計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程とを行うことを特徴とする。
【0040】
この発明によれば、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、所定計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得することができる。
具体的には、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した三次元モデルを取得することにより、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、患者の頭部の状態を様々な方向から確認できるため、患者の頭部にX線を照射して撮像した画像に比べて、矯正診断のための所定計測点の位置を確認し易くすることができる。
【0041】
さらに、三次元モデル取得手段によって取得した三次元モデルの軟組織の輪郭が、X線を照射して撮像した画像で生成した三次元モデルに比べて鮮明なため、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、不鮮明になり易い硬組織の輪郭上に位置する所定計測点を、軟組織の輪郭から特定することができる。
【0042】
さらにまた、例えば三次元モデルから硬組織部分のみを抽出することで、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、不鮮明になり易い硬組織の輪郭上に位置する所定計測点だけでなく、比較的鮮明な硬組織の輪郭上に位置する所定計測点も三次元モデルによって精度よく、かつ容易に特定することができる。
【0043】
そして、頭部X線規格撮影によって撮像した所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得することにより、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、取得したセファロ座標情報を、例えば顎骨と歯牙との位置関係の算出やプロフィログラムの作成などに用いることができる。
【0044】
よって、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、所定計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得することができる。
【0045】
加えて、磁気共鳴によって撮像した画像から生成した三次元モデルを用いるため、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、X線を照射して患者の頭部を撮像した場合に比べて、患者の被爆量をゼロに抑えることができる。
【0046】
このため、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、複数回の撮像が必要な歯科矯正において、例えば子供や妊婦に対する負担を大幅に軽減することができる。
【0047】
この発明の態様として、前記セファロ座標情報が示す前記所定計測点に基づいた出力データを出力する出力手段を備えてもよい。
この構成によれば、情報処理装置は、セファロ座標情報が示す所定計測点に基づいた出力データ、例えばプロフィログラムなどを医師や患者に提供することができる。このため、情報処理装置は、医師による矯正診断をより容易にすることができる。
【0048】
またこの発明の態様として、前記出力手段は、少なくとも前記セファロ座標情報が示す前記所定計測点を、前記患者の頭部を撮像した頭部規格写真に重ね合わせた出力データを出力する構成であってもよい。
この構成によれば、情報処理装置は、位置精度の高い所定測定点がプロットされた頭部規格写真を出力することができる。
【0049】
さらに、セファロ座標情報と頭部規格写真とが頭部X線規格撮影によって得られているため、情報処理装置は、例えば画像処理によるサイズ調整や医師による位置調整を不要にして所定計測点を頭部規格写真に重ね合わせることができる。
【0050】
またこの発明の態様として、前記患者の頭部を撮像した頭部規格写真は、磁気共鳴によって撮像された画像に基づいて生成されてもよい。
この構成によれば、X線を照射して頭部X線規格写真を取得した場合に比べて、患者の被爆量をゼロに抑えることができる。このため、情報処理装置は、複数回の撮像が必要な歯科矯正において、例えば子供や妊婦に対する負担を確実に軽減することができる。
【0051】
またこの発明の態様として、前記計測点特定手段は、前記三次元モデル取得手段が取得した前記三次元モデルを表示する表示手段と、該表示手段に表示された前記三次元モデルの操作を受付けるモデル操作手段と、前記所定計測点を特定するオペレータの操作を受け付ける操作受付手段とが設けられてもよい。
【0052】
上記三次元モデルの操作とは、例えば三次元CADのように、表示手段に表示された三次元モデルの向きや大きさを変更する操作、軟組織部分の表示と非表示とを切り替える操作、任意の断面位置での断面を表示させる操作などのことをいう。
【0053】
この構成によれば、オペレータが三次元モデルを様々な方向から確認しながら、オペレータの経験則に基づいて所定計測点を特定することができる。
このため、情報処理装置は、例えば骨密度が小さく輪郭が不鮮明となり易い硬組織の輪郭上に位置する所定計測点であっても、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した三次元モデルと、オペレータの経験則とに基づいて、所定計測点をより精度よく特定することができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明により、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、所定計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得できる情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】MRI検査装置の構成を示す構成図。
図2】MRI検査装置の内部構成を示すブロック図。
図3】撮像支援プログラムを実行した際の処理動作を示すシーケンス図。
図4】第1支援処理における処理動作を示すフローチャート。
図5】第1操作画面の概略を示す概略図。
図6】第2支援処理における処理動作を示すフローチャート。
図7】第2操作画面の概略を示す概略図。
図8】MRI画像に基づいた計測点の特定を説明する説明図。
図9】MRI画像に基づいた計測点の特定を説明する説明図。
図10】計測点を重ね合わせた疑似セファロ画像の概略を説明する概略図。
図11】別の実施形態における第2操作画面の概略を示す概略図。
図12】変形例における第2操作画面の概略を示す概略図。
図13】変形例における第2操作画面の概略を示す概略図。
図14】変形例における第2操作画面の概略を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0056】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態は、歯科矯正の分野において、頭部規格写真を用いた医師の診断を支援するMRI検査装置1について、図1及び図2を用いて説明する。
なお、図1はMRI検査装置1の構成図を示し、図2はMRI検査装置1のブロック図を示している。
【0057】
まず、MRI検査装置1は、Magnetic Resonance Imaging検査装置の略であって、磁気共鳴現象を用いて患者Mを撮像して、患者Mの横断面に沿った断層画像を複数取得する装置である。
【0058】
このMRI検査装置1は、図1及び図2に示すように、磁気共鳴によって患者Mを撮像する装置本体2と、装置本体2の動作を制御するとともに、装置本体2から取得した撮像データに対して各種情報処理を行う情報処理装置3とを備えている。
なお、装置本体2と情報処理装置3とは、通信回線4を介して通信可能に接続されている。
【0059】
装置本体2は、情報処理装置3を介してオペレータによって操作され、患者Mを横断面で撮像した断層画像をMRI画像として取得する機能と、複数のMRI画像を、通信回線4を介して情報処理装置3に出力する機能とを有している。
【0060】
この装置本体2は、図1及び図2に示すように、患者Mが横になる寝台21と、寝台21上の患者Mを撮像する円筒状の架台22と、通信回線4が接続される通信部23と、これらの動作を制御する本体制御部24とで構成されている。
なお、装置本体2は、既存の装置であって周知技術のため、ここでは簡単に説明する。
【0061】
具体的には、寝台21は、図2に示すように、患者Mが仰向けに寝る寝台本体(符号省略)と、本体制御部24からの制御信号に基づいて、寝台本体を移動させる寝台駆動部21aとを備えている。この寝台駆動部21aは、架台22の内部空間へ向かう方向と、架台22の内部空間から離間する方向とに、寝台本体を移動可能に構成されている。
【0062】
また、架台22は、円筒状の内部空間に磁場を発生させる機能と、内部空間へ向けて電磁波を照射する機能と、患者から発生した信号を受信する機能とを有している。この架台22は、図2に示すように、本体制御部24からの制御信号に基づいて、磁場及び電磁波を発生させる架台駆動部22aと、患者から発生した信号を受信する受信器22bとを備えている。
【0063】
また、通信部23は、例えば有線LANボードなどで構成され、通信回線4に接続する機能と、通信回線4を介して各種情報の受送信を行う機能とを有している。
また、本体制御部24は、CPUやメモリなどのハードウェアと、制御プログラムなどのソフトウェアとで構成されている。
【0064】
この本体制御部24は、情報処理装置3との各種信号の授受に係る処理機能と、寝台21、架台22、及び通信部23との各種信号の授受に係る処理機能と、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する機能とを有している。
【0065】
一方、情報処理装置3は、オペレータの各種操作を受け付ける機能と、装置本体2との各種信号の授受を行う機能と、装置本体2から取得した複数のMRI画像に対して各種情報処理を行う機能と、歯科矯正の診断を支援する機能とを有している。
【0066】
この情報処理装置3は、図1及び図2に示すように、各種情報を表示する表示部31と、オペレータの操作を受け付ける操作受付部32と、各種情報を記憶する記憶部33と、通信回線4に接続される通信部34と、これらの動作を制御する制御部35とで構成されている。
【0067】
具体的には、表示部31は、図1に示すように、例えば液晶ディスプレイなどで構成され、制御部35からの制御信号により、各種情報を表示する機能を有している。
また、操作受付部32は、図1に示すように、例えばキーボード32aやマウス32bなどで構成され、オペレータによる入力操作を受け付ける機能と、受け付けた入力内容を示す情報を制御部35に出力する機能とを有している。
【0068】
また、記憶部33は、ハードディスクあるいは不揮発性メモリなどで構成され、各種情報を書き込んで記憶する機能と、各種情報を読み出す機能とを有している。この記憶部33には、装置本体2を用いた患者Mの撮像を支援する撮像支援プログラム36、装置本体2から取得した複数のMRI画像37、及び医師による歯科矯正の診断を支援する診断支援プログラム38などが記憶されている。
【0069】
また、通信部34は、例えば有線LANボードなどで構成され、通信回線4に接続する機能と、通信回線4を介して各種情報の受送信を行う機能とを有している。
また、制御部35は、CPUやメモリなどのハードウェアと、制御プログラムなどのソフトウェアとで構成されている。
【0070】
この制御部35は、装置本体2との各種信号の授受に係る処理機能と、表示部31、操作受付部32、記憶部33、及び通信部34との各種信号の授受に係る処理機能と、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する機能とを有している。
【0071】
次に、上述した構成のMRI検査装置1において、情報処理装置3の制御部35が撮像支援プログラム36及び診断支援プログラム38を実行した際の処理動作について、図3から図7を用いて説明する。
【0072】
なお、図3は撮像支援プログラム36を実行した際の処理動作のシーケンス図を示し、図4は第1支援処理における処理動作のフローチャートを示している。
さらに、図5は第1操作画面50の概略図を示し、図6は第2支援処理における処理動作のフローチャートを示し、図7は第2操作画面60の概略図を示している。
【0073】
まず、情報処理装置3が、MRI画像37を取得するまでの処理動作について、簡単に説明する。
具体的には、装置本体2の寝台21に患者が仰向けに寝た状態において、撮像支援プログラム36を実行するオペレータの操作を受け付けると、情報処理装置3の制御部35は、撮像支援プログラム36を実行して、オペレータの操作を受け付け可能にする。
【0074】
その後、患者の撮像を開始するオペレータの操作を受け付けると、情報処理装置3の制御部35は、図3に示すように、撮像開始を示す制御情報を、通信回線4を介して装置本体2に送信する(ステップS101)。
【0075】
制御情報を取得した装置本体2の本体制御部24は、図3に示すように、寝台本体を架台22の内部空間へ向けて移動開始させる(ステップS102)。さらに、本体制御部24は、架台22の内部空間に磁場を発生させるとともに、架台22の内部空間へ電磁波を照射して、架台22に患者の頭部の撮像を開始させる(ステップS103)。
【0076】
患者の頭部の撮像が開始されると、本体制御部24は、患者の横断面に沿った断層画像であるMRI画像37を逐次取得するとともに、取得したMRI画像を一時記憶する(ステップS104)。
その後、患者の撮像が完了すると、本体制御部24は、一時記憶した全てのMRI画像を、通信回線4を介して情報処理装置3に送信する(ステップS105)。
【0077】
さらに、本体制御部24は、磁場の発生及び電磁波の照射を停止して、患者が寝ている寝台本体を初期位置に戻すように、架台22から離間する方向へ向けて寝台本体を移動させる(ステップS106)。
【0078】
一方、通信回線4を介して複数のMRI画像を受信すると、情報処理装置3の制御部35は、受信した複数のMRI画像37を関連付けて記憶部33に記憶して、患者の頭部の撮像に係る各種処理を終了する(ステップS107)。
【0079】
患者の撮像後、患者のMRI画像37が記憶部33に記憶された状態において、医師の操作によって診断支援プログラム38を実行されると、情報処理装置3の制御部35は、図4に示すように、医師による歯科矯正の診断を支援するための第1支援処理を開始する。
【0080】
具体的には、第1支援処理が開始されると、情報処理装置3の制御部35は、図4に示すように、オペレータの操作を受け付けて、患者の頭部を示す立体モデルであるMRI三次元モデルを、複数のMRI画像37から生成して記憶部33に記憶する(ステップS111)。
【0081】
このMRI三次元モデルは、患者の矢状面に略平行な断層画像である縦断面画像、横断面に沿った断層画像である横断面画像、及び前額面に沿った断層画像である前額面画像を、任意の位置で得られるように構成されている。
【0082】
なお、縦断面画像、横断面画像、及び前額面画像は、MRI三次元モデルから生成されているため、X線で患者を撮像した画像に比べて、軟組織の輪郭が鮮明なMRI画像となる。
【0083】
より詳しくは、制御部35は、横断面に沿った断層画像であるMRI画像37に、患者の左右方向をX軸方向、患者の前後方向をY軸方向とする座標情報を付与する。
さらに、制御部35は、患者の上下方向をZ軸方向とする座標情報を付与して、MRI画像37をZ軸方向に積層することで、三次元座標情報を有するMRI三次元モデルを生成する。
【0084】
MRI三次元モデルを生成すると、制御部35は、図4に示すように、複数のMRI画像37に基づいて、患者の頭部を側方から撮像した側方頭部X線規格写真に相当する疑似セファロ画像を生成する(ステップS112)。
【0085】
具体的には、制御部35は、複数のMRI画像37から軟組織の輪郭部分及び硬組織の輪郭部分をそれぞれ抽出したのち、抽出した軟組織の輪郭部分及び硬組織の輪郭部分とで、患者の頭部の三次元モデルを生成する。
例えば、制御部35は、複数のMRI画像37から皮膚の輪郭と、皮質骨の輪郭とをそれぞれ抽出して、患者の頭部の三次元モデルを生成する。
【0086】
その後、制御部35は、軟組織の輪郭部分及び硬組織の輪郭部分とで生成された三次元モデルに対して、側方から頭部X規格撮影を疑似的に行って側方頭部X線規格写真に相当する側方頭部規格写真を取得する。そして、制御部35は、このようにして得られた側方頭部規格写真を、疑似セファロ画像として記憶部33に記憶する。
【0087】
なお、本実施形態では、田井尚子著の岡山大学審査学位論文「三次元MRI画像を用いたセファロ分析の研究」(岡山大学学術成果リポジトリ http://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/ 2013年9月30日発行)に基づいて、MRI画像37から疑似セファロ画像を生成している。
【0088】
MRI三次元モデル及び疑似セファロ画像を生成すると、制御部35は、図4に示すように、歯科矯正の診断に必要な計測点を特定する医師の操作を受け付ける第1操作画面50を表示部31に表示する(ステップS113)。
【0089】
この第1操作画面50には、図5に示すように、画面左側に設けた画像表示範囲51に疑似セファロ画像52が表示され、疑似セファロ画像52の「明るさ」及び「コントラスト」を調整するスライダー53が画像表示範囲51の下方に表示されている。
【0090】
さらに、第1操作画面50には、図5に示すように、計測点の名称が登録された名称欄と、計測点の特定完了を示す丸印が登録される特定済欄とで構成された計測点一覧54が、画像表示範囲51の右側に表示されている。
【0091】
加えて、第1操作画面50には、図5に示すように、計測点の位置を確定する位置確定ボタン55と、画像表示範囲51に表示される画像を切換える画像切換えボタン56と、特定された計測点に基づいた出力処理を開始する出力ボタン57とが、計測点一覧54の下方に表示されている。
【0092】
図4のステップS113に戻り、第1操作画面50を表示すると、制御部35は、医師の操作によって、計測点一覧54の何れかの計測点の名称が選択されているか否かを判定する(ステップS114)。
計測点の名称が選択されていない場合(ステップS114:No)、制御部35は、計測点の名称が選択されるまで処理を待機する。
【0093】
一方、何れかの計測点の名称が選択されている場合(ステップS114:Yes)、制御部35は、図4に示すように、医師の操作によって画像切換えボタン56が押下されたか否かを判定する(ステップS115)。
画像切換えボタン56が押下されていない場合(ステップS115:No)、制御部35は、図4に示すように、画像表示範囲51内が押下されたか否かを判定する(ステップS116)。
【0094】
画像表示範囲51内が押下された場合、すなわち疑似セファロ画像52上の任意の位置が押下された場合(ステップS116:Yes)、制御部35は、押下された押下位置を示す丸印(図示省略)を、疑似セファロ画像52の上に重ね合わせて表示する(ステップS117)。
【0095】
この際、医師は、丸印の位置が、所望する計測点の位置に表示されているか否かを目視で判断し、丸印が所望する計測点の位置に表示されている場合、位置確定ボタン55を押下する。なお、丸印が所望する計測点の位置からズレていた場合、医師は、疑似セファロ画像52の上の任意の位置を再度押下して丸印の位置を修正する。
【0096】
丸印を画像表示範囲51に表示すると、制御部35は、図4に示すように、医師の操作によって位置確定ボタン55が押下されたか否かを判定する(ステップS118)。
位置確定ボタン55が押下された場合(ステップS118:Yes)、制御部35は、図4に示すように、疑似セファロ画像52上における丸印の位置を示す座標情報を、計測点の位置を示すセファロ座標情報として取得する(ステップS119)。
【0097】
その後、制御部35は、セファロ座標情報と計測点の名称とを関連付けて記憶部33に記憶するとともに、計測点の名称に対応する計測点一覧54の特定済欄に丸印を表示させる。
【0098】
なお、ステップS116において、画像表示範囲51内が押下されていない場合(ステップS116:No)、またはステップS118において、位置確定ボタン55が押下されていない場合(ステップS118:No)、制御部35は、処理をステップS115に戻して、ステップS115からステップS118を繰り返す。
【0099】
また、図4のステップS115において、医師の操作によって画像切換えボタン56が押下された場合(ステップS115:Yes)、制御部35は、図4に示すように、MRI三次元モデルを用いて、計測点の特定を支援する第2支援処理を開始する(ステップS120)。
【0100】
具体的には、第2支援処理を開始すると、制御部35は、図6に示すように、歯科矯正の診断に必要な計測点を特定する医師の操作を受け付ける第2操作画面60を表示部31に表示する(ステップS131)。
【0101】
この第2操作画面60には、図7に示すように、画面上部に設けた画像表示範囲61に横断面画像62及び縦断面画像63が表示され、横断面画像62の下方に、横断面画像62の断面位置を上方または下方へ移動させる上ボタン64及び下ボタン65が表示されている。
【0102】
さらに、第2操作画面60には、図7に示すように、縦断面画像63の下方に、縦断面画像63の断面位置を左方向または右方向へ移動させる左ボタン66及び右ボタン67が表示され、横断面画像62及び縦断面画像63の「明るさ」及び「コントラスト」を同時に調整するスライダー68が画面左下部に表示されている。
【0103】
加えて、第2操作画面60には、図7に示すように、前額面に沿った断面位置での断層画像である前額面画像を表示する前額面表示ボタン69と、第2支援処理を終了して第1操作画面50に戻るキャンセルボタン70と、医師の操作によって押下された押下位置を計測点として確定する位置確定ボタン71とが画面右下部に表示されている。
【0104】
なお、画像表示範囲61に表示された横断面画像62は、図4のステップS111で生成したMRI三次元モデルを、上下方向における任意の断面位置で撮像したMRI断層画像である。
一方、画像表示範囲61に表示された縦断面画像63は、図4のステップS111で生成したMRI三次元モデルを、左右方向における任意の断面位置で撮像したMRI断層画像である。
【0105】
図6のステップS131に戻って第2操作画面60を表示すると、制御部35は、医師の操作によって画像表示範囲61内の計測点に対応する位置が押下されたか否かを判定する(ステップS132)。
この際、医師は、例えば硬組織の輪郭上に位置する計測点に対応する位置を、軟組織部分の輪郭から読み取って押下する。
【0106】
画像表示範囲61内が押下された場合、すなわち横断面画像62上または縦断面画像63上の任意の位置が押下された場合(ステップS132:Yes)、制御部35は、図6及び図7に示すように、押下された押下位置を示す丸印Wを、横断面画像62の上及び縦断面画像63の上に重ね合わせて表示する(ステップS133)。
【0107】
より詳しくは、例えば横断面画像62が縦断面画像63より先に押下された場合、制御部35は、横断面画像62における押下位置のX軸方向の座標情報及びY軸方向の座標情報に基づいて、押下位置を示す丸印Wを横断面画像62の上に表示する。
【0108】
さらに、制御部35は、横断面画像62における押下位置のY軸方向の座標情報と、横断面画像62の断面位置となるZ軸方向の座標情報とに基づいて、押下位置に対応する縦断面画像63上の位置を算出して、丸印Wを縦断面画像63の上に重ね合わせて表示する。
【0109】
あるいは、縦断面画像63が横断面画像62よりも先に押下された場合、制御部35は、縦断面画像63における押下位置のY軸方向の座標情報及びZ軸方向の座標情報に基づいて、押下位置を示す丸印Wを縦断面画像63の上に表示する。
【0110】
さらに、制御部35は、縦断面画像63の断面位置となるX軸方向の座標情報と、縦断面画像63における押下位置のY軸方向の座標情報とに基づいて、押下位置に対応する横断面画像62上の位置を算出して、丸印Wを横断面画像62の上に重ね合わせて表示する。
【0111】
丸印Wが表示されると、医師は、丸印Wの位置が、所望する計測点の位置に表示されているか否かを目視で判断し、丸印Wが所望する計測点の位置に表示されている場合、位置確定ボタン71を押下する。
なお、丸印Wが所望する計測点の位置からズレていた場合、医師は、横断面画像62または縦断面画像63の上の任意の位置を再度押下して丸印Wの位置を修正する。
【0112】
横断面画像62及び縦断面画像63に丸印Wを表示すると、制御部35は、図6に示すように、医師の操作によって前額面表示ボタン69が押下されたか否かを判定する(ステップS134)。
前額面表示ボタン69が押下されていない場合(ステップS134:No)、制御部35は、ステップS135をスキップして処理を後述するステップS136に進める。
【0113】
一方、前額面表示ボタン69が押下された場合(ステップS134:Yes)、制御部35は、Y軸方向における丸印Wの座標情報に基づいて、丸印Wをとおる断面位置での前額面画像を、MRI三次元モデルから生成して表示部31に表示する(ステップS135)。
その後、制御部35は、図6に示すように、医師の操作によって位置確定ボタン71が押下されたか否かを判定する(ステップS136)。
【0114】
医師の操作によって位置確定ボタン71が押下された場合(ステップS136:Yes)、制御部35は、図6に示すように、丸印Wの位置を示す座標情報を、所望する計測点の座標情報として取得する(ステップS137)。
さらに、制御部35は、側方頭部規格写真における計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得する(ステップS138)。
【0115】
詳述すると、制御部35は、側方からの頭部X線規格撮影で疑似的に撮像した際の計測点の撮像位置を示す座標情報を、取得した丸印Wの座標情報から算出して、セファロ座標情報として取得する。
【0116】
セファロ座標情報を取得すると、制御部35は、セファロ座標情報と計測点の名称とを関連付けて記憶部33に記憶するとともに、計測点の名称に対応する計測点一覧54の特定済欄に丸印を表示させる。
その後、制御部35は、図6に示すように、第2支援処理を終了して、処理を図4のステップS120に戻して第1操作画面50を表示する。
【0117】
なお、図6のステップS132において、画像表示範囲61内が押下されていない場合(ステップS132:No)、あるいは図6のステップS136において、位置確定ボタン55が押下されていない場合(ステップS136:No)、制御部35は、処理をステップS132に戻す。
【0118】
図4のステップS120に戻ると、制御部35は、図4に示すように、医師の操作によって出力ボタン57が押下されたか否かを判定する(ステップS121)。
出力ボタン57が押下されていない場合(ステップS121:No)、制御部35は、図4に示すように、全ての計測点の特定が完了していないものとして、処理をステップS114に戻すとともに、出力ボタン57が押下されるまでステップS114からステップS121の処理を繰り返す。
【0119】
一方、出力ボタン57が押下された場合(ステップS121:Yes)、制御部35は、予め設定された矯正診断のための出力データを、取得したセファロ座標情報に基づいて出力する出力処理を開始する(ステップS122)。
【0120】
例えば出力処理を開始すると、制御部35は、セファロ座標情報に基づいて、計測点と計測点とを結ぶ直線の長さや基準平面に対する角度などを算出して、歯牙と顎骨との相対位置関係を示す分析結果として取得する。
【0121】
その後、制御部35は、分析結果に基づいて生成したプロフィログラムを表示部31に表示する、あるいはセファロ座標情報が示す計測点を、疑似セファロ画像52に重ね合わせて表示部31に表示して、第1支援処理を終了する。
【0122】
引き続き、鼻腔下の略三角形の突起である前鼻棘(Anterior Nasal Spine)を所望する計測点ANSとして、上述の図4のステップS113からステップS120を経てステップS122に至る工程について、図8から図10を用いてさらに詳述する。
【0123】
なお、図8はMRI画像に基づいた計測点の特定を説明する説明図であり、図8(a)は画像表示範囲61に表示された横断面画像62を示し、図8(b)は画像表示範囲61に表示された縦断面画像63を示している。
【0124】
さらに、図9はMRI画像に基づいた計測点の特定を説明する説明図であり、図9(a)は画像表示範囲61に表示された縦断面画像63を示し、図9(b)は計測点ANSを撮像した頭部規格写真の概略図を示している。
加えて、図10は計測点ANSを重ね合わせた疑似セファロ画像52の概略を説明する概略図を示している。
【0125】
まず、医師が所望する計測点ANSは、硬組織の輪郭上に位置する計測点であるが、骨密度が低く疑似セファロ画像52では不鮮明となり易い部位として知られている(図10参照)。
このため、医師は、第1操作画面50において、疑似セファロ画像52では計測点ANSを識別できないため、画像切換えボタン56を押下して、第2操作画面60を呼び出す。
【0126】
この際、情報処理装置3の制御部35は、図4のステップS115:YesからステップS120へ移行して、第2支援処理を開始したのち、図6のステップS131において、第2操作画面60を表示部31に表示する。
【0127】
第2操作画面60が表示部31に表示されると、医師は、図8(a)に示すように、画像表示範囲61に表示された横断面画像62を確認して、計測点ANSに対応する位置を押下する。この際、医師は、硬組織の輪郭上に位置する計測点ANSに対応する位置を、横断面画像62の軟組織部分の輪郭から読み取って押下する。
【0128】
横断面画像62上が押下されると、情報処理装置3の制御部35は、図6のステップS132において、押下位置を示す丸印Wを横断面画像62に重ね合わせて表示する。
さらに、制御部35は、図8(b)に示すように、横断面画像62における押下位置のY軸方向の座標情報と、横断面画像62の断面位置となるZ軸方向の座標情報とに基づいて、押下位置に対応する縦断面画像63上の位置を算出して、丸印Wを縦断面画像63に重ね合わせて表示する。
【0129】
そして、情報処理装置3の制御部35は、前額面表示ボタン69が押下されず(図6のステップS134:No)、かつ位置確定ボタン55が押下されていない場合(図6のステップS136:No)、画像表示範囲61内への押下操作を引き続き受け付ける。これにより、制御部35は、丸印Wの位置修正を可能にしている。
【0130】
丸印Wが表示されると、医師は、図8(b)に示すように、画像表示範囲61に表示された縦断面画像63において、丸印Wが計測点ANSに対応する位置に表示されているか確認する。ここでは、丸印Wは、図8(b)に示すように、計測点ANSに対して下方の位置に位置ズレしている。
【0131】
そこで、医師は、図8(b)及び図9(a)に示すように、縦断面画像63上において、計測点ANSに対応する位置を押下して丸印Wの位置を修正する。
この際、制御部35は、縦断面画像63の断面位置となるX軸方向の座標情報と、縦断面画像63における押下位置のY軸方向の座標情報とに基づいて、押下位置に対応する横断面画像62上の位置を算出して、丸印Wを横断面画像62に重ね合わせて表示することで、横断面画像62上の丸印Wの位置も修正する。
【0132】
その後、医師は、図8(a)及び図9(a)に示すように、横断面画像62及び縦断面画像63上において、丸印Wが計測点ANSに対応する位置に表示されるまで、横断面画像62及び縦断面画像63を繰り返し押下して丸印Wの位置を修正する。
【0133】
さらに、丸印Wの位置をより正確に確認したい医師は、第2操作画面60の前額面表示ボタン69を押下して、丸印Wの位置を前額面画像で確認する。
この際、制御部35は、ステップS135において、医師の操作によって閉じられるまで、前額面画像が表示される画面を表示部31に表示する。
【0134】
前額面画像において、丸印Wが計測点ANSに対応する位置に表示された場合、医師は、位置確定ボタン71を押下して、丸印Wを計測点ANSとして特定する。
この際、情報処理装置3の制御部35は、図6のステップS137において、丸印Wの位置を示す座標情報を取得したのち、図6のステップS138において、丸印Wの座標情報に基づいたセファロ座標情報を取得する。その後、制御部35は、処理を図4のステップS121に進める。
【0135】
なお、このセファロ座標情報は、図9(a)及び図9(b)に示すように、縦断面画像63と丸印Wとを重ね合わせたデータから縦断面画像63のみを除去したのち、側方から頭部X線規格撮影を行って得た疑似セファロ画像80上の丸印Wの位置を示す座標情報となる。
【0136】
位置確定ボタン71を押下した医師は、第1操作画面50において、疑似セファロ画像52とセファロ座標情報とに基づいた出力データを得るために、出力ボタン57を押下する。
【0137】
この際、例えば情報処理装置3の制御部35は、図4のステップS122において、セファロ座標情報が示す計測点ANSを、ステップS112で生成した疑似セファロ画像52に重ね合わせた画像データ90(図10参照)を、出力データとして表示部31に表示する。
このようにして、本実施形態のMRI検査装置1は、頭部X線規格写真では不鮮明となり易い計測点を、MRI画像37を用いて特定可能にするとともに、矯正診断に適した画像データ90を取得可能にしている。
【0138】
以上のように、本実施形態の情報処理装置3は、歯科矯正における診断を支援する装置である。
この情報処理装置3は、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像63を取得する画像取得手段(制御部35)と、縦断面画像63に基づいて、矯正診断のための計測点を特定する計測点特定手段(表示部31、操作受付部32、制御部35)とを備えている。
【0139】
さらに、情報処理装置3は、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得手段(制御部35)を備えたものである。
【0140】
また、本実施形態における診断支援プログラム38は、歯科矯正における診断を支援する装置が実行するプログラムである。
この診断支援プログラム38は、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像63を取得する画像取得ステップ(ステップS113)と、縦断面画像63に基づいて、矯正診断のための計測点を特定する計測点特定ステップ(ステップS131からステップS137)とを実行するものである。
【0141】
さらに、診断支援プログラム38は、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得ステップ(ステップS138)を実行するものである。
【0142】
また、本実施形態におけるMRI検査装置1は、患者の頭部を磁気共鳴によって撮像する撮像手段(装置本体2)と、撮像手段が撮像したMRI画像37に基づいて、少なくとも矢状面に略平行な縦断面画像63を出力する画像出力手段(情報処理装置3の制御部35)とを備えたものである。
【0143】
さらに、MRI検査装置1は、上述の診断支援プログラム38を記憶する記憶手段(情報処理装置3の記憶部33)と、診断支援プログラム38を実行する実行手段(情報処理装置3の制御部35)とを備えたものである。
【0144】
また、本実施形態における情報処理方法は、歯科矯正における診断を支援する装置が行う方法である。
この情報処理方法は、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像63を画像取得手段が取得する画像取得工程(ステップS113)と、計測点特定手段が縦断面画像63に基づいて、矯正診断のための計測点を特定する計測点特定工程(ステップS131からステップS137)とを行うものである。
【0145】
さらに、情報処理方法は、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程(ステップS138)を行うものである。
【0146】
この構成によれば、情報処理装置3、診断支援プログラム38、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適した出力データを取得することができる。
【0147】
具体的には、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した縦断面画像63を取得することにより、情報処理装置3、診断支援プログラム38、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、X線を照射して撮像した画像に比べて軟組織の輪郭が鮮明な画像を取得することができる。
【0148】
このため、縦断面画像63に基づいて矯正診断のための計測点を特定する際、情報処理装置3、診断支援プログラム38、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、硬組織の輪郭上に位置する計測点を、軟組織部分の輪郭から特定することができる。
【0149】
これにより、情報処理装置3、診断支援プログラム38、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、例えば骨密度が小さく輪郭が不鮮明となり易い硬組織の輪郭上に位置する計測点であっても、計測点の特定を容易にすることができる。
【0150】
さらに、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得することにより、情報処理装置3、診断支援プログラム38、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、取得したセファロ座標情報を、例えば顎骨と歯牙との位置関係の算出やプロフィログラムの作成などに用いることができる。
【0151】
よって、情報処理装置3、診断支援プログラム38、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適した出力データを取得することができる。
【0152】
加えて、磁気共鳴によって撮像した縦断面画像63を用いるため、情報処理装置3、診断支援プログラム38、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、X線を照射して患者の頭部を撮像した場合に比べて、患者の被爆量をゼロに抑えることができる。
【0153】
このため、情報処理装置3、診断支援プログラム38、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、複数回の撮像が必要な歯科矯正において、例えば子供や妊婦に対する負担を大幅に軽減することができる。
【0154】
また、画像取得手段(制御部35)は、磁気共鳴によって患者の頭部を横断面で撮像した横断面画像62をさらに取得する構成である。
さらに、計測点特定手段(表示部31、操作受付部32、制御部35)は、縦断面画像63及び横断面画像62に基づいて計測点を特定する構成である。
【0155】
この構成によれば、情報処理装置3は、例えば縦断面画像63上の計測点の位置を、横断面画像62を用いて修正することができる。このため、情報処理装置3は、計測点の位置精度をより向上することができる。
【0156】
また、情報処理装置3は、セファロ座標情報が示す計測点に基づいた出力データを出力する出力手段(表示部31、制御部35)を備えたものである。
この構成によれば、情報処理装置3は、セファロ座標情報が示す計測点に基づいた出力データ、例えばプロフィログラムなどを医師や患者に提供することができる。このため、情報処理装置3は、医師による矯正診断をより容易にすることができる。
【0157】
また、出力手段は、少なくともセファロ座標情報が示す計測点を、患者の頭部を撮像した疑似セファロ画像52に重ね合わせた出力データ(画像データ90)を出力する構成である。
この構成によれば、情報処理装置3は、位置精度の高い測定点がプロットされた疑似セファロ画像52を出力することができる。
【0158】
この際、セファロ座標情報と疑似セファロ画像52とが頭部X線規格撮影によって得られているため、情報処理装置3は、例えば画像処理によるサイズ調整を不要にして、セファロ座標情報が示す計測点を、疑似セファロ画像52に位置ズレすることなく重ね合わせることができる。
【0159】
このため、情報処理装置3は、セファロ座標情報が示す計測点を、医師が疑似セファロ画像52にプロットする手間を省くだけでなく、例えば医師が経験に基づいて位置調整しながら、セファロ座標情報が示す計測点と疑似セファロ画像52とを重ね合わせる手間を省くことができる。
【0160】
さらに、情報処理装置3は、計測点がプロットされた疑似セファロ画像52を、例えば表示部31を介して医師や患者に提供できるため、患者の診断や患者への説明を容易にすることができる。
【0161】
また、患者の頭部を撮像した疑似セファロ画像52は、磁気共鳴によって撮像された画像に基づいて生成されたものである。
この構成によれば、情報処理装置3は、X線を照射して頭部X線規格写真を取得した場合に比べて、患者の被爆量をゼロに抑えることができる。このため、情報処理装置3は、複数回の撮像が必要な歯科矯正において、例えば子供や妊婦に対する負担を確実に軽減することができる。
【0162】
また、計測点特定手段は、少なくとも縦断面画像63を表示する表示部31と、計測点を特定するオペレータの操作を受け付ける操作受付部32とが設けられたものである。
この構成によれば、情報処理装置3は、オペレータが少なくとも縦断面画像63を確認しながら、オペレータの経験則に基づいて計測点を特定することができる。このため、情報処理装置3は、例えば骨密度が小さく輪郭が不鮮明となり易い硬組織の輪郭上に位置する計測点であっても、軟組織の輪郭が鮮明な縦断面画像63と、オペレータの経験則とに基づいて、計測点をより精度よく特定することができる。
【0163】
(変形例)
上述した実施形態のMRI検査装置1に対して、図6の第2支援処理で表示される画像が異なるMRI検査装置1について、変形例における第2操作画面200の概略図を示す図12から図14を用いて説明する。
なお、上述した実施形態と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0164】
まず、医師の操作によって第1支援処理が開始されると、情報処理装置3の制御部35は、上述の実施形態と同様に、図4のステップS111からステップS114の処理動作を行う。
【0165】
その後、図4のステップS115において、医師の操作によって第1操作画面50の画像切換えボタン56が押下されると(ステップS115:Yes)、情報処理装置3の制御部35は、図6に示すように、第2支援処理を開始して、第2操作画面200を表示部31に表示する(ステップS131)。
【0166】
一例として、この第2操作画面200には、図12に示すように、歯科矯正の診断に必要な計測点の特定に用いる三次元モデルが頭部三次元画像201として表示される画像表示範囲202と、頭部三次元画像201の表示状態を変更する硬組織表示ボタン203及び縮小モデル表示ボタン204とが表示されている。
【0167】
さらに、第2操作画面200には、3つの断面ボタン(XY断面ボタン205、YZ断面ボタン206、及びXZ断面ボタン207)と、スライダー68、前額面表示ボタン69、キャンセルボタン70及び位置確定ボタン71とが表示されている。
なお、第2操作画面200の画像表示範囲202には、硬組織表示ボタン203が押下されるたびに、複数のMRI画像37から生成された2つの三次元モデルのうち一方が頭部三次元画像201として表示される。
【0168】
詳述すると、画像表示範囲202には、第1支援処理のステップS111で生成されたMRI三次元モデル、または第1支援処理のステップS112で抽出された硬組織部分で構成された三次元モデル(図12から図14参照)が、頭部三次元画像201として表示されている。
【0169】
さらに詳述すると、画像表示範囲202は、MRI三次元モデルが頭部三次元画像201として表示された状態で、硬組織表示ボタン203が押下されると、頭部三次元画像201が、硬組織部分で構成された三次元モデルに変更され、硬組織部分で構成された三次元モデルが表示された状態で、硬組織表示ボタン203が押下されると、頭部三次元画像201がMRI三次元モデルに変更されるように、制御部35によって制御されている。
【0170】
この頭部三次元画像201として表示される三次元モデル(MRI三次元モデル及び硬組織部分で構成された三次元モデル)は、医師の操作によって任意の方向へ回転可能かつ拡大縮小可能な状態で表示されている。
さらに、三次元モデル(MRI三次元モデル及び硬組織部分で構成された三次元モデル)は、医師の操作によって任意の断面位置で切断可能に表示されている。
【0171】
なお、任意の断面位置での断面は、図14に示すように、頭部三次元画像201がMRI三次元モデルまたは硬組織部分で構成された三次元モデルのどちらの場合であっても、MRI三次元モデルを断面位置で切断した際の断面が表示されている。
【0172】
また、画像表示範囲202の左下には、第1支援処理のステップS111で生成されたMRI三次元モデルが縮小モデル208として縮小表示されている。この縮小モデル208は、頭部三次元画像201と同じ方向を向くように、頭部三次元画像201の回転に追従して回転可能に表示されるとともに、縮小モデル表示ボタン204の押下によって表示状態と非表示状態とを選択可能になっている。
【0173】
また、3つの断面ボタン(XY断面ボタン205、YZ断面ボタン206、及びXZ断面ボタン207)は、図14に示すように、頭部三次元画像201として表示された三次元モデルを任意の断面位置で切断した断面を表示するためのボタンである。
【0174】
詳述すると、XY断面ボタン205は、Z軸方向の任意の位置でX-Y座標平面に沿った断面を表示するために設けられている。なお、Z軸方向の任意の位置は、医師の操作によって移動可能に構成されている。
【0175】
また、YZ断面ボタン206は、X軸方向の任意の位置でY-Z座標平面に沿った断面を表示するために設けられている。なお、X軸方向の任意の位置は、医師の操作によって移動可能に構成されている。
【0176】
また、XZ断面ボタン207は、Y軸方向の任意の位置でX-Z座標平面に沿った断面を表示するために設けられている。なお、Y軸方向の任意の位置は、医師の操作によって移動可能に構成されている。
【0177】
このような第2操作画面200を表示すると、制御部35は、医師の操作によって画像表示範囲202内の計測点に対応する位置が押下されたか否かを判定する(ステップS132)。
この際、医師は、例えば三次元CADを操作するように、頭部三次元画像201として表示された三次元モデルを適宜に回転及び拡大縮小するとともに、硬組織表示ボタン203を押下して頭部三次元画像201の表示状態を変更しながら、所望される計測点に対応する位置を読み取る。
【0178】
さらには、医師は、図14に示すように、3つの断面ボタンのいずれかを押下して任意の断面位置での断面を表示させながら、所望される計測点に対応する位置を読み取る。
このようにして、所望される計測点に対応する位置を読み取った医師は、頭部三次元画像201上の計測点に対応する位置を押下する。
【0179】
医師の操作によって画像表示範囲202内が押下された場合(ステップS132:Yes)、制御部35は、押下された押下位置を示す丸印Wを、頭部三次元画像201の上に重ね合わせて表示する(ステップS133)。
【0180】
なお、丸印Wが所望する計測点の位置からズレていた場合、医師は、上述のステップS132と同様にして、所望される計測点に対応する位置を読み取って、再度押下することで丸印Wの位置を修正する。
【0181】
その後、制御部35は、上述した実施形態と同様に、図6のステップS134からステップS137の処理を行い、ステップS138において、側方頭部規格写真における計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得する。
【0182】
そして、図4の第1支援処理に戻ってステップS121及びステップS122の処理を行うことで、制御部35は、例えばセファロ座標情報が示す計測点を、疑似セファロ画像52に重ね合わせた画像データ90を表示部31に表示する。
【0183】
以上のように、上述した歯科矯正における診断を支援する情報処理装置3は、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した頭部の三次元モデルを取得する三次元モデル取得手段(制御部35)を備えている。
【0184】
さらに、情報処理装置3は、三次元モデルに基づいて、矯正診断のための計測点を特定する計測点特定手段(表示部31、操作受付部32、制御部35)と、特定された計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得手段(制御部35)とを備えている。
【0185】
また、上述した情報処理装置3が実行する情報処理プログラムは、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した頭部の三次元モデルを取得する三次元モデル取得ステップ(ステップS111及びステップS112)と、三次元モデルに基づいて、矯正診断のための計測点を特定する計測点特定ステップ(ステップS131からステップS137)とを実行するものである。
【0186】
さらに、情報処理プログラムは、特定された計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得ステップ(ステップS138)を実行するものである。
【0187】
また、上述したMRI検査装置1は、患者の頭部を磁気共鳴によって撮像する撮像手段(装置本体2)と、撮像手段が撮像したMRI画像37に基づいて、患者の頭部の三次元モデルを出力する三次元モデル出力手段(情報処理装置3の制御部35)とを備えている。
【0188】
さらに、MRI検査装置1は、上記の情報処理プログラムを記憶する記憶手段(情報処理装置3の記憶部33)と、情報処理プログラムを実行する実行手段(情報処理装置3の制御部35)とを備えている。
【0189】
また、上述した情報処理装置3が実行する情報処理方法は、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した頭部の三次元モデルを三次元モデル取得手段が取得する三次元モデル取得工程(ステップS111及びステップS112)と、計測点特定手段が三次元モデルに基づいて、矯正診断のための計測点を特定する計測点特定工程(ステップS131からステップS137)とを行うものである。
【0190】
さらに、情報処理方法は、特定された計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程(ステップS138)を行う。
【0191】
この構成によれば、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得することができる。
具体的には、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した三次元モデルを取得することにより、情報処理装置3、情報処理プログラム、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、患者の頭部の状態を様々な方向から確認できるため、患者の頭部にX線を照射して撮像した画像に比べて、矯正診断のための計測点の位置を確認し易くすることができる。
【0192】
さらに、三次元モデル取得手段によって取得した三次元モデルの軟組織の輪郭が、X線を照射して撮像した画像で生成した三次元モデルに比べて鮮明なため、情報処理装置3、情報処理プログラム、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、不鮮明になり易い硬組織の輪郭上に位置する計測点を、軟組織の輪郭から特定することができる。
【0193】
そして、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得することにより、情報処理装置3、情報処理プログラム、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、取得したセファロ座標情報を、例えば顎骨と歯牙との位置関係の算出やプロフィログラムの作成などに用いることができる。
【0194】
よって、情報処理装置3、情報処理プログラム、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得することができる。
【0195】
加えて、磁気共鳴によって撮像した画像から生成した三次元モデルを用いるため、情報処理装置3、情報処理プログラム、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、X線を照射して患者の頭部を撮像した場合に比べて、患者の被爆量をゼロに抑えることができる。
【0196】
このため、情報処理装置3、情報処理プログラム、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、複数回の撮像が必要な歯科矯正において、例えば子供や妊婦に対する負担を大幅に軽減することができる。
【0197】
また、セファロ座標情報が示す計測点に基づいた出力データ(画像データ90)を出力する出力手段(表示部31、制御部35)を備えているため、情報処理装置3は、セファロ座標情報が示す計測点に基づいた出力データ、例えばプロフィログラムなどを医師や患者に提供することができる。このため、情報処理装置3は、医師による矯正診断をより容易にすることができる。
【0198】
また、出力手段(表示部31、制御部35)は、少なくともセファロ座標情報が示す計測点を、患者の頭部を撮像した疑似セファロ画像52に重ね合わせた出力データ(画像データ90)を出力する構成である。
この構成によれば、情報処理装置3は、位置精度の高い所定測定点がプロットされた疑似セファロ画像52を出力することができる。
【0199】
さらに、セファロ座標情報と疑似セファロ画像52とが頭部X線規格撮影によって得られているため、情報処理装置3は、例えば画像処理によるサイズ調整や医師による位置調整を不要にして計測点を疑似セファロ画像52に重ね合わせることができる。
【0200】
また、患者の頭部を撮像した疑似セファロ画像52が、磁気共鳴によって撮像された画像に基づいて生成されているため、X線を照射して頭部X線規格写真を取得した場合に比べて、患者の被爆量をゼロに抑えることができる。このため、情報処理装置3は、複数回の撮像が必要な歯科矯正において、例えば子供や妊婦に対する負担を確実に軽減することができる。
【0201】
また、計測点特定手段は、三次元モデル取得手段が取得した三次元モデルを表示する表示部31と、表示部31に表示された三次元モデルの操作及び計測点を特定するオペレータの操作を受け付ける操作受付部32とが設けられている。
【0202】
この構成によれば、オペレータが三次元モデルを様々な方向から確認しながら、オペレータの経験則に基づいて計測点を特定することができる。
このため、情報処理装置3は、例えば骨密度が小さく輪郭が不鮮明となり易い硬組織の輪郭上に位置する計測点であっても、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した三次元モデルと、オペレータの経験則とに基づいて、計測点をより精度よく特定することができる。
【0203】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の画像取得手段は、実施形態の制御部35に対応し、
以下同様に、
所定計測点は、計測点に対応し、
計測点特定手段は、表示部31、操作受付部32、及び制御部35に対応し、
セファロ座標取得手段、画像出力手段、及び実行手段は、制御部35に対応し、
頭部規格写真は、疑似セファロ画像52に対応し、
出力手段及び表示手段は、表示部31に対応し、
操作受付手段は、操作受付部32に対応し、
歯科矯正における診断を支援する装置は、情報処理装置3に対応し、
情報処理プログラムは、診断支援プログラム38に対応し、
画像取得ステップ及び画像取得工程は、図4のステップS113に対応し、
計測点特定ステップ及び計測点特定工程は、図6のステップS131からステップS137に対応し、
セファロ座標取得ステップ及びセファロ座標取得工程は、図6のステップS138に対応し、
撮像手段は、架台22に対応し、
記憶手段は、記憶部33に対応し、
画像変更手段、三次元モデル取得手段、及び三次元モデル出力手段は、制御部35に対応し、
三次元モデルは、MRI三次元モデル、及び硬組織部分で構成された三次元モデルに対応し、
モデル操作手段は、操作受付部32に対応し、
画像変更工程は、ステップS132に対応し、
三次元モデル取得ステップは、ステップS111及びステップS112に対応し、
三次元モデル取得工程は、ステップS111及びステップS112に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0204】
例えば、上述した実施形態において、撮像支援プログラム36及び診断支援プログラム38を情報処理装置3が実行する構成としたが、これに限定せず、情報処理装置3とは別の端末が、撮像支援プログラム36を実行し、情報処理装置3が診断支援プログラム38を実行する構成であってもよい。
【0205】
また、情報処理装置3は、装置本体2から取得したMRI画像37を記憶する構成としたが、これに限定せず、例えばサーバーに記憶されたMRI画像を通信回線4を介して取得する構成であってもよい。
あるいは、記憶媒体に記憶されたMRI画像37を、情報処理装置3に設けた記憶媒体読取部で読み取って取得する構成であってもよい。
【0206】
また、情報処理装置3が、MRI三次元モデルから縦断面画像63及び横断面画像62を生成する構成としたが、これに限定せず、情報処理装置3とは別体の端末またはサーバーが、MRI三次元モデルから縦断面画像63及び横断面画像62を生成してもよい。
【0207】
また、図5の第1操作画面50及び図7の第2操作画面60は一例であって、これに限定せず、適宜の構成の操作画面であってもよい。
例えば、別の実施形態における第2操作画面60の概略図を示す図11のように、横断面画像62の断面位置を変更する上ボダン及び下ボタンにかえて、縦断面画像63上で横断面画像62の断面位置を変更できる横断面位置スライダー72を設けてもよい。
【0208】
この場合、縦断面画像63の断面位置を変更する左ボタン及び右ボタンにかえて、横断面画像62上で縦断面画像63の断面位置を変更できる縦断面位置スライダー73を設ける。
これにより、画像表示範囲61には、Y軸方向の座標情報が同じ横断面画像62と縦断面画像63とが常に表示されることになるため、情報処理装置3は、第2操作画面60の操作性を向上することができる。
【0209】
また、患者の横断面に沿った断層画像をMRI画像37としたが、これに限定せず、患者の矢状面に平行な断層画像、あるいは患者の前額面に沿った断層画像をMRI画像として取得してもよい。
【0210】
また、複数のMRI画像37からMRI三次元モデルを生成したのち、MRI三次元モデルから横断面画像62を取得する構成としたが、これに限定せず、MRI画像37を横断面画像62として取得してもよい。
【0211】
また、出力データの一例として、セファロ座標情報が示す計測点ANSを、側方から頭部X線規格撮影した疑似セファロ画像52に重ね合わせて出力データとしたが、これに限定せず、セファロ座標情報が示す計測点ANSを、前方から頭部X線規格撮影した疑似セファロ画像に重ね合わせて出力データとしてもよい。
また、出力データを表示部31に表示する構成としたが、これに限定せず、例えば出力データをプリンタに出力する、あるいはサーバーや別端末に出力する構成であってもよい。
【0212】
また、図4のステップS111からステップS122の処理、及び図6のステップS131から148の処理は、一例であって少なくともMRI画像37に基づいた縦断面画像63から計測点を特定して、セファロ座標情報を取得できる構成であれば、適宜の処理動作であってもよい。
また、一例として、鼻腔下の略三角形の突起である前鼻棘を所望する計測点ANSとして説明したが、これに限定せず、患者の頭部における適宜の部位を計測点としてもよい。
【0213】
また、医師の操作によって計測点を特定する診断支援プログラム38を実行する情報処理装置3としたが、これに限定せず、機械学習モデルを用いた診断支援プログラムを実行して、計測点を自動的に特定する情報処理装置であってもよい。
この場合、機械学習モデルは、MRI三次元モデルから生成した横断面画像及び縦断面画像を用いて、硬組織の輪郭上に位置する計測点を軟組織の輪郭から特定するように学習したモデルとする。
【0214】
あるいは、機械学習モデルは、硬組織の輪郭上に位置する計測点を、MRI画像37から生成した三次元モデル(MRI三次元モデル及び硬組織部分で構成された三次元モデル)から特定するように学習したモデルとする。
【0215】
また、上述した実施形態において、情報処理装置3がステップS111及びステップS112で三次元モデルを生成する構成としたが、これに限定せず、例えば情報処理装置3とは別の端末またはサーバーがMRI画像37から三次元モデルを生成して、情報処理装置3に送信する構成であってもよい。
【0216】
また、横断面画像62及び縦断面画像63を表示する実施形態のステップS132において、画像表示範囲61内の計測点に対応する位置を押下する際、あるいはステップS133において、所望する計測点の位置からズレている丸印Wの位置を修正する際、医師が、上ボタン64、下ボタン65、左ボタン66、及び右ボタン67を押下して断面位置の異なる横断面画像62または/および縦断面画像63に適宜変更しながら、計測点に対応する位置を押下するのが好ましい。
【0217】
この際、情報処理装置3の制御部35は、医師によって上ボタン64または下ボタン65が押下されると、断面位置の異なる横断面画像62を画像表示範囲61に表示させ、医師によって左ボタン66または右ボタン67が押下されると、断面位置の異なる縦断面画像63を画像表示範囲61に表示させる。
【0218】
つまり、このような情報処理方法は、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な複数の縦断面画像63を画像取得手段が取得する画像取得工程(ステップS113)と、複数の縦断面画像63のうち、1つの縦断面画像63を表示部31が表示する表示工程(ステップS113)とを行う。
【0219】
さらに、情報処理方法は、表示部31に表示された縦断面画像63を、オペレータの操作によって制御部35が断面位置の異なる縦断面画像63に変更する画像変更工程(ステップS132及びステップS133)と、表示部31に表示された縦断面画像63に基づいて、矯正診断のための計測点を特定するオペレータの操作を操作受付部32が受け付ける操作受付工程(ステップS132)とを行う。
【0220】
そして、情報処理方法は、特定された計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程(ステップS138)を行うことになる。
【0221】
これによれば、表示部31に表示する縦断面画像63をオペレータが変更しながら計測点を特定できるため、情報処理方法は、硬組織の輪郭上に位置する計測点を、軟組織部分の輪郭から精度よく特定することができる。
【0222】
よって、情報処理方法は、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得することができる。
【0223】
また、横断面画像62及び縦断面画像63を表示する実施形態のステップS133において、丸印Wが所望する計測点の位置からズレていた場合、横断面画像62または縦断面画像63の上の任意の位置を再度押下して丸印Wの位置を修正したが、これに限定しない。
【0224】
例えば上ボタン64、下ボタン65、左ボタン66、あるいは右ボタン67を押下して、断面位置の異なる横断面画像62または/および縦断面画像63に変更することで、画像上の任意の位置を再押下することなく丸印Wの位置を修正してもよい。
【0225】
また、三次元モデルを表示する変形例において、MRI三次元モデル、及び硬組織部分で構成された三次元モデルを用いた第2支援処理としたが、これに限定せず、MRI三次元モデル、及び硬組織部分で構成された三次元モデルのいずれか一方を用いた第2支援処理であってもよい。
【0226】
また、三次元モデルを表示する変形例において、疑似セファロ画像52から計測点を特定する第1支援処理を不要にして、三次元モデルから計測点を特定する第2支援処理のみで、所望される全ての計測点を特定してもよい。
【0227】
これによれば、情報処理装置3、情報処理プログラム、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、不鮮明になり易い硬組織の輪郭上に位置する計測点だけでなく、比較的鮮明な硬組織の輪郭上に位置する計測点も三次元モデルによって精度よく、かつ容易に特定することができる。
【0228】
また、上述の詳細な説明において、骨密度が低いため、硬組織の輪郭が不鮮明となると説明したが、硬組織の輪郭が不鮮明となる理由は、これだけでなく、石灰化が未熟な部分と周辺組織とが重なった部分、尖端構造の先端部、あるいは薄い皮質骨なども硬組織の輪郭が不鮮明となる理由である。
このような理由で硬組織の輪郭が不鮮明となる場合であっても、上述した情報処理装置3、情報処理プログラム、MRI検査装置1、及び情報処理方法によって、所定計測点の位置精度を向上することができる。
【符号の説明】
【0229】
1…MRI検査装置
3…情報処理装置
22…架台
31…表示部
32…操作受付部
33…記憶部
35…制御部
37…MRI画像
38…診断支援プログラム
52…疑似セファロ画像
62…横断面画像
63…縦断面画像
M…患者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2022-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科矯正における診断を支援する情報処理装置であって、
磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像を取得する画像取得手段と、
前記縦断面画像上における矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定手段と、
特定された前記所定計測点の前記縦断面画像上の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影による座標における前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得手段とを備えた
情報処理装置。
【請求項2】
前記画像取得手段は、
磁気共鳴によって患者の頭部を横断面で撮像した横断面画像をさらに取得する構成であり、
前記計測点特定手段は、
前記縦断面画像及び前記横断面画像上における前記所定計測点を特定する構成である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記セファロ座標情報が示す前記所定計測点に基づいた出力データを出力する出力手段を備えた
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力手段は、
少なくとも前記セファロ座標情報が示す前記所定計測点を、前記患者の頭部を撮像した頭部規格写真に重ね合わせた出力データを出力する構成である
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記患者の頭部を撮像した頭部規格写真は、
磁気共鳴によって撮像された画像から生成された患者の頭部の三次元モデルを、頭部X線規格撮影で撮像して取得した画像データである
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記計測点特定手段は、
少なくとも前記縦断面画像を表示する表示手段と、
前記所定計測点を特定するオペレータの操作を受け付ける操作受付手段とが設けられた
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
歯科矯正における診断を支援する装置が実行する情報処理プログラムであって、
磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像を取得する画像取得ステップと、
前記縦断面画像上における矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定ステップと、
特定された前記所定計測点の前記縦断面画像上の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影による座標における前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得ステップとを実行する
情報処理プログラム。
【請求項8】
患者の頭部を磁気共鳴によって撮像する撮像手段と、
該撮像手段が撮像したMRI画像に基づいて、少なくとも矢状面に略平行な縦断面画像を出力する画像出力手段と、
請求項7に記載の情報処理プログラムを記憶する記憶手段と、
前記情報処理プログラムを実行する実行手段とを備えた
MRI検査装置。
【請求項9】
歯科矯正における診断を支援する装置が行う情報処理方法であって、
磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像を画像取得手段が取得する画像取得工程と、
計測点特定手段が前記縦断面画像上における矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定工程と、
特定された前記所定計測点の前記縦断面画像上の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影による座標における前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程とを行う
情報処理方法。
【請求項10】
歯科矯正における診断を支援する装置が行う情報処理方法であって、
磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な複数の縦断面画像を画像取得手段が取得する画像取得工程と、
複数の前記縦断面画像のうち、1つの前記縦断面画像を表示手段が表示する表示工程と、
前記表示手段に表示された前記縦断面画像を、オペレータの操作によって画像変更手段が断面位置の異なる前記縦断面画像に変更する画像変更工程と、
前記表示手段に表示された前記縦断面画像上における矯正診断のための所定計測点を特定する前記オペレータの操作を操作受付手段が受け付ける操作受付工程と、
特定された前記所定計測点の前記縦断面画像上の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影による座標における前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程とを行う
情報処理方法。
【請求項11】
歯科矯正における診断を支援する情報処理装置であって、
磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した前記頭部の三次元モデルを取得する三次元モデル取得手段と、
前記三次元モデル上における矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定手段と、
特定された前記所定計測点の前記縦断面画像上の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影による座標における前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得手段とを備えた
情報処理装置。
【請求項12】
前記セファロ座標情報が示す前記所定計測点に基づいた出力データを出力する出力手段を備えた
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記出力手段は、
少なくとも前記セファロ座標情報が示す前記所定計測点を、前記患者の頭部を撮像した頭部規格写真に重ね合わせた出力データを出力する構成である
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記患者の頭部を撮像した頭部規格写真は、
磁気共鳴によって撮像された画像から生成された患者の頭部の三次元モデルを、頭部X線規格撮影で撮像して取得した画像データである
請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記計測点特定手段は、
前記三次元モデル取得手段が取得した前記三次元モデルを表示する表示手段と、
該表示手段に表示された前記三次元モデルの操作を受付けるモデル操作手段と、
前記所定計測点を特定するオペレータの操作を受け付ける操作受付手段とが設けられた
請求項11から請求項14のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項16】
歯科矯正における診断を支援する装置が実行する情報処理プログラムであって、
磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した前記頭部の三次元モデルを取得する三次元モデル取得ステップと、
前記三次元モデル上における矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定ステップと、
特定された前記所定計測点の前記三次元モデル上の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影による座標における前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得ステップとを実行する
情報処理プログラム。
【請求項17】
患者の頭部を磁気共鳴によって撮像する撮像手段と、
該撮像手段が撮像したMRI画像に基づいて、前記患者の頭部の三次元モデルを出力する三次元モデル出力手段と、
請求項16に記載の情報処理プログラムを記憶する記憶手段と、
前記情報処理プログラムを実行する実行手段とを備えた
MRI検査装置。
【請求項18】
歯科矯正における診断を支援する装置が実行する情報処理方法であって、
磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した前記頭部の三次元モデルを三次元モデル取得手段が取得する三次元モデル取得工程と、
計測点特定手段が前記三次元モデル上における矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定工程と、
特定された前記所定計測点の前記三次元モデル上の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影による座標における前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程とを行う
情報処理方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば歯科矯正の分野において、頭部規格写真を用いた医師の診断を支援するような情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯科矯正の分野において、患者の上顎骨、下顎骨、及び歯牙の状態を診断するために、頭部X線規格写真(セファログラムまたはセファロともいう)を用いることが知られている。
この頭部X線規格写真を用いた矯正診断では、矯正診断に必要な所定計測点である歯牙の先端や頭蓋の前鼻棘などを、医師が頭部X線規格写真から特定して、顎骨と歯牙との位置関係などの分析に用いている。
【0003】
より詳しくは、例えば医師は、頭部X線規格写真から、歯牙や骨などの硬組織の輪郭、及び筋肉や皮膚などの軟組織の輪郭をトレースしてトレース図を作成する。その後、医師は、矯正診断に必要な所定計測点を、頭部X線規格写真から読み取ってトレース図にプロットして、分析に用いている。
【0004】
ところで、X線を照射して撮像した頭部X線規格写真は、X線透過率の違いから硬組織に比べて軟組織の輪郭が不鮮明となり易い。さらに、頭部X線規格写真は、硬組織であっても骨密度の違いなどによって輪郭が不鮮明となる部位がある。
このため、歯科矯正の分野では、X線を照射して撮像した頭部X線規格写真から所定計測点を読み取った場合、所定計測点によっては位置精度が低くなることが知られている。
【0005】
そこで、例えばX線を照射して撮像された頭部X線規格写真に対して画像処理を加えることで、硬組織及び軟組織が鮮明な矯正診断に適した画像データを取得して、所定計測点の位置精度を向上する様々な技術が提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のように、頭部X線規格写真に対して画像処理を加えて矯正診断に適した画像を得る場合、矯正診断に適した画像が得られるまでに複数の工程が必要であるため、効率が悪く改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-196316号公報
【特許文献2】特開2015-229001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑み、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、所定計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得できる情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、歯科矯正における診断を支援する情報処理装置であって、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像を取得する画像取得手段と、前記縦断面画像上における矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定手段と、特定された前記所定計測点の前記縦断面画像上の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影による座標における前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
またこの発明は、歯科矯正における診断を支援する装置が実行する情報処理プログラムであって、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像を取得する画像取得ステップと、前記縦断面画像上における矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定ステップと、特定された前記所定計測点の前記縦断面画像上の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影による座標における前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得ステップとを実行することを特徴とする。
【0011】
またこの発明は、患者の頭部を磁気共鳴によって撮像する撮像手段と、該撮像手段が撮像したMRI画像に基づいて、少なくとも矢状面に略平行な縦断面画像を出力する画像出力手段と、上記の情報処理プログラムを記憶する記憶手段と、前記情報処理プログラムを実行する実行手段とを備えたMRI検査装置であることを特徴とする。
【0012】
またこの発明は、歯科矯正における診断を支援する装置が行う情報処理方法であって、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像を画像取得手段が取得する画像取得工程と、計測点特定手段が前記縦断面画像上における矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定工程と、特定された前記所定計測点の前記縦断面画像上の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影による座標における前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程とを行うことを特徴とする。
【0013】
上記画像取得手段及び画像取得ステップは、記憶媒体を読み取って縦断面画像を取得する、あるいは通信回線を介して縦断面画像を取得することをいう。
上記計測点特定手段及び計測点特定ステップは、オペレータの操作を受付けるとともに、所定計測点をオペレータの操作によって特定する、あるいは機械学習モデルが所定計測点を自動的に特定することをいう。
【0014】
この発明によれば、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、所定計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得することができる。
【0015】
具体的には、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した縦断面画像を取得することにより、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、X線を照射して撮像した画像に比べて軟組織の輪郭が鮮明な画像を取得することができる。
【0016】
このため、縦断面画像に基づいて矯正診断のための所定計測点を特定する際、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、硬組織の輪郭上に位置する所定計測点を、軟組織部分の輪郭から特定することができる。
【0017】
これにより、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、例えば骨密度が小さく輪郭が不鮮明となり易い硬組織の輪郭上に位置する所定計測点であっても、所定計測点の特定を容易にすることができる。
【0018】
さらに、頭部X線規格撮影によって撮像した所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得することにより、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、取得したセファロ座標情報を、例えば顎骨と歯牙との位置関係の算出やプロフィログラムの作成などに用いることができる。
【0019】
よって、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、所定計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得することができる。
【0020】
加えて、磁気共鳴によって撮像した縦断面画像を用いるため、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、X線を照射して患者の頭部を撮像した場合に比べて、患者の被爆量をゼロに抑えることができる。
【0021】
このため、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、複数回の撮像が必要な歯科矯正において、例えば子供や妊婦に対する負担を大幅に軽減することができる。
【0022】
この発明の態様として、前記画像取得手段は、磁気共鳴によって患者の頭部を横断面で撮像した横断面画像をさらに取得する構成であり、前記計測点特定手段は、前記縦断面画像及び前記横断面画像上における前記所定計測点を特定する構成であってもよい。
【0023】
この構成によれば、情報処理装置は、例えば縦断面画像上の所定計測点の位置を、横断面画像を用いて修正することができる。このため、情報処理装置は、所定計測点の位置精度をより向上することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記セファロ座標情報が示す前記所定計測点に基づいた出力データを出力する出力手段を備えてもよい。
上記出力手段は、出力データを表示する表示手段あるいは出力データを印刷する印刷手段などのことをいう。
【0025】
この構成によれば、情報処理装置は、セファロ座標情報が示す所定計測点に基づいた出力データ、例えばプロフィログラムなどを医師や患者に提供することができる。このため、情報処理装置は、医師による矯正診断をより容易にすることができる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記出力手段は、少なくとも前記セファロ座標情報が示す前記所定計測点を、前記患者の頭部を撮像した頭部規格写真に重ね合わせた出力データを出力する構成であってもよい。
上記頭部規格写真とは、磁気共鳴によって撮像された画像から生成された患者の頭部の三次元モデルを、頭部X線規格撮影で撮像して取得した画像データ、あるいはX線を用いた頭部X規格撮影で患者の頭部を撮像して取得した画像データのことをいう。
【0027】
この構成によれば、情報処理装置は、位置精度の高い所定測定点がプロットされた頭部規格写真を出力することができる。
この際、セファロ座標情報と頭部規格写真とが頭部X線規格撮影によって得られているため、情報処理装置は、例えば画像処理によるサイズ調整を不要にして、セファロ座標情報が示す所定計測点を、頭部規格写真に位置ズレすることなく重ね合わせることができる。
【0028】
このため、情報処理装置は、セファロ座標情報が示す所定計測点を、医師が頭部規格写真にプロットする手間を省くだけでなく、例えば医師が経験に基づいて位置調整しながら、セファロ座標情報が示す所定計測点と頭部規格写真とを重ね合わせる手間を省くことができる。
【0029】
さらに、情報処理装置は、所定計測点がプロットされた頭部規格写真を、例えばモニターを介して医師や患者に提供できるため、患者の診断や患者への説明を容易にすることができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記患者の頭部を撮像した頭部規格写真は、磁気共鳴によって撮像された画像から生成された患者の頭部の三次元モデルを、頭部X線規格撮影で撮像して取得した画像データであってもよい。
この構成によれば、情報処理装置は、X線を照射して頭部X線規格写真を取得した場合に比べて、患者の被爆量をゼロに抑えることができる。このため、情報処理装置は、複数回の撮像が必要な歯科矯正において、例えば子供や妊婦に対する負担を確実に軽減することができる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記計測点特定手段は、少なくとも前記縦断面画像を表示する表示手段と、前記所定計測点を特定するオペレータの操作を受け付ける操作受付手段とが設けられてもよい。
【0032】
この構成によれば、情報処理装置は、オペレータが少なくとも縦断面画像を確認しながら、オペレータの経験則に基づいて所定計測点を特定することができる。このため、情報処理装置は、例えば骨密度が小さく輪郭が不鮮明となり易い硬組織の輪郭上に位置する所定計測点であっても、軟組織の輪郭が鮮明な縦断面画像と、オペレータの経験則とに基づいて、所定計測点をより精度よく特定することができる。
【0033】
またこの発明は、歯科矯正における診断を支援する装置が行う情報処理方法であって、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な複数の縦断面画像を画像取得手段が取得する画像取得工程と、複数の前記縦断面画像のうち、1つの前記縦断面画像を表示手段が表示する表示工程と、前記表示手段に表示された前記縦断面画像を、オペレータの操作によって画像変更手段が断面位置の異なる前記縦断面画像に変更する画像変更工程と、前記表示手段に表示された前記縦断面画像上における矯正診断のための所定計測点を特定する前記オペレータの操作を操作受付手段が受け付ける操作受付工程と、特定された前記所定計測点の前記縦断面画像上の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影による座標における前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程とを行うことを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、表示手段に表示する縦断面画像をオペレータが変更しながら所定計測点を特定できるため、硬組織の輪郭上に位置する所定計測点を、軟組織部分の輪郭から精度よく特定することができる。
【0035】
よって、情報処理方法は、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、所定計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得することができる。
【0036】
またこの発明は、歯科矯正における診断を支援する情報処理装置であって、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した前記頭部の三次元モデルを取得する三次元モデル取得手段と、前記三次元モデル上における矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定手段と、特定された前記所定計測点の前記縦断面画像上の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影による座標における前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得手段とを備えたことを特徴とする。
【0037】
またこの発明は、歯科矯正における診断を支援する装置が実行する情報処理プログラムであって、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した前記頭部の三次元モデルを取得する三次元モデル取得ステップと、前記三次元モデル上における矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定ステップと、特定された前記所定計測点の前記三次元モデル上の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影による座標における前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得ステップとを実行することを特徴とする。
【0038】
またこの発明は、患者の頭部を磁気共鳴によって撮像する撮像手段と、該撮像手段が撮像したMRI画像に基づいて、前記患者の頭部の三次元モデルを出力する三次元モデル出力手段と、上記の情報処理プログラムを記憶する記憶手段と、前記情報処理プログラムを実行する実行手段とを備えたMRI検査装置であることを特徴とする。
【0039】
またこの発明は、歯科矯正における診断を支援する装置が実行する情報処理方法であって、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した前記頭部の三次元モデルを三次元モデル取得手段が取得する三次元モデル取得工程と、計測点特定手段が前記三次元モデル上における矯正診断のための所定計測点を特定する計測点特定工程と、特定された前記所定計測点の前記三次元モデル上の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影による座標における前記所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程とを行うことを特徴とする。
【0040】
この発明によれば、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、所定計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得することができる。
具体的には、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した三次元モデルを取得することにより、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、患者の頭部の状態を様々な方向から確認できるため、患者の頭部にX線を照射して撮像した画像に比べて、矯正診断のための所定計測点の位置を確認し易くすることができる。
【0041】
さらに、三次元モデル取得手段によって取得した三次元モデルの軟組織の輪郭が、X線を照射して撮像した画像で生成した三次元モデルに比べて鮮明なため、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、不鮮明になり易い硬組織の輪郭上に位置する所定計測点を、軟組織の輪郭から特定することができる。
【0042】
さらにまた、例えば三次元モデルから硬組織部分のみを抽出することで、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、不鮮明になり易い硬組織の輪郭上に位置する所定計測点だけでなく、比較的鮮明な硬組織の輪郭上に位置する所定計測点も三次元モデルによって精度よく、かつ容易に特定することができる。
【0043】
そして、頭部X線規格撮影によって撮像した所定計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得することにより、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、取得したセファロ座標情報を、例えば顎骨と歯牙との位置関係の算出やプロフィログラムの作成などに用いることができる。
【0044】
よって、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、所定計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得することができる。
【0045】
加えて、磁気共鳴によって撮像した画像から生成した三次元モデルを用いるため、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、X線を照射して患者の頭部を撮像した場合に比べて、患者の被爆量をゼロに抑えることができる。
【0046】
このため、情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法は、複数回の撮像が必要な歯科矯正において、例えば子供や妊婦に対する負担を大幅に軽減することができる。
【0047】
この発明の態様として、前記セファロ座標情報が示す前記所定計測点に基づいた出力データを出力する出力手段を備えてもよい。
この構成によれば、情報処理装置は、セファロ座標情報が示す所定計測点に基づいた出力データ、例えばプロフィログラムなどを医師や患者に提供することができる。このため、情報処理装置は、医師による矯正診断をより容易にすることができる。
【0048】
またこの発明の態様として、前記出力手段は、少なくとも前記セファロ座標情報が示す前記所定計測点を、前記患者の頭部を撮像した頭部規格写真に重ね合わせた出力データを出力する構成であってもよい。
この構成によれば、情報処理装置は、位置精度の高い所定測定点がプロットされた頭部規格写真を出力することができる。
【0049】
さらに、セファロ座標情報と頭部規格写真とが頭部X線規格撮影によって得られているため、情報処理装置は、例えば画像処理によるサイズ調整や医師による位置調整を不要にして所定計測点を頭部規格写真に重ね合わせることができる。
【0050】
またこの発明の態様として、前記患者の頭部を撮像した頭部規格写真は、磁気共鳴によって撮像された画像から生成された患者の頭部の三次元モデルを、頭部X線規格撮影で撮像して取得した画像データであってもよい。
この構成によれば、X線を照射して頭部X線規格写真を取得した場合に比べて、患者の被爆量をゼロに抑えることができる。このため、情報処理装置は、複数回の撮像が必要な歯科矯正において、例えば子供や妊婦に対する負担を確実に軽減することができる。
【0051】
またこの発明の態様として、前記計測点特定手段は、前記三次元モデル取得手段が取得した前記三次元モデルを表示する表示手段と、該表示手段に表示された前記三次元モデルの操作を受付けるモデル操作手段と、前記所定計測点を特定するオペレータの操作を受け付ける操作受付手段とが設けられてもよい。
【0052】
上記三次元モデルの操作とは、例えば三次元CADのように、表示手段に表示された三次元モデルの向きや大きさを変更する操作、軟組織部分の表示と非表示とを切り替える操作、任意の断面位置での断面を表示させる操作などのことをいう。
【0053】
この構成によれば、オペレータが三次元モデルを様々な方向から確認しながら、オペレータの経験則に基づいて所定計測点を特定することができる。
このため、情報処理装置は、例えば骨密度が小さく輪郭が不鮮明となり易い硬組織の輪郭上に位置する所定計測点であっても、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した三次元モデルと、オペレータの経験則とに基づいて、所定計測点をより精度よく特定することができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明により、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、所定計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得できる情報処理装置、情報処理プログラム、MRI検査装置、及び情報処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】MRI検査装置の構成を示す構成図。
図2】MRI検査装置の内部構成を示すブロック図。
図3】撮像支援プログラムを実行した際の処理動作を示すシーケンス図。
図4】第1支援処理における処理動作を示すフローチャート。
図5】第1操作画面の概略を示す概略図。
図6】第2支援処理における処理動作を示すフローチャート。
図7】第2操作画面の概略を示す概略図。
図8】MRI画像に基づいた計測点の特定を説明する説明図。
図9】MRI画像に基づいた計測点の特定を説明する説明図。
図10】計測点を重ね合わせた疑似セファロ画像の概略を説明する概略図。
図11】別の実施形態における第2操作画面の概略を示す概略図。
図12】変形例における第2操作画面の概略を示す概略図。
図13】変形例における第2操作画面の概略を示す概略図。
図14】変形例における第2操作画面の概略を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0056】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態は、歯科矯正の分野において、頭部規格写真を用いた医師の診断を支援するMRI検査装置1について、図1及び図2を用いて説明する。
なお、図1はMRI検査装置1の構成図を示し、図2はMRI検査装置1のブロック図を示している。
【0057】
まず、MRI検査装置1は、Magnetic Resonance Imaging検査装置の略であって、磁気共鳴現象を用いて患者Mを撮像して、患者Mの横断面に沿った断層画像を複数取得する装置である。
【0058】
このMRI検査装置1は、図1及び図2に示すように、磁気共鳴によって患者Mを撮像する装置本体2と、装置本体2の動作を制御するとともに、装置本体2から取得した撮像データに対して各種情報処理を行う情報処理装置3とを備えている。
なお、装置本体2と情報処理装置3とは、通信回線4を介して通信可能に接続されている。
【0059】
装置本体2は、情報処理装置3を介してオペレータによって操作され、患者Mを横断面で撮像した断層画像をMRI画像として取得する機能と、複数のMRI画像を、通信回線4を介して情報処理装置3に出力する機能とを有している。
【0060】
この装置本体2は、図1及び図2に示すように、患者Mが横になる寝台21と、寝台21上の患者Mを撮像する円筒状の架台22と、通信回線4が接続される通信部23と、これらの動作を制御する本体制御部24とで構成されている。
なお、装置本体2は、既存の装置であって周知技術のため、ここでは簡単に説明する。
【0061】
具体的には、寝台21は、図2に示すように、患者Mが仰向けに寝る寝台本体(符号省略)と、本体制御部24からの制御信号に基づいて、寝台本体を移動させる寝台駆動部21aとを備えている。この寝台駆動部21aは、架台22の内部空間へ向かう方向と、架台22の内部空間から離間する方向とに、寝台本体を移動可能に構成されている。
【0062】
また、架台22は、円筒状の内部空間に磁場を発生させる機能と、内部空間へ向けて電磁波を照射する機能と、患者から発生した信号を受信する機能とを有している。この架台22は、図2に示すように、本体制御部24からの制御信号に基づいて、磁場及び電磁波を発生させる架台駆動部22aと、患者から発生した信号を受信する受信器22bとを備えている。
【0063】
また、通信部23は、例えば有線LANボードなどで構成され、通信回線4に接続する機能と、通信回線4を介して各種情報の受送信を行う機能とを有している。
また、本体制御部24は、CPUやメモリなどのハードウェアと、制御プログラムなどのソフトウェアとで構成されている。
【0064】
この本体制御部24は、情報処理装置3との各種信号の授受に係る処理機能と、寝台21、架台22、及び通信部23との各種信号の授受に係る処理機能と、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する機能とを有している。
【0065】
一方、情報処理装置3は、オペレータの各種操作を受け付ける機能と、装置本体2との各種信号の授受を行う機能と、装置本体2から取得した複数のMRI画像に対して各種情報処理を行う機能と、歯科矯正の診断を支援する機能とを有している。
【0066】
この情報処理装置3は、図1及び図2に示すように、各種情報を表示する表示部31と、オペレータの操作を受け付ける操作受付部32と、各種情報を記憶する記憶部33と、通信回線4に接続される通信部34と、これらの動作を制御する制御部35とで構成されている。
【0067】
具体的には、表示部31は、図1に示すように、例えば液晶ディスプレイなどで構成され、制御部35からの制御信号により、各種情報を表示する機能を有している。
また、操作受付部32は、図1に示すように、例えばキーボード32aやマウス32bなどで構成され、オペレータによる入力操作を受け付ける機能と、受け付けた入力内容を示す情報を制御部35に出力する機能とを有している。
【0068】
また、記憶部33は、ハードディスクあるいは不揮発性メモリなどで構成され、各種情報を書き込んで記憶する機能と、各種情報を読み出す機能とを有している。この記憶部33には、装置本体2を用いた患者Mの撮像を支援する撮像支援プログラム36、装置本体2から取得した複数のMRI画像37、及び医師による歯科矯正の診断を支援する診断支援プログラム38などが記憶されている。
【0069】
また、通信部34は、例えば有線LANボードなどで構成され、通信回線4に接続する機能と、通信回線4を介して各種情報の受送信を行う機能とを有している。
また、制御部35は、CPUやメモリなどのハードウェアと、制御プログラムなどのソフトウェアとで構成されている。
【0070】
この制御部35は、装置本体2との各種信号の授受に係る処理機能と、表示部31、操作受付部32、記憶部33、及び通信部34との各種信号の授受に係る処理機能と、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する機能とを有している。
【0071】
次に、上述した構成のMRI検査装置1において、情報処理装置3の制御部35が撮像支援プログラム36及び診断支援プログラム38を実行した際の処理動作について、図3から図7を用いて説明する。
【0072】
なお、図3は撮像支援プログラム36を実行した際の処理動作のシーケンス図を示し、図4は第1支援処理における処理動作のフローチャートを示している。
さらに、図5は第1操作画面50の概略図を示し、図6は第2支援処理における処理動作のフローチャートを示し、図7は第2操作画面60の概略図を示している。
【0073】
まず、情報処理装置3が、MRI画像37を取得するまでの処理動作について、簡単に説明する。
具体的には、装置本体2の寝台21に患者が仰向けに寝た状態において、撮像支援プログラム36を実行するオペレータの操作を受け付けると、情報処理装置3の制御部35は、撮像支援プログラム36を実行して、オペレータの操作を受け付け可能にする。
【0074】
その後、患者の撮像を開始するオペレータの操作を受け付けると、情報処理装置3の制御部35は、図3に示すように、撮像開始を示す制御情報を、通信回線4を介して装置本体2に送信する(ステップS101)。
【0075】
制御情報を取得した装置本体2の本体制御部24は、図3に示すように、寝台本体を架台22の内部空間へ向けて移動開始させる(ステップS102)。さらに、本体制御部24は、架台22の内部空間に磁場を発生させるとともに、架台22の内部空間へ電磁波を照射して、架台22に患者の頭部の撮像を開始させる(ステップS103)。
【0076】
患者の頭部の撮像が開始されると、本体制御部24は、患者の横断面に沿った断層画像であるMRI画像37を逐次取得するとともに、取得したMRI画像を一時記憶する(ステップS104)。
その後、患者の撮像が完了すると、本体制御部24は、一時記憶した全てのMRI画像を、通信回線4を介して情報処理装置3に送信する(ステップS105)。
【0077】
さらに、本体制御部24は、磁場の発生及び電磁波の照射を停止して、患者が寝ている寝台本体を初期位置に戻すように、架台22から離間する方向へ向けて寝台本体を移動させる(ステップS106)。
【0078】
一方、通信回線4を介して複数のMRI画像を受信すると、情報処理装置3の制御部35は、受信した複数のMRI画像37を関連付けて記憶部33に記憶して、患者の頭部の撮像に係る各種処理を終了する(ステップS107)。
【0079】
患者の撮像後、患者のMRI画像37が記憶部33に記憶された状態において、医師の操作によって診断支援プログラム38を実行されると、情報処理装置3の制御部35は、図4に示すように、医師による歯科矯正の診断を支援するための第1支援処理を開始する。
【0080】
具体的には、第1支援処理が開始されると、情報処理装置3の制御部35は、図4に示すように、オペレータの操作を受け付けて、患者の頭部を示す立体モデルであるMRI三次元モデルを、複数のMRI画像37から生成して記憶部33に記憶する(ステップS111)。
【0081】
このMRI三次元モデルは、患者の矢状面に略平行な断層画像である縦断面画像、横断面に沿った断層画像である横断面画像、及び前額面に沿った断層画像である前額面画像を、任意の位置で得られるように構成されている。
【0082】
なお、縦断面画像、横断面画像、及び前額面画像は、MRI三次元モデルから生成されているため、X線で患者を撮像した画像に比べて、軟組織の輪郭が鮮明なMRI画像となる。
【0083】
より詳しくは、制御部35は、横断面に沿った断層画像であるMRI画像37に、患者の左右方向をX軸方向、患者の前後方向をY軸方向とする座標情報を付与する。
さらに、制御部35は、患者の上下方向をZ軸方向とする座標情報を付与して、MRI画像37をZ軸方向に積層することで、三次元座標情報を有するMRI三次元モデルを生成する。
【0084】
MRI三次元モデルを生成すると、制御部35は、図4に示すように、複数のMRI画像37に基づいて、患者の頭部を側方から撮像した側方頭部X線規格写真に相当する疑似セファロ画像を生成する(ステップS112)。
【0085】
具体的には、制御部35は、複数のMRI画像37から軟組織の輪郭部分及び硬組織の輪郭部分をそれぞれ抽出したのち、抽出した軟組織の輪郭部分及び硬組織の輪郭部分とで、患者の頭部の三次元モデルを生成する。
例えば、制御部35は、複数のMRI画像37から皮膚の輪郭と、皮質骨の輪郭とをそれぞれ抽出して、患者の頭部の三次元モデルを生成する。
【0086】
その後、制御部35は、軟組織の輪郭部分及び硬組織の輪郭部分とで生成された三次元モデルに対して、側方から頭部X規格撮影を疑似的に行って側方頭部X線規格写真に相当する側方頭部規格写真を取得する。そして、制御部35は、このようにして得られた側方頭部規格写真を、疑似セファロ画像として記憶部33に記憶する。
【0087】
なお、本実施形態では、田井尚子著の岡山大学審査学位論文「三次元MRI画像を用いたセファロ分析の研究」(岡山大学学術成果リポジトリ http://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/ 2013年9月30日発行)に基づいて、MRI画像37から疑似セファロ画像を生成している。
【0088】
MRI三次元モデル及び疑似セファロ画像を生成すると、制御部35は、図4に示すように、歯科矯正の診断に必要な計測点を特定する医師の操作を受け付ける第1操作画面50を表示部31に表示する(ステップS113)。
【0089】
この第1操作画面50には、図5に示すように、画面左側に設けた画像表示範囲51に疑似セファロ画像52が表示され、疑似セファロ画像52の「明るさ」及び「コントラスト」を調整するスライダー53が画像表示範囲51の下方に表示されている。
【0090】
さらに、第1操作画面50には、図5に示すように、計測点の名称が登録された名称欄と、計測点の特定完了を示す丸印が登録される特定済欄とで構成された計測点一覧54が、画像表示範囲51の右側に表示されている。
【0091】
加えて、第1操作画面50には、図5に示すように、計測点の位置を確定する位置確定ボタン55と、画像表示範囲51に表示される画像を切換える画像切換えボタン56と、特定された計測点に基づいた出力処理を開始する出力ボタン57とが、計測点一覧54の下方に表示されている。
【0092】
図4のステップS113に戻り、第1操作画面50を表示すると、制御部35は、医師の操作によって、計測点一覧54の何れかの計測点の名称が選択されているか否かを判定する(ステップS114)。
計測点の名称が選択されていない場合(ステップS114:No)、制御部35は、計測点の名称が選択されるまで処理を待機する。
【0093】
一方、何れかの計測点の名称が選択されている場合(ステップS114:Yes)、制御部35は、図4に示すように、医師の操作によって画像切換えボタン56が押下されたか否かを判定する(ステップS115)。
画像切換えボタン56が押下されていない場合(ステップS115:No)、制御部35は、図4に示すように、画像表示範囲51内が押下されたか否かを判定する(ステップS116)。
【0094】
画像表示範囲51内が押下された場合、すなわち疑似セファロ画像52上の任意の位置が押下された場合(ステップS116:Yes)、制御部35は、押下された押下位置を示す丸印(図示省略)を、疑似セファロ画像52の上に重ね合わせて表示する(ステップS117)。
【0095】
この際、医師は、丸印の位置が、所望する計測点の位置に表示されているか否かを目視で判断し、丸印が所望する計測点の位置に表示されている場合、位置確定ボタン55を押下する。なお、丸印が所望する計測点の位置からズレていた場合、医師は、疑似セファロ画像52の上の任意の位置を再度押下して丸印の位置を修正する。
【0096】
丸印を画像表示範囲51に表示すると、制御部35は、図4に示すように、医師の操作によって位置確定ボタン55が押下されたか否かを判定する(ステップS118)。
位置確定ボタン55が押下された場合(ステップS118:Yes)、制御部35は、図4に示すように、疑似セファロ画像52上における丸印の位置を示す座標情報を、計測点の位置を示すセファロ座標情報として取得する(ステップS119)。
【0097】
その後、制御部35は、セファロ座標情報と計測点の名称とを関連付けて記憶部33に記憶するとともに、計測点の名称に対応する計測点一覧54の特定済欄に丸印を表示させる。
【0098】
なお、ステップS116において、画像表示範囲51内が押下されていない場合(ステップS116:No)、またはステップS118において、位置確定ボタン55が押下されていない場合(ステップS118:No)、制御部35は、処理をステップS115に戻して、ステップS115からステップS118を繰り返す。
【0099】
また、図4のステップS115において、医師の操作によって画像切換えボタン56が押下された場合(ステップS115:Yes)、制御部35は、図4に示すように、MRI三次元モデルを用いて、計測点の特定を支援する第2支援処理を開始する(ステップS120)。
【0100】
具体的には、第2支援処理を開始すると、制御部35は、図6に示すように、歯科矯正の診断に必要な計測点を特定する医師の操作を受け付ける第2操作画面60を表示部31に表示する(ステップS131)。
【0101】
この第2操作画面60には、図7に示すように、画面上部に設けた画像表示範囲61に横断面画像62及び縦断面画像63が表示され、横断面画像62の下方に、横断面画像62の断面位置を上方または下方へ移動させる上ボタン64及び下ボタン65が表示されている。
【0102】
さらに、第2操作画面60には、図7に示すように、縦断面画像63の下方に、縦断面画像63の断面位置を左方向または右方向へ移動させる左ボタン66及び右ボタン67が表示され、横断面画像62及び縦断面画像63の「明るさ」及び「コントラスト」を同時に調整するスライダー68が画面左下部に表示されている。
【0103】
加えて、第2操作画面60には、図7に示すように、前額面に沿った断面位置での断層画像である前額面画像を表示する前額面表示ボタン69と、第2支援処理を終了して第1操作画面50に戻るキャンセルボタン70と、医師の操作によって押下された押下位置を計測点として確定する位置確定ボタン71とが画面右下部に表示されている。
【0104】
なお、画像表示範囲61に表示された横断面画像62は、図4のステップS111で生成したMRI三次元モデルを、上下方向における任意の断面位置で撮像したMRI断層画像である。
一方、画像表示範囲61に表示された縦断面画像63は、図4のステップS111で生成したMRI三次元モデルを、左右方向における任意の断面位置で撮像したMRI断層画像である。
【0105】
図6のステップS131に戻って第2操作画面60を表示すると、制御部35は、医師の操作によって画像表示範囲61内の計測点に対応する位置が押下されたか否かを判定する(ステップS132)。
この際、医師は、例えば硬組織の輪郭上に位置する計測点に対応する位置を、軟組織部分の輪郭から読み取って押下する。
【0106】
画像表示範囲61内が押下された場合、すなわち横断面画像62上または縦断面画像63上の任意の位置が押下された場合(ステップS132:Yes)、制御部35は、図6及び図7に示すように、押下された押下位置を示す丸印Wを、横断面画像62の上及び縦断面画像63の上に重ね合わせて表示する(ステップS133)。
【0107】
より詳しくは、例えば横断面画像62が縦断面画像63より先に押下された場合、制御部35は、横断面画像62における押下位置のX軸方向の座標情報及びY軸方向の座標情報に基づいて、押下位置を示す丸印Wを横断面画像62の上に表示する。
【0108】
さらに、制御部35は、横断面画像62における押下位置のY軸方向の座標情報と、横断面画像62の断面位置となるZ軸方向の座標情報とに基づいて、押下位置に対応する縦断面画像63上の位置を算出して、丸印Wを縦断面画像63の上に重ね合わせて表示する。
【0109】
あるいは、縦断面画像63が横断面画像62よりも先に押下された場合、制御部35は、縦断面画像63における押下位置のY軸方向の座標情報及びZ軸方向の座標情報に基づいて、押下位置を示す丸印Wを縦断面画像63の上に表示する。
【0110】
さらに、制御部35は、縦断面画像63の断面位置となるX軸方向の座標情報と、縦断面画像63における押下位置のY軸方向の座標情報とに基づいて、押下位置に対応する横断面画像62上の位置を算出して、丸印Wを横断面画像62の上に重ね合わせて表示する。
【0111】
丸印Wが表示されると、医師は、丸印Wの位置が、所望する計測点の位置に表示されているか否かを目視で判断し、丸印Wが所望する計測点の位置に表示されている場合、位置確定ボタン71を押下する。
なお、丸印Wが所望する計測点の位置からズレていた場合、医師は、横断面画像62または縦断面画像63の上の任意の位置を再度押下して丸印Wの位置を修正する。
【0112】
横断面画像62及び縦断面画像63に丸印Wを表示すると、制御部35は、図6に示すように、医師の操作によって前額面表示ボタン69が押下されたか否かを判定する(ステップS134)。
前額面表示ボタン69が押下されていない場合(ステップS134:No)、制御部35は、ステップS135をスキップして処理を後述するステップS136に進める。
【0113】
一方、前額面表示ボタン69が押下された場合(ステップS134:Yes)、制御部35は、Y軸方向における丸印Wの座標情報に基づいて、丸印Wをとおる断面位置での前額面画像を、MRI三次元モデルから生成して表示部31に表示する(ステップS135)。
その後、制御部35は、図6に示すように、医師の操作によって位置確定ボタン71が押下されたか否かを判定する(ステップS136)。
【0114】
医師の操作によって位置確定ボタン71が押下された場合(ステップS136:Yes)、制御部35は、図6に示すように、丸印Wの位置を示す座標情報を、所望する計測点の座標情報として取得する(ステップS137)。
さらに、制御部35は、側方頭部規格写真における計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得する(ステップS138)。
【0115】
詳述すると、制御部35は、側方からの頭部X線規格撮影で疑似的に撮像した際の計測点の撮像位置を示す座標情報を、取得した丸印Wの座標情報から算出して、セファロ座標情報として取得する。
【0116】
セファロ座標情報を取得すると、制御部35は、セファロ座標情報と計測点の名称とを関連付けて記憶部33に記憶するとともに、計測点の名称に対応する計測点一覧54の特定済欄に丸印を表示させる。
その後、制御部35は、図6に示すように、第2支援処理を終了して、処理を図4のステップS120に戻して第1操作画面50を表示する。
【0117】
なお、図6のステップS132において、画像表示範囲61内が押下されていない場合(ステップS132:No)、あるいは図6のステップS136において、位置確定ボタン55が押下されていない場合(ステップS136:No)、制御部35は、処理をステップS132に戻す。
【0118】
図4のステップS120に戻ると、制御部35は、図4に示すように、医師の操作によって出力ボタン57が押下されたか否かを判定する(ステップS121)。
出力ボタン57が押下されていない場合(ステップS121:No)、制御部35は、図4に示すように、全ての計測点の特定が完了していないものとして、処理をステップS114に戻すとともに、出力ボタン57が押下されるまでステップS114からステップS121の処理を繰り返す。
【0119】
一方、出力ボタン57が押下された場合(ステップS121:Yes)、制御部35は、予め設定された矯正診断のための出力データを、取得したセファロ座標情報に基づいて出力する出力処理を開始する(ステップS122)。
【0120】
例えば出力処理を開始すると、制御部35は、セファロ座標情報に基づいて、計測点と計測点とを結ぶ直線の長さや基準平面に対する角度などを算出して、歯牙と顎骨との相対位置関係を示す分析結果として取得する。
【0121】
その後、制御部35は、分析結果に基づいて生成したプロフィログラムを表示部31に表示する、あるいはセファロ座標情報が示す計測点を、疑似セファロ画像52に重ね合わせて表示部31に表示して、第1支援処理を終了する。
【0122】
引き続き、鼻腔下の略三角形の突起である前鼻棘(Anterior Nasal Spine)を所望する計測点ANSとして、上述の図4のステップS113からステップS120を経てステップS122に至る工程について、図8から図10を用いてさらに詳述する。
【0123】
なお、図8はMRI画像に基づいた計測点の特定を説明する説明図であり、図8(a)は画像表示範囲61に表示された横断面画像62を示し、図8(b)は画像表示範囲61に表示された縦断面画像63を示している。
【0124】
さらに、図9はMRI画像に基づいた計測点の特定を説明する説明図であり、図9(a)は画像表示範囲61に表示された縦断面画像63を示し、図9(b)は計測点ANSを撮像した頭部規格写真の概略図を示している。
加えて、図10は計測点ANSを重ね合わせた疑似セファロ画像52の概略を説明する概略図を示している。
【0125】
まず、医師が所望する計測点ANSは、硬組織の輪郭上に位置する計測点であるが、骨密度が低く疑似セファロ画像52では不鮮明となり易い部位として知られている(図10参照)。
このため、医師は、第1操作画面50において、疑似セファロ画像52では計測点ANSを識別できないため、画像切換えボタン56を押下して、第2操作画面60を呼び出す。
【0126】
この際、情報処理装置3の制御部35は、図4のステップS115:YesからステップS120へ移行して、第2支援処理を開始したのち、図6のステップS131において、第2操作画面60を表示部31に表示する。
【0127】
第2操作画面60が表示部31に表示されると、医師は、図8(a)に示すように、画像表示範囲61に表示された横断面画像62を確認して、計測点ANSに対応する位置を押下する。この際、医師は、硬組織の輪郭上に位置する計測点ANSに対応する位置を、横断面画像62の軟組織部分の輪郭から読み取って押下する。
【0128】
横断面画像62上が押下されると、情報処理装置3の制御部35は、図6のステップS132において、押下位置を示す丸印Wを横断面画像62に重ね合わせて表示する。
さらに、制御部35は、図8(b)に示すように、横断面画像62における押下位置のY軸方向の座標情報と、横断面画像62の断面位置となるZ軸方向の座標情報とに基づいて、押下位置に対応する縦断面画像63上の位置を算出して、丸印Wを縦断面画像63に重ね合わせて表示する。
【0129】
そして、情報処理装置3の制御部35は、前額面表示ボタン69が押下されず(図6のステップS134:No)、かつ位置確定ボタン55が押下されていない場合(図6のステップS136:No)、画像表示範囲61内への押下操作を引き続き受け付ける。これにより、制御部35は、丸印Wの位置修正を可能にしている。
【0130】
丸印Wが表示されると、医師は、図8(b)に示すように、画像表示範囲61に表示された縦断面画像63において、丸印Wが計測点ANSに対応する位置に表示されているか確認する。ここでは、丸印Wは、図8(b)に示すように、計測点ANSに対して下方の位置に位置ズレしている。
【0131】
そこで、医師は、図8(b)及び図9(a)に示すように、縦断面画像63上において、計測点ANSに対応する位置を押下して丸印Wの位置を修正する。
この際、制御部35は、縦断面画像63の断面位置となるX軸方向の座標情報と、縦断面画像63における押下位置のY軸方向の座標情報とに基づいて、押下位置に対応する横断面画像62上の位置を算出して、丸印Wを横断面画像62に重ね合わせて表示することで、横断面画像62上の丸印Wの位置も修正する。
【0132】
その後、医師は、図8(a)及び図9(a)に示すように、横断面画像62及び縦断面画像63上において、丸印Wが計測点ANSに対応する位置に表示されるまで、横断面画像62及び縦断面画像63を繰り返し押下して丸印Wの位置を修正する。
【0133】
さらに、丸印Wの位置をより正確に確認したい医師は、第2操作画面60の前額面表示ボタン69を押下して、丸印Wの位置を前額面画像で確認する。
この際、制御部35は、ステップS135において、医師の操作によって閉じられるまで、前額面画像が表示される画面を表示部31に表示する。
【0134】
前額面画像において、丸印Wが計測点ANSに対応する位置に表示された場合、医師は、位置確定ボタン71を押下して、丸印Wを計測点ANSとして特定する。
この際、情報処理装置3の制御部35は、図6のステップS137において、丸印Wの位置を示す座標情報を取得したのち、図6のステップS138において、丸印Wの座標情報に基づいたセファロ座標情報を取得する。その後、制御部35は、処理を図4のステップS121に進める。
【0135】
なお、このセファロ座標情報は、図9(a)及び図9(b)に示すように、縦断面画像63と丸印Wとを重ね合わせたデータから縦断面画像63のみを除去したのち、側方から頭部X線規格撮影を行って得た疑似セファロ画像80上の丸印Wの位置を示す座標情報となる。
【0136】
位置確定ボタン71を押下した医師は、第1操作画面50において、疑似セファロ画像52とセファロ座標情報とに基づいた出力データを得るために、出力ボタン57を押下する。
【0137】
この際、例えば情報処理装置3の制御部35は、図4のステップS122において、セファロ座標情報が示す計測点ANSを、ステップS112で生成した疑似セファロ画像52に重ね合わせた画像データ90(図10参照)を、出力データとして表示部31に表示する。
このようにして、本実施形態のMRI検査装置1は、頭部X線規格写真では不鮮明となり易い計測点を、MRI画像37を用いて特定可能にするとともに、矯正診断に適した画像データ90を取得可能にしている。
【0138】
以上のように、本実施形態の情報処理装置3は、歯科矯正における診断を支援する装置である。
この情報処理装置3は、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像63を取得する画像取得手段(制御部35)と、縦断面画像63に基づいて、矯正診断のための計測点を特定する計測点特定手段(表示部31、操作受付部32、制御部35)とを備えている。
【0139】
さらに、情報処理装置3は、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得手段(制御部35)を備えたものである。
【0140】
また、本実施形態における診断支援プログラム38は、歯科矯正における診断を支援する装置が実行するプログラムである。
この診断支援プログラム38は、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像63を取得する画像取得ステップ(ステップS113)と、縦断面画像63に基づいて、矯正診断のための計測点を特定する計測点特定ステップ(ステップS131からステップS137)とを実行するものである。
【0141】
さらに、診断支援プログラム38は、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得ステップ(ステップS138)を実行するものである。
【0142】
また、本実施形態におけるMRI検査装置1は、患者の頭部を磁気共鳴によって撮像する撮像手段(装置本体2)と、撮像手段が撮像したMRI画像37に基づいて、少なくとも矢状面に略平行な縦断面画像63を出力する画像出力手段(情報処理装置3の制御部35)とを備えたものである。
【0143】
さらに、MRI検査装置1は、上述の診断支援プログラム38を記憶する記憶手段(情報処理装置3の記憶部33)と、診断支援プログラム38を実行する実行手段(情報処理装置3の制御部35)とを備えたものである。
【0144】
また、本実施形態における情報処理方法は、歯科矯正における診断を支援する装置が行う方法である。
この情報処理方法は、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な縦断面画像63を画像取得手段が取得する画像取得工程(ステップS113)と、計測点特定手段が縦断面画像63に基づいて、矯正診断のための計測点を特定する計測点特定工程(ステップS131からステップS137)とを行うものである。
【0145】
さらに、情報処理方法は、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程(ステップS138)を行うものである。
【0146】
この構成によれば、情報処理装置3、診断支援プログラム38、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適した出力データを取得することができる。
【0147】
具体的には、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した縦断面画像63を取得することにより、情報処理装置3、診断支援プログラム38、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、X線を照射して撮像した画像に比べて軟組織の輪郭が鮮明な画像を取得することができる。
【0148】
このため、縦断面画像63に基づいて矯正診断のための計測点を特定する際、情報処理装置3、診断支援プログラム38、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、硬組織の輪郭上に位置する計測点を、軟組織部分の輪郭から特定することができる。
【0149】
これにより、情報処理装置3、診断支援プログラム38、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、例えば骨密度が小さく輪郭が不鮮明となり易い硬組織の輪郭上に位置する計測点であっても、計測点の特定を容易にすることができる。
【0150】
さらに、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得することにより、情報処理装置3、診断支援プログラム38、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、取得したセファロ座標情報を、例えば顎骨と歯牙との位置関係の算出やプロフィログラムの作成などに用いることができる。
【0151】
よって、情報処理装置3、診断支援プログラム38、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適した出力データを取得することができる。
【0152】
加えて、磁気共鳴によって撮像した縦断面画像63を用いるため、情報処理装置3、診断支援プログラム38、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、X線を照射して患者の頭部を撮像した場合に比べて、患者の被爆量をゼロに抑えることができる。
【0153】
このため、情報処理装置3、診断支援プログラム38、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、複数回の撮像が必要な歯科矯正において、例えば子供や妊婦に対する負担を大幅に軽減することができる。
【0154】
また、画像取得手段(制御部35)は、磁気共鳴によって患者の頭部を横断面で撮像した横断面画像62をさらに取得する構成である。
さらに、計測点特定手段(表示部31、操作受付部32、制御部35)は、縦断面画像63及び横断面画像62に基づいて計測点を特定する構成である。
【0155】
この構成によれば、情報処理装置3は、例えば縦断面画像63上の計測点の位置を、横断面画像62を用いて修正することができる。このため、情報処理装置3は、計測点の位置精度をより向上することができる。
【0156】
また、情報処理装置3は、セファロ座標情報が示す計測点に基づいた出力データを出力する出力手段(表示部31、制御部35)を備えたものである。
この構成によれば、情報処理装置3は、セファロ座標情報が示す計測点に基づいた出力データ、例えばプロフィログラムなどを医師や患者に提供することができる。このため、情報処理装置3は、医師による矯正診断をより容易にすることができる。
【0157】
また、出力手段は、少なくともセファロ座標情報が示す計測点を、患者の頭部を撮像した疑似セファロ画像52に重ね合わせた出力データ(画像データ90)を出力する構成である。
この構成によれば、情報処理装置3は、位置精度の高い測定点がプロットされた疑似セファロ画像52を出力することができる。
【0158】
この際、セファロ座標情報と疑似セファロ画像52とが頭部X線規格撮影によって得られているため、情報処理装置3は、例えば画像処理によるサイズ調整を不要にして、セファロ座標情報が示す計測点を、疑似セファロ画像52に位置ズレすることなく重ね合わせることができる。
【0159】
このため、情報処理装置3は、セファロ座標情報が示す計測点を、医師が疑似セファロ画像52にプロットする手間を省くだけでなく、例えば医師が経験に基づいて位置調整しながら、セファロ座標情報が示す計測点と疑似セファロ画像52とを重ね合わせる手間を省くことができる。
【0160】
さらに、情報処理装置3は、計測点がプロットされた疑似セファロ画像52を、例えば表示部31を介して医師や患者に提供できるため、患者の診断や患者への説明を容易にすることができる。
【0161】
また、患者の頭部を撮像した疑似セファロ画像52は、磁気共鳴によって撮像された画像に基づいて生成されたものである。
この構成によれば、情報処理装置3は、X線を照射して頭部X線規格写真を取得した場合に比べて、患者の被爆量をゼロに抑えることができる。このため、情報処理装置3は、複数回の撮像が必要な歯科矯正において、例えば子供や妊婦に対する負担を確実に軽減することができる。
【0162】
また、計測点特定手段は、少なくとも縦断面画像63を表示する表示部31と、計測点を特定するオペレータの操作を受け付ける操作受付部32とが設けられたものである。
この構成によれば、情報処理装置3は、オペレータが少なくとも縦断面画像63を確認しながら、オペレータの経験則に基づいて計測点を特定することができる。このため、情報処理装置3は、例えば骨密度が小さく輪郭が不鮮明となり易い硬組織の輪郭上に位置する計測点であっても、軟組織の輪郭が鮮明な縦断面画像63と、オペレータの経験則とに基づいて、計測点をより精度よく特定することができる。
【0163】
(変形例)
上述した実施形態のMRI検査装置1に対して、図6の第2支援処理で表示される画像が異なるMRI検査装置1について、変形例における第2操作画面200の概略図を示す図12から図14を用いて説明する。
なお、上述した実施形態と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0164】
まず、医師の操作によって第1支援処理が開始されると、情報処理装置3の制御部35は、上述の実施形態と同様に、図4のステップS111からステップS114の処理動作を行う。
【0165】
その後、図4のステップS115において、医師の操作によって第1操作画面50の画像切換えボタン56が押下されると(ステップS115:Yes)、情報処理装置3の制御部35は、図6に示すように、第2支援処理を開始して、第2操作画面200を表示部31に表示する(ステップS131)。
【0166】
一例として、この第2操作画面200には、図12に示すように、歯科矯正の診断に必要な計測点の特定に用いる三次元モデルが頭部三次元画像201として表示される画像表示範囲202と、頭部三次元画像201の表示状態を変更する硬組織表示ボタン203及び縮小モデル表示ボタン204とが表示されている。
【0167】
さらに、第2操作画面200には、3つの断面ボタン(XY断面ボタン205、YZ断面ボタン206、及びXZ断面ボタン207)と、スライダー68、前額面表示ボタン69、キャンセルボタン70及び位置確定ボタン71とが表示されている。
なお、第2操作画面200の画像表示範囲202には、硬組織表示ボタン203が押下されるたびに、複数のMRI画像37から生成された2つの三次元モデルのうち一方が頭部三次元画像201として表示される。
【0168】
詳述すると、画像表示範囲202には、第1支援処理のステップS111で生成されたMRI三次元モデル、または第1支援処理のステップS112で抽出された硬組織部分で構成された三次元モデル(図12から図14参照)が、頭部三次元画像201として表示されている。
【0169】
さらに詳述すると、画像表示範囲202は、MRI三次元モデルが頭部三次元画像201として表示された状態で、硬組織表示ボタン203が押下されると、頭部三次元画像201が、硬組織部分で構成された三次元モデルに変更され、硬組織部分で構成された三次元モデルが表示された状態で、硬組織表示ボタン203が押下されると、頭部三次元画像201がMRI三次元モデルに変更されるように、制御部35によって制御されている。
【0170】
この頭部三次元画像201として表示される三次元モデル(MRI三次元モデル及び硬組織部分で構成された三次元モデル)は、医師の操作によって任意の方向へ回転可能かつ拡大縮小可能な状態で表示されている。
さらに、三次元モデル(MRI三次元モデル及び硬組織部分で構成された三次元モデル)は、医師の操作によって任意の断面位置で切断可能に表示されている。
【0171】
なお、任意の断面位置での断面は、図14に示すように、頭部三次元画像201がMRI三次元モデルまたは硬組織部分で構成された三次元モデルのどちらの場合であっても、MRI三次元モデルを断面位置で切断した際の断面が表示されている。
【0172】
また、画像表示範囲202の左下には、第1支援処理のステップS111で生成されたMRI三次元モデルが縮小モデル208として縮小表示されている。この縮小モデル208は、頭部三次元画像201と同じ方向を向くように、頭部三次元画像201の回転に追従して回転可能に表示されるとともに、縮小モデル表示ボタン204の押下によって表示状態と非表示状態とを選択可能になっている。
【0173】
また、3つの断面ボタン(XY断面ボタン205、YZ断面ボタン206、及びXZ断面ボタン207)は、図14に示すように、頭部三次元画像201として表示された三次元モデルを任意の断面位置で切断した断面を表示するためのボタンである。
【0174】
詳述すると、XY断面ボタン205は、Z軸方向の任意の位置でX-Y座標平面に沿った断面を表示するために設けられている。なお、Z軸方向の任意の位置は、医師の操作によって移動可能に構成されている。
【0175】
また、YZ断面ボタン206は、X軸方向の任意の位置でY-Z座標平面に沿った断面を表示するために設けられている。なお、X軸方向の任意の位置は、医師の操作によって移動可能に構成されている。
【0176】
また、XZ断面ボタン207は、Y軸方向の任意の位置でX-Z座標平面に沿った断面を表示するために設けられている。なお、Y軸方向の任意の位置は、医師の操作によって移動可能に構成されている。
【0177】
このような第2操作画面200を表示すると、制御部35は、医師の操作によって画像表示範囲202内の計測点に対応する位置が押下されたか否かを判定する(ステップS132)。
この際、医師は、例えば三次元CADを操作するように、頭部三次元画像201として表示された三次元モデルを適宜に回転及び拡大縮小するとともに、硬組織表示ボタン203を押下して頭部三次元画像201の表示状態を変更しながら、所望される計測点に対応する位置を読み取る。
【0178】
さらには、医師は、図14に示すように、3つの断面ボタンのいずれかを押下して任意の断面位置での断面を表示させながら、所望される計測点に対応する位置を読み取る。
このようにして、所望される計測点に対応する位置を読み取った医師は、頭部三次元画像201上の計測点に対応する位置を押下する。
【0179】
医師の操作によって画像表示範囲202内が押下された場合(ステップS132:Yes)、制御部35は、押下された押下位置を示す丸印Wを、頭部三次元画像201の上に重ね合わせて表示する(ステップS133)。
【0180】
なお、丸印Wが所望する計測点の位置からズレていた場合、医師は、上述のステップS132と同様にして、所望される計測点に対応する位置を読み取って、再度押下することで丸印Wの位置を修正する。
【0181】
その後、制御部35は、上述した実施形態と同様に、図6のステップS134からステップS137の処理を行い、ステップS138において、側方頭部規格写真における計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得する。
【0182】
そして、図4の第1支援処理に戻ってステップS121及びステップS122の処理を行うことで、制御部35は、例えばセファロ座標情報が示す計測点を、疑似セファロ画像52に重ね合わせた画像データ90を表示部31に表示する。
【0183】
以上のように、上述した歯科矯正における診断を支援する情報処理装置3は、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した頭部の三次元モデルを取得する三次元モデル取得手段(制御部35)を備えている。
【0184】
さらに、情報処理装置3は、三次元モデルに基づいて、矯正診断のための計測点を特定する計測点特定手段(表示部31、操作受付部32、制御部35)と、特定された計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得手段(制御部35)とを備えている。
【0185】
また、上述した情報処理装置3が実行する情報処理プログラムは、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した頭部の三次元モデルを取得する三次元モデル取得ステップ(ステップS111及びステップS112)と、三次元モデルに基づいて、矯正診断のための計測点を特定する計測点特定ステップ(ステップS131からステップS137)とを実行するものである。
【0186】
さらに、情報処理プログラムは、特定された計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得するセファロ座標取得ステップ(ステップS138)を実行するものである。
【0187】
また、上述したMRI検査装置1は、患者の頭部を磁気共鳴によって撮像する撮像手段(装置本体2)と、撮像手段が撮像したMRI画像37に基づいて、患者の頭部の三次元モデルを出力する三次元モデル出力手段(情報処理装置3の制御部35)とを備えている。
【0188】
さらに、MRI検査装置1は、上記の情報処理プログラムを記憶する記憶手段(情報処理装置3の記憶部33)と、情報処理プログラムを実行する実行手段(情報処理装置3の制御部35)とを備えている。
【0189】
また、上述した情報処理装置3が実行する情報処理方法は、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した頭部の三次元モデルを三次元モデル取得手段が取得する三次元モデル取得工程(ステップS111及びステップS112)と、計測点特定手段が三次元モデルに基づいて、矯正診断のための計測点を特定する計測点特定工程(ステップS131からステップS137)とを行うものである。
【0190】
さらに、情報処理方法は、特定された計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程(ステップS138)を行う。
【0191】
この構成によれば、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得することができる。
具体的には、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した三次元モデルを取得することにより、情報処理装置3、情報処理プログラム、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、患者の頭部の状態を様々な方向から確認できるため、患者の頭部にX線を照射して撮像した画像に比べて、矯正診断のための計測点の位置を確認し易くすることができる。
【0192】
さらに、三次元モデル取得手段によって取得した三次元モデルの軟組織の輪郭が、X線を照射して撮像した画像で生成した三次元モデルに比べて鮮明なため、情報処理装置3、情報処理プログラム、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、不鮮明になり易い硬組織の輪郭上に位置する計測点を、軟組織の輪郭から特定することができる。
【0193】
そして、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報を取得することにより、情報処理装置3、情報処理プログラム、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、取得したセファロ座標情報を、例えば顎骨と歯牙との位置関係の算出やプロフィログラムの作成などに用いることができる。
【0194】
よって、情報処理装置3、情報処理プログラム、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得することができる。
【0195】
加えて、磁気共鳴によって撮像した画像から生成した三次元モデルを用いるため、情報処理装置3、情報処理プログラム、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、X線を照射して患者の頭部を撮像した場合に比べて、患者の被爆量をゼロに抑えることができる。
【0196】
このため、情報処理装置3、情報処理プログラム、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、複数回の撮像が必要な歯科矯正において、例えば子供や妊婦に対する負担を大幅に軽減することができる。
【0197】
また、セファロ座標情報が示す計測点に基づいた出力データ(画像データ90)を出力する出力手段(表示部31、制御部35)を備えているため、情報処理装置3は、セファロ座標情報が示す計測点に基づいた出力データ、例えばプロフィログラムなどを医師や患者に提供することができる。このため、情報処理装置3は、医師による矯正診断をより容易にすることができる。
【0198】
また、出力手段(表示部31、制御部35)は、少なくともセファロ座標情報が示す計測点を、患者の頭部を撮像した疑似セファロ画像52に重ね合わせた出力データ(画像データ90)を出力する構成である。
この構成によれば、情報処理装置3は、位置精度の高い所定測定点がプロットされた疑似セファロ画像52を出力することができる。
【0199】
さらに、セファロ座標情報と疑似セファロ画像52とが頭部X線規格撮影によって得られているため、情報処理装置3は、例えば画像処理によるサイズ調整や医師による位置調整を不要にして計測点を疑似セファロ画像52に重ね合わせることができる。
【0200】
また、患者の頭部を撮像した疑似セファロ画像52が、磁気共鳴によって撮像された画像に基づいて生成されているため、X線を照射して頭部X線規格写真を取得した場合に比べて、患者の被爆量をゼロに抑えることができる。このため、情報処理装置3は、複数回の撮像が必要な歯科矯正において、例えば子供や妊婦に対する負担を確実に軽減することができる。
【0201】
また、計測点特定手段は、三次元モデル取得手段が取得した三次元モデルを表示する表示部31と、表示部31に表示された三次元モデルの操作及び計測点を特定するオペレータの操作を受け付ける操作受付部32とが設けられている。
【0202】
この構成によれば、オペレータが三次元モデルを様々な方向から確認しながら、オペレータの経験則に基づいて計測点を特定することができる。
このため、情報処理装置3は、例えば骨密度が小さく輪郭が不鮮明となり易い硬組織の輪郭上に位置する計測点であっても、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した画像から生成した三次元モデルと、オペレータの経験則とに基づいて、計測点をより精度よく特定することができる。
【0203】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の画像取得手段は、実施形態の制御部35に対応し、
以下同様に、
所定計測点は、計測点に対応し、
計測点特定手段は、表示部31、操作受付部32、及び制御部35に対応し、
セファロ座標取得手段、画像出力手段、及び実行手段は、制御部35に対応し、
頭部規格写真は、疑似セファロ画像52に対応し、
出力手段及び表示手段は、表示部31に対応し、
操作受付手段は、操作受付部32に対応し、
歯科矯正における診断を支援する装置は、情報処理装置3に対応し、
情報処理プログラムは、診断支援プログラム38に対応し、
画像取得ステップ及び画像取得工程は、図4のステップS113に対応し、
計測点特定ステップ及び計測点特定工程は、図6のステップS131からステップS137に対応し、
セファロ座標取得ステップ及びセファロ座標取得工程は、図6のステップS138に対応し、
撮像手段は、架台22に対応し、
記憶手段は、記憶部33に対応し、
画像変更手段、三次元モデル取得手段、及び三次元モデル出力手段は、制御部35に対応し、
三次元モデルは、MRI三次元モデル、及び硬組織部分で構成された三次元モデルに対応し、
モデル操作手段は、操作受付部32に対応し、
画像変更工程は、ステップS132に対応し、
三次元モデル取得ステップは、ステップS111及びステップS112に対応し、
三次元モデル取得工程は、ステップS111及びステップS112に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0204】
例えば、上述した実施形態において、撮像支援プログラム36及び診断支援プログラム38を情報処理装置3が実行する構成としたが、これに限定せず、情報処理装置3とは別の端末が、撮像支援プログラム36を実行し、情報処理装置3が診断支援プログラム38を実行する構成であってもよい。
【0205】
また、情報処理装置3は、装置本体2から取得したMRI画像37を記憶する構成としたが、これに限定せず、例えばサーバーに記憶されたMRI画像を通信回線4を介して取得する構成であってもよい。
あるいは、記憶媒体に記憶されたMRI画像37を、情報処理装置3に設けた記憶媒体読取部で読み取って取得する構成であってもよい。
【0206】
また、情報処理装置3が、MRI三次元モデルから縦断面画像63及び横断面画像62を生成する構成としたが、これに限定せず、情報処理装置3とは別体の端末またはサーバーが、MRI三次元モデルから縦断面画像63及び横断面画像62を生成してもよい。
【0207】
また、図5の第1操作画面50及び図7の第2操作画面60は一例であって、これに限定せず、適宜の構成の操作画面であってもよい。
例えば、別の実施形態における第2操作画面60の概略図を示す図11のように、横断面画像62の断面位置を変更する上ボダン及び下ボタンにかえて、縦断面画像63上で横断面画像62の断面位置を変更できる横断面位置スライダー72を設けてもよい。
【0208】
この場合、縦断面画像63の断面位置を変更する左ボタン及び右ボタンにかえて、横断面画像62上で縦断面画像63の断面位置を変更できる縦断面位置スライダー73を設ける。
これにより、画像表示範囲61には、Y軸方向の座標情報が同じ横断面画像62と縦断面画像63とが常に表示されることになるため、情報処理装置3は、第2操作画面60の操作性を向上することができる。
【0209】
また、患者の横断面に沿った断層画像をMRI画像37としたが、これに限定せず、患者の矢状面に平行な断層画像、あるいは患者の前額面に沿った断層画像をMRI画像として取得してもよい。
【0210】
また、複数のMRI画像37からMRI三次元モデルを生成したのち、MRI三次元モデルから横断面画像62を取得する構成としたが、これに限定せず、MRI画像37を横断面画像62として取得してもよい。
【0211】
また、出力データの一例として、セファロ座標情報が示す計測点ANSを、側方から頭部X線規格撮影した疑似セファロ画像52に重ね合わせて出力データとしたが、これに限定せず、セファロ座標情報が示す計測点ANSを、前方から頭部X線規格撮影した疑似セファロ画像に重ね合わせて出力データとしてもよい。
また、出力データを表示部31に表示する構成としたが、これに限定せず、例えば出力データをプリンタに出力する、あるいはサーバーや別端末に出力する構成であってもよい。
【0212】
また、図4のステップS111からステップS122の処理、及び図6のステップS131から148の処理は、一例であって少なくともMRI画像37に基づいた縦断面画像63から計測点を特定して、セファロ座標情報を取得できる構成であれば、適宜の処理動作であってもよい。
また、一例として、鼻腔下の略三角形の突起である前鼻棘を所望する計測点ANSとして説明したが、これに限定せず、患者の頭部における適宜の部位を計測点としてもよい。
【0213】
また、医師の操作によって計測点を特定する診断支援プログラム38を実行する情報処理装置3としたが、これに限定せず、機械学習モデルを用いた診断支援プログラムを実行して、計測点を自動的に特定する情報処理装置であってもよい。
この場合、機械学習モデルは、MRI三次元モデルから生成した横断面画像及び縦断面画像を用いて、硬組織の輪郭上に位置する計測点を軟組織の輪郭から特定するように学習したモデルとする。
【0214】
あるいは、機械学習モデルは、硬組織の輪郭上に位置する計測点を、MRI画像37から生成した三次元モデル(MRI三次元モデル及び硬組織部分で構成された三次元モデル)から特定するように学習したモデルとする。
【0215】
また、上述した実施形態において、情報処理装置3がステップS111及びステップS112で三次元モデルを生成する構成としたが、これに限定せず、例えば情報処理装置3とは別の端末またはサーバーがMRI画像37から三次元モデルを生成して、情報処理装置3に送信する構成であってもよい。
【0216】
また、横断面画像62及び縦断面画像63を表示する実施形態のステップS132において、画像表示範囲61内の計測点に対応する位置を押下する際、あるいはステップS133において、所望する計測点の位置からズレている丸印Wの位置を修正する際、医師が、上ボタン64、下ボタン65、左ボタン66、及び右ボタン67を押下して断面位置の異なる横断面画像62または/および縦断面画像63に適宜変更しながら、計測点に対応する位置を押下するのが好ましい。
【0217】
この際、情報処理装置3の制御部35は、医師によって上ボタン64または下ボタン65が押下されると、断面位置の異なる横断面画像62を画像表示範囲61に表示させ、医師によって左ボタン66または右ボタン67が押下されると、断面位置の異なる縦断面画像63を画像表示範囲61に表示させる。
【0218】
つまり、このような情報処理方法は、磁気共鳴によって患者の頭部を撮像した矢状面に略平行な複数の縦断面画像63を画像取得手段が取得する画像取得工程(ステップS113)と、複数の縦断面画像63のうち、1つの縦断面画像63を表示部31が表示する表示工程(ステップS113)とを行う。
【0219】
さらに、情報処理方法は、表示部31に表示された縦断面画像63を、オペレータの操作によって制御部35が断面位置の異なる縦断面画像63に変更する画像変更工程(ステップS132及びステップS133)と、表示部31に表示された縦断面画像63に基づいて、矯正診断のための計測点を特定するオペレータの操作を操作受付部32が受け付ける操作受付工程(ステップS132)とを行う。
【0220】
そして、情報処理方法は、特定された計測点の位置を示す座標情報に基づいて、頭部X線規格撮影によって撮像した計測点の撮像位置を示すセファロ座標情報をセファロ座標取得手段が取得するセファロ座標取得工程(ステップS138)を行うことになる。
【0221】
これによれば、表示部31に表示する縦断面画像63をオペレータが変更しながら計測点を特定できるため、情報処理方法は、硬組織の輪郭上に位置する計測点を、軟組織部分の輪郭から精度よく特定することができる。
【0222】
よって、情報処理方法は、歯科矯正の分野において、画像処理を加えることなく、計測点の位置精度を向上できるとともに、矯正診断に適したデータを取得することができる。
【0223】
また、横断面画像62及び縦断面画像63を表示する実施形態のステップS133において、丸印Wが所望する計測点の位置からズレていた場合、横断面画像62または縦断面画像63の上の任意の位置を再度押下して丸印Wの位置を修正したが、これに限定しない。
【0224】
例えば上ボタン64、下ボタン65、左ボタン66、あるいは右ボタン67を押下して、断面位置の異なる横断面画像62または/および縦断面画像63に変更することで、画像上の任意の位置を再押下することなく丸印Wの位置を修正してもよい。
【0225】
また、三次元モデルを表示する変形例において、MRI三次元モデル、及び硬組織部分で構成された三次元モデルを用いた第2支援処理としたが、これに限定せず、MRI三次元モデル、及び硬組織部分で構成された三次元モデルのいずれか一方を用いた第2支援処理であってもよい。
【0226】
また、三次元モデルを表示する変形例において、疑似セファロ画像52から計測点を特定する第1支援処理を不要にして、三次元モデルから計測点を特定する第2支援処理のみで、所望される全ての計測点を特定してもよい。
【0227】
これによれば、情報処理装置3、情報処理プログラム、MRI検査装置1、及び情報処理方法は、不鮮明になり易い硬組織の輪郭上に位置する計測点だけでなく、比較的鮮明な硬組織の輪郭上に位置する計測点も三次元モデルによって精度よく、かつ容易に特定することができる。
【0228】
また、上述の詳細な説明において、骨密度が低いため、硬組織の輪郭が不鮮明となると説明したが、硬組織の輪郭が不鮮明となる理由は、これだけでなく、石灰化が未熟な部分と周辺組織とが重なった部分、尖端構造の先端部、あるいは薄い皮質骨なども硬組織の輪郭が不鮮明となる理由である。
このような理由で硬組織の輪郭が不鮮明となる場合であっても、上述した情報処理装置3、情報処理プログラム、MRI検査装置1、及び情報処理方法によって、所定計測点の位置精度を向上することができる。
【符号の説明】
【0229】
1…MRI検査装置
3…情報処理装置
22…架台
31…表示部
32…操作受付部
33…記憶部
35…制御部
37…MRI画像
38…診断支援プログラム
52…疑似セファロ画像
62…横断面画像
63…縦断面画像
M…患者