(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001400
(43)【公開日】2023-01-05
(54)【発明の名称】スクリーン
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20221223BHJP
A47C 9/02 20060101ALI20221223BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
G03B17/56 Z
A47C9/02
H04N5/222
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102098
(22)【出願日】2021-06-20
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.YouTube
(71)【出願人】
【識別番号】521270878
【氏名又は名称】長田 知子
(72)【発明者】
【氏名】長田 知子
【テーマコード(参考)】
2H105
3B095
5C122
【Fターム(参考)】
2H105EE09
3B095CA10
5C122DA08
5C122EA07
5C122EA60
5C122FK41
5C122GE11
5C122HB05
5C122HB09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウェブ会議システム等において仮想背景画像を用いることで被写体の背景のプライベート部分を隠す事が可能であるが、仮想背景画像はあくまでも仮想であって実際のものではないのでどこか空虚な印象を他の参加者に与えているという課題がある。
【解決手段】本発明のウェブカメラに対向して配置されるスクリーンは、閉曲線形状を有する骨格部と、シート部と、椅子に固定するための固定部と、を有し、前記骨格部は前記シート部の周辺に配置されており、前記シート部のウェブカメラに対向する面に、図柄、模様、文字又は写真などの意匠性のあるものが形成されている。
【選択図】
図1i
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ又はウェブカメラに対向して配置されるスクリーンにおいて、
シート部と、
閉曲線形状を有する骨格部と、
椅子に固定するための固定部と、
を有し、
前記骨格部は前記シート部の周辺に配置されており、
前記シート部のウェブカメラに対向する面に、図柄、模様、文字又は写真などの意匠性のあるものが形成されている、
ことを特長とするスクリーン。
【請求項2】
カメラ又はウェブカメラに対向して配置されるスクリーンにおいて、
シート部と、
閉曲線形状を有する骨格部と、
床に接地するための接地補助部と、
を有し、
前記骨格部は前記シート部の周辺に配置されており、
前記シート部のウェブカメラに対向する面に、図柄、模様、文字又は写真などの意匠性のあるものが形成されている、
ことを特長とするスクリーン。
【請求項3】
前記骨格部の閉曲線形状の両側部に前記閉曲線形状を保持するための補強部材が設けられていることを特長とする請求項1に記載のスクリーン。
【請求項4】
前記補強部材は着脱可能になっていることを特長とする請求項3に記載のスクリーン。
【請求項5】
前記接地補助部は着脱可能になっていることを特長とする請求項2に記載のスクリーン。
【請求項6】
前記接地補助部は閉曲線形状を有する第2の骨格部を有し、前記第2の骨格部は前記接地補助部の周辺に配置されていることを特長とする請求項2又は5のいずれかに記載のスクリーン。
【請求項7】
前記骨格部が折り畳み可能であることによって全体が折り畳み可能な請求項1乃至6のいずれか記載のスクリーン。
【請求項8】
前記閉曲線形状は正方形、矩形、台形、逆台形又は八角形であることを特長とする請求項1乃至7のいずれかに記載のスクリーン。
【請求項9】
前記閉曲線形状はその形状の左右に直線部を含み各直線部と鉛直線とのなす各が-15度以上15度以下の範囲であることを特長とする請求項1乃至8のいずれかに記載のスクリーン。
【請求項10】
前記骨格部は幅が3.0mm以上7.0mm以下及び厚さが1.0mm以上2.0mm以下の鉄鋼又はスチール鋼の板状の金属棒であることを特長とする請求項1乃至9のいずれかに記載のスクリーン。
【請求項11】
カメラ又はウェブカメラに対向して配置されるスクリーンにおいて、
シート部と、
閉曲線形状を有する骨格部と、
を有し、
前記骨格部は前記シート部の周辺に配置されており、
前記骨格部の閉曲線形状の両側部に前記閉曲線形状を保持するための補強部材が設けられていることを特長とするスクリーン。
【請求項12】
前記補強部材は着脱可能になっていることを特長とする請求項11に記載のスクリーン。
【請求項13】
前記骨格部が折り畳み可能であることによって全体が折り畳み可能な請求項11乃至12のいずれかに記載のスクリーン。
【請求項14】
椅子に固定するための固定部又は床に接地するための接地補助部を有することを特長とする請求項11乃至13のいずれかに記載のスクリーン。
【請求項15】
カメラ又はウェブカメラに対向して配置されるスクリーンにおいて、
シート部と、
閉曲線形状を有する骨格部と、
を有し、
前記骨格部は前記シート部の周辺に配置されており、
前記骨格部は幅が3.0mm以上7.0mm以下及び厚さが1.0mm以上2.0mm以下の鉄鋼又はスチール鋼の板状の金属棒であり、
前記骨格部が折り畳み可能であることによって全体が折り畳み可能であることを特長とするスクリーン。
【請求項16】
前記骨格部の閉曲線形状の両側部に前記閉曲線形状を保持するための補強部材が設けられていることを特長とする請求項15に記載のスクリーン。
【請求項17】
椅子に固定するための固定部又は床に接地するための接地補助部を有することを特長とする請求項15乃至16のいずれかに記載のスクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ又はウェブカメラに対向して設置されるスクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
2020年の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の世界的な大流行にともなり、人々の移動が大きく制限されウェブ会議システムが急速に普及している。近年のウェブ会議システムは以前より通信状況が大幅に向上し一定の通信の秘匿性も担保されておりコロナ禍のビジネスシーンにおいて必要不可欠なものになっている(非特許文献1)。ZOOM、Teams、WebEX、Google Meets、Vcubeなど通信各社から様々なウェブ会議システムが提供されておりユーザーの様々なニーズに対応して利便性を向上させている。
【0003】
ウェブ会議システムを利用する場合、PC、ノートPC又はスマートフォンなどの情報端末のモニターの前にユーザーが座り、モニターの周辺(一般的には上部)に備え付けられたカメラ(※ウェブカメラなどと称する)がユーザーを撮影する。カメラの映像がネットワークを通じて他のウェブ会議の他の参加者にライブで提供される。このように映像を通じて参加者は互いの顔の表情などを把握できるのでウェブの会議であってもリアルの場の会議と同様に円滑なコミュケーションが可能になる。
【0004】
一般にウェブ会議システムのウェブカメラは被写体(ユーザー)の背景まで映すことになるが、コロナ禍で在宅勤務中のユーザーが自宅からウェブ会議に参加する場合、自宅のプライベート部分まで写り込んでしまう問題がある。プライベート部分が整理整頓されている場合はまだよいが、あまり他人に見せたくないものまで映してしまう場合特に問題となる。この問題を解決するためにウェブ会議システムではウェブカメラで映す映像のうち被写体(ユーザー)以外の部分は予め設定されている仮想背景画像(※バーチャル背景などとも称する)で隠すことが可能となっている。
また、Youtube、facebook、instagramなどSNSで動画を配信する場合や、ウェビナー(ウェブでのセミナー)で動画を配信する場合もユーザーも被写体(ユーザー)の背景(自宅の部屋など)が見えてしまう問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ウェブ会議システム等において仮想背景画像を用いることで被写体の背景のプライベート部分を隠す事が可能であるが、仮想背景画像はあくまでも仮想であって実際のものではないのでどこか空虚な印象を他の参加者に与えているという課題がある。また、ウェブ会議で背景を隠すことなく室内のきれいなインテリアなどをさりげなく見せている他の参加者に対してもう少しスマートな方法で背景を隠しつつおしゃれさをアピールする方法が期待されつつある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカメラ又はウェブカメラに対向して配置されるスクリーンは、閉曲線形状を有する骨格部と、シート部と、椅子に固定するための固定部と、を有し、前記骨格部は前記シート部の周辺に配置されており、前記シート部のウェブカメラに対向する面に、図柄、模様、文字又は写真などの意匠性のあるものが形成されている。
また、本発明のカメラ又はウェブカメラに対向して配置されるスクリーンは、シート部と、閉曲線形状を有する骨格部と、床に接地するための接地補助部と、を有し、前記骨格部は前記シート部の周辺に配置されており、前記シート部のウェブカメラに対向する面に、図柄、模様、文字又は写真などの意匠性のあるものが形成されている。
【0009】
また、本発明のカメラ又はウェブカメラに対向して配置されるスクリーンは、シート部と、閉曲線形状を有する骨格部と、を有し、前記骨格部は前記シート部の周辺に配置されており、前記骨格部の閉曲線形状の両側部に前記閉曲線形状を保持するための補強部材が設けられている。
【0010】
また、本発明のカメラ又はウェブカメラに対向して配置されるスクリーンは、シート部と、閉曲線形状を有する骨格部と、を有し、前記骨格部は前記シート部の周辺に配置されており、前記骨格部は幅が3.0mm以上7.0mm以下及び厚さが1.0mm以上2.0mm以下の鉄鋼又はスチール鋼の板状の金属棒であり、前記骨格部が折り畳み可能であることによって全体が折り畳み可能である。
【発明の効果】
【0011】
リアルに存在するものを用いつつスマートな方法で被写体の背景を隠しつつ同時におしゃれさをアピールすることができる。またスクリーンに補強部材を用いることでスクリーンの自立性を向上することができる。さらに、折り畳み自在で収納や持ち運びの点においても優れているスクリーンを提供することができる。このようなスクリーンを用いることでウェブ会議や動画配信のシーンにおいて、リラックスできる空間、心地よい空間、どこか楽しい空間などさまざまな空間を演出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3c】ウェブカメラで映される実際の写真(隠しきれない部分あり)
【
図5a】シート部10(シート本体部11及びバイヤス生地部12)
【
図5c】バイヤス生地に挿入されている骨格部の実際の写真
【
図10b】床に配置している実施例(表面無地)の写真
【
図10c】シート本体部を2つ連結している実施例の写真
【
図10d】シート本体部を2つ連結している実施例(表面無地)の写真
【
図10e】シート本体部を3つ連結している実施例(表面無地)の写真
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施の形態の説明は、次の項目に沿って行う。
<実施例1>
<実施例2>
<実施例3>
<実施例4>
<実施例5>
【0014】
<実施例1>
まず本発明の実施例の基本的な特長を実施例1として示す。実施例1の特長は特にことわらない限り他の実施例におもて共通する特長である。
【0015】
図1aに本発明のスクリーンの実施例1の実際の写真を示す。
図1aではスクリーンが椅子に取り付けられている。スクリーンには表面と裏面があり写真で見えている面がウェブカメラに対向する面(※以下「表面」と呼ぶ。)である。スクリーンはシート部、閉曲線形状を有する骨格部及び椅子に固定するための固定部15を有する。そして骨格部はシート部の周辺に配置されている。この実施例では固定部15はスクリーンの裏面にあり、骨格部はシート部に覆い隠されている。写真ではシート部の表面が映されている。シート部のウェブカメラに対向する面(表面)には、図柄、模様、文字又は写真などの意匠性のあるものを施すことができる。
図1aでは美観をある模様が形成されている。
ウェブ会議に参加するユーザーはウェブカメラに対向するように
図1aの椅子に座り、ウェブカメラは被写体(ユーザー)だけでなく被写体の背後のスクリーンの表面をカメラで撮影する。撮影された映像は直ちにウェブ会議の他の参加者にライブで提供することができる。
なお、本発明のスクリーンはライブで映像が配信されるようなウェブ会議だけでなく、ウェブカメラで事前に動画を撮影して非ライブ(非同期)で提供するような場合にも適用できる(例えば、ユーザーが好きなときに動画がみられるオンデマンド形の動画配信など)。またウェブ会議だけでなくウェブセミナーなどにも適用できる。すなわちウェブカメラを通じてカメラの前の被写体を撮影するケース一般において本発明は好適なスクリーンとなる。
なお、本発明のスクリーンは背景スクリーンと呼んでも構わない。
【0016】
図1gは実際にウェブカメラで撮影された映像である。被写体の後ろに
図1aのスクリーンが映し出される。このスクリーンの映像はいわゆる仮想背景(バーチャル背景)ではなく被写体の後ろに実際に存在している
図1aのスクリーンである。
【0017】
図1h、
図1iは本発明の概要をイラストで示したものである。従来、ユーザーは自宅などからウェブ会議に参加する場合は、
図1h左側のようにユーザーの背後にある部屋の状況が背景として写り込んでいた(※点線の四角枠がウェブカメラで撮影される範囲)。ユーザーは本発明のスクリーンを椅子に取り付けるだけでウェブカメラからみて自分の背後を手軽に隠せるだけでなくスクリーンに施したさまざまなおしゃれなデザインで、リラックスできる空間、心地よい空間、どこか楽しい空間などさまざまな空間を演出することができる。
【0018】
図1bは
図1aのスクリーンの裏面から撮影したものである。裏面には椅子に固定するための固定部15が設けられている。本実施例の固定部15はその両端がシート部10(裏面)に固定されている横方向の横ゴム帯と、その両端が当該横ゴム帯の中央とシート部(裏面)の中央付近に固定されている縦ゴム帯から形成されている。
図1bの写真のように横ゴム帯、縦ゴム帯で椅子の背もたれ部分を覆うようにはめ込むことによりスクリーンを椅子に固定している。
【0019】
図1c、
図1dは
図1a、
図1bのスクリーンを椅子から取り外して床に置いた場合の写真である。
図1cがスクリーンの表面であり、
図1dはスクリーンの裏面である。
スクリーンのシート部10はシート本体部11とバイヤス生地部12からなる。
図1aではシート本体部11は円形状でありバイヤス生地部12はシート本体部の外周にそって円弧状に形成されている。
【0020】
シート本体部11の生地の材質は様々なものを利用できる。例えば、コットン、シルク、ウール、ポリエステル、ナイロン、ウレタン、これらの混紡、テンセル、レーヨン、ちりめん、ジャガード、ドビー、ニットなどであるこれらに限られない。
また、シート部10(シート本体部11)に形成される、図柄、模様、文字又は写真などの意匠性のあるもの(デザイン)はどのように形成されても構わないが、例えば、インクジェットプリント(反応プリント、顔料プリント、昇華プリント他)、インクジェットプリント(デジタル捺染法)、転写プリント、昇華転写プリント、オートスクリーンプリント、シルクスクリーンプリント、ロータリープリント、マシンプリント、オパール加工プリント、マーブルプリント、版画又はハンドプリント、手描きを採用できる。
また、シート部10の表面と裏面の両方に図柄、模様、文字又は写真などの意匠性のあるものを形成しても構わない。両面に意匠性のあるものを形成することでユーザーの状況に応じてスクリーンの表面と裏面を使い分けることができる。
【0021】
本発明のスクリーンの骨格部は金属の棒であるが人間が手で力を付勢することによって容易に折れ曲がるようにしてもよい。骨格部はバイヤス生地部12が形成する狭い空間に配置されている。バイヤス生地部12の形状を調整することで骨格部を様々な形状に調整することができる。
図1aではバイヤス生地部が円弧状であるため骨格部も円弧状になっている。
例えば、
図2aの実施例のようにスクリーンの形状を円形以外にすることが可能である。
図2aはシート本体部11の形状が逆台形であり逆台形に沿ってバイヤス生地部12が設けられている。このバイヤス生地部が形成する狭い空間に骨格部(金属棒)が通されているためスクリーン全体としても逆台形の形状になっている。
【0022】
図2a~
図2fにシート部10の表面(及び裏面)に形成される意匠性のあるデザインのバリエーションを示す。
図2aはアートな図柄のデザイン、
図2bは動植物を描いたデザイン、
図2cはリゾートをイメージしたデザイン、
図2dは版画のデザイン、
図2eは子供の手書きのデザインである。
【0023】
図3aに本発明の閉曲線形状を有する骨格部のバリエーションを示す。骨格部は金属の棒であるが、バイヤス生地部12が形成する狭い空間のガイドにより
図3aのような(略)円形、(略)楕円、(略)正方形、(略)矩形、(略)台形、(略)逆台形、(略)八角形などさまざまな形状を採用することができる。なお、1本の金属棒を曲げることで閉曲線を作る場合は各形状の頂角は曲線となる。例えば、逆台形の骨格部であれば
図3bのように頂角が丸みを帯びた曲線となる(ここでは全体として(略)逆台形形状と呼ぶ)。
【0024】
図3cは円形状の骨格部を有するスクリーンのウェブカメラ映像である。ウェブカメラとスクリーンとの距離によってはスクリーンの大きさが不十分となり
図3cのように画面の右上隅と左上隅がスクリーンでは隠せなくなる。このような事態を改善するためにはより直径の大きな円形状のスクリーンを用意する必要があるが全体としてウェブカメラに映らないスクリーンの比率が大きくなりとても非効率である。
一般にウェブカメラの映像は矩形であるためスクリーンの形状も矩形又はそれに近い形であるほうが効率的である。例えば、正方形、矩形、台形、逆台形などである。
また
図3bのようにスクリーンの側面(骨格部の閉曲線形状の左右)が直線部を含むようにしてもよい。この直線部は鉛直方向と平行であることが望ましいが、鉛直方向(
図3bの点線(鉛直線))とのなす角がー15度以上15度以下であれば十分である。
ここでスクリーンの側面とはスクリーンの縦方向の中心線から左側又は右側の外周部をいう。直線部は側面の30%以上を占めることが望ましい。
【0025】
図4a~
図4fを用いて本発明のスクリーンに用いられる骨格部の説明を行う。
骨格部は金属棒から構成されている。金属棒の両端をつなぎ合わせることで閉曲線が形成されている。骨格部として折り畳み可能な金属棒を採用することでスクリーン全体が折り畳み可能なものとすることができる。
その場合、
図4aのように断面が板状の金属棒が望ましい。板状の金属棒の場合、板の厚さを薄くすることで厚さ方法の力に対しては柔軟に変更させることができるので金属棒を折りたたむことができる。一方で、板の横方向を一定の長さとすることで一定の剛性を確保することができる。そのため本発明の閉曲線形状を有する骨格部は全体としては一定の剛性を確保しつつ、折り畳み可能とすることができる。
なお、本発明の金属棒は折り畳み可能とできることから金属細線又は金属線などと称しても構わない。
【0026】
図4bは
図4aの板状の金属棒を板の上から見た図である。
図4cは金属棒の両端をつなぐための結合部材である。この結合部材はその両端に金属棒を嵌めるための空間が形成されている。
図4dは金属棒を嵌める前の配置図であり
図4eは
図4cの結合部材の両端に金属棒を嵌合させた図である。このような結合部材を用いることで金属棒を溶接せずに簡便に結合させることができる。他の結合方法としては
図4fのような金属棒が重なる部分に金属棒が通る穴を設けた部材で結合してもよい。もちろん溶接を用いても構わない。
板状の金属棒を用いる場合は板の平坦部(板の表面又は裏面)が閉曲線形状の内側(例:円弧の場合は円弧の内側(中心))を向くように金属棒の両端が結合させる。
なお、本発明の実施例では1本の金属棒を1つの結合部材を用いて1つの閉曲線形状の骨格部を形成しているが、複数の金属棒と複数の結合部材(例えば、2本の金属棒と2個の結合部際)を用いて1つの閉曲線形状の骨格部を形成してもよい。
【0027】
本発明の閉曲線形状を有する骨格部は、シート部の周辺に配置されている。本発明の実施例では
図5aのようにシート部10はシート本体部11とその周辺に配置されたバイヤス生地部12で構成されている。先に説明したとおり骨格部はバイヤス生地部12で形成されている狭い空間に配置されている。
バイヤス生地とは
図5bのように本体生地(シート本体部11)の周辺に空間をつくるように設けられている。この空間に金属棒を通すことで本発明の閉曲線形状を有する骨格部はシート部の周辺に配置されるようになる。なお、骨格部の配置はバイヤス生地によらずとも他の方法でもよい。例えば、シート本体部11yに直接固定する方法などである。
【0028】
図5cはバイヤス生地に包まれている金属棒の様子を示すためにバイヤス生地の一部分を削除した状態の写真である。
【0029】
図1e、
図1fは実際にスクリーンを折りたたんでいる様子を示す写真である。
図1eでは骨格部を1回折り曲げている。
図1fでは骨格部が3つの輪を形成するように折りたたまれている。
【0030】
図6aにより詳細な本発明のスクリーンの折り畳み方を示す。まず丸1図のように半分に折る。そして丸2図のように片側を廻すように曲げる。その際丸1図の★が丸2図の★の位置にくるようにする。丸3図のように裏を返し、丸4図のように反対も廻すように曲げる。全体を整えると丸5図のように3つの輪を形成するように小さく折りたたむことができる。
図6bは折りたたまれている状態の骨格部(金属棒)を示す写真である。
【0031】
これまで説明してきたとおり、本発明の閉曲線形状を有する骨格部は金属棒で形成されている。金属棒の材質は種々のものを選択できるが、鉄鋼又はステンレス鋼が望ましい。金属棒の断面形状は丸、正方形、矩形など種々のものを選択できる。寸法も使用するスクリーンの大きさにあわせて適宜設定することができる。
【0032】
一方で、本発明のスクリーンを折り畳み自在にする場合には、その骨格部となる金属棒の形状や大きさに工夫が必要であることを発明者は新たに見出した。
金属棒は
図4a、
図4bのように平板状が望ましい。平板状金属棒の断面形状としては
図7aのように様々なバリエーションを採用することができる。断面が必ずしも矩形でない形状の幅は、その形状の断面積/厚さと定義する。
平板状金属棒の幅と厚さ(
図4b参照)の大きさはスクリーンを折り畳み自在とするためには特に注意が必要である。本発明に最適な幅と厚さの組み合わせを
図7bに示す。幅と厚さが「X」の組み合わせは、骨格部の強度(剛性)が強くなりすぎるためスクリーンを折り畳みづらくなり不適当である。一方「○」「◎」の組み合わせは適当である。具体的には幅が3.0mm以上7.0mm以下、厚さが1.0mm以上2.0mm以下の範囲である。スクリーンが自立するための一定の強度を確保しつつ、スクリーン使用後に気軽に折り畳むことができる。
幅が3.0mm以上6.5mm以下、厚さが1.0mm以上1.8mm以下の範囲であるとさらに好適である。幅が4.0mm以上6.5mm以下、厚さが1.4mm以上1.8mm以下の範囲(
図7bの◎の組み合わせ)であるとさらに好適である。よりスクリーンとしての自立性(剛性)を確保しつつ折り畳みがさらに容易になる。
【0033】
ところで、スクリーンを椅子に取り付けた場合のバランスが悪い場合(例えば、椅子の背もたれ部が小さい場合、椅子の背もたれ部が傾いている場合など)、スクリーンの自立性が損なわれる場合がある。もしくは、骨格部のサイズが小さくなり剛性が弱くなると同様に自立性が損なわれる。その場合はスクリーンの側面に補強部材を設けることで自立性を向上させることができる。スクリーンの骨格部の閉曲線形状の両側部に補強部材を配置することで骨格部の閉曲線形状を保持することができる。なお、「スクリーンの骨格部の閉曲線形状の両側部」とはスクリーン(骨格部)をカメラから見た場合の左側及び右側の閉曲線形状の側面の一部である。
【0034】
図8aは本発明の実施例のスクリーンを椅子に固定した状態を横から撮影した写真である。多少は後ろに反り返っているもののスクリーンは自立している。一方で
図8bの写真の実施例はバランスが悪いためにスクリーンが歪んでおり自立できていない。
【0035】
図9aは本発明の補強部材の実施例の写真である。縦長のバイヤス生地にファスナーが設けられていて中に金属棒が設けられている。バイヤス生地に設けられる空間はできるだけ金属棒の大きさにフットする大きさが望ましい。バイヤス生地内で金属棒ができるだけ動かない方が補強部材としての性能を向上させることができる。金属棒はスクリーンを自立させるに足る強度を有するものであればどのようなものでも構わない。例えば、スクリーンの骨格部と同様に鉄鋼やスチール鋼を採用することができる。また形状や寸法もスクリーンの骨格部と同様にすれば製造時のコストメリットの点で有利であるが特にこれに限定されるものでもない。
【0036】
図9c、
図9dはスクリーン(シート部10)のシート本体部11やバイヤス生地部12と補強部材30との関係を示すものである。バイヤス生地部12と補強部材30にはそれぞれを結合するためのファスナーが設けられている。
図9cはファスナーで結合する前の状態であり、
図9dはファスナーで結合した状態の写真である。このように補強部材を着脱自在としておくことで、ユーザーは本発明のスクリーンの使用状況に応じて自由に補強部材を使用するか否かを選択することができる。なお、本発明では着脱自在とするためにファスナーを利用したがピン留めなど他の公知な方法を利用しても構わない。また、このような利便性は減るものの補強部材はそもそも着脱自在でなくても構わない。例えば、スクリーン(骨格部)の折り畳みの容易性を重視してスクリーンの骨格部の寸法を自立が困難な小さな値としている場合は、スクリーンに当初から骨格部とは別の補強部材が組み込まれていてもよい。
図2a~
図2fの実施例の写真はいずれも補助部材30がスクリーンの骨格部の閉曲線形状の両側部に設けられている。
【0037】
本実施例のスクリーンはスクリーン(シート本体部)の表面が無地の状態で販売して、購入後ユーザー自身がスクリーンにデザインをするようにしてもよい。例えば、
図2fの実施例はシート部10(シート本体部11)の方面(ウェブカメラに対向する面)が無地である。
図2eの実施例ではユーザーの手書きの絵をシート本体部に印刷しているが、
図2fの実施例のスクリーンにユーザーが商品購入後手書きで書き込んでも構わない。
また、本実施例の典型的なサイズを
図11aに示す。
【0038】
<実施例2>
実施例1では主に椅子に取り付けるタイプのスクリーンを示したが、
図10aは床に接地するタイプの実施例の写真である。シート本体部11の両側面に接地補助部40がファスナーで着脱自在に設けられている。この接地補助部40の生地本体の側面にバイヤス生地が設けられており中に第2の骨格部として金属棒が埋め込まれている。
図10aの接地補助部40は頂角が円弧状の略三角形をしているが必ずしもこの形に限られない。この第2の骨格部もシート部10の骨格部と同様に折り畳み可能とすることで接地補助部40を折り畳み可能とすることができる。特に折り畳みに好適な金属棒の条件も実施例1と同様である。また、実施例2においても椅子に固定するための固定部15を設けることができる。さらに、シート本体部11に設けるファスナーは実施例1の補助部材30及び本実施例の接地補助部40の両方を着脱可能に結合できるようにしておければユーザーは椅子に固定するか床に接地するかスクリーンの使用状況に応じて適宜選択することができる
接地補助部40のシート(外表面)に施すデザインはシート本体部11と同じデザイン、同じ系統のデザインであってもそうでなくても構わない。
なお、実施例2におけるシート部10の他のバリエーションは実施例1と同様であるので説明を省略する。
椅子に固定するための固定部15を備えたシート部10、
図8cのような補強部材30及び
図9aのような接地補助部40をセットでユーザーに提供することで、ユーザーは用途に応じて、スクリーンを椅子に固定するか床に配置するか、補強部材30又は接地補助部40を用いるか否かを適宜判断することができる。
また、本実施例の接地補助部40の典型的なサイズを
図11bに示す。
【0039】
<実施例3>
実施例2のスクリーンはシート本体部11や接地補助部40の表面が無地の状態で販売して、購入後ユーザー自身がスクリーンにデザインをするようにしてもよい。例えば実施例3に相当する
図10bの実施例ではシート本体部11及び接地補助部40が無地である。実施例3は実施例2と比較して表面のデザインの有無以外の点においては同じである。発明の名称としてスクリーン以外にもパーティションや間切り部材などと称してもよい。
なお、実施例3におけるシート部10の他のバリエーションは実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0040】
<実施例4>
図10cに実施例4を示す。これまでの実施例と異なる点は主にシート本体部11が2枚連結している点である。シート本体部11同士がファスナーで着脱可能に連結されている。シート本体部は3枚又は4枚以上が連結していてもよい。これまでの実施例と同様にシート本体部11には側面にバイヤス生地が設けられており中に骨格部として金属棒が埋め込まれている。骨格部も実施例1のシート部10の骨格部と同様に折り畳み可能とすることでシート本体部11を折り畳み可能とすることができる。特に折り畳みに好適な金属棒の条件も実施例1と同様である。
また、床に固定する場合は実施例2,3のように左右両端のシート本体部には接地補助部40を設けると接地しやすくなる。また床に固定せず壁に立てかけるようにしてもよいし壁や天井から吊り下げるように配置してもよい。
なお、実施例4におけるシート部10の他のバリエーションは実施例1と同様であるので説明を省略する。
また、本実施例のシート本体部11の典型的なサイズを
図11cに示す。
【0041】
<実施例5>
実施例4のスクリーンはシート本体部11や接地補助部40の表面が無地の状態で販売して、購入後ユーザー自身がスクリーンにデザインをするようにしてもよい。例えば実施例5に相当する
図10d、
図10eの実施例ではシート本体部11及び接地補助部40が無地である。実施例5は実施例4と比較して表面のデザインの有無以外の点においては同じである。発明の名称としてスクリーン以外にもパーティション、間切り部材又は投映スクリーンなどと称してもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 シート部10
11 シート本体部11
12 バイヤス生地部12
20 骨格部
25 結合部材
30 補強部材
40 接地補助部