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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140008
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 5/08 20060101AFI20230927BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230927BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20230927BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20230927BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230927BHJP
【FI】
F21V5/08
F21S2/00 330
F21V5/04 650
F21V5/04 200
F21V5/00 510
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045841
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 崇
(57)【要約】
【課題】本開示の課題は、照明光を任意の方向に傾けて配光することである。
【解決手段】照明器具は、配光を制御するレンズユニットB1を備える。レンズユニットB1は、LEDモジュール20との対向面に設けられる入射部93を有する。入射部93は、複数のLED200と対向する底部94と、底部94を挟んでLEDモジュール20に向かって突出する一対の側壁95と、を有する。一対の側壁95は、LED200から放射される照明光が入射する入射面950と、入射面950から入射する照明光を内部全反射させる全反射面951と、を有する。一対の側壁95の全反射面951は、LED200の光軸L1に対して非対称に照明光を内部全反射させる。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDが少なくとも1列に並べて基板に実装されたLEDモジュールと、
前記複数のLEDから放射される照明光の配光を制御する配光制御部材と、
を備え、
前記配光制御部材は、前記LEDモジュールとの対向面に設けられる入射部を有し、
前記入射部は、前記複数のLEDと対向する底部と、前記底部を挟んで前記LEDモジュールに向かって突出する一対の側壁と、を有し、
前記一対の側壁は、前記LEDから放射される前記照明光が入射する入射面と、前記入射面から入射する前記照明光を内部全反射させる全反射面と、を有し、
前記一対の側壁の前記全反射面は、前記LEDの光軸に対して非対称に前記照明光を内部全反射させる、
照明器具。
【請求項2】
前記一対の側壁は非対称な形状である、
請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記一対の側壁の各々の前記入射面は、前記光軸に対する傾斜角が異なる平面である、
請求項2記載の照明器具。
【請求項4】
前記一対の側壁のそれぞれの前記全反射面は、前記光軸に対して傾斜した平面である、
請求項1-3のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記底部は、前記光軸に対して非対称である、
請求項1-4のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項6】
前記配光制御部材の前記対向面と反対側の出射面は平面である、
請求項1-5のいずれか1項に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具に関し、より詳細には、配光を制御する部材を備えた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載の照明装置(照明器具)を例示する。特許文献1記載の照明装置(以下、従来例という。)は、複数の発光装置を有する。複数の発光装置は、基板と、基板上に形成された複数の発光部と、複数の発光部の上に配置されたレンズアレイとを有する。
【0003】
レンズアレイは、複数の発光部と一対一に対応する複数のレンズの集合体である。各レンズは、同じ形状及び大きさを有しており、対応する発光部からの出射光を集光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-50106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来例においては、発光部から放射される光を任意の方向に傾けて配光することが困難であった。
【0006】
本開示の目的は、照明光を任意の方向に傾けて配光することができる照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る照明器具は、複数のLEDが少なくとも1列に並べて基板に実装されたLEDモジュールと、前記複数のLEDから放射される照明光の配光を制御する配光制御部材と、を備える。前記配光制御部材は、前記LEDモジュールとの対向面に設けられる入射部を有する。前記入射部は、前記複数のLEDと対向する底部と、前記底部を挟んで前記LEDモジュールに向かって突出する一対の側壁と、を有する。前記一対の側壁は、前記LEDから放射される前記照明光が入射する入射面と、前記入射面から入射する前記照明光を内部全反射させる全反射面と、を有する。前記一対の側壁の前記全反射面は、前記LEDの光軸に対して非対称に前記照明光を内部全反射させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の照明器具は、照明光を任意の方向に傾けて配光することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の実施形態に係る照明器具の前方から見た斜視図である。
図2図2は、同上の照明器具の後方から見た斜視図である。
図3図3は、同上の照明器具の分解斜視図である。
図4図4は、同上の照明器具の正面図である。
図5図5は、同上の照明器具の右側面図である。
図6図6は、同上の照明器具の背面図である。
図7図7は、同上の照明器具の平面図である。
図8図8は、同上の照明器具の要部の断面図である。
図9図9は、同上の照明器具におけるレンズユニットの後面図である。
図10図10は、同上のレンズユニットの一部省略した縦方向の断面図である。
図11図11は、同上のレンズユニットの一部省略した横方向の断面図である。
図12図12は、同上の照明器具の配光特性図である。
図13図13は、変形例の照明器具におけるレンズユニットの後面図である。
図14図14は、同上のレンズユニットの一部省略した縦方向の断面図である。
図15図15は、同上のレンズユニットの一部省略した横方向の断面図である。
図16図16は、同上の変形例の照明器具の配光特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態に係る照明器具について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(1)概要
実施形態に係る照明器具A1は、LEDモジュール20と、配光制御部材(レンズユニットB1)と、を備える。LEDモジュール20は、複数のLED200が少なくとも1列に並べて基板201に実装されている。
【0012】
レンズユニットB1は、複数のLED200から放射される照明光の配光を制御する。レンズユニットB1は、LEDモジュール20との対向面に設けられる入射部93を有する。入射部93は、複数のLED200と対向する底部94と、底部94を挟んでLEDモジュール20に向かって突出する一対の側壁95と、を有する。一対の側壁95は、LED200から放射される照明光が入射する入射面950と、入射面950から入射する照明光を内部全反射させる全反射面951と、を有する。一対の側壁95の全反射面951は、LED200の光軸L1に対して非対称に照明光を内部全反射させる。
【0013】
しかして、実施形態に係る照明器具A1は、レンズユニットB1の一対の側壁95の全反射面951により、LED200の光軸L1に対して非対称に照明光を内部全反射させるので、照明光を任意の方向に傾けて配光することができる。
【0014】
(2)詳細
実施形態に係る照明器具A1(以下、照明器具A1と略す。)は、例えば、屋外の駐車場、グランド、などに照明光を照射する用途に用いられる。なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、図1に矢印で示す上下、前後、左右の各方向を照明器具A1の上下、前後、左右の各方向と定義する。
【0015】
照明器具A1は、器具本体1、光源ユニット2、枠3、アーム4、シール部材5、電源ユニット6、電源ケーブル7、レンズユニットB1、などを備える。
【0016】
(2-1)器具本体
器具本体1は、電源ユニット6を収容する収容部10と、光源ユニット2及びレンズユニットB1を支持するフランジ部11と、を有する(図2及び図3参照)。
【0017】
収容部10は、前面が開放された四角い箱状に形成されている(図3参照)。収容部10の内底面に電源ユニット6が取り付けられている。電源ユニット6は、例えば、スイッチング電源回路を備え、電源ケーブル7を通して電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換する。電源ケーブル7は、収容部10の底を貫通する穴から収容部10の後方に引き出されている(図2図5及び図6参照)。ただし、電源ケーブル7は、ケーブルグランド14によって収容部10の外底面に固定されている(図2参照)。ケーブルグランド14は、電源ケーブル7を器具本体1に固定するとともに電源ケーブル7と収容部10の底の穴との隙間をシールしている。
【0018】
フランジ部11は、前後方向から見て四角形の枠状に形成され、収容部10の前端(開口端)から全周に渡って外向きに突出している。フランジ部11の外周端には、全周に渡って前方へ突出する突壁13が設けられている(図3参照)。また、フランジ部11の四隅と4つの辺の中央にそれぞれ円形の挿通穴111が設けられている。さらに、フランジ部11の内周縁における4つの辺の両端にそれぞれ円筒形のめねじ部112が設けられている(図2及び図3参照)。
【0019】
器具本体1を構成する収容部10とフランジ部11と突壁13は、金属板(例えば、純アルミニウム製の板材)が絞り加工及び曲げ加工されることによって一体に形成されている。
【0020】
(2-2)光源ユニット
光源ユニット2は、LEDモジュール20と、LEDモジュール20が取り付けられる取付板21と、を有している(図3参照)。
【0021】
LEDモジュール20は、四角形の基板201と、基板201の前面に実装される複数のLED200と、を備える。複数のLED200はそれぞれ、パッケージ型の照明用白色LEDである。基板201は、例えば、アルミ板をベースとする金属ベース基板である。基板201が金属ベース基板であることによって、複数のLED200が発する熱を効率的に放熱することができる。なお、複数のLED200は、基板201の表面において、縦方向(上下方向)及び横方向(左右方向)に沿って複数列かつ略等間隔に並べて実装される。
【0022】
取付板21は、例えば、アルミ板によって四角形の平板状に形成されている。なお、取付板21の縦(上下)及び横(左右)の長さは、LEDモジュール20の基板201の縦及び横の長さよりも長い。したがって、取付板21の前面にLEDモジュール20がねじ止めされた状態において、LEDモジュール20の周囲に取付板21の周辺部分がはみ出ている(図3参照)。なお、LEDモジュール20の周囲にはみ出した取付板21の周辺部分において、上側及び下側のそれぞれ左右両端に挿通穴が1つずつ設けられている。
【0023】
光源ユニット2は、取付板21の周辺部分に設けられた複数(4つ)の挿通穴に1本ずつ挿通される取付ねじ22が、フランジ部11の4つのめねじ部112に1本ずつねじ込まれることでフランジ部11にねじ止めされる(図8参照)。
【0024】
(2-3)枠
枠3は、枠本体30と、一対の取付部31と、突片32と、を有している。なお、枠3を構成する枠本体30と一対の取付部31と突片32は、金属板(例えば、純アルミニウム製の板材)が打ち抜き加工及び曲げ加工されることによって一体に形成されている。
【0025】
枠本体30は、上側の窓枠となる上側板301と、下側の窓枠となる下側板302と、左側の窓枠となる左側板303と、右側の窓枠となる右側板304と、を有している。上側板301と下側板302は、幅細の帯板状に形成されて厚み方向が上下方向に沿うように配置されている。また、左側板303と右側板304は、幅細の帯板状に形成されて厚み方向が左右方向に沿うように配置されている。なお、上側板301の左右両端が左側板303及び右側板304のそれぞれの上端とつながり、下側板302の左右両端が左側板303及び右側板304のそれぞれの下端とつながっている。しかして、枠本体30は、上側板301、下側板302、左側板303、及び右側板304を窓枠とする窓300を有している。なお、上側板301の長手方向(左右方向)の両端に隠し部33が1つずつ形成されている(図7参照)。これら2つの隠し部33は台形状に形成され、上側板301の長手方向の両端の後端から突出している。
【0026】
突片32は、前後方向から見て四角形の枠状に形成され、上側板301、下側板302、左側板303、及び右側板304の前端から窓300に向かって突出している。突片32の四隅と4つの辺の長手方向の中央のそれぞれに挿通穴320が1つずつ設けられている(図3参照)。
【0027】
一対の取付部31は、台形状に形成され、左側板303及び右側板304のそれぞれ下部(上下方向の中央から下の部分)の後端から後方に突出するように枠本体30と一体に形成されている(図3及び図5参照)。一対の取付部31の下部にナット81が1つずつ固定されている(図3及び図6参照)。各ナット81は、かしめナット(ピアスナット又はリベットナットとも呼ばれる。)であり、取付部31に設けられた貫通穴にかしめて固定される。
【0028】
(2-4)アーム
アーム4は、固定部40と、一対のアーム部41と、を有する。固定部40と一対のアーム部41は、金属板(例えば、純アルミニウム製の板材)が打ち抜き加工及び曲げ加工されることによって一体に形成されている。
【0029】
固定部40は、台形の平板状に形成されている(図7参照)。固定部40には円形の取付穴400が一列に並ぶように3つ設けられている。例えば、これら3つの取付穴400に、コンクリート製の台座などに埋め込まれたアンカーボルトが1本ずつ挿通され、各アンカーボルトにナットが締め付けられることで固定部40が被固定物(台座)に固定される。
【0030】
一対のアーム部41は、略L字形に形成され、固定部40の一対の斜辺(台形の脚に相当する辺)から斜め上後方に突出している。一対のアーム部41の先端部分に挿通穴410がそれぞれ1つずつ設けられている(図3参照)。
【0031】
アーム4は、2本のボルト80で枠3に取り付けられる。詳しくは、各アーム部41の挿通穴410に挿通されるボルト80が、枠3の各取付部31に固定されているナット81にねじ込まれることによって、各アーム部41が各取付部31に回転可能に取り付けられる(図4図7参照)。
【0032】
(2-5)シール部材
シール部材5は、シリコーンゴムにより、前後方向から見て4角形の枠状に形成されている(図3参照)。ただし、シール部材5は、シリコーンゴム以外の弾性材料で形成されても構わない。
【0033】
シール部材5は、第1シール部51と第2シール部52を有する(図8参照)。第1シール部51及び第2シール部52は、いずれも長方形の枠状に形成されている。第1シール部51の外周端と第2シール部52の外周端が、長方形の枠状に形成された連結部53で連結されている。つまり、シール部材5の内部には、第1シール部51、第2シール部52及び連結部53で囲われて内周面に開口する溝54がシール部材5の全周にわたって形成されている(図8参照)。
【0034】
第1シール部51の前面及び後面には、2つのリブ55が全周にわたって形成されている(図8参照)。同様に、第2シール部52の前面及び後面にも2つのリブ55が全周にわたって形成されている。また、シール部材5の上下方向及び左右方向のそれぞれの両端と中央にねじ挿通溝56が1つずつ設けられている(図3参照)。
【0035】
(2-6)レンズユニット
レンズユニットB1は、ユニット本体90と、周縁部91と、複数のレンズ92と、を有する(図9図11参照)。なお、図9は、レンズユニットB1の後面図を示している。図10は、光源ユニット2の一部省略した縦方向(上下方向)の断面図を示している。図11は、光源ユニット2の一部省略した横方向(左右方向)の断面図を示している。
【0036】
ユニット本体90と周縁部91と複数のレンズ92は、透光性を有する合成樹脂材料(例えば、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂)で一体に形成されている。
【0037】
ユニット本体90は、四角のトレイ状に形成されている。ユニット本体90の外側の底面(前面)が平面であり、ユニット本体90の内側の底面に複数のレンズ92が形成されている。すなわち、ユニット本体90の前面は、LEDモジュール20と対向する対向面(後面)と反対側に位置する平面であって、複数のレンズ92で配光制御された照明光が出射する出射面900である。
【0038】
複数のレンズ92は、LEDモジュール20の複数のLED200と一対一に対応している。すなわち、各LED200から放射される光の配光を、各LED200と一対一に対応した各レンズ92で制御する。
【0039】
周縁部91は、ユニット本体90の周縁から全周に渡って突出している。周縁部91の上下両端の左右方向の中央、及び周縁部91の左右両端の上下方向の中央のそれぞれに半円形のねじ挿通溝910が1つずつ設けられている(図3参照)。
【0040】
複数のレンズ92は、それぞれ入射部93を有している。入射部93は、LED200と対向する底部94と、底部94を挟んでLEDモジュール20に向かって突出する一対の側壁95と、を有する(図10参照)。ただし、一対の側壁95は、複数のレンズ92のうち、横方向(左右方向)に1列に並んでいる複数のレンズ92ごとに長手方向(左右方向)でつながっている(図9参照)。
【0041】
底部94は、一対の側壁95の間に設けられている(図9図11参照)。底部94は、上下方向から見て弧状に湾曲している(図11参照)。
【0042】
一対の側壁95は、入射面950と、全反射面951と、を有している(図10参照)。ただし、一対の側壁95は、非対称な形状に形成されている(図10参照)。
【0043】
入射面950は、LED200から放射される照明光が入射する面である。ただし、一対の側壁95のそれぞれの入射面950は、LED200の光軸L1に対する傾斜角が異なっている。例えば、実施形態においては、一対の側壁95のうちで上側の側壁95の入射面950の傾斜角は、下側の側壁95の入射面950の傾斜角よりも小さい。
【0044】
全反射面951は、入射面950から入射する照明光を内部全反射させる面である。なお、一対の側壁95のそれぞれの全反射面951は、光軸L1に対して傾斜した平面である。また、一対の側壁95のそれぞれの全反射面951は、光軸L1に対する傾斜角が異なっている(図10参照)。例えば、実施形態においては、一対の側壁95のうちで上側の側壁95の全反射面951の傾斜角は、下側の側壁95の全反射面951の傾斜角よりも大きい(図10参照)。
【0045】
(2-7)照明器具の組立て
次に、照明器具A1の組立ての手順を説明する。ただし、以下に説明する組立ての手順は一例であって、幾つかの手順の順序が入れ替わっても構わない。
【0046】
まず、組立て作業を行う作業者は、器具本体1の収容部10の内底面に電源ユニット6を取り付けた後、電源ユニット6に電源ケーブル7を電気的に接続する。それから、作業者は、収容部10の底を貫通する穴から電源ケーブル7を収容部10の外に引き出し、ケーブルグランド14によって収容部10の外底面に電源ケーブル7を固定する。
【0047】
続いて、作業者は、光源ユニット2の取付板21に設けられた4つの挿通穴に1本ずつ取付ねじ22を挿通し、これら4本の取付ねじ22を、フランジ部11の4つのめねじ部112に1本ずつねじ込むことでフランジ部11に光源ユニット2をねじ止めする。なお、作業者は、光源ユニット2をフランジ部11にねじ止めする前に、電源ユニット6から引き出されている出力用の電線をLEDモジュール20の基板201に実装されているコネクタに電気的に接続する。
【0048】
続いて、作業者は、シール部材5の溝54に周縁部91を挿入するようにして、ユニット本体90の周縁部91にシール部材5を装着する。それから、作業者は、シール部材5を装着したレンズユニットB1をフランジ部11の前面に載せた後、前方から枠3をシール部材5に被せる。
【0049】
そして、作業者は、突片32の複数(8つ)の挿通穴320及びフランジ部11の複数(8つ)の挿通穴111のそれぞれに、取付ボルト34を前方から1本ずつ挿通する。作業者は、フランジ部11の各挿通穴111に挿通された取付ボルト34に取付ナット35を2つずつ締め付けて枠3を器具本体1のフランジ部11に固定する(図8参照)。
【0050】
最後に、作業者は、一対のアーム部41の挿通穴410にボルト80を1本ずつ挿通し、一対の取付部31に固定されている各ナット81にボルト80を1本ずつねじ込むことにより、アーム4を枠3に取り付ける。
【0051】
以上の手順で照明器具A1の組立て作業が完了する。
【0052】
(2-8)照明器具の配光特性
次に、図12を参照して照明器具A1の配光特性を説明する。図12において、0°はLED200の光軸L1の方向である。0°から反時計回りにプラス90°までは光軸L1から上向きの方向であり、0°から時計回りにマイナス90°までは光軸L1から下向きの方向である。原点Oの位置がLED200の位置であり、原点Oからの距離(同心円の半径)が明るさ(光度[cd])を示している。
【0053】
図12において、実線α1は光軸L1を含む縦方向(上下方向)の平面の配光特性を示し、破線β1は光軸L1を含む横方向(左右方向)の平面の配光特性を示している。実線α1で示すように、縦方向の配光特性は、光軸L1から約24°上の方向に光度(ビーム)のピークを有している。一方、破線β1で示すように、横方向の配光特性は、光軸L1の方向と、光軸L1から左右に約54°の方向にそれぞれ光度のピークを有している。
【0054】
(3)変形例
次に、実施形態に係る照明器具A1の変形例を説明する。ただし、変形例の照明器具A1は、レンズユニットB2に特徴があり、レンズユニットB2以外の構成は実施形態に係る照明器具A1と共通である。したがって、以下の変形例の照明器具A1の説明においては、実施形態に係る照明器具A1と共通の構成に対して同一の符号を付して図示及び説明を適宜省略する。
【0055】
レンズユニットB2は、レンズユニットB1と同様に、ユニット本体90と、周縁部91と、複数のレンズ96と、を有する(図13図15参照)。なお、図13は、レンズユニットB2の後面図を示している。図14は、光源ユニット2の一部省略した縦方向(上下方向)の断面図を示している。図15は、光源ユニット2の一部省略した横方向(左右方向)の断面図を示している。
【0056】
複数のレンズ96は、LEDモジュール20の複数のLED200と一対一に対応している。すなわち、各LED200から放射される光の配光を、各LED200と一対一に対応した各レンズ96で制御する。
【0057】
複数のレンズ96は、それぞれ入射部960を有している。入射部960は、LED200と対向する底部961と、底部961を挟んでLEDモジュール20に向かって突出する一対の側壁962と、を有する(図14参照)。ただし、一対の側壁962は、複数のレンズ96のうち、横方向(左右方向)に1列に並んでいる複数のレンズ96ごとに長手方向(左右方向)でつながっている(図13参照)。
【0058】
底部961は、一対の側壁962の間に設けられている(図13図15参照)。底部961は、左右方向から見て、前後方向に傾斜している(図14参照)。
【0059】
一対の側壁962は、入射面963と、全反射面964と、を有している(図14参照)。ただし、一対の側壁962は、非対称な形状に形成されている(図14参照)。
【0060】
一対の側壁962のそれぞれの入射面963は、LED200の光軸L1に対する傾斜角が異なっている。例えば、変形例においては、一対の側壁962のうちで上側の側壁962の入射面963の傾斜角は、下側の側壁962の入射面963の傾斜角よりも小さい。
【0061】
一対の側壁962のそれぞれの全反射面964は、光軸L1に対して傾斜した平面である。また、一対の側壁962のそれぞれの全反射面964は、光軸L1に対する傾斜角が異なっている(図14参照)。例えば、変形例においては、一対の側壁962のうちで上側の側壁962の全反射面964の傾斜角は、下側の側壁962の全反射面964の傾斜角よりも大きい(図14参照)。
【0062】
変形例の照明器具A1の配光特性を図16に示す。図16において、0°はLED200の光軸L1の方向である。0°から反時計回りにプラス90°までは光軸L1から上向きの方向であり、0°から時計回りにマイナス90°までは光軸L1から下向きの方向である。原点Oの位置がLED200の位置であり、原点Oからの距離(同心円の半径)が明るさ(光度[cd])を示している。
【0063】
図16において、実線α2は光軸L1を含む縦方向(上下方向)の平面の配光特性を示し、破線β2は光軸L1を含む横方向(左右方向)の平面の配光特性を示している。実線α2で示すように、縦方向の配光特性は、光軸L1から約22°上の方向に光度(ビーム)のピークを有している。一方、破線β2で示すように、横方向の配光特性は、光軸L1から左右に約10°の方向にそれぞれ光度のピークを有している。
【0064】
変形例における配光特性は、実施形態における配光特性と比較して、横方向(左右方向)の配光角が狭く、かつ、縦方向(上下方向)の配光角が広くなっている。
【0065】
(4)実施形態の利点
上述のように照明器具A1において、レンズユニットB1;B2は、LEDモジュール20との対向面に設けられる入射部93;960を有する。入射部93;960は、複数のLED200と対向する底部94;961と、底部94;961を挟んでLEDモジュール20に向かって突出する一対の側壁95;962と、を有する。一対の側壁95;962は、LED200から放射される照明光が入射する入射面950;963と、入射面950;963から入射する照明光を内部全反射させる全反射面951;964と、を有する。一対の側壁95;962の全反射面951;964は、LED200の光軸L1に対して非対称に照明光を内部全反射させる。
【0066】
しかして、照明器具A1は、レンズユニットB1;B2の一対の側壁95;962の全反射面951;964により、LED200の光軸L1に対して非対称に照明光を内部全反射させるので、照明光を任意の方向に傾けて配光することができる。
【0067】
また、レンズユニットB1;B2(配光制御部材)は、LEDモジュール20の配光を制御する配光制御機能に加えて、光源ユニット2を保護する保護機能を有している。すなわち、照明器具A1は、配光制御機能と光源ユニット2の保護機能を1つの部品(レンズユニットB1;B2)に持たせているので、部品点数の削減により、組立て作業の作業性の向上を図ることができる。
【0068】
さらに、照明器具A1は、一対の側壁95;962が非対称な形状であるので、照明光を光軸L1に対して非対称に内部全反射させることが容易に実現可能である。また、照明器具A1は、一対の側壁95;962の各々の入射面950;963が、光軸L1に対する傾斜角が異なる平面であるので、任意の方向に傾けた配光特性を簡単に実現することができる。しかも、照明器具A1は、一対の側壁95;962のそれぞれの全反射面951;964が光軸L1に対して傾斜した平面であるので、任意の方向に傾けた配光特性を更に簡単に実現することができる。
【0069】
ここで、レンズユニットB1;B2において、底部94;961は、光軸L1に対して非対称である(図10及び図14参照)。すなわち、底部94;961の中央が、上下方向において光軸L1とずれている。そのため、照明器具A1は、任意の方向に傾けた配光特性を更に簡単に実現することができる。
【0070】
なお、照明器具A1は、レンズユニットB1;B2の前面(LEDモジュール20との対向面と反対側の面)である出射面900が平面であるので、外観上の見栄えの向上を図ることができる。
【0071】
(5)まとめ
本開示の第1の態様に係る照明器具(A1)は、複数のLED(200)が少なくとも1列に並べて基板(201)に実装されたLEDモジュール(20)と、複数のLED(200)から放射される照明光の配光を制御する配光制御部材(レンズユニットB1;B2)と、を備える。配光制御部材は、LEDモジュール(20)との対向面に設けられる入射部(93;960)を有する。入射部(93;960)は、複数のLED(200)と対向する底部(94;961)と、底部(94;961)を挟んでLEDモジュール(20)に向かって突出する一対の側壁(95;962)と、を有する。一対の側壁(95;962)は、LED(200)から放射される照明光が入射する入射面(950;963)と、入射面(950;963)から入射する照明光を内部全反射させる全反射面(951;964)と、を有する。一対の側壁(95;962)の全反射面(951;964)は、LED(200)の光軸(L1)に対して非対称に照明光を内部全反射させる。
【0072】
第1の態様に係る照明器具(A1)は、配光制御部材の一対の側壁(95;962)の全反射面(951;964)により、LED(200)の光軸(L1)に対して非対称に照明光を内部全反射させるので、照明光を任意の方向に傾けて配光することができる。
【0073】
本開示の第2の態様に係る照明器具(A1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る照明器具(A1)において、一対の側壁(95;962)は非対称な形状であることが好ましい。
【0074】
第2の態様に係る照明器具(A1)は、一対の側壁(95;962)が非対称な形状であるので、照明光を光軸(L1)に対して非対称に内部全反射させることが容易に実現可能である。
【0075】
本開示の第3の態様に係る照明器具(A1)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る照明器具(A1)において、一対の側壁(95;962)の各々の入射面(950;963)は、光軸(L1)に対する傾斜角が異なる平面であることが好ましい。
【0076】
第3の態様に係る照明器具(A1)は、任意の方向に傾けた配光特性を簡単に実現することができる。
【0077】
本開示の第4の態様に係る照明器具(A1)は、第1-第3のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る照明器具(A1)において、一対の側壁(95;962)のそれぞれの全反射面(951;964)は、光軸(L1)に対して傾斜した平面であることが好ましい。
【0078】
第4の態様に係る照明器具(A1)は、任意の方向に傾けた配光特性を更に簡単に実現することができる。
【0079】
本開示の第5の態様に係る照明器具(A1)は、第1-第4のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る照明器具(A1)において、底部(94;961)は、光軸(L1)に対して非対称であることが好ましい。
【0080】
第5の態様に係る照明器具(A1)は、任意の方向に傾けた配光特性を更に簡単に実現することができる。
【0081】
本開示の第6の態様に係る照明器具(A1)は、第1-第5のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る照明器具(A1)において、配光制御部材の対向面と反対側の出射面(900)は平面であることが好ましい。
【0082】
第6の態様に係る照明器具(A1)は、外観上の見栄えの向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0083】
A1 照明器具
B1;B2 レンズユニット(配光制御部材)
L1 光軸
1 器具本体
20 LEDモジュール
93 入射部
94 底部
95 側壁
200 LED
201 基板
900 出射面
950 入射面
951 全反射面
960 入射部
961 底部
962 側壁
963 入射面
964 全反射面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16