(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014001
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 119/00 20060101AFI20230119BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20230119BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20230119BHJP
C09J 153/00 20060101ALI20230119BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230119BHJP
C09J 7/35 20180101ALI20230119BHJP
【FI】
C09J119/00
C09J175/04
C09J11/08
C09J153/00
C09J11/06
C09J7/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109054
(22)【出願日】2022-07-06
(31)【優先権主張番号】P 2021116313
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000216243
【氏名又は名称】田岡化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松島 歩海
(72)【発明者】
【氏名】河村 芳範
(72)【発明者】
【氏名】村田 順平
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA05
4J004AB05
4J004BA02
4J004FA08
4J040CA081
4J040DA032
4J040DA102
4J040DC092
4J040DM011
4J040EF181
4J040EF281
4J040JA02
4J040JA09
4J040JB02
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4J040KA16
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4J040MA02
4J040MA10
4J040MB03
4J040MB05
4J040MB09
4J040NA19
4J040PA30
4J040PA33
(57)【要約】
【課題】
低誘電特性および樹脂と金属との接着性に優れる、接着剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
本願発明者らが鋭意検討を行った結果、(A)酸変性スチレン系エラストマー、(B)1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物、(C)フッ素系ポリマー微粒子及び(D)オレフィン系ポリマー微粒子を特定の割合で含有する接着剤組成物によれば、低誘電特性および樹脂と金属との接着性に優れ、前記課題が解決可能であることを見出した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)酸変性スチレン系エラストマー、(B)1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物、(C)フッ素系ポリマー微粒子及び(D)オレフィン系ポリマー微粒子を含有し、
(A)酸変性スチレン系エラストマー中の全酸性基に対する、(B)1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル比(イソシアネート基/全酸性基)が、0.3~3.0であり、
(C)フッ素系ポリマー微粒子の含有量が、(A)酸変性スチレン系エラストマー100重量部に対し15~100重量部であり、
(D)オレフィン系ポリマー微粒子の含有量が、(A)酸変性スチレン系エラストマー100重量部に対し7~55重量部である、
接着剤組成物。
【請求項2】
上記(A)酸変性スチレン系エラストマーが、スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体及びスチレン-エチレンプロピレンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のスチレン系エラストマーを不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種により変性したものである、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
上記(B)1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物が、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート及びこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
上記(C)フッ素系ポリマー微粒子が、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレン-プロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシ重合体、テトラフルオロエチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体及びポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種のフッ素系ポリマーで構成された微粒子である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
上記(D)オレフィン系ポリマー微粒子が、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン-プロピレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィン系ポリマーで構成された微粒子である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
更に、(E)有機溶媒を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の接着剤組成物を用いてなる接着フィルム。
【請求項8】
請求項6に記載の接着剤組成物を用いてなる接着フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低誘電特性(低誘電率、低誘電正接)及び接着性に優れ、電子部品、特にフレキシブルプリント配線板(以下、FPC)の関連部材の製造に適した接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやモバイルパソコンなど無線通信技術の進展に伴って大容量の情報を高速で処理することが要求され、伝送信号の高周波化が進展している。高周波化に伴い、無線通信デバイスの構成要素の1つであるFPC及びその関連部材にも高周波帯域での低誘電特性(低誘電率、低誘電正接)が求められている(例えば、国際公開第2016/017473号(特許文献1))。
【0003】
また、上記関連部材として、例えば、FPCを製造する際に配線部分を保護するために、「カバーレイフィルム」と呼ばれる接着剤層付き積層体が用いられるが、該接着剤層には、配線部分及び基材フィルムに対して強固な接着性を有することも求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み為されたものであって、低誘電特性および樹脂と金属との接着性に優れる、接着剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(A)酸変性スチレン系エラストマー、(B)1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物、(C)フッ素系ポリマー微粒子及び(D)オレフィン系ポリマー微粒子を特定の割合で含有する接着剤組成物によれば、上記課題が解決可能であることを見出した。具体的には、本発明は以下の発明を含む。
【0007】
〔1〕
(A)酸変性スチレン系エラストマー、(B)1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物、(C)フッ素系ポリマー微粒子及び(D)オレフィン系ポリマー微粒子を含有し、
(A)酸変性スチレン系エラストマー中の全酸性基に対する、(B)1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル比(イソシアネート基/全酸性基)が、0.3~3.0であり、
(C)フッ素系ポリマー微粒子の含有量が、(A)酸変性スチレン系エラストマー100重量部に対し15~100重量部であり、
(D)オレフィン系ポリマー微粒子の含有量が、(A)酸変性スチレン系エラストマー100重量部に対し7~55重量部である、
接着剤組成物。
【0008】
〔2〕
上記(A)酸変性スチレン系エラストマーが、スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体及びスチレン-エチレンプロピレンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のスチレン系エラストマーを不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種により変性したものである、〔1〕に記載の接着剤組成物。
【0009】
〔3〕
上記(B)1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物が、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート及びこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、〔1〕に記載の接着剤組成物。
【0010】
〔4〕
上記(C)フッ素系ポリマー微粒子が、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレン-プロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシ重合体、テトラフルオロエチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体及びポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種のフッ素系ポリマーで構成された微粒子である、〔1〕に記載の接着剤組成物。
【0011】
〔5〕
上記(D)オレフィン系ポリマー微粒子が、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン-プロピレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィン系ポリマーで構成された微粒子である、〔1〕に記載の接着剤組成物。
【0012】
〔6〕
更に、(E)有機溶媒を含む、〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【0013】
〔7〕
〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の接着剤組成物を用いてなる接着フィルム。
【0014】
〔8〕
〔6〕に記載の接着剤組成物を用いてなる接着フィルム。
【発明の効果】
【0015】
本発明の接着剤組成物は、低誘電特性及び樹脂と金属との接着性に優れる。そのため、本発明の接着剤組成物は、例えば、接着剤層付き積層体(カバーレイフィルム、ボンディングシート)、樹脂付き銅箔、フレキシブル銅張積層板、及びフレキシブルフラットケーブル等の用途に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に記載する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0017】
<本発明の接着剤組成物>
本発明の接着剤組成物は、(A)酸変性スチレン系エラストマー、(B)1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物、(C)フッ素系ポリマー微粒子及び(D)オレフィン系ポリマー微粒子を含有する。以下、上記(A)~(D)成分について、具体的に説明する。
【0018】
[(A)酸変性スチレン系エラストマー]
本発明においては、接着剤組成物を構成する主成分として、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種により変性したスチレン系エラストマー(酸変性スチレン系エラストマー)を用いる。スチレン系エラストマーを変性する方法としては、例えば、スチレン系エラストマーと不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種とをグラフト化反応させる方法等が挙げられる。
【0019】
スチレン系エラストマーの具体例としては、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-エチレンプロピレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレンプロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)等が挙げられる。これらスチレン系エラストマーの中でも、接着性と低誘電特性の観点から、スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレンプロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)が好ましい。
【0020】
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸等が挙げられる。これら不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物の中でも、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種による変性量は、通常、酸変性スチレン系エラストマー全体の0.1~10重量%程度である。また、酸変性スチレン系エラストマーは、該酸変性エラストマー中の全酸性基の少なくとも一部が酸無水物であることが好ましい。
【0021】
酸変性スチレン系エラストマーの酸価は、例えば、0.1mgCH3ONa/g以上、好ましくは0.5mgCH3ONa/g以上、より好ましくは1.0mgCH3ONa/g以上であり、また、例えば、20mgCH3ONa/g以下、好ましくは18mgCH3ONa/g以下、より好ましくは15mgCH3ONa/g以下である。
【0022】
酸変性スチレン系エラストマーの分子量は、例えば、重量平均分子量で1万以上、好ましくは3万以上、より好ましくは5万以上であり、また、例えば、50万以下、好ましくは30万以下、より好ましくは20万以下である。なお、本発明における重量平均分子量とは、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の分子量である。
【0023】
酸変性スチレン系エラストマーの市販品としては、例えば、旭化成社製のタフテックMシリーズや、クレイトンポリマージャパン社製のクレイトンFGシリーズ等が挙げられる。
【0024】
本発明において、上記した酸変性スチレン系エラストマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
[(B) 1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物]
本発明における1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(以下、ポリイソシアネート化合物と称する場合がある)としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及びこれらの誘導体等が挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン等の芳香族トリイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族トリイソシアネート等が挙げられる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ω,ω’-ジイソシアネート-1,3-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、4,4’,4’’-トリフェニルメタントリイソシアネート等の芳香脂肪族トリイソシアネート等が挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート[別名:イソホロンジイソシアネート]、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
【0026】
ポリイソシアネート化合物の誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート化合物の多量体(例えば、2量体、3量体(例えば、イソシアヌレート誘導体)等)、アロファネート誘導体、ビウレット誘導体、ウレトジオン誘導体、ジイソシアネート化合物と低分子量のポリオール又はポリアミンとを末端がイソシアネートとなるように反応させて得られるウレタンプレポリマー等が挙げられる。
【0027】
また、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の少なくとも一部がブロック剤によりブロックされているブロックイソシアネートを用いてもよい。具体例としては、イソシアネート化合物のイソシアネート基を、ε-カプロラクタム、MEK(メチルエチルケトン)オキシム、シクロヘキサノンオキシム、ピラゾール、フェノール等でブロックしたもの等が挙げられる。
【0028】
これら1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物の中でも、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート及びこれらの誘導体が好ましく、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート及びこれらの3量体がより好ましく、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、及びヘキサメチレンジイソシアネートの3量体が特に好ましい。
【0029】
1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物の市販品としては、バクセンデン社製のTrixeneBI7982、TrixeneBI7951、TrixeneBI7961、TrixeneBI7991、三井化学社製のタケネートB-820NP、エボニック社製のVESTAGONB1530、VESTAGONBF1540等が挙げられる。本発明において、上記したイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
本発明の接着剤組成物において、(A)酸変性スチレン系エラストマー中の全酸性基に対する、(B)1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル比(イソシアネート基/全酸性基)は、通常0.3~3.0、好ましくは0.5~2.5、より好ましくは0.7~2.0である。なお、酸変性スチレン系エラストマー中の全酸性基量(mol)は、酸変性スチレン系エラストマーの酸価(mgCH3ONa/g)をCH3ONa(ナトリウムメトキシド)の分子量で除した後、さらに103で除して酸変性スチレン系エラストマー1g当りの全酸性基量(mol/g)を算出し、これに接着剤組成物中の酸変性スチレン系エラストマーの量(g)を乗算することで求めることができる。
【0031】
[(C)フッ素系ポリマー微粒子]
本発明におけるフッ素系ポリマー微粒子は、主としてフッ素系ポリマーで構成される微粒子である。フッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレン-プロピレン共重合体(FEP)、パーフルオロアルコキシ重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(TFE/CTFE)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等が好適に用いられる。これらフッ素系ポリマーの中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
【0032】
フッ素系ポリマー微粒子の市販品としては、例えば、MicroPowders社製のFluo400XF、ダイキン工業社製のルブロンL-5F、Shamrock社製のSST-1MG等が挙げられる。
【0033】
フッ素系ポリマー微粒子は、これらフッ素系ポリマー単独で構成されていてもよく、2種以上を併用して構成されていてもよい。また、本発明において、上記したフッ素系ポリマー微粒子は、単独で用いてもよく、構成の異なる2種以上のものを併用してもよい。
【0034】
フッ素系ポリマー微粒子の平均粒子径は、分散性等の観点から10μm以下が好ましく、7μm以下がより好ましく、5μm以下がよりさらに好ましい。該平均粒子径は、通常、0.1μm以上である。
【0035】
本発明の接着剤組成物に含まれるフッ素系ポリマー微粒子の量は、(A)酸変性スチレン系エラストマー100重量部に対して、通常15~100重量部、好ましくは20~80重量部である。
【0036】
[(D)オレフィン系ポリマー微粒子]
本発明におけるオレフィン系ポリマー微粒子は、主としてオレフィン系ポリマーで構成される微粒子である。オレフィン系ポリマーとしては、例えば、オレフィンからなる群より選択される少なくとも1種の重合体が挙げられる。オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等が挙げられる。オレフィンからなる群より選択される少なくとも1種の重合体の具体的としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン、エチレン-プロピレン共重合体等が挙げられる。また、オレフィン系ポリマー微粒子を構成するオレフィン系ポリマーは、オレフィンからなる群より選択される少なくとも1種とジエン化合物との共重合体であってもよい。ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。オレフィンからなる群より選択される少なくとも1種とジエン化合物との共重合体の具体例としては、エチレン-ブタジエン共重合体、エチレン-プロピレン-ブタジエン共重合体、エチレン-プロピレン-ジシクロペンタジエン共重合体等が挙げられる。
【0037】
これらオレフィン系ポリマーの中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体が好ましい。
【0038】
オレフィン系ポリマー微粒子は、これらオレフィン系ポリマー単独で構成されていてもよく、2種以上を併用して構成されていてもよい。また、オレフィン系ポリマー以外の他の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。
【0039】
オレフィン系ポリマー微粒子の市販品としては、例えば、ポリエチレン微粒子はMicroPowders社製のMPP-635XF、住友精化社製のフロービーズLE-1080、フロービーズHE-3040、Shamrock社製のS-394N1、ポリプロピレン微粒子はMicroPowders社製のMicropro500、Shamrock社製のS-363等が挙げられる。本発明において、上記したオレフィン系ポリマー微粒子は、単独で用いてもよく、構成の異なる2種以上のものを併用してもよい。
【0040】
オレフィン系ポリマー微粒子の平均粒子径は、分散性等の観点から、0.1μm~50μmであることが好ましく、0.3μm~25μmであることがより好ましく、0.5μm~15μmであることが更に好ましい。
【0041】
オレフィン系ポリマー微粒子の融点は、70~160℃であることが好ましく、90~155℃であることがより好ましく、100~150℃であることが更に好ましい。前記範囲内とすることで優れた接着性を発現することができる。
【0042】
本発明の接着剤組成物に含まれるオレフィン系ポリマー微粒子の量は、(A)酸変性スチレン系エラストマー100重量部に対して、通常7~55重量部、好ましくは10~50重量部である。
【0043】
[その他の成分]
本発明の接着剤組成物には、上記(A)~(D)成分の他、(A)酸変性スチレン系エラストマー以外の他の熱可塑性樹脂、硬化促進剤、粘着付与剤、難燃剤、カップリング剤、酸化防止剤、(C)フッ素系ポリマー微粒子及び(D)ポリオレフィン系ポリマー微粒子以外の他のフィラー及び(E)有機溶媒等を含有することができる。
【0044】
上記他の熱可塑性樹脂としては、例えば、酸無水物基を含有しないスチレン系エラストマー、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリビニル系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
上記硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、ルチジン、ピコリン、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン)等のアミン類、リチウムメチラート、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムブトキサイド、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム等のアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物、チタン、コバルト、スズ、亜鉛、アルミニウムなどの金属、半金属化合物等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
上記粘着付与剤としては、例えば、クマロン-インデン樹脂、テルペン樹脂、テルペン-フェノール樹脂、ロジン樹脂、p-t-ブチルフェノール-アセチレン樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、キシレン-ホルムアルデヒド樹脂、石油系炭化水素樹脂、水素添加炭化水素樹脂、テレピン系樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
上記難燃剤としては、例えば、有機系難燃剤、無機系難燃剤等が挙げられる。有機系難燃剤としては、例えば、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、リン酸グアニジン、ポリリン酸グアニジン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸アミドアンモニウム、ポリリン酸アミドアンモニウム、リン酸カルバメート、ポリリン酸カルバメート、トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスジエチルホスフィン酸チタン、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスメチルエチルホスフィン酸チタン、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル、テトラキスジフェニルホスフィン酸チタン等のリン系難燃剤;メラミン、メラム、メラミンシアヌレート等のトリアジン系化合物や、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、トリアゾール系化合物、テトラゾール化合物、ジアゾ化合物、尿素等の窒素系難燃剤;シリコーン化合物、シラン化合物等のケイ素系難燃剤等が挙げられる。また、無機系難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化ニッケル等の金属酸化物;炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ホウ酸亜鉛、水和ガラス等が挙げられる。これらの難燃剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
上記カップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトシキシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イミダゾールシラン等のシラン系カップリング剤;チタネート系カップリング剤;アルミネート系カップリング剤;ジルコニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
上記酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、n-オクタデシル-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノール、トリエチレングリコール-ビス〔3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤;ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-ジチオプロピオネート等のイオウ系酸化防止剤;トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
上記他のフィラーとしては、例えば、ポリアクリル酸エステル粉末、エポキシ樹脂粉末、ポリアミド粉末、ポリウレタン粉末、ポリシロキサン粉末等の他、シリコーン、アクリル、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム等を用いた多層構造のコアシェル等の高分子フィラー;シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ハイドロタルサイト、ウォラストナイト、ゾノトライト、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、ガラスフレーク、水和ガラス、チタン酸カルシウム、セピオライト、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化アンチモン、酸化ニッケル、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム等の無機フィラー等が挙げられる。これらフィラーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、形状としては、例えば、球状、粉状、繊維状、針状、鱗片状等を用いることができる。
【0051】
上記(E)有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキサイド、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、γ-ブチロラクトン、セロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、ブチルカルビトール等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
また、本発明の接着剤組成物は、上記したその他の成分の他、例えば、耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤、レベリング剤、消泡剤等のアニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤、染料、顔料、可塑剤等も含有することができる。
【0053】
本発明の接着剤組成物は、(A)酸変性スチレン系エラストマー、(B)1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物、(C)フッ素系ポリマー微粒子、(D)オレフィン系ポリマー微粒子及び必要に応じてその他成分を混合することにより製造することができる。混合方法は特に限定されず、接着剤組成物が均一になればよい。接着剤組成物は、微粒子が分散した溶液の状態(以下、液状の接着剤組成物と称する。)で好ましく用いられることから、通常は、上記(E)有機溶媒も使用される。液状の接着剤組成物とすることにより、FPC関連部材を製造する際に、基材への塗工及び接着剤層の形成をより円滑に行うことができ、所望の厚さの接着剤層をより容易に得ることができる。
【0054】
液状の接着剤組成物とする場合、接着剤層の形成を含む作業性等の観点から、固形分濃度は、例えば、3~80重量%、好ましくは10~50重量%である。
【0055】
[接着剤組成物の特性]
本発明の接着剤組成物を硬化させてなる硬化物は、低誘電特性に優れる。硬化後の接着剤組成物の誘電率は、通常2.30未満、好ましくは2.25未満である。また、誘電正接は、通常0.002未満、好ましくは0.001未満である。
【0056】
本発明の接着剤組成物を硬化させてなる硬化物は、剥離接着強度に優れる。硬化後の接着剤組成物の剥離接着強度は、90°ピール強度が、通常1.3N/mm、好ましくは1.5N/mmである。
【0057】
なお、これら本発明の接着剤組成物の特性は、後述する実施例の項に記載された方法にて測定されるものである。
【0058】
<用途>
本発明における接着剤組成物は、低誘電特性、樹脂と金属との接着性に優れることから、FPCの関連部材を製造するための接着剤(例えば、接着フィルム等)として好適に用いることができる。本発明におけるFPCの関連部材としては、例えば、カバーレイフィルム、ボンディングシート、樹脂付き銅箔、フレキシブル銅張積層板、フレキシブルフラットケーブル等が挙げられる。
【実施例0059】
以下、実施例等を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、以下実施例等において、接着剤層がBステージ状であるとは、接着剤組成物の一部が硬化し始めた半硬化状態をいい、加熱等により接着剤組成物の硬化が更に進行する状態である。
【0060】
(実施例1~10)
撹拌装置付き1000mlフラスコに、各成分を表1に示す割合(重量部)で添加し、室温下で6時間撹拌して分散させることにより接着剤組成物を調製した。得られた接着剤組成物を用いて、以下の方法で各物性の測定および評価を行った。得られた結果を表1に示す。モル比は(イソシアネート基/全酸性基)より算出した。
【0061】
(比較例1~7)
撹拌装置付き1000mlフラスコに、各成分を表2に示す割合(重量部)で添加し、室温下で6時間撹拌して分散させることにより接着剤組成物を調製した。得られた接着剤組成物を用いて、以下の方法で各物性の測定および評価を行った。得られた結果を表2に示す。モル比は(イソシアネート基又はエポキシ基/全酸性基)より算出した。
【0062】
(1)誘電率、誘電正接
離型処理をしたガラス板を用意し、その一方の表面に、表1及び表2に記載の接着剤組成物を、乾燥後の厚さが100μmとなるように塗布した。次いで、この塗膜付きガラス板をオーブン内に静置して、100℃で10分間乾燥させてBステージ状の接着剤層(厚さ100μm)を形成し、次に、この接着剤層をオーブン内に静置して、160℃で60分間加熱硬化処理をして、試験片を作製した。この試験片について、エー・イー・ティー社製の誘電率測定装置を用い、空洞共振器法により、測定温度25℃、測定周波数10GHzにおける誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)を求めた。評価基準は以下の通りである。
【0063】
(誘電率)
A・・・誘電率が2.25未満
B・・・誘電率が2.25以上、2.30未満
C・・・誘電率が2.30以上
【0064】
(誘電正接)
A・・・誘電正接が0.001未満
B・・・誘電正接が0.001以上、0.002未満
C・・・誘電正接が0.002以上
【0065】
(2)剥離接着強度
厚さ25μmのポリイミドフィルム[東レ・デュポン社製「カプトン100EN」]を用意し、その一方の表面に、表1及び表2に記載の接着剤組成物を塗布した。次いで、この塗膜付きフィルムをオーブン内に静置し、100℃で5分間乾燥させてBステージ状の接着剤層(厚さ約15μm)を形成し、カバーレイフィルムを得た。その後、厚さ18μmの電解銅箔を、カバーレイフィルムの接着剤層の表面に面接触するように重ね合わせ(ポリイミドフィルム/接着剤層/銅箔)、温度160℃、及び圧力4.5MPaの条件で60分間加熱圧着し、フレキシブル銅張積層板を得た。このフレキシブル銅張積層板を幅10mm×長さ100mmにカットし、島津製作所社製のオートグラフAGS-500を用いて、90°方向(積層板の面方向に直交する方向)における剥離接着強度を以下の測定条件にて測定した。測定条件は、テストスピードを50mm/minとした。評価基準は以下の通りである。
A・・・はく離接着強度が1.5N/mm以上
B・・・はく離接着強度が1.3N/mm以上1.5N/mm未満
C・・・はく離接着強度が1.3N/mm未満
【0066】
なお、表1及び2中の各成分は以下の通りである。
[(A):酸変性スチレン系エラストマー]
(A-1):タフテックM1913(旭化成ケミカルズ社製、無水マレイン酸変性スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体、酸価:10mgCH3ONa/g、重量平均分子量:15万)
(A-2):タフテックM1911(旭化成ケミカルズ社製、無水マレイン酸変性スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体、酸価:2mgCH3ONa/g、重量平均分子量:15万)
【0067】
[(B):1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物]
(B-1):TrixeneBI7982(バクセンデン社製、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体のブロック化体、固形分濃度:70重量%、イソシアネート当量(イソシアネート基1つ当りの分子量):410g/eq)
(B-2):タケネートB-820NP(三井化学製、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンのブロック化体、固形分濃度:60重量%、イソシアネート当量:656g/eq)
【0068】
[(C):フッ素系ポリマー微粒子]
(C-1):Fluo400XF(MicroPowders社製、PTFE微粒子、平均粒子径:3μm)
(C-2):ルブロンL-5F(ダイキン工業社製、PTFE微粒子、平均粒子径:5μm)
【0069】
[(D):オレフィン系ポリマー微粒子]
(D-1):MPP-635XF(MicroPowders社製、ポリエチレン微粒子、平均粒子径:5μm、融点:124℃)
(D-2):Micropro500(MicroPowders社製、ポリプロピレン微粒子、平均粒子径:6μm、融点:142℃)
【0070】
[(E):溶剤]
(E-1):トルエン
【0071】
[(F):1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物以外の架橋剤]
(F-1):HP-7200HH(DIC社製、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、エポキシ当量:280g/eq)
【0072】
[(G):硬化促進剤]
(G-1):2-ウンデシルイミダゾール
【0073】
【0074】