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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140032
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】紫外線除菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20230927BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20230927BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20230927BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L9/20
C02F1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045868
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】西川 幸男
(72)【発明者】
【氏名】旭 雄大
(72)【発明者】
【氏名】岡山 芳央
【テーマコード(参考)】
4C058
4C180
4D037
【Fターム(参考)】
4C058AA20
4C058BB06
4C058CC04
4C058DD04
4C058DD06
4C058EE15
4C058EE16
4C058KK02
4C058KK46
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH20
4C180LL20
4D037AA01
4D037AA11
4D037AB03
4D037BA18
4D037BB01
4D037BB02
(57)【要約】
【課題】レーザ光源および光学部品への結露を防ぎ、安定した除菌を行うことができる紫外線除菌装置を提供する。
【解決手段】紫外線除菌装置は、紫外光光源を有する紫外光装置と、紫外光透過性材料からなる窓を介して紫外光装置と接続され、流体が通過する筐体であって、窓を介して紫外光光源からの紫外光が筐体内を通過する流体に照射される、筐体と、を備え、窓は、紫外光装置と筐体との間の紫外光の光路上に設けられ、窓の周縁と紫外光装置又は筐体との間は、熱伝導性の接続を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光光源を有する紫外光装置と、
紫外光透過性材料からなる窓を介して前記紫外光装置と接続され、流体が通過する筐体であって、前記窓を介して前記紫外光光源からの紫外光が前記筐体内を通過する前記流体に照射される、筐体と、
を備え、
前記窓は、前記紫外光装置と前記筐体との間の紫外光の光路上に設けられ、
前記窓の周縁と前記紫外光装置又は前記筐体との間は、熱伝導性の接続を有する、紫外線除菌装置。
【請求項2】
前記紫外光光源は、前記窓の周縁を保持する前記紫外光装置の外装部と熱伝導性の接続を有する、請求項1に記載の紫外線除菌装置。
【請求項3】
前記筐体は、紫外光に対して反射率が低い金属およびそれらの合金材料からなる、請求項1に記載の紫外線除菌装置。
【請求項4】
前記筐体は、銅、ニッケルまたは鉄およびそれらの合金材料からなる、請求項3に記載の紫外線除菌装置。
【請求項5】
前記筐体の内壁の表面粗さは、算術平均粗さで0.2μm以上25μm以下である、請求項1に記載の紫外線除菌装置。
【請求項6】
前記紫外光装置の外装部と、前記筐体の、少なくとも一方の外周に断熱材を設けている、請求項1に記載の紫外線除菌装置。
【請求項7】
前記窓は、少なくとも一方の表面にナノ周期構造を有する、請求項1に記載の紫外線除菌装置。
【請求項8】
前記紫外光装置は、排水口を有する、請求項1に記載の紫外線除菌装置。
【請求項9】
前記紫外光装置の外装部または前記筐体の各面は、傾斜を有する、請求項1に記載の紫外線除菌装置。
【請求項10】
前記紫外光装置は、温度調整機構を有する、請求項1に記載の紫外線除菌装置。
【請求項11】
前記紫外光装置は、圧力調整機構を有する、請求項1に記載の紫外線除菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気や水などの流体を除菌する紫外線除菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紫外線除菌装置としては、通風する流路内に除菌室を配置し、前記除菌室内を通過する空気にLEDなどから出射された深紫外線を照射して除菌を行う空気清浄装置がある(例えば、特許文献1参照。)。図8は、特許文献1に記載された従来の紫外線除菌装置の構成を示す概略斜視図である。
【0003】
図8において、LED等の紫外線発光素子130から出射された深紫外線132が、除菌室110内において、吸入されてから排出される間に存在する空気を通過し、さらに前記深紫外線の反射材140で構成された内壁面または前記反射材140で反射されて、前記空気を更に1回以上通過し除菌するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-100206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、周辺環境よりも温度の低い流体や湿度の高い気体などを除菌する際には、紫外線発光素子130の温度が流入する流体や気体よりも高いため、それらに含まれる水分が紫外線発光素子130やその周辺に結露する。その結果、光学部品等が曇り、紫外線発光素子130からの光量が低下したり、紫外線発光素子130や電気系統が損傷したりするという課題を有している。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、レーザ光源および光学部品への結露を防ぎ、安定した除菌を行うことができる紫外線除菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る紫外線除菌装置は、紫外光光源を有する紫外光装置と、紫外光透過性材料からなる窓を介して紫外光装置と接続され、流体が通過する筐体であって、窓を介して紫外光光源からの紫外光が筐体内を通過する流体に照射される、筐体と、を備え、窓は、紫外光装置と筐体との間の紫外光の光路上に設けられ、窓の周縁と紫外光装置又は筐体との間は、熱伝導性の接続を有する。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明に係る紫外線除菌装置によれば、レーザ光源および光学部品への結露を防ぎ、安定した除菌を行うことができる
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】実施の形態1に係る紫外線除菌装置の上面から見た外観を示す上面図である。
図1B】実施の形態1に係る紫外線除菌装置の正面から見た外観を示す正面図である。
図2】実施の形態1に係る紫外線除菌装置の紫外線照射の光軸を含む面についての断面構成を示す断面正面図である。
図3】実施の形態1に係る紫外線除菌装置の紫外光装置と除菌室筐体との境界に設けられた窓近傍の拡大断面図である。
図4】実施の形態2に係る紫外線除菌装置の紫外線照射の光軸を含む面についての断面構成を示す断面正面図である。
図5】実施の形態3に係る紫外線除菌装置の紫外線照射の光軸を含む面についての断面構成を示す断面正面図である。
図6】実施の形態4に係る紫外線除菌装置の紫外線照射の光軸を含む面についての断面構成を示す断面正面図である。
図7】実施の形態4に係る紫外線除菌装置の紫外光装置と除菌室筐体との境界に設けられた窓の断面構造を示す断面図である。
図8】特許文献1に記載された従来の紫外線除菌装置の構成を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の態様に係る紫外線除菌装置は、紫外光光源を有する紫外光装置と、紫外光透過性材料からなる窓を介して紫外光装置と接続され、流体が通過する筐体であって、窓を介して紫外光光源からの紫外光が筐体内を通過する流体に照射される、筐体と、を備え、窓は、紫外光装置と筐体との間の紫外光の光路上に設けられ、窓の周縁と紫外光装置又は筐体との間は、熱伝導性の接続を有する。
【0011】
第2の態様に係る紫外線除菌装置は、上記第1の態様において、紫外光光源は、窓の周縁を保持する紫外光装置の外装部と熱伝導性の接続を有してもよい。
【0012】
第3の態様に係る紫外線除菌装置は、上記第1の態様において、筐体は、紫外光に対して反射率が低い金属およびそれらの合金材料からなってもよい
【0013】
第4の態様に係る紫外線除菌装置は、上記第3の態様において、筐体は、銅、ニッケルまたは鉄およびそれらの合金材料からなってもよい。
【0014】
第5の態様に係る紫外線除菌装置は、上記第1の態様において、筐体の内壁の表面粗さは、算術平均粗さで0.2μm以上25μm以下であってもよい。
【0015】
第6の態様に係る紫外線除菌装置は、上記第1の態様において、紫外光装置の外装部と、筐体の、少なくとも一方の外周に断熱材を設けていてもよい。
【0016】
第7の態様に係る紫外線除菌装置は、上記第1の態様において、窓は、少なくとも一方の表面にナノ周期構造を有してもよい。
【0017】
第8の態様に係る紫外線除菌装置は、上記第1の態様において、紫外光装置は、排水口を有してもよい。
【0018】
第9の態様に係る紫外線除菌装置は、上記第1の態様において、紫外光装置の外装部または前記筐体の各面は、傾斜を有してもよい。
【0019】
第10の態様に係る紫外線除菌装置は、上記第1の態様において、紫外光装置は、温度調整機構を有してもよい。
【0020】
第11の態様に係る紫外線除菌装置は、上記第1の態様において、紫外光装置は、圧力調整機構を有してもよい。
【0021】
以下、実施の形態に係る紫外線除菌装置について、添付図面を参照しながら説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1Aは、実施の形態1に係る紫外線除菌装置1の上面から見た外観を示す上面図であり、図1Bは、正面から見た外観を示す正面図である。なお、便宜上、紫外レーザ光の光軸をX方向とし、鉛直上方をZ方向とし、水平面をX-Y面として記載している。
図1Aに示すように、紫外線除菌装置1は、紫外光装置2と除菌室筐体3とが窓11を介して連結して構成されている。除菌対象の冷風4は、矢印方向に開口部5aから除菌室筐体3内を通過し、開口部5bから排出される。図1Bの正面図では、除菌室筐体3の開口部5bの全面に紫外レーザ光6が見え、この開口部5bより冷風4は排出される。冷風4は、例えば、冷蔵庫内の冷風や、エアーコンディショナの冷風である。
なお、図1A及び図1Bに示すように、冷風4の流路(-Y方向)は、入口である開口部5aから出口である開口部5bにわたって画成されるが、これに限られない。冷風4の流路は、紫外レーザ光6と交差していればよい。例えば、冷風4の流路は、Z方向に沿って設けられてもよく、あるいはX方向に沿って設けられてもよい。なお、流路をX方向に沿って設ける場合には、流路が紫外レーザ光6と交差するように、流路をX方向からわずかに傾斜するように設ければよい。
【0023】
以下に、紫外線除菌装置1内の構成を述べる。
【0024】
図2は、実施の形態1に係る紫外線除菌装置1の紫外線照射の光軸を含む面についての断面構成を示す断面正面図である。紫外光装置2は、窓11を介して除菌室筐体3と接続されている。紫外光装置2の内部には紫外レーザ光源7が外装部8に設けた基台9の上に設置されている。紫外レーザ光源7から出射した紫外レーザ光6は、紫外光透過性の高い合成石英で作製された窓11を通過し、除菌室筐体3内に照射され、ここを通過する冷風4を除菌する。光源はレーザ以外であってもよい。窓11で紫外光装置2と除菌室筐体3とを分離したのは、紫外レーザ光源7から生じる熱によって冷風4の温度が上がるのを防ぐのと共に、紫外レーザ光源7で結露が起こるのを防ぐためである。除菌室筐体3内に冷風4が入ると、窓11が冷やされ、窓11の紫外光装置2側近辺の空気が冷やされ、窓11の紫外光装置2側の面に結露を生じる。したがって、結露を防ぐ一つの方法として、窓11が冷風4によって冷やされないようにすればよい。このため、窓11に熱を良く伝えるため、窓11と紫外光装置2の外装部8あるいは除菌室筐体3との間に熱伝導性の良い接続保持を行う。これによって、紫外レーザ光源7および窓11への結露を防ぎ、安定した除菌を行うことができる。
【0025】
図2において、紫外レーザ光源7は、動作時にレーザ発振に使われた以外の電気エネルギーは熱となり温度上昇する。その熱は、放射や対流により窓11に伝えられる。外装部8や基台9を金属など熱伝導性の良い材料で製作し、更に紫外レーザ光源7が発する熱を銅線や熱伝導性シートなど熱伝導性の良い熱伝導体10で外装部8に伝えれば、窓11に熱を効率的に伝えることができる。
また、除菌室筐体3に反射率の高いアルミニウムを用いた場合、受光面12に照射された紫外レーザ光6は、鏡面であれば約20%程度は除菌室筐体3に吸収され、残りは除菌室筐体3内で反射を繰り返して除菌室筐体3に吸収されていく。除菌室筐体3に吸収された紫外レーザ光6は熱となる。除菌室筐体3はアルミニウム製で熱伝導性は良いので、吸収した熱を窓11に伝えて、温度上昇させることができる。
【0026】
ここで、外装部8の内部を密閉構造にしておくと内部の温度が上がりすぎ、紫外レーザ光源7が適正な動作温度を超えるだけでなく、窓11の両面の温度差が大きくなり、結露しやすくなる。これを防ぐために、例えば、外装部8の上部に温度調整機構13を設けている。温度調整機構13としては、バイメタルが小型で簡便である。一般的な半導体レーザの動作適正温度は、-10℃から70℃程度が多い。例えば60℃以上でバイメタルが曲がり開口部を形成できるように設計しておくと、温度の上がった外装部8内の空気が排出され、外装部8内の過剰な温度上昇を防ぐことができる。温度調整機構13はバイメタル以外の方式であってもよい。
【0027】
図3は、窓11の近傍の拡大断面図であり、熱伝導性の良い接続保持方法の一例として示す。窓11は、外装部8のはめ込み部14に挿入され、両外側から締め付けられるか、または局部的な接着により固定される。窓11の周縁とはめ込み部14との隙間には熱伝導性ペースト15が充填されており、窓11の周縁部と外装部8のはめ込み部14との間において良好な熱伝導性を確保できる。これによって、外装部8からの熱が窓11の周縁から外周及び両表面から窓11に効率的に伝えられる。その結果、窓11の表面近傍の空気の温度が上昇したり、はめ込み部14から温められた空気が窓11の表面に沿って上昇する。なお、窓11は、一枚の場合に限られず、例えば2枚、3枚、あるいはそれ以上であってもよい。また、窓11は、例えば、合成石英等の紫外光透過性材料からなるものであればよい。
さらに、外装部8の外周には除菌室筐体3が外側から締め付けられるか、または局部的な溶接などにより接合し固定される。外装部8と除菌室筐体3の隙間には熱伝導性ペースト15が充填され、外装部8と除菌室筐体3との間も良好な熱伝導性が確保される。
なお、窓11の周縁において、外装部8と除菌室筐体3とは、図3に示すように、オーバーラップするように配置しておくことで、外装部8と除菌室筐体3との間の熱伝導性を良好にすることができる。
ここで、良好な熱伝導性の接続とは、窓11の周縁と外装部8(または除菌室筐体3)との接触部において、いわゆる「面接触」の状態にある場合である。具体的には、窓11の周縁と外装部8(または除菌室筐体3)とのそれぞれの面積の90%以上が相互に接触している接続の状態である。これにより、外装部8から窓11に熱が効率的に伝えられる。なお、熱伝導性ペースト15は液状であり、充填している熱伝導性ペーストの面積が90%以上あれば、良好な熱伝導性の接続の状態とすることができる。
【0028】
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2に係る紫外線除菌装置1aの紫外線照射の光軸を含む面についての断面構成を示す断面正面図である。
図4に示す紫外線除菌装置1aが、実施の形態1に係る紫外線除菌装置1と異なるのは、除菌室筐体23の材料に銅を用いたことである。波長250nmの紫外光に対し、銅の反射率は10%程度で、一方、吸収率は高い。また、銅は、熱伝導率もアルミニウムの約1.6倍なので、紫外レーザ光6から得られる熱を窓11に効率的に伝えることができる。紫外光の反射率が低い金属としては、例えば、ニッケルの反射率が約15%、鉄系のステンレス鋼SUS304の反射率が約31%である。ニッケル、ステンレス鋼SUS304のそれぞれのアルミニウムに対する熱伝導率は約40%と約30%で小さいので、銅よりは温度を上げる効果は劣るものの、これらを用いてもよい。
また、除菌室筐体23の受光面22などの内壁表面を荒らすと、紫外レーザ光6の吸収率が高くなる。表面粗さがレーザ光の波長程度あるいはそれ以上になると、レーザ光の反射率は減少し、レーザ光は材料自体に吸収される。紫外光の範囲は、100nmから400nmとされる。波長200nm(=0.2μm)以下の紫外光は、空気中での吸収が大きいため長い距離を通過しにくく、また空気中の酸素を分解してオゾンを生成するので、除菌装置には不向きである。加工の観点から見ると、ステンレス鋼の鏡面では、表面粗さを示す算術平均粗さRaは0.2μm以下である。目的によるが、実用的なステンレス鋼板の表面荒さは、算術平均粗さRaが大きくても25μm程度である。したがって、内壁の表面粗さを算術平均粗さRaで0.2μmから25μmとすればよい。
【0029】
(実施の形態3)
図5は、実施の形態3に係る紫外線除菌装置1bの紫外線照射の光軸を含む面についての断面構成を示す断面正面図である。
図5に示す紫外線除菌装置1bが、図2に示す実施の形態1に係る紫外線除菌装置や図4に示す実施の形態2に係る紫外線除菌装置と異なるのは、紫外光装置32の外装部34と除菌室筐体33の外周を断熱材35と断熱材36とで囲んだことである。これにより、外装部34と除菌室筐体33の外周からの放熱が防がれ、窓31に一層効率良く熱を伝えることができる。
なお、ここでは断熱材を除菌室筐体3の外周に設けているが、これに限られない。例えば、除菌室筐体3の内周に断熱材を設けてもよい。これによって、冷風によって除菌室筐体3が冷やされるのを抑制できる。内周に断熱材を設ける場合には、断熱材は、除菌室筐体3内で照射・反射される紫外レーザ光6と反応して変質しない材料を用いればよい。例えば、断熱材として石英等のコーティングを行ってもよい。
【0030】
また、外装部34内の温度を適正に保つため、外装部34と断熱材35とを貫通する圧力調整機構37として小さな開口部を設ける。断熱材35は厚さがあるので、温度が高い空気を排出するために、図2の温度調整機構13のバイメタルのような開閉動作をする以外の方式にしてもよい。この圧力調整機構37によって、外装部34内が所定温度より高くなると、外装部34内で圧力が高くなるので空気を排出し、あるいは外部から空気を取り入れて、圧力が一定になる。なお、圧力調整機構37は、圧力弁など他の方式であってもよい。
【0031】
(実施の形態4)
図6は、実施の形態4に係る紫外線除菌装置1cの紫外線照射の光軸を含む面についての断面構成を示す断面正面図である。図7は、図6の紫外光装置と除菌室筐体との境界に設けられた窓41の断面構造を示す断面図である。
図6に示す紫外線除菌装置1cが、図2に示す実施の形態1に係る紫外線除菌装置と異なるのは、図7の窓41の断面図に示すように、窓41の表面にナノ周期構造48を形成したことと、紫外光装置42の外装部44と除菌室筐体43との壁面を傾斜させ、それぞれに排水口45と排水口46を設けたことである。なお、壁面の傾斜は必須ではなく、任意である。
上記の通り、結露を防ぐ第一の方法は、窓に熱を伝えることである。さらに、結露を防ぐ第二の方法として、窓41を表面処理し、撥水機能を持たせる方法がある。窓41に熱を与えることに加え、撥水機能を付与することで、結露防止の効果が一層高くなる。材料の表面に撥水機能を与えるには、撥水性材料などを塗布する方法もあるが、物質を塗布するとこれらに紫外光が吸収されることが多く、紫外光を透過させる用途には適さない。
一方、物体の表面にナノ周期構造を形成すると、付着物の凝着力が小さくなることが知られており、表面に付着し所定の大きさに達した水滴の撥水にも効果がある。
【0032】
また、図7の窓の断面構造を示す断面図に示すように、石英基板の表面に、ガラス成型等で周期250nmの概円錐状の突起から成るナノ周期構造48を形成すると、反射防止機能を与えられる。したがって、適正なナノ周期構造48を形成すると、窓41は、付着した水滴を撥水し、同時に紫外光の透過性を増すことができる。ナノ周期構造48を窓41の片面のみに形成する場合は、結露しやすい紫外光装置42側に形成するのが望ましいが、両面に形成してもよい。また、外装部44や除菌室筐体43の内壁にナノ周期構造を形成し、撥水機能を持たせ、水滴を排出することで内部の湿度が上がらないようにしてもよい。ナノ周期構造は、例えば、ナノインプリント法(ナノサイズの形状転写法)で形成できる。また、外装部44や除菌室筐体43は、金属製なので、成型等の形状転写法以外に、フェムト秒レーザ光の照射によってもナノ周期構造を形成することができる。図6に示したように、外装部44や除菌室筐体43の内壁を傾斜させることで、例え水滴が発生したとしても、排水口45や排水口46から水滴を容易に排出することができる。
【0033】
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係る紫外線除菌装置は、レーザ光源および光学部品への結露を防ぎ、流体について安定した除菌を行うことができ、光源を使う照明等の結露防止の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0035】
1、1a、1b、1c 紫外線除菌装置
2、32、42 紫外光装置
3、23、33、43 除菌室筐体
4 冷風
5、5a、5b 開口部
6 紫外レーザ光
7 紫外レーザ光源
8、34、44 外装部
9 基台
10 熱伝導体
11、31、41 窓
12、22、38、47 受光面
13 温度調整機構
14 はめ込み部
15 熱伝導性ペースト
20 窓周縁部
35、36 断熱材
37 圧力調整機構
45、46 排水口
48 ナノ周期構造
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8