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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140035
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】非水電解液二次電池および組電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0587 20100101AFI20230927BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230927BHJP
   H01G 11/26 20130101ALI20230927BHJP
   H01G 4/32 20060101ALI20230927BHJP
   H01G 9/048 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
H01M10/0587
H01M10/052
H01G11/26
H01G4/32 301
H01G9/048 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045871
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】泉本 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼士 祐輔
【テーマコード(参考)】
5E078
5E082
5H029
【Fターム(参考)】
5E078AA05
5E078AB02
5E078AB13
5E078BA07
5E078BA73
5E082AB04
5E082EE03
5H029AJ02
5H029AJ05
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ14
5H029DJ02
5H029HJ04
5H029HJ12
5H029HJ15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ハイレート劣化が抑制された非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】非水電解液二次電池は、非水電解液と、正極、負極、及びセパレータとが重ね合わされて捲回された捲回電極体20と、これらを収容する角型の電池ケースとを備え、捲回電極体は、捲回軸を挟んで対向するように形成された一対の平面部20fと、一対の平面部間に形成された表面が曲面である一対のR部20rとを有する。ここで、捲回電極体を厚み方向から4.5kNの拘束圧をかけて拘束した状態において、捲回電極体の捲回軸と直交する断面における捲回電極体の一対のR部の最外周長の合計をa(mm)、上記断面における捲回電極体の最外周長をb(mm)、正極活物質層の幅をc(mm)、捲回電極体の高さをd(mm)、としたとき、0.282<a/bおよびc/d<1.91をいずれも具備する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水電解液と、
長尺な正極集電体上に長手方向に沿って帯状に形成された正極活物質層を備えるシート状の正極と、長尺な負極集電体上に長手方向に沿って帯状に形成された負極活物質層を備えるシート状の負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータとが重ね合わされて長手方向に捲回された扁平形状の捲回電極体と、
前記非水電解液および前記捲回電極体を収容する角型の電池ケースと
を備える非水電解液二次電池であって、
前記捲回電極体は、捲回軸を挟んで対向するように形成された一対の平面部と、該一対の平面部間に形成された表面が曲面である一対のR部とを有しており、
ここで、前記捲回電極体の前記平面部全体に該平面部の対向方向から4.5kNの拘束圧をかけて拘束した状態において、
前記捲回電極体の前記捲回軸と直交する断面における
前記捲回電極体の前記一対のR部の最外周長の合計をa(mm)、
前記捲回電極体の最外周長をb(mm)とし、
前記正極活物質層の前記長手方向と直交する幅方向の長さをc(mm)、
前記断面における前記一対のR部の頂点間の距離である前記捲回電極体の高さをd(mm)、
としたとき、
以下の条件:
0.282<a/b;および
c/d<1.91;
をいずれも具備する、非水電解液二次電池。
【請求項2】
さらに、条件:1.66≦c/d≦1.72を具備する、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
【請求項3】
前記捲回電極体の高さdが50mm以上55mm以下である、請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。
【請求項4】
複数の単電池が相互に電気的に接続されて配列された組電池であって、
前記単電池の少なくとも一つが、請求項1~3のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池である、組電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解液二次電池および組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の二次電池は、軽量で高エネルギー密度が得られることから、電気自動車(BEV)、ハイブリッド自動車(HEV)等の車両の駆動用高出力電源として好ましく用いられており、今後益々の需要増大が見込まれている。
【0003】
二次電池の高出力化に伴い、ハイレート充放電によって生じる電池特性の劣化(ハイレート劣化)を抑制する技術の開発が望まれている。このような技術として、例えば、特許文献1には、電解液膨潤層を備える二次電池が開示されている。また、特許文献2には、極板間距離が所定の範囲となるような捲回電極体の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-185991号公報
【特許文献2】特開2020-177858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の技術では、電解液膨潤層の追加や、電解液膨潤層に電解液を含浸させるために余剰液を多く要するため、コスト及びエネルギー密度の観点から、改良の余地がある。また、特許文献2の技術では、電極体に拘束荷重が加わり続けるような使用環境下では十分な効果が得られない場合がある。そのため、ハイレート劣化を抑制する更なる技術の開発が望まれる。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ハイレート劣化が抑制された非水電解液二次電池を提供することにある。また、他の目的は、かかる非水電解液二次電池を備える組電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで開示される非水電解液二次電池は、非水電解液と、長尺な正極集電体上に長手方向に沿って帯状に形成された正極活物質層を備えるシート状の正極と、長尺な負極集電体上に長手方向に沿って帯状に形成された負極活物質層を備えるシート状の負極と、上記正極と上記負極との間に介在するセパレータとが重ね合わされて長手方向に捲回された扁平形状の捲回電極体と、上記非水電解液および上記捲回電極体を収容する角型の電池ケースとを備える。上記捲回電極体は、捲回軸を挟んで対向するように形成された一対の平面部と、該一対の平面部間に形成された表面が曲面である一対のR部とを有する。ここで、上記捲回電極体の上記平面部全体に該平面部の対向方向から4.5kNの拘束圧をかけて拘束した状態において、上記捲回電極体の上記捲回軸と直交する断面における上記捲回電極体の上記一対のR部の最外周長の合計をa(mm)、上記断面における上記捲回電極体の最外周長をb(mm)、上記正極活物質層の上記長手方向と直交する幅方向の長さをc(mm)、上記断面における上記一対のR部の頂点間の距離である上記捲回電極体の高さをd(mm)、としたとき、以下の条件:
0.282<a/b;および
c/d<1.91;
をいずれも具備することを特徴とする。
【0008】
かかる構成の非水電解液二次電池の捲回電極体は、保液機能に寄与する部分であるR部の割合が高いため、捲回電極体中の電解液の塩濃度の不均一性を改善することができる。また、正極塗工幅に対する捲回電極体の高さを所定の割合以上とすることで、幅方向における電解液の塩濃度の不均一性が生じ難くなる。これにより、非水電解液二次電池のハイレート劣化を抑制することができる。
【0009】
ここで開示される非水電解液二次電池の好ましい一態様では、さらに、条件:1.66≦c/d≦1.72を具備する。これにより、ハイレート劣化をより好適に抑制することができる。
【0010】
ここで開示される非水電解液二次電池の一態様では、上記捲回電極体の高さdが50mm以上55mm以下であってよい。このようなサイズの捲回電極体では、より好適にハイレート劣化を抑制することができる。
【0011】
また、本開示により、ここで開示される非水電解液二次電池を備える組電池が提供される。ここで開示される組電池は、複数の単電池が相互に電気的に接続されて配列された組電池であって、上記単電池の少なくとも一つが、ここで開示される非水電解液二次電池である。これにより、ハイレート劣化が抑制された組電池が実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る非水電解液二次電池の構成を模式的に示す断面図である。
図2】一実施形態に係る非水電解液二次電池の捲回電極体の構成を模式的に示す分解図である。
図3】捲回電極体の厚み方向から4.5kNの圧力をかけたときの捲回電極体の捲回軸と直交する断面を模式的に示す断面図である。
図4】一実施形態に係る組電池の構成を模式的に示した斜視図である。
図5】拘束時のR部最外周長/拘束時の捲回電極体最外周長の値と、ハイレート抵抗増加率との関係のグラフである。
図6】正極塗工幅/拘束時の捲回電極体高さ(c/d)と、ハイレート抵抗増加率との関係のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、ここで開示される技術について詳細に説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であっても実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで開示される技術の内容は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0014】
なお、各図面は模式的に描かれており、寸法関係(長さ、幅、厚み等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、以下に説明する図面において、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。
また、本明細書において、数値範囲をA~B(ここでA、Bは任意の数値)と記載している場合は、一般的な解釈と同様であり、A以上B以下を意味し、Aを上回り且つBを下回る範囲を包含する。
【0015】
本明細書において「二次電池」とは、電解質を介して一対の電極(正極と負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電反応が生じる蓄電デバイス一般をいう。かかる二次電池は、いわゆる蓄電池の他に、電気二重層キャパシタ等のキャパシタなども包含する。また、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電荷担体としてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
【0016】
以下、ここで開示される非水電解液二次電池の一実施形態について説明する。図1は、一実施形態に係る非水電解液二次電池100の構成を模式的に示す断面図である。非水電解液二次電池100は、ここではリチウムイオン二次電池である。非水電解液二次電池100は、電池ケース30の内部に、扁平形状の捲回電極体20と、非水電解液(図示せず)とが収容されることで構築される角形の密閉型電池である。電池ケース30には、外部接続用の正極端子42および負極端子44が備えられている。また、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36が設けられている。さらに、電池ケース30には、非水電解液を注入するための注入口(図示せず)が設けられている。電池ケース30の材質は、高強度であり軽量で熱伝導性が良い金属材料であることが好ましい。このような金属材料として、例えば、アルミニウムやスチール等が挙げられる。
【0017】
図2は、一実施形態に係る非水電解液二次電池100の捲回電極体20の構成を模式的に示す分解図である。図2に示されるように、捲回電極体20は、長尺シート状の正極50と、長尺シート状の負極60とが、2枚の長尺シート状のセパレータ70を介して重ね合わされ(積層され)、捲回軸WLを中心として長手方向に捲回されている。正極50は、長尺シート状の正極集電体52と、該正極集電体52の片面または両面(ここでは両面)の長手方向に沿って形成された正極活物質層54とを備えている。正極集電体52の捲回軸WL方向(即ち、上記長手方向に直交するシート幅方向)の一方の縁部には、該縁部に沿って帯状に正極活物質層54が形成されずに正極集電体52が露出した部分(即ち、正極集電体露出部52a)が設けられている。また、負極60は、長尺シート状の負極集電体62と、該負極集電体62の片面または両面(ここでは両面)の長手方向に沿って形成された負極活物質層64とを備えている。負極集電体62の捲回軸WL方向の他方の縁部には、該縁部に沿って帯状に負極活物質層64が形成されずに負極集電体62が露出した部分(即ち、負極集電体露出部62a)が設けられている。正極集電体露出部52aには正極集電板42aが接合されており、負極集電体露出部62aには負極集電板44aが接合されている(図1参照)。正極集電板42aは、外部接続用の正極端子42と電気的に接続されており、電池ケース30の内部と外部との導通を実現している。同様に、負極集電板44aは、外部接続用の負極端子44と電気的に接続されており、電池ケース30の内部と外部との導通を実現している(図1参照)。
【0018】
正極50を構成する正極集電体52としては、例えば、アルミニウム箔が挙げられる。正極活物質層54が備える正極活物質としては、例えば層状構造やスピネル構造等のリチウム複合金属酸化物が挙げられ、例えば、組成式:Liα(NiCoMn)O(ただし、1≦α≦1.2、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、かつ、x+y+z=1を満たす。)で示されるリチウム複合金属酸化物が好ましく採用される。かかるリチウム複合金属酸化物としては、例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNiO、LiCoO等が挙げられる。
【0019】
正極活物質層54中の正極活物質の含有量(すなわち、正極活物質層54の全質量に対する正極活物質の含有量)は、特に限定されないが、80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上である。正極活物質層54中の正極活物質の含有量が上記範囲内であることにより、エネルギー密度が高い電池を提供することができる。
【0020】
また、正極活物質層54は、導電材、バインダ等を含んでいてもよい。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックや単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノチューブ、その他(グラファイト等)の炭素材料を好適に使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を使用し得る。
【0021】
正極活物質層54の目付重量は、特に限定されるものではないが、例えば、10mg/cm以上15mg/cm以下であって、11mg/cm以上13.3mg/cm以下であり得る。また、正極50の電極厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、50μm以上65μm以下であって、52μm以上61μm以下であってよい。
【0022】
正極活物質層54は、正極活物質と必要に応じて用いられる材料(導電材、バインダ等)とを適当な溶媒(例えばN-メチル-2-ピロリドン:NMP)に分散させ、ペースト状(またはスラリー状)の組成物(正極活物質層形成用ペースト)を調製し、該組成物の適当量を正極集電体52の表面に塗工し、乾燥することによって形成することができる。かかる塗工時に、正極活物質層54の目付重量、厚み(ないしは正極50の厚み)、塗工幅を調整することができる。
【0023】
負極60を構成する負極集電体62としては、例えば、銅箔等が挙げられる。負極活物質層64は、ここで開示される負極活物質を含む。負極活物質としては、非水電解液二次電池の負極に使用し得ることが知られている各種の材料を特に限定することなく、1種または2種以上用いることができる。一好適例としては、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料が挙げられる。負極活物質は、粒状の天然黒鉛の表面に非晶質炭素、例えばカーボンブラックがコートされた、非晶質コート黒鉛であってもよい。
【0024】
負極活物質層64中の負極活物質の含有量(すなわち、負極活物質層64の全質量に対する負極活物質の含有量)は、特に限定されないが、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましい。
【0025】
また、負極活物質層64は、バインダ、増粘剤等をさらに含んでいてもよい。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
【0026】
負極活物質層64の目付重量は、特に限定されるものではないが、例えば、5mg/cm以上10mg/cm以下であって、7mg/cm以上8.5mg/cm以下であり得る。また、負極60の電極厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、60μm以上90μm以下であって、65μm以上85μm以下であってよい。
【0027】
負極活物質層64は、例えば、負極活物質と必要に応じて用いられる材料(バインダ等)とを適当な溶媒(例えばイオン交換水)に分散させ、ペースト状(またはスラリー状)の組成物(負極活物質層形成用ペースト)を調製し、該組成物の適当量を負極集電体62の表面に塗工し、乾燥することによって形成することができる。かかる塗工時に、負極活物質層64の目付重量、厚み(ないしは負極60の厚み)、塗工幅等を調整することができる。
【0028】
セパレータ70としては、従来から非水電解液二次電池に用いられるものと同様の各種微多孔質シートを用いることができ、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂から成る微多孔質樹脂シートが挙げられる。かかる微多孔質樹脂シートは、単層構造であってもよく、二層以上の複層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。また、セパレータ70の表面には、耐熱層(HRL)が形成されていてもよい。
【0029】
セパレータ70の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、5μm以上30μm以下であって、好ましくは10μm以上25μm以下、より好ましくは15μm以上20μm以下であり得る。このような範囲であれば、セパレータ70の強度を高め、かつ、捲回電極体20の軽量化を実現できる。
【0030】
セパレータ70の幅方向(即ち長手方向と直交する方向)の長さ(幅)は、特に限定されないが、典型的には、正極50と負極60との絶縁性を確保するため、少なくとも正極活物質層54および負極活物質層64の塗工幅よりも長くなるように設定される。セパレータ70の幅は、例えば、10mm以上300mm以下、50mm以上150mm以下、90mm以上120mm以下であり得る。
【0031】
非水電解液は従来のリチウムイオン二次電池と同様のものを使用可能であり、例えば、有機溶媒(非水溶媒)中に、支持塩を含有させた非水電解液を用いることができる。非水溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類等の非プロトン性溶媒を用いることができる。なかでも、カーボネート類、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等を好適に採用し得る。あるいは、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(F-DMC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)のようなフッ素化カーボネート等のフッ素系溶媒を好ましく用いることができる。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO等のリチウム塩を好適に用いることができる。支持塩の濃度は、特に限定されるものではないが、0.7mol/L以上1.3mol/L以下程度が好ましい。
【0032】
非水電解液は、本技術の効果を著しく損なわない限りにおいて、上述した非水溶媒、支持塩以外の成分を含んでいてもよく、例えば、ガス発生剤、被膜形成剤、分散剤、増粘剤等の各種添加剤を含み得る。具体的には、フルオロリン酸塩(好ましくはジフルオロリン酸塩。例えば、LiPOで表されるジフルオロリン酸リチウム)、リチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)等のオキサラト錯体化合物が挙げられる。
【0033】
図3は、捲回電極体20の厚み方向Tから4.5kNの圧力をかけたときの捲回電極体20の捲回軸WLと直交する断面を模式的に示す断面図である。捲回電極体20は、捲回軸を挟んで対向するように形成された一対の平面部20fを備える。なお、一対の平面部20fの対向方向は、捲回電極体20の厚み方向Tであり得る。また、捲回電極体20は、当該一対の平面部20f間に形成された一対のR部20rを備える。R部20rは、表面が曲面になるように形成されている。R部20rは、非水電解液を保液し易い部分である。そのため、捲回電極体20全体の中で、R部20rの割合を高くすると、捲回電極体20の内部に非水電解液がより多く保持される。その結果、ハイレート充放電の際にも、捲回電極体20内部で塩濃度の分布の不均一性が生じ難くなるため、ハイレート劣化を抑制することができる。
【0034】
しかしながら、一般に、捲回電極体におけるR部の割合を増加させるために、捲回電極体の高さを低くすると、低くした高さ分の電池容量が減少してしまう。その一方で、低くした高さ分の電池容量を補うために、捲回電極体の幅方向(即ち、捲回軸方向)の長さを長くして正極活物質層の塗工幅を広くすると、ハイレート充放電時に捲回電極体の内部で塩濃度が不均一になり易くなるため、ハイレート劣化が促進され易くなるという背反が生じる。
【0035】
そこで、本開示では、ハイレート劣化を適切に抑制できる捲回電極体20が提供される。
捲回電極体20は、図3に示すような捲回電極体20の一対の平面部20fの対向方向から平面部20f全体に対して4.5kNの圧力(拘束圧)をかけて拘束した状態において、捲回電極体20の捲回軸WLと直交する断面における捲回電極体20の一対のR部20rの最外周長の合計a(mm)と、捲回電極体20の最外周長b(mm)と、一対のR部20rの頂点P1、P2間の距離である捲回電極体20の高さd(mm)と、正極活物質層54の正極集電体52の長手方向と直交する幅方向(即ち捲回軸WL方向)の長さc(mm)とで特徴付けられ得る。なお、本明細書において、特にことわりのない限り、「拘束状態」の記載は、捲回電極体20の一対の平面部20fの対向方向から平面部20f全体に対して4.5kNの圧力(拘束圧)をかけて捲回電極体20が拘束されている状態のことをいう。また、拘束圧は、当該拘束圧を印加する拘束治具の性能等による不可避的な誤差を許容することができ、4.5±0.1kNの範囲であってよい。
【0036】
上記捲回電極体20の一対のR部20rの最外周長の合計a(mm)を、上記捲回電極体20の最外周長b(mm)で除した値(a/b)は、捲回電極体20全体に占めるR部20rの割合を示す一つの指標となる。捲回電極体20の保液性を高める観点から、0.282<a/bであることが好ましく、0.287≦a/bがより好ましく、0.289≦a/bがさらに好ましい。また、特に限定されるものではないが、角型の電池ケース30内に捲回電極体20を高密度に収容する観点から、例えば、a/b≦0.4であって、a/b≦0.32であることが好ましい。
【0037】
上記捲回電極体20の一対のR部20rの最外周長の合計a(mm)は、特に限定されるものではないが、例えば、30mm以上40mm以下であって、好ましくは33mm以上37mm以下である。なお、本明細書において、一対のR部20rの最外周長の合計a(mm)は、拘束状態における捲回電極体20の厚みを直径とした円周の長さとして算出されたものをいう。
【0038】
上記捲回電極体20の最外周長b(mm)は、特に限定されるものではないが、例えば、110mm以上130mm以下であって、好ましくは、115mm以上120mm以下である。なお、捲回電極体20の最外周長b(mm)は、種々の計算によって算出することができる。例えば、平面部20fの長さの測定値と、上記一対の最外周長の合計aとの合計として算出することができる。また例えば、捲回軸WLとして用いる巻き芯に捲回したときの直径(巻き芯の直径(巻き芯径)と、巻き芯を挟んで対向する電極体の厚みの和との合計)を用いて円周の長さを求めることで、算出することができる。
【0039】
上記正極活物質層54の正極集電体52の長手方向と直交する幅方向の長さc(mm)を、上記一対のR部20rの頂点P1、P2間の距離である捲回電極体20の高さd(mm)で除した値(c/d)は、捲回電極体20の幅と高さとの比を示す一つの指標であり得る。ハイレート充放電時の捲回電極体20の幅方向における塩濃度の不均一性を抑制する観点から、c/d<1.91であることが好ましく、c/d≦1.77がより好ましく、c/d≦1.72がさらに好ましい。また、特に限定されるものではないが、ハイレート充放電時の捲回電極体20の高さ方向における塩濃度の不均一性を抑制する観点から、例えば、1.59<c/dであって、1.63≦c/dが好ましく、1.66≦c/dがより好ましい。
【0040】
上記正極活物質層54の正極集電体52の長手方向と直交する幅方向の長さc(mm)は、特に限定されるものではないが、例えば、60mm以上120mm以下であって、80mm以上100mm以下であってよく、85mm以上90mm以下であり得る。
【0041】
負極活物質層64の負極集電体62の長手方向と直交する幅方向の長さは、特に限定されるものではないが、典型的には、正極活物質層54の幅方向の長さよりも大きくなるように設定される。これにより、正極活物質層54から放出されるリチウムイオンを負極活物質層64で十分に受け入れることができるため、金属リチウムの析出が抑制される。負極活物質層64の負極集電体62の長手方向と直交する幅方向の長さは、例えば、70mm以上120mm以下であって、80mm以上110mm以下であってよく、90mm以上100mm以下であってよい。
【0042】
なお、上記正極活物質層54の正極集電体52の長手方向と直交する幅方向の長さc(mm)は、市販の幅測定機を用いて測定することができる。また、負極活物質層64の負極集電体62の長手方向と直交する幅方向の長さも同様にして測定することができる。
【0043】
上記一対のR部20rの頂点P1、P2間の距離である捲回電極体20の高さd(mm)は、特に限定されるものではないが、例えば、50mm以上55mm以下が好ましく、52mm以上54mm以下であり得る。このような高さであれば、捲回電極体20のR部20rの割合が好適に調整されるため、より好適にハイレート劣化を抑制することができる。なお、上記捲回電極体20の高さd(mm)は、例えば、捲回電極体20を電池ケースから取り出し、捲回電極体20の厚み方向T(一対の平面部20fの対向方向)から4.5kNの圧力で拘束させた状態で、捲回電極体20の幅方向の中央部の高さを市販のレーザー変位計を用いて測定することができる。
【0044】
拘束状態における捲回電極体20の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、10mm以上12mm以下であって、10.6mm以上11.7mm以下であり得る。捲回電極体20の厚みは、例えば、市販のレーザー変位計を用いて測定することができる。
【0045】
捲回電極体20における正極50の積層数は、特に限定されるものではないが、例えば、30~40であって、31~35であってもよい。
【0046】
ここで開示される非水電解液二次電池100の好適な一態様では、上記a、b、c、dについて、条件:0.282<a/b、および、c/d<1.91をいずれも具備することが好ましい。これらの条件を具備することで、ハイレート充放電を行った際も、捲回電極体20の内部における塩濃度の不均一性が生じ難くなるため、ハイレート劣化が好適に抑制される。
【0047】
ここで開示される非水電解液二次電池100は、組電池10が備える単電池として好ましく用いることができる。図4は、一実施形態に係る組電池10の構成を模式的に示した斜視図である。図4に示すように、ここでは、組電池10を構成する複数の単電池として非水電解液二次電池100が用いられており、当該複数の非水電解液二次電池が相互に電気的に接続されて配列されている。非水電解液二次電池100を一つずつ反転させつつ相互に配列することにより、正極端子42および負極端子44が配列方向に向かって交互に配置されている。配列された非水電解液二次電池100の間には、スペーサ12が挟みこまれている。スペーサ12は、熱を効率よく放散させるための放熱手段や長さ調整手段等として機能し得る。配列した非水電解液二次電池100の両端には、一対のエンドプレート(拘束板)17が配置されている。また、両エンドプレート17の間を架橋するように、締め付け用のビーム材18が取り付けられている。ビーム材18の端部は、ビス19によりエンドプレート17に締付され、固定されている。これにより、非水電解液二次電池100の配列方向(捲回電極体20の厚み方向)に所定の拘束荷重が加えられるように複数の非水電解液二次電池100が拘束されている。
【0048】
組電池10は、隣接して配置された2つの非水電解液二次電池100の間で、一の単電池(非水電解液二次電池100)の正極端子42と、他の一の単電池(非水電解液二次電池100)の負極端子44とを接続するバスバ14を備えている。これにより、複数の非水電解液二次電池100同士が電気的に接続される。ここでは、複数の非水電解液二次電池100は、直列に接続されているが、並列に接続されていてもよい。また、組電池10を構成する単電池は、ここで開示される非水電解液二次電池100を少なくとも1つ含めばよく、すべての単電池をここで開示される非水電解液二次電池100で構成してもよい。
【0049】
以上、一実施形態に係る非水電解液二次電池100および組電池10について説明した。非水電解液二次電池100および組電池10は、各種用途に利用可能である。具体的な用途としては、電気自動車(BEV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の車両駆動用電源;小型電力貯蔵装置等の蓄電池などが挙げられ、なかでも、車両駆動用電源が好ましい。
【0050】
また、他の実施形態において、非水電解液二次電池100は、捲回電極体20と電池ケース30との絶縁性を確保するための外装フィルムを有していてもよい。外装フィルムは、絶縁部材として機能し得る材料で構成され、例えば、種々の熱可塑性樹脂、典型的にはポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン樹脂材料が挙げられる。外装フィルムの形状は特に限定されるものではないが、例えば、上端部が開口した有底の袋状であり得る。このような袋状の外装フィルムの場合、捲回電極体20を外装フィルムの開口部から外装フィルム内に収容して用いることができる。
【0051】
以下、ここで開示される技術に関する実施例を説明するが、ここで開示される技術をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0052】
例1~17の電極体を準備し、各電極体の構造と、ハイレート抵抗増加率とを比較した。
【0053】
<正極の作製>
正極活物質としてリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)と、導電材として多層カーボンナノチューブと、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、正極活物質:導電材:バインダ=91:6:3の重量比となるように混合し、溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を適量加え、正極活物質層形成用スラリーを調製した。この正極活物質層形成用スラリーをアルミニウム箔製の正極集電体上に所定の目付重量となるように、所定の幅に塗工した。その後、乾燥、ロールプレスを行い、正極を作製した。なお、正極活物質層は正極集電体の両面に形成した。例1~17における正極の目付重量、電極厚み、塗工幅、電極長を表1に示す。
【0054】
<負極の作製>
負極活物質として非晶質コート天然黒鉛と、バインダとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、負極活物質:バインダ:増粘剤=98:1:1の重量比となるように混合し、溶媒としてイオン交換水を適量加え、負極活物質層形成用スラリーを調製した。この負極活物質層形成用スラリーを、銅箔製の負極集電体上に所定の目付重量となるように、所定の幅に塗工した。その後、乾燥、ロールプレスを行い、負極を作製した。なお、負極活物質層は負極集電体の両面に形成した。例1~17における負極の目付重量、電極厚み、塗工幅、電極長を表1に示す。なお、例1~17のいずれにおいてもセル容量が4.1Ahとなるように正極および負極を作製した。
【0055】
セパレータとして、PP/PE/PPの三層構造を有する微多孔性ポリオレフィンシートを用意した。例1~17におけるセパレータの厚み、幅、長さを表1に示す。
【0056】
<捲回電極体の作製>
各例において、下からセパレータ、負極、セパレータ、正極の順に重ね合わせ、積層体を準備した。この積層体を所定の径を有する巻き芯(表1参照)を中心として長手方向へ捲回した。この捲回した積層体を積層方向から6.9kNで3秒間圧縮した後、2kNで1秒間圧縮し、その後、さらに1mm/分の速度でさらに圧縮した。そして、拘束荷重が4kNに到達するまで圧縮し、扁平形状の捲回電極体を作製した。このときの捲回電極体の厚み(即ち平面部間の距離)をレーザー変位計(株式会社キーエンス製、製品名:LK-G157)で計測した。
【0057】
次に、蓋体と接続された集電板を捲回電極体に溶接した後、かかる捲回電極体をPPで構成された外装フィルムに収容した状態でケース本体に収容した。その後、蓋体とケース本体との境界部を溶接することで試験用セルを組み立て、試験用セルの注液口から非水電解液を注液した。なお、非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とをEC:EMC:DMC=30:35:35の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてLiPFを1.1mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。その後、注液口を封止することによって、角型の試験用セルを得た。
【0058】
<拘束時の捲回電極体厚みの測定>
試験用セルをSUS303で構成された一対の拘束治具で挟持した。このとき、拘束治具が電極体の厚み方向から挟持するようにした。次に、拘束治具で挟持された試験用セルをオートグラフ(株式会社島津製作所製、製品名:AG-IS(50kN))にセットした。オートグラフにより、電極体の厚み方向に4.5kNの圧力がかかるように加圧し、かかる加圧下で60秒後のセルの厚み(加圧下の電極体の厚みと、電池ケースの側壁の厚みと、外装フィルムの厚みの和)をレーザー変位計(株式会社キーエンス製、製品名:LK-G157)で測定した。そして、セルの厚みから、電池ケースの壁の厚みおよび外装フィルムの厚みを引くことで、4.5kN加圧下における電極体の厚み(拘束時の捲回電極体厚み)を算出した。なお、4.5kN加圧下において、電池ケースの側壁の厚みと、絶縁フィルムの厚みの変化はないものと仮定した。
【0059】
<ハイレート抵抗増加率の測定>
試験用セルを25℃環境下で、SOC(state of charge)が60%となるように調整し、電流30Cで10秒放電した際の電圧降下量ΔVと電流値Iより、初期抵抗値を算出した。その後、25℃環境下で試験用セルを再びSOC60%に調整した。そして、パルス充電30Cを10秒間、休止10秒間、パルス放電30Cを30秒間、および休止10秒間を1サイクルとして、2000サイクルのパルス充放電を実施した。そして、2000サイクル目のパルス放電時の電圧降下量と電流値から、2000サイクル後の抵抗値を算出した。初期抵抗値と2000サイクル後の抵抗値の比から、ハイレート充放電後の抵抗増加率(ハイレート抵抗増加率)を算出した。結果を表1に示す。なお、「1C」とは、1時間でSOCを0%から100%とする電流の大きさのことをいう。
【0060】
<拘束時の捲回電極体高さ(d)の測定>
ハイレート抵抗増加率の測定後、捲回電極体を試験用セルから取り出し、上述のオートグラフを用いて、捲回電極体の厚み方向から4.5kN、60秒間の加圧を行った。そして、60秒後の加圧下における捲回電極体の高さを幅測定センサ(株式会社キーエンス製、製品名:LK-G157)を用いて測定した。なお、捲回電極体の高さは、捲回電極体の幅方向の中央部のR部の頂点間の距離とした。結果を表1に示す。
【0061】
<拘束時の捲回電極体の最外周長(a)の算出>
捲回電極体の捲回軸と直交する断面において、捲回電極体の厚み方向に4.5kNの圧力をかけたときの一対のR部の最外周長は、拘束時の捲回電極体の厚みを直径とする円の円周と同じになると仮定し、拘束時の捲回電極体のR部の最外周の長さを
式:上記拘束時の捲回電極体厚み×π
により算出した。結果を表1に示す。
【0062】
<拘束時の捲回電極体の最外周長(b)の算出>
捲回電極体の捲回軸と直交する断面における拘束時の捲回電極体の最外周長(b)を
式:(巻き芯径+捲回電極体作製時の捲回電極体の厚み)×π
により算出した。結果を表1に示す。
【0063】
拘束時のR部最外周長/拘束時の捲回電極体最外周長の値(a/b)と、正極塗工幅/拘束時の捲回電極体高さ(c/d)とを算出した。結果を表1に示す。また、図5に拘束時のR部最外周長/拘束時の捲回電極体最外周長の値と、ハイレート抵抗増加率との関係のグラフを示す。また、図6に、正極塗工幅/拘束時の捲回電極体高さ(c/d)と、ハイレート抵抗増加率との関係のグラフを示す。
【0064】
【表1】
【0065】
表1および図5、6に示すように、0.282<a/bおよびc/d<1.91をいずれも具備する例6~17では、例1~5に比べてハイレート抵抗増加率を抑制することができた。この結果から、c/d<1.91を具備することで、捲回電極体の幅方向における塩濃度の不均一性が抑制できると考えられる。さらに、0.282<a/bを具備することで、捲回電極体全体に対するR部の割合が高くなることで、捲回電極体内部における電解液の保液性が高くなり、より捲回電極体の塩濃度の不均一性が抑制され、ハイレート劣化を抑制できたものと考えられる。また、図6に示すように、さらに、1.66≦c/d≦1.72を具備することで、ハイレート抵抗増加率がより一層抑制される傾向があることがわかる。
【0066】
以上、ここで開示される技術について、具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。ここに開示される技術には上記の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0067】
10 組電池
12 スペーサ
14 バスバ
17 エンドプレート
18 ビーム材
19 ビス
20 捲回電極体
20f 平面部
20r R部
30 電池ケース
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極
52 正極集電体
52a 正極集電体露出部
54 正極活物質層
60 負極
62 負極集電体
62a 負極集電体露出部
64 負極活物質層
70 セパレータ
100 非水電解液二次電池

図1
図2
図3
図4
図5
図6