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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140058
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】スリーブ管及び配管構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 5/00 20060101AFI20230927BHJP
   F16L 5/02 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
F16L5/00 Q
F16L5/00 A
F16L5/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045901
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌野 裕介
(57)【要約】
【課題】本発明は、シール材がフランジから屋内側に向かって倒れてしまうことが抑制されるスリーブ管及び配管構造の提供を目的とする。
【解決手段】軸方向の一方側にフランジ部22を有する筒状のスリーブ管本体20と、フランジ部22に対して軸方向の他方側に配置されたシール材であって、フランジ部22の軸方向の他方側の面に沿いながら環状に形成される環状部34及び、環状部34における径方向の内側の端部から、軸方向の他方側に突出する突出部36を有するシール材32と、を備えるスリーブ管12。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一方側にフランジ部を有する筒状のスリーブ管本体と、
前記フランジ部に対して前記軸方向の他方側に配置されたシール材であって、前記フランジ部の前記軸方向の他方側の面に沿いながら環状に形成される環状部及び、前記環状部における径方向の内側の端部から、前記軸方向の他方側に突出する突出部を有する前記シール材と、
を備えるスリーブ管。
【請求項2】
前記スリーブ管本体は、前記フランジ部よりも前記軸方向の他方側で外周面に凹部を有し、
前記シール材は、前記凹部を、前記径方向の外側から覆う、
請求項1に記載のスリーブ管。
【請求項3】
前記スリーブ管本体の外周面で、前記シール材よりも前記軸方向の他方側に配置され、前記シール材が前記軸方向の他方側へ移動することを制限する制限部材をさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載のスリーブ管。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のスリーブ管と、
前記フランジ部の前記軸方向の一方側で着脱可能とされ、前記フランジ部を覆うように固定されるプレートと、
前記プレートを貫通して形成されて当該プレートに支持されており、前記軸方向の一方側に一方側配管を接続可能な一方側管接続部を有するとともに、前記プレートの前記軸方向の他方側に他方側配管を接続可能な他方側管接続部を有する前記プレートのジョイントと、
前記一方側管接続部に接続される一方側配管と、
前記他方側管接続部に前記スリーブ管本体の前記軸方向の一方側へ引き出し可能な余長部を有して接続される他方側配管と、
を備え、
前記シール材は、前記スリーブ管が壁部材に形成された小径部及び大径部を有する貫通孔に挿入されて前記壁部材に締結された状態で、外径が前記フランジ部の外径よりも小さく、前記フランジ部の前記軸方向の他方側の面及び前記壁部材の前記小径部と前記大径部との段差面に密着する、
配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリーブ管及び配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外壁材に形成された貫通孔に挿入されて固定される筒状のスリーブ管と、前記スリーブ管の屋外側の端部を覆うように固定されるプレートと、前記プレートを貫通して形成されて当該プレートに支持されており、前記プレートの屋内側に屋内配管を接続可能な屋内管接合部を有するとともに、前記プレートの屋外側に屋外配管を接続可能な屋外管接合部を有するジョイントと、前記屋内管接合部に接続される屋内配管と、前記屋外管接合部に接続される屋外配管と、を備え、前記プレートは、前記スリーブ管の屋外側に着脱可能に固定され、前記屋内配管は、前記スリーブ管の屋外側へ引き出し可能な余長部を有する外壁貫通配管構造が開示されている。
【0003】
スリーブ管は、樹脂製の円筒形状であり、屋外側端部が拡径してフランジが形成されている。フランジは、外壁材の外壁貫通孔の屋外側の周縁に掘り込んで形成された掘込部の底面に、例えば合成ゴムなどの弾性体からなる円環状の屋外側シール材を挟んで接近している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-162128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成において、屋外側シール材が拡径された状態でスリーブ管に嵌められると、屋外側シール材が反り、フランジと平行な状態から屋内側に向かって傾くように倒れることがある。屋外側シール材がこの状態で外壁材に固定されてしまうと、フランジと堀込部との間の水密性が十分に得られないおそれがある。
【0006】
本発明は、シール材がフランジから屋内側に向かって倒れてしまうことが抑制されるスリーブ管及び配管構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第一態様に係るスリーブ管は、軸方向の一方側にフランジ部を有する筒状のスリーブ管本体と、前記フランジ部に対して前記軸方向の他方側に配置されたシール材であって、前記フランジ部の前記軸方向の他方側の面に沿いながら環状に形成される環状部及び、前記環状部における径方向の内側の端部から、前記軸方向の他方側に突出する突出部を有する前記シール材と、を備える。
【0008】
このスリーブ管によれば、シール材は、環状部における径方向の内側の端部から、軸方向の他方側に突出する突出部を有するため、シール材が拡径されてスリーブ管に取り付けられても反りが生じ難い。このため、シール材が軸方向の他方側に倒れるおそれが低減される。
【0009】
本開示の第二態様に係るスリーブ管は、第一態様に記載のスリーブ管において、前記スリーブ管本体は、前記フランジ部よりも前記軸方向の他方側で外周面に凹部を有し、前記シール材は、前記凹部を、前記径方向の外側から覆う。
【0010】
このスリーブ管によれば、シール材がスリーブ管本体の外周に設けられる凹部を、径方向の外側から覆うため、例えば凹部に取付部品が配置された場合に、該取付部品が凹部から外れてしまうおそれが低減される。
【0011】
本開示の第三態様に係るスリーブ管は、第一態様又は第二態様に記載のスリーブ管において、前記スリーブ管本体の外周面で、前記シール材よりも前記軸方向の他方側に配置され、前記シール材が前記軸方向の他方側への移動することを制限する制限部材をさらに備える。
【0012】
このスリーブ管によれば、制限部材が、シール材の軸方向の他方側への移動を制限するため、シール材が輸送中にフランジから軸方向の他方側に向かって外れてしまうおそれが低減される。
【0013】
本開示の第四態様に係る配管構造は、第一態様から第三態様までのいずれか一態様に記載のスリーブ管と、前記フランジ部の前記軸方向の一方側で着脱可能とされ、前記フランジ部を覆うように固定されるプレートと、前記プレートを貫通して形成されて当該プレートに支持されており、前記軸方向の一方側に一方側配管を接続可能な一方側管接続部を有するとともに、前記プレートの前記軸方向の他方側に他方側配管を接続可能な他方側管接続部を有するジョイントと、前記一方側管接続部に接続される一方側配管と、前記他方側管接続部に前記スリーブ管本体の前記軸方向の一方側へ引き出し可能な余長部を有して接続される他方側配管と、を備え、前記シール材は、前記スリーブ管が壁部材に形成された小径部及び大径部を有する貫通孔に挿入されて前記壁部材に締結された状態で、外径が前記フランジ部の外径よりも小さく、前記フランジ部の前記軸方向の他方側の面及び前記壁部材の前記小径部と前記大径部との段差面に密着すると共に、前記大径部の前記径方向の内周面とは隙間を有する。
【0014】
この配管構造によれば、シール材は、フランジ部の軸方向他方側の面及び壁部材の小径部と大径部との段差面に密着すると共に、外径がフランジ部よりも小さいことで大径部の径方向の内周面とは接触しないため、スリーブ管を壁部材に締結する際に、シール材が壁部材の大径部の径方向の内周面と、フランジ部の径方向の外周面とに巻き込まれて、スリーブ管を締結する際の締結荷重が増大することを防ぐことができる。
【0015】
また、スリーブ管の軸方向一方側の端部を覆うプレートを貫通して形成されてプレートに支持されるジョイントに、一方側配管及び他方側配管が接続され、スリーブ管内本体内で一方側配管と他方側配管とが連通して支持されるため、配管構造を容易に施工することができる。
【0016】
また、プレートはスリーブ管の軸方向他方側に着脱可能に固定され、一方側配管は、スリーブ管の他方側へ引き出し可能な余長部を有するため、プレートをスリーブ管から取り外して軸方向の他方側に引っ張ることで、一方側配管が引き出されて、ジョイントと一方側配管との接続箇所を目視して点検することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シール材がフランジから屋内側に向かって倒れてしまうことが抑制されるスリーブ管及び配管構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態に係るスリーブ管が、壁部材に締結されている様子を説明する断面図である。
図2】一実施形態に係るスリーブ管の分解図である。
図3】一実施形態に係るスリーブ管の断面図である。
図4】一実施形態に係るスリーブ管のシール材が壁部材と密着した状態で、スリーブ管が壁部材に締結されている様子を説明する断面図である。
図5】一実施形態の変形例に係るスリーブ管のシール材が壁部材と密着した状態で、スリーブ管が壁部材に締結されている様子を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、同一又は等価な構成要素及び部品には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0020】
なお、以下の説明において、「軸方向」とは、本開示のスリーブ管12が伸びる方向であり、本開示のスリーブ管12が壁部材90に固定された状態におけるスリーブ管12の延びる方向と一致する。
【0021】
(構成)
図1から図4は、本開示に係る配管構造10を説明する図である。図1に示すように、本開示に係る配管構造10は、壁部材90に締結されるスリーブ管12と、スリーブ管12に固定されるプレート50と、プレート50に支持されるジョイント60と、ジョイント60に接続される一方側配管66及び他方側配管68と、を備えている。
【0022】
なお、以下の説明において、図1に示されるように、「一方側配管66」は、「第1一方側配管66A」及び「第2一方側配管66B」を有しているが、これを区別する場合を除き、単に「一方側配管66」と称する。また、「他方側管接続部64」は、「第1他方側管接続部64A」及び「第2他方側管接続部64B」を有しているが、これを区別する場合を除き、単に「他方側管接続部64」と称する。また、「一方側管接続部62」は、「第1一方側管接続部62A」及び「第2一方側管接続部62B」を有しているが、これを区別する場合を除き、単に「一方側管接続部62」と称する。
【0023】
壁部材90は、厚さを有して鉛直方向に延びる部材であり、一例として家屋の外壁である。壁部材90には、一方側に大径部92L、他方側に小径部92Sを有する貫通孔92が形成されており、壁部材90の一方側の面には、一例として家屋の意匠性を付与する凹凸模様が形成されている。
【0024】
スリーブ管12は、図1図3及び図4に示すように、スリーブ管本体20と、シール材32と、不織布30と、を備えている。
【0025】
スリーブ管本体20は、軸方向の一方側にフランジ部22、フランジ部22よりも径方向の内側の端から径方向の内側に向かって突き出すプレート取付部44、及びフランジ部22よりも軸方向の他方側に形成された円筒部24を有する筒状の部材である。
【0026】
フランジ部22は、軸方向の一方側から視て、略円環状とされる部分であり、一例として、径方向の内側の端がスリーブ管本体20の内径と一致する。
【0027】
また、フランジ部22における軸方向の一方側の面には、径方向の外側の端と径方向の内側の端との間に、軸方向の一方側から視て、後述するOリング54が嵌まる溝46が形成されている。
【0028】
なお、フランジ部22は、図1及び図4に示すように、直径が小径部92Sよりも大きく、大径部92Lに収まる。すなわち、フランジ部22は、スリーブ管本体20の円筒部24を貫通孔92に軸方向の一方側から挿入した場合に、壁部材90の貫通孔92の小径部92Sに引っ掛かる部分である。フランジ部22の直径は、一例として134mmとされている。
【0029】
プレート取付部44は、図2及び図4に示されるように、周方向に等間隔とされた四箇所に形成され、後述するプレート締結具52が挿通されることによってプレート50が取り付けられる部分である。
【0030】
円筒部24は、図1図3及び図4に示すように、外周面が雄ネジ状とされ、直径が小径部92Sよりもわずかに小さく、小径部92Sに挿通することが可能とされている部分である。円筒部24の外径は、一例として115.6mmとされている。
【0031】
またプレート取付部44には、図1図3及び図4に示されるように、径方向内側に凹む凹部28が形成されている。
【0032】
凹部28は、図1及び図4に示すように、後述するプレート締結具52と共にプレート50を締結する、本開示に係る取付部品の一例である締結ナット42が径方向外側から挿入される部分である。
【0033】
言い換えれば、凹部28は、プレート取付部44の径方向の外側から径方向の内部に向かって凹む部分である。
【0034】
なお、凹部28及び締結ナット42は、どのような形状とされていてもよいが、一例として、軸方向から視て凹部28の幅と、締結ナット42の幅とを同等とすることで、凹部28の内部で締結ナット42が軸方向から視て回転することを抑えられている。
【0035】
なお、スリーブ管本体20は、軸方向から視て径方向内側が貫通している。この貫通している部分は、後述するジョイント60及び他方側配管68が通る挿通部40として機能する。
【0036】
また、スリーブ管本体20は、容易に変形しない材料であればどのような材料で形成されていてもよいが、一例として硬質性樹脂で形成されている。
【0037】
なお、スリーブ管本体20は、図1及び図2に示されるように、円筒部24と、後述するスリーブ管締結具38の雌ネジとが螺合されることによって、壁部材90に締結されることで固定される。この締結手順については、後述する。
【0038】
シール材32は、図1から図4に示すように、フランジ部22の軸方向の他方側で、スリーブ管本体20の外周及びフランジ部22に沿って設けられる部材であり、図1及び図4に示されるように、スリーブ管12が壁部材90に形成された通孔に挿入され、壁部材90に締結された状態で、フランジ部22の軸方向の他方側の面及び壁部材90の小径部92Sと大径部92Lとの段差面に密着する。
【0039】
シール材32は、上述のようにフランジ部22と壁部材90とに密着する材料で形成されていれば、どのような材料で形成されていてもよいが、一例としてEPDMゴム、又はエバーライトモラン(登録商標)等、流体の透過性が低く柔軟性を有する材料で形成されている。
【0040】
また、シール材32は、図1から図4に示すように、環状部34及び、突出部36を有している。
【0041】
環状部34は、軸方向に厚さを有すると共に、軸方向から視て環状に形成される部分であり、シール材32がスリーブ管本体20に設けられた状態で、外径がフランジ部22の外径よりも小さい。また、後述するように、スリーブ管本体20が壁部材90に締結された状態で、外径がプレート50の外径よりも小さい。
【0042】
また、環状部34は、シール材32がスリーブ管本体20から外された状態で、内径が円筒部24よりも小さく、スリーブ管本体20に設けられた状態では、径方向の内側に向かう荷重をスリーブ管本体20に与える。
【0043】
また、一例として、環状部34は、シール材32がスリーブ管本体20から外された状態で、外径が128.5mm、内径が113.5mm、厚さが3mmとされている。
【0044】
突出部36は、環状部34における径方向の内側の端部から、軸方向の他方側に突出する部分であり、スリーブ管本体20から外された状態で、一例として内径が環状部34の内径と一致する環状の部分である。
【0045】
なお、突出部36の外形は、一例として、図4に示されるように、スリーブ管12が壁部材90に形成された貫通孔92に挿入され、壁部材90に締結された状態で、小径部92Sの内周面に接触せず、隙間を有する形状とされている。
【0046】
また、一例として、突出部36は、シール材32がスリーブ管本体20から外された状態で、外径が116mm、軸方向に突出す長さは、2.5mmとされている。
【0047】
不織布30は、本開示に係る「制限部材」の一例であり、図1図3及び図4に示されるように、シール材32がスリーブ管本体20に設けられた状態で、シール材32の軸方向の他方側に近接して配置され、シール材32が軸方向の他方側への移動を制限する部材である。
【0048】
なお、不織布30は、どのような方法で配置されていてもよいが、円筒部24の外周面に接着されて配置される。
【0049】
なお、不織布30の外径は、一例として、円筒部24に接着された状態で壁部材90の小径部92Sの内径よりも小さい。
【0050】
スリーブ管締結具38は、図1から図4に示されるように、軸方向から視て円環状とされ、内周面が円筒部24の外周に形成された雄ネジと螺合する雌ネジとされている。
【0051】
また、スリーブ管締結具38の径方向外側は、どのような形状とされていてもよいが、一例として、軸方向から視て略正六角形とされることで、締結時に把持しやすい形状とされている。
【0052】
なお、スリーブ管締結具38は、どのような材料で形成されていてもよいが、一例として硬質製の樹脂で形成されている。
【0053】
プレート50は、図1から図4に示されるように、軸方向から視て円形平板上に形成されている部材である。
【0054】
プレート50は、軸方向から視て、上述のプレート取付部44と同心円上に挿通穴50Hが形成されており、図1から図4に示されるように、一例としてボルトであるプレート締結具52によって、フランジ部22の軸方向の一方側で着脱可能とされ、フランジ部22を覆うように固定される。
【0055】
また、プレート50は、径方向の中央部で、後述するジョイント60を挿通された状態で、ジョイント60を保持する。
【0056】
なお、プレート50は、後述するジョイント60を保持可能とされていれば、どのような材料で形成されていてもよいが、一例としてステンレスで形成されている。
【0057】
また、プレート50が「フランジ部22を覆う」とは、プレート50がフランジ部22に固定された状態では、一例としてOリング54によって、軸方向の一方側の空間と、挿通部40との水密性が保たれている状態を指す。
【0058】
ジョイント60は、図1に示されるように、プレート50を貫通して形成されて当該プレート50に支持されており、プレート50の軸方向の他方側に他方側配管68を接続可能な他方側管接続部64を有するとともに、プレート50の軸方向の一方側に一方側配管66を接続可能な一方側管接続部62を有する部材である。
【0059】
他方側管接続部64は、ジョイント60がプレート50に保持された状態で、軸方向の他方側から他方側配管68が接続される部分である。
【0060】
なお、他方側管接続部64と他方側配管68は、どのように接続されていてもよいが、一例として、他方側接続部に形成された雌ネジと、他方側配管68に形成された雄ネジとが螺合することによって締結される。
【0061】
一方側管接続部62は、上述の他方側管接続部64及び他方側配管68と同様に、一方側配管66と接続される部分である。
【0062】
なお、ジョイント60は、どのようにプレート50に固定されていてもよいが、一例として、図1に示されるように、軸方向の他方側から雄ネジ状のジョイント雄ネジ60Mが挿通され、軸方向の一方側からジョイントナット60Fが螺合することによって締結されている。
【0063】
他方側配管68は、他方側管接続部64にスリーブ管本体20の軸方向の一方側へ引き出し可能な余長部を有して接続される配管である。
【0064】
なお、上述の「引き出し可能な余長を有する」とは、本開示のスリーブ管12が壁部材90に固定され、プレート50部のジョイント60に一方側配管66及び他方側配管68が接続された状態で、プレート50が取り外された場合、外されたプレート50に引っ張られて他方側配管68が引き出される程度の長さとされている。
【0065】
言い換えれば、上述の「引き出し可能な余長を有する」とは、他方側配管68によってプレート50の取り外しが制限されない長さとされていれば、他方側配管68の長さは、適宜決定されてよい。
【0066】
一方側配管66は、一方側管接続部62に接続される配管である。
【0067】
なお、本開示に係る配管構造10は、一例として、少なくとも軸方向の一方側から、配管構造10を点検する作業者がアクセス可能な位置に配置されている。
【0068】
(締結手順)
次に本開示に係るスリーブ管12を用いて、図1から図4を適宜参照しながら、配管構造10を得る手順を示す。
【0069】
まず、図3に示されるように、円筒部24の凹部28に締結ナット42を挿入した状態で、シール材32をフランジに沿って設けることによって、凹部28ごと締結ナット42をシール材32で覆う。
【0070】
次にシール材32よりも軸方向の他方側に、不織布30を円筒部24の円周方向に沿って巻き付けて接着し、シール材32の軸方向の他方側への移動を制限する。
【0071】
続いて、図2及び図4に示されるように、スリーブ管本体20の円筒部24を、貫通孔92に挿入し、壁部材90の他方側から、スリーブ管締結具38を円筒部24に螺合することによって、スリーブ管本体20を壁部材90に締結する。
【0072】
次に、ジョイント雄ネジ60M及びジョイントナット60Fを螺合することによって、ジョイント60をプレート50に締結する。
【0073】
また、他方側配管68を、余長を有した状態で、壁部材90の他方側から挿通部40を通して壁部材90よりも軸方向一方側に引き出し、他方側配管68と、ジョイント60の他方側管接続部64とを接続する。
【0074】
また、壁部材90の一方側から、一方側配管66と、ジョイント60の一方側管接続部62とを接続する。
【0075】
次に、フランジ部22の溝46にOリング54を嵌めた状態で、プレート50をフランジ部22に軸方向の一方側から合わせ、プレート締結具52を挿通穴50Hに挿入し、プレート締結具52と締結ナット42とを螺合して、フランジ部22を覆うようにプレート50を固定する。
【0076】
(作用効果)
本開示に係るスリーブ管12及び配管構造10では、以下の作用及び効果を得ることができる。
【0077】
本開示に係るスリーブ管12は、軸方向の一方側にフランジ部22を有する筒状のスリーブ管本体20と、フランジ部22に対して軸方向の他方側に配置されたシール材32であって、フランジ部22の軸方向の他方側の面に沿いながら環状に形成される環状部34及び、環状部34における径方向の内側の端部から、軸方向の他方側に突出する突出部36を有するシール材32と、を備える。
【0078】
したがって、このスリーブ管12によれば、シール材32は、環状部34における径方向の内側の端部から、軸方向の他方側に突出する突出部36を有するため、シール材32が軸方向の他方側に倒れるおそれが低減される。
【0079】
また、シール材32は、突出部36のみが環状部34から突出しているため、突出部36の軸方向の長さの範囲まで環状部34が形成される場合と比して、全体として体積の増加量が抑えられている。
【0080】
したがって、このスリーブ管12によれば、シール材32の製造コストの増加を抑えながら、シール材32が軸方向の他方側に倒れることを抑制することができる。
【0081】
また、本開示に係るスリーブ管12は、フランジ部22よりも軸方向の他方側で外周面に凹部28を有し、シール材32は、凹部28を、径方向の外側から覆う。
【0082】
したがって、このスリーブ管12によれば、シール材32がスリーブ管本体20の外周に設けられる凹部28を、径方向の外側から覆うため、例えば凹部28に締結ナット42が配置された場合に、該締結ナット42が凹部28から外れてしまうおそれが低減される。
【0083】
また、本開示に係るスリーブ管12は、スリーブ管本体20の外周面で、シール材32よりも軸方向の他方側に配置され、シール材32が軸方向の他方側への移動することを制限する不織布30をさらに備える。
【0084】
したがって、このスリーブ管12によれば、不織布30が、シール材32の軸方向の他方側への移動を制限するため、シール材32が輸送中にフランジから軸方向の他方側に向かって外れてしまうおそれが低減される。
【0085】
また、本開示に係る配管構造10は、スリーブ管12と、フランジ部22の軸方向の一方側で着脱可能とされ、フランジ部22を覆うように固定されるプレート50と、プレート50を貫通して形成されて当該プレート50に支持されており、プレート50の軸方向の一方側に一方側配管66を接続可能な一方側管接続部62を有するとともに、プレート50の軸方向の他方側に他方側配管68を接続可能な他方側管接続部64を有するジョイント60と、一方側管接続部62に接続される一方側配管66と、他方側管接続部64にスリーブ管本体20の軸方向の一方側へ引き出し可能な余長部を有して接続される他方側配管68と、を備え、シール材32は、スリーブ管12が壁部材90に形成された小径部92S及び大径部92Lを有する貫通孔92に挿入され、壁部材90に締結された状態で、フランジ部22の軸方向の他方側の面及び壁部材90の小径部92Sと大径部92Lとの段差面に密着すると共に、大径部92Lの径方向の内周面とは隙間を有する。
【0086】
したがって、この配管構造10によれば、シール材32は、フランジ部22の軸方向他方側の面及び壁部材90の小径部92Sと大径部92Lとの段差面に密着すると共に、大径部92Lの径方向の内周面とは接触しないため、スリーブ管12を壁部材90に締結する際に、シール材32が壁部材90の大径部92Lの径方向の内周面と、フランジ部22の径方向の外周面とに巻き込まれて、スリーブ管12を締結する際の締結荷重が増大することを防ぐことができる。
【0087】
また、スリーブ管12の軸方向一方側の端部を覆うプレート50を貫通して形成されてプレート50に支持されるジョイント60に、一方側配管66及び他方側配管68が接続され、スリーブ管12内本体内で一方側配管66と他方側配管68とが連通して支持されるため、配管構造10を容易に施工することができる。
【0088】
また、プレート50はスリーブ管12の軸方向他方側に着脱可能に固定され、一方側配管66は、スリーブ管12の他方側へ引き出し可能な余長部を有するため、プレート50をスリーブ管12から取り外して軸方向の他方側に引っ張ることで、一方側配管66が引き出されて、ジョイント60と一方側配管66との接続箇所を目視して点検することができる。
【0089】
(変形例)
図5は、本開示に係る配管構造10の変形例を示す図であり、本変形例では、上述の一実施形態と比して、スリーブ管本体20が不織布30を有せず、円筒部24の不織布30が設けられていた箇所に突起部26が形成されている点で異なる。
【0090】
図5に示すように、突起部26は、凹部28に対して軸方向の他方側で、円筒部24から径方向の外側に向かって突起が形成された部分であり、径方向の大きさ及び軸方向の長さは、上述の一実施形態に係る不織布30と同等とされている。
【0091】
なお、突起部26は、円筒部24の外周で周方向の全周に亘って形成されていてもよく、又、周方向に並ぶように、複数の突起が間隔を開けて形成されてもよい。
【0092】
その他の構成は、上述の一実施形態と同様である。
【0093】
本変形例に係る配管構造10においても、上述の一実施形態で得られる効果を得ることができる。
【0094】
なお、上述の説明において、本開示に係る配管構造10では、シール材32の突出部36は、一例として環状とされていたが、シール材32が軸方向の他方側に倒れることを抑制すれば限られない。例えば、突出部36は、周方向に間隔を開けて並ぶように配置された、複数の突出した部分とされていてもよい。
【0095】
なお、図1に示されるように、本開示に係る配管構造10では、一方側配管66のうち、第1一方側配管66Aが第1一方側管接続部62Aに、第1一方側配管66Aが第1他方側管接続部64Aに、接続され、また、第2一方側配管66Bが第2一方側管接続部62Bに、第2他方側配管68Bが第2一方側配管66Bにそれぞれ接続されているが、それぞれの配管には、どのような流体が、軸方向の一方側及び他方側のいずれの方向に向かって流されていてもよい。
【0096】
すなわち、第1一方側配管66Aと第1他方側配管68A及び第2一方側配管66Bと第2他方側配管68Bに流される流体は、互いに同じ流体、又は異なる流体が流されてもよく、互いに同じ方向又は異なる方向に流されていてもよい。
【0097】
なお、図1及び図2では、一方側管接続部62及び他方側管接続部64が二箇所ずつ設けられ、一方側配管66及び他方側配管68が2本ずつ接続されているが、これに限らず、一方側管接続部62及び他方側管接続部64の数及び一方側配管66及び他方側配管68の数は、使用形態に合わせて適宜設定されてよい。
【0098】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0099】
10 配管構造、12 スリーブ管、20 スリーブ管本体、22 フランジ部、24 円筒部、26 突起部、28 凹部、30 不織布(制限部材の一例)、32 シール材、34 環状部、36 突出部、38 スリーブ管締結具、40 挿通部、42 締結ナット(取付部品の一例)、44 プレート取付部、46 溝、50 プレート、52 プレート締結具、54 Oリング、60 ジョイント、62 一方側管接続部、64 他方側管接続部、66 一方側配管、68 他方側配管、90 壁部材、92 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5