(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140060
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】半導体集積回路、送信回路及びキャリブレーション方法
(51)【国際特許分類】
H03B 5/12 20060101AFI20230927BHJP
H03L 7/099 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
H03B5/12 Z
H03L7/099
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045906
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(72)【発明者】
【氏名】三平 嘉孝
【テーマコード(参考)】
5J081
5J106
【Fターム(参考)】
5J081AA02
5J081BB01
5J081BB10
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5J081GG05
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5J106DD17
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5J106GG01
5J106HH01
5J106JJ01
5J106KK12
5J106KK25
5J106KK32
(57)【要約】
【課題】ゲインの変動を抑制可能な半導体集積回路と送信回路を提供する。
【解決手段】半導体集積回路は、第1出力ノード及び第2出力ノードの間に接続される容量回路と、第1出力ノード及び第2出力ノードの間に接続されるインダクタと、第1出力ノード及び第2出力ノードの間に並列かつ互いに逆向きに接続される第1インバータ及び第2インバータと、容量回路にバイアス電圧を供給するバイアス回路と、バイアス回路を制御するとともに、発振信号の発振周波数を制御するための基準電圧を容量回路に供給する制御回路と、を備える。容量回路は、第1出力ノード及び第2出力ノードの間に直列に接続される第1可変容量素子及び第2可変容量素子の接続ノードに供給される基準電圧の電圧レベルを複数通りに変化させたときの発振信号の発振周波数の変化に基づいて、バイアス電圧を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振信号を相補出力する第1出力ノード及び第2出力ノードと、
前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードの間に接続される容量回路と、
前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードの間に接続されるインダクタと、
前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードの間に並列かつ互いに逆向きに接続される第1インバータ及び第2インバータと、
前記容量回路に、バイアス電圧を供給するバイアス回路と、
前記バイアス回路を制御するとともに、前記発振信号の発振周波数を制御するための基準電圧を前記容量回路に供給する制御回路と、を備え、
前記容量回路は、前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードの間に直列に接続される第1可変容量素子及び第2可変容量素子を有し、
前記制御回路は、前記第1可変容量素子及び前記第2可変容量素子の接続ノードに供給される前記基準電圧の電圧レベルを複数通りに変化させたときの前記発振信号の発振周波数の変化に基づいて、前記バイアス電圧を制御する、半導体集積回路。
【請求項2】
前記制御回路は、前記第1可変容量素子及び前記第2可変容量素子の接続ノードに供給される前記基準電圧の電圧レベルを複数通りに変化させることに応じて、前記発振信号の発振周波数がより線形に変化するように、前記バイアス電圧を制御する、請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記容量回路は、
前記第1出力ノードと前記第1可変容量素子の間に接続される第1容量素子と、
前記第2出力ノードと前記第2可変容量素子の間に接続される第2容量素子と、を有し、
前記バイアス回路は、前記第1容量素子及び前記第1可変容量素子の接続ノードと、前記第2容量素子及び前記第2可変容量素子の接続ノードとに、同一電圧レベルの前記バイアス電圧を供給する、請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記容量回路は、
前記第1容量素子及び前記第1可変容量素子の接続ノードと、前記バイアス回路の出力ノードとの間に接続される第1抵抗素子と、
前記第2容量素子及び前記第2可変容量素子の接続ノードと、前記バイアス回路の出力ノードとの間に接続される第2抵抗素子と、を有し、
前記バイアス回路は、前記第1抵抗素子を介して、前記第1容量素子及び前記第1可変容量素子の接続ノードに前記バイアス電圧を供給し、且つ前記第2抵抗素子を介して、前記第2容量素子及び前記第2可変容量素子の接続ノードに前記バイアス電圧を供給する、請求項3に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記発振信号の発振周波数に応じたカウント数を生成するカウンタを備え、
前記制御回路は、前記基準電圧の電圧レベルの変化に対する前記周波数カウント数の変化に基づいて、前記バイアス電圧を最適化する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体集積回路。
【請求項6】
前記制御回路が切替制御する前記基準電圧は、電圧レベルの小さい順に第1基準電圧、第2基準電圧、及び第3基準電圧を含み、
前記制御回路は、
前記容量回路に前記第2基準電圧を供給した場合の前記周波数カウンタでカウントされる第2周波数カウント数と、前記容量回路に前記第1基準電圧を供給した場合の前記周波数カウンタでカウントされる第1周波数カウント数と、のカウント差を検出する第1カウント差検出器と、
前記容量回路に前記第3基準電圧を供給した場合の前記周波数カウンタでカウントされる第3周波数カウント数と、前記第2周波数カウント数と、のカウント差を検出する第2カウント差検出器と、
前記バイアス回路は、前記第1カウント差検出器で検出されたカウント差と、前記第2カウント差検出器で検出されたカウント差とに基づいて、前記バイアス電圧を制御する、請求項5に記載の半導体集積回路。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体集積回路を備え、前記半導体集積回路から出力された前記発振信号をPLL(Phase Locked Loop)制御するPLL回路と、
前記PLL制御された前記発振信号をバッファして出力するバッファと、
を備え、
前記容量回路は、前記基準電圧が供給される制御端子を有し、
前記制御回路は、前記PLL回路を動作させる第1モードが選択されると、前記PLL制御で生成される制御電圧を前記制御端子に供給し、前記バイアス電圧を制御する第2モードが選択されると、前記PLL回路を遮断して前記制御端子に前記基準電圧を供給する、送信回路。
【請求項8】
前記PLL回路は、
前記発振信号の周波数を分周する分周器と、
基準信号と、前記分周器で分周された信号との位相差信号を生成する位相比較器と、
前記位相差信号に応じた電圧信号を生成するチャージポンプと、
前記電圧信号に含まれる不要周波数成分を除去するループフィルタと、を有し、
前記第1モードが選択されると、前記ループフィルタの出力信号が前記制御端子に供給され、
前記第2モードが選択されると、前記ループフィルタの出力はハイインピーダンスになる、請求項7に記載の送信回路。
【請求項9】
発振信号を相補出力する第1出力ノード及び第2出力ノードと、
前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードの間に共に並列接続される容量回路及びインダクタと、
前記容量回路にバイアス電圧を供給するバイアス回路と、
を備える電圧制御型発振器のキャリブレーション方法であって、
前記容量回路は、前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードの間に直列に接続される第1可変容量素子及び第2可変容量素子を有し、
前記発振信号の発振周波数は基準電圧に応じて制御され、
前記キャリブレーション方法は、
前記第1可変容量素子及び前記第2可変容量素子の接続ノードに供給される前記基準電圧の電圧レベルを複数通りに変化させ、
前記基準電圧の電圧レベルを複数通りに変化させたときの前記発振信号の発振周波数の変化に基づいて、前記バイアス電圧を制御する、キャリブレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、半導体集積回路、送信回路及びキャリブレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧制御型発振器の一つとして、LCVCO(LC Voltage Controlled Oscillator)が知られている。LCVCOは、一般的なリング型VCOと比べて、低ノイズ性能に優れて、ジッタも小さいという特徴があり、高周波信号の伝送に適している。
【0003】
しかしながら、従来のLCVCOは、周波数を可変制御するための制御信号の電圧レベルに応じてゲインが変動することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の一実施形態では、ゲインの変動を抑制可能な半導体集積回路、送信回路及びキャリブレーション方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態によれば、発振信号を相補出力する第1出力ノード及び第2出力ノードと、
前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードの間に接続される容量回路と、
前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードの間に接続されるインダクタと、
前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードの間に並列かつ互いに逆向きに接続される第1インバータ及び第2インバータと、
前記容量回路に、バイアス電圧を供給するバイアス回路と、
前記バイアス回路を制御するとともに、前記発振信号の発振周波数を制御するための基準電圧を前記容量回路に供給する制御回路と、を備え、
前記容量回路は、前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードの間に直列に接続される第1可変容量素子及び第2可変容量素子を有し、
前記制御回路は、前記第1可変容量素子及び前記第2可変容量素子の接続ノードに供給される前記基準電圧の電圧レベルを複数通りに変化させたときの前記発振信号の発振周波数の変化に基づいて、前記バイアス電圧を制御する、半導体集積回路が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係るメモリシステムの概略構成を示すブロック図。
【
図2】コントローラのNANDインタフェース回路と、NANDバスと、NANDメモリのコントローラインタフェース回路と、のデータ読み出しに関連する構成を示すブロック図。
【
図3】
図2のPLL回路の内部構成の一例を示すブロック図。
【
図5】LCVCO内の複数の容量回路とバイアス回路との接続形態の一例を示す図。
【
図6】LCVCOの制御電圧と、第1可変容量素子及び第2可変容量素子の容量値との関係を示す図。
【
図7】本実施形態による半導体集積回路の制御回路が行う処理動作を示すフローチャート。
【
図8】LCVCOの制御電圧の電圧レベルと発振信号の周波数カウント数との関係を示す図。
【
図9】制御回路の処理動作を機能的に表したブロック図。
【
図10】受信回路の具体的な構成の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、半導体集積回路、送信回路及びキャリブレーション方法の実施形態について説明する。以下では、半導体集積回路、送信回路及びキャリブレーション方法の主要な構成部分を中心に説明するが、半導体集積回路、送信回路及びキャリブレーション方法には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0009】
図1は一実施形態に係るメモリシステム1の概略構成を示すブロック図である。
図1のメモリシステム1は、NAND型フラッシュメモリ(以下、単にNANDメモリと称する)2を用いたSSDの構成を示している。なお、
図1のメモリシステム1は、SSD以外の種々のシステム、例えばUFS(Universal Flash Storage)デバイス、MMC(Multi Media Card)、SDカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ等にも適用可能である。また、
図1のメモリシステム1は、NANDメモリ以外の不揮発メモリ(例えば、MRAM:Magnetoresistive Random Access Memory、ReRAM:Resistive Random Access Memory、PRAM:Phase-change Random Access Memoryなど)を用いたシステムや、揮発メモリ(例えば、DRAM:Dynamic Random Access MemoryやSRAM:Static Random Access Memoryなど)を用いたシステムにも適用可能である。
【0010】
図1のメモリシステム1は、NANDメモリ2と、コントローラ3とを備えている。NANDメモリ2の具体的な構成については後述する。
【0011】
コントローラ3は、NANDバス4を介してNANDメモリ2に接続され、NANDメモリ2を制御する。コントローラ3は、ホストバス5を介してホスト機器(以下、単にホストと称する)6に接続されうる。コントローラ3は、ホストバス5を介してホスト6から受信した命令に応答して、NANDバス4を介してNANDメモリ2にアクセスする。ホスト6は、例えばパーソナルコンピュータ又はサーバ等の電子機器である。ホストバス5は、例えばPCIe(TM)、UFS、Ethernet(TM)などのインタフェース規格に従ったバスである。NANDバス4は、Toggle IFなどのインタフェース規格に従ったバスである。すなわち、コントローラ3は、ホスト6及びNANDメモリ2それぞれとの間で、所定のインタフェース規格に準じて信号の送受信を行う。
【0012】
コントローラ3は、ホストインタフェース回路(ホスト I/F)11、内蔵メモリ(RAM)12、プロセッサ(CPU)13、バッファメモリ14、NANDインタフェース回路(NAND I/F)15、及びECC(Error Checking and Correcting)回路16を備えている。コントローラ3は、これらの構成を1パッケージに封止するSoC(System-on-a-Chip)として構成されうる。
【0013】
ホストインタフェース回路11は、ホストバス5を介してホスト6と接続され、ホスト6から受信した命令及びデータを、CPU13及びバッファメモリ14に転送する。またホストインタフェース回路11は、CPU13の命令に応答して、バッファメモリ14に記憶されたデータをホスト6へ転送する。ホストインタフェース回路11は、受信回路90を備える。受信回路90は、ホスト6からの命令及びデータを受信する。
【0014】
CPU13は、コントローラ3の動作を制御する。例えばCPU13は、ホスト6から書き込み命令を受信した際には、それに応答して、NANDインタフェース回路15に対して書き込み命令を発行する。CPU13は、読み出し及び消去の際には、それぞれに応答して、NANDインタフェース回路15に対して読み出し命令及び消去命令を発行する。またCPU13は、NANDメモリ2を管理するための様々な処理を実行する。この様々な処理は、ガベージコレクション、リフレッシュ、及びウェアレベリングを含む。なお、以下で説明するコントローラ3の動作はファームウェアをCPU13が実行することで実現されても良いし、又はハードウェアで実現されても良い。
【0015】
NANDインタフェース回路15は、NANDバス4を介してNANDメモリ2と接続され、NANDメモリ2との通信を司る。そして、NANDインタフェース回路15は、CPU13から受信した書き込み命令に基づき、書き込むべきデータ及び制御信号をNANDメモリ2に送信する。書き込むべきデータはデータDQとして送信される。制御信号にはストローブ信号DQSが含まれる。また、NANDインタフェース回路15は、CPU13から受信した読み出し命令に基づき、NANDメモリ2に読み出し要求を行って、NANDメモリ2からの読み出し対象のデータ及び制御信号を受信する。読み出し対象のデータはデータDQとして受信される。制御信号はストローブ信号DQSを含む。NANDインタフェース回路15は、送信回路15aを有する。送信回路15aは、NANDメモリ2からの読み出し対象のデータ及び制御信号を受信する。バッファメモリ14は、書き込むべきデータや読み出し対象のデータを一時的に記憶する。NANDインタフェース回路15は、NANDメモリ2からNANDバス4を介して送信されたデータDQとストローブ信号DQSを受信して、データDQをストローブ信号DQSでサンプリングした後にバッファメモリ14に読み出し対象のデータとして一時的に書き込む制御を行う。また、NANDインタフェース回路15は、CPU13からの指示に従って、書き込むべきデータに対応するデータDQをストローブ信号DQSに同期化してNANDバス4を介してNANDメモリ2に送信する。NANDインタフェース回路15の詳細な内部構成及び動作は後述する。
【0016】
RAM12は、例えばDRAMやSRAM等の半導体メモリであり、CPU13の作業領域として使用される。RAM12は、CPU13が実行するファームウェアや、NANDメモリ2を管理するための各種の管理情報等を記憶する。RAM12は、コントローラ3の外部に設けられてもよい。
【0017】
ECC回路16は、NANDメモリ2に格納されるデータに関する誤り検出及び誤り訂正に関する処理を行う。ECC回路16は、符号化器16aと復号器16bを有する。符号化器16aは、データの書き込みに伴って誤り訂正符号を生成して、これを書き込みデータに付加する。復号器16bは、NANDメモリ2から読み出したデータに含まれるエラーを検出し、検出したエラーを誤り訂正符号により訂正する。
【0018】
次に、NANDメモリ2の構成について説明する。
図1に示すように、NANDメモリ2は、コントローラインタフェース回路(コントローラI/F)20、メモリセルアレイ21、ロウデコーダ22、ドライバ回路23、カラム制御回路24、レジスタ群25、及びシーケンサ26を備える。コントローラインタフェース回路(コントローラI/F)20、ロウデコーダ22、ドライバ回路23、カラム制御回路24、レジスタ群25、及びシーケンサ26は、メモリセルアレイ21の周辺回路である。
【0019】
コントローラインタフェース回路20は、NANDバス4を介してコントローラ3と接続され、コントローラ3との通信を司る。コントローラインタフェース回路20は、コントローラ3からNANDバス4を介して送信されてきたデータDQとストローブ信号DQSを受信して、データDQをストローブ信号DQSでサンプリングした後にメモリセルアレイ21に書き込む制御を行う。また、コントローラインタフェース回路20は、コントローラ3からの読み出し要求に従って、メモリセルアレイ21から読み出したデータに対応するデータDQをストローブ信号DQSに同期化してNANDバス4を介してコントローラ3に送信する。コントローラインタフェース回路20の詳細な内部構成及び動作は後述する。
【0020】
メモリセルアレイ21は、ロウ及びカラムに対応付けられた複数の不揮発性のメモリセルを含む複数のブロックを備えている。メモリセルアレイ21に対するデータの読み書きは、シーケンサ26により制御される。
【0021】
ロウデコーダ22は、複数のブロックのいずれかを選択し、更に選択したブロックにおけるロウ方向を選択する。ドライバ回路23は、選択されたブロックに対して、ロウデコーダ22を介して電圧を供給する。
【0022】
カラム制御回路24は、データの読み出し時には、メモリセルアレイ21から読み出されたデータをセンスし、必要な演算を行う。そして、必要な演算後のデータは、コントローラインタフェース回路20を介してコントローラ3に出力される。カラム制御回路24は、データの書き込み時には、コントローラ3から受信された書き込むべきデータに対応する信号を、メモリセルアレイ21に転送する。
【0023】
レジスタ群25は、アドレスレジスタやコマンドレジスタなどを有する。アドレスレジスタは、コントローラ3から受信したアドレスを記憶する。コマンドレジスタは、コントローラ3から受信したコマンドを記憶する。
【0024】
シーケンサ26は、レジスタ群25に記憶された種々の情報に基づき、NANDメモリ2の動作を制御する。
【0025】
上述したように、NANDメモリ2とコントローラ3は、NANDバス4を介して高速にデータDQを送受することができる。コントローラ3は、NANDメモリ2のメモリセルアレイ21に、送信するデータDQに対応するデータを書き込む際には、メモリセルアレイ21における書き込み対象のメモリセルを特定するアドレス情報を、NANDバス4を介して送信する。また、コントローラ3は、書き込み対象のメモリセルに書き込むべきデータDQと、データDQに同期したストローブ信号DQSとを、NANDバス4を介してNANDメモリ2に送信する。また、コントローラ3は、メモリセルアレイ21に書き込まれて記憶されたデータを読み出す際には、メモリセルアレイ21における読み出し対象のメモリセルを特定するアドレス情報を、NANDバス4を介してNANDメモリ2に送信する。NANDメモリ2は、そのアドレス情報に基づいて読み出されたデータに対応するデータDQと、データDQに同期したストローブ信号DQSとを、NANDバス4を介してコントローラ3に送信する。
【0026】
このように、NANDバス4で送受されるデータDQは、ストローブ信号DQSに同期しており、データDQとストローブ信号DQSがともにNANDバス4で送受される。受信側では、受信されたストローブ信号DQSで、受信されたデータDQをサンプリングすることで、クロック信号を別に送受しなくても、送信側と受信側でデータDQを同期化することができる。
【0027】
図2は、コントローラ3のNANDインタフェース回路15と、NANDバス4と、NANDメモリ2のコントローラインタフェース回路20と、のデータ読み出しに関連する構成を示すブロック図である。
【0028】
NANDバス4は、バスB1と、2本の信号線SI1と、2本の信号線SI2とを有する。バスB1は、8ビット分のデータDQをパラレルに送受する。2本の信号線SI1は、データDQに同期したストローブ信号DQSを差動で送受する。2本の信号線SI2は、NANDメモリ2においてストローブ信号DQSを生成するのに用いられる基準信号REを差動で送受する。
【0029】
データ読み出し時には、8ビットデータDQと差動のストローブ信号DQSがNANDメモリ2からNANDバス4を介してコントローラ3に送信される。一方、差動の基準信号REは、コントローラ3からNANDバス4を介してNANDメモリ2に送信される。
【0030】
NANDメモリ2のコントローラインタフェース回路20は、基準信号レシーバ31(RCV)と、分配器32と、DQマルチプレクサ(MUX)33と、DQSマルチプレクサ(MUX)34と、DQ送信バッファ35と、DQS送信バッファ36とを有する。
【0031】
基準信号レシーバ31は、コントローラ3からNANDバス4を介して送信された差動の基準信号REを受信する。分配器32は、受信された基準信号REをDQマルチプレクサ33とDQSマルチプレクサ34に分配する。
【0032】
DQマルチプレクサ33は、メモリセルアレイ21から読み出された8ビットのデータDQを、分配器32で分配された基準信号REに同期化させて出力する。DQSマルチプレクサ34は、DQマルチプレクサ33がデータDQの同期化に用いた基準信号REに基づいて差動のストローブ信号DQSを生成する。DQSマルチプレクサ34には、0レベルの電位信号と1レベルの電位信号が入力されるDQSマルチプレクサ34は、分配された基準信号REに基づいて、入力された2つの電位信号の一方を選択して出力することで、ストローブ信号DQSを生成する。
【0033】
DQ送信バッファ35は、DQマルチプレクサ33から出力された8ビットのデータDQの周波数特性を調整する等化処理を行い、等化処理後の8ビットのデータDQをNANDバス4に送信する。DQS送信バッファ36は、DQSマルチプレクサ34から出力された差動のストローブ信号DQSを等化し、等化された差動のストローブ信号DQSをNANDバス4に送信する。
【0034】
コントローラ3のNANDインタフェース回路15の送信回路15aは、DQレシーバ(RCV)41と、DQSレシーバ(RCV)42と、ローパスフィルタ(LPF)43と、比較器44と、90度移相器45と、サンプラ46と、PLL回路47と、出力バッファ48と、バッファ49aと、バッファ49bとを有する。
【0035】
DQレシーバ41は、NANDメモリ2からNANDバス4を介して送信された8ビットのデータDQを受信する。この8ビットのデータDQは、読み出し対象のデータDQである。この際、DQレシーバ41は、受信したデータDQの高周波成分をブーストさせる処理を行ってNANDバス4によるISIの影響を抑制させてもよい。
【0036】
DQSレシーバ42は、比較器44による比較結果に基づいて、受信されたストローブ信号DQSの高周波成分のブースト量を可変させるイコライザ機能を備えている。ブースト量は、直流成分のゲインと交流成分のピークゲインとの差分に対応する。このように、DQSレシーバ42は、DQレシーバ41とは異なり、高周波成分のブースト量を可変させることができるため、必要でない場合はブースト量を下げることで、消費電力を低減することができる。DQSレシーバ42は、例えば差動のストローブ信号DQSを単相のストローブ信号DQSに変換して出力する。なお、DQSレシーバ42は、差動のストローブ信号DQSを差動のままで出力してもよい。
【0037】
ローパスフィルタ43は、DQSレシーバ42から出力されたストローブ信号DQSに含まれる少なくとも直流成分を含む低域成分を抽出して第1信号を出力する。
【0038】
比較器44は、第1信号の信号レベルを閾値レベルと比較する。閾値レベルは例えば、NANDインタフェース回路15の電源電圧VDDの1/4程度に設定される。なお、閾値レベルは、任意の信号レベルに可変に設定できるようにしてもよい。
【0039】
比較器44は、第1信号の信号レベルが閾値レベル以下か、閾値レベルより高いかを示す比較結果信号をDQSレシーバ42に送信する。DQSレシーバ42は、比較器44の比較結果信号に基づいて、ストローブ信号DQSの低域成分と異なる高周波成分のブースト量を可変させる。より具体的には、DQSレシーバ42は、比較結果信号に基づいて、ストローブ信号DQSの直流成分のゲインを変えずに高周波成分のゲインを調整する。例えば、比較器44は、第1信号の信号レベルが閾値レベル以下であれば、ストローブ信号DQS無しと判断し、第1信号の信号レベルが閾値レベルより大きければ、ストローブ信号DQS有りと判断する。
【0040】
90度移相器45は、DQSレシーバ42の出力信号(すなわち、ストローブ信号DQS)の位相を90度シフトさせる。90度移相器45を設けることで、データDQをストローブ信号DQSでサンプリングする際のセットアップ時間やホールド時間を確保する。
【0041】
サンプラ46は、DQレシーバ41から出力されたデータDQを、90度移相器45から出力されたストローブ信号DQSに基づいてサンプリングする。コントローラ3は、サンプラ46でサンプリングされたデータDQを読み出しデータとして扱い、ECC回路16に送信するなどの処理を行う。
【0042】
なお、DQレシーバ41から出力されたデータDQは、バッファ49aを介してサンプラ46に入力される。同様に、90度移相器45から出力されたストローブ信号DQSは、バッファ49bを介してサンプラ46に入力される。バッファ49a、49bは、データDQ、ストローブ信号DQSをバッファリングする機能を有する他、遅延調整の機能を持っていてもよい。
【0043】
PLL回路47は、ストローブ信号DQSの基準信号REに対応するクロック信号を生成する。PLL回路47は、NANDメモリ2がメモリセルアレイ21からデータDQを読み出す動作に合わせて、ある周波数を有するクロック信号を間欠的に出力する。出力バッファ48は、PLL回路47が出力したクロック信号をバッファして出力する。出力バッファ48から出力されたクロック信号は、差動の基準信号REとして、NANDバス4を介してNANDメモリ2に送信される。
【0044】
図3は
図2のPLL回路47の内部構成の一例を示すブロック図である。
図3のPLL回路47は、LCVCO51と、分周器52と、位相比較器53と、チャージポンプ54と、ループフィルタ55とを有する。
【0045】
LCVCO51は、ループフィルタ55から出力された制御電圧Vcntの電圧レベルに応じた発振周波数の発振信号を生成する。LCVCO51の内部構成については後述する。
分周器52は、発振信号を分周して周波数を落とした分周信号を生成する。位相比較器53は、基準クロック信号CKrefと分周信号との位相を比較して位相差信号を出力する。チャージポンプ54は、位相差信号に応じた電圧信号を生成する。ループフィルタ55は、チャージポンプ54から出力された電圧信号に含まれる不要な周波数成分を除去して制御電圧Vcntを生成する。LCVCO51は、半導体集積回路の一例である。
【0046】
図4は本実施形態によるLCVCO51の回路図である。本実施形態によるLCVCO51は、発振回路61と、バイアス回路62と、制御回路63と、基準電圧生成回路73と、周波数カウンタ74とを備えている。
【0047】
発振回路61は、第1出力ノードn1及び第2出力ノードn2と、複数の容量回路60と、インダクタ64と、第1インバータ65及び第2インバータ66と、出力バッファ50とを有する。
【0048】
発振回路61は、第1出力ノードn1及び第2出力ノードn2から、制御電圧Vcntの電圧レベルに応じた発振周波数の発振信号Vout+、Vout-を相補出力する。相補出力とは、180度位相の異なる発振信号を差動で出力することを意味する。
【0049】
複数の容量回路60は、第1出力ノードn1及び第2出力ノードn2の間に並列に接続されている。複数の容量回路60のそれぞれは、第1出力ノードn1及び第2出力ノードn2の間に直列に接続される第1可変容量素子67及び第2可変容量素子68を有する。第1可変容量素子67及び第2可変容量素子68は、バラクタまたはバリキャップとも呼ばれ、バイアス電圧に応じて容量を可変調整することができる。
【0050】
第1可変容量素子67及び第2可変容量素子68は、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを用いて形成可能であり、ゲートに入力されるバイアス電圧を制御することで、容量を可変調整できる。第1可変容量素子67と第2可変調整素子68は、互いに対向するように配置されている。本明細書では、第1可変容量素子67及び第2可変容量素子68の容量制御のための端子を容量制御端子TL1と呼ぶ。この容量制御端子TL1は、第1可変容量素子67及び第2可変容量素子68をMOSトランジスタで構成する場合にはゲートになる。これらゲートには、バイアス回路62からの同一電圧レベルのバイアス電圧が入力される。このように、複数の各容量回路60は、容量を可変調整するための容量制御端子TL1を有する。
【0051】
バイアス回路62は、複数の容量回路60のそれぞれに、異なる電圧レベルのバイアス電圧を供給する。具体的には、バイアス回路62は、各容量回路60内の第1可変容量素子67及び第2可変容量素子68に対する容量制御端子TL1に、容量回路60ごとに異なるバイアス電圧を供給する。
【0052】
制御回路63は、バイアス回路62を制御するとともに、発振信号の発振周波数を制御するための基準電圧を複数の容量回路60に供給する。PLL回路47の通常動作時において、LCVCO51から出力される発振信号の発振周波数は、PLL回路47内のループフィルタ55から出力される制御電圧Vcntにより制御される。このとき、制御電圧Vcntは、発振回路61の容量回路60に入力される。制御回路63は、基準電圧生成回路73の出力が制御電圧Vcntへ影響が出ないよう、基準電圧生成回路73の出力がハイインピーダンスになるよう制御する。一方、PLL回路47が備えるLCVCO51のキャリブレーション時には、PLL回路47の動作は停止する。このとき、制御回路63は、キャリブレーションのための基準電圧を、基準電圧生成回路73を介してLCVCO51に供給し、発振信号の発振周波数を制御する。すなわち、基準電圧生成回路73は、キャリブレーションのための基準電圧を生成する。制御回路63は、キャリブレーション時には、基準電圧生成回路73の出力が制御電圧Vcntに影響されないよう、ループフィルタ55から出力される制御電圧Vcntがハイインピーダンスとなるよう制御する。本明細書では、PLL回路47の通常動作を第1モード、PLL回路47内のLCVCO51のキャリブレーション動作を第2モードと呼ぶことがある。
【0053】
制御回路63は、第1可変容量素子67及び第2可変容量素子68の接続ノードに供給される基準電圧の電圧レベルを複数通りに変化させたときの発振信号の発振周波数の変化に基づいて、バイアス電圧を制御する。本実施形態では、第1可変容量素子67及び第2可変容量素子68の接続ノードを周波数制御端子TL2と呼ぶ。この周波数制御端子TL2には、LCVCO51の通常動作時には制御電圧Vcntが入力され、キャリブレーション時には基準電圧が入力される。このように、複数の各容量回路60は、発振信号の周波数を可変調整するための周波数制御端子TL2を有する。
【0054】
LCVCO51のキャリブレーションは、LCVCO51の起動時に強制的に行うようにしてもよい。あるいは、NANDインタフェース回路15を備えるコントローラ3のユーザからの指示により、任意のタイミングで行えるようにしてもよい。あるいは、NANDインタフェース回路15を備えるコントローラ3に関する温度や電源電圧の変動などの環境条件の変化をトリガとして、LCVCO51のキャリブレーションを行うようにしてもよい。
【0055】
制御回路63は、LCVCO51のキャリブレーションを制御し、LCVCO51を通常動作させる際にはほとんどの動作を停止してもよい。LCVCO51を通常動作させる際には、バイアス回路62はキャリブレーションの結果に基づいて設定したバイアス電圧を出力する。また、LCVCO51の周波数制御端子TL2には、PLL回路47内のループフィルタ55から出力された制御電圧Vcntが供給される。
【0056】
複数の容量回路60のそれぞれは、より詳細には、第1及び第2可変容量素子67、68の他に、第1容量素子69及び第2容量素子70と、第1抵抗素子71及び第2抵抗素子72とを有する場合がある。
【0057】
第1容量素子69、第1可変容量素子67、第2可変容量素子68、及び第2容量素子70は、第1出力ノードn1と第2出力ノードn2の間に直列に接続される。第1容量素子69は、第1出力ノードn1と第1可変容量素子67との間に配される。第2容量素子70は、第2出力ノードn2と第2可変容量素子68との間に配される。第1抵抗素子71は、容量制御端子TL1を介して、第1容量素子69及び第1可変容量素子67の接続ノードと、バイアス回路62の出力ノードとの間に接続されている。第2抵抗素子72は、容量制御端子TL1を介して、第2容量素子70及び第2可変容量素子68の接続ノードと、バイアス回路62の出力ノードとの間に接続されている。
【0058】
LCVCO51の回路の対称性の観点では、第1容量素子69と第2容量素子70は同じ容量値であるのが望ましい。同様に、第1可変容量素子67と第2可変容量素子68は同じ容量値であるのが望ましい。同様に、第1抵抗素子71と第2抵抗素子72は同じ抵抗値であるのが望ましい。
【0059】
第1インバータ65と第2インバータ66は、発振回路61の発振動作を安定化させるために設けられている。第1インバータ65と第2インバータ66を省略することも可能だが、省略すると、発振動作が不安定になるおそれがある。
【0060】
第1インバータ65と第2インバータ66の電源端子に電流源75から電流を供給してもよい。電流源75を設けることで、発振回路61を低ノイズにすることができる。
【0061】
基準電圧生成回路73は、電圧レベルの異なる複数の基準電圧を生成する。制御回路63は、基準電圧生成回路73を用いて、複数の容量回路60に供給する基準電圧を切り替える。上述したように、基準電圧は、制御電圧Vcntの代わりに、LCVCO51の周波数制御端子TL2に入力される。
図4のLCVCO51は、基準電圧生成回路73を制御回路63の内部に設けてもよい。
【0062】
出力バッファ50は、LCVCO51の第1出力ノードn1と第2出力ノードn2のそれぞれに接続される2つの出力バッファ50a、50bを有する。出力バッファ50a、50bでバッファリングされた発振信号は、差動の形態で後段の回路に供給される。これら2つの出力バッファ50a、50bのうち一方から出力された発振信号は、周波数カウンタ74に入力される。周波数カウンタ74は、発振信号の周波数に応じた周波数カウント数を出力する。制御回路63は、後述するように、基準電圧の電圧レベルの変化に対する周波数カウント数の変化の度合に基づいて、バイアス電圧を最適化する。
図4の出力バッファ50は、LCVCO51の外部に設けてもよい。
図4のLCVCO51は、周波数カウンタ74を制御回路63の内部に設けてもよい。
【0063】
図5はLCVCO51内の複数の容量回路60とバイアス回路62との接続形態の一例を示す図である。
図5は、2つの容量回路60を設けるとともに、バイアス回路62内に抵抗分圧回路62aを設ける例を示している。
図4では、複数の容量回路60に対応する複数のバイアス回路62を有する例を示したが、
図5では、複数のバイアス回路62を一つに統合する例を示す。
図5のバイアス回路62内の抵抗分圧回路62aは、例えば、直列接続された3つの抵抗素子62b、62c、62dを有し、隣接接続された2つの抵抗素子の間から抵抗分圧されたバイアス電圧VbiasH、VbiasLを出力する。3つの抵抗素子62b、62c、62dは、ある電位とグランド電位との間に配される。
【0064】
以下では、
図5の2つの容量回路60の一方(
図5の上側)を第1容量回路60、他方(
図5の下側)を第2容量回路60と呼ぶ。第1容量回路60内の第1抵抗素子71及び第2抵抗素子72の一端にはバイアス電圧VbiasHが供給され、第2容量回路60内の第1抵抗素子71及び第2抵抗素子72の一端にはバイアス電圧VbiasLが供給される。
【0065】
バイアス回路62から出力されるバイアス電圧VbiasH、VbiasLは、製造ばらつきや温度等の環境条件等により、電圧レベルが変動するおそれがある。バイアス電圧VbiasH、VbiasLが変動すると、第1容量回路60及び第2容量回路60それぞれの第1可変容量素子67及び第2可変容量素子68の容量値が変動する。
【0066】
図6は、LCVCO51の制御電圧Vcntと、第1可変容量素子67及び第2可変容量素子68の容量値との関係を示す図である。
図6の横軸は制御電圧Vcntの電圧レベル、縦軸は第1可変容量素子67及び第2可変容量素子68の容量値である。
図6には3つの曲線w1~w3が図示されている。曲線w1はVbiasH-VbiasLの電位差が適正値の場合、曲線w2はVbiasH-VbiasLの電位差が適正値より小さい場合、曲線w3はVbiasH-VbiasLの電位差が適正値より大きい場合を示している。
図6では、制御電圧Vcntの電圧レベルVr1から電圧レベルVr2までがLCVCO51の発振周波数を制御するための使用範囲である。
【0067】
曲線w1のように、VbiasH-VbiasLの電位差が適正値の場合には、制御電圧Vcntの使用範囲内で、制御電圧Vcntの電圧レベルの変化に対して、第1可変容量素子67及び第2可変容量素子68の容量値は、一様に略一定の傾きを有する略線形に変化する。この場合、制御電圧Vcntの電圧レベルを変えても、LCVCLのゲインの大きな変動は起きない。一方、曲線w2、w3のように、VbiasH-VbiasLの電位差が適正値でない場合には、制御電圧Vcntの使用範囲内で、制御電圧Vcntの電圧レベルの変化に対して、第1可変容量素子67及び第2可変容量素子68の容量値は、傾きが略一定でない非線形に変化する。この場合、制御電圧Vcntの電圧レベルを変えると、LCVCLのゲインが大きく変動する。
【0068】
そこで、本実施形態では、制御電圧Vcntの電圧レベルが変化しても、LCVCO51のゲインの変動が起きないようにバイアス電圧を制御(すなわち、キャリブレーション)する。
【0069】
図7は本実施形態による半導体集積回路の制御回路63が行う処理動作を示すフローチャートである。制御回路63は、半導体集積回路のキャリブレーションを行う際に
図7のフローチャートの動作を開始する。
【0070】
図8はLCVCO51の制御電圧Vcntの電圧レベルと発振信号の周波数カウント数との関係を示す図である。
図8の横軸はLCVCO51の周波数制御端子TL2に入力される制御電圧Vcnt(基準電圧)の電圧レベル、縦軸は周波数カウント数である。周波数カウント数が大きいほど、周波数が高いことを意味する。
図8には、3つの曲線w4、w5、w6が図示されている。曲線w4はバイアス電圧VbiasHとVbiasLの電位差が適正値の場合、曲線w5は電位差が適正値より小さい場合、曲線w6は電位差が適正値より大きい場合を示している。
図8の電圧V1~V5は、LCVCO51における制御電圧Vcntの使用範囲内での電圧レベルである。
【0071】
以下、
図8を参照しながら、
図7のフローチャートに基づいて、LCVCO51のキャリブレーション時の動作を説明する。まず、バイアス回路62は、複数の容量回路60それぞれの容量制御端子TL1にバイアス電圧VbiasHとVbiasLの初期値を入力する(S1)。次に、基準電圧生成回路73は、LCVCO51の周波数制御端子TL2に基準電圧の初期値を入力する(S2)。
【0072】
次に、周波数カウンタ74は、LCVCO51の発振信号の発振周波数に応じた周波数カウント数を取得する(S3)。次に、制御回路63は、基準電圧の切替候補があるか否かを判定する(S4)。本実施形態では、一例として、電圧レベルがそれぞれ異なる5種類の電圧レベルの基準電圧V1~V5を、基準電圧生成回路73が順に生成する。5種類の基準電圧V1~V5は、同一の電位差ずつずれており、いずれも制御電圧Vcntの使用範囲内の電圧レベルを有する。
【0073】
S4で基準電圧の切替候補があると判定される(S4のYES)と、S3の処理を再度行って周波数カウント数が取得される。S4で基準電圧の切替候補がないと判定される(S4のNO)と、制御回路63は、以下の式(1)~(4)に基づいて、5つの周波数カウント数FCOUNT1~FCOUNT5のうち、電圧レベルが隣接する2つの基準電圧に対応する2つの周波数カウント数のカウント差FCDIFF21、FCDIFF32、FCDIFF43、FCDIFF54を算出する(S5)。
FCOUNT2-FCOUNT1=FCDIFF21 …(1)
FCOUNT3-FCOUNT2=FCDIFF32 …(2)
FCOUNT4-FCOUNT3=FCDIFF43 …(3)
FCOUNT5-FCOUNT4=FCDIFF54 …(4)
【0074】
次に、制御回路63は、4つのカウント差FCDIFF21、FCDIFF32、FCDIFF43、FCDIFF54のうち、最大カウント差と最小カウント差との差分FCDMINMAXを算出する(S6)。
【0075】
次に、制御回路63は、カウント差がFCDIFF21>FCDIFF32を満たすか否かを判定する(S7)。S7がYESの場合、バイアス回路62は、バイアス電圧VbiasHとVbiasLとの電位差がより小さくなるように、バイアス電圧VbiasH、VbiasLを制御する(S8)。S8の処理が終わると、S2以降の処理が繰り返される。
【0076】
図8に示すように、FCDIFF21>FCDIFF32になる(S7がYESとなる)のは、
図8の曲線w6の場合である。曲線w6を理想的な曲線w4に近づけるには、バイアス電圧VbiasHとVbiasLとの差分を小さくして適正値に近づければよい。
【0077】
S7がNOの場合、FCDIFF21<FCDIFF32を満たすか否かを判定する(S9)。S9がYESの場合、バイアス回路62は、バイアス電圧VbiasHとVbiasLとの電位差がより大きくなるように、バイアス電圧VbiasH、VbiasLを制御する(S10)。S10の処理が終わると、S2以降の処理が繰り返される。
【0078】
図8に示すように、FCDIFF21<FCDIFF32になる(S9がYESとなる)のは、
図8の曲線w5の場合である。曲線w5を理想的な曲線w4に近づけるには、バイアス電圧VbiasHとVbiasLとの差分を大きくして適正値に近づければよい。
【0079】
S9がNOの場合には、制御回路63は、S6で算出した差分FCDMINMAXが閾値未満か否かを判定する。差分FCDMINMAXが閾値以上(S11がNO)の場合、S2以降の処理が繰り返される。差分FCDMINMAXが閾値未満(S11がYES)の場合、制御回路63は、最後に制御されたバイアス電圧VbiasH、VbiasLを最終的なバイアス電圧に決定する(S12)。これにより、
図8の制御電圧Vcntの電圧レベルと発振信号の周波数カウント数との関係を、曲線w4に近似させることができる。
【0080】
図9は制御回路63の処理動作を機能的に表したブロック図である。制御回路63は、CPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、
図7のフローチャートの処理動作を行ってもよいし、あるいは、制御回路63は、
図9のブロック図に対応するハードウェアにより、
図7のフローチャートの処理動作を行ってもよい。
図9の制御回路63は、容量回路60として第1容量回路60及び第2容量回路60が設けられ、バイアス電圧として第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧が設けられ、基準電圧として第1~第5基準電圧が設けられる場合の構成を示している。
【0081】
図9に示すように、制御回路63は、第1カウント差検出器81と、第2カウント差検出器82と、第3カウント差検出器83と、第4カウント差検出器84と、差分検出器85と、差分最小制御回路86とを有する。
【0082】
第1カウント差検出器81は、第1容量回路60に第2基準電圧を供給した場合の周波数カウンタ74でカウントされる第2周波数カウント数と、第1容量回路60に第1基準電圧を供給した場合の周波数カウンタ74でカウントされる第1周波数カウント数と、のカウント差を検出する。
【0083】
第2カウント差検出器82は、第1容量回路60に第3基準電圧を供給した場合の周波数カウンタ74でカウントされる第3周波数カウント数と、第2周波数カウント数と、のカウント差を検出する。
【0084】
第3カウント差検出器83は、第1容量回路60に第4基準電圧を供給した場合の周波数カウンタ74でカウントされる第4周波数カウント数と、第3周波数カウント数と、のカウント差を検出する。
【0085】
第4カウント差検出器84は、第1容量回路60に第5基準電圧を供給した場合の周波数カウンタ74でカウントされる第5周波数カウント数と、第4周波数カウント数と、のカウント差を検出する。
【0086】
制御回路63は、第1カウント差検出器81で検出されたカウント差が、第2カウント差検出器82で検出されたカウント差よりも大きい場合には、第1バイアス電圧と第2バイアス電圧との電位差をより小さくし、第1カウント差検出器81で検出されたカウント差が、第2カウント差検出器82で検出されたカウント差よりも小さい場合には、第1バイアス電圧と第2バイアス電圧との電位差をより大きくする。
【0087】
差分検出器85は、第1~第4カウント差検出器81~84で検出されたカウント差の最大値及び最小値の差分を検出する。差分最小制御部86は、差分検出器85で検出された差分が閾値未満になるように最終的なバイアス電圧を制御する。
【0088】
上述したように、本実施形態によるLCVCO51は、例えば
図1のメモリシステム1内のNANDインタフェース回路15に設けられる送信回路15aに適用することができる。一般に、メモリシステム1内のホストI/F11に設けられる受信回路90内のPLL回路では、周波数帯域が広いリング型VCOを用いることが多いが、場合によっては、本実施形態によるLCVCO51を受信回路内のPLL回路に適用してもよい。
【0089】
図10は受信回路90の具体的な構成の一例を示すブロック図である。受信回路90は、ホスト機器2から送信されるデータを受信データとして受信する。受信回路90は、PLL回路91から基準信号を受信する。基準信号は、ある周波数のクロック信号である。受信回路90は、受信データに含まれるデータを抽出する処理を実行し、抽出したデータを後段の回路に出力する。受信回路90は、イコライザ92と、CDR回路93と、CDR回路コントローラ94とを有する。イコライザ92は、受信データを波形整形し、波形整形したデータをCDR回路93に出力する。
【0090】
CDR回路93は、受信データに基づいて、受信データからデータを抽出するためのクロックを再生する。このクロックを再生クロックと称する。CDR回路93は、再生クロックをCDR回路コントローラ94に出力する。CDR回路コントローラ94は、再生クロックに基づいて、CDR回路93を制御するための各種制御信号等を生成してCDR回路93に出力する。CDR回路93は、PLL回路91からの基準信号を受ける。上述したように、PLL回路91を
図3と同様の構成にすることが可能である。
【0091】
このように、本実施形態では、LCVCO51の制御電圧Vcntの電圧レベルを変化させたときに、LCVCO51のゲインが変動しないように、LCVCO51に与えるバイアス電圧を制御する。より具体的には、LCVCO51のキャリブレーション時に、LCVCO51のPLL制御を停止させて、PLL回路47内のループフィルタ55から出力された制御電圧VcntをLCVCO51の周波数制御端子TL2に入力する代わりに、電圧レベルがそれぞれ異なる複数の基準電圧を順に周波数制御端子TL2に入力し、発振信号の発振周波数に応じた周波数カウント数のカウント差を比較する。隣接する2つの基準電圧に対応する2つの周波数カウント数のカウント差の差分同士を比較して、基準電圧の電圧レベルの変化に対して、周波数カウント数がほぼ線形に変化するようにバイアス電圧を制御する。これにより、制御電圧Vcntの電圧レベルを変化さえても、LCVCO51のゲイン変動を抑制できる。
【0092】
本実施形態は、下記のようにまとめることができる。
[付記1]
発振信号を相補出力する第1出力ノード及び第2出力ノードと、
前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードの間に接続される容量回路と、
前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードの間に接続されるインダクタと、
前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードの間に並列かつ互いに逆向きに接続される第1インバータ及び第2インバータと、
前記容量回路に、バイアス電圧を供給するバイアス回路と、
前記バイアス回路を制御するとともに、前記発振信号の発振周波数を制御するための基準電圧を前記容量回路に供給する制御回路と、を備え、
前記容量回路は、前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードの間に直列に接続される第1可変容量素子及び第2可変容量素子を有し、
前記制御回路は、前記第1可変容量素子及び前記第2可変容量素子の接続ノードに供給される前記基準電圧の電圧レベルを複数通りに変化させたときの前記発振信号の発振周波数の変化に基づいて、前記バイアス電圧を制御する、半導体集積回路。
[付記2]
前記制御回路は、前記第1可変容量素子及び前記第2可変容量素子の接続ノードに供給される前記基準電圧の電圧レベルを複数通りに変化させることに応じて、前記発振信号の発振周波数がより線形に変化するように、前記バイアス電圧を制御する、付記1に記載の半導体集積回路。
[付記3]
前記容量回路は、
前記第1出力ノードと前記第1可変容量素子の間に接続される第1容量素子と、
前記第2出力ノードと前記第2可変容量素子の間に接続される第2容量素子と、を有し、
前記バイアス回路は、前記第1容量素子及び前記第1可変容量素子の接続ノードと、前記第2容量素子及び前記第2可変容量素子の接続ノードとに、同一電圧レベルの前記バイアス電圧を供給する、付記1又は2に記載の半導体集積回路。
[付記4]
前記容量回路は、
前記第1容量素子及び前記第1可変容量素子の接続ノードと、前記バイアス回路の出力ノードとの間に接続される第1抵抗素子と、
前記第2容量素子及び前記第2可変容量素子の接続ノードと、前記バイアス回路の出力ノードとの間に接続される第2抵抗素子と、を有し、
前記バイアス回路は、前記第1抵抗素子を介して、前記第1容量素子及び前記第1可変容量素子の接続ノードに前記バイアス電圧を供給し、且つ前記第2抵抗素子を介して、前記第2容量素子及び前記第2可変容量素子の接続ノードに前記バイアス電圧を供給する、付記3に記載の半導体集積回路。
[付記5]
前記発振信号の発振周波数に応じたカウント数を生成するカウンタを備え、
前記制御回路は、前記基準電圧の電圧レベルの変化に対する前記周波数カウント数の変化に基づいて、前記バイアス電圧を最適化する、付記1乃至4のいずれか一項に記載の半導体集積回路。
[付記6]
前記制御回路が切替制御する前記基準電圧は、電圧レベルの小さい順に第1基準電圧、第2基準電圧、及び第3基準電圧を含み、
前記制御回路は、
前記容量回路に前記第2基準電圧を供給した場合の前記周波数カウンタでカウントされる第2周波数カウント数と、前記容量回路に前記第1基準電圧を供給した場合の前記周波数カウンタでカウントされる第1周波数カウント数と、のカウント差を検出する第1カウント差検出器と、
前記容量回路に前記第3基準電圧を供給した場合の前記周波数カウンタでカウントされる第3周波数カウント数と、前記第2周波数カウント数と、のカウント差を検出する第2カウント差検出器と、
前記バイアス回路は、前記第1カウント差検出器で検出されたカウント差と、前記第2カウント差検出器で検出されたカウント差とに基づいて、前記バイアス電圧を制御する、付記5に記載の半導体集積回路。
[付記7]
前記複数の容量回路には、第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧が供給され、
前記制御回路は、前記第1カウント差検出器で検出されたカウント差が、前記第2カウント差検出器で検出されたカウント差よりも大きい場合には、前記第1バイアス電圧と前記第2バイアス電圧との電位差をより小さくし、前記第1カウント差検出器で検出されたカウント差が、前記第2カウント差検出器で検出されたカウント差よりも小さい場合には、前記第1バイアス電圧と前記第2バイアス電圧との電位差をより大きくする、付記6に記載の半導体集積回路。
[付記8]
前記複数の容量回路は、第1バイアス電圧が供給される第1容量回路と、第2バイアス電圧が供給される第2容量回路とを有し、
前記制御回路が切替制御する前記基準電圧は、電圧レベルの小さい順に前記第1基準電圧、前記第2基準電圧、前記第3基準電圧、第4基準電圧、及び第5基準電圧を含み、
前記制御回路は、
前記第1容量回路に前記第4基準電圧を供給した場合の前記周波数カウンタでカウントされる第4周波数カウント数と、前記第3周波数カウント数と、のカウント差を検出する第3カウント差検出器と、
前記第1容量回路に前記第5基準電圧を供給した場合の前記周波数カウンタでカウントされる第5周波数カウント数と、前記第4周波数カウント数と、のカウント差を検出する第4カウント差検出器と、
前記第1、第2、第3、及び第4カウント差検出器で検出されたカウント差の最大値及び最小値の差分を検出する差分検出器と、
前記差分が最小になるように前記バイアス電圧を制御する差分最小制御部と、を有する、付記6又は7に記載の半導体集積回路。
[付記9]
前記第1出力ノードに接続される第1バッファと、
前記第2出力ノードに接続される第2バッファと、を備え、
前記周波数カウンタには、前記第1バッファ又は前記第2バッファから出力される前記発振信号が入力される、付記5乃至8のいずれか一項に記載の半導体集積回路。
[付記10]
前記第1インバータの電源端子と前記第2インバータの電源端子とに接続される電流源を備える、付記1乃至9のいずれか一項に記載の半導体集積回路。
[付記11]
付記1乃至10のいずれか一項に記載の半導体集積回路を備え、前記半導体集積回路から出力された前記発振信号をPLL(Phase Locked Loop)制御するPLL回路と、
前記PLL制御された前記発振信号をバッファして出力するバッファと、
を備え、
前記容量回路は、前記基準電圧が供給される制御端子を有し、
前記制御回路は、前記PLL回路を動作させる第1モードが選択されると、前記PLL制御で生成される制御電圧を前記制御端子に供給し、前記バイアス電圧を制御する第2モードが選択されると、前記PLL回路を遮断して前記制御端子に前記基準電圧を供給する、送信回路。
[付記12]
前記PLL回路は、
前記発振信号の周波数を分周する分周器と、
基準信号と、前記分周器で分周された信号との位相差信号を生成する位相比較器と、
前記位相差信号に応じた電圧信号を生成するチャージポンプと、
前記電圧信号に含まれる不要周波数成分を除去するループフィルタと、を有し、
前記第1モードが選択されると、前記ループフィルタの出力信号が前記制御端子に供給され、
前記第2モードが選択されると、前記ループフィルタの出力はハイインピーダンスになる、付記11に記載の送信回路。
[付記13]
発振信号を相補出力する第1出力ノード及び第2出力ノードと、
前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードの間に共に並列接続される容量回路及びインダクタと、
前記容量回路にバイアス電圧を供給するバイアス回路と、
を備える電圧制御型発振器のキャリブレーション方法であって、
前記容量回路は、前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードの間に直列に接続される第1可変容量素子及び第2可変容量素子を有し、
前記発振信号の発振周波数は基準電圧に応じて制御され、
前記キャリブレーション方法は、
前記第1可変容量素子及び前記第2可変容量素子の接続ノードに供給される前記基準電圧の電圧レベルを複数通りに変化させ、
前記基準電圧の電圧レベルを複数通りに変化させたときの前記発振信号の発振周波数の変化に基づいて、前記バイアス電圧を制御する、キャリブレーション方法。
【0093】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 メモリシステム、2 NANDメモリ、2 ホスト機器、3 コントローラ、4 NANDバス、5 ホストバス、6 ホスト機器、11 ホストインタフェース回路、12 内蔵メモリ(RAM)、13 プロセッサ(CPU)、14 バッファメモリ、15 NANDインタフェース回路、15a 送信回路、16 ECC回路、16a 符号化器、16b 復号器、20 コントローラインタフェース回路(コントローラI/F)、21 メモリセルアレイ、22 ロウデコーダ、23 ドライバ回路、24 カラム制御回路、25 レジスタ群、26 シーケンサ、31 基準信号レシーバ、32 分配器、33 DQマルチプレクサ、34 DQSマルチプレクサ、35 DQ送信バッファ、36 DQS送信バッファ、41 DQレシーバ、42 DQSレシーバ、43 ローパスフィルタ、44 比較器、46 サンプラ、47 PLL回路、48 出力バッファ、49a バッファ、49b バッファ、50 出力バッファ、50a 出力バッファ、50b 出力バッファ、51 LCVCO、52 分周器、53 位相比較器、54 チャージポンプ、55 ループフィルタ、60 容量回路、61 発振回路、62 バイアス回路、62a 抵抗分圧回路、62b 抵抗素子、62c 抵抗素子、62d 抵抗素子、63 制御回路、64 インダクタ、65 第1インバータ、66 第2インバータ、67 第1可変容量素子、68 第2可変調整素子、68 第2可変容量素子、69 第1容量素子、70 第2容量素子、71 第1抵抗素子、72 第2抵抗素子、73 基準電圧生成回路、74 周波数カウンタ、75 電流源、81 第1カウント差検出器、82 第2カウント差検出器、83 第3カウント差検出器、84 第4カウント差検出器、85 差分検出器、86 差分最小制御部、90 受信回路、91 PLL回路、92 イコライザ、93 CDR回路、94 CDR回路コントローラ