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特開2023-14008牛のオークションシステムおよび牛のオークションシステムの入札・落札処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014008
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】牛のオークションシステムおよび牛のオークションシステムの入札・落札処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/08 20120101AFI20230119BHJP
   G06Q 50/02 20120101ALI20230119BHJP
【FI】
G06Q30/08
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109981
(22)【出願日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2021116325
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】503250218
【氏名又は名称】株式会社一冨士本店
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】工藤 政宣
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB73
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】上場された牛の中から意図する牛および牛から解体される枝肉をリモートの電子取引で確実に落札する。
【解決手段】サーバ装置と、複数の競り人が操作する複数のデータ処理装置とが通信可能な肉のオークションシステムにおいて、競り人のデータ処理装置上で起動する競りアプリが取引される生牛、枝肉の肉質を競り人が鑑別できるように競り画面を表示制御することで、競り人がオークション開始前に競り落とす生牛、枝肉の候補を絞り込んでおき、競り人の目利を反映して絞り込んだ生牛、枝肉の入札に集中できるオークションを開催可能な環境を構築する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生牛または該生牛がと場で解体もしくは加工された肉類を含む牛の電子取引するためのサーバ装置と、前記サーバ装置が提供する生牛およびと場された牛から解体される枝肉のオークションに参加するために複数の競り人が操作する複数のデータ処理装置と、が通信可能な肉のオークションシステムであって、
前記サーバ装置は、
各データ処理装置から入札者登録の要求を受け付ける受付手段と、
前記受け付けた入札者登録の要求の可否を登録基準に基づいて決定する決定手段と、
登録された入札者を識別する識別情報を発行する発行手段と、
前記牛を評価するための評価情報を登録する登録手段と、
各データ処理装置からの取得要求に基づいて取引される前記牛の上場情報を含む取引情報の一覧を返信する返信手段と、
登録された複数または単数の競り人からの入札要求を受け付ける毎に、前記所定の競り画面に表示される牛の取引情報の表示態様を更新させる表示制御手段と、
前記表示態様が所定時間経過しても変化しない場合、前記所定の競り画面に対して、最終的に前記牛を所望の引落額で入札した入札者を落札者に確定する確定手段と、
確定された落札者に落札通知を行う通知手段と、を備え、
各データ処理装置は、
前記サーバ装置から発行される識別情報を受領する受領手段と、
前記サーバ装置が提供する前記所定の競り画面に前記識別情報を用いてログインするログイン手段と、
前記所定の競り画面に表示される競り中の牛に対する引落額をリアルタイムでアップロードする入札手段と、
前記サーバ装置から落札通知を受信する受信手段と、
前記サーバ装置から取得する前記取引情報の一覧から前記上場情報を取り出して前記生牛、または該生牛から解体される肉類の画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする牛のオークションシステム。
【請求項2】
前記所定の競り画面は、各市場で評価された肉質の等級と、前記鑑別情報に基づく前記生牛から解体される枝肉を含む肉類の断面画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の牛のオークションシステム。
【請求項3】
前記所定の競り画面は、基準となる肉質の等級を数値化して表示することを特徴とする請求項1に記載の牛のオークションシステム。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記サーバ装置から取得する取引情報の一覧から前記鑑別情報を取り出して各枝肉に対応づけられた断面画像を表示手段に拡大表示することを特徴とする請求項1に記載の牛のオークションシステム。
【請求項5】
各データ処理装置は、
あらかじめ登録された等級別の基準画像と取得した前記断面画像とを対比して等級を評価する評価手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の牛のオークションシステム。
【請求項6】
前記生牛は、生後8か月を超える生牛であることを特徴とする請求項1に記載の牛のオークションシステム。
【請求項7】
前記肉類は、と場で解体される生牛から製品される枝肉および前記生牛の内臓を含むことを特徴とする請求項1に記載の牛のオークションシステム。
【請求項8】
前記サーバ装置は、
競り人が落札された競り値に手数料を加算した支払いを電子決済する複数の決済手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の牛のオークションシステム。
【請求項9】
前記手数料は、市場運営の負担手数料、食肉加工業者の管理負担手数料、食肉加工後の運送管理負担手数料、食肉加工後の出荷管理負担手数料、前記肉のオークションのシステム運営に伴う負担手数料を含むことを特徴とする請求項8に記載の牛のオークションシステム。
【請求項10】
前記各市場は、枝肉のオークションに参加する食肉市場であって、複数の法人、複数の共同組合、複数の共同組合連合、複数の農協共同組合、食肉センターが主催する市場であることを特徴とする請求項8に記載の牛のオークションシステム。
【請求項11】
生牛またはと場で解体もしくは加工された牛の枝肉を電子取引するためのサーバ装置と、前記サーバ装置が提供する生牛およびと場された牛から解体される枝肉オークションに参加するために複数の競り人が操作する複数のデータ処理装置と、が通信可能な牛のオークションシステムの入札・落札処理方法であって、
前記サーバ装置で、
各データ処理装置から入札者登録の要求を受け付ける受付ステップと、
前記受け付けた入札者登録の要求の可否を登録基準に基づいて決定する決定ステップと、
登録された入札者を識別する識別情報を発行する発行ステップと、
前記枝肉を評価するための評価情報を登録する登録ステップと、
各データ処理装置からの取得要求に基づいて取引される各枝肉の鑑別情報を含む取引情報の一覧を返信する返信ステップと、
登録された複数または単数の競り人からの入札要求を受け付ける毎に、前記所定の競り画面に表示される枝肉の取引情報の表示態様を更新させる表示制御ステップと、
前記表示態様が所定時間経過しても変化しない場合、前記所定の競り画面に対して、最終的に枝肉を所望の引落額で入札した入札者を落札者に確定する確定ステップと、
確定された落札者に落札通知を行う通知ステップと、を備え、
各データ処理装置は、
前記サーバ装置から発行される識別情報を受領する受領ステップと、
前記サーバ装置が提供する前記所定の競り画面に前記識別情報を用いてログインするログインステップと、
前記所定の競り画面に表示される競り中の前記牛に対する引落額をリアルタイムでアップロードする入札ステップと、
前記サーバ装置から落札通知を受信する受信ステップと、
前記サーバ装置から返信される取引情報の一覧から前記鑑別情報を取り出して各枝肉に対応づけられた断面画像を表示手段に表示させる表示制御ステップと、
を備えることを特徴とする牛のオークションシステムの入札・落札処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各地域の中央食肉卸売市場で執り行われている枝肉の競りを統合した電子取引画面を利用して誰でも自由に参加できる牛のオークションシステムおよび牛のオークションシステムの入札・落札処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、中古車を電子取引可能なオークションシステムを利用して、競りに登録された中古車を誰でも競り落とすことができる環境が整備されている。
一方、枝肉業界については、電子取引可能なオークションシステムが構築されていないのが現状である。
【0003】
具体的には、国内で販売される牛肉、豚肉は、まず、牧場や養豚場で育てられ、所定の期間が経過すると、牛や豚は、「と場」と呼ばれる解体場で、食肉解体(と畜解体)され、食肉市場で一体、半身、部位毎に競りにかけられ、仲買人などを通してお肉屋さんやスーパーの店頭に並ぶというのが一般的な枝肉商取引の流れである。
一方、子牛の取引を電子化したネットオークション管理システムが既に公開されている(下記特許文献1)。
ここで、特許文献1には、生きた牛(仔牛以外)、生きた母牛、去勢された生きた牛を対象としたオークション取引が開示されています。
【0004】
この文献には、我が国における畜産取引が、都道府県知事の行う登録を受けた者が家畜市場を開設・運営し、競り又は入札の方法による売買を基本としていること、並びに市場は一定のエリア毎に開設され、全国で約100カ所の市場が定期的に開催されていることが記載されている。
【0005】
また、我が国における枝肉取引においては、牛の個体ごとの血統能力を重視し、個体一頭ごとの資質及び健康状態を見極めたうえで取引を行うことが通常となっており、特に黒毛和種においてこの傾向が強いことが記載されている。
【0006】
ところで、我が国における肉牛の流通は、母牛にタネ付けして妊娠させて産まれた子牛を生後4か月程度まで育てる繁殖農家、さらに生まれた赤ちゃん牛を8か月程度まで育てる育成農家、さらに、生後8か月以降30月程度肥育する肥育農家、畜場や枝肉業者、そして小売業者といったように、牛の生育段階ごとに分けられており、上記の家畜市場は、主に、繁殖農家と肥育農家との間で取引を行う際に利用される。
ところで、近年の通信技術の発達に伴い、様々な物品やサービスがインターネット上の仮想店舗を通じて購入可能になってきており、売買の形態も、業者と消費者の間だけでなく、業者が提供するシステムを通じて消費者同士における直接的な取引も行われるようになってきている。このような取引の形態は、実際の店舗や取引が行われる場所に赴く必要がないため、店舗や市場までの商品の移動コストを削減することにつながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-192239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、牧場や養豚場で育てられ、と場で解体された枝肉そのものを電子取引システム上で管理した状態で電子取引する環境が整備されていなかった。
【0009】
このため、枝肉取引業者は、開催される枝肉市場にその都度、冷蔵運搬車を手配して業者の本拠地から長時間かけて全国の各枝肉取引市場まで出向き、競りに掛けられる枝肉を見極めて入札する手間を必要としていた。
このため、競りに出向いた業者にとって見込みのない枝肉しか上場されていない場合、空の冷蔵運搬車で本拠地まで帰還しなければならず、その人件費と輸送コスト(燃料代を含む)がすべて無駄な経費として処理しなければならず、複数の競り会場で競り落とす枝肉がない場合、業務者の経済的負担はさらに重くなってしまう等の問題があった。
一方で、枝肉は生の食品であり、目利のある業者であっても、その肉質の赤身や脂肪交雑(差しの入り方)の状態を視覚的に確認できなければ仕入れを決断することが困難となる場合がある。
よって、枝肉取引業者は、全国の市場を自ら移動して駆け回り、各市場でその肉質を視覚的に捉えて肉質の状態を確認することなく、買い付ける取引を行うことは困難である。
また、現在、牛肉の電子取引においては、9か月以降の枝肉(早出しの牛を含む)、及び生後8か月以降30月肥育された生体や、枝肉(骨の取り除かれたブロック肉)や、と場された生体から抽出される肉類(内情各種、いわゆるホルモン)がインターネット上で電子取引、特に競り形式の取引は公開されていない。
また、現状の枝肉の競りでは、競り表なる書面を食肉卸業者へ回付して、入手経路、出荷者、産地、血統、月齢、枝肉重量、規格、単価等を確認するといったアナログな処理に頼っている。
【0010】
また、現状肉の競り市場において、落札された枝肉から骨抜き加工は、通常市場を管理する食肉センターを運営する団体に占有されており、さらなる価格競争が図られておらず、寡占状態となっている。このため、枝肉を落札した取引者は、自由競争に基づく健全な価格で骨抜き加工を依頼できないという市場システム上の課題も指摘されている。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、牛を取引する全国の各競り場と競り人とを通信可能な牛のオークションシステムを構築して、市場で評価された等級だけでは判断し難い現物の肉質を表示画像で鑑別しながら、上場された牛の中から意図する牛および牛から解体される枝肉をリモートの電子取引で確実に落札できる牛のオークションシステムおよび牛のオークションの入札・落札処理方法を提供することである。
【0012】
さらに、肉のオークションに参加する業者間において、枝肉落札後の骨抜き加工料をも含めて相互に折り合う金額で競り落とすことができる牛のオークションシステムおよび牛のオークションの入札・落札処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する本発明の牛のオークションシステムは以下に示す構成を備える。
【0014】
生牛または該生牛がと場で解体もしくは加工された肉類を含む牛の電子取引するためのサーバ装置と、前記サーバ装置が提供する生牛およびと場された牛から解体される枝肉のオークションに参加するために複数の競り人が操作する複数のデータ処理装置と、が通信可能な肉のオークションシステムであって、前記サーバ装置は、各データ処理装置から入札者登録の要求を受け付ける受付手段と、前記受け付けた入札者登録の要求の可否を登録基準に基づいて決定する決定手段と、登録された入札者を識別する識別情報を発行する発行手段と、前記牛を評価するための評価情報を登録する登録手段と、各データ処理装置からの取得要求に基づいて取引される前記牛の上場情報を含む取引情報の一覧を返信する返信手段と、登録された複数または単数の競り人からの入札要求を受け付ける毎に、前記所定の競り画面に表示される牛の取引情報の表示態様を更新させる表示制御手段と、前記表示態様が所定時間経過しても変化しない場合、前記所定の競り画面に対して、最終的に前記牛を所望の引落額で入札した入札者を落札者に確定する確定手段と、確定された落札者に落札通知を行う通知手段と、を備え、各データ処理装置は、前記サーバ装置から発行される識別情報を受領する受領手段と、前記サーバ装置が提供する前記所定の競り画面に前記識別情報を用いてログインするログイン手段と、前記所定の競り画面に表示される競り中の牛に対する引落額をリアルタイムでアップロードする入札手段と、前記サーバ装置から落札通知を受信する受信手段と、前記サーバ装置から取得する前記取引情報の一覧から前記上場情報を取り出して前記生牛、または該生牛から解体される肉類の画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、牛を取引する全国の各競り場と競り人とを通信可能な牛のオークションシステムを構築して、市場で評価された等級だけでは判断し難い現物の肉質を表示画像で鑑別しながら、上場された牛の中から意図する牛および牛から解体される枝肉をリモートの電子取引で確実に落札できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】肉のオークションシステムの構成を説明するブロック図である。
図2】データ処理装置が管理する枝肉識別情報の一例を示す図である。
図3】サーバ装置が管理する識別情報のうち、等級の詳細情報の一例を示す図である。
図4】サーバ装置で確認できる競り対象部位の確認画面の一例を示す図である。
図5】サーバ装置で確認できる競り落札情報画面の一例を示す図である。
図6】サーバ装置がデータ処理装置に提供する競り画面の一例を示す図である。
図7】肉のオークションシステムの競り処理方法の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
<肉のオークションシステム構成の説明>
〔第1実施形態〕
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。本例は、と場で加工された枝肉を電子取引するためのサーバ装置1と、サーバ装置1が提供する枝肉オークションに参加するために複数の競り人が操作する複数のデータ処理装置2-1、2-2、2-3と、が通信可能な肉のオークションシステムを例とする。
ここで、と場を構成する食肉市場全般(団体)の一例を以下に示す。
食肉市場全般(団体)には、食肉荷受株式会社、食肉市場関連企業組合、〇〇食肉センター、〇〇売買参加者共同組合、○〇食肉商業協同組合、〇〇食肉事業協同組合連合会、全国農業協同組合連合会、〇〇JA、JA〇〇等を含むものとする。
なお、本実施形態において、競りとは、いわゆるオークションと同意である。ここで、枝肉の等級とは、各市場に常駐する格付員により格付け処理される。例えば切断面の格付けは、断面の胸最長筋(ロース芯)、背半棘筋及び頭棘筋をみて脂肪交雑を判定し、これらに加えて、バラ、皮下脂肪、筋間脂肪の厚さをみることで「肉質」と「歩留まり」を判定する。歩留まり基準値(所定の演算式)に基づいて算出される歩留まり等級はよい順にA、B、Cの3段階、肉質等級は同様に5,4,3,2,1に区分し、両者を組み合わせて“A5”などと表示します。また、肉質は雄雌で差異があることが分かっている。
【0019】
なお、データ処理装置2-1は、肉のオークションに参加できる売買参加者(小売業者、加工飲食業者、協働仕入れ機構、その他)が使用する端末として機能している。
【0020】
また、データ処理装置2-2は、肉のオークションに参加できる買出人(小売業者、加工業者、飲食業者、その他)が使用する端末として機能している。
【0021】
さらに、データ処理装置2-3は、肉のオークションに参加できる仲卸業者(加工業者)が使用する端末として機能している。
【0022】
なお、データ処理装置2-1を操作して肉のオークションで枝肉を落札した売買参加者は、本システムにおいて、中卸業者に対して売買参加者が設定する骨抜き加工料で骨抜き加工を依頼することできるように構成されている。これにより、中卸業者にとってさらなる収入源を確保することができる。
【0023】
このため、枝肉落札を示す画面において、枝肉の骨抜き加工料と、加工者依頼を選択できるように構成することで、新たな枝肉加工ビジネスを展開することができる。
つまり、肉のオークションに参加する業者間において、枝肉落札後の骨抜き加工料をも含めて相互に折り合う金額で競り落とすことができる。
【0024】
図1は、本実施形態を示す肉のオークションシステムの構成を説明するブロック図である。なお、本例では、生牛を解体すると場と食肉市場とが隣接したシステムとして構築する場合を説明するが、と場と食肉市場とが独立して離隔配置されるシステムであっても本発明を適用することができる。さらに、本例に示す牛のオークションには、後述するように、生きている生牛そのものオークションにも適用可能である。
なお、肉のオークションシステムでは、付随的に出品商品管理処理、オークション入札管理処理、オークション結果管理処理、顧客管理処理、コミュニケーション機能、前日の枝肉の下見機能(動画配信による)、請求・入金管理処理(落札者に対する)を組み入れてシステムを拡張することが可能である。以下、クラウド型パッケージサービスとして構築されるSETTOKOシステム(KOREIRU)について詳述する。
【0025】
図1において、サーバ装置1は、コントローラ部33を備え、表示制御手段32を介して表示装置31に表示する競り画面の表示態様をリアルタイムで制御している。
【0026】
通信部40は、ネットワーク3に接続されると場に設置されるデータ処理装置2-1の通信部25と通信可能に接続する。データ処理装置2-1は、カメラ22が撮像する加工された枝肉全体11~13の表面画像や、肉切断面を切断画像として登録部23に所定の識別番号を付して登録する。ここで、枝肉全体の画像は、目利にとって牛全体として評価する上で重要な画像指針と評価される。具体的には、後足の骨の太さ(細い方がよい)、うちももの張り具合(張っている方がよい)、腎臓脂肪(ケンネン脂)の大きさ(栄養状態の指標)、背脂肪の厚さ(一般に薄めの方がよい)、内面脂肪(脂肪がよくのっている方がよい)、肋骨の太さ(細い方がよい)、前足の骨の太さ(細い方がよい)などである。このような全体画像や部位毎の画像を上場される情報に含めることで、競り人が最終的に入札すべき肉であるか否かについての有効な判断材料を提供できる。
【0027】
なお、本実施形態では、後述する競り画面において、あらかじめ登録された等級別の断面画像チャート(例えば5段階)と、と場で撮像された肉切断面画像とは、視覚的にその色味や、サシの状態を比較可能に対向表示する。
【0028】
これにより、例えば部分肉製造マイスターとして認定される玄人の競り人は玄人なりの目利が可能となるばかりか、素人の競り人は、対比される画像の色合いや差し具合を参考にしながら直感的に競りにかけられた肉質を容易に評価できるように構成されている。つまり、単なる等級だけでは、競り人が競り落としたい要素が、等級以外の要素では一義的に決定できない場合があるからである。つまり、競り人にとって、赤身に対する脂肪の入り割合や差しの入り方などの評価が常に一義的に決定される訳ではないからである。
【0029】
入力部24は、加工された枝肉に対する詳細な等級、血統、生産者、と場日時、部位名(本実施形態では、13種類の部位が認められている)、性別等を枝肉識別情報に基づいて割付ける。なお、と場には固有の識別コードが付与され、国内ではそれぞれ1つの識別コードで管理されている。なお、カメラ22は、所定のインタフェースケーブルを介してデータ処理装置2-1に接続され、撮像した画像データ(切断された切断画像(例えば高精細4K画像データ))を登録部23に転送する。なお、肉の色沢等級は、1~7の段階で評価され、脂肪の色沢と質の等級も1~7の段階で評価される。そこで、これらの基準画像をあらかじめ登録することで、取引される枝肉の等級評価を可視化して、競り人が基準切断画像と情報された肉の断面画像とを対比表示することで、競り人の目利を反映して有意義な入札が可能となる。
【0030】
本実施形態における肉のオークションシステムは、図示しないハードディスクやSSD等の外部記憶手段に、プログラムとして機能する受付手段34、決定手段35、発行手段36、登録手段37、確定手段38、通知手段39が格納され、コントローラ部33が図示しないRAM等へロードして実行することで後述する各種のデータ処理を実現する。
【0031】
ネットワーク4は、肉のオークションシステムにログインして競りに参加する入札者が操作するデータ処理装置(いわゆるパソコン(PC))2-1,2-2,2-3の通信部57とサーバ装置1の通信部40とを接続して、表示部58に表示する競り画面(後述する図6に示す)を介して固有の枝肉競り処理(オークション処理)を実現させる。ここで、競り画面は、データ処理装置2-1,2-2,2-3にインストールされた競りアプリを起動することで競り画面が生成されて表示部58が表示される構成となっている。
なお、競り画面をサーバ装置1から画面データを取得することでコントローラ部51が表示部58に表示する構成であってもよい。これにより、データ処理装置側における画面データの更新管理負担が軽減される。
データ処理装置2-1,2-2,2-3は、略同様のハードウエア(CPU、ROM、RAM)とソフトウエア(プログラム)として以下の各種手段を備える。
コントローラ部51は、受領手段53、ログイン手段54、入札手段55、受信手段56と指摘機能するソフトウエア(競りアプリ)をRAM上にロードして後述する各種のデータ処理機能を実現する。
【0032】
このように構成された肉のオークションシステムのサーバ装置1は、データ処理装置2-1~2-3のいずれから入札者登録の要求を受け付ける受付手段34と、受け付けた入札者登録の要求の可否を登録基準に基づいて決定する決定手段35と、登録された入札者を識別する識別情報を発行する発行手段36と、枝肉を評価するための評価情報を登録する登録手段37と、登録された評価情報に基づいて競り人が参照する所定の表示装置31に表示する競り画面を生成し、登録された複数または単数の競り人からの入札要求を受け付けて、前記所定の競り画面に表示される枝肉の取引情報の表示態様を変化させる競り表示制御手段32と、該表示態様が所定時間経過しても変化しない場合、前記所定の競り画面に対して、最終的に枝肉を所望の引落額で入札した入札者を落札者に確定する確定手段38と、確定された落札者に落札通知を通知する通知手段39を備える。
【0033】
本実施形態では、競り表示制御手段32を除く、上記各34~39を1つの競りアプリ41として構成する場合を説明するが、上記各34~39の他に競りシステムに有用な機能処理を実行する手段をさらに付加する構成としてもよい。なお、以下の説明において、各34~39の機能処理を1つの競りアプリ41が統合して処理する例を説明する。
【0034】
また、肉のオークションシステムのデータ処理装置2-1~2-3は、サーバ装置1から発行された識別情報を受領する受領手段53と、サーバ装置1が提供する所定の競り画面(図6参照)に識別情報を用いてログインするログイン手段54と、所定の競り画面に表示される競り中の枝肉に対する引落額をリアルタイムでアップロードする入札手段55と、1サーバ装置から落札通知を受信する受信手段56を備える。
【0035】
ここで、上記各53~56を1つの競りアプリ59として構成する場合を説明するが、上記各53~56の他に競りシステムに有用な機能処理を実行する手段をさらに付加する構成としてもよい。なお、以下の説明において、各53~56の機能処理を1つの競りアプリ59が統合して処理する例として説明する。
【0036】
ここで、サーバ装置1は、競り人として参加可能な条件(支払い能力(銀行に所定額の預金額がある者)があるもので、過去数年にわたって取引停止などが登録されていない者からの資格取得要求を厳格に審査したうちで、競り人資格を授与する仕組みを採用して、取引に支障が発生しないように管理している。
【0037】
そこで、各データ処理装置2-1~2-3の競り人は、競り人登録要求に対して、受領手段53は、サーバ装置1から審査結果として、競りに参加する際に必要な識別情報を受領して、競りアプリ59に登録する。これにより、競りアプリ59は、サーバ装置1の競りアプリ41が相互に通信しながら、競りアプリ41は、ログイン手段54による各競り人のログイン、ログアウトおよび入札手段55による入札要求を処理する。これにより、競り人は、データ処理装置2-1~2-3の競アプリを起動して、表示部58に表示する競り画面(表示装置31に表示する競り画面と同様)を介して、競り中の牛に対する引落額をリアルタイムでアップロードして、競りに自在に参加することができる。
【0038】
図2は、図1に示したデータ処理装置が管理する枝肉識別情報の一例を示す図である。本例では、本例は、例えば京都食肉市場で公開された枝肉情報(各枝肉の鑑別情報を含む取引情報)の抜粋を示す。
【0039】
図2に示すように、各枝肉の鑑別情報を含む取引情報は、サーバ装置1から取得した後、一時的にコントローラ部51が管理する記憶装置、例えばSSD,HDD等に割り当てた一覧フォルダに記憶される。ここで、取引情報には、解体日、競り順、上場番号、品種、性別、出荷者(生産者)、農場HACCP、産地、血統背景としての父、母父、祖母の父、出生地、生年月日、月齢、生体体重が含まれる。なお、本実施形態では、後述するUI画面の操作で、競り人のデータ処理装置に接続される表示装置上で同様の内容を確認できるものとする。なお、各枝肉の鑑別情報は、サーバ装置1がと場のデータ処理装置2-2に接続されるカメラ22で撮像された枝肉の断面画像がカラー画像の圧縮画像としてコントローラ部33が管理する記憶装置に確保する断面画像フォルダに上記取引情報の番号に対応づけて登録されているものとする。また、上場される枝肉の等級(12等級)付けされる断面画像を等級比較するための基準断面画像、肉の色沢等級の基準チャート、脂肪と色沢と質の等級を示すチャートも上記記憶装置にあらかじめ登録されている。また、枝肉の断面は、第6と第7の肋骨間を胴切り(左半身)した断面画像を基準とする。
【0040】
これにより、競り人が操作するデータ処理装置2-1~2-3は、オークション開始前に、入札日に登録された枝肉の情報、特に注目すべき個体の枝肉が上場されていないことを事前認識することができるため、従来ならば、競り場でしか確認できない情報をWEB上で確認できるため、燃料費を含む移動費用を節減することができる。また、注目すべき個体の枝肉が上場されている場合には、さらに、切断された枝肉の断面画像をカラー画像として表示部58に表示して目利の吟味が可能となり、無駄な枝肉を落札する必要がなくなる。
なお、表示部58に表示される断面画像の評価は、複数の評価情報のうち、最低評価のものが採用されるため、サシが5であっても、赤身の等級が3であれば、全体評価は3となる(詳細は後述する)。このため、競り人は、事前に取得する鑑別情報の断面画像を表示部58に精細に表示することで、赤身的には低評価であってもサシ具合の高い枝肉を落札することも、あるいは、サシ的には低評価であっても赤身具合が高い枝肉を落札することも可能である。つまり、競り人は、赤身やサシの好みに適応して、具体的には切断画像を目利で評価することで、落札希望する枝肉をあらかじめ選抜しておくことも可能となる。
【0041】
図3は、図1に示したサーバ装置1が管理する識別情報のうち、等級の詳細情報の一例を示す図である。
【0042】
本実施形態において、牛肉の等級は、A5、A4、A3のように「アルファベット+数字」の形で表記する。日本食肉格付協会が農林水産省から承認を受けた牛枝肉取引規格に基づいて、等級を決定する。
【0043】
ここで、アルファベットの部分は歩留(ぶどまり)等級といい、これは「その牛からどのくらい商品となる牛肉が取れるのか」を評価したランクである。いわば生産性の評価である。AからCの3段階があり、Aが最高ランクである。
【0044】
一方、数字の部分は肉質等級といい、これは「牛肉の色沢」「牛肉の締まりときめ」「脂肪の色沢と質」「脂肪交雑(脂肪の入り具合)」の4つを総合的に評価したランクである。1~5の5段階があり、5が最高ランクである。つまり、A5とは「商品となる牛肉がたくさん取れて、脂肪の色沢と質、牛肉の色沢や締まり、きめが良く、脂肪が多く細かい」という意味である。
【0045】
次に、歩留(ぶどまり)等級について説明する。
【0046】
歩留等級は「牛からどれだけ商品となる牛肉が取れるか」を評価したものである。より具体的には、牛から頭・皮・足・内臓を取り除いた枝肉(えだにく)と呼ばれるお肉から、第6~第7肋骨間のロースやバラ面積を見て、商品となる部分肉(ぶぶんにく)がどれだけ取れるかを表している。
【0047】
日本食肉格付協会が「部分肉」として定義しているのは、次の14部位である。
詳しくは、ネック、カタ、カタロース、カタバラ、ヒレ、リブロース、サーロイン、トモ、バラ、ウチモモ、シンタマ、ランイチ、ソトモモ、スネとなる。
なお、部分肉の名称(呼称)は、地域により異なる場合があるので、その対比例を以下に示す。
カタ→ウデ、カタバラ→ブリスケ(内-三角バラ)、ともばら→外バラ+中バラ、うちもも→ウチヒラ、ソトモモ→ソトヒラ、ランイチ→ラム、シンタマ→マル等を一例として示した。
【0048】
本実施形態において、肉質等級とは名前のとおり「牛肉の質」を評価したランクを意味する。
具体的には、次の項目を評価する。
脂肪交雑、脂肪の色沢と質、牛肉の締まりときめ、牛肉の色沢はそれぞれの項目は、1~5の5段階でランク付けされる。いずれも5が最高ランクである。
ここで、気をつけなければならないのは、この4つの項目の中で最も低い項目のランクが、その牛肉の最終的な肉質等級となる点である。
【0049】
例えば、脂肪の色沢と質、牛肉の色沢や締まりときめ、すべてが「5」でも、脂肪交雑が「3」となったら、この牛肉の肉質等級は「3」となる。
【0050】
そのため、もともと脂肪が少ない褐毛和種や日本短角種などのお肉は、肉質等級が低くなる傾向にある。
ここで、脂肪交雑(しぼうこうざつ)とは、脂肪(サシ、霜降り)の入り方を意味する。
【0051】
図4は、図1に示したデータ処理装置2-1~2-3で表示可能な切断画像の確認画面の一例を示す図であり、本例では、あらかじめ登録された基準等級の切断画像と、カメラ22で撮像した切断画像とを対比して表示する例である。管理する識別情報のうち、等級の詳細情報の一例を示してある。本例は、サムネイルで切断画像を表示する場合を示すが、後述するように拡大した切断画像を表示部58に表示させることも可能である。
【0052】
これにより、熟練した競り人以外の競り参加者も、その断面画像の赤身具合と、さし入れ具体を直感的に評価判定することができる。なお、サムネイル画像をクリックすることで、高精細画面(4K/8K)画面上に拡大表示させることも可能である。なお、後述するように、サムネイル画像の数は、例えば6点とするが、システムで確保できるメモリ容量に基づいて、さらに表示できるサムネイル画像の数を拡張できるように構成してもよい。
なお、切断される前の生体全体の画像を対応づけた静止画像あるいは動画でカラー表示できるように構成すれば、競り人は、数値資料だけでは判断できない様々な情報を総合的に判断して、入札する枝肉を絞り込むことができる。
なお、枝肉の格付は、各地の食肉市場で上場、売買される枝肉は、各市場に常駐する格付員(社団法人日本食肉格付協会の職員)により格付けされる。格付員は「畜産物の価格安定等に関する法律」(畜安法)に基づいて格付けし、結果は枝肉の体表に直接刻印する。
また、切断面の格付は、断面の胸最長筋(ロース芯)、背半棘筋及び頭棘筋をみて脂肪交雑を判定し、これらに加えて、バラ、皮下脂肪、筋間脂肪の厚さを見ることで「肉質」と「歩留まり」を判定する。歩留等級はよい順にA、B、Cの3段階、肉質等級は同様に5、4、3、2、1に区分し、両者を組み合わせて“A5”などと表示する。
また、本実施形態では、競りに掛けられる枝肉の部位毎に断面画像を表示部58に表示させることで、競り人に有効、かつ適切な取引ができるように構成されている。
ここで、部位とは、かぶりA、背半棘筋B、菱形筋C、胸最長筋(ロース)D、頭半棘筋E、バラF、皮下脂肪G、広背筋Hが含まれる。
本実施形態において表示可能な断面画像とは、上記かぶりA、背半棘筋B、菱形筋C、胸最長筋(ロース)D、頭半棘筋E、バラF、皮下脂肪G、広背筋Hを詳細に確認できるレベルの解像度で登録されているものとする。なお、本実施形態では、カメラ22が静止画機能を備えるため、そのカメラ22に設定される解像度(例えば4Kレベル)で断面画像が取り込まれる。
【0053】
図5は、図1に示したサーバ装置1で確認できる競り落札情報画面の一例を示す図であり、上場番号毎に落札価格と落札者のIDが対向する態様で表示される。
なお、競り単位日当たりの競り落とし額をID毎に集計して、落札者に領収書として発行することも可能である。
【0054】
図6は、図1に示したサーバ装置1がデータ処理装置2-1,2-3に提供する競り画面の一例を示す図である。なお、競り開始時のSTART価格は、その等級で設定される標準偏差から割り出される価格とするが、競り会社の裁量で、その価格より高め、低めに設定できるものとする。
【0055】
図6に示すように、本実施形態では、競り画面として、競り日時71,START価格72,上場番号73,等級74,対比判別画像部75,競り中UP価格表示部76,落差価格確定表示部77を表示する場合を示すが、表示態様は、本例に限らず、ビジュアル要素をさらに加えたり、例えばと場前の個体画像を動画で確認したりできるように構成してもよい。なお、表示部58に表示される競り画面において表示される断面画像を競り人が入力デバイスを操作して指示すると、データベースに登録された基準断面画像と詳細に対比するための評価アプリを起動して、競り人が過去の競りで競り落とした断面画像との対照比較しその評価を画像診断できるように構成してもよい。これにより、競り人以外の補助者も競り人の目利と遜色のない競りを実行可能となる。
なお、競り日時71については、同日に複数の市場で同時間帯で並行して競りが進行する場合を想定して、例えば東京市場の競り終了時刻10:10終了、大阪市場の競り終了時刻10:20終了、京都市場の競り終了時刻10:30終了の如く、競り終了時刻をずらすように構成してもよい。
また、各市場において、取り扱う肉のランク毎、エリア毎、等級(品質)毎に競り終了時間を設定できるように構成してもよい。
例えば東北エリアA-5 B.M.S 10番11番12番 10:00終了
東北エリアA-5 B.M.S 8番9番 9:30終了
西日本エリアA-5 B.M.S8以上 9:45終了
A-4 B.M.S〇以上 10:00終了
九州エリアA-5 8以上 XX:YY終了
2回目A-5 8以上 XX:YY終了
これにより、同じエリア(運賃)でも好みが分かれる場合を想定し、指値で入札して、終了間際に他社に競り負けた場合、同等の商品を手配するために、2度目の競りを開催すれば、他のエリアでも同ランクの商品を購入できる。
また、想定した初値が高く設定された場合、2回目の場合若干安くスタートして売れた方が市場にとっては旨みが多いので、午前中に2度目の開催を行うことで、競りに上場した肉を売り切って、午後からは加工業務や配送業務に時間をさくことができる競り環境を構築できる。
また、等級74には、脂肪交雑等級(B.M.S(Beef Marbling Standard))、肉の色沢等級(B.C.S(Beef Color Standard)、脂肪の色沢と質の等級(B.F.S(Beef Fat Standard)等も含まれ、競り人が表示部58上で等級74を指示することで、これらの等級情報も視覚的に確認できるように構成してもよい。
【0056】
なお、競り中UP価格表示部76、落差価格確定表示部77の表示態様において、表示制御手段32の制御の下で、競り中UP価格表示部76は全体をグリーンの背景、かつ、価格変動を点滅の赤色数値で表示させ、落差価格確定表示部77は、全体をレッドの背景で、引落価格を黒色数値で表示させるものとする。なお、表示制御手段32が制御する競り中UP価格表示部76,落差価格確定表示部77の表示態様の変化は、データ処理装置2-1~2-3の競りアプリを介して表示部58に反映される構成としている。
【0057】
ただし、当該UI画面の構成は、一例であるから、現在UI画面上で表示されている価格が競り中UP価格であるのか、引落価格であるのかを直感的に判別できるものであれば、その態様は本例に限定されることはない。
【0058】
本例では、kg当たり¥2,500で競りが開始されてから、約3分でkg当たり¥2,850の競り値で競り落とされた場合を示す。なお、上げ幅任意とする場合を示すが、所定の区切り単価でのアップコンテストとしてもよい。
【0059】
なお、上記価格設定の他、一撃価格(即落札価格)を設定可能に構成することで、競り人が注目している枝肉のうち、ぜひとも競り落としたい枝肉については、出品者の意向に沿う設定額であれば、無駄な競り時間をかけずに引き落とすことができるように競りシステムを構成してもよい。
【0060】
例えばオークション開始価格¥2,500/kgに対して、競り人が端末を操作して即落札価格¥3,500/kgを入力することで、出品者が合意のボタンを指示することで競りを成立させるようにシステムを制御する。
【0061】
この際、即落札価格は、公開表示または非公開表示のいずれかを選択的に設定可能とし、競り人から即落札価格について非公開表示が選択されている場合は、出品者のみが即落札価格(競り人が入力した価格)を確認できるように制御してもよい。
【0062】
これに対して、出品者から即落札価格について公開表示が選択されている場合は、競り画面上で参加するすべての競り人が即落札価格(競り人が入力した価格)を確認できるように制御してもよい。
【0063】
〔競りシステムの競り処理方法〕
図7は、本実施形態を示す肉のオークションシステムの競り処理方法の手順を説明するフローチャートである。なお、S200~S214は各ステップを示し、各ステップは、サーバ装置1のコントローラ部33が記憶されたソフトウエア(競りアプリ41を含む)を図示しないRAM等に読み込んで実行することで実現される。また、S300~S305はデータ処理装置2-1~2-3のコントローラ部51が記憶されたソフトウエア(後述する競りアプリ59)を図示しないRAM等に読み込んで実行することで実現される。
【0064】
次に、サーバ装置1は、データ処理装置2-1から上場予定された枝肉の取引情報を受信して記憶装置に登録する(ステップS200、S201)。競りが開催される、例えば前々日までに、登録手段37が図示しない取引用のデータベースに対して、生産者が上場する牛に関わる各枝肉の鑑別情報を含む取引情報を記憶装置に対して順次受け付け登録しておく。ここで、取引情報とは、図3に示した解体日、競り順、上場番号等が含まれる。
【0065】
次に、競り開始に先立ち、サーバ装置1から競り人のデータ処理装置2-1に対して上場される牛の取引情報(図3参照)を配信(送信)する(S202)。競り人のデータ処理装置2-1は、ネットワーク4を介してサーバ装置1から送信された枝肉の取引情報を受信する(S300)。
【0066】
続いて、競り人のデータ処理装置2-1のコントローラ部51は、サーバ装置1から受信した枝肉の取引情報を競り人のデータ処理装置2-1の記憶装置に格納する。競り人は、競りにかけられる当日上場される牛の取引情報を検索し閲覧する(S301)。これにより、競り人は、競り人宅に据えるデータ処理装置2-1の表示部58に表示される競り画面を介して表示しS30D、上場された枝肉の取引情報をリモートで確認することができる。
【0067】
つまり、競り人は、競り開始に先立ち、競りに上場される枝肉(枝肉(と場された各部位に対応する))についてデータ処理装置2-1上の表示部58で下見を行うことができる。なお、競り開始前の状態では、データ処理装置2-1にインストールされた競り処理のための競りアプリが表示部58に表示する応札スイッチは無効となっており、データ処理装置2-1を操作する競り人は、上場された枝肉に対して応札を行うことはできない。
【0068】
競り落とすユーザ(競り参加人)は、データ処理装置2-1の表示部58に表示された検索画面(図示しない)にて、自らの希望条件を入力する。検索条件としては、例えば等級、切断された部位名、切断面画像等を入力することができるように構成されている。これらの検索条件は単独あるいは組み合わせて用いることができる。
次に、検索を実行することで、検索条件に一致あるいは近似した牛の取引情報一覧がデータ処理装置2-1に表示部58の画面に抽出表示される(図3に表示した取引情報から抽出して生成される)。
【0069】
次に、一覧表示画面において特定の上場番号を選択することで、上場された詳細な牛の特徴情報を表示することができる(図4)。図5に示すサムネイル形式の断面画像画面では、上場された枝肉の断面画像と、基準として登録された等級ごとの断面画像とを対比可能にカラー画面上に精細に表示する。なお、希望する牛の上場番号が予め分かっている場合には、上場番号を指定することにより、データ処理装置2-1に表示部58に、入札者が希望する枝肉の取引情報に対応づけられた図4に示す枝肉識別情報を表示させることもできる。
【0070】
これにより、競りに参加する競り人は、競り開始に先立ち、図3の識別情報画面、図4に示すサムネイル画面を表示部58に表示して競りに上場される牛の断面画像の下見ができ、上場された枝肉のうち、いずれの枝肉の競りに参加するか否かの判断を事前に行うことができる。このことは、従来の競りに参加するため遠方から競り会場に移動するための人件費、燃料代などが不要となり、コストを大幅に節減できる。
【0071】
また、上述のように本実施形態の競りシステムでは、順次変化する価格に対して応札するリアルタイム競りに加え、競り開始前に予め受注ユーザは、入札価格を入力できるシステムを構築することも可能である。
【0072】
データ処理装置2-1を操作する競り人は、図6に一例を示す競り画面を参照しながら競りに参加して所望の肉を落札することができる。競り落とすユーザは、データ処理装置2-1にインストールされた競りアプリが表示部58に表示する競り画面に対して、入力部52を操作して妥当と考える価格(入札価格)を入力し、この入札価格をサーバ装置1に送信してサーバ装置1の競りアプリに登録しておく。これにより、データ処理装置2-1の競り人は、競り開始後、その入札価格まで他に落札者がなければ、その入札者が上場された牛の枝肉を落札することも可能である。
【0073】
通常の競りの流れでは、競り開始時間になると、サーバ装置1から競りに参加するデータ処理装置2-1~2-3に対して、競り開始を知らせる競り開始信号が送られ、競りの開始が通知される(S203)。これにより、データ処理装置2-1~2-3の競りアプリは、応札スイッチの受付状態を有効とするように制御する。
【0074】
図6は、競り対象となる上場された牛に対する応札を行う競り画面であり、本実施形態における競り画面では、上場された牛の現在価格(競り価格)、上場される牛の取引情報等が表示される。なお、図6において、100は入札ボタンで、データ処理装置2-1~2-3の競り人が操作することで、表示中の価格で入札を支持する際に押下される。101はオークションタイマで、例えば3分を秒単位にカウントダウンし、「00:00」の際に表示されている価格が入札価格として確定する。競り人は、当該オークションタイマ101を慎重に見極めながら、希望する入札価格を所望のタイミングで入力することが可能に構成されている。
【0075】
次に、サーバ装置1にて競り対象となる牛の現在価格(競り価格)が、初期値である開始価格(例えば2,500円)に設定される(S204)。ここで、サーバ装置1の競りアプリは、データ処理装置2-1~2-3に対して、設定された開始価格を送信する(S205)。
【0076】
これにより、データ処理装置2-1~2-3の競りアプリは、表示部58に競りの対象となっている枝肉の現在価格を図6に示すUI画面を介して表示する。本実施形態の肉のオークションシステムでは、いずれかの競り人からの応札があるまで、あるいは現在価格が上限価格に到達するまで、所定時間毎(例えば5秒ごと)に現在価格が自動的に上昇し更新される。
【0077】
ここで、競りアプリ59は、データ処理装置2-1を操作する競り人が表示部58に表示された現在価格およびその他の情報(肉の切断面画像)を見て、図6に示す入札スイッチ100を押下しているか否かを判断する(S302)。この結果、競りアプリ59は、競り人により入札スイッチ100を押下したことを検出して、競り人が上場された枝肉を応札すると判断して(S303)、ネットワーク4を介してその旨(応札信号として)をサーバ装置1の競りアプリ41に通知する。
【0078】
一方、S302で、競りアプリ59は、競り人により入札スイッチ100が押下されていないことを検出した場合、S304へ進む。
【0079】
これにより、競り人は、データ処理装置2-1にインストールされた競りアプリ59を介して、入札中の競り値に応じて、入札ボタン100の押下状況に基づいて、入札応答するか入札をスルーするかで、サーバ装置1の競りアプリ41に対して入札の意志を通知する。
【0080】
これを受けて、サーバ装置1の競りアプリ41は、データ処理装置2-1の競りアプリ59からの応札信号の有無を判定し、いずれかの競り入力から入札意志があったか否かを判定する(S206)。この結果、サーバ装置1の競りアプリ41がいずれかの競り人からの入札の指示を受け取っていると判断した場合には、落札者の決定処理を行う(S207)。
【0081】
具体的には、図6に示すリアルタイムの左競り画面において、競り値が所定時間、例えば3分が変動しない場合は、サーバ装置1の競りアプリ41は、現在表示の競り値が落札価格と決定し、該競り値を入力した競り人を落札者と決定する。
【0082】
なお、本枝肉のオークションシステムにおいて、複数の競り人からの応札があった場合には、最先に応札を行った受注ユーザを落札者として決定する。すなわち、同一価格で応札したユーザが複数存在する場合には、データ処理装置2-1~2-3のうち、最先に応札スイッチ100を押したデータ処理装置の競り人が落札者となる。
【0083】
従って、サーバ装置1は、サーバ装置1に到達した複数の応札信号の中から落札者を決定するのではなく、サーバ装置1に最先に到達した応札信号を送信したデータ処理装置2-1を落札者として決定すればよい。なお、他の決定方法としては、ランダムな変数を発生する乱数機が発生する数値を割り当てる自動抽選システムで、最も数値の小さい競り人、もしくは最も数値の大きい競り人を最終の競り人としてもよい。
【0084】
サーバ装置1は、競りアプリ41が落札者を決定した場合は、落札者のデータ処理装置2-1~2-3のいずれかのデータ処理装置に上場された枝肉を落札した旨の通知を行う(S208)。
【0085】
これにより、落札者のデータ処理装置(データ処理装置2-1~2-3のいずれか1つ)の表示部58に、せり対象の枝肉の上場番号と落札価格を示すメッセージが表示される。また、落札者以外の競り人に対しては、サーバ装置1の競りアプリ41が、他の競り人が上場された枝肉を落札された旨の通知を行う。
また、サーバ装置1のコントローラ部33は、落札が決定した枝肉に関して、落札価格、落札した肉の陸送費等の取扱いデータを加えた落札関連情報を記憶装置に保存し、落札された枝肉を管理するための落札枝肉データベースを作成する。
【0086】
一方、いずれの競り人からも応札がなかった場合には、コントローラ部33は、所定時間経過後、競りアプリを介して競下げを行う(S209)。具体的には、現在価格に予め設定された下降分(例えば250円)だけ値引きし、新たな現在価格(例えば2,250円)を設定する。
【0087】
次に、コントローラ部33は、競りアプリ59を介して新たな現在価格が下限価格を下回るか否かを判定する(S210)。この結果、新たな現在価格が下限価格を下回っていないと判断した場合には、S205に戻り、コントローラ部33は、新たな現在価格を競りに参加している競り人のデータ処理装置2-1~2-3に送信する。
【0088】
一方、コントローラ部33が競りアプリ41を介して新たな現在価格が下限価格を数10%下回っていると判断した場合には、上場された肉は流札として(S211)、ステップS212へ進む。
【0089】
S212において、コントローラ部33は競りアプリを介して、上場された肉が落札されたと判断した場合、あるいは上場された肉が流札したと判断した場合には、次の競り対象とすべき肉があるか否かを判定する(S212)。
この結果、コントローラ部33は競りアプリ41を介して、上場された枝肉が残っていると判断した場合には、S204に戻って、上述した枝肉の競りを繰り返す。
【0090】
一方、コントローラ部33は競りアプリ41を介して、上場されたすべての枝肉に関して競りが終了した判断した場合には、コントローラ部33は競りアプリを介して、データ処理装置2-1~2-3に対して競り終了の旨のメッセージ41Aを送信する(S213)。
【0091】
これを受けて、データ処理装置2-1では、インストールされた競りアプリ59がサーバ装置1からの終了通知を受信しているかどうかを判断し、終了通知を受信していないと判断した場合、S302へ戻り、同様に枝肉の競り処理を繰り返し、終了通知があったと判断した場合、枝肉の競りを終了すると判断する(S304)。
【0092】
一方、サーバ装置1の競りアプリ41は、競り終了後、落札された競り人のデータ処理装置2-1~2-3のいずれかの競り人に対して、ネットワーク4を介して落札確認の通知を行う(S214)。その後、競り元は、競り落とした枝肉を冷蔵輸送する配送人へ落札した肉を引き渡し(S215)、本処理を終了する。
【0093】
一方、データ処理装置2-1~2-3は、落札した枝肉に対する落札費、配送費、手数料を指定口座に振り込み、預金残高から振込額を差し引いて残高の更新を行う決済処理を実行し(305)、本処理を終了する。
【0094】
これにより、全国に点在する競り人はそれぞれの地元の居所において、すなわち、競り会場に移動することなく、データ処理装置の表示部58に表示される競りアプリの競り画面を介して競りに参加するだけ、競り開始前に競りにかけられる上場された枝肉の詳細な取引情報を参照しながら次々と所望の枝肉を競り落としから配送に至る様々手続きを手間なく簡潔に完了することができる。
このように、第1実施形態のシステムによれば、目利の競り人が取引される枝肉の肉質を視覚的に確認しながら、等級付けされた肉質の状態を鑑別できるように構成し、かつ、競り中の取引情報の表示態様を変化させることで、参加している競り人が有用な取引情報を視認しながら意図する枝肉をリモートで競り落とす環境を構築できる。
【0095】
〔第2実施形態〕
上記第1実施形態では、枝肉の競りとして和牛の枝肉を例として説明したが、枝肉として豚肉の競りにも本システムを適用可能である。
これにより、ブランド豚を競りに参加可能な厳正な競り人が競り会場から離れていても全国市場に上場される枝肉を自在に競り落とすことが可能である。
【0096】
〔第3実施形態〕
上記実施形態では、競りアプリは表示装置31に表示する競り画面上に和牛の半身の切断面を基準となる切断面の切断画像を単純に対比可能に表示する例について説明したが、基準となる肉質の等級と、該等級の基準となる肉の色味画像と、入札中の肉の色味画像を対比可能に表示する構成としてもよい。
その際、競りアプリが表示する所定の競り画面において、基準となる肉質の等級と、該等級の基準となる肉の色味画像と、入札中の肉の色味画像と数値化して対比可能に表示する構成としてもよい。
また、競りアプリが表示する所定の競り画面において、基準となる肉質の等級と、該等級の基準となる肉のサシ状態(脂肪交雑)を示すサシ画像と、入札中の肉のサシ状態を示す差し画像を対比可能に表示する構成としてもよい。
さらに、競りアプリが表示する所定の競り画面において、基準となる肉質の等級と、該等級の基準となる肉の差し状態を示すサシ画像と、入札中の肉の差し状態を示す差し画像と数値化して対比可能に表示する構成としてもよい。
【0097】
なお、上記各実施形態において、肉のオークションシステムは、と場される牛の月齢については何ら限定されるものではなく、本実施形態を適用可能なオークションシステムには、生牛、例えば9か月以降の枝肉(早出しの牛を含む)、及び生後8か月以降30月肥育された生体や、枝肉(骨の取り除かれたブロック肉)や、と場された生体から抽出される内臓(内情各種、いわゆるホルモン)の取引も含まれる。また、数回の出産をした母牛(生後10年を超える牛)も含まれる。また、取引対象としての牛の性別は、タネ牛すべて、母牛(メス牛)すべて、経産牛、メス牛(未受胎、1回の受胎経験牛)、去勢された雄牛を含むものとする。
したがって、本発明に係る肉のオークションは、特許文献1に開示される仔牛以外のすべての牛生体、と場された枝肉、と場で発生する貴重部位である内臓の取引にも適用可能である。
具体的には、9か月以降の枝肉(早出しの牛を含む)、及び生後8か月以降30月肥育された生体や、枝肉(骨の取り除かれたブロック肉)や、と場された生体から抽出される肉類(内情各種、いわゆるホルモン)が含まれる。
【0098】
本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウエア(プログラム)をパソコン(コンピュータ)等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
【0099】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0100】
なお、牛豚などの食肉は、生体受付から出荷まで工程が細かく分かれ、管理すべく項目(生体情報、と畜情報、検査情報、計量情報、格付情報、せり情報など)が多くなるが、本実施形態によれば、生体情報、と畜情報、検査情報、計量情報、格付情報、せり情報在庫管理を蓄積して管理できる構成を備えている。
このため、肉枝のオークションシステムにおいて、子牛が生れてからと場で解体され競り落とされて買い付けた業者に引き渡される一連の情報を一元管理できるため、従来に比べて、枝肉に関する管理業務の負担を大幅に軽減することができる。
【0101】
〔第4実施形態〕
図1に示した本実施形態を示す肉のオークションシステムに対して、競りに伴う以下の業務処理を組み入れて構成してもよい。
【0102】
<精算業務処理>
本システムでは、購買者受付、落札内容変更、購買者精算など同時に表示できるので、精算業務をしながら、購買変更を行うことができるように構成している。
これにより、予納金残高は予納金残高照会画面にて確認したり、競りの落札状況を競り状況照会画面としてリアルタイムに確認したりすることができる。
【0103】
<データ管理・保管>
本システムでは、データベースに小規模サーバ向けのアプリケーションの開発と運用に最適な、SQLServerを採用しているので、大量のデータを高速に処理したりすることができる。
また、管理サーバは、複数のPCと連携してデータ登録処理を行うことができるので、業務処理効率を格段に向上できる。さらに、データバックアップとして大容量記憶装置を採用することで、競りデータを効率よくバックアップし、通信障害が発生しても柔軟なシステムを構築し、通信障害に伴うデータ消失を未然に防止できる。さらに、所定の表形式で競り情報を管理するため、特定のアプリケーションにより、精度の高い分析処理も行うことができる。
また、大容量記憶装置に蓄積されたデータを容易に加工できるため、独自のフォーマットで競りに伴う価格変動や、高価で競り落とされた牛の系図を生産者や購買者に提供することで、畜産農家に貴重な育成情報を提供して畜産業界の意識を高めることも可能である。
【0104】
<移動競りシステム>
第1実施形態では、市場に連動するシステムとする場合を説明したが、競り会場の補修や改築が発生した場合でも、移動可能な競りシステムとすることで、本競りが仮設の競り会場となるような場所に設定された場合にも柔軟な競りシステムを構築することができる。
【0105】
なお、競り画面のサイズなるべく大型が好ましいので、プロジェクタシステムを導入することで、会場で競りに参加する競り人にライブな枝肉画像や競り値を表示することも可能である。
【0106】
また、競り開催日時ばかりでなく、本システムと畜産農場とをネットワークを介して接続することで、牛舎における子牛の誕生から、と場で枝肉として加工されるまでの動画を競り人に放映するサービスも提供可能である。
【0107】
また、競り人は、携帯可能な小型の端末を利用できるため、競り落とした枝肉の配送指示を運送会社へ発注することも可能である。
【0108】
なお、本システムで実行可能なデータ設定項目は、上記実施形態に示した項目に限らず、せり前・控除、せり日設定、子牛せり名簿データ取込設定、成牛せり名簿データ取込設定、せり名簿データのメンテナンス設定、競り名簿一覧表、生産者特別控除入力設定、入場番号別控除入力設定、購買者受付業務設定、購買者受付設定、予納金一覧表、カード座席一覧表、購買者受付表出力、競り業務設定落札内容変更設定、競り開始設定、競り結果オンライン設定、競り情報オンライン設定、家畜代金精算に関するオンライン設定、競りデータ照会設定、精算業務設定、購買者精算設定、共産農協別の精算一覧表示設定、生産者別の精算一覧表示設定、購買未収金一覧表示設定、農協別の購買請求書設定、事前にアラート設定、お気に入り情報入力、出荷者、血統、畜種、ブランド、産地量、規格単価等々等を組み入れてもよい。
〔第5実施形態〕
図1に示した本実施形態を示す肉のオークションシステムに対して、競りに伴う以下の電子決済処理を組み入れて構成してもよい。以下、食肉オークションにおいて、競り落とした後の支払い方法に対する電子決済処理を詳述する。
〔複数の電子決済の選択可能性〕
第1実施形態に示した肉のオークションシステムにおいて、支払い部分に銀行引き落としによる電子決済及び競り人が所有するカード決済を選択的に決済可能とする。これにより、オークションシステムの運用実績があり金融業もしている企業にとって既存の決済と連系したシステムを構築できる。
ここで、電子決済には、クレジット会社が運営する電子決済、ECサイトが運営する運営元が発行するカートによる電子決済(例えば楽天カード(商品名))、グループ会社が運営する電子支払い(例えばPayPay(登録商標)))が含まれ、今後参入する電子決済サービス企業によるカード支払い(タッチ決済を含む)も含まれる。
〔電子決済による手数料の分配性〕
また、第1実施形態に示した肉のオークションシステムにおいては、実質的な肉取引に基づく原価について電子決済する処理について詳述したが、肉のオークションシステムに関わる市場運営・管理の負担、食肉市場の裏方運営・管理負担、食肉加工業者の運営・管理負担(脱骨加工、脱骨加工職人手間に伴う)、食肉加工後の運送に関する運営・管理負担(市場環輸送、ユーザ輸送を含む)、食肉加工後の出荷に関する運営・管理負担(生産、と殺、出荷に関わる負担)、肉のオークションシステムの運営(システムの更新、アップグレード、障害対応を含む)に伴う負担が伴う。
そこで、これらの各負担に対して、肉のオークションシステム上、所定の分配比率に基づいて手数料を徴収、あるいはその負担を競い値に上乗せするように電子決済システムに組み入れる構成としてもよい。
そして、競り人が電子決済システムによる電子決済が完了した後、登録された上記負担者に上記分配比率に従う費用を手数料として還元する処理を組み入れてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
上記各実施形態では、枝肉の競りシステムについて詳述したが、今後、競りシステムの進化に伴い、競りDX化が加速されるものと期待される。
具体的には、市場における前日の下見&入札→本競りの流れに至る電子取引全般に本システムを組み入れることでさらなる期待が高まる。
例えば前日AM中においては、1~3の処理を行う。
1:画像6点撮影処理
左側ロース面・バラ面・ウチヒラ・オーカク面内側全体・外側全体・カシの場合その部分を撮影してデジタル画像データとして蓄積する。
2:データ入力処理
基本情報=上場番号・肥育県名・出荷者・素牛産地、血統(父/母の父)・月齢・性別、枝肉重量(水引前・水引後)・規格、入札価格・一撃落札価格、備考(病畜等・注意連絡事項)を電子化したファイルとして蓄積する。
3:PM~入札開始後の通知処理
入札者へ入札情報メール送信(他社のデータ上書きに基づく送信処理)、夕方・当日8時・現在価格通知メール処理、終了間際、あおりメール処理をすべて競りDXに組み入れて電子取引をさらに活性化する。
また、競り当日においては、4,5の処理を行う。
4:10時から開始された競りにおける落札後の通知処理(落札価格、決済完了通知を含む)、
5:13時から、入札されなかった枝肉に関する情報を登録者への通知処理をすべて競りDXに組み入れ処理。
これにより、競りDXシステムにおいて以下の効果が期待できる。
【0110】
(市場におけるメリット)
競りに上場される枝肉を高値売却の可能性が向上する。また、全国の食肉卸業者が参加することで一般的なセリ価格より高く売却できる可能性がある。
さらに、商品価値の向上(オークションにかけることにより商品価値(需要と価格)の見極めが可能となる。
また、ブランド力・差別化の向上することで、格付け基準の価格から品質・血統・肥育工程を全国の購買者へ向けて発信できる。
さらに、生産者が出品する牛が無名ブランドでも全国の食肉業者へ競り情報を発信できる。
全国の食肉業者が枝肉の競りに自由に参加して、市場シェアの拡大と需要の拡大に寄与できる。
【0111】
(食肉卸業者におけるメリット)
地方の食肉卸業者は、市場に出向くためのコスト(燃料費当)を削減できるとともに、全国食肉市場の競りに自由に参加できる。
また、市場へ移動するための交通費、ホテル代、競り落とした枝肉の輸送コストも削減できる。
さらに、入札価格次第で欲しい商品を折り合いのつく価格帯で競り落とすことができる。
また、競りに上場されたブランド牛を競り落とすチャンスが平等に与えられるため、食肉卸業者のブランドイメージも高めることができる。
さらに、電子決済システムは、ますます進化の様相を示しており、本システムの決済もクレジットによる取引きに加え、仮想通貨決済も本システムに組み入れ多様な決済ニーズに対応できるように構成してもよい。
また、食肉卸業者から大量に肉材料を仕入れるホテル業者、旅館業者、給食センターが枝肉から加工される希望部位の肉を共同購入する場合に対応すべく、食肉卸業者が視認できる競り画面もしくは肉質を示す枝肉の断面画像を上記ホテル業者、旅館業者、給食センターにも映像サービスとして配信できるようにシステムを構築してもよい。
【0112】
第1実施形態に示した肉のオークションシステムに加えて、鮮魚、冷凍魚、野菜等の各市場との連携するシステムとして構築することも可能である。
これにより、複数の競り業界を一元化したオークションが1つの肉のオークションシステムで運営可能となり、競り人、運営元、出品者、関連業種の取引負担を軽減しつつ、効率的な競りシステムを活用することで食品流通市場を活発化させて市場の規模を永続的に拡大することが可能となる。
【符号の説明】
【0113】
1 サーバ装置
2-1 データ処理装置
2-2 データ処理装置
2-3 データ処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7