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  • 特開-メンテナンス要求発生システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140080
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】メンテナンス要求発生システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230927BHJP
   G08C 19/02 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
G05B23/02 T
G05B23/02 301X
G08C19/02 301
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045932
(22)【出願日】2022-03-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000146238
【氏名又は名称】株式会社マツシマメジャテック
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】重枝 季伸
(72)【発明者】
【氏名】白石 和久
(72)【発明者】
【氏名】山本 弘尚
【テーマコード(参考)】
2F073
3C223
【Fターム(参考)】
2F073AA11
2F073AA12
2F073AB01
2F073AB04
2F073AB12
2F073BB04
2F073BC01
2F073CC01
2F073CC14
2F073CC20
2F073CD28
2F073EE01
2F073FF12
2F073FG01
2F073FG02
2F073FG04
2F073GG01
2F073GG05
2F073GG09
3C223AA01
3C223EB01
3C223FF16
3C223FF45
3C223GG01
3C223HH03
(57)【要約】
【課題】プロセスフィールド機器について、アナログ信号によりメンテナンスが必要であることを認識させるメンテナンス要求発生システムを提供する。
【解決手段】メンテナンス要求発生システムは、デジタル演算部と、加算演算処理部と、D/A変換部と、アナログ出力部と、を備えている。デジタル演算部は、計測によって得られるデジタル信号に基づいて電流値を演算する。加算演算処理部は、電流値に対して、メンテナンス通知電流を所定の間隔で繰り返し加算して加算デジタル信号を生成する。D/A変換部は、デジタル信号と、加算デジタル信号とを合成させた後にアナログ信号に変換して、合成アナログ信号を生成する。アナログ出力部は、D/A変換部が生成した合成アナログ信号を出力する。合成アナログ信号が出力されることによって、計測装置にメンテナンスが必要であることを認識させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測装置のメンテナンスが必要となった際に前記メンテナンスが要求されていることを認識させるメンテナンス要求発生システムであって、
計測によって得られるデジタル信号に基づいて電流値を演算するデジタル演算部と、
前記電流値に対して、メンテナンス通知電流を所定の間隔で繰り返し加算して加算デジタル信号を生成する加算演算処理部と、
前記デジタル信号と、前記加算デジタル信号とを合成させた後にアナログ信号に変換して、合成アナログ信号を生成するD/A変換部と、
該D/A変換部が変換した後に生成された前記合成アナログ信号を出力させるアナログ出力部と、を備え、
前記合成アナログ信号が出力されることによって、前記計測装置にメンテナンスが必要であることを認識させるように構成された
ことを特徴とするメンテナンス要求発生システム。
【請求項2】
前記メンテナンス要求発生システムは、制御システムをさらに備えており、
該制御システムは、前記アナログ出力部が出力した前記合成アナログ信号の入力を受け付けるアナログ信号入力部と、
該アナログ信号入力部が入力を受け付ける前記合成アナログ信号を合成デジタル信号に変換するA/D変換・記憶部と、
該A/D変換・記憶部が変換した前記合成デジタル信号の情報を表示させる表示部と、をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンス要求発生システム。
【請求項3】
前記加算演算処理部は、前記メンテナンス通知電流としてプラスマイナスの電流値信号を前記デジタル信号に加算して前記加算デジタル信号を生成する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のメンテナンス要求発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスフィールド機器においてメンテナンスをする必要が生じた際に、アナログ信号を用いてメンテナンスが必要であることを認識させるメンテナンス要求発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レベル計や圧力計など、各種のセンサを備えている計測装置はプロセスフィールド機器と呼ばれている。プロセスフィールド機器には、機器自らの状態を分析して診断することができる、自己診断機能を備えていることが多く、その機能は、年々進歩を遂げている。
【0003】
ドイツ技術者規格協会(VDI)及びドイツ電気技術者規格協会(VDE)が定めたアクチュエータのインターフェース規格であるNAMUR規格のうち、NAMUR NE107に準拠したプロセスフィールド機器では、デジタル通信で計測装置の詳細な状況を通知することが可能となっている。
【0004】
また、プロセスフィールド機器の診断回路が、デジタル通信信号とタイミング出力とに基づいて、プロセス制御ループの動作を診断する技術が開示されている(たとえば、特許文献1)。
【0005】
しかし、デジタル通信での利用環境にない従来の計装用アナログ信号による計測では、NAMUR NE43に準拠した計測装置の故障時にアナログ信号による出力があるが、アナログ信号の出力によって計測装置が故障をする前にメンテナンスが必要であることを認識することは困難であった。
【0006】
その結果、デジタル通信の利用環境にない従来の計装用アナログ信号による計測において、計装用アナログ信号によってメンテナンスが必要であることを認識することが困難であり、メンテナンスの時期や計測装置の故障の前兆を把握することができず、事前に対応の準備ができていない場合、計測装置の故障が発生したときには突発的な対応に追われることになるため、計測装置の修理に要する時間や製造のロスをもたらしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2010-541064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、プロセスフィールド機器である計測装置においてメンテナンスをする必要が生じた際に、従来からある計装用アナログ信号を用いてメンテナンスが必要であることを認識させるメンテナンス要求発生システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、計測装置のメンテナンスが必要となった際に前記メンテナンスが要求されていることを認識させるメンテナンス要求発生システムであって、計測によって得られるデジタル信号に基づいて電流値を演算するデジタル演算部と、前記電流値に対して、メンテナンス通知電流を所定の間隔で繰り返し加算して加算デジタル信号を生成する加算演算処理部と、前記デジタル信号と、前記加算デジタル信号とを合成させた後にアナログ信号に変換して、合成アナログ信号を生成するD/A変換部と、該D/A変換部が変換した後に生成された前記合成アナログ信号を出力させるアナログ出力部と、を備え、前記合成アナログ信号が出力されることによって、前記計測装置にメンテナンスが必要であることを認識させることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記メンテナンス要求発生システムは、制御システムをさらに備えており、該制御システムは、前記アナログ出力部が出力した前記合成アナログ信号の入力を受け付けるアナログ信号入力部と、該アナログ信号入力部が入力を受け付ける前記合成アナログ信号を合成デジタル信号に変換するA/D変換・記憶部と、該A/D変換・記憶部が変換した前記合成デジタル信号の情報を表示させる表示部と、をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の構成に加えて、前記加算演算処理部は、前記メンテナンス通知電流としてプラスマイナスの電流値信号を前記デジタル信号に加算して前記加算デジタル信号を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、HART通信(アナログ信号にデジタル信号を重畳して信号を伝送する通信方式)などのデジタル通信でなく、計装用アナログ信号を用いて計測装置のメンテナンスが必要であることを認識することができるので、メンテナンスの時期や故障の前兆を早期に発見することができ、故障による計測装置の修理に要する時間や製造ロスを低減することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、計測装置のメンテナンスが必要であることを表示させることによって視覚的に認識することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、メンテナンス通知電流としてプラスマイナスの電流値信号をデジタル信号に加算して加算デジタル信号を出力させることによって、加算デジタル信号の波形の振れが大きくなり、計測装置がメンテナンスを要求しているのかどうか、より容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施の形態にかかるメンテナンス要求システム1の全体構造を示す図である。
図2】この発明の実施の形態に係るレベル計2の全体構造を示す機能ブロック図である。
図3】この発明の実施の形態に係る制御システム3の全体構造を示す機能ブロック図である。
図4】この発明の実施の形態に係る合成アナログ信号を波形のイメージとして表示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の実施の形態について、図1から図4までを用いて説明する。
【0017】
図1は、この発明の実施の形態にかかるメンテナンス要求発生システム1の全体構造を示す図である。メンテナンス要求発生システム1は、レベル計2と、制御システム3と、を備えている。なお、実施例において、メンテナンス要求発生システム1は、制御システム3を備えている構成となっているが、制御システム3を備えていなくてもよい。
【0018】
レベル計2と、制御システム3とは、アナログ信号の送受信がされるため、通信可能に接続されている。この発明の実施の形態では、レベル計2を計測装置の例として説明する。なお、図1に示すアンテナ部2aは、ホーンアンテナの形状となっているが、レベル計2が備えるアンテナの形状を問わない。また、レベル計2から放射される電波の例としてマイクロ波を用いて説明する。なお、メンテナンス要求発生システム1に用いられる計測装置としてはレベル計に限られず、また、計測装置から放射される電波としてはマイクロ波に限られない。
【0019】
レベル計2には、レベル計2の下方にアンテナ部2aを備えている。レベル計2は、後述する貯蔵設備4内にアンテナ部2aが位置するように貯蔵設備4の開口部から挿通させて、貯蔵設備4にフランジなどで固定されている。アンテナ部2aは、後述するマイクロ波制御部11の制御に従い、マイクロ波を放射し、反射したマイクロ波を受信する。
【0020】
図2を用いて、レベル計2の全体構造を説明する。図2は、この発明の実施の形態に係るレベル計2の全体構造を示す機能ブロック図の例である。レベル計2は、マイクロ波制御部11と、デジタル演算部12と、加算演算処理部13と、D/A変換部14と、アナログ出力部15と、記憶部16と、を備えている。
【0021】
マイクロ波制御部11は、レベル計2の下方に備えられているアンテナ2aから、貯蔵設備4に貯蔵されている貯蔵物5の表面に対して行われるマイクロ波の放射や、貯蔵物5の表面によって反射されたマイクロ波の受信、計測などの制御を行う。マイクロ波制御部11は、貯蔵物5の貯蔵量として、受信したマイクロ波の反射波をデジタル信号として計測する。すなわち、デジタル信号とは、マイクロ波制御部11による貯蔵物5の貯蔵量の計測結果を指す。
【0022】
デジタル演算部12は、マイクロ波制御部11が計測した信号に基づいて電流値を演算する。デジタル演算部12による演算によって得られた電流値に対して、加算演算処理部13が、後述するメンテナンス通知電流の信号を加算する処理を行う。
【0023】
加算演算処理部13は、記憶部16が記憶しているメンテナンス通知電流に関する条件に基づいて、デジタル演算部12による演算によって得られた電流値に対して、メンテナンス通知電流の信号を加算、演算し、加算デジタル信号を生成する。メンテナンス通知電流とは、記憶部16が記憶している、日にちや期間、間隔、計測装置の定期的なメンテナンスの時期や、計測装置やその部品に汚れなどが付着した時などの所定のタイミングに、デジタル演算部12によって演算された電流値に加算される電流値信号のことであり、デジタル信号に基づいて演算された電流値に対して電流値信号を加えることによって、デジタル信号の波形と比較して、波形の振れを拡大させる役割を担う。加算デジタル信号の波形の振れを拡大し、デジタル信号と、加算デジタル信号との波形を比較することによって、計測装置がメンテナンスを要求しているのかどうか、把握することができるようになる。
【0024】
メンテナンス通知電流は、加算デジタル信号の波形を上下に振れさせるようにするために、プラスマイナスの電流値信号を加算することが好ましい。また、メンテナンス通知電流の加算と解除を繰り返すことによって、デジタル信号と、加算デジタル信号とを所定の間隔(たとえば、10秒程度から数十分の間隔)で交互に繰り返し出力させることで、後述するとおり右肩下がりの波形と規則的な波形が繰り返し出力され、計測装置がメンテナンスを要求していることを容易に判断することができる。アナログ信号に変換されたこれらの信号が所定の間隔で交互に繰り返し出力される波形については、図4において説明する。
【0025】
D/A変換部14は、デジタル信号と、加算デジタル信号とを合成した後にアナログ信号に変換する。なお、以下、デジタル信号と、加算デジタル信号とを、合成した後に変換されたアナログ信号のことを、合成アナログ信号という。
【0026】
アナログ出力部15は、D/A変換部14が変換した合成アナログ信号を、制御システム3に出力する。制御システム3に出力された合成アナログ信号は、制御システム3においてデジタル信号へ変換された後に、この信号に関する情報が、制御システム3が備える表示部23に表示される。制御システム3と表示部23の詳細については、後述する。
【0027】
記憶部16は、補助通信機器6からメンテナンス通知電流の条件に関する情報が送信され、この情報を受信して記憶している。たとえば、計測装置の定期的な保守や点検のためのメンテナンス通知電流を出力する日にち、これらの日にちにメンテナンス通知電流を出力する時間や間隔、計測装置に異常が生じた際にメンテナンス通知電流を出力するタイミング、メンテナンス通知電流の信号の出力幅、計測機器の最適化を含むパラメータに関する設定などの情報を記憶している。加算演算処理部13は、記憶部16が記憶しているメンテナンス通知電流に関する条件に従って、デジタル演算部12が演算することによって得られた電流値に対して、メンテナンス通知電流の電流値信号を加算、演算し、加算デジタル信号を生成する。
【0028】
図1に示す制御システム3は、分散制御システム(DCS(distributed control system))や、SCADA(supervisory control and data acquisition)など、計測装置の監視が可能となるシステムや機器である。この発明の実施の形態として、分散制御システム(DCS)を制御システム3の例として説明する。
【0029】
図3を用いて、制御システム3の全体構造を説明する。図3は、この発明の実施の形態に係る制御システム3の全体構造を示す機能ブロック図の例である。制御システム3は、アナログ信号入力部21と、A/D変換・記憶部22と、表示部23と、を備えている。
【0030】
アナログ信号入力部21は、レベル計2が備えているアナログ出力部15が出力した合成アナログ信号の入力を受け付ける。レベル計2と、制御システム3とは、上記のとおり、相互に通信可能に接続されているため、アナログ信号入力部21は、レベル計2から送信されることにより、合成アナログ信号を受信して、入力を受け付ける。
【0031】
A/D変換・記憶部22は、アナログ信号入力部21が入力を受け付けた合成アナログ信号を、デジタル信号に変換するとともに、変換したデジタル信号を記憶する。また、A/D変換・記憶部22は、過去に変換したデジタル信号を記憶することが可能であり、記憶する期間については、任意に設定することができる。以下、A/D変換・記憶部22によって、合成アナログ信号がデジタル信号に変換されたものを合成デジタル信号という。
【0032】
表示部23は、A/D変換・記憶部22が記憶している合成デジタル信号の波形、数値、グラフなど、これらの信号に関する情報などを表示する。表示部23は、リアルタイムでこれらの信号の波形などを表示しても良いし、A/D変換・記憶部22が過去の合成デジタル信号に関する情報を記憶している場合には、過去から現在に至るまでの波形などを時系列にまとめて表示をしても良い。表示部23は、モニタやディスプレイ、プロジェクターなど、合成デジタル信号に関する波形、数値、グラフ、情報などを表示させる機能を有するものであれば、種類は問わない。
【0033】
合成アナログ信号や合成デジタル信号の波形を表示することによって、計測装置がメンテナンスを要求しているか否かを判別することができる理由について説明する。たとえば、貯蔵物5が使用され減少していく場合、合成アナログ信号(合成デジタル信号)のうちメンテナンス通知電流の信号が加算されていない状態の波形は、貯蔵物5が使用し続けられ、貯蔵物5の貯蔵量が減少し、貯蔵物5の表面が下降し続けることに伴って、右肩下がりになることが通常である。しかしながら、通常時とは異なる時に(少なくとも計測装置に何らかのメンテナンスが必要な状態のとき)、合成アナログ信号(合成デジタル信号)のうちメンテナンス通知電流の信号が加算されている状態は、規則的な波形が出力される。このような規則的な波形が出力された時は通常時とは異なるとして、メンテナンス要求発生システム1は、計測装置がメンテナンスを要求している状況と判断することができる。
【0034】
図1に示す貯蔵設備4は、タンク、サイロ、ヤードなど、工業原料や農産物、飼料などを貯蔵することができる設備である。貯蔵設備4において、主に液体、個体、粉体の状態の物質を貯蔵するが、貯蔵する物質の状態は、これらに限られない。また、貯蔵設備4の開口部は、開閉することができる。
【0035】
貯蔵物5は、貯蔵設備4で貯蔵されているものであり、原料や農産物、飼料などが該当する。上記のとおり、貯蔵物5は、貯蔵設備4に貯蔵されるものであれば、液体、個体、粉体など物質の状態を問わない。
【0036】
補助通信機器6は、レベル計2の計測を最適化するための機能を調整したり、レベル計2が備える記憶部16に、メンテナンス通知電流に関する各種の条件を記憶させる際に用いられる通信機器である。ただし、レベル計2と、制御システム3との間の常時接続とは異なり、補助通信機器6は、レベル計2との間で、レベル計2の計測を最適化したり、レベル計2が備える記憶部16にメンテナンス通知電流に関する条件を記憶させるなどの必要な場合に通信可能に接続させればよく、その他の場合には通信可能に接続をさせる必要はない。なお、補助通信機器6と、レベル計2との間の接続方法は、有線と、無線とを問わない。
【0037】
図4は、この発明の実施の形態に係る合成アナログ信号を波形のイメージとして表示している図の例である。図4は、レベル計2が備えるアナログ出力部15から出力される合成アナログ信号の波形を時系列に従って変化した様子を可視化するために表示した場合を示す。
【0038】
図4の縦軸は合成アナログ信号の出力を、図4の横軸は時間をそれぞれ示している。図4に示す(a)~(e)は、合成アナログ信号のうち、アナログ信号が出力されている状態と、加算アナログ信号が出力されている状態とがそれぞれ所定の間隔で交互に繰り返され、その間隔は、たとえば、それぞれ10秒間隔である。貯蔵設備4に貯蔵されている貯蔵物5は、たとえば、使用し続けられると、貯蔵物5の貯蔵量は減少する。この減少に伴って、時間が経過するにつれ、アナログ信号と、加算アナログ信号との出力は減少し、これらの信号が合成されている合成アナログ信号の出力も減少するため、出力された合成アナログ信号の波形は、全体的に右肩下がりとなる。なお、貯蔵設備4に貯蔵物5が投入されると、貯蔵物5の貯蔵量は増加するので、貯蔵物5の増加時の合成アナログ信号の波形は、右肩上がりになる。
【0039】
合成アナログ信号は、上記のとおり、アナログ信号と、加算アナログ信号とを合成したものである。メンテナンス通知電流の加算と解除を繰り返すことによって、アナログ信号に変換される前の状態であるデジタル信号と、加算アナログ信号に変換される前の状態である加算デジタル信号とを所定の間隔で繰り返し出力されているので、合成アナログ信号は、所定の間隔で交互に繰り返された、アナログ信号と、加算アナログ信号と、からなる。
【0040】
図4に示す(a)は、合成アナログ信号のうちD/A変換部14がデジタル信号から変換したアナログ信号の波形が表示された状況を示す。この場合、表示されたアナログ信号の波形は、右肩下がりになっている。そのため、メンテナンス要求発生システム1が、メンテナンスを要求しているのかどうか判断することは困難である。
【0041】
図4に示す(b)は、合成アナログ信号のうちD/A変換部14が加算デジタル信号から変換した加算アナログ信号の波形が表示された状況を示す。表示された加算アナログ信号の波形は、規則的に上下に振れている。このような場合には、メンテナンス要求発生システム1は、計測装置が通常時とは異なりメンテナンスが必要であることを要求している状況と判断することができる。
【0042】
図4に示す(c)は、合成アナログ信号のうちD/A変換部14がデジタル信号から変換したアナログ信号の波形が表示された状況を示す。(a)の時と同様に、表示されたアナログ信号の波形は、右肩下がりになっているため、メンテナンス要求発生システム1が、メンテナンスを要求しているのかどうか判断することは困難である。
【0043】
図4に示す(d)は、合成アナログ信号のうちD/A変換部14が加算デジタル信号から変換した加算アナログ信号の波形が表示された状況を示す。(b)の時と同様に、表示された加算アナログ信号の波形は、規則的に上下に振れている。そのため、メンテナンス要求発生システム1は、(d)においても、(b)の時と同様に、計測装置が通常時とは異なりメンテナンスが必要であることを要求している状況と判断することができる。
【0044】
図4に示す(e)は、合成アナログ信号のうちD/A変換部14がデジタル信号から変換したアナログ信号の波形が表示された状況を示す。(a)や(c)の時と同様に、表示されたアナログ信号の波形は、右肩下がりになっているため、メンテナンス要求発生システム1が、メンテナンスを要求しているのかどうか判断することは困難である。
【0045】
これらのことから、貯蔵物5が使用され減少していくときは、アナログ信号の波形が右肩下がりと規則的な上下の振れを相互に繰り返して表示されているので、計測装置がメンテナンスを要求していることを視覚的に認識することができる。
【0046】
図4においては、上記のとおり、合成アナログ信号として、3回のアナログ信号の波形と、2回の加算アナログ信号の波形とを交互に出力させ、表示させているが、これらの信号を繰り返して交互に出力させるのであれば、回数は何度であっても良い。もっとも、メンテナンス通知電流の信号の加算と解除を複数回行うことで、メンテナンス要求発生システム1がメンテナンスを要求しているのかどうか判断することがより容易になる。
【0047】
図4において、合成アナログ信号の波形を表示したが、合成デジタル信号の波形を表示した場合も、合成アナログ信号の波形と同様に、通常時とは異なるときには(少なくとも計測装置に何らかのメンテナンスが必要な状態のとき)、合成デジタル信号のうちメンテナンス通知電流が加算されたときの波形は同様の波形(規則的な上下の振れ)となるため、計測装置がメンテナンスを要求していることを把握することができる。
【0048】
具体的には、制御システム3が備えている表示部23に、貯蔵物5が使用され減少していくときは、右肩下がりと上下の振れとを相互に繰り返す合成デジタル信号の波形が表示されるため、計測装置がメンテナンスを要求していることを視覚的に認識することができる。
【0049】
この発明に係るメンテナンス要求発生システム1によって、デジタル通信での計測の利用環境にない従来の計装用アナログ信号による計測においても、デジタル信号とアナログ信号ととの変換を行うことによって、計測装置におけるメンテナンスの時期や計測装置の故障の前兆を把握することができるため、計測装置に対して計画的な措置を講ずることが可能となり、計測装置の故障による復旧に要する時間や製造ロスを軽減することができるようになる。
【0050】
上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【0051】
上記の実施例においては、計測装置がメンテナンスを要求していることを視覚的に認識できる構成となっているが、たとえば、制御システム3にスピーカーなどの拡声器を備えている場合には、警報音や、要求しているメンテナンスの内容に関する情報を発音させることによって、計測装置がメンテナンスを要求していることを聴覚的に認識できるようにしてもよい。
【0052】
メンテナンス要求発生システム1は、計測装置がメンテナンスを要求していることを認識することができる構成とすればよいので、制御システム3が備えている表示部23に限られず、他の表示手段によって計測装置がメンテナンスを要求していることを表示させてもよい。
【0053】
また、この発明の実施の形態に係るメンテナンス要求発生システム1は、制御システム3を備え、レベル計2と、制御システム3との間で信号の送受信をしているが、レベル計2と、制御システム3との間に、クラウドコンピューティングを用いてもよい。すなわち、クラウドコンピューティングを介して、レベル計2と、制御システム3との間で信号の送受信を行うような構成としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1・・・メンテナンス要求発生システム
2・・・レベル計
2a・・・アンテナ部
3・・・制御システム
4・・・貯蔵設備
5・・・貯蔵物
6・・・補助通信機器
11・・・マイクロ波制御部
12・・・デジタル演算部
13・・・加算演算処理部
14・・・D/A変換部
15・・・アナログ出力部
16・・・記憶部
21・・・アナログ信号入力部
22・・・A/D変換・記憶部
23・・・表示部
図1
図2
図3
図4