(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140098
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】光学反射型ABZ相エンコーダー
(51)【国際特許分類】
G01D 5/347 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
G01D5/347 110U
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045966
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】390009667
【氏名又は名称】セイコーNPC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】兼八 薫
【テーマコード(参考)】
2F103
【Fターム(参考)】
2F103CA03
2F103DA01
2F103DA13
2F103EB06
2F103EB12
2F103EB32
(57)【要約】
【課題】2次のTalbot結像を用いることで、1次のTalbot結像を用いる構成と比べて、各種の部品を配置する距離を大きくすることができる狭ピッチスケールを用いた光学反射型ABZ相エンコーダーを提供する。
【解決手段】光を放射する光源と、前記光を反射するスケールと、前記スケールにより反射された反射光を受光する光検出器と、を備える光学反射型ABZ相エンコーダーであって、前記光検出器は、前記光の2次のTalbot結像における2ピッチ分離長した第1位置と第2位置について、前記第1位置の受光による電流信号と前記第2位置の受光による電流信号との差分信号が閾値を超える場合に、所定の基準位置を表すZ相の位置であると判定する処理回路を備える、光学反射型ABZ相エンコーダー。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を放射する光源と、前記光を反射するスケールと、前記スケールにより反射された反射光を受光する光検出器と、を備える光学反射型ABZ相エンコーダーであって、
前記光検出器は、前記光の2次のTalbot結像における2ピッチ分離長した第1位置と第2位置について、前記第1位置の受光による電流信号と前記第2位置の受光による電流信号との差分信号が閾値を超える場合に、所定の基準位置を表すZ相の位置であると判定する処理回路を備える、
光学反射型ABZ相エンコーダー。
【請求項2】
前記差分信号は、トリプルピークを有しており、
前記閾値は、前記トリプルピークのうちの中央のピークのみが当該閾値を超える値を有する、
請求項1に記載の光学反射型ABZ相エンコーダー。
【請求項3】
前記処理回路は、前記第1位置に対して一方側に1ピッチ分離長したピークに含まれる第3位置と、前記第2位置に対して他方側に1ピッチ分離長したピークに含まれる第4位置と、について、前記第3位置の受光による電流信号と前記第4位置の受光による電流信号との差分信号に基づいて、前記閾値を生成する回路を含む、
請求項1または請求項2に記載の光学反射型ABZ相エンコーダー。
【請求項4】
前記第3位置は、2個の位置を含み、
前記第4位置は、2個の位置を含む、
請求項3に記載の光学反射型ABZ相エンコーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学反射型ABZ相エンコーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
光源とスケールと光検出器を備えた光エンコーダーが開発等されている(特許文献1参照。)。
具体例として、A相、B相、および、Z相の検出を行う光エンコーダー(光学反射型ABZ相エンコーダー)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、狭ピッチスケールを用いた光学反射型ABZ相エンコーダーにおいて、1次のTalbot結像を用いる構成が考えられるが、この構成では、各種の部品を配置する距離(例えば、光源とスケールとの距離、および、スケールと光検出器との距離)が小さく、これらの部品の設置が困難である場合があった。
【0005】
本開示は、このような事情を考慮してなされたもので、2次のTalbot結像を用いることで、1次のTalbot結像を用いる構成と比べて、各種の部品を配置する距離を大きくすることができる狭ピッチスケールを用いた光学反射型ABZ相エンコーダーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様は、光を放射する光源と、前記光を反射するスケールと、前記スケールにより反射された反射光を受光する光検出器と、を備える光学反射型ABZ相エンコーダーであって、前記光検出器は、前記光の2次のTalbot結像における2ピッチ分離長した第1位置と第2位置について、前記第1位置の受光による電流信号と前記第2位置の受光による電流信号との差分信号が閾値を超える場合に、所定の基準位置を表すZ相の位置であると判定する処理回路を備える、光学反射型ABZ相エンコーダーである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、狭ピッチスケールを用いた光学反射型ABZ相エンコーダーにおいて、2次のTalbot結像を用いることで、1次のTalbot結像を用いる構成と比べて、各種の部品を配置する距離を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る光学反射型ABZ相エンコーダーの概略的な構造の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る光学反射型ABZ相エンコーダーの概略的な構造の一例を示す図である。
【
図3】狭幅単スリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーの概略的な構造の一例を示す図である。
【
図4】狭幅単スリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーの概略的な構造の一例を示す図である。
【
図5】狭幅単スリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=1)の強度の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係るマルチスリットLEDの発光面の構成例を示す図である。
【
図7】実施形態に係るマルチスリットLEDの発光面を構成する単位発光面の構成例を示す図である。
【
図8A】実施形態に係る広幅単スリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=1)の強度の一例を示す図である。
【
図8B】実施形態に係る広幅単スリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=1)の強度の一例を示す図である。
【
図8C】実施形態に係る広幅単スリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=1)の強度の一例を示す図である。
【
図8D】実施形態に係る広幅単スリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=1)の強度の一例を示す図である。
【
図8E】実施形態に係る広幅マルチスリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=1)の強度の一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る広幅マルチスリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=1)の強度を説明するための図である。
【
図10】実施形態に係るフォトダイオードアレーの構成例を示す図である。
【
図11】実施形態に係るA相およびB相(n=1)の一例を示す図である。
【
図12】実施形態に係るA相とB相のリサージュ波形(n=1)の一例を示す図である。
【
図13】実施形態に係るZs相およびR相(n=1)の一例を示す図である。
【
図14】実施形態に係る狭幅単スリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=2)の強度の一例を示す図である。
【
図15A】実施形態に係る広幅単スリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=2)の強度の一例を示す図である。
【
図15B】実施形態に係る広幅単スリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=2)の強度の一例を示す図である。
【
図15C】実施形態に係る広幅単スリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=2)の強度の一例を示す図である。
【
図15D】実施形態に係る広幅単スリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=2)の強度の一例を示す図である。
【
図15E】実施形態に係る広幅マルチスリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=2)の強度の一例を示す図である。
【
図16】実施形態に係る広幅マルチスリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=2)の強度を説明するための図である。
【
図17】実施形態に係るA相およびB相(n=2)の一例を示す図である。
【
図18】実施形態に係るA相とB相のリサージュ波形(n=2)の一例を示す図である。
【
図19】実施形態に係るZs相とR相(n=2)の一例を示す図である。
【
図20】実施形態に係るスリット数が4であるマルチスリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=1)の強度の一例を示す図である。
【
図21】実施形態に係るフォトダイオードアレーによる受光信号を処理する第1処理回路の一例を示す図である。
【
図22】実施形態に係る第1処理回路における差分電圧およびコンパレーション電圧の一例を示す図である。
【
図23】実施形態に係るスリット数が4であるマルチスリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=2)の強度の一例を示す図である。
【
図24】第1処理回路における差分電圧およびコンパレーション電圧の一例を示す図である。
【
図25】実施形態に係るスリット数が4であるマルチスリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=2)の強度の一例を示す図である。
【
図26】実施形態に係る第1処理回路における差分電圧およびコンパレーション電圧の一例を示す図である。
【
図27】実施形態に係るスリット数が4であるマルチスリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるフォトダイオードアレー上の結像(n=2)の強度の一例を示す図である。
【
図28】実施形態に係るフォトダイオードアレーによる受光信号を処理する第2処理回路の一例を示す図である。
【
図29】実施形態に係る第2処理回路における差分電圧およびコンパレーション電圧の一例を示す図である。
【
図30】実施形態に係るフォトダイオードアレーの構成例を示す図である。
【
図31】実施形態に係るフォトダイオードアレーによる受光信号を処理する第3処理回路の一例を示す図である。
【
図32】実施形態に係るフォトダイオードアレーによる受光信号を処理する第3処理回路概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本開示の実施形態について説明する。
【0010】
[光学反射型ABZ相エンコーダー]
図1は、実施形態に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1の概略的な構造の一例を示す図である。
光学反射型ABZ相エンコーダー1は、マルチスリットLED(Light Emitting Diode)11と、反射型スケール12と、フォトダイオードアレー13と、を備える。
【0011】
ここで、マルチスリットLED11は、光源の一例である。
また、反射型スケール12は、スケールの一例である。
また、フォトダイオードアレー13は、光検出器の一例である。
【0012】
マルチスリットLED11は、発光面A1を備える。
発光面A1は、光(光線)を放射(出射)する。
なお、
図1の例では、マルチスリットLED11は、4個の発光面を備えるが、図示を簡易化するために、1個の発光面A1のみに符号を付してある。
4個の発光面は、等間隔で並んでいる。
ここで、本実施形態では、4個の発光面を備えるマルチスリットLED11を示しているが、複数の発光面の数は任意の数であってもよい。
【0013】
反射型スケール12は、反射面B1、反射面C1、および、吸収面D1を備える。
中央部は、初期位置のインデックスとして用いられるZ相のパターンとして、反射面C1が通常の反射面B1に対して5本分連続の幅になっている。
反射面B1および反射面C1は、マルチスリットLED11から照射された光を反射する。
吸収面D1は、マルチスリットLED11から照射された光を吸収する。
なお、
図1の例では、反射型スケール12は、複数個の反射面(ここでは、通常の反射面)を備えるが、図示を簡易化するために、1個の反射面B1のみに符号を付してある。
複数個の反射面(ここでは、通常の反射面)は、Z相のパターンの反射面C1の部分を除いて、等間隔で並んでいる。
【0014】
フォトダイオードアレー13は、光を受光するアレー状のフォトダイオード(複数個のフォトダイオード)を備える。
フォトダイオードアレー13には、反射型スケール12からの光(反射光)により、受光パターンが形成される。
図1には、フォトダイオードアレーのピクセルイメージE1を示してある。
【0015】
ここで、光学反射型ABZ相エンコーダー1における動作の概略を説明する。
マルチスリットLED11が光を出射し、反射型スケール12が当該光を反射し、この反射光をフォトダイオードアレー13が受光して所定の信号処理を行う。
反射型スケール12は、光学的パターンが形成されて、光源(マルチスリットLED11)に対して相対的に移動することが可能である。
反射型スケール12の光学的パターンは、反射型スケール12の移動方向に反射部(
図1の例では、反射面B1)と非反射部(
図1の例では、吸収面D1)とを交互に配列してなる周期的なインクリメンタルパターンの中に、非周期的なインデックスパターン(
図1の例では、反射面C1のパターン)を少なくとも1つ配置してなる。
フォトダイオードアレー13では、インクリメンタルパターンを検出するピクセルとインデックスパターンを検出するピクセルとを含む複数のピクセルが、反射型スケール12の移動方向に対応して一定のパターンで配列してなる。ここで、本実施形態では、フォトダイオードアレー13の各ピクセルは、各フォトダイオードにより光を受光して電気信号へ変換する単位である。
フォトダイオードアレー13では、インデックスパターンの検出信号に基づいて基準位置信号(Z相のパルス信号)を生成する。
【0016】
反射型スケール12では、各反射部の幅は、例えば、インクリメンタルパターンの非反射部と同一の幅(または、ほぼ同一の幅)として配置されている。
フォトダイオードアレー13では、複数のピクセルは、一定周期を有する明暗パターンの90度ずつ位相の異なる4個の位相部分を検出することが可能なように、4個のピクセルが周期的に配列されている。
【0017】
一構成例として、複数のピクセルのそれぞれには、第1グループ(A相)、第2グループ(-A相)、第3グループ(B相)、第4グループ(-B相)、第5グループ(Z相)、第6グループ(-Z相)のうちの該当するグループが割り当てられる。
他の構成例として、複数のピクセルのそれぞれには、第1グループ(A相)、第2グループ(-A相)、第3グループ(B相)、第4グループ(-B相)、第5グループ(Z相)、第6グループ(-Z相)、第7グループ(R相)、第8グループ(-R相)のうちの該当するグループが割り当てられる。
なお、本実施形態では、A相をAp相とも呼び、-A相をAn相とも呼び、B相をBp相とも呼び、-B相をBn相とも呼び、Z相をZp相とも呼び、-Z相をZn相とも呼ぶ。また、本実施形態では、R相をRp相とも呼び、-R相をRn相とも呼ぶ。
【0018】
図2は、実施形態に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1の概略的な構造の一例を示す図である。
図2は、
図1に示される方向W1の視点で光学反射型ABZ相エンコーダー1を見た場合の構造の一例を示す図である。
図1および
図2には、マルチスリットLED11から反射型スケール12への光線(行き)と、反射型スケール12からフォトダイオードアレー13への光線(帰り)を示してある。
【0019】
[狭幅単スリット光源(次数n=1)の説明]
図3は、狭幅単スリットLED11aを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダー1aの概略的な構造の一例を示す図である。
光学反射型ABZ相エンコーダー1aは、狭幅単スリットLED11aと、反射型スケール12aと、フォトダイオードアレー13aと、を備える。
【0020】
ここで、
図3は、
図1に示される光学反射型ABZ相エンコーダー1に関して、狭幅単スリット光源(n=1)の場合の説明をするための図である。
【0021】
狭幅単スリットLED11aは、1個の発光面A1aを備える。
反射型スケール12aは、反射面B1a(通常の反射面)、反射面C1a(Z相のパターンの反射面)、および、吸収面D1aを備える。
なお、
図3の例では、反射型スケール12aは、複数個の反射面(ここでは、通常の反射面)を備えるが、図示を簡易化するために、1個の反射面B1aのみに符号を付してある。
フォトダイオードアレー13aには、受光パターンが形成される。
図3には、フォトダイオードアレーのピクセルイメージE1aを示してある。
【0022】
図4は、狭幅単スリットLED11aを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダー1aの概略的な構造の一例を示す図である。
図4は、
図3に示される方向W1aの視点で光学反射型ABZ相エンコーダー1aを見た場合の構造の一例を示す図である。
図3および
図4には、狭幅単スリットLED11aから反射型スケール12aへの光線(行き)と、反射型スケール12aからフォトダイオードアレー13aへの光線(帰り)を示してある。
【0023】
図3および
図4を参照して、狭幅単スリットLED11aを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダー1aの動作を考察する。
狭幅単スリットLED11aから反射型スケール12aまでの距離と、反射型スケール12aからフォトダイオードアレー13aへの距離が、行きと帰りの光線の距離と各々十分に等しいと近似して考察する。
本実施形態では、これらの距離を距離zと表す。
【0024】
狭幅単スリットLED11aに関し、発光面A1aにおける破線(
図3における破線)との交点F1aからの光(理想的な点光源からの光)について考察する。
反射型スケール12aに関し、破線(
図3における破線)上の結像を考察する。
本実施形態では、反射型スケール12aにおける反射面B1aの周期(
図1に示される反射型スケール12における反射面B1の周期も同様。)をLとする。
フォトダイオードアレー13aに関し、破線(
図3における破線)上の結像を考察する。
【0025】
図5は、狭幅単スリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダー1aにおけるフォトダイオードアレー13a上の結像(n=1)の強度の一例を示す図である。
図5に示されるグラフにおいて、横軸はフォトダイオードアレー13aにおける位置(破線方向の位置)を表しており、縦軸は受光の強度を表している。
図5には、フォトダイオードアレー13a上の結像の強度の特性(強度特性1011)を示してある。
この結像は、1次(n=1)のTalbot結像と呼ばれる。
【0026】
z=2・(nL2/λ)
【0027】
この結像は、次数であるn=1のときの結像である。
Lは、反射型スケール12aの反射面B1aの周期長である。
フォトダイオードアレー13a上の結像周期は2Lである。
図5の例では、L=20μm、光の波長であるλ=0.635μmであるときの計算例であり、zは約1260μmである。
図5に示される強度特性1011では、中央部付近は、反射型スケール12aのZ相検出パターン(反射面C1aによるパターン)により突出している。
【0028】
[広幅マルチスリット光源(次数n=1)の説明]
図7は、実施形態に係るマルチスリットLED11cの発光面A1cの構成例を示す図である。
ここで、マルチスリットLED11cおよび発光面A1cは、
図1に示されるマルチスリットLED11および発光面A1の一例である。
図7の例では、1個の発光面A1cの幅が20μmである。
図7の例では、説明の便宜上、4個の発光面A1cにそれぞれ、α1、α2、α3、α4の符号を対応させている。
なお、
図7の例では、マルチスリットLED11cは、4個の発光面を備えるが、図示を簡易化するために、1個の発光面A1cのみに符号を付してある。
【0029】
図6は、実施形態に係るマルチスリットLED11cの発光面A1cを構成する単位発光面G1~G5のモデル構成例を示す図である。
本実施形態では、5個の単位発光面G1~G5から、
図7に示される1個の発光面A1c(例えば、α1の発光面)が構成されている。なお、
図7に示されるα2、α3、α4のそれぞれの発光面の構成についても同様である。
図6の例では、複数の単位発光面G1~G5が並ぶ方向において、それぞれの単位発光面G1~G5の幅は0.2μmである。
図7の例では、複数の単位発光面G1~G5が並ぶ周期は4μmである。
【0030】
ここで、
図6および
図7の例では、
図3に示される狭幅単スリットLEDを
図6のように5個集めて、
図7に示されるマルチスリットLED11cのそれぞれの発光面A1cを近似し計算・設計している。
【0031】
図8A~
図8Dは、実施形態に係る広幅単スリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダー1におけるフォトダイオードアレー13上の結像(n=1)の強度の一例を示す図である。
図8Eは、実施形態に係る広幅マルチスリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダー1におけるフォトダイオードアレー13上の結像(n=1)の強度の一例を示す図である。
図8A~
図8Eに示されるそれぞれのグラフにおいて、横軸はフォトダイオードアレー13における位置(複数の受光部が並ぶ方向の位置)を表しており、縦軸は受光の強度を表している。
【0032】
図8A~
図8Dのそれぞれには、α1、α2、α3、α4の発光面A1cのそれぞれについて、5個の単位発光面G1~G5のそれぞれによる波形(結像強度の波形)の例を(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)として示してある。(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)のそれぞれの波形は、
図5に示されるのと同様に、狭幅単スリットによる波形と同様な波形である。
【0033】
図8A~
図8Dのそれぞれには、α1、α2、α3、α4の発光面A1cのそれぞれについて、5個の単位発光面G1~G5のそれぞれによる波形(結像強度の波形)の合成結果を(all)として示してある。
つまり、
図8A~
図8Dのそれぞれにおいて、(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)の総和(合成)が(all)となっている。
【0034】
図8Eには、α1の(all)、α2の(all)、α3の(all)、α4の(all)の合成結果の波形を示してある。
【0035】
ここで、本モデルは、マルチスリットLED11cの1個のスリット状光源による結像強度を、δ関数的な極細線光源を結像位置に於いて強度合成にて近似したものである。また、マルチスリットによる結合強度についても、同様に、結像位置に於いて強度合成にて近似したものである。
つまり、α1の発光面A1cによる結像強度は(all)で表され、これは、5個の単位発光面G1~G5のそれぞれによる結像強度(a1)~(a5)の合成結果である。また、α2、α3、α4の発光面による結像強度についても同様である。
そして、α1、α2、α3、α4の発光面の全体による結像強度は、α1、α2、α3、α4のそれぞれの結像強度(all)の合成結果であり、
図8Eに示される結像強度で表される。
【0036】
なお、本計算例では、単一スリットの光源を0.2μm幅の光源であるとし、それを4μmピッチで5本並べて20μm幅の1個のスリット光源に見立てている。
また、本計算例では、これを40μmピッチで4本並べてマルチスリット光源として、次数n=1、z=1260μm、λ=0.635μmとしてある。
【0037】
<A相、B相、Z相の検出>
図9は、実施形態に係る広幅マルチスリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダー1におけるフォトダイオードアレー13上の結像(n=1)の強度を説明するための図である。
図9に示されるグラフにおいて、横軸はフォトダイオードアレー13における位置(複数の受光部が並ぶ方向の位置)を表しており、縦軸は受光の強度を表している。
図9には、フォトダイオードアレー13上の結像の強度の特性(強度特性1111)を示してある。
【0038】
強度特性1111は、
図8Eに示される波形に相当する。
図9の例では、A相およびB相の要1121と、Z相の要1131、1132を示してある。
A相およびB相の要1121に基づいて、A相およびB相が検出され得る。
Z相の要1131、1132に基づいて、Z相が検出され得る。
【0039】
ここで、強度特性1111は、フォトダイオードアレー13上の結像の強度を表す。フォトダイオードアレー13のピッチは結像波形の周期の1/4(=周期/4)に合わせられている。この結像波形は、反射型スケール12の移動に伴って、波形の山が並ぶ方向(
図9の例における左右)にシフトする。
【0040】
図10は、実施形態に係るフォトダイオードアレー13bの構成例を示す図である。
フォトダイオードアレー13bは、フォトダイオードアレー13の一例である。
フォトダイオードアレー13bの構成例は、L=20μmのときのスケール用の構成例である。
【0041】
図10の例では、フォトダイオードアレー13bは、複数の短冊状のピクセルを有しており、短冊の幅の分の積分によって、受光信号を電気信号に変換した後、所定の演算を行うことで、A相、B相、Z相、R相を計算して出力する。
なお、R相については、R相が使用されない場合には検出および計算が行われなくてもよい。
【0042】
図10の例では、受光パターンにおいて、00~59の60個の短冊状の受光部が並んでいる。
図10の例では、それぞれの番号(00~59)のピクセルにより検出対象(ターゲット)とされる相を表している。
当該検出対象(ターゲット)は、反射型スケール12が所定の位置にあると想定した場合の対象である。
なお、Du(ダミー)は使用されない。
また、同じ相が複数存在する場合には、これら複数の検出結果を合成することが行われる。この理由は、信号対雑音比(S/N比:signal-to-noise ratio)を高めるためである。
【0043】
Duは、ダミーを表している。
Apは、A相の正相を表している。Anは、A相の負相を表している。
Bpは、B相の正相を表している。Bnは、B相の負相を表している。
Zpは、Zs相(Z信号相)の正相を表している。Znは、Zs相(Z信号相)の負相を表している。
Rpは、リファレンスとして用いられるR相(Z相の比較相)の正相を表している。Rnは、R相(Z相の比較相)の負相を表している。
【0044】
図11は、実施形態に係るA相およびB相(n=1)の一例を示す図である。
図11に示されるグラフにおいて、横軸は反射型スケール12の位置(スケール位置)[μm]を表しており、縦軸は値(Value)を表している。
図11には、A相の特性1211と、B相の特性1212を示してある。
本実施形態では、A相=全Ap-全An(すべてのApの和から、すべてのAnの和を減算した結果)である。
本実施形態では、B相=全Bp-全Bn(すべてのBpの和から、すべてのBnの和を減算した結果)である。
なお、Ap、An、Bp、Bn等について、信号強度を十分に大きくするために、複数個の値を総和することが行われている。
【0045】
図12は、実施形態に係るA相とB相のリサージュ波形1221(n=1)の一例を示す図である。
図12に示されるグラフにおいて、横軸はA相を表しており、縦軸はB相を表している。
図12に示されるリサージュ波形1221は、
図11のグラフに基づいている。
リサージュ波形1221により、例えば、スケールの移動方向が把握され得る。
【0046】
図13は、実施形態に係るZs相およびR相(n=1)の一例を示す図である。
図13に示されるグラフにおいて、横軸はスケール位置[μm]を表しており、縦軸は値(Value)を表している。
図13には、Zs相の特性1231(左側の縦軸)と、R相の特性1232(右側の縦軸)を示してある。
本実施形態では、Zs相=Zp-Zn(ZpからZnを減算した結果)である。
本実施形態では、R相=全Rp-全Rn(すべてのRpの和から、すべてのRnの和を減算した結果)である。
これらにより、Z相=m×Zs相-q×R相-α(mをZs相に乗算した結果から、qをR相に乗算した結果とαを減算した結果)である。ここで、m、qは、各々、ZpおよびZnを増幅する値、RpおよびRnを増幅する値、αはオフセット値を表す。
【0047】
[狭幅単スリット光源(次数n=2)の説明]
図14は、実施形態に係る狭幅単スリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダー1におけるフォトダイオードアレー13上の結像(n=2)の強度の一例を示す図である。
図14に示されるグラフにおいて、横軸はフォトダイオードアレー13における位置(破線方向の位置)を表しており、縦軸は受光の強度を表している。
図14には、フォトダイオードアレー13上の結像の強度の特性(強度特性1311)を示してある。
この結像は、2次(n=2)のTalbot結像と呼ばれる。
【0048】
z=2・(nL2/λ)
【0049】
この結像は、n=2のときの結像である。
Lは、反射型スケール12の反射面B1の周期長である。
フォトダイオードアレー13上の結像周期は2Lである。
図14の例では、L=20μm、λ=0.635μmであるときの計算例であり、zは約2520μmである。
図14に示される強度特性1311では、中央部付近は、反射型スケール12のZ相検出パターンにより突出している。ここで、
図5に示される強度特性1011の波形では中央付近に1本の突出部が現れるが、
図14に示される強度特性1311の波形では中央付近に2本の突出部が現れる。
【0050】
[広幅マルチスリット光源(次数n=2)の説明]
ここで、広幅マルチスリット光源(n=2)の説明においても、
図6および
図7に示される構成が用いられる場合を示す。
つまり、
図7は、実施形態に係るマルチスリットLED11c(
図1に示されるマルチスリットLED11の一例)の発光面A1c(
図1に示される発光面A1の一例)の構成例を示す図である。また、
図6は、実施形態に係るマルチスリットLED11cの発光面A1cを構成する単位発光面G1~G5のモデル構成例を示す図である。
【0051】
図15A~
図15Dは、実施形態に係る広幅単スリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダー1におけるフォトダイオードアレー13上の結像(n=2)の強度の一例を示す図である。
図15Eは、実施形態に係る広幅マルチスリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダー1におけるフォトダイオードアレー13上の結像(n=2)の強度の一例を示す図である。
図15A~
図15Eに示されるそれぞれのグラフにおいて、横軸はフォトダイオードアレー13における位置(複数の受光部が並ぶ方向の位置)を表しており、縦軸は受光の強度を表している。
【0052】
図15A~
図15Dのそれぞれには、α1、α2、α3、α4の発光面A1cのそれぞれについて、5個の単位発光面G1~G5のそれぞれによる波形(結像強度の波形)の例を(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)として示してある。(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)のそれぞれの波形は、
図5に示されるのと同様に、狭幅単スリットによる波形と同様な波形である。
【0053】
図15A~
図15Dのそれぞれには、α1、α2、α3、α4の発光面A1cのそれぞれについて、5個の単位発光面G1~G5のそれぞれによる波形(結像強度の波形)の合成結果を(all)として示してある。
つまり、
図15A~
図15Dのそれぞれにおいて、(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)の総和(合成)が(all)となっている。
【0054】
図15Eには、α1の(all)、α2の(all)、α3の(all)、α4の(all)の合成結果の波形を示してある。
【0055】
ここで、本モデルは、マルチスリットLED11cの1個のスリット状光源による結像強度を、δ関数的な極細線光源を結像位置に於いて強度合成にて近似したものである。また、マルチスリットによる結合強度についても、同様に、結像位置に於いて強度合成にて近似したものである。
つまり、α1の発光面A1cによる結像強度は(all)で表され、これは、5個の単位発光面G1~G5のそれぞれによる結像強度(a1)~(a5)の合成結果である。また、α2、α3、α4の発光面による結像強度についても同様である。
そして、α1、α2、α3、α4の発光面の全体による結像強度は、α1、α2、α3、α4のそれぞれの結像強度(all)の合成結果であり、
図15Eに示される結像強度で表される。
【0056】
なお、本計算例では、単一スリットの光源を0.2μm幅の光源であるとし、それを4μmピッチで5本並べて20μmの1個のスリット光源に見立てている。
また、本計算例では、これを40μmピッチで4本並べてマルチスリット光源として、次数n=2、z=2520μm、λ=0.635μmとしてある。
図15A~
図15Eの例では、
図14の例で示されるように、
図8A~
図8Eの例と比べて、結合強度の波形の突出部の形状が異なっている。
【0057】
<A相、B相、Z相の検出>
図16は、実施形態に係る広幅マルチスリットLEDを光源とする光学反射型ABZ相エンコーダー1におけるフォトダイオードアレー13上の結像(n=2)の強度を説明するための図である。
図16に示されるグラフにおいて、横軸はフォトダイオードアレー13における位置(複数の受光部が並ぶ方向の位置)を表しており、縦軸は受光の強度を表している。
図16には、フォトダイオードアレー13上の結像の強度の特性(強度特性1411)を示してある。
【0058】
強度特性1411は、
図15Eに示される波形に相当する。
図16の例(n=2)では、
図9の例(n=1)と比べて、Z相検出パターンによる突出部の形状が異なっている。
【0059】
ここで、強度特性1411は、フォトダイオードアレー13上の結像の強度を表す。フォトダイオードアレー13のピッチは結像波形の周期の1/4(=周期/4)に合わせている。この結像波形は、反射型スケール12の移動に伴って、波形の山が並ぶ方向(
図16の例における左右)にシフトする。
【0060】
ここでは、広幅マルチスリット光源(n=2)の説明において、
図10に示される構成が用いられる場合について説明する。
ここで、
図10は、フォトダイオードアレー13の構成例を示す図である。
【0061】
図17は、実施形態に係るA相およびB相(n=2)の一例を示す図である。
図17に示されるグラフにおいて、横軸は反射型スケール12の位置(スケール位置)[μm]を表しており、縦軸は値(Value)を表している。
図17には、A相の特性1511と、B相の特性1512を示してある。
本実施形態では、A相=全Ap-全An(すべてのApの和から、すべてのAnの和を減算した結果)である。
本実施形態では、B相=全Bp-全Bn(すべてのBpの和から、すべてのBnの和を減算した結果)である。
なお、Ap、An、Bp、Bn等について、信号強度を十分に大きくするために、複数個の値を総和することが行われている。
【0062】
図18は、実施形態に係るA相とB相のリサージュ波形1521(n=2)の一例を示す図である。
図18に示されるグラフにおいて、横軸はA相を表しており、縦軸はB相を表している。
図18に示されるリサージュ波形1521は、
図17のグラフに基づいている。
リサージュ波形1521により、例えば、スケールの移動方向が把握され得る。
【0063】
図19は、実施形態に係るZs相およびR相(n=2)の一例を示す図である。
図19に示されるグラフにおいて、横軸はスケール位置[μm]を表しており、縦軸は値(Value)を表している。
図19には、Zs相の特性1531(左側の縦軸)と、R相の特性1532(右側の縦軸)を示してある。
本実施形態では、Zs相=Zp-Zn(ZpからZnを減算した結果)である。
本実施形態では、R相=全Rp-全Rn(すべてのRpの和から、すべてのRnの和を減算した結果)である。
これらにより、Z相=m×Zs相-q×R相-α(mをZs相に乗算した結果から、qをR相に乗算した結果とαを減算した結果)である。ここで、m、qは、各々、ZpおよびZnを増幅する値、RpおよびRnを増幅する値、αはオフセット値を表す。
【0064】
ここで、n=2の場合、A相およびB相の様相と、これらによるリサージュ図形の様相は、n=1の場合と同様であるが、Zsの波形(Z相の波形)は大きく変化している。
n=2の場合におけるダブルピーク(2個のパルス状のピーク)のZs波形からも理解されるように、n=2の場合には、n=1と同様な構成によって光エンコーダーのZ相のゼロ点検出を試みても、ゼロ点の位置を一意に決定することができない。
【0065】
例えば、反射型の光学エンコーダーを組む上で、n=1のz=1260μm(λ=0.635μmの場合)である構成では、LEDあるいはフォトダイオードアレーの表面から反射型スケールまでの距離が近過ぎて実装上の制約が大きい場合が考えられる。このような場合には、n=2のz=2520μm(λ=0.635μmの場合)の利用が重要になり得る。
【0066】
[Z相検出方法の説明(n=1)]
図20は、実施形態に係るスリット数が4であるマルチスリットLED11を光源とする光学反射型ABZ相エンコーダー1におけるフォトダイオードアレー13上の結像(n=1)の強度の一例を示す図である。
図20に示されるグラフにおいて、横軸はフォトダイオードアレー13における座標を表しており、縦軸はフォトダイオード電流を表している。
図20には、フォトダイオードアレー13上の結像の強度の特性(強度特性2011)を示してある。
なお、
図20の例では、説明の便宜上、強度特性2011の波形として、説明のために人工で作成した波形を示してある。
【0067】
図20の例では、スリット数が4であるマルチスリットLED11(40μmピッチ)を光源として、20μmピッチの反射型スケール12を介して結像したTalbotの1次結像を模式的に表している。
なお、本実施形態では、n=1、z=1260μmである。
図20の例では、強度特性2011において、フォトダイオードアレー上の位置H1および位置H2の検出が行われる。
【0068】
図21は、実施形態に係るフォトダイオードアレー13による受光信号を処理する第1処理回路101の一例を示す図である。
本実施形態では、第1処理回路101がフォトダイオードアレー13に備えられている場合を示すが、他の構成例として、第1処理回路101とフォトダイオードアレー13とが別体として構成されてもよい。
【0069】
第1処理回路101は、フォトダイオード111、112と、バイポーラートランジスター121、122と、オペアンプ131と抵抗132と電圧源133からなる増幅回路(IV変換回路P1)と、抵抗134と、オペアンプ141と抵抗142と電圧源143からなる増幅回路(IV変換回路P2)と、抵抗144と、オペアンプ151と抵抗152と電圧源153からなる増幅回路(反転増幅回路P3)と、抵抗154と、オペアンプ161と抵抗162と電圧源163からなる増幅回路(反転増幅回路P4)と、オペアンプ171と電圧源172からなる差動増幅回路Q1と、を備える。
【0070】
本実施形態では、反射型スケール12が適度な位置にあるとき、フォトダイオード111によりZp相の受光信号を電流に変換し、フォトダイオード112によりZn相の受光信号を電流信号に変換する。
【0071】
フォトダイオード111により変換された電流信号について、バイポーラートランジスター121により増幅が行われた後、IV変換回路P1により電圧への変換が行われて、抵抗134に出力される。
フォトダイオード112により変換された電流信号について、バイポーラートランジスター122により増幅が行われた後、IV変換回路P2により電圧への変換が行われて、抵抗144に出力される。そして、この出力信号は、反転増幅回路P3により電圧の反転増幅による極性反転(本実施形態では、1倍の反転増幅)が行われて、抵抗154に出力される。
図21の例では、バイポーラートランジスター121、122の回路部分では、それぞれ、バイポーラートランジスターによるエミッタフォロワ増幅回路が構成されている。
【0072】
抵抗134からの出力信号と抵抗154からの出力信号とが反転増幅回路P4に入力されて、反転増幅回路P4により電圧の反転増幅が行われる。ここで、反転増幅回路P4では、抵抗134からの出力信号と抵抗154からの出力信号との合成(本実施形態では、実質的には、IV変換回路P1の出力と、IV変換回路P2の出力との引き算)が行われる。
反転増幅回路P4による反転増幅の結果が、差動増幅回路Q1に入力される。
反転増幅回路P4からの出力は、抵抗134からの出力信号と抵抗154からの出力信号の加算に応じた出力となる。
【0073】
差動増幅回路Q1では、コンパレーションを行い、反転増幅回路P4から入力される電圧信号が所定の電圧を超えた場合に所定値(例えば、1値)を出力し、他の場合に他の所定値(例えば、0値)を出力する。
差動増幅回路Q1は、比較器(コンパレータ)として機能している。
差動増幅回路Q1からの出力は、コンパレーションの結果となる。
【0074】
例えば、反射型スケール12が適度な位置にあるとき、第1処理回路101では、
図20に示される2箇所の位置H1、H2(40μm離長した2箇所の位置)のそれぞれの受光信号をフォトダイオードアレー13(各1ピクセル)で電流信号に変換して増幅する。
つまり、
図20および
図21の例では、Zpに関する位置H1の受光がフォトダイオード111により行われ、Znに関する位置H2の受光がフォトダイオード112により行われる。
その後、第1処理回路101では、それぞれの受光信号について電流信号(I信号)を電圧信号(V信号)へ変換し、ZpとZnとの差分電圧信号を取得して、その所定の向き(本実施形態では、上向き)の信号のみをコンパレーションした信号を出力する。
なお、コンパレーションでは、例えば、基準電位としてR波形などが用いられてもよい。
【0075】
図22は、実施形態に係る第1処理回路101における差分電圧およびコンパレーション電圧の一例を示す図である。
図22には、(A)のグラフと(B)のグラフを、横軸をそろえて示してある。これらのグラフにおいて、横軸はスケール移動量(反射型スケール12の移動量に対応する量)を表している。
図22(A)のグラフにおいて、縦軸は差分電圧を表している。当該グラフでは、差分電圧の特性2021を示してある。
図22(B)のグラフにおいて、縦軸はコンパレーション電圧を表している。当該グラフでは、コンパレーション電圧の特性2031を示してある。
なお、
図22(A)および
図22(B)の例では、説明の便宜上、差分電圧の特性2021の波形およびコンパレーション電圧の特性2031の波形として、それぞれ、説明のために人工で作成した波形を示してある。
【0076】
差分電圧の特性2021は、反射型スケール12が移動した際に得られる差分電圧信号の特性を表している。これは、
図13の例におけるZs波形に基づく。
コンパレーション電圧の特性2031は、差分電圧の特性2021について得られるコンパレーションした信号の特性を表している。当該信号の波形が、Z相の検出結果となる。
例えば、差分電圧の特性2021からコンパレーション電圧の特性2031が得られるように、
図21の例における差動増幅回路Q1の電圧源172の電圧(基準電位)が調整される。
【0077】
[Z相検出方法(n=2)の問題点の説明]
図23は、実施形態に係るスリット数が4であるマルチスリットLED11を光源とする光学反射型ABZ相エンコーダー1におけるフォトダイオードアレー13上の結像(n=2)の強度の一例を示す図である。
図23に示されるグラフにおいて、横軸はフォトダイオードアレー13における座標を表しており、縦軸はフォトダイオード電流を表している。
図23には、フォトダイオードアレー13上の結像の強度の特性(強度特性2111)を示してある。
なお、
図23の例では、説明の便宜上、強度特性2111の波形として、説明のために人工で作成した波形を示してある。
【0078】
図23の例では、スリット数が4であるマルチスリットLED11(40μmピッチ)を光源として、20μmピッチの反射型スケール12を介して結像したTalbotの2次結像を模式的に表している。
なお、本実施形態では、n=2、z=2520μmである。
図23の例では、強度特性2111において、フォトダイオードアレー上の位置H11および位置H12の検出が行われる。
【0079】
ここで、仮に、
図21に示される第1処理回路101が用いられる場合を示す。
第1処理回路101では、
図23に示される2箇所の位置H11、H12(40μm離長した2箇所の位置)のそれぞれの受光信号をフォトダイオードアレー13(各1ピクセル)で電流信号に変換して増幅する。
つまり、
図23および
図21の例では、Zpに関する位置H11の受光がフォトダイオード111により行われ、Znに関する位置H12の受光がフォトダイオード112により行われる。
その後、第1処理回路101では、それぞれの受光信号について電流信号(I信号)を電圧信号(V信号)へ変換し、ZpとZnとの差分電圧信号を取得して、その所定の向き(本実施形態では、上向き)の信号のみをコンパレーションした信号を出力する。
なお、コンパレーションでは、例えば、基準電位としてR波形などが用いられてもよい。
【0080】
図24は、第1処理回路101における差分電圧およびコンパレーション電圧の一例を示す図である。
図24には、(A)のグラフと(B)のグラフを、横軸をそろえて示してある。これらのグラフにおいて、横軸はスケール移動量(反射型スケール12の移動量に対応する量)を表している。
図24(A)のグラフにおいて、縦軸は差分電圧を表している。当該グラフでは、差分電圧の特性2121を示してある。
図24(B)のグラフにおいて、縦軸はコンパレーション電圧を表している。当該グラフでは、コンパレーション電圧の特性2131を示してある。
なお、
図24(A)および
図24(B)の例では、説明の便宜上、差分電圧の特性2121の波形およびコンパレーション電圧の特性2131の波形として、それぞれ、説明のために人工で作成した波形を示してある。
【0081】
差分電圧の特性2121は、反射型スケール12が移動した際に得られる差分電圧信号の特性を表している。これは、
図19の例におけるZs波形に基づく。
コンパレーション電圧の特性2131は、差分電圧の特性2121について得られるコンパレーションした信号の特性を表している。
【0082】
しかしながら、
図24の例では、
図22の例とは異なり、差分電圧の特性2121およびコンパレーション電圧の特性2131は、ダブルピークの波形となる。
このため、このようなダブルピークの波形のままでは、コンパレーションの信号の波形をZ相の検出結果として使用することができない。
【0083】
[Z相検出方法(n=2)の問題点の解決手法]
図25は、実施形態に係るスリット数が4であるマルチスリットLED11を光源とする光学反射型ABZ相エンコーダー1におけるフォトダイオードアレー13上の結像(n=2)の強度の一例を示す図である。
図25に示されるグラフにおいて、横軸はフォトダイオードアレー13における座標を表しており、縦軸はフォトダイオード電流を表している。
図25には、フォトダイオードアレー13上の結像の強度の特性(強度特性2211)を示してある。
なお、
図25の例では、説明の便宜上、強度特性2211の波形として、説明のために人工で作成した波形を示してある。
【0084】
図25の例では、スリット数が4であるマルチスリットLED11(40μmピッチ)を光源として、20μmピッチの反射型スケール12を介して結像したTalbotの2次結像を模式的に表している。
なお、本実施形態では、n=2、z=2520μmである。
図25の例では、強度特性2211において、フォトダイオードアレー上の位置H21および位置H22の検出が行われる。
図25の例では、これら2箇所の位置H21、H22の離長が80μm(2ピッチの離長)に設定されている。
【0085】
ここで、
図21に示される第1処理回路101が用いられる場合を示す。
第1処理回路101では、
図25に示される2箇所の位置H21、H22(80μm離長した2箇所の位置)のそれぞれの受光信号をフォトダイオードアレー13(各1ピクセル)で電流信号に変換して増幅する。
つまり、
図25および
図21の例では、Zpに関する位置H21の受光がフォトダイオード111により行われ、Znに関する位置H22の受光がフォトダイオード112により行われる。
その後、第1処理回路101では、それぞれの受光信号について電流信号(I信号)を電圧信号(V信号)へ変換し、ZpとZnとの差分電圧信号を取得して、その所定の向き(本実施形態では、上向き)の信号のみをコンパレーションした信号を出力する。
なお、コンパレーションでは、例えば、基準電位としてR波形などが用いられてもよい。
【0086】
図26は、実施形態に係る第1処理回路101における差分電圧およびコンパレーション電圧の一例を示す図である。
図26には、(A)のグラフと(B)のグラフを、横軸をそろえて示してある。これらのグラフにおいて、横軸はスケール移動量(反射型スケール12の移動量に対応する量)を表している。
図26(A)のグラフにおいて、縦軸は差分電圧を表している。当該グラフでは、差分電圧の特性2221を示してある。
図26(B)のグラフにおいて、縦軸はコンパレーション電圧を表している。当該グラフでは、コンパレーション電圧の特性2231を示してある。
なお、
図26(A)および
図26(B)の例では、説明の便宜上、差分電圧の特性2221の波形およびコンパレーション電圧の特性2231の波形として、それぞれ、説明のために人工で作成した波形を示してある。
【0087】
差分電圧の特性2221は、反射型スケール12が移動した際に得られる差分電圧信号の特性を表している。
コンパレーション電圧の特性2231は、差分電圧の特性2221について得られるコンパレーションした信号の特性を表している。
【0088】
図26の例では、差分電圧の特性2221の波形は、トリプルピーク(3個のパルス状のピーク)の波形となる。
そして、本実施形態では、当該トリプルピークの波形中の真ん中の一番波高が高い箇所を用いてコンパレーションしてZ相の検出結果を得るように、第1処理回路101のパラメータ(回路定数)等を設定または調整する。これにより、
図26の例では、コンパレーション電圧の特性2231において、1個のピークが得られる。
【0089】
[2次のTalbot結像(n=2)のZs信号をR信号でコンパレーションする構成例]
本実施形態では、コンパレーションの基準電位を生成するために、R相の信号が使用されてもよい。この場合、
図26の例におけるトリプルピークの波高の一番高い部分のみを検出するように、別途、R相の信号を処理する。
【0090】
図27は、実施形態に係るスリット数が4であるマルチスリットLED11を光源とする光学反射型ABZ相エンコーダー1におけるフォトダイオードアレー13上の結像(n=2)の強度の一例を示す図である。
図27に示されるグラフにおいて、横軸はフォトダイオードアレー13における座標を表しており、縦軸はフォトダイオード電流を表している。
図27には、フォトダイオードアレー13上の結像の強度の特性(強度特性2311)を示してある。
なお、
図27の例では、説明の便宜上、強度特性2311の波形として、説明のために人工で作成した波形を示してある。
【0091】
図27の例では、スリット数が4であるマルチスリットLED11(40μmピッチ)を光源として、20μmピッチの反射型スケール12を介して結像したTalbotの2次結像を模式的に表している。
なお、本実施形態では、n=2、z=2520μmである。
図27の例では、強度特性2311において、Zs信号に関して、フォトダイオードアレー上の位置H31および位置H32の検出が行われる。
また、
図27の例では、強度特性2311において、R信号に関して、フォトダイオードアレー上の位置H41および位置H42の検出と、位置H43および位置H44の検出が行われる。
【0092】
図28は、実施形態に係るフォトダイオードアレー13による受光信号を処理する第2処理回路201の一例を示す図である。
第2処理回路201は、
図21に示される第1処理回路101の代わりに使用され得る回路である。
本実施形態では、第2処理回路201がフォトダイオードアレー13に備えられている場合を示すが、他の構成例として、第2処理回路201とフォトダイオードアレー13とが別体として構成されてもよい。
【0093】
第2処理回路201は、Z相の検出に関する回路として、フォトダイオード211、212と、バイポーラートランジスター221、222と、オペアンプ231と抵抗232と電圧源233からなる増幅回路(IV変換回路P11)と、抵抗234と、オペアンプ241と抵抗242と電圧源243からなる増幅回路(IV変換回路P12)と、抵抗244と、オペアンプ251と抵抗252と電圧源253からなる増幅回路(反転増幅回路P13)と、抵抗254と、オペアンプ261と抵抗262と電圧源263からなる増幅回路(反転増幅回路P14)と、を備える。
【0094】
ここで、このようなZ相の検出に関する回路の構成および動作は、例えば、
図21に示される第1処理回路101において差動増幅回路Q1を除いた回路部分の構成および動作と同様であり、詳しい説明を省略する。
【0095】
本実施形態では、反射型スケール12が適度な位置(説明の便宜上、位置PO1と呼ぶ。)にあるとき、フォトダイオード211によりZp相の受光信号を電流に変換し、フォトダイオード212によりZn相の受光信号を電流信号に変換する。
【0096】
第2処理回路201は、R相の検出に関する回路として、フォトダイオード311~314と、バイポーラートランジスター321、322と、オペアンプ331と抵抗332と電圧源333からなる増幅回路(IV変換回路P21)と、抵抗334と、オペアンプ341と抵抗342と電圧源343からなる増幅回路(IV変換回路P22)と、抵抗344と、オペアンプ351と抵抗352と電圧源353からなる増幅回路(反転増幅回路P23)と、抵抗354と、オペアンプ361と抵抗362と電圧源363からなる増幅回路(反転増幅回路P24)と、を備える。
【0097】
ここで、このようなR相の検出に関する回路の構成および動作は、例えば、2個のフォトダイオード311、312による電流が合成されてバイポーラートランジスター321に入力される点および2個のフォトダイオード313、314による電流が合成されてバイポーラートランジスター322に入力される点を除いて、Z相の検出に関する回路の構成および動作と同様であり、詳しい説明を省略する。
【0098】
本実施形態では、反射型スケール12が適度な位置(上記した位置PO1)にあるとき、2個のフォトダイオード311、312のそれぞれにより2個の位置のそれぞれのRp相の受光信号を電流に変換し、2個のフォトダイオード313、314のそれぞれにより2個の位置のそれぞれのRn相の受光信号を電流信号に変換する。
【0099】
第2処理回路201は、コンパレーションを行うためのオペアンプ371を備える。
オペアンプ371では、コンパレーションを行い、Z相の検出に関する回路(反転増幅回路P14)から入力される電圧信号の値が、R相の検出に関する回路(反転増幅回路P24)から入力される電圧信号の値を超えた場合に所定値(例えば、1値)を出力し、他の場合に他の所定値(例えば、0値)を出力する。
オペアンプ371は、比較器(コンパレータ)として機能している。
オペアンプ371からの出力は、コンパレーションの結果となる。
【0100】
ここで、第2処理回路201では、Z相の検出に関する回路から出力されるZs相の信号のコンパレーションの基準値として、R相の検出に関する回路から出力される信号が用いられている。
【0101】
例えば、反射型スケール12が適度な位置(上記した位置PO1)にあるとき、第2処理回路201では、
図27に示される2箇所の位置H31、H32のそれぞれの受光信号をフォトダイオードアレー13(各1ピクセル)で電流信号に変換して増幅する。
つまり、
図27および
図28の例では、Zpに関する位置H31の受光がフォトダイオード211により行われ、Znに関する位置H32の受光がフォトダイオード212により行われる。
その後、第2処理回路201では、それぞれの受光信号について適度な倍率で電流信号(I信号)を電圧信号(V信号)へ変換し、ZpとZnとの差分電圧信号を取得する。
【0102】
また、第2処理回路201では、
図27に示される4箇所の位置H41~H44(4ピクセル)のうちの左側2箇所(左側2ピクセル)と右側2箇所(右側2ピクセル)のそれぞれについて、2ピクセル分(1/2ピッチ離長)の受光信号をフォトダイオードアレー13で電流信号に変換して合成して増幅する。
つまり、
図27および
図28の例では、Rpに関する位置H41の受光がフォトダイオード311により行われ、Rpに関する位置H42の受光がフォトダイオード312により行われ、これらの受光信号(電流信号)が合成される。また、Rnに関する位置H43の受光がフォトダイオード313により行われ、Rnに関する位置H44の受光がフォトダイオード314により行われ、これらの受光信号(電流信号)が合成される。
その後、第2処理回路201では、それぞれの合成信号について適度な倍率で電流信号(I信号)を電圧信号(V信号)へ変換し、RpとRnとの差分電圧信号を取得する。
【0103】
さらに、第2処理回路201では、オペアンプ371によって、Zs信号をR信号でコンパレーションする。
【0104】
なお、
図27に示される位置H41、位置H42、位置H31、位置H32、位置H44、位置H44に関し、フォトダイオードアレー13の各ピクセル位置は、一番左を基準の0μmとすると、次が20μm、以降は、50μm、130μm、160μm、180μmに各々位置する。
【0105】
図29は、実施形態に係る第2処理回路201における差分電圧およびコンパレーション電圧の一例を示す図である。
図29には、(A)のグラフと(B)のグラフを、横軸をそろえて示してある。これらのグラフにおいて、横軸はスケール移動量(反射型スケール12の移動量に対応する量)を表している。
図29(A)のグラフにおいて、縦軸は差分電圧を表している。当該グラフでは、Zs相に関する差分電圧の特性2321と、R相に関する差分電圧の特性2322を示してある。
図29(B)のグラフにおいて、縦軸はコンパレーション電圧を表している。当該グラフでは、コンパレーション電圧の特性2331を示してある。
なお、
図29(A)および
図29(B)の例では、説明の便宜上、Zs相に関する差分電圧の特性2321の波形、R相に関する差分電圧の特性2322の波形、および、コンパレーション電圧の特性2331の波形として、それぞれ、説明のために人工で作成した波形を示してある。
【0106】
差分電圧の特性2321および特性2322は、反射型スケール12が移動した際に得られる差分電圧信号の特性を表している。
コンパレーション電圧の特性2331は、差分電圧の特性2321および特性2322について得られるコンパレーションした信号の特性を表している。
【0107】
図29の例では、2次のTalbot結像が反射型スケール12の移動に伴って移動することによって、
図28に示される第2処理回路201が出力する波形を示してある。
図29(A)の例におけるZs信号の特性2321は、
図26(A)の例における特性2221と同様であるが、信号倍率を適当に変更してある。
図29(A)の例におけるR信号の特性2322は、各位置H41~H44のピクセルのフォトダイオード電流を信号処理することで得られる波形である。R信号の特性2322を用いてZs信号の特性2321をコンパレーションすることで得られた波形が、
図29(B)における特性2331となる。
これにより、第2処理回路201では、A相(あるいは、B相)の1周期未満の幅のZ相検出信号波形を得ることができる。
【0108】
例えば、Zs相の特性2321におけるトリプルピークのうちの中央の波高が最も高いピークのみをコンパレーション電圧の特性2331のように検出することができるように、
図28の例における第2処理回路201のパラメータ(回路定数)等が設定または調整される。
【0109】
図30は、実施形態に係るフォトダイオードアレー13cの構成例を示す図である。
フォトダイオードアレー13cは、フォトダイオードアレー13の一例である。
フォトダイオードアレー13cの構成例は、L=20μmのときのスケール用の構成例である。
【0110】
図30の例では、フォトダイオードアレー13cは、複数の短冊状のピクセルを有しており、短冊の幅の分の積分によって、受光信号を電気信号に変換した後、所定の演算を行うことで、A相、B相、Z相、R相を計算して出力する。
なお、R相については、R相が使用されない場合には検出および計算が行われなくてもよい。
【0111】
フォトダイオードアレー13cは、
図28に示される第2処理回路201により
図27に示される強度特性2311に基づいてZ相検出を行うために用いられる。
フォトダイオードアレー13cの各ピクセルの配置は、2次のTalbot結像に専用であり、
図10に示される配置の例と比べて、Zp、Zn、Rp、Rnの配置が異なっている。
【0112】
図30に示されるフォトダイオードアレー13cの各ピクセルの配置について説明する。
受光パターンの複数の受光部が並ぶ方向(
図30の例では、左右の方向)について、一方側(
図30の例では、左側)から他方側(
図30の例では、右側)に向かって、60個のピクセルが等間隔で配置されている。各ピクセルは、受光を行うフォトダイオードを有している。
【0113】
図30の例では、受光パターンにおいて、00~59の60個の短冊状の受光部が並んでいる。
図30の例では、それぞれの番号(00~59)のピクセルにより検出対象(ターゲット)とされる相を表している。
当該検出対象(ターゲット)は、反射型スケール12が所定の位置にあると想定した場合の対象である。
なお、Du(ダミー)は使用されない。
また、同じ相が複数存在する場合には、これら複数の検出結果を合成することが行われる。この理由は、信号対雑音比(S/N比)を高めるためである。
【0114】
番号00の検出対象は、Du(ダミー)である。番号01の検出対象は、Du(ダミー)である。番号02の検出対象は、Ap相である。番号03の検出対象は、Bp相である。番号04の検出対象は、An相である。番号05の検出対象は、Bn相である。番号06の検出対象は、Ap相である。番号07の検出対象は、Bp相である。番号08の検出対象は、An相である。番号09の検出対象は、Bn相である。番号10の検出対象は、Ap相である。番号11の検出対象は、Bp相である。番号12の検出対象は、An相である。番号13の検出対象は、Bn相である。番号14の検出対象は、Ap相である。番号15の検出対象は、Bp相である。番号16の検出対象は、An相である。番号17の検出対象は、Bn相である。番号18の検出対象は、Ap相である。番号19の検出対象は、Rp相である。番号20の検出対象は、An相である。番号21の検出対象は、Rp相である。番号22の検出対象は、Ap相である。番号23の検出対象は、Bp相である。番号24の検出対象は、Zp相である。番号25の検出対象は、Bn相である。番号26の検出対象は、Ap相である。番号27の検出対象は、Bp相である。番号28の検出対象は、An相である。番号29の検出対象は、Bn相である。番号30の検出対象は、Ap相である。番号31の検出対象は、Bp相である。番号32の検出対象は、Zn相である。番号33の検出対象は、Bn相である。番号34の検出対象は、Ap相である。番号35の検出対象は、Rn相である。番号36の検出対象は、An相である。番号37の検出対象は、Rn相である。番号38の検出対象は、Ap相である。番号39の検出対象は、Bp相である。番号40の検出対象は、An相である。番号41の検出対象は、Bn相である。番号42の検出対象は、Ap相である。番号43の検出対象は、Bp相である。番号44の検出対象は、An相である。番号45の検出対象は、Bn相である。番号46の検出対象は、Ap相である。番号47の検出対象は、Bp相である。番号48の検出対象は、An相である。番号49の検出対象は、Bn相である。番号50の検出対象は、Ap相である。番号51の検出対象は、Bp相である。番号52の検出対象は、An相である。番号53の検出対象は、Bn相である。番号54の検出対象は、Ap相である。番号55の検出対象は、Bp相である。番号56の検出対象は、An相である。番号57の検出対象は、Bn相である。番号58の検出対象は、Du(ダミー)である。番号59の検出対象は、Du(ダミー)である。
【0115】
フォトダイオードアレー13cは、短冊状となっており、短冊の幅の分の積分によって、受光信号を電気信号に変換した後、所定の演算を行うことで、A相、B相、Z相を計算して出力する。
【0116】
図30の例では、フォトダイオードアレー13cにおいて、
図27に示される位置H31、位置H32は、それぞれ、24番目のZp、32番目のZnに対応している。
また、
図30の例では、フォトダイオードアレー13cにおいて、
図27に示される位置H41、位置H42、位置H43、位置H44は、それぞれ、19番目のRp、21番目のRp、35番目のRn、37番目のRnに対応させられている。
【0117】
本実施形態では、フォトダイオードアレー13cを用いて、2次のTalbot結像よりZ相信号を得る。また、本実施形態では、フォトダイオードアレー13cを用いて、2次のTalbot結像よりR相信号を得ることも可能である。
【0118】
本実施形態では、一構成例として、
図1に示される部品(マルチスリットLED11の光源、Z相パターン装荷の反射型スケール12、結像周期に対して1/4ピッチのピクセルで構成されたフォトダイオードアレー13)を用いて、フォトダイオードアレー13上に2次のTalbot結像を生成する。この場合、
図30に示されるフォトダイオードアレー13cのピクセル配置に特徴がある。
信号処理は、例えば、
図28に示される第2処理回路201により行われる。これにより、光学反射型ABZ相エンコーダー1では、
図29(A)に示されるZs信号およびR信号を生成し、これらの比較により、
図29(B)に示されるコンパレーション信号を生成する。そして、光学反射型ABZ相エンコーダー1では、これをZ相検出信号とする。
【0119】
[光学反射型ABZ相エンコーダーにおけるZ相検出を実現する回路]
図31は、実施形態に係るフォトダイオードアレー13による受光信号を処理する第3処理回路401の一例を示す図である。
第3処理回路401は、
図21に示される第1処理回路101あるいは
図28に示される第2処理回路201の代わりに使用され得る回路である。
本実施形態では、第3処理回路401がフォトダイオードアレー13に備えられている場合を示すが、他の構成例として、第3処理回路401とフォトダイオードアレー13とが別体として構成されてもよい。
【0120】
第3処理回路401は、フォトダイオード411と、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスター421と、2個のMOSトランジスター431、432からなるカレントミラー回路J1と、MOSトランジスター441と、2個のMOSトランジスター451、452からなるカレントミラー回路J2と、MOSトランジスター461と、を備える。
【0121】
また、第3処理回路401は、フォトダイオード412と、MOSトランジスター521と、2個のMOSトランジスター531、532からなるカレントミラー回路J11と、MOSトランジスター541と、2個のMOSトランジスター551、552からなるカレントミラー回路J12と、MOSトランジスター561と、2個のMOSトランジスター571、572からなるカレントミラー回路J13と、MOSトランジスター581と、を備える。
【0122】
また、第3処理回路401は、オペアンプ611と抵抗612と電圧源613からなる反転増幅回路を備える。
【0123】
また、第3処理回路401は、バイアス電圧およびバイアス電流に関する回路として、電流源711と、電圧源(電源)712と、2個のMOSトランジスター721、722からなるカレントミラー回路と、MOSトランジスター731と、2個のMOSトランジスター741、742からなるカレントミラー回路と、MOSトランジスター761と、MOSトランジスター771と、2個のMOSトランジスター781、782からなるカレントミラー回路と、を備える。
【0124】
ここで、電流源711は、基準となる電流を供給する。
電圧源(電源)712は、所定の電圧を供給する。当該電圧は、例えば、3.3Vまたは5Vなどであってもよい。
また、本実施形態では、フォトダイオードの検出電流が小さいことを想定して、MOSトランジスター431からMOSトランジスター742の側に電流を、またMOSトランジスター531からMOSトランジスター782の側に各々電流を引く回路構成となっている。
【0125】
図31の例では、Zp相に関するフォトダイオード411とカレントミラー回路J1との間にMOSトランジスター421を備えることで、フォトダイオード411の電圧を安定化することが行われている。
また、カレントミラー回路J1とカレントミラー回路J2との間にMOSトランジスター441を備えることで、MOSトランジスター432のドレイン・ソース間電圧を安定化することが行われている。
また、カレントミラー回路J2の後段にMOSトランジスター461を備えることで、MOSトランジスター452のドレイン・ソース間電圧を安定化することが行われている。
【0126】
図31の例では、Zn相に関するフォトダイオード412とカレントミラー回路J11との間にMOSトランジスター521を備えることで、フォトダイオード412の電圧を安定化することが行われている。
また、カレントミラー回路J11とカレントミラー回路J12との間にMOSトランジスター541を備えることで、MOSトランジスター532のドレイン・ソース間電圧を安定化することが行われている。
また、カレントミラー回路J12とカレントミラー回路J13との間にMOSトランジスター561を備えることで、MOSトランジスター552のドレイン・ソース間電圧を安定化することが行われている。
また、カレントミラー回路J13の後段にMOSトランジスター581を備えることで、MOSトランジスター572のドレイン・ソース間電圧を安定化することが行われている。
【0127】
本実施形態では、反射型スケール12が適度な位置にあるとき、フォトダイオード411によりZp相の受光信号を電流に変換し、フォトダイオード412によりZn相の受光信号を電流信号に変換する。
【0128】
ここで、比較例として、
図21に示される第1処理回路101において最終段のコンパレーターを除外したものは、Z相検出のためのZs信号生成回路となる。このようなZs信号生成回路の動作では、まず、フォトダイオードに光が照射されることで、当該光に伴う電流が生成される。当該電流をバイポーラートランジスターにより電流増幅し、当該バイポーラートランジスターの次段のオペアンプにて適当な倍率でI-V変換(電流から電圧への変換)を行って電圧信号を出力する。このような回路が全体回路にZp用とZn用とで2組あり、Zn用の方では当該電圧についてさらにオペアンプで極性反転を行う。ここまで処理されたZp信号およびZn信号は、さらに次段のオペアンプで加算される(実質的には、ZpとZnとの引き算を行っていることと等価である)。このような回路においては、バイポーラートランジスターが重要である。つまり、1ピクセルのフォトダイオードから生成される光電流は微少であるため、I-V変換前にバイポーラートランジスターであらかじめ電流増幅することが必要である。
【0129】
これに対して、
図31に示される第3処理回路401では、バイポーラートランジスターを用いない構成回路となっている。第3処理回路401では、微少な光電流の電流増幅を、適当な倍率のカレントミラー回路による電流増幅回路ブロックによって行う。
また、第1処理回路101では電流増幅後に即座にI-V変換を行う構成であるが、第3処理回路401では電流増幅後にZp信号側に対してZn信号側のみをもう一段折り返して、その後、両方の電流を合成してその合成電流(実質的には、差分電流)についてI-V変換を行う構成となっている。
【0130】
したがって、第3処理回路401では、第1処理回路101の構成に対して、バイポーラートランジスターの代わりに、特殊な素子を使用せずに簡単なMOSトランジスターを用いたカレントミラー回路に置き換えた構成となっている。
また、第3処理回路401では、第1処理回路101の構成に対して、I-V変換回路を1段削減することができる。
第3処理回路401では、極性反転用のオペアンプを簡単なカレントミラー回路に置き換え、さらに、電圧加算用のオペアンプを削減してある。
【0131】
図32は、実施形態に係るフォトダイオードアレー13による受光信号を処理する第3処理回路概略401aを示す図である。
第3処理回路概略401aは、説明の便宜上の回路構成例であり、第3処理回路401の概略的な構成を表している。
【0132】
第3処理回路概略401aでは、
図31に示される構成例に対して、バイアス電圧およびバイアス電流に関する回路部分を簡易化してある。具体的には、第3処理回路概略401aでは、説明の便宜上、第3処理回路401におけるバイアス電圧およびバイアス電流生成用の回路を除外し、直接駆動する部分のみを図示してある。
図32の例において、電流源711、及び電流源811は、gm(相互コンダクタンス)アップ用のオフセット電流源である。
【0133】
図32を参照して、第3処理回路401の動作を説明する。
Zpに関するフォトダイオード411により変換される電流信号は、Zp電流増幅回路ブロックL1により増幅される。
Zp電流増幅回路ブロックL1では、フォトダイオード411からの電流信号が、MOSトランジスター421を経由して、カレントミラー回路J1に入力される。カレントミラー回路J1では、例えば、電流増幅率が10倍に設定されている。
カレントミラー回路J1からの出力は、MOSトランジスター441を介して、カレントミラー回路J2に入力される。カレントミラー回路J2では、例えば、電流増幅率が10倍に設定されている。
【0134】
カレントミラー回路J2からの出力は、MOSトランジスター461を介して、I-V変換回路ブロックL4に入力される。
ここで、カレントミラー回路J1とカレントミラー回路J2とによって、計100倍の増幅が行われている。
【0135】
Znに関するフォトダイオード412により変換される電流信号は、Zn電流増幅回路ブロックL2により増幅される。
Zn電流増幅回路ブロックL2では、フォトダイオード412からの電流信号が、MOSトランジスター521を経由して、カレントミラー回路J11に入力される。カレントミラー回路J11では、例えば、電流増幅率が10倍に設定されている。
カレントミラー回路J11からの出力は、MOSトランジスター541を介して、カレントミラー回路J12に入力される。カレントミラー回路J12では、例えば、電流増幅率が10倍に設定されている。
【0136】
カレントミラー回路J12からの出力は、MOSトランジスター561を介して、Zn電流折り返し回路ブロックL3に入力される。
ここで、カレントミラー回路J11とカレントミラー回路J12とによって、計100倍の増幅が行われている。
【0137】
Zn電流折り返し回路ブロックL3では、MOSトランジスター561からの出力が、カレントミラー回路J13に入力される。カレントミラー回路J13では、例えば、電流増幅率が1倍(極性反転)に設定されている。
カレントミラー回路J13からの出力は、MOSトランジスター581を介して、I-V変換回路ブロックL4に入力される。
【0138】
I-V変換回路ブロックL4の入力では、Zp相に関する増幅電流(Zp増幅電流3011)と、Zn相に関する増幅電流(Zn増幅電流3012)との差分の電流(差分電流3021)が入力される。
I-V変換回路ブロックL4では、差分電流3021が電圧信号に変換される。差分電流3021に応じた電圧信号が出力される。
【0139】
第3処理回路401では、Zpの光信号がフォトダイオード411で電流に変換される。当該電流が、Zp電流増幅回路ブロックL1のカレントミラー回路J1で電流増幅される。ただし、その際に、gmアップ用オフセット電流が電流合成されて入力するため、カレントミラー回路J1の周波数特性(時間応答性)をアップしている。
さらに、その電流は、もう一段のカレントミラー回路J2を経て合計100倍の電流増幅をした後にI-V変換回路ブロックL4に接続される。この際、その電流はI-V変換回路ブロックL4から引き抜く方向に電流を流す。
【0140】
Zn側も、Zp側と同様に、Zn電流増幅回路ブロックL2において増幅されるが、最終段でZn電流折り返し回路ブロックL3を経てからI-V変換回路ブロックL4に接続される。これにより、その電流はI-V変換回路ブロックL4に流し込む方向の電流になる。
最終的に、I-V変換回路ブロックL4にはZn増幅電流とZp増幅電流との差分電流が流れ、当該差分電流が電圧変換されたものがZs信号として出力される。この時gmアップ用オフセット電流源(電流源711、及び電流源811)は同じ値の電流とするためZn増幅電流3012と、Zp増幅電流3011との差分電流は、gmアップ用オフセット電流源(電流源711)と、gmアップ用オフセット電流源(電流源811)の成分が相殺され、フォトダイオード411と、フォトダイオード412に由来の信号成分となっている。
【0141】
図32に示されるノードK1~K3、K11~K14が付いたMOSトランジスター(ゲート接地増幅回路)421、441、461、521、541、561、581は、MOSトランジスターのソース端子側(ノードK1~K3、K11~K14の側)に接続されている素子(フォトダイオードなど)にかかる電圧を一定に保ち、回路動作の変化(例えば光信号の増減に伴う系全体の電流変化)の影響によって当該素子の電流量に誤差が発生することを抑制している。
【0142】
ここで、
図31および
図32の例では、Zp相に関するフォトダイオード411による電流信号およびZn相に関するフォトダイオード412による電流信号を処理する回路として、第3処理回路401が用いられる場合を示した。
他の構成例として、第3処理回路401と同様な構成の回路を、Rp相に関するフォトダイオードによる電流信号およびRn相に関するフォトダイオードによる電流信号を処理する回路として用いることも可能である。
この場合、具体例として、
図31および
図32に示されるZp相に関するフォトダイオード411の代わりにRp相に関するフォトダイオードが用いられるとともに、
図31および
図32に示されるZn相に関するフォトダイオード412の代わりにRn相に関するフォトダイオードが用いられる構成とされてもよい。
【0143】
さらに、Rp相に関するフォトダイオードが複数存在する場合(例えば、
図28に示される2個のフォトダイオード311、312が存在するような場合)には、これら複数のフォトダイオードによる電流信号が総和された結果が、MOSトランジスター421を介してカレントミラー回路J1に入力されてもよい。
同様に、Rn相に関するフォトダイオードが複数存在する場合(例えば、
図28に示される2個のフォトダイオード313、314が存在するような場合)には、これら複数のフォトダイオードによる電流信号が総和された結果が、MOSトランジスター521を介してカレントミラー回路J11に入力されてもよい。
【0144】
なお、第3処理回路401と同様な構成の回路を、Rp相に関するフォトダイオードによる電流信号およびRn相に関するフォトダイオードによる電流信号を処理する回路として用いる場合には、例えば、Zp相に関するフォトダイオード411による電流信号およびZn相に関するフォトダイオード412による電流信号を処理する回路として用いる場合と比べて、パラメータ(回路定数)は任意に変更(調整)されてもよい。例えば、
図31および
図32の例における2個のカレントミラー回路による計100倍(=10倍×10倍)の増幅の代わりに、計50倍の増幅が用いられてもよい。
【0145】
(各構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダーの説明)
本実施形態では、次のような構成(第1構成例~第3構成例)を実現することができる。
【0146】
[第1構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー]
第1構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、2次のTalbot結像でZ相検出を行う。
Z相検出に用いられるフォトダイオードアレー13上のピクセル位置として、
図30に示されるピクセル位置を用いる。当該ピクセル位置は、例えば、
図25の例における位置H21および位置H22のように、2ピッチ離長した2個の位置である。
【0147】
処理回路としては、例えば、
図21に示される第1処理回路101が用いられてもよい。
さらに良好な例として、処理回路としては、例えば、
図28に示される第2処理回路201が用いられてもよい。第2処理回路201では、Z相検出のためのコンパレーションに、R相を利用している。
【0148】
したがって、第1構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、2次のTalbot結像を用いることで、1次のTalbot結像を用いる構成と比べて、各種の部品を配置する距離を大きくすることができる。
第1構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、2次のTalbot結像においてZ相検出を可能とすることができる。つまり、第1構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、2次のTalbot結像において、所望のシングルパルス出力を得ることができる。
【0149】
また、第1構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、例えば、狭ピッチ(本実施形態では、20μm)光学スケールを用いる小型エンコーダーの使用者(例えば、顧客)における実装自由度を向上させることができる。具体例として、次数n=1の場合と比べて、次数n=2の場合には、zが2倍になるため、マルチスリットLED11、反射型スケール12、および、フォトダイオードアレー13の設置、あるいは配置の調整を容易にすることが可能である。
【0150】
また、第1構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、例えば、Zs相を検出するために、R相を利用して閾値(基準値)を生成することができ、これにより、固定の閾値(基準値)を用いてコンパレーションする場合と比べて、Zs相のトリプルピークのうちの中央のピークのみを判定する上で環境変動に対する耐性を高めることができる。
【0151】
なお、光学エンコーダーにおいて、狭ピッチのスケールを用いると、光の波動性による効果で良好な結像を実現することができる距離が離散的になる。当該距離は、LED(本実施形態では、マルチスリットLED)と反射型スケールとの距離、および、反射型スケールとフォトダイオードアレーとの距離である。
従来において、1次のTalbot結像の距離関係では、各種の部品を実装することができない場合があった。このため、各種の部品を実装する距離を長くするときには、2倍の距離とした2次のTalbot結像等が成立するが、結像した像の形状が1次の像とは異なることから、従来と同様な構成では、Z相検出において光学エンコーダーとしての要件が満たされなかった。具体的には、このような構成では、シングルピーク(1個のパルス状のピーク)が希望される箇所で、ダブルピークが発生してしまう。
このような従来の課題に対して、第1構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、当該課題を解消することができる。
【0152】
<第1構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダーの構成例>
一構成例として、光を放射する光源(
図1の例では、マルチスリットLED11)と、当該光を反射するスケール(
図1の例では、反射型スケール12)と、スケールにより反射された反射光を受光する光検出器(
図1の例では、フォトダイオードアレー13)と、を備える光学反射型ABZ相エンコーダー(
図1の例では、光学反射型ABZ相エンコーダー1)であって、次のような構成とした。
光検出器は、当該光の2次のTalbot結像における2ピッチ分離長した第1位置と第2位置(
図25の例では2個の位置H21、H22、
図27の例では2個の位置H31、H32、
図30の例におけるZpの位置およびZnの位置)について、第1位置の受光による電流信号と第2位置の受光による電流信号との差分信号が閾値を超える場合に、所定の基準位置を表すZ相の位置であると判定する処理回路(例えば、第1処理回路101、第2処理回路201、あるいは、第3処理回路401)を備える。
【0153】
一構成例として、光学反射型ABZ相エンコーダーにおいて、差分信号は、トリプルピークを有している。閾値は、トリプルピークのうちの中央のピークのみが当該閾値を超える値を有する。
一構成例として、光学反射型ABZ相エンコーダーにおいて、処理回路は、第1位置に対して一方側に1ピッチ分離長したピークに含まれる第3位置(
図27の例では、位置H41、H42)と、第2位置に対して他方側に1ピッチ分離長したピークに含まれる第4位置(
図27の例では、位置H43、H44)と、について、第3位置の受光による電流信号と第4位置の受光による電流信号との差分信号に基づいて、閾値を生成する回路を含む。
一構成例として、光学反射型ABZ相エンコーダーにおいて、第3位置は、2個の位置を含み、また、第4位置は、2個の位置を含む。
【0154】
[第2構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー]
第2構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、1次のTalbot結像または2次のTalbot結像でZ相検出のためのZs信号生成を行う。
【0155】
第2構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、2個のピクセルのフォトダイオードの電流出力を電流増幅するためのバイポーラートランジスターによるエミッタフォロワ増幅回路が用いられる構成(例えば、
図21に示される第1処理回路101の構成)の代わりとして、MOSトランジスターによるカレントミラー回路を用いて電流増幅を行う構成(例えば、
図31に示される第3処理回路401の構成)とした。
また、第2構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、このような電流増幅の際に、より高い周波数で動作することを可能とするために、各々のピクセル用のカレントミラー回路にオフセット電流を流し、最終的に電流増幅された2つの電流を合成することで、当該オフセット電流をキャンセルする構成および動作とした。また、第2構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、このような電流合成の回路として、例えば従来のオペアンプを多用した回路ではなく、単純なMOSトランジスターによるカレントミラー回路の組み合わせを用いている。
また、第2構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、入射光によるこれらの回路の増幅度の変動を抑える目的で、フォトダイオードとカレントミラー回路との間、および、カレントミラー回路とカレントミラー回路との間などに、MOSトランジスターによるゲート接地増幅回路を挿入した構成とした。
【0156】
したがって、第2構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、光検出器(本実施形態では、フォトダイオードアレー)におけるZ相検出に関するピクセルの電流信号を増幅するために有効な回路を備える。
第2構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダーでは、バイポーラートランジスターを使用せずに電流増幅することができ、これにより、例えば、特殊な前工程プロセスを使用する必要がなくなり、また、回路規模の縮小が図られ、生産性向上とコスト低減が可能となる。また、第2構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、総合的な性能についても、従来の回路と比べて同等以上とすることが可能である。
このように、第2構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、特殊な前工程プロセスを不要とし、IC(Integrated Circuit)の小型化が図られることで、低コスト化を実現することができる。
【0157】
また、第2構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、Zs相の信号検出の代わりに、あるいは、Zs相の信号検出に適用するとともに、R相の信号検出に処理回路(本実施形態では、第3処理回路401)を適用することができる。
【0158】
第3処理回路401では、バイポーラートランジスターを使用せずに、MOSトランジスターを使用したカレントミラー回路J1、J2、J11、J12によって、フォトダイオード411、412による電流信号を増幅する。
また、第3処理回路401では、オフセット電流源を使用している。具体例として、第3処理回路401では、gmアップ用オフセット電流源を備えることで、回路全体の周波数特性(時間応答性)を向上させることができる。
【0159】
第3処理回路401では、MOSトランジスターにより、フォトダイオード411、412にかかる電圧を一定にしている。具体例として、第3処理回路401では、フォトダイオードとカレントミラー回路との間などの随所にゲート接地増幅回路を備えることで、光信号の増減に伴う誤差的影響を軽減することができる。
第3処理回路401では、I-V変換回路が最終段に備えられているため、大幅に回路構成を小さくすることができる。具体例として、第3処理回路401では、Zp相とZn相の各増幅後の電流を合成後にI-V変換回路に入力することで、回路規模を小さくすることができる。
【0160】
また、第3処理回路401において、Zp相とZn相を各々Rp相(例えば、2ピクセル分)とRn相(例えば、2ピクセル分)に変更することで、Zs信号だけでなくR信号の検出および加工にも利用することが可能である。
【0161】
なお、従来では、光学エンコーダーにおいて、フォトダイオードアレーにおけるZ相検出を担うピクセルの入射光に対する出力電流が小さく、その後の信号処理を行うために、バイポーラートランジスターによるエミッタフォロワ増幅回路での電流増幅が必須であった。また、従来では、その後段の信号処理用の電子回路は、オペアンプを多用する規模の大きい回路であった。
このような従来の課題に対して、第2構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、当該課題を解消することができる。
【0162】
<第2構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダーの構成例>
一構成例として、光を放射する光源(
図1の例では、マルチスリットLED11)と、当該光を反射するスケール(
図1の例では、反射型スケール12)と、スケールにより反射された反射光を受光する光検出器(
図1の例では、フォトダイオードアレー13)と、を備える光学反射型ABZ相エンコーダー(
図1の例では、光学反射型ABZ相エンコーダー1)であって、次のような構成とした。
光検出器は、当該光の1次のTalbot結像における1ピッチ分離長した第1位置と第2位置(
図20の例では2個の位置H1、H2、
図10の例におけるZpの位置およびZnの位置)、または、当該光の2次のTalbot結像における2ピッチ分離長した第1位置と第2位置(
図25の例では2個の位置H21、H22、
図27の例では2個の位置H31、H32、
図30の例におけるZpの位置およびZnの位置)について、第1位置の受光による電流信号を第1カレントミラー回路(
図31の例では、カレントミラー回路J1、J2)により増幅した結果と第2位置の受光による電流信号を第2カレントミラー回路(
図31の例では、カレントミラー回路J11、J12および1倍のカレントミラー回路J13)により増幅した結果との差分信号が閾値を超える場合に、所定の基準位置を表すZ相の位置であると判定するためのZs信号を生成する処理回路(例えば、第3処理回路401)を備える。
【0163】
一構成例として、光学反射型ABZ相エンコーダーにおいて、処理回路は、第1位置の受光による電流信号および第2位置の受光による電流信号についてオフセット電流源を有する。
一構成例として、光学反射型ABZ相エンコーダーにおいて、処理回路は、第1位置に対応するフォトダイオードと第1カレントミラー回路との間に、MOSトランジスター(
図31の例では、MOSトランジスター421)を有し、また、第2位置に対応するフォトダイオードと第2カレントミラー回路との間に、MOSトランジスター(
図31の例では、MOSトランジスター521)を有する。
一構成例として、光学反射型ABZ相エンコーダーにおいて、処理回路は、差分信号を取得する回路部分(
図32の例では、I-V変換回路ブロックL4)でI-V変換を行う。
一構成例として、光学反射型ABZ相エンコーダーにおいて、第1カレントミラー回路は、MOSトランジスターを用いて構成されており、また、第2カレントミラー回路は、MOSトランジスターを用いて構成されている。
一構成例として、光学反射型ABZ相エンコーダーにおいて、第1カレントミラー回路は、複数のカレントミラー回路を含み、これら複数のカレントミラー回路のうちの少なくとも1組の隣接するカレントミラー回路の間にMOSトランジスター(
図31の例では、カレントミラー回路J1とカレントミラー回路J2との間のMOSトランジスター441)を有し、また、第2カレントミラー回路は、複数のカレントミラー回路を含み、これら複数のカレントミラー回路のうちの少なくとも1組の隣接するカレントミラー回路の間にMOSトランジスター(
図31の例では、カレントミラー回路J11とカレントミラー回路J12との間のMOSトランジスター541、カレントミラー回路J12とカレントミラー回路J13との間のMOSトランジスター561)を有する。
【0164】
一構成例として、光を放射する光源と、当該光を反射するスケールと、スケールにより反射された反射光を受光する光検出器と、を備える光学反射型ABZ相エンコーダーであって、次のような構成とした。
光検出器は、当該光の1次のTalbot結像における3ピッチ分離長した第1位置と第2位置(例えば、
図10の例における3個のRpの位置および3個のRnの位置)、または、当該光の2次のTalbot結像における4ピッチ分離長した第1位置と第2位置(例えば、
図27の例における2個の位置H41、H42および2個の位置H43、H44、
図30の例における2個のRpの位置および2個のRnの位置)について、第1位置の受光による電流信号を第1カレントミラー回路により増幅した結果と第2位置の受光による電流信号を第2カレントミラー回路により増幅した結果との差分信号を取得する処理回路(例えば、第3処理回路401をR相検出に適用した回路)を備える。
【0165】
[第3構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー]
第3構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダーは、第1構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダーの構成と第2構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダーの構成とで両立する特徴を備える。
【0166】
第3構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、2次のTalbot結像でZ相検出を行う。
Z相検出に用いられるフォトダイオードアレー13上のピクセル位置として、
図30に示されるピクセル位置を用いる。当該ピクセル位置は、例えば、
図25の例における位置H21および位置H22のように、2ピッチ離長した2個の位置である。
処理回路としては、例えば、
図31に示される第3処理回路401が用いられる。
【0167】
したがって、第3構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、2次のTalbot結像においてZ相検出を可能とすることができる。つまり、第3構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、2次のTalbot結像において、所望のシングルパルス出力を得ることができる。
【0168】
また、第3構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、例えば、狭ピッチ(本実施形態では、20μm)光学スケールを用いる小型エンコーダーの使用者(例えば、顧客)における実装自由度を向上させることができる。具体例として、次数n=1の場合と比べて、次数n=2の場合には、zが2倍になるため、マルチスリットLED11、反射型スケール12、および、フォトダイオードアレー13の設置、あるいは配置の調整を容易にすることが可能である。
【0169】
また、第3構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、例えば、Zs相を検出するために、R相を利用して閾値(基準値)を生成することができ、これにより、固定の閾値(基準値)を用いてコンパレーションする場合と比べて、Zs相のトリプルピークのうちの中央のピークのみを判定する精度を高めることができる。
さらに、この場合、R相の処理回路として、例えば、
図31に示される第3処理回路401が用いられてもよい。
【0170】
また、第3構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、バイポーラートランジスターを使用せずに電流増幅することができ、これにより、例えば、特殊な前工程プロセスを使用する必要がなくなり、また、回路規模の縮小が図られ、生産性向上とコスト低減が可能となる。また、第3構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、総合的な性能についても、従来の回路と比べて同等以上とすることが可能である。
このように、第3構成例に係る光学反射型ABZ相エンコーダー1では、特殊な前工程プロセスを不要とし、ICの小型化が図られることで、低コスト化を実現することができる。
【0171】
[以上の実施形態について]
以上の実施形態に係る回路などは、例えば、コンピューターがプロセッサーにより所定のプログラムを実行することで、制御されてもよい。
このようなコンピューターは、例えば、光学反射型ABZ相エンコーダー1に備えられてもよく、あるいは、光学反射型ABZ相エンコーダー1とは別体で備えられてもよい。
【0172】
例えば、以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、オペレーティングシステムあるいは周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーあるいはクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。当該揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)であってもよい。記録媒体は、例えば、非一時的記録媒体であってもよい。
【0173】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイルであってもよい。差分ファイルは、差分プログラムと呼ばれてもよい。
【0174】
また、以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能は、プロセッサーにより実現されてもよい。例えば、実施形態における各処理は、プログラム等の情報に基づき動作するプロセッサーと、プログラム等の情報を記憶するコンピューター読み取り可能な記録媒体により実現されてもよい。ここで、プロセッサーは、例えば、各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよく、あるいは、各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。例えば、プロセッサーはハードウェアを含み、当該ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路およびアナログ信号を処理する回路のうちの少なくとも一方を含んでもよい。例えば、プロセッサーは、回路基板に実装された1または複数の回路装置、あるいは、1または複数の回路素子のうちの一方または両方を用いて、構成されてもよい。回路装置としてはIC(Integrated Circuit)などが用いられてもよく、回路素子としては抵抗あるいはキャパシターなどが用いられてもよい。
【0175】
ここで、プロセッサーは、例えば、CPUであってもよい。ただし、プロセッサーは、CPUに限定されるものではなく、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)等のような、各種のプロセッサーが用いられてもよい。また、プロセッサーは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によるハードウェア回路であってもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUにより構成されていてもよく、あるいは、複数のASICによるハードウェア回路により構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUと、複数のASICによるハードウェア回路と、の組み合わせにより構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、アナログ信号を処理するアンプ回路あるいはフィルタ回路等のうちの1以上を含んでもよい。
【0176】
以上、この開示の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0177】
1、1a…光学反射型ABZ相エンコーダー、11、11c…マルチスリットLED、11a…狭幅単スリットLED、12、12a…反射型スケール、13、13a、13b、13c…フォトダイオードアレー、101…第1処理回路、111、112、211、212、311~314、411、412…フォトダイオード、121、122、221、222、321、322…バイポーラートランジスター、131、141、151、161、171、231、241、251、261、331、341、351、361、371、611…オペアンプ、132、142、134、144、152、154、162、232、234、242、244、252、254、262、332、334、342、344、352、354、362、612…抵抗、133、143、153、163、172、233、243、253、263、333、343、353、363、613…電圧源、421、441、461、521、541、561、581、731、761、771、431、432、451、452、531、532、551、552、571、572、721、722、741、742、781、782…MOSトランジスター、201…第2処理回路、401…第3処理回路、711、811…電流源、712…電圧源、1011、1311、1411、2011、2111、2211、2311…強度特性、1121…A相およびB相の要、1131、1132…Z相の要、1211、1212、1231、1232、1511、1512、1531、1532、2021、2031、2121、2131、2221、2231、2321、2322、2331…特性、1221、1521…リサージュ波形、3011…Zp増幅電流、3012…Zn増幅電流、3021…差分電流、A1、A1a、A1c…発光面、B1、B1a、C1、C1a…反射面、D1、D1a…吸収面、E1、E1a…フォトダイオードアレーのピクセルイメージ、F1a…交点、G1~G5…単位発光面、H1、H2、H11、H12、H21、H22、H31、H32、H41~H44…位置、J1、J2、J11~J13…カレントミラー回路、K1~K3、K11~K14…ノード、L1…Zp電流増幅回路ブロック、L2…Zn電流増幅回路ブロック、L3…Zn電流折り返し回路ブロック、L4…I-V変換回路ブロック、P1、P2、P11、P12、P21、P22…IV変換回路、P3、P4、P13、P14、P23、P24…反転増幅回路、Q1…差動増幅回路、W1、W1a…方向