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特開2023-140109タービン本体機器交換工法および本体機器廻り配管組立用装置
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  • 特開-タービン本体機器交換工法および本体機器廻り配管組立用装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140109
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】タービン本体機器交換工法および本体機器廻り配管組立用装置
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/00 20060101AFI20230927BHJP
   F02C 7/20 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
F01D25/00 X
F02C7/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045982
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 勇人
(72)【発明者】
【氏名】澤 徹
(72)【発明者】
【氏名】石橋 和利
(72)【発明者】
【氏名】小林 吉久
(57)【要約】
【課題】タービン本体機器の更新工事に関して、発電停止期間を短縮する。
【解決手段】実施形態によれば、発電所におけるタービン本体機器の交換に際してのタービン本体機器交換工法は、既設のタービン本体機器およびタービン本体機器まわりの撤去対象既設配管を撤去する既設撤去ステップS31と、新たなタービン本体機器を据付ける本体機器据付けステップS32と、撤去対象既設配管に代えて新たに設置する本体機器廻り配管と新たな本体機器および接続対象既設配管との接続とを行う位置に、本体機器廻り配管を搬入する本体機器廻り配管搬入ステップS33と、本体機器廻り配管と新たなタービン本体機器との接続および本体機器廻り配管と接続対象既設配管との接続を行う配管接続ステップS34と、本体機器廻り配管の製造、組立(芯出し、溶接)を工場にて行う工場ステップS20とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電所における既設のタービン本体機器の新たなタービン本体機器への交換に際してのタービン本体機器交換工法であって、
前記発電所における現地ステップと、
工場における工場ステップと、
を有し、
前記現地ステップは、
前記既設のタービン本体機器および前記既設のタービン本体機器まわりの撤去対象既設配管を撤去する既設撤去ステップと、
前記の既設撤去ステップの後に、前記新たなタービン本体機器を据付ける本体機器据付けステップと、
前記本体機器据付けステップの後に、前記撤去対象既設配管に代えて新たに設置する本体機器廻り配管と前記新たなタービン本体機器との接続と、前記本体機器廻り配管と前記撤去対象既設配管の撤去後に残された接続対象既設配管との接続とを行う位置に、前記本体機器廻り配管を搬入する本体機器廻り配管搬入ステップと、
前記本体機器廻り配管搬入ステップの後に、前記本体機器廻り配管と前記新たなタービン本体機器との接続、および前記本体機器廻り配管と前記接続対象既設配管との接続を行う配管接続ステップと、
を有し、
前記工場ステップは、前記本体機器廻り配管搬入ステップの前に、前記工場において、前記本体機器廻り配管の組立(芯出し、溶接)、確認を行うステップ、およびその後に、前記本体機器廻り配管搬入ステップのために前記本体機器廻り配管を前記発電所に向けて出荷するステップを有することを特徴とするタービン本体機器交換工法。
【請求項2】
前記工場ステップは、
前記本体機器廻り配管の製造を行う工場製造ステップと、
本体機器廻り配管組立用装置の工場組立用治具装置の本体機器支持装置を設置する支持装置設置ステップと、
前記新たなタービン本体機器を前記本体機器支持装置上に設置し支持する本体設置ステップと、
前記新たなタービン本体機器に、前記本体機器廻り配管を接続し、仮組立てして、前記接続対象既設配管との接続位置が正しいことを確認する接続位置確認ステップと、
前記接続対象既設配管との接続のために前記本体機器廻り配管を現地への搬入可能な単位に組立てる工場組立ステップと、
を有することを特徴とする請求項1に記載のタービン本体機器交換工法。
【請求項3】
前記工場ステップにおいて、前記新たなタービン本体機器に代えて、前記新たなタービン本体機器を模擬した模擬本体機器を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタービン本体機器交換工法。
【請求項4】
前記工場ステップにおいて、前記発電所における前記新たなタービン本体機器の基礎を前記工場で再現するために、本体位置決め用部材を利用することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のタービン本体機器交換工法。
【請求項5】
請求項2に記載の工場ステップにおいて用いる前記本体機器廻り配管組立用装置は、
前記新たなタービン本体機器を支持するための前記本体機器支持装置と、
前記本体機器廻り配管を支持するための配管支持装置と、
を備えることを特徴とする本体機器廻り配管組立用装置。
【請求項6】
前記本体機器支持装置は、上端が上下に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項5に記載の本体機器廻り配管組立用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、タービン本体機器交換工法および本体機器廻り配管組立用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所の機器の更新は、予防保全等の上でも重要である。一方、機器更新が、発電所の運転を停止状態にして実施する必要がある場合、発電事業者にとって、機器更新による発電停止期間を可能な限り短縮することが望まれる。
【0003】
特に、タービンの更新工事では、一般的に既設機器撤去工事、タービン据付、タービン廻りの配管溶接工事、配管と既設機器の締結工事といった工程は全て発電所内で実施、完結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6740167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の工法では、タービンの更新工事の間は発電を停止しなければならない。既往のタービン更新工事では、一般的に発電所内で全ての工事が実施され、周辺設備との干渉を回避しながら設置、配管溶接作業を実施するが、これらを簡略化することはできないことから、発電を停止しての工事工程が短縮することが困難であった。
【0006】
特に、コンバインドサイクルのガスタービンの更新工事の場合は、関連する機器および配管が多いため、ガスタービン廻りの配管工事が複雑で、工事工程がさらに長くなるという問題があった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、タービン本体機器の更新工事に関して、発電停止期間を短縮する新たなタービン本体機器交換工法および本体機器廻り配管組立用装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係るタービン本体機器交換工法は、発電所における既設のタービン本体機器の新たなタービン本体機器への交換に際してのタービン本体機器交換工法であって、前記発電所における現地ステップと、工場における工場ステップと、を有し、前記現地ステップは、前記既設のタービン本体機器および前記既設のタービン本体機器まわりの撤去対象既設配管を撤去する既設撤去ステップと、前記の既設撤去ステップの後に、前記新たなタービン本体機器を据付ける本体機器据付けステップと、前記本体機器据付けステップの後に、前記撤去対象既設配管に代えて新たに設置する本体機器廻り配管と前記新たなタービン本体機器との接続と、前記本体機器廻り配管と前記撤去対象既設配管の撤去後に残された接続対象既設配管との接続とを行う位置に、前記本体機器廻り配管を搬入する本体機器廻り配管搬入ステップと、前記本体機器廻り配管搬入ステップの後に、前記本体機器廻り配管と前記新たなタービン本体機器との接続、および前記本体機器廻り配管と前記接続対象既設配管との接続を行う配管接続ステップと、を有し、前記工場ステップは、前記本体機器廻り配管搬入ステップの前に、前記工場において、前記本体機器廻り配管の組立(芯出し、溶接)、確認を行うステップ、およびその後に、前記本体機器廻り配管搬入ステップのために前記本体機器廻り配管を前記発電所に向けて出荷するステップを有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係るタービン本体機器交換工法の手順を示すフロー図である。
図2】第1の実施形態に係るタービン本体機器交換工法の工場ステップにおける状態を示す概念的な構成図である。
図3】従来工法によるタービン本体機器交換の現地工程を示す工程図である。
図4】第1の実施形態によるタービン本体機器交換の現地工程を示す工程図である。
図5】第2の実施形態に係るタービン本体機器交換工法の工場ステップにおける状態を示す概念的な構成図である。
図6】第3の実施形態に係るタービン本体機器交換工法の工場ステップにおける状態を示す概念的な構成図である。
図7】第4の実施形態に係るタービン本体機器交換工法の手順を示すフロー図である。
図8】第4の実施形態に係るタービン本体機器交換工法の工場ステップにおける状態を示す概念的な構成図である。
図9】第4の実施形態によるタービン本体機器交換の現地工程を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るタービン本体機器交換工法および本体機器廻り配管組立用装置について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るタービン本体機器交換工法の手順を示すフロー図である。具体的には、図1は、発電所における既設のタービン本体機器の新たなタービン本体機器への交換に際してのタービン交換工法の手順を示す。
【0012】
ここで、タービン本体機器とは、タービン本体を意味するが、ガスタービンの場合は、圧縮機および燃焼器を含んだ場合もタービン本体機器と呼ぶものとする。
【0013】
以下、ガスタービンの場合を例にとって説明するが、例えば、蒸気タービン等の他のタービンについても適用が可能である。また、以下のガスタービンの例では、後述の図2に示すように、タービン本体機器10は、燃焼器11、圧縮機12、およびガスタービン13を有する場合とする。
【0014】
発電所でのステップを説明する前に、工場でのステップについて説明する。
【0015】
まず、タービン本体機器10は、ガスタービンの製造工場において製造、組み立てがなされる(ステップS11)。製作されたタービン本体機器10は、配管の製造、組み立てを行う工場(配管工場)に送られる。
【0016】
後述するステップS20での配管側工場での確認が行われた後に、タービン本体機器10は、発電所に輸送される(ステップS12)。
【0017】
次に、配管側工場での工場ステップS20について説明する。工場ステップS20は、後述する撤去対象既設配管に代えて新たに設置する本体機器廻り配管を発電所に搬入するまえに、配管工場において、発電所の基礎および周辺設備を再現して、配管の組み立ておよび確認までを行うステップである。
【0018】
図2は、第1の実施形態に係るタービン本体機器交換工法の工場ステップS20における状態を示す概念的な構成図である。
【0019】
工場ステップS20においては、本体機器廻り配管20の組み立て、および本体機器廻り配管20を現地に設置した場合に、発電所における接続対象既設配管(図示せず)との取り合い条件を満足するか否かの確認を行う際に、本体機器廻り配管組立用装置100を用いる。
【0020】
本体機器廻り配管組立用装置100は、本体機器支持装置110および配管支持装置120を有する。
【0021】
本体機器支持装置110は、タービン本体機器10である燃焼器11、圧縮機12、およびガスタービン13を支持する。本体機器支持装置110は、圧縮機12側およびガスタービン13側のそれぞれに設けられた受け部材111および本体機器基礎112を有する。
【0022】
それぞれの受け部材111は、圧縮機12およびガスタービン13のそれぞれが直接に搭載される部材である。また、本体機器基礎112は、受け部材111に掛かるタービン本体機器10の荷重を受けて、工場の床面にその荷重を伝達する。
【0023】
タービン本体機器10の軸方向の位置決めは、たとえば、圧縮機12の表面に設けられた本体位置決め用部材14の軸方向の位置を、圧縮機12側の受け部材111の軸方向の中心に合わせるようしてなされる。ここで、本体位置決め用部材14は、たとえば、タービンセンターピンである。また、タービン本体機器10の軸に垂直かつ水平方向の位置決めも、受け部材111とタービン本体機器10とを上方から見ての軸の位置を合わせる、あるいは所定の間隔とすることによりなされる。
【0024】
この結果、タービン本体機器10と本体機器廻り配管組立用装置100との相対的な位置が決定される。このようにして、発電所におけるタービン本体機器10の基礎および周辺配置が、工場において再現される。
【0025】
配管支持装置120は、たとえば、工場の床上に設置された架構である。配管支持装置120は、本体機器廻り配管20、すなわち、たとえば、燃焼器11に接続される燃料配管21および燃料掃気配管22、ガスタービン13と圧縮機12を接続する第1の抽気冷却空気配管23および第2の抽気冷却空気配管24を支持する。
【0026】
圧縮機12の、第1の抽気冷却空気配管23および第2の抽気冷却空気配管24のそれぞれとの接続部には、圧縮機第1フランジ12fおよび圧縮機第2フランジ12gが設けられている。
【0027】
ガスタービン13において、第1の抽気冷却空気配管23および第2の抽気冷却空気配管24のそれぞれとの接続部には、ガスタービン第1フランジ13fおよびガスタービン第2フランジ13gが設けられている。また、第1の抽気冷却空気配管23および第2の抽気冷却空気配管24のそれぞれとの接続部には、これらい対応する相フランジが設けられている。
【0028】
また、図2に示す例では、第1の抽気冷却空気配管23の途中には、第1の抽気冷却空気配管23を、発電所での搬入を考慮した適切な長さに2分するように抽気管フランジ24aが設けられている。
【0029】
配管側工場での工場ステップS20として、まず、設計図面に基づいて、本体機器廻り配管の製作が行われる(ステップS21)。
【0030】
次に、ステップS11で製作されたタービン本体機器10を受け入れて、タービン本体機器10を設置する(ステップS22)。すなわち、本体位置決め用部材14の位置を本体機器支持装置110の位置あるいは所定の間隔の位置に合わせながら、タービン本体機器10を本体機器支持装置110上に搭載する。
【0031】
次に、本体機器廻り配管20の組立(芯出し、溶接)、確認を行う(ステップS23)。このステップでは、まず、タービン本体機器10との接続・組立てを行い、順次、タービン本体機器10から遠い側に接続範囲を広げていく。一通り接続により組立が完了した段階で、確認を行う。確認は、工場において接続・組立てされた後の本体機器廻り配管20のそれぞれの端部が、接続対象既設配管との取り合い条件を満たしているかを確認する。確認は、取り合い位置、方向、取り合い形状の確認を含む。
【0032】
ステップS23で確認までなされた本体機器廻り配管20は、出荷準備の上、発電所(現地)に出荷される(ステップS24)。出荷準備においては、現地での搬入を考慮して、最小単位に分解する。たとえば、第2の抽気冷却空気配管24は抽気管フランジ24aで分割された状態で輸送用の梱包等がなされ、出荷される。ただし、現地での接続作業を極力低減するために、現地への搬入が可能な場合は、極力、接続、組み立てられた状態出荷される。工場から出荷された本体機器廻り配管20は、発電所に輸送される(ステップS25)。
【0033】
次に、発電所でのステップS30について、順次説明する。
【0034】
まず、交換する既設のタービン本体機器および既設のタービン本体機器まわりの撤去対象既設配管を撤去する(ステップS31)。この既設撤去ステップS31において撤去対象既設配管を撤去した後には、既設配管が残される。この既設配管は、接続対象既設配管として、撤去対象既設配管に代えて新たに設置される本体機器廻り配管20と取り合うことになる。したがって、この既設撤去ステップS31は、接続対象既設配管と本体機器廻り配管20との取り合い条件が、設計図とおりであるかを確認するステップを含む。取り合い条件は、既設側で開先を切るような場合を含めて、取り合いの位置、方向、取り合い形状等を含む。
【0035】
次に、ステップS12で発電所に輸送されたタービン本体機器10の搬入、据付けを行う(ステップS32)。
【0036】
次に、工場ステップS20で工場での組み立て、確認を終え発電所に輸送された本体機器廻り配管20を搬入する(ステップS33)。すなわち、新たなタービン本体機器10と、撤去対象既設配管の撤去後に残された接続対象既設配管との、それぞれとの接続を行う位置に本体機器廻り配管20を搬入する。工場において、取り合い条件を満たすことの確認を行っていることから、本体機器廻り配管20は、新たなタービン本体機器10および接続対象既設配管のそれぞれと、問題なく接続できる状態にある。
【0037】
次に、本体機器廻り配管20と、新たなタービン本体機器10および接続対象既設配管のそれぞれとの接続を行う(ステップS34)。以上により、タービン本体機器10と本体機器廻り配管20が既設のものとそれぞれ取り替えられ、設置された。
【0038】
次に、交換工事後の試運転を行う(ステップS35)。
【0039】
次に、本実施形態の効果を、比較のために、従来工法と比較しながら説明する。
【0040】
図3は、従来工法によるガスタービン交換の現地工程を示す工程図である。また、図4は、第1の実施形態によるガスタービン交換の現地工程を示す工程図である。
【0041】
従来のガスタービン交換の現地工程は、本実施形態のステップS31に対応する既設設備撤去工事、本実施形態のステップS32に対応するタービン本体機器搬入・据付けステップS32、本実施形態のステップS34に対応する本体機器廻り配管接続ステップS34,および本実施形態のステップS35に対応する試運転準備の各ステップを有している。しかしながら、これらのステップに加えて、従来のガスタービン交換の現地工程は、本体機器廻り配管組立てのステップが存在している。
【0042】
一方、本実施形態においては、タービン本体機器10交換の現地工程においては、本体機器廻り配管組立ては、工場ステップS20において実施されるので、従来の現地における本体機器廻り配管組立てのステップは不要である。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、工場ステップにおいて、発電所のタービン本体機器10の基礎および周辺配置を再現して、取り合い条件を満たすことが確認される。この結果、新たなタービン本体機器10および接続対象既設配管のそれぞれと問題なく接続できる状態にあるので、本体機器廻り配管20を搬入するのみで、現地での調整なしに、接続作業を行うことができる。
【0044】
このように、従来工法では、現地においてクリティカルパスとなっていた本体機器廻り配管20用の部材の搬入から既設接続対象との取り合いのための部材の加工等の工程が不要となる。
【0045】
以上のように、本実施形態によるタービン本体機器交換工法および本体機器廻り配管組立用装置は、タービン本体機器の更新工事に関して、発電停止期間を短縮することかできる。
【0046】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係るタービン本体機器交換工法の工場ステップにおける状態を示す概念的な構成図である。
【0047】
本実施形態は、第1の実施形態の変形であり、本体機器廻り配管組立用装置100aの本体機器支持装置110aのみが異なり、その他の点では、第1の実施形態と同様である。
【0048】
本体機器支持装置110aは、受け部材111、敷き鉄板113、定盤114、仮設架台115、および高さ調整用のシム116を有する。
【0049】
受け部材111は、第1の実施形態と同様である。工場の床上に敷かれる敷き鉄板113上に設置された定盤114によって、装置の基礎がさらに強化される。高さ方向の調整は、定盤114とそれに搭載された仮設架台115との間隔を調整用のシム116で調整することにより行われる。
【0050】
以上の構成により、本実施形態による本体機器支持装置110aは、現地の配置をさらに精度よく再現することができる。
【0051】
[第3の実施形態]
図6は、第3の実施形態に係るタービン本体機器交換工法の工場ステップにおける状態を示す概念的な構成図である。
【0052】
本実施形態は、第1の実施形態の変形であり、本体機器廻り配管組立用装置100bの本体機器支持装置110bのみが異なり、その他の点では、第1の実施形態と同様である。
【0053】
本体機器支持装置110bは、受け部材111、定盤114、および受け部材111と定盤114との間に配された上下可動式架台117を有する。
【0054】
以上のように、本実施形態による本体機器支持装置110bは、受け部材111と定盤114との間に、高さ方向が可変な上下可動式架台117を設けることにより、高さ方向の調整が容易となる。
【0055】
[第4の実施形態]
図7は、第4の実施形態に係るタービン本体機器交換工法の手順を示すフロー図である。
【0056】
本実施形態は、第1の実施形態の変形である。タービン本体機器10は、その工場で製作された後に、直接に現地すなわち発電所に輸送される。
【0057】
図8は、第4の実施形態に係るタービン本体機器交換工法の工場ステップにおける状態を示す概念的な構成図である。
【0058】
本構成図においては、第1の実施形態におけるタービン本体機器10に代えて、模擬燃焼器11a、模擬圧縮機12a、および模擬ガスタービン13aを有する模擬タービン本体機器10aが用いられる。
【0059】
模擬タービン本体機器10aは、新たに用いられるタービン本体機器10と、同一の外形を有する。ここで、同一の外形とは、少なくとも、外側の寸法および本体機器廻り配管との取り合い部分がタービン本体機器10と同一であることをいうものとする。
【0060】
図9は、第4の実施形態によるガスタービン交換の現地工程を示す工程図である。
【0061】
図9に示すように、それぞれの工場で製作されたタービン本体機器10と本体機器廻り配管20とは、互いに独立に発電所に輸送され、搬入される。
【0062】
本実施形態では、タービン本体機器10を、本体機器廻り配管の組立・確認ステップS22aに用いないことから、このステップに間に合うようにタービン本体機器10を前倒しで完成させる必要がない。また、タービン本体機器10を、配管側の工場に輸送する必要がない。
【0063】
以上のように、本実施形態によるタービン本体機器交換工法および本体機器廻り配管組立用装置により、タービン本体機器10に関しての製造工程の前倒しおよび輸送の費用発生を不要とすることができる。
【0064】
以上、説明した実施形態によれば、タービン本体機器の更新工事に関して、発電停止期間を短縮する新たなタービン本体機器交換工法および本体機器廻り配管組立用装置を提供することが可能となる。
【0065】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態の特徴を組み合わせてもよい。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
10…タービン本体機器、10a…模擬タービン本体機器、11…燃焼器、11a…模擬燃焼器、12…圧縮機、12a…模擬圧縮機、12f…圧縮機第1フランジ、12g…圧縮機第2フランジ、13…ガスタービン、13a…模擬ガスタービン、13f…ガスタービン第1フランジ、13g…ガスタービン第2フランジ、14…本体位置決め用部材、20…本体機器廻り配管、21…燃料配管、22…燃料掃気配管、23…第1の抽気冷却空気配管、24…第2の抽気冷却空気配管、24a…抽気管フランジ、100、100a、100b…本体機器廻り配管組立用装置、110、110a…本体機器支持装置、111…受け部材、112…本体機器基礎、113…敷き鉄板、114…定盤、115…仮設架台、116…シム、117…上下可動式架台、120…配管支持装置、130…ガスタービン模型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9