IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KDDI株式会社の特許一覧

特開2023-140168通信システム、車載通信端末、中継装置、通信方法およびプログラム
<>
  • 特開-通信システム、車載通信端末、中継装置、通信方法およびプログラム 図1
  • 特開-通信システム、車載通信端末、中継装置、通信方法およびプログラム 図2
  • 特開-通信システム、車載通信端末、中継装置、通信方法およびプログラム 図3
  • 特開-通信システム、車載通信端末、中継装置、通信方法およびプログラム 図4
  • 特開-通信システム、車載通信端末、中継装置、通信方法およびプログラム 図5
  • 特開-通信システム、車載通信端末、中継装置、通信方法およびプログラム 図6
  • 特開-通信システム、車載通信端末、中継装置、通信方法およびプログラム 図7
  • 特開-通信システム、車載通信端末、中継装置、通信方法およびプログラム 図8
  • 特開-通信システム、車載通信端末、中継装置、通信方法およびプログラム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140168
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】通信システム、車載通信端末、中継装置、通信方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/14 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
H04L12/14
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046061
(22)【出願日】2022-03-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 修
(72)【発明者】
【氏名】中島 純
(72)【発明者】
【氏名】長坂 隆志
(72)【発明者】
【氏名】大塚 康一
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA11
5K030HB08
5K030HD03
5K030JA11
5K030JT02
(57)【要約】
【課題】課金分離数の増大に対応可能な通信システムを提供する。
【解決手段】車載通信端末と、車載通信端末とサーバとの間の通信を中継する中継装置と、サーバとを備える通信システムであって、中継装置及びサーバは、パケット通信料金の課金先を識別する課金分離IDと、車載通信端末の送信元ポート番号とを対応付けた第1テーブルをそれぞれ記憶し、車載通信端末は、パケット送信する際に、第1テーブルと複数の車載アプリケーションそれぞれのアプリケーションIDと、課金分離IDとを対応付けた第2テーブルとに基づいて、アプリケーションIDと関連付けられた課金分離IDに対応する送信元ポート番号を含むパケットを送信し、中継装置は、車載通信端末から受信したパケットに含まれるポート番号情報に基づき特定した送信元ポート番号と対応づけられた課金分離IDを特定し、特定した課金分離IDと受信パケット数とを関連づけた課金レコードを生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載通信端末と、前記車載通信端末とサーバとの間の通信を中継する中継装置と、を備える通信システムであって、
前記車載通信端末は、
パケット通信料金の課金先を識別する課金分離IDと、前記車載通信端末の送信元ポート番号とを対応付けた第1テーブルを取得し、
複数の車載アプリケーションそれぞれのアプリケーションIDと、前記課金分離IDとを対応付けた第2テーブルを記憶し、
複数の車載アプリケーションのいずれかのアプリケーションからパケット送信する際に、前記第1テーブルと前記第2テーブルとに基づいて、当該アプリケーションのアプリケーションIDと関連付けられた課金分離IDに対応する送信元ポート番号を選択し、
選択した送信元ポート番号を示すポート番号情報を含むパケットを送信し、
前記中継装置は、
前記第1テーブルを記憶し、
前記車載通信端末から受信したパケットに含まれる前記ポート番号情報に基づき送信元ポート番号を特定し、
前記第1テーブルに基づいて、特定した送信元ポート番号と対応づけられた課金分離IDを特定し、
特定した課金分離IDと受信パケット数とを関連づけた課金レコードを生成する、
通信システム。
【請求項2】
前記第1テーブルには、前記課金分離IDと、前記車載通信端末の送信元ポート番号の範囲とが対応付けられ、
前記車載通信端末は、
複数の車載アプリケーションのいずれかのアプリケーションからパケット送信する際に、取得した前記第1テーブルが示す送信元ポート番号の範囲に基づいて、当該アプリケーションのアプリケーションIDと関連付けられた課金分離IDに対応する送信元ポート番号の範囲の中から、使用する送信元ポート番号を選択することにより、前記送信元ポート番号を選択する
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記通信システムは課金を管理する課金管理サーバを含み、
前記課金管理サーバは、前記第1テーブルを記憶し、
前記車載通信端末は、前記課金管理サーバから前記第1テーブルを取得する、
請求項1または請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記課金管理サーバは、前記車載通信端末からの要求に応じて、更新後の前記第1テーブルを前記車載通信端末に送信する
請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記課金管理サーバは、前記中継装置から前記課金レコードを取得する、
請求項3または請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記中継装置は、
前記車載通信端末からの上り通信の受信パケット数と、当該上り通信の前記課金分離IDに対応する下り通信の受信パケット数と、前記課金分離IDとを関連づけた課金レコードを生成する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項7】
車載通信端末であって、
パケット通信料金の課金先を識別する課金分離IDと、前記車載通信端末の送信元ポート番号とを対応付けた第1テーブルを取得する取得部と、
複数の車載アプリケーションそれぞれのアプリケーションIDと、前記課金分離IDとを対応付けた第2テーブルを記憶する記憶部と、
複数の車載アプリケーションのいずれかのアプリケーションからパケット送信する際に、前記第1テーブルと前記第2テーブルとに基づいて、当該アプリケーションのアプリケーションIDと関連付けられた課金分離IDに対応する送信元ポート番号を選択する選択部と、
選択した送信元ポート番号を示すポート番号情報を含むパケットを送信する送信部と、
を有する車載通信端末。
【請求項8】
前記第1テーブルには、前記課金分離IDと、前記車載通信端末の送信元ポート番号の範囲とが対応付けられ、
前記選択部は、前記複数の車載アプリケーションのいずれかのアプリケーションからパケット送信する際に、取得した前記第1テーブルが示す送信元ポート番号の範囲に基づいて、当該アプリケーションのアプリケーションIDと関連付けられた課金分離IDに対応する送信元ポート番号の範囲の中から、使用する送信元ポート番号を選択する、
請求項7に記載の車載通信端末。
【請求項9】
車載通信端末とサーバとの間の通信を中継する中継装置であって、
パケット通信料金の課金先を識別する課金分離IDと、車載通信端末の送信元ポート番号とを対応付けた第1テーブルを記憶する記憶部と、
車載通信端末から受信したパケットに含まれるポート番号情報に基づき送信元ポート番号を特定し、前記第1テーブルに基づいて、特定した送信元ポート番号と対応づけられた課金分離IDを特定する特定部と、
特定した課金分離IDと受信パケット数とを関連づけた課金レコードを生成する生成部と、
を有する中継装置。
【請求項10】
前記第1テーブルには、前記課金分離IDと、前記車載通信端末の送信元ポート番号の範囲とが対応付けられている、
請求項9に記載の中継装置。
【請求項11】
課金を管理する課金管理サーバに対して、生成した課金レコードを送信する送信部
を有する請求項9または請求項10に記載の中継装置。
【請求項12】
前記生成部は、前記車載通信端末からの上り通信の受信パケット数と、当該上り通信の前記課金分離IDに対応する下り通信の受信パケット数と、前記課金分離IDとを関連づけた課金レコードを生成する
請求項9から請求項11のいずれか一項に記載の中継装置。
【請求項13】
車載通信端末が、
パケット通信料金の課金先を識別する課金分離IDと、前記車載通信端末の送信元ポート番号とを対応付けた第1テーブルを取得し、
複数の車載アプリケーションそれぞれのアプリケーションIDと、前記課金分離IDとを対応付けた第2テーブルを記憶させ、
複数の車載アプリケーションのいずれかのアプリケーションからパケット送信する際に、前記第1テーブルと前記第2テーブルとに基づいて、当該アプリケーションのアプリケーションIDと関連付けられた課金分離IDに対応する送信元ポート番号を選択し、
選択した送信元ポート番号を示すポート番号情報を含むパケットを送信する、
通信方法。
【請求項14】
車載通信端末とサーバとの間の通信を中継する中継装置が、
パケット通信料金の課金先を識別する課金分離IDと、車載通信端末の送信元ポート番号とを対応付けた第1テーブルを記憶させ、
車載通信端末から受信したパケットに含まれるポート番号情報に基づき送信元ポート番号を特定し、
前記第1テーブルに基づいて、特定した送信元ポート番号と対応づけられた課金分離IDを特定し、
特定した課金分離IDと受信パケット数とを関連づけた課金レコードを生成する、
通信方法。
【請求項15】
車載通信端末が備えるコンピュータまたは中継装置が備えるコンピュータが、
請求項13に記載の通信方法、または請求項14に記載の通信方法を実行するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通信システム、車載通信端末、中継装置、通信方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MaaS(Mobility as a Service)や車両ビッグデータ活用が進んでいる。車載通信の受益者は自動車会社だけでなく、例えば、保険会社や車両販売会社など多様化することが想定される。この状況下で受益者負担の原則を適用するには、通信内容を識別し課金を分離することが求められる。
従来、通信内容を識別し、課金を識別する方法として従来からAPN(Access Point Name)が用いられている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国登録特許第102249463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したようなAPNでは、同時通信数に制約があるため今後予想される課金分離数の増大に対応しきれないといった課題がある。
【0005】
本発明は、課金分離数の増大に対応可能な通信システム、車載通信端末、中継装置、通信方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、車載通信端末と、前記車載通信端末とサーバとの間の通信を中継する中継装置と、を備える通信システムであって、前記車載通信端末は、パケット通信料金の課金先を識別する課金分離IDと、前記車載通信端末の送信元ポート番号とを対応付けた第1テーブルを取得し、複数の車載アプリケーションそれぞれのアプリケーションIDと、前記課金分離IDとを対応付けた第2テーブルを記憶し、複数の車載アプリケーションのいずれかのアプリケーションからパケット送信する際に、前記第1テーブルと前記第2テーブルとに基づいて、当該アプリケーションのアプリケーションIDと関連付けられた課金分離IDに対応する送信元ポート番号を選択し、選択した送信元ポート番号を示すポート番号情報を含むパケットを送信し、前記中継装置は、前記第1テーブルを記憶し、前記車載通信端末から受信したパケットに含まれる前記ポート番号情報に基づき送信元ポート番号を特定し、前記第1テーブルに基づいて、特定した送信元ポート番号と対応づけられた課金分離IDを特定し、特定した課金分離IDと受信パケット数とを関連づけた課金レコードを生成する、通信システムである。
【0007】
本発明の一実施形態の通信システムにおいて、前記第1テーブルには、前記課金分離IDと、前記車載通信端末の送信元ポート番号の範囲とが対応付けられ、前記車載通信端末は、複数の車載アプリケーションのいずれかのアプリケーションからパケット送信する際に、取得した前記第1テーブルが示す送信元ポート番号の範囲に基づいて、当該アプリケーションのアプリケーションIDと関連付けられた課金分離IDに対応する送信元ポート番号の範囲の中から、使用する送信元ポート番号を選択することにより、前記送信元ポート番号を選択する。
【0008】
本発明の一実施形態の通信システムにおいて、前記課金管理サーバは、前記車載通信端末からの要求に応じて、更新後の前記第1テーブルを前記車載通信端末に送信する。
【0009】
本発明の一実施形態の通信システムにおいて、前記課金管理サーバは、前記車載通信端末からの要求に応じて、更新後の前記第1テーブルを前記車載通信端末に送信する。
【0010】
本発明の一実施形態の通信システムにおいて、前記課金管理サーバは、前記中継装置から前記課金レコードを取得する。
【0011】
本発明の一実施形態の通信システムにおいて、前記中継装置は、前記車載通信端末からの上り通信の受信パケット数と、当該上り通信の前記課金分離IDに対応する下り通信の受信パケット数と、前記課金分離IDとを関連づけた課金レコードを生成する。
【0012】
本発明の一実施形態は、パケット通信料金の課金先を識別する課金分離IDと、前記車載通信端末の送信元ポート番号とを対応付けた第1テーブルを取得する取得部と、複数の車載アプリケーションそれぞれのアプリケーションIDと、前記課金分離IDとを対応付けた第2テーブルを記憶する記憶部と、複数の車載アプリケーションのいずれかのアプリケーションからパケット送信する際に、前記第1テーブルと前記第2テーブルとに基づいて、当該アプリケーションのアプリケーションIDと関連付けられた課金分離IDに対応する送信元ポート番号を選択する選択部と、選択した送信元ポート番号を示すポート番号情報を含むパケットを送信する送信部と、を有する車載通信端末である。
【0013】
本発明の一実施形態の車載通信端末において、前記第1テーブルには、前記課金分離IDと、前記車載通信端末の送信元ポート番号の範囲とが対応付けられ、前記選択部は、前記複数の車載アプリケーションのいずれかのアプリケーションからパケット送信する際に、取得した前記第1テーブルが示す送信元ポート番号の範囲に基づいて、当該アプリケーションのアプリケーションIDと関連付けられた課金分離IDに対応する送信元ポート番号の範囲の中から、使用する送信元ポート番号を選択する。
【0014】
本発明の一実施形態は、車載通信端末とサーバとの間の通信を中継する中継装置であって、パケット通信料金の課金先を識別する課金分離IDと、前記車載通信端末の送信元ポート番号とを対応付けた第1テーブルを記憶する記憶部と、車載通信端末から受信したパケットに含まれるポート番号情報に基づき送信元ポート番号を特定し、前記第1テーブルに基づいて、特定した送信元ポート番号と対応づけられた課金分離IDを特定する特定部と、特定した課金分離IDと受信パケット数とを関連づけた課金レコードを生成する生成部と、を有する中継装置である。
【0015】
本発明の一実施形態の中継装置において、前記第1テーブルには、前記課金分離IDと、前記車載通信端末の送信元ポート番号の範囲とが対応付けられている。
【0016】
本発明の一実施形態の中継装置において、課金を管理する課金管理サーバに対して、生成した課金レコードを送信する送信部を有する。
【0017】
本発明の一実施形態の中継装置において、前記生成部は、前記車載通信端末からの上り通信の受信パケット数と、当該上り通信の前記課金分離IDに対応する下り通信の受信パケット数と、前記課金分離IDとを関連づけた課金レコードを生成する。
【0018】
本発明の一実施形態は、車載通信端末が、パケット通信料金の課金先を識別する課金分離IDと、前記車載通信端末の送信元ポート番号とを対応付けた第1テーブルを取得し、複数の車載アプリケーションそれぞれのアプリケーションIDと、前記課金分離IDとを対応付けた第2テーブルを記憶させ、複数の車載アプリケーションのいずれかのアプリケーションからパケット送信する際に、前記第1テーブルと前記第2テーブルとに基づいて、当該アプリケーションのアプリケーションIDと関連付けられた課金分離IDに対応する送信元ポート番号を選択し、選択した送信元ポート番号を示すポート番号情報を含むパケットを送信する、通信方法である。
【0019】
本発明の一実施形態は、車載通信端末とサーバとの間の通信を中継する中継装置が、パケット通信料金の課金先を識別する課金分離IDと、前記車載通信端末の送信元ポート番号とを対応付けた第1テーブルを記憶させ、車載通信端末から受信したパケットに含まれるポート番号情報に基づき送信元ポート番号を特定し、前記第1テーブルに基づいて、特定した送信元ポート番号と対応づけられた課金分離IDを特定し、特定した課金分離IDと受信パケット数とを関連づけた課金レコードを生成する、通信方法である。
【0020】
本発明の一実施形態は、車載通信端末が備えるコンピュータまたは中継装置が備えるコンピュータが、請求項13に記載の通信方法、または請求項14に記載の通信方法を実行するためのプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、課金分離数の増大に対応可能な通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態の通信システムの構成例を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る通信端末装置の構成例を示すブロック図である。
図3】本実施形態のポート割当テーブルの一例を示す図である。
図4】本実施形態の課金分離IDテーブルの一例を示す図である。
図5】本実施形態のポート番号テーブルの一例を示す図である。
図6】本実施形態のサーバおよび中継装置へのポート割当テーブルの設定の手順の一例を示す図である。
図7】本実施形態の通信端末装置へのポート割当テーブルの設定の手順の一例を示す図である。
図8】本実施形態の通信端末装置の送信元ポート番号の設定の手順の一例を示す図である。
図9】本実施形態の中継装置によるパケット数計測の手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
MaaSや車両ビッグデータ活用のための車載通信において、受益者負担の原則を適用するには、通信内容を識別し課金を分離することが求められる。
例えば、インフォテイメント系の通信や、車内LAN(Local Area Network)の通信は、当該車両を利用する利用者を課金先とすることが考えられる。
また、車両の走行データや履歴データは企業Aを課金先とし、車両データや車載ソフトウエアの書き換え(例えば、Over The Air;OTA)のデータは企業Bを課金先とし、広告データや販売促進用データは企業Cを課金先とする、などが考えられる。
【0024】
ここで、通信内容を識別し、課金を識別する方法として従来からAPN(Access Point Name)が用いられているが、APNは同時通信数に制約があるため今後予想される課金分離数の増大に対応しきれない可能性がある。
一方で、車載通信システムによる通信の安全性は重要であり、セキュリティ向上のために、通信の暗号化(TLS1.3等)が必要となる。車載アプリケーションとサーバ間のIP通信について、通信用途を識別するにはサーバの宛先を示すFQDN(Fully Qualified Domain Name)や宛先IPアドレスや宛先ポート番号で識別する方法があるが、通信の暗号化を使用する場合、これらが使用できない。
そこで、本実施形態の通信システム1は、課金分離数の制約を受けず、かつ、通信暗号化の影響を受けない方法として、「送信元ポート番号」を使用し、これを課金分離IDと紐づけることで分離課金を実現する。
以下、本実施形態の通信システム1の具体的な構成について説明する。
【0025】
図1は、本実施形態の通信システムの構成例を示すブロック図である。同図において、通信システム1は、通信端末装置2と課金管理サーバ3とアプリケーションサーバ5とが通信ネットワークNWに接続されて構成される。通信ネットワークNWは、無線ネットワークであってもよく、有線ネットワークであってもよく、又は無線ネットワークと有線ネットワークの両方から構成されてもよい。例えば、通信ネットワークNWは、インターネットと携帯電話網や無線LANなどから構成されてもよい。
なお、アプリケーションサーバ5は、アプリケーション毎に複数用意されていてもよい。この場合、アプリケーションサーバ5は、アプリケーション毎に複数用意されたサーバを総称する表現として用いる。
【0026】
すなわち、通信システム1は、通信端末装置2(車載通信端末)と、中継装置4とを備える。
【0027】
通信端末装置2は、有線回線又は無線回線により通信ネットワークNWに接続する。例えば、通信端末装置2は、自動車等の車両に搭載された車載通信端末装置又はスマートフォンやタブレット型のコンピュータ(タブレットPC)等の携帯端末装置であって、携帯電話網や無線LAN(Local Area Network)等の無線回線により通信ネットワークNWに接続する。本実施形態では、車載通信端末の場合を例に説明する。
【0028】
通信端末装置2と、アプリケーションサーバ5とは、IPプロトコルにより通信する。通信端末装置2とアプリケーションサーバ5との間で送受信されるIPパケットは、通信ネットワークNW内に設けられた一又は複数の中継装置4(4-1,4-2,・・・,4-n)によって転送される。
課金管理サーバ3は、通信端末装置2と、アプリケーションサーバ5との間の通信を監視し、通信の課金先を分離して管理する。通信端末装置2では、課金管理サーバ3に対応する課金管理クライアントが動作する。課金管理クライアントと課金管理サーバ3とは、課金分離のための情報の連携を行うことで、通信の課金先を分離して管理する。
【0029】
図2は、本実施形態の通信システムに含まれる各装置の構成例を示すブロック図である。
課金管理サーバ3は、通信システム1における通信の課金先を統括して管理する。課金管理サーバ3は、ネットワークオペレータ(不図示。以下、単にオペレータとも記載する。)の操作に基づいて、ポート割当テーブル421を生成する。ポート割当テーブル421の一例を図3に示す。以下の説明において、ポート割当テーブル421のことを、第1テーブルともいう。
【0030】
図3は、本実施形態のポート割当テーブル421の一例を示す図である。ポート割当テーブル421(第1テーブル)とは、パケット通信料金の課金先を識別する課金分離IDと、通信端末装置2の送信元ポート番号とを対応付ける情報である。
課金管理サーバ3は、生成したポート割当テーブル421を、中継装置4に送信する。
【0031】
中継装置4は、制御部41と、記憶部42とを備える。制御部41は、通信端末装置2および課金管理サーバ3との間の通信を制御する。
また、制御部41は、課金管理サーバ3から送信されたポート割当テーブル421を、記憶部42に記憶させる。なお、以下の説明において、ポート割当テーブル421を記憶部42に記憶させる動作のことを、中継装置4にポート割当テーブル421を設定する、ともいう。
【0032】
すなわち、課金管理サーバ3および中継装置4は、パケット通信料金の課金先を識別する課金分離IDと、通信端末装置2(車載通信端末)の送信元ポート番号とを対応付けたポート割当テーブル421(第1テーブル)をそれぞれ記憶する。
中継装置4は、ポート割当テーブル421を通信端末装置2に送信する。
【0033】
通信端末装置2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。
通信部21は、通信ネットワークNWに接続し、通信ネットワークNWを介して課金管理サーバ3と通信を行う。
制御部23は、通信部21が中継装置4からポート割当テーブル421を受信すると、受信したポート割当テーブル421を記憶部22に記憶させる。
【0034】
すなわち、通信部21は、パケット通信料金の課金先を識別する課金分離IDと、通信端末装置2(車載通信端末)の送信元ポート番号とを対応付けたポート割当テーブル421(第1テーブル)を取得する取得部として機能する。
【0035】
記憶部22には、課金分離IDテーブル221(第2テーブル)が記憶されている。図4を参照して、課金分離IDテーブル221の一例を説明する。
【0036】
図4は、本実施形態の課金分離IDテーブル221の一例を示す図である。課金分離IDテーブル221とは、複数の車載アプリケーションそれぞれのアプリケーションIDと、課金分離IDとを対応付けた情報である。
【0037】
すなわち、記憶部22は、複数の車載アプリケーションそれぞれのアプリケーションIDと、前記課金分離IDとを対応付けた課金分離IDテーブル221(第2テーブル)を記憶する。
【0038】
制御部23は、課金分離IDテーブル221と、ポート割当テーブル421とに基づいて、ポート番号テーブル222を生成する。
より具体的には、制御部23は、記憶部22に記憶されている課金分離IDテーブル221と、ポート割当テーブル421とを取得する。制御部23は、課金分離IDテーブル221が示す課金分離IDと、ポート割当テーブル421が示す課金分離IDとを対照する。制御部23は、課金分離IDが互いに一致する、課金分離IDテーブル221のアプリケーションIDと、ポート割当テーブル421のポート番号割当範囲との組を抽出する。制御部23は、抽出したアプリケーションIDとポート番号割当範囲との組に基づいて、ポート番号テーブル222を生成する。
【0039】
図5は、本実施形態のポート番号テーブル222の一例を示す図である。例えば、図4に示した課金分離IDテーブル221のアプリケーションID”APP1”の課金分離ID”A”と、図3に示したポート割当テーブル421のポート番号割当範囲”D/C(Don't Care)”の課金分離ID”A”とが一致する。
この場合、制御部23は、アプリケーションID”APP1”と、ポート番号割当範囲”D/C”とを組として、図5に示すポート番号テーブル222を生成する。
また、例えば、図4に示した課金分離IDテーブル221のアプリケーションID”APP2”の課金分離ID”B”と、図3に示したポート割当テーブル421のポート番号割当範囲”10001-20000”の課金分離ID”B”とが一致する。
この場合、制御部23は、アプリケーションID”APP2”と、ポート番号割当範囲”10001-20000”とを組として、図5に示すポート番号テーブル222を生成する。
同様にして、制御部23は、アプリケーションID”APP3”と、ポート番号割当範囲”20001-30000”とを組とし、アプリケーションID”APP4”と、ポート番号割当範囲”30001-40000”とを組として、ポート番号テーブル222を生成する。
【0040】
上述したように、ポート割当テーブル421には、課金分離IDと、通信端末装置2の送信元ポート番号の範囲とが対応付けられている。
制御部23は、アプリケーションIDに対応付けられたポート番号割当範囲の中から、パケット送信に使用する送信元ポート番号を選択する。制御部23は、選択した送信元ポート番号をポート番号テーブル222に設定する。
【0041】
すなわち、制御部23は、複数の車載アプリケーションのいずれかのアプリケーションからパケット送信する際に、ポート割当テーブル421(第1テーブル)と課金分離IDテーブル221(第2テーブル)とに基づいて、当該アプリケーションのアプリケーションIDと関連付けられた課金分離IDに対応する送信元ポート番号を選択する選択部として機能する。
【0042】
制御部23(選択部)は、複数の車載アプリケーションのいずれかのアプリケーションからパケット送信する際に、取得した第1テーブルが示す送信元ポート番号の範囲に基づいて、当該アプリケーションのアプリケーションIDと関連付けられた課金分離IDに対応する送信元ポート番号の範囲の中から、使用する送信元ポート番号を選択する。
【0043】
図5に示す一例では、制御部23は、アプリケーションID”APP2”に対応付けられたポート番号割当範囲”10001-20000”の中から、”15000”をパケット送信に使用する送信元ポート番号として選択する。制御部23は、選択した送信元ポート番号”15000”を、アプリケーションID”APP2”に対応付けてポート番号テーブル222に設定する。
同様に、制御部23は、アプリケーションID”APP3”に対応付けられたポート番号割当範囲”20001-30000”の中から、”25000”をパケット送信に使用する送信元ポート番号として選択し、アプリケーションID”APP4”に対応付けられたポート番号割当範囲”30001-40000”の中から、”35000”をパケット送信に使用する送信元ポート番号として選択する。
【0044】
なお、ポート割当テーブル421のポート番号割当範囲に”D/C”が設定されている場合には、制御部23は、ポート番号割当範囲が任意であるとして、任意の送信元ポート番号を選択する。
【0045】
制御部23は、複数の車載アプリケーションのいずれかのアプリケーションからパケット送信する際に、ポート番号テーブル222に基づいて、当該アプリケーションのアプリケーションIDと関連付けられた課金分離IDに対応する送信元ポート番号を選択する。
例えば、アプリケーションID”APP2”であるアプリケーションからパケット送信要求があると、制御部23は、アプリケーションID”APP2”に対応付けられた送信元ポート番号”15000”を選択する。
制御部23は、通信部21を介して、選択した送信元ポート番号”15000”を含むパケットを中継装置4に対して送信する。
【0046】
すなわち、通信部21は、選択した送信元ポート番号を示すポート番号情報を含むパケットを送信する。
【0047】
上述したように、ポート番号テーブル222は、ポート割当テーブル421と課金分離IDテーブル221とに基づいて生成されている。
換言すれば、制御部23は、複数の車載アプリケーションのいずれかのアプリケーションからパケット送信する際に、ポート割当テーブル421と課金分離IDテーブル221とに基づいて、当該アプリケーションのアプリケーションIDと関連付けられた課金分離IDに対応する送信元ポート番号を選択し、選択した送信元ポート番号を示すポート番号情報を含むパケットを送信する。
【0048】
なお、制御部23は、あらかじめポート番号テーブル222に定められた送信元ポート番号を使用して、アプリケーションからパケット送信するとして説明するが、これに限られない。制御部23は、アプリケーションからパケット送信する際に、ポート番号テーブル222に設定された送信元ポート番号の範囲から、送信に使用する送信元ポート番号を選択するように構成されていてもよい。すなわち、図5に示したポート番号テーブル222のうち、送信元ポート番号の列が用意されておらず、パケット送信する際に送信元ポート番号を決定するように構成されていてもよい。
【0049】
換言すれば、制御部23は、複数の車載アプリケーションのいずれかのアプリケーションからパケット送信する際に、取得したポート割当テーブル421が示す送信元ポート番号の範囲に基づいて、当該アプリケーションのアプリケーションIDと関連付けられた課金分離IDに対応する送信元ポート番号の範囲の中から、使用する送信元ポート番号を選択することにより、送信元ポート番号を選択する。
【0050】
中継装置4の制御部41は、通信端末装置2(車載通信端末)から受信したパケットに含まれるポート番号情報に基づき送信元ポート番号を特定する。
制御部41は、ポート割当テーブル421に基づいて、特定した送信元ポート番号と対応づけられた課金分離IDを特定する。
制御部41は、特定した課金分離IDと受信パケット数とを関連づけた課金レコードを生成する。
【0051】
すなわち、中継装置4の記憶部42は、パケット通信料金の課金先を識別する課金分離IDと、車載通信端末の送信元ポート番号とを対応付けた第1テーブルを記憶する。
中継装置4の制御部41は、車載通信端末から受信したパケットに含まれるポート番号情報に基づき送信元ポート番号を特定し、第1テーブルに基づいて、特定した送信元ポート番号と対応づけられた課金分離IDを特定する特定部、としても機能する。
中継装置4の制御部41は、特定した課金分離IDと受信パケット数とを関連づけた課金レコードを生成する生成部、としても機能する。
【0052】
ここまで、通信システム1の通信端末装置2、課金管理サーバ3および中継装置4の機能構成について説明した。図6から図9を参照して、通信システム1の動作の流れについて、より具体的に説明する。
【0053】
図6は、本実施形態の課金管理サーバ3および中継装置4へのポート割当テーブル421の設定の手順の一例を示す図である。
(ステップS10)ネットワークオペレータは、中継装置4に対して分離課金情報を設定する。この分離課金情報には、ポート割当テーブル421が含まれている。
(ステップS20)中継装置4にポート割当テーブル421を設定する。なお、既に中継装置4にポート割当テーブル421が設定されている場合には、ステップS10において送信された新たなポート割当テーブル421に更新される。
(ステップS30)中継装置4は、ネットワークオペレータに対して、ポート割当テーブル421の更新完了を通知する。
(ステップS40)ネットワークオペレータは、課金管理サーバ3に対して分離課金情報を設定する。この分離課金情報には、ポート割当テーブル421が含まれている。
(ステップS50)課金管理サーバ3は、ポート割当テーブル421を受信すると、受信したポート割当テーブル421を設定する。なお、既に課金管理サーバ3にポート割当テーブル421が設定されている場合には、ステップS40において送信された新たなポート割当テーブル421に更新される。
上述した手順により、課金管理サーバ3および中継装置4にポート割当テーブル421が設定される。
【0054】
図7は、本実施形態の通信端末装置2へのポート割当テーブル421の設定の手順の一例を示す図である。
通信端末装置2には、課金分離IDテーブル221が予め記憶されている。
【0055】
(ステップS110)通信端末装置2は、課金管理サーバ3に対して分離課金情報の送信要求を行う。
(ステップS120)課金管理サーバ3は、通信端末装置2からの分離課金情報の送信要求を受信すると、通信端末装置2に対して分離課金情報を送信する。この分離課金情報には、ポート割当テーブル421が含まれている。
(ステップS130)通信端末装置2は、ポート割当テーブル421を受信すると、受信したポート割当テーブル421を記憶部22に記憶させる。なお、既に通信端末装置2にポート割当テーブル421が設定されている場合には、ステップS120において送信された、新たなポート割当テーブル421に更新される。
通信端末装置2の制御部23は、予め記憶部22に記憶されている課金分離IDテーブル221と、ステップS120において取得されたポート割当テーブル421とに基づいて、両テーブルの課金分離IDとを対照することにより、ポート番号テーブル222を生成する。
【0056】
なお、課金分離IDとポート番号割当範囲との対応関係を更新する場合には、対応関係を更新した後のポート割当テーブル421を、課金管理サーバ3から中継装置4を介して通信端末装置2に送信すればよい。この場合、通信端末装置2において、変更後のポート割当テーブル421に基づいてポート番号テーブル222を生成する。
このように構成された通信システム1によれば、通信端末装置2にあらかじめ記憶されている課金分離IDテーブル221を更新することなく、各通信端末装置2に設定されているアプリケーションIDとポート番号割当範囲との対応関係を、課金管理サーバ3から更新することができる。
【0057】
(ステップS140)通信端末装置2は、課金管理サーバ3に対して、ポート割当テーブル421の更新完了を通知する。
(ステップS150)課金管理サーバ3は、通信端末装置2から更新完了を受信すると、当該通信端末装置2についてポート割当テーブル421の更新が完了したと判定する。
【0058】
すなわち、課金管理サーバ3は、通信端末装置2(車載通信端末)からの要求に応じて、更新後のポート割当テーブル421を通信端末装置2(車載通信端末)に送信する。
上述した手順により、課金管理サーバ3に設定されているポート割当テーブル421が、通信端末装置2に設定される。この結果、通信端末装置2、課金管理サーバ3および中継装置4のポート割当テーブル421の内容が同期化される。
【0059】
図8は、本実施形態の通信端末装置2の送信元ポート番号の設定の手順の一例を示す図である。図8に示す手順は、いずれも通信端末装置2内の制御部23の動作によって実現される、要求元機能と、課金管理クライアントとの間における手順である。
(ステップS210)送信元ポート番号の要求元機能は、課金管理クライアントに対して送信元ポート番号の発行を要求する。この送信元ポート番号の発行要求には、アプリケーションごとに定められたアプリケーションIDが含まれている。
(ステップS220)課金管理クライアントは、送信元ポート番号の発行要求を受けると、発行要求に含まれるアプリケーションIDを検索キーにして、記憶部22に記憶されているポート番号テーブル222を検索する。課金管理クライアントは、検索の結果得られたポート番号割当範囲から送信元ポート番号を、要求元機能に対して払い出す。
(ステップS230)要求元機能は、課金管理クライアントから払い出された送信元ポート番号を設定する。
【0060】
図9は、本実施形態の中継装置4によるパケット数計測の手順の一例を示す図である。ここで、通信端末装置2がアプリケーションサーバ5に向けて送信する通信パケットをアップストリーム、アプリケーションサーバ5が通信端末装置2に向けて送信する通信パケットをダウンストリームともいう。
アップストリームには、分離課金対象の特定のアプリケーションによるものがある。ダウンストリームには、この特定のアプリケーションのアップストリームに対する返信が含まれることがある。中継装置4は、通信パケットがアップストリーム・ダウンストリームのいずれであっても、課金分離IDごとに課金のためのパケット数の計数を行う。通信システム1は、中継装置4によるパケット数の計数結果に基づいてアプリケーションごとに分離課金を行うことで、アップストリームおよびダウンストリームのいずれの通信パケットについても、アプリケーションIDに応じた分離課金を行うことができる。
この中継装置4が行うアップストリームおよびダウンストリームのパケット数の計数の手順について説明する。
【0061】
(ステップS310)中継装置4は、通信端末装置2が送信する通信パケット、またはアプリケーションサーバ5が送信する通信パケットを受信する。
(ステップS320)中継装置4は、受信した通信パケットの通信方向、すなわち受信した通信パケットがアップストリーム・ダウンストリームのいずれであるか、を判定する。
(ステップS330)中継装置4は、受信した通信パケットのポート番号と、ポート割当テーブル421とを対照して、受信した通信パケットの課金分離IDを取得する。
【0062】
ここで、受信した通信パケットがアップストリームの場合には、送信元ポート番号が、課金対象のアプリケーションを示している。また、受信した通信パケットがダウンストリームの場合には、送信先ポート番号が、課金対象のアプリケーションを示している。
中継装置4は、受信した通信パケットがアップストリームの場合には、通信パケットの送信元ポート番号と、ポート割当テーブル421とを対照して、受信した通信パケットの課金分離IDを取得する。
また、中継装置4は、受信した通信パケットがダウンストリームの場合には、通信パケットの送信先ポート番号と、ポート割当テーブル421とを対照して、受信した通信パケットの課金分離IDを取得する。
【0063】
(ステップS340)中継装置4は、ステップS330で取得した課金分離IDごとに、パケット数を計数して、課金レコードを生成する。中継装置4は、生成した課金レコードを、課金管理サーバ3に送信する。
【0064】
すなわち、中継装置4は、通信端末装置2(車載通信端末)から課金管理サーバ3への上り通信の受信パケット数と、当該上り通信の課金分離IDに対応する下り通信の受信パケット数と、課金分離IDとを関連づけた課金レコードを生成する。
中継装置4は、生成した課金レコードを課金管理サーバ3(あるいは不図示の課金サーバ)に通知する。
【0065】
(ステップS350)中継装置4は、受信した通信パケットを、アップストリームであれば課金管理サーバ3に向けて、ダウンストリームであれば通信端末装置2に向けて、転送する。
(ステップS360)課金管理サーバ3は、中継装置4から課金レコードの送信の有無を、定期的に確認する。ステップS340で課金レコードが送信されると、課金管理サーバ3は、送信された課金レコードを取得する。
(ステップS370)課金管理サーバ3は、ステップS360において取得した課金レコードに基づいて、お客様(例えば、通信端末装置2の利用者)への請求計算を行い、請求書情報を生成する。
【0066】
すなわち、中継装置4の制御部41は、課金を管理する課金管理サーバ3に対して、生成した課金レコードを送信する送信部、として機能する。
【0067】
以上説明した通信システム1によれば、通信パケットに含まれるポート番号を参照して課金対象のアプリケーションを識別することができる。通信システム1によれば、ポート番号を使用することにより、APNのような同時通信数の制約が緩和されるため、今後予想される課金分離数の増大に対応することができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態及びその変形を説明したが、これらの実施形態及びその変形は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態及びその変形は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0069】
通信端末装置2、中継装置4および課金管理サーバ3の各機能は、各装置がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。例えば、通信端末装置2は、自動車等の車両に搭載された車載通信端末装置であってもよく、スマートフォンやタブレット型のコンピュータ(タブレットPC)等の携帯端末装置であってもよい。例えば、通信端末装置2は、パーソナルコンピュータ等の据置き型の端末装置であってもよい。
【0070】
なお、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0071】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…通信システム、2…通信端末装置、3…課金管理サーバ、4…中継装置、221…課金分離IDテーブル、222…ポート番号テーブル、421…ポート割当テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9