(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140191
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046097
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】増井 健二
(72)【発明者】
【氏名】寺山 正敏
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA73
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
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5F157CF42
5F157CF44
5F157DB02
5F157DB18
(57)【要約】
【課題】基板の凍結洗浄効率を向上した、基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】一実施形態にかかる基板処理装置は、基板を略水平に保持するステージを備える基板保持部と、基板に凍結液を供給する凍結液供給部と、凍結液を冷却して凍結膜を形成する冷却部と、平面視において、ステージの中心部を含む第1方向に延在し、第1方向の一端および一端とは反対側の他端が、中心部よりも外側の外周部に位置するノズルを備え、供給量、温度、供給タイミングの少なくとも1つが、中心部と外周部とで異なる解凍液を基板に供給して、凍結膜を解凍する解凍液供給部と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を略水平に保持するステージを備える基板保持部と、
前記基板に凍結液を供給する凍結液供給部と、
前記凍結液を冷却して凍結膜を形成する冷却部と、
平面視において、前記ステージの中心部を含む第1方向に延在し、前記第1方向の一端および前記一端とは反対側の他端が、前記中心部よりも外側の外周部に位置するノズルを備え、供給量、温度、供給タイミングの少なくとも1つが、前記中心部と前記外周部とで異なる解凍液を前記基板に供給して、前記凍結膜を解凍する解凍液供給部と、を含む基板処理装置。
【請求項2】
前記解凍液の供給量は、前記中心部より前記外周部の方が多い、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記解凍液供給部は、前記基板と対向し、前記基板の半径方向に延在する液体供給口を備え、
前記半径方向と直行する前記液体供給口の幅は、前記中心部より前記外周部の方が大きい、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記解凍液供給部は、前記基板と対向し、前記基板の半径方向に点在する複数の液体供給口を備え、
前記複数の液体供給口の数は、前記中心部より前記外周部の方が多い、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記解凍液供給部は、前記基板と対向し、前記基板の半径方向に点在する複数の液体供給口を備え、
前記複数の液体供給口の径は、前記中心部より前記外周部の方が大きい、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記解凍液供給部は、前記基板と対向し、前記基板の半径方向に点在する複数の液体供給口と、前記複数の液体供給口のそれぞれに接続する流量制御機構と、を備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記解凍液供給部は、前記基板と対向し、前記基板の半径方向に点在する複数の液体供給口と、前記複数の液体供給口のそれぞれに接続するタイミング制御機構と、を備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記解凍液供給部は、前記基板に供給する前記解凍液の温度を制御する温度制御機構、を備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記温度制御機構は、クーラーまたはヒーターを備える、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記解凍液供給部は、前記基板と対向し、前記基板の半径方向に点在する複数の液体供給口と、前記複数の液体供給口のそれぞれに接続する温度制御機構と、を備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
略水平に保持された基板に凍結液を供給し、
前記凍結液を冷却して凍結膜を形成し、
供給量または温度の少なくとも1つが前記基板の中心部および外周部で異なる解凍液を前記基板に同時に供給して、前記凍結膜を解凍すること、を含む基板処理方法。
【請求項12】
前記解凍液の供給量は、前記中心部より前記外周部の方が多い、請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記解凍液の温度は、前記中心部より前記外周部の方が高い、請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項14】
略水平に保持された基板に凍結液を供給し、
前記凍結液を冷却して凍結膜を形成し、
前記基板の中心部より外周部の方が早いタイミングで解凍液を前記基板に供給して、前記凍結膜を解凍すること、を含む基板処理方法。
【請求項15】
前記解凍液の供給量は、前記中心部より前記外周部の方が多い、請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記解凍液の温度は、前記中心部より前記外周部の方が高い、請求項14に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板表面に付着したパーティクル等の付着物を除去するための洗浄技術の1つとして凍結洗浄技術が知られている。この技術では、基板表面に供給した凍結液を凍結させた後、解凍液を供給することによってこの凍結膜を解凍することで基板表面からパーティクル等を除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9815093号明細書
【特許文献2】特許第5715837号公報
【特許文献3】米国特許第10486203号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2015/0020850号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る実施形態は、基板の凍結洗浄効率を向上した、基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る基板処理装置は、基板を略水平に保持するステージを備える基板保持部と、基板に凍結液を供給する凍結液供給部と、凍結液を冷却して凍結膜を形成する冷却部と、平面視において、ステージの中心部を含む第1方向に延在し、第1方向の一端および一端とは反対側の他端が、中心部よりも外側の外周部に位置するノズルを備え、供給量、温度、供給タイミングの少なくとも1つが、中心部と外周部とで異なる解凍液を基板に供給して、凍結膜を解凍する解凍液供給部と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】一実施形態に係るノズルの構造を概略的に示す下面図である。
【
図3】一実施形態に係るノズルの長辺端部(
図2の位置A)におけるYZ断面図である。
【
図4】一実施形態に係るノズルの長辺中央部(
図2の位置A’)におけるYZ断面図である。
【
図5】一実施形態に係るノズルの短辺中央部(
図2の位置B)におけるXZ断面図である。
【
図6】一実施形態に係る基板処理方法を概略的に示す図である。
【
図7】一変形例に係るノズルの構造を概略的に示す下面図である。
【
図8】一実施形態に係るノズルの構造を概略的に示す下面図である。
【
図9】一実施形態に係るノズルの長辺端部(
図8の位置A)におけるYZ断面図である。
【
図10】一実施形態に係るノズルの長辺中央部(
図8の位置A’)におけるYZ断面図である。
【
図11】一実施形態に係るノズルの短辺中央部(
図8の位置B)におけるXZ断面図である。
【
図12】一実施形態に係る液体供給部の全体構成を概略的に示す図である。
【
図13】一実施形態に係るノズルの構造を概略的に示す下面図である。
【
図14】一実施例に係る基板処理方法の条件を示す。
【
図15】一実施例に係る基板処理方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態に係る基板処理装置および基板処理方法について図面を参照して具体的に説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する要素について、同一符号又は同一符号の後にアルファベットが追加された符号が付されており、必要な場合にのみ重複して説明する。以下に示す各実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示する。実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。これら実施形態やその変形例は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0008】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図面において、既出の図面に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0009】
本明細書において「αはA、B又はC」を含む、といった表現は、特に明示が無い限り、αがA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0010】
本明細書において、水平とは基板処理装置のステージに対して水平な方向(XY方向)を指し、鉛直とは前記水平方向に対して略垂直な方向(Z方向)を指す場合がある。
【0011】
以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0012】
以下の各実施形態では、基板としてシリコンウエハ等の半導体基板を例示して説明するが、本開示の技術を基板表面に付着したパーティクル等の付着物を除去する必要がある半導体基板以外の基板(例えば、ガラス基板、石英基板など)に適用することができる。
【0013】
<第1実施形態>
[基板処理装置]
図1は、一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を概略的に示す図である。本実施形態に係る基板処理装置1は、例えば、1枚の半導体基板の表面に凍結液を供給し、凍結液を冷却して凍結膜を形成し、解凍液を供給することによってこの凍結膜を解凍することで基板表面からパーティクル等を除去する凍結洗浄処理を行う装置である。なお、半導体基板の表面は、例えば、3次元NAND等の半導体装置が形成される面である。半導体基板の表面には、例えば、図示しない回路パターンが形成されている。
図1に示すように、基板処理装置1は、液体供給部10と、基板保持部20と、冷却部30とを備える。
【0014】
基板保持部20は、ステージ21と、回転機構22と、制御部23とを備える。ステージ21は、基板Sを保持する。ステージ21は、上面がXY方向に円形であり、ウェハ状(円盤状)の基板Sを1枚、主面が水平方向(XY方向)になるよう載置可能である。基板Sの中心は、ステージ21の中心Cに配置する。ステージ21は、回転機構22によって中心Cを含む鉛直軸(点線)を中心に回転する。ステージ21は時計回りに回転してもよく、反時計回りに回転してもよい。ステージ21が回転することで、ステージ21が保持する基板Sは中心Cを軸に回転する。回転機構22によって駆動されるステージ21の回転動作や回転速度は、制御部23によって制御される。制御部23によって制御されるステージ21の回転速度は、例えば、100rpm以上500rpm以下であってもよい。
【0015】
ステージ21の上方には、液体供給部10が配置される。液体供給部10は、ノズル11と、流路12と、バルブ13と、フィルタ14と、液体供給装置15、駆動機構16とを備える。液体供給部10は、凍結液または解凍液をステージ21上に供給する(ここで、凍結液または解凍液を区別しないときには液体という)。流路12は、液体を供給する液体供給装置15に接続される。ここで凍結液および解凍液は、例えば、脱イオン水(DIW)である。液体供給装置15は、流量や温度を調整しながら、液体を流路12に供給する。液体供給装置15とノズル11との間には、バルブ13とフィルタ14がこの順に配置される。バルブ13が開くことで、フィルタ14を介してノズル11からステージ21上に液体が供給される。駆動機構16は、例えば、基板処理装置1への基板Sの搬入および搬出の際に、液体供給部10をステージ21の上方から移動することができる。
【0016】
ノズル11は、ステージ21の上方に配置され、ステージ21の中心Cを含む直径方向(X方向、長辺方向)に延在する。ノズル11は、例えば長辺方向の一方の端部が、平面視において、ステージ21の中心よりも外側に位置し、長辺方向の他方の端部がステージ21の中心よりも外側に位置する。ノズル11は、液だまり111と、液体供給口112とを備える。流路12から供給される液体は、一時的に液だまり111に貯留される。液だまり111に貯留された液体は、ステージ21上に載置される基板Sの洗浄領域(主面)と対向する液体供給口112から基板S上に吐出される。ノズル11は液だまり111を有することによって、流路12から供給される液体の流量を制御することができ、流路12と液だまり111との接続部にかかる圧力を分散することができる。ノズル11は液だまり111を有することによって、液体供給口112から吐出する液体の流量を制御することができる。本実施形態においてノズル11は矩形状であるが、ノズル11の形状は後述する液体供給口112が配置できる限りとくに限定しない。液だまり111の形状も、とくに限定しない。液体供給口112から吐出する液体を十分に貯留できればよい。
【0017】
図1から
図5を用いて、ノズル11の液体供給口112の配置と形状について詳しく説明する。
図2は、一実施形態に係るノズルの構造を概略的に示す下面図である。
図3は、ノズル11の長辺端部(
図2の位置A)におけるYZ断面図である。
図4は、ノズル11の長辺中央部(
図2の位置A’)におけるYZ断面図である。
図5は、ノズル11の短辺中央部(
図2の位置B)におけるXZ断面図である。
【0018】
液体供給口112は、ノズル11が延在するX方向に基板Sの直径と略同じ長さのスリット状に配置される。すなわち、長辺方向(X方向)の液体供給口112の幅wは、基板Sの直径と略同じ長さである。液体供給口112の長辺両端部(
図2の位置A)は、基板Sの直径の両端部(外周部)の上に位置する。すなわち、液体供給口112の長辺両端部(
図2の位置A)は、ステージの直径の略両端部(外周部)の上に位置する。液体供給口112の長辺中央部(
図2の位置A’)は、基板Sの中心部(ステージ21の中心C)の上に位置する。液体供給口112の長辺方向(X方向)の幅wが基板Sの直径と略同じ長さを有することで、ステージ21が回転すると、液体供給口112から基板Sの略全面に同時に液体を供給することができる。しかしながらこれに限定されず、長辺方向(X方向)の液体供給口112の幅wは、基板Sの半径と略同じ長さであってもよい。この場合、液体供給口112の長辺両端部は、基板Sの半径の両端部(外周部と中心部)の上に位置するように配置する。
【0019】
長辺両端部(
図2の位置A)における短辺方向(Y方向)の液体供給口112の幅w1は、長辺中央部(
図2の位置A’)における短辺方向(Y方向)の液体供給口112の幅w2より大きい。すなわち、基板Sの外周部と対向する液体供給口112の幅w1は、基板Sの中心部と対向する液体供給口112の幅w2より大きい。長辺両端部(
図2の位置A)における短辺方向(Y方向)の液体供給口112の幅w1は、長辺中央部(
図2の位置A’)における短辺方向(Y方向)の液体供給口112の幅w2の1.4倍以上2倍以下であることが好ましい。
【0020】
本実施形態に係る液体供給口112は、長辺両端部(
図2の位置A)における幅w1と長辺中央部(
図2の位置A’)における幅w2とが異なることで、液体の供給量を制御することができる。液体供給口112の長辺両端部(
図2の位置A)における幅w1が長辺中央部(
図2の位置A’)における幅w2より大きいことで、液体供給口112の長辺両端部(
図2の位置A)から吐出される液体の供給量は、液体供給口112の長辺中央部(
図2の位置A’)から吐出される液体の供給量より多い。このため、本実施形態に係る基板処理装置1は、基板Sの外周部に中央部より多くの液体を供給することができる。
【0021】
本実施形態において、液体供給部10は、凍結液または解凍液をステージ21上に供給する構成を示した。しかしながらこれに限定されず、凍結液は別の液体供給部によって供給されてもよい。この場合、ノズルの形状はとくに限定しない。基板S上に均一に凍結液を供給できればよい。
【0022】
ステージ21の上方には、冷却部30が配置される。冷却部30は、冷却されたガスをステージ21上に供給する。冷却部30は、例えばガス供給ノズルであり得る。冷却されたガスは、基板S上に供給された凍結液を冷却して凝固、例えば、凍結させる。ガスは、例えば、窒素ガスであり、ガスの温度は、例えば、液膜の凝固点以下である。冷却部30は、流量や温度を調整しながら、ガスを基板S上に供給する。なお、冷却部30の代わりに、基板Sの下方であって、例えば、ステージ21に設けられた貫通孔より冷却ガスを供給してもよい。その場合、冷却ガスは基板Sの裏面に供給される。
【0023】
[基板処理方法]
以下、本実施形態に係る基板処理装置1を用いた基板処理方法について説明する。本実施形態に係る基板処理方法は、例えば、1枚の半導体基板の表面に凍結液を供給し、凍結液を冷却して凍結膜を形成し、解凍液を供給することによってこの凍結膜を解凍することで基板表面からパーティクル等を除去する凍結洗浄処理を行う方法である。実施形態の基板処理方法は、例えば、半導体装置の製造プロセスの一環としておこなわれ得る。
図6は、一実施形態に係る基板処理方法を概略的に示す図である。
図6では、基板S上の状態を説明するため基板処理装置1の構成は省略する。
【0024】
図1に示すように、まず、基板Sを、主面が水平方向(XY方向)になるようステージ21上に載置する。基板Sは、例えば、半導体基板である。基板Sを保持したステージ21は、回転機構22によって中心Cを含む鉛直軸を中心に回転させる。
【0025】
凍結液を供給するため、液体供給部10のバルブ13を開いて凍結液を基板Sに供給する。凍結液は、例えば、脱イオン水(DIW)である。凍結液は、フィルタ14を介して基板S上に供給される。凍結液を供給するノズル11および液体供給口112の形状はとくに限定しない。
図6(a)に示すように、供給された凍結液は、基板Sの表面に均一な凍結液膜L1を形成する。
【0026】
冷却部30から冷却されたガスを供給する。ガスは、例えば、窒素ガスであり、ガスの温度は、例えば、液膜の凝固点以下である。
図6(b)に示すように、冷却されたガスは凍結液膜を冷却して、基板Sの表面に均一な凍結膜Fを形成する。凍結膜Fには、基板表面に付着していたパーティクル等の付着物が取り込まれる。
【0027】
解凍液を供給するため、液体供給部10のバルブ13を開いて解凍液を基板Sに供給する。解凍液は、例えば、脱イオン水(DIW)である。解凍液は、フィルタ14を介してノズル11から基板S上に供給される。本実施形態においては、液体供給口112の長辺両端部(
図2の位置A)における幅w1が長辺中央部(
図2の位置A’)における幅w2より大きいことで、液体供給口112から吐出される解凍液の供給量に勾配ができる。液体供給口112の長辺両端部(
図2の位置A)から吐出される解凍液の供給量は、液体供給口112の長辺中央部(
図2の位置A’)から吐出される解凍液の供給量より多い。液体供給口112の長辺両端部(
図2の位置A)から吐出される解凍液の供給量は、液体供給口112の長辺中央部(
図2の位置A’)から吐出される解凍液の供給量の4倍以上5倍以下であることが好ましい。
【0028】
基板Sの外周部に供給される解凍液の供給量は、中央部に供給される解凍液の供給量より多い。この結果、基板Sの表面の凍結膜Fは、基板Sの外周部から解凍される。
図6(c)に示すように、基板Sの表面に残存する凍結膜Fの膜厚は、基板Sの中心部において厚く、外周部において薄いなだらかな勾配を形成する。基板Sの凍結膜Fが外周部から解凍されると、基板Sの外周部の凍結膜Fに取り込まれていた付着物から解凍液とともに基板Sの外に排出される。基板Sの表面に残存する凍結膜Fの上には、供給された解凍液が解凍液膜L2を形成する。
図6(c)において解凍液膜L2の膜厚は、基板Sの中心部において薄く、外周部において厚い、凍結膜Fとは逆の勾配を形成する。しかしながらこれに限定されず、解凍液は凍結膜Fの上に解凍液膜L2を形成しなくてもよい。
【0029】
残存する基板Sの中心部の凍結膜Fが解凍されると、基板Sの中心部の凍結膜Fに取り込まれていた付着物は解凍液とともに基板Sの外に排出される。
図6(d)に示すように、凍結膜Fがすべて解凍されると、凍結膜Fに取り込まれていた付着物は解凍液とともに基板Sの外に排出される。
【0030】
基板Sの表面の凍結膜Fを基板Sの中心部から解凍すると、基板Sの外周部に残存する凍結膜Fが、基板Sの中心部に付着していたパーティクル等の付着物の移動を妨げることがある。本実施形態に係る基板処理方法においては、基板Sの表面の凍結膜Fを基板Sの外周部から解凍することで、基板Sの中心部に付着していたパーティクル等の付着物を効率よく除去することができ、基板Sの凍結洗浄効率を向上することができる。
【0031】
<変形例>
本変形例に係る基板処理装置の構成は、ノズルの液体供給口の形状以外、第1実施形態に係る基板処理装置の構成と同じである。本変形例に係る基板処理方法は、第1実施形態に係る基板処理方法と同じである。第1実施形態と同じである説明は省略し、ここでは第1実施形態に係る基板処理装置の構成と相違する部分について説明する。
【0032】
[基板処理装置]
図7は、一変形例に係るノズルの構造を概略的に示す下面図である。
図7に示すように、ノズル11aは、複数の液体供給口112aを備える。複数の液体供給口112aは、1つの液だまりに接続する。
【0033】
複数の液体供給口112aは、第1実施形態に係る液体供給口112が配置される領域(点線)と同じ領域に配置される。すなわち、複数の液体供給口112aが配置される領域の長辺方向(X方向)の幅waは、基板Sの直径と略同じ長さである。複数の液体供給口112aが配置される領域の、長辺両端部(
図7の位置A)における短辺方向(Y方向)の幅w1aは、長辺中央部(
図7の位置A’)における短辺方向(Y方向)の幅w2aより大きい。複数の液体供給口112aは、上記領域(点線)に点在する。
【0034】
本変形例において、複数の液体供給口112aの形状は円形であり、大きさは何れも同じである。複数の液体供給口112aの数は、複数の液体供給口112aが配置される領域の長辺中央部(
図7の位置A’)より長辺両端部(
図7の位置A)の方が多い。複数の液体供給口112aが配置される領域の長辺両端部(
図7の位置A)における液体供給口112aの数は、長辺中央部(
図7の位置A’)における液体供給口112aの数の2倍以上3倍以下であることが好ましい。しかしながらこれに限定されず、後述するように複数の液体供給口112aの大きさ(面積)は、複数の液体供給口112aが配置される領域の長辺中央部(
図7の位置A’)より長辺両端部(
図7の位置A)の方が大きくてもよい。この場合、複数の液体供給口112aの数は、複数の液体供給口112aが配置される領域の長辺中央部(
図7の位置A’)と長辺両端部(
図7の位置A)とで同じであってもよい。
【0035】
本実施形態に係る液体供給口112aは、長辺中央部(
図7の位置A’)と長辺両端部(
図7の位置A)における複数の液体供給口112aの数が異なることで、液体の供給量を制御することができる。長辺両端部(
図7の位置A)における液体供給口112aの数が長辺中央部(
図7の位置A’)における液体供給口112aの数より多いことで、液体供給口112aの長辺両端部(
図2の位置A)から吐出される液体の供給量は、液体供給口112aの長辺中央部(
図2の位置A’)から吐出される液体の供給量より多い。このため、本変形例に係る基板処理装置は、基板Sの外周部に中央部より多くの液体を供給することができる。
【0036】
<第2実施形態>
[基板処理装置]
本実施形態に係る基板処理装置の構成は、ノズルの構成以外、第1実施形態に係る基板処理装置の構成と同じである。本実施形態に係る基板処理方法は、解凍液の温度以外、第1実施形態に係る基板処理方法と同じである。第1実施形態と同じである説明は省略し、ここでは第1実施形態に係る基板処理装置の構成と相違する部分について説明する。
【0037】
図1および
図8から
図11を用いて、ノズル11bの構成について詳しく説明する。
図8は、一実施形態に係るノズルの構造を概略的に示す下面図である。
図9は、ノズル11bの長辺端部(
図8の位置A)におけるYZ断面図である。
図10は、ノズル11bの長辺中央部(
図8の位置A’)におけるYZ断面図である。
図11は、ノズル11bの短辺中央部(
図8の位置B)におけるXZ断面図である。本実施形態においてノズル11bは、液だまり111bと、液体供給口112bと、温度制御機構113bとを備える。
【0038】
液体供給口112bは、ノズル11bが延在するX方向に基板Sの直径と略同じ長さのスリット状に配置される。すなわち、長辺方向(X方向)の液体供給口112bの幅wbは、基板Sの直径と略同じ長さである。液体供給口112bの短辺方向(Y方向)の幅は、長辺方向(X方向)にわたって略同じである。しかしながらこれに限定されず、液体供給口112bの短辺方向(Y方向)の幅は、第1実施形態のように長辺端部と長辺中央部とで異なってもよい。
【0039】
ノズル11bは、液体供給口112bに隣接する温度制御機構113bを備える。液体供給口112bから基板S上に吐出される液体は、温度制御機構113bによって温度が制御される。温度制御機構113bは、クーラー113b1またはヒーター113b2のどちらか1つを備えてもよく、クーラー113b1およびヒーター113b2の両方を備えてもよい。液体供給口112bの長辺両端部(
図8の位置A)には、例えば、ヒーター113b2が配置される。液体供給口112bの長辺中央部(
図8の位置A’)には、例えば、クーラー113b1が配置される。
図8において、温度制御機構113bは、液体供給口112bの外側に隣接するが、液体供給口112bの内側に配置されてもよい。温度制御機構113bは、液体供給口112bから基板S上に吐出される液体の温度を部分的に制御できればよい。温度制御機構113bは、さらに温度センサーを備えてもよい。センサーは液体供給口112bの内側に配置されてもよい。
【0040】
本実施形態に係る温度制御機構113bは、液体供給口112bの長辺両端部(
図8の位置A)から吐出される液体の温度と、液体供給口112bの長辺中央部(
図8の位置A’)から吐出される液体の温度と、を制御することができる。液体供給口112bの長辺両端部(
図8の位置A)にヒーター113b2を、液体供給口112bの長辺中央部(
図8の位置A’)にクーラー113b1を配置することによって、液体供給口112bの長辺両端部(
図8の位置A)から吐出される液体の温度は、液体供給口112bの長辺中央部(
図8の位置A’)から吐出される液体の温度より高い。このため、本実施形態に係る基板処理装置は、基板Sの外周部に中央部より温度の高い液体を供給することができる。
【0041】
[基板処理方法]
本実施形態に係る基板処理方法は、解凍液の温度以外、第1実施形態に係る基板処理方法と同じであるので、ここでは解凍液の供給において第1実施形態と相違する部分についてのみ説明する。
【0042】
本実施形態において、液体供給口112bの長辺両端部(
図8の位置A)におけるヒーターと、および長辺中央部(
図8の位置A’)におけるクーラーとが配置されることで、液体供給口112bから吐出される解凍液の温度に勾配ができる。液体供給口112bの長辺両端部(
図8の位置A)から吐出される解凍液の温度は、液体供給口112bの長辺中央部(
図8の位置A’)から吐出される解凍液の温度より高い。液体供給口112bの長辺両端部(
図8の位置A)から吐出される解凍液の温度は、例えば、20℃以上25℃以下程度であってもよい。液体供給口112bの長辺中央部(
図8の位置A’)から吐出される解凍液の温度は、例えば、3℃以上5℃以下程度であってもよい。液体供給口112bの長辺両端部(
図8の位置A)から吐出される解凍液の温度と、液体供給口112bの長辺中央部(
図8の位置A’)から吐出される解凍液の温度との差は、15℃以上20℃以下程度であることが好ましい。
【0043】
本実施形態において温度制御機構113bは、クーラー113b1およびヒーター113b2の両方を備える構成を示した。しかしながらこれに限定されず、流路12から供給される解凍液の温度によって、クーラー113b1またはヒーター113b2のどちらか一方のみを用いてもよい。供給される解凍液の温度が、例えば、10℃程度である場合、液体供給口112bの長辺両端部(
図8の位置A)におけるヒーターで解凍液を加熱することで、液体供給口112bから吐出される解凍液の温度に勾配を形成してもよい。供給される解凍液の温度が、例えば、25℃程度である場合、液体供給口112bの長辺中央部(
図8の位置A’)におけるクーラーで解凍液を冷却することで、液体供給口112bから吐出される解凍液の温度に勾配を形成してもよい。
【0044】
基板Sの外周部に供給される解凍液の温度は、中央部に供給される解凍液の温度より高い。この結果、基板Sの表面の凍結膜Fは、基板Sの外周部から解凍される。
図6(c)に示すように、基板Sの表面に残存する凍結膜Fの膜厚は、基板Sの中心部において厚く、外周部において薄いなだらかな勾配を形成する。基板Sの凍結膜Fが外周部から解凍されると、基板Sの外周部の凍結膜Fに取り込まれていた付着物から解凍液とともに基板Sの外に排出される。残存する基板Sの中心部の凍結膜Fが解凍されると、基板Sの中心部の凍結膜Fに取り込まれていた付着物は解凍液とともに基板Sの外に排出される。本実施形態に係る基板処理方法においては、基板Sの表面の凍結膜Fを基板Sの外周部から解凍することで、基板Sの中心部に付着していたパーティクル等の付着物を効率よく除去することができ、基板Sの凍結洗浄効率を向上することができる。
【0045】
<第3実施形態>
[基板処理装置]
本実施形態に係る基板処理装置の構成は、複数の流路を備えること以外、第1実施形態に係る基板処理装置の構成と同じである。本実施形態に係る基板処理方法は、解凍液の温度以外、第1実施形態に係る基板処理方法と同じである。第1実施形態と同じである説明は省略し、ここでは第1実施形態に係る基板処理装置の構成と相違する部分について説明する。
【0046】
図12および
図13を用いて、液体供給部の構成について詳しく説明する。
図12は、一実施形態に係る液体供給部の全体構成を概略的に示す図である。
図13は、一実施形態に係るノズルの構造を概略的に示す下面図である。
【0047】
液体供給部10cは、ノズル11cと、流路12cと、バルブ13cと、フィルタ14cと、液体供給装置15cと、マスフローコントローラー17cとを備える。本実施形態において液体供給部10cは、複数の流路12cを備える。それぞれの流路12cは、液体を供給する液体供給装置15cに接続される。液体供給装置15cは、それぞれの流路12cに異なるタイミング、供給量、温度の液体を供給する。それぞれの流路12cの液体供給装置15cとノズル11cとの間には、マスフローコントローラー17cとバルブ13cとフィルタ14cがこの順に配置される。マスフローコントローラー17cは、流路抵抗を変化させることによって流量を制御する。バルブ13cが開くことで、フィルタ14cを介してノズル11cからステージ21上に液体が供給される。
図12では駆動機構を省略したが、液体供給部10cは第1実施形態と同様に駆動機構を備えてもよい。
【0048】
ノズル11cは、複数の液体供給口112cを備える。それぞれの液体供給口112cには対応する流路12cが1対1で接続する。
図12では液だまりを省略したが、第1実施形態と同様に、それぞれの流路12cと液体供給口112cとの間に液だまりを備えてもよい。
【0049】
複数の液体供給口112cは、第1実施形態に係る液体供給口112が配置される領域と同じ領域に配置される。すなわち、複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺方向(X方向)の幅wcは、基板Sの直径と略同じ長さである。複数の液体供給口112cは、上記領域に点在する。
【0050】
本実施形態において、複数の液体供給口112cの大きさはそれぞれ異なる。複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cの大きさより、長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cの大きさの方が大きい。複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cの大きさは、長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cの大きさの2倍以上4倍以下であることが好ましく、2倍以上3倍以下であることがより好ましい。ここで、液体供給口112cの大きさとは、液体供給口112cの面積を示す。
【0051】
複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cの径w1cは、長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cの径w2cより大きい。複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cの径w1cは、長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cの径w2cの1.41倍以上2倍以下であることが好ましく、1.41倍以上1.73倍以下であることがより好ましい。ここで液体供給口112cの径とは、液体供給口112cの短辺方向(Y方向)の幅を示す。
【0052】
複数の液体供給口112cの形状は、円形であるがとくに限定しない。
図13では複数の液体供給口112cの大きさが異なる例を示したが、これに限定されず、複数の液体供給口112cの大きさは後述する液体の流量を安定的に吐出可能なサイズであればよい。
【0053】
液体供給装置15cは、それぞれの流路12cに異なる供給量、タイミング、温度の液体を供給する流量制御機構、タイミング制御機構、温度制御機構を備える。
【0054】
液体供給口112cから基板S上に吐出される液体は、液体供給装置15cの流量制御機構によって流量が制御される。流量制御機構は、複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cから吐出される液体の流量と、長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cから吐出される液体の流量と、を制御することができる。複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cに供給される液体の流量より、長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cに供給される液体の流量の方が大きい。複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cから吐出される液体の流量は、長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cから吐出される液体の流量の15倍以上であることが好ましい。このため、本実施形態に係る基板処理装置は、基板Sの外周部に中央部より多くの液体を供給することができる。
【0055】
液体供給口112cから基板S上に吐出される液体は、液体供給装置15cのタイミング制御機構によってタイミングが制御される。タイミング制御機構は、複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cから吐出される液体のタイミングと、長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cから吐出される液体のタイミングと、を制御することができる。複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cに供給される液体のタイミングより、長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cに供給される液体のタイミングの方が早い。このため、本実施形態に係る基板処理装置は、基板Sの外周部に中央部より早く(先に)液体を供給することができる。複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cから吐出される液体の供給時間が5secである場合、長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cから吐出される液体の供給時間は1.2sec以上1.6sec以下であることが好ましい。長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cから吐出される液体の供給時間と、長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cから吐出される液体の供給時間の差だけ、長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cから吐出される液体のタイミングを遅らせることが好ましい。したがって、長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cから吐出される液体のタイミングは3.4sec以上3.8sec以下遅らせることが好ましい。
【0056】
液体供給口112cから基板S上に吐出される液体は、液体供給装置15cの温度制御機構によって温度が制御される。温度制御機構は、複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cのから吐出される液体の温度と、長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cから吐出される液体の温度と、を制御することができる。複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cに供給される液体の温度より、長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cに供給される液体の温度の方が高い。複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cに供給される液体の温度は、3℃以上5℃以下程度であることが好ましい。複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cに供給される液体の温度は、20℃以上25℃以下程度であることが好ましい。複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cに供給される液体の温度と、長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cに供給される液体の温度との差は、15℃以上20℃以下程度であることが好ましい。このため、本実施形態に係る基板処理装置は、基板Sの外周部に中央部より温度の高い液体を供給することができる。
【0057】
[基板処理方法]
本実施形態に係る基板処理方法は、解凍液の流量、タイミング、温度以外、第1実施形態に係る基板処理方法と同じであるので、ここでは解凍液の供給において第1実施形態と相違する部分についてのみ説明する。
【0058】
本実施形態において液体供給装置15cの流量制御機構によって、液体供給口112cから吐出される解凍液の流量に勾配ができる。複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cから吐出される解凍液の流量は、長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cから吐出される解凍液の流量より大きい。
【0059】
本実施形態において液体供給装置15cのタイミング制御機構によって、液体供給口112cから吐出される解凍液のタイミングに差ができる。複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cから吐出される解凍液のタイミングは、長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cから吐出される解凍液のタイミングより早い。
【0060】
本実施形態において液体供給装置15cの温度制御機構によって、液体供給口112cから吐出される解凍液の温度に勾配ができる。複数の液体供給口112cが配置される領域の長辺両端部(
図13の位置A)に配置される液体供給口112cから吐出される解凍液の温度は、長辺中央部(
図13の位置A’)に配置される液体供給口112cから吐出される解凍液の温度より高い。
【0061】
基板Sの外周部に供給される解凍液の流量は、中央部に供給される解凍液の流量より大きい。基板Sの外周部に供給される解凍液のタイミングは、中央部に供給される解凍液のタイミングより早い。基板Sの外周部に供給される解凍液の温度は、中央部に供給される解凍液の温度より高い。この結果、基板Sの表面の凍結膜Fは、基板Sの外周部から解凍される。
図6(c)に示すように、基板Sの表面に残存する凍結膜Fの膜厚は、基板Sの中心部において厚く、外周部において薄いなだらかな勾配を形成する。基板Sの凍結膜Fが外周部から解凍されると、基板Sの外周部の凍結膜Fに取り込まれていた付着物から解凍液とともに基板Sの外に排出される。残存する基板Sの中心部の凍結膜Fが解凍されると、基板Sの中心部の凍結膜Fに取り込まれていた付着物は解凍液とともに基板Sの外に排出される。本実施形態に係る基板処理方法においては、基板Sの表面の凍結膜Fを基板Sの外周部から解凍することで、基板Sの中心部に付着していたパーティクル等の付着物を効率よく除去することができ、基板Sの凍結洗浄効率を向上することができる。
【実施例0062】
図14および
図15を用いて、第3実施形態に係る基板処理装置を用いた基板処理方法の一例を示す。
図14は、一実施例に係る基板処理方法の条件を示す。
図15は、一実施例に係る基板処理方法を示す図である。
【0063】
図13に示す各液体供給口112c(a~f)の長辺中央部(
図13の位置A’)からの距離、各液体供給口112cの面積比、各液体供給口112cから供給される解凍液の流量比、解凍液の温度(℃)、解凍液の供給するタイミングのディレイ(sec)を
図14に示す。ステージ21の回転速度300rpm、処理時間5secで当該条件において、解凍液を供給したときの凍結膜Fの平均残膜厚(
図6cに相当)を
図15に示す。
図15に示すように、基板Sの表面の凍結膜Fは、基板Sの外周部から解凍され、基板Sの表面に残存する凍結膜Fの膜厚は、基板Sの中心部において厚く、外周部において薄いなだらかな勾配を形成することがわかる。
【0064】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
1 基板処理装置、10 液体供給部、11 ノズル、12 流路、13 バルブ、14 フィルタ、15 液体供給装置、16 駆動機構、17c マスフローコントローラー、20 基板保持部、21 ステージ、22 回転機構、23 制御部、30 冷却部、112 液体供給口、113b 温度制御機構、113b1 クーラー、113b2 ヒーター