(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140229
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】振動トレーニング装置及び振動付与方法
(51)【国際特許分類】
A61H 1/00 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
A61H1/00 311A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046149
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(71)【出願人】
【識別番号】597039984
【氏名又は名称】学校法人 川崎学園
(71)【出願人】
【識別番号】000132954
【氏名又は名称】株式会社タカトリ
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】熊井 司
(72)【発明者】
【氏名】澳 昂佑
(72)【発明者】
【氏名】島井 紀正
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA03
4C046AA29
4C046AA45
4C046AA47
4C046BB01
4C046BB07
4C046CC01
4C046DD02
4C046DD14
4C046DD33
4C046EE02
4C046EE05
4C046EE27
4C046EE32
(57)【要約】
【課題】非振動状態及び振動状態において荷重を計測可能な振動トレーニング装置を提供する。
【解決手段】振動トレーニング装置1は、使用者Mが足を載せる振動プレート20と、振動を付与する振動発生ユニット100と、振動プレート20の下方側に配される支持ベース10と、支持ベース10及び振動プレート20の間に配され、振動プレート20を上方に向けて付勢する弾性部材30と、振動プレート20の下方側において、弾性部材30及び振動発生ユニット100が配される領域を避けた領域に配される変位計40と、変位計40で検出された変位量Lを演算処理する演算部51とを備える。変位計40は、振動プレート20が非振動状態にある場合の高さHを第一位置P1として振動プレート20の上下方向への変位量Lを検出することが可能であり、演算部51は、第一位置P1からの変位量Lに基づいて、振動プレート20に掛かる荷重Wを算出可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が足を載せる振動プレートと、
前記振動プレートに振動を付与する振動発生ユニットと、
前記振動プレートに対して下方側に配される支持ベースと、
前記支持ベース及び前記振動プレートの間に配されると共に前記振動プレートを下面側から支持しつつ前記振動プレートを上方に向けて付勢する弾性部材と、
前記振動プレートの下方側において、前記弾性部材及び前記振動発生ユニットが配される領域を避けた領域に配される変位計と、
前記変位計で検出された変位量を演算処理する演算部と、を備え、
前記変位計は、
前記振動プレートが非振動状態にある場合の高さを第一位置として当該振動プレートの上下方向への変位量を検出することが可能であり、
前記演算部は、前記第一位置からの変位量に基づいて、前記振動プレートに掛かる荷重を算出可能であること、を特徴とする振動トレーニング装置。
【請求項2】
前記荷重及び前記変位量のいずれか一方又は双方を直接的又は間接的に表示する表示装置を備えること、を特徴とする請求項1に記載の振動トレーニング装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記使用者が非振動状態にある前記振動プレートに足を載せた状態を第二位置として、前記第一位置から前記第二位置への変位量に基づいて基準荷重を算出可能であり、
前記表示装置は、前記振動プレートが非振動状態及び振動状態にある場合の前記基準荷重に対する荷重変化を直接的又は間接的に表示可能であること、を特徴とする請求項2に記載の振動トレーニング装置。
【請求項4】
前記変位計が、前記振動プレートにおける重心の下方側に位置するように配されること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の振動トレーニング装置。
【請求項5】
前記演算部は、所定時間に検出された複数の前記変位量に係るデータを、移動平均法を用いて演算処理することにより前記荷重を算出すること、を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の振動トレーニング装置。
【請求項6】
前記変位計が、非接触変位計であること、を特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の振動トレーニング装置。
【請求項7】
使用者が足を載せる振動プレートと、前記振動プレートに振動を付与する振動発生ユニットと、前記振動プレートの上下方向への変位量を計測する変位計と、前記変位量を演算処理することにより荷重を算出する演算部と、前記荷重及び前記変位量のいずれか一方又は双方を直接的又は間接的に表示する表示装置と、を備える振動トレーニング装置を用い、
前記振動発生ユニットによる振動を発生させる前の非振動状態において、前記振動プレートの高さを第一位置として設定する第一位置設定ステップと、
前記非振動状態おいて、前記使用者が前記振動プレートに足を載せた状態における前記第一位置から変位した位置を第二位置として計測する第二位置計測ステップと、
前記第一位置から前記第二位置への変位量に基づいて基準荷重を算出する基準荷重算出ステップと、
前記振動発生ユニットによって振動を前記振動プレートに付与することにより振動状態とする振動発生ステップと、
振動状態において、荷重を算出する振動状態荷重算出ステップと、
前記非振動状態及び前記振動状態における荷重及び前記基準荷重に対する荷重変化のいずれか一方又は双方を直接的又は間接的に表示させる表示ステップと、を実行すること、を特徴とする振動付与方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動トレーニング装置及び振動付与方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活習慣病の増大など疾病構造の変化や、高齢化が進行し、健康に暮らせる健康寿命と平均寿命との格差が広がっている。平均寿命が延びたとしても、心臓病や脳梗塞、また転倒・骨折で寝たきり、認知症などで、自立して健やかな生活を送ることが困難な高齢者も増加している。これらより国の重要課題として平均寿命と健康寿命のギャップを縮める健康寿命の延長こそが重要とされ、より効果的なリハビリテーションの確立が不可欠となっている。上記のような問題を解決すべく、使用者等(例えば、要介護者)の筋肉に振動を付与し、振動による刺激のみで通常のリハビリテーションよりも簡易的かつ効果的に使用者等の筋力、代謝機能、骨量改善、それに伴う運動機能を改善させることが可能である動的運動療法装置がある。これは振動刺激により身体に加速度を付加することにより、筋力トレーニング効果を増幅させる、感覚器を刺激することによるバランス機能を改善させる、骨量を増加させる、など使用者等が動かなくても、さまざまな生理学的な反応を引き起こす原理を利用している。そのため、通常の運動と比較し、非常に安全で障害者や虚弱高齢者に安全にリハビリテーションを提供できることで注目されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009-502319号公報
【特許文献2】特表2008-517679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の動的運動療法装置は、プラットフォーム(振動プレートに相当)上に患者を立たせて、プラットフォームに振動を付与することにより、患者の筋力に刺激を与えるものとされている。また、前記動的運動療法装置は、立位をとることが困難な患者の場合、プラットフォーム上に設けた座部に患者を座らせた状態で、プラットフォームに振動を付与することにより、患者の筋力に刺激を与えるものとされている。
【0005】
上述した特許文献1に記載の動的運動療法装置は、予め患者の体重を体重計等により計測し、計測された体重を見掛けの体重として設定するものとされている。また、前記運動療法装置は、加速度計(処理デバイスに相当)により、振動プレートに掛かる荷重を見掛けの体重を基準とした偏差の値として、計測するものとされている。得られた偏差の値は、ルックアップテーブル(比較表)に基づいて、対応する機械的振動エネルギーの伝達率に換算される。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の動的運動療法装置は、加速度計により、見掛けの体重を基にして、振動プレートに掛かる荷重を偏差の値として取得するものとされているので、直接的に振動プレートに掛かる荷重を計測することができない。また、前記動的運動療法装置は、患者が振動プレートに完全に乗った状態(振動プレートに患者の全体重が掛かった状態)を基準(見かけの体重)として、当該基準からの偏差の値を計測するものとされている。従って、振動プレートが非振動状態にある場合において、患者が動的運動療法装置に載った場合は、患者の実際の体重と見掛けの体重とがほぼ同じとなるため、加速度が発生しない。そのため、振動プレートが非振動状態にある場合は、荷重(患者の実際の体重)を測定することができない問題がある。
健常者は、自発的にトレーニングするため、自分の体に与える負荷を自分で調整する。一方、トレーナーが付きそう高齢者や患者を対象とするトレーニングは自発的ではなく、医学的に実証されたプロトコールに基づいた方法で実施する。
高齢者や術後患者等の実施の際、使用者が適正な座位姿勢を保った状態での下肢荷重を測定し、付き添うトレーナーがその程度を認識することが大切であり、その上で姿勢を変化させた時の荷重変化量を確認してトレーニングすることが重要となるが、特許文献1に記載の動的運動療法装置等の従来技術では実現できないという問題もある。
【0007】
また、特許文献1に記載の動的運動療法装置は、上述のように見掛けの体重を基準として偏差の値を算出しており、実際の体重を基準とするものではないので、計測に誤差を生じやすい。そのため、患者に対して正確に振動(加速度運動)を付与することが困難である。また、前記動的運動療法装置は、偏差の値を機械的振動エネルギーの伝達率に変換するに際し、ルックアップテーブルを用いて間接的に行うためサンプリング頻度を高めることが困難であり、測定誤差も生じやすい問題がある。また、前記動的運動療法装置は、見掛けの体重を基準としているため、振動プレートに使用者が身体の一部(例えば、足)だけを載せる場合は、使用者の足に対して適正な荷重で振動を付与することができない問題があった。上述したように前記動的運動療法装置は、見掛けの体重を別途に体重計で測定する必要がある。しかしながら、例えば、要介護者のように体重計に載ることが困難な者の場合は、事前に体重を測定してルックアップテーブルにより算出が必要となり、その手間が課題となる。さらに、算出した値が姿勢や下肢筋力の緊張状態で大きく変化する(例えば、同じ座位姿勢でも大腿四頭筋やヒラメ筋肉、前脛骨筋の緊張の程度で下肢の荷重が大きく変化する)ので、同じ身長・体重の者でも荷重は異なり、ルックアップテーブルのみでは十分に対応できない。
【0008】
また、特許文献2に記載の振動刺激装置(振動により人体を刺激する装置)は、振動プレート(振動板)に係る荷重を測定することができない。そのため、特許文献1と同様の問題を有している。
【0009】
そこで、本発明は、非振動状態及び振動状態において荷重を計測可能な振動トレーニング装置及び振動付与方法を提供することを目的とする。また、本発明は、非振動状態及び振動状態において荷重変化を表示可能な振動トレーニング装置及び振動付与方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の振動トレーニング装置は、使用者が足を載せる振動プレートと、前記振動プレートに振動を付与する振動発生ユニットと、前記振動プレートに対して下方側に配される支持ベースと、前記支持ベース及び前記振動プレートの間に配されると共に前記振動プレートを下面側から支持しつつ前記振動プレートを上方に向けて付勢する弾性部材と、前記振動プレートの下方側において、前記弾性部材及び前記振動発生ユニットが配される領域を避けた領域に配される変位計と、前記変位計で検出された変位量を演算処理する演算部と、を備え、前記変位計は、前記振動プレートが非振動状態にある場合の高さを第一位置として当該振動プレートの上下方向への変位量を検出することが可能であり、前記演算部は、前記第一位置からの変位量に基づいて、前記振動プレートに掛かる荷重を算出可能であること、を特徴とするものである。
【0011】
上述した振動トレーニング装置は、変位計により、振動プレートが非振動状態にある場合の高さを第一位置として、振動プレートの上下方向への変位量を検出することが可能である。すなわち、上述した振動トレーニング装置は、非振動状態での振動プレートの上下方向の変位量を検出することが可能である。従って、上述した振動トレーニング装置は、検出した前記変位量に基づいて、振動プレートに掛かる荷重を算出することができる。これにより、上述した振動トレーニング装置は、従来測定することができなかった非振動状態においても荷重(例えば、使用者の体重や身体の一部の重量)を測定することができる。そのため、予め使用者の体重(見かけの体重)を測定する必要がないので、例えば、高齢者や要介護者等が、わざわざ別途に体重計に載って体重を測定する必要がない。これにより、使用者の負担や介助者の負担を軽減できる効果が期待できる。なお、変位計には、例えば、接触式のものや非接触式のものなど各種の変位計を用いることができる。
【0012】
また、上述した振動トレーニング装置は、第一位置からの変位量に基づいて、振動プレートに掛かる荷重を算出可能であるので、振動プレートに振動を付与した際にも第一位置を基準として振動プレートに掛かる荷重を算出することができる。また、上述した振動トレーニング装置は、ルックアップテーブル(比較表)を用いることなく、荷重を算出できるため、トレーナーが目視確認できる。また、上述した振動トレーニング装置は、荷重の測定精度を高めることができる。
【0013】
(2)上述した本発明の振動トレーニング装置は、前記荷重及び前記変位量のいずれか一方又は双方を直接的又は間接的に表示する表示装置を備えるとよい。
【0014】
上述した振動トレーニング装置は、かかる構成とすることにより、使用者(例えば、高齢者や要介護者)に対して、振動を付与する際の目標値(指針)を視覚的に提供することができる。そのため、上述した振動トレーニング装置は、正確な荷重や変位量に基づいて、使用者に対して振動を付与することができ、適正なトレーニング効果(筋肉の刺激による効果)を得ることができる。また、上述した振動トレーニング装置は、例えば、使用者のトレーニングを介助する介助者(例えば、理学療法士やトレーナー)の利便性を向上させることが期待できる。
【0015】
(3)上述した本発明の振動トレーニング装置において、前記演算部は、前記使用者が非振動状態にある前記振動プレートに足を載せた状態を第二位置として、前記第一位置から前記第二位置への変位量に基づいて基準荷重を算出可能であり、前記表示装置は、前記振動プレートが非振動状態及び振動状態にある場合の前記基準荷重に対する荷重変化を直接的又は間接的に表示可能であるとよい。
【0016】
上述した振動トレーニング装置は、かかる構成とすることにより、演算部において、非振動状態で、基準荷重を算出できる。ここで、基準荷重は、使用者が全体重を掛けた場合は、使用者の体重となり、使用者が例えば足だけを振動プレートに載せて荷重を掛けた場合は、その荷重(足による荷重)となる。基準荷重は、座面位置と足底の位置、下肢筋力の状態によって変化するが、それを計測可能とする(座面位置は、足底からの水平方向の距離と高さ方向の距離によって変化し、使用者の身体状態とトレーニングの目的によっても異なる)。そのため、上述した振動トレーニング装置は、振動プレートを非振動状態から振動状態とした際に、非振動状態にある基準荷重(負荷量)に基づいて、振動状態における荷重変化を表示装置に表示させることができる。振動トレーニング装置は荷重量で身体に与える効果が異なる。例えば荷重量が低い場合は感覚刺激によるバランス機能改善効果、荷重量が増加することで筋力増幅効果が得られる。つまり、適切に荷重量を管理することで、上述した振動トレーニング装置は、正確な荷重変化に基づいて、適切に使用者に対して振動を付与することができ、適正なトレーニング効果(筋肉の刺激による効果、バランス改善効果、血流改善効果など)を得ることができる。さらに、使用者のトレーニングを介助する介助者(例えば、理学療法士やトレーナー)は客観的に振動トレーニング装置の効果を使用者等に伝えることができる。また虚弱高齢者など多くの使用者等は使用者自身で荷重を増加させることが難しいため、荷重量の変化自体が振動トレーニング効果判定として有用になる。荷重量を客観的に観察することで、各使用者ごとのトレーニングプロトコールを確立することができ、効果的なリハビリテーション手法を開発するためのエビデンスの確立にもつながる可能性がある。
【0017】
(4)上述した本発明の振動トレーニング装置は、前記変位計が、前記振動プレートにおける重心の下方側に位置するように配されるとよい。
【0018】
上述した振動トレーニング装置は、かかる構成とすることにより、振動による影響が少ない位置(例えば、振動を減衰したプレートに変位計を配置)で、変位計による変位の検出を行うことができる。すなわち、振動プレートにおける重心は、振動プレートが振動する際に上下方向以外への振れがないため、精度の良い上下方向への変位量を検出することができる。そのため、精度の良い荷重の算出が可能である。また、振動プレートにおける重心は、例えば、それぞれの弾性部材が配された領域の水平方向における中心と一致させるとよい。これにより、振動プレートが振動する際の上下方向以外への振れが抑制される。
【0019】
(5)上述した本発明の振動トレーニング装置において、前記演算部は、所定時間に検出された複数の前記変位量に係るデータを、移動平均法を用いて演算処理することにより前記荷重を算出するとよい。
【0020】
上述した振動トレーニング装置は、かかる構成とすることにより、サンプリング数を必要以上に増やすことなく、例えば、移動平均法により平均化することにより、精度の良い荷重を算出できる。そのため、上述した振動トレーニング装置は、演算部への負荷を軽減することができる。
【0021】
(6)上述した本発明の振動トレーニング装置は、前記変位計が、非接触変位計であるとよい。
【0022】
上述した振動トレーニング装置は、かかる構成とすることにより、変位計を配置する位置の自由度を高めることができる。ここで、非接触変位計には、例えば、レーザー変位計が利用可能である。
【0023】
(7)上述した課題を解決すべく提供される本発明の振動付与方法は、使用者が足を載せる振動プレートと、前記振動プレートに振動を付与する振動発生ユニットと、前記振動プレートの上下方向への変位量を計測する変位計と、前記変位量を演算処理することにより荷重を算出する演算部と、前記荷重及び前記変位量のいずれか一方又は双方を直接的又は間接的に表示する表示装置と、を備える振動トレーニング装置を用い、前記振動発生ユニットによる振動を発生させる前の非振動状態において、前記振動プレートの高さを第一位置として設定する第一位置設定ステップと、前記非振動状態おいて、前記使用者が前記振動プレートに足を載せた状態における前記第一位置から変位した位置を第二位置として計測する第二位置計測ステップと、前記第一位置から前記第二位置への変位量に基づいて基準荷重を算出する基準荷重算出ステップと、前記振動発生ユニットによって振動を前記振動プレートに付与することにより振動状態とする振動発生ステップと、振動状態において、荷重を算出する振動状態荷重算出ステップと、前記非振動状態及び前記振動状態における荷重及び前記基準荷重に対する荷重変化のいずれか一方又は双方を直接的又は間接的に表示させる表示ステップと、を実行すること、を特徴とするものである。
【0024】
上述した振動付与方法は、第一位置設定ステップにより、非振動状態における振動プレートの高さを第一位置として設定できる。すなわち、振動プレートの無負荷の状態が、第一位置として設定される。なお、第一位置の設定は、手動又は自動で行えばよい。また、上述した振動付与方法は、第二位置計測ステップにより、使用者が振動プレートに足を載せた状態における第一位置から変位した位置を第二位置として計測できる。また、上述した振動付与方法は、基準荷重算出ステップにより、第一位置から第二位置への変位量に基づいた基準荷重を算出できる。すなわち、非振動状態で使用者が振動プレートに付与した負荷(基準荷重)を測定することができる。これにより、上述した振動付与方法は、従来測定することができなかった非振動状態においても荷重(例えば、使用者の体重や身体の一部の重量)を測定することができる。そのため、予め使用者の体重(見かけの体重)を測定する必要がないので、例えば、高齢者や要介護者等が、わざわざ別途に体重計に載って体重を測定する必要がない。これにより、使用者の負担や介助者の負担を軽減できる効果が期待できる。なお、各ステップにおける変位の検出は、例えば、非接触変位計を用いればよい。
なお、第一位置から第二位置への変位量に基づく基準荷重を算出せず、トレーニング時の姿勢における振動状態での荷重測定を行うこともできる。
【0025】
また、上述した振動付与方法は、振動発生ステップにより、振動を振動プレートに付与することができる。これにより、上述した振動付与方法は、振動プレートに基準荷重の負荷を掛けた状態で、使用者に対して振動を付与できる。また、上述した振動付与方法は、振動状態荷重算出ステップにより、振動状態における荷重を算出することができる。また、上述した振動付与方法は、表示ステップにより、非振動状態及び振動状態において、前記基準荷重に対する荷重変化を直接的又は間接的に表示させることができる。これにより、上述した振動付与方法は、正確な荷重変化に基づいて、適切に使用者に対して振動を付与することができ、適正なトレーニング効果(筋肉の刺激による効果、バランス改善効果、血流改善効果など)を得ることができる。また、上述した振動付与方法は、例えば、使用者のトレーニングを介助する介助者(例えば、理学療法士やトレーナー)の利便性を向上させることが期待できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、非振動状態及び振動状態において荷重を計測可能な振動トレーニング装置及び振動付与方法を提供することができる。また、本発明によれば、非振動状態及び振動状態において荷重変化を表示可能な振動トレーニング装置及び振動付与方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る振動トレーニング装置の一実施形態を表す外観斜視図である。
【
図2】(a)は、
図1のA-A方向矢視断面図であり、(b)は、
図1のB-B方向矢視断面図である。
【
図3】(a)は、本発明の振動トレーニング装置において、振動プレートを取り外した状態を表す平面図であり、(b)は、本発明の振動トレーニング装置において、振動プレート及び振動発生ユニットを取り外した状態を表す平面図である。
【
図4】
図1の振動トレーニング装置における振動発生ユニットの斜視図である。
【
図5】
図1の振動トレーニング装置の構成図である。
【
図6】
図1の振動トレーニング装置の使用形態を表す説明図である。
【
図7】
図1の振動トレーニング装置における振動プレートの変位を表すチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る振動トレーニング装置1の一実施形態について、
図1~
図7を参照しながら以下に詳細を説明する。
【0029】
図1に示すように、振動トレーニング装置1は、複数の車輪2と、車輪2上に支持された本体カバー3と、支柱4と、ハンドル5と、操作パネル6と、振動プレート20等で外形が形成されている。また、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、振動トレーニング装置1は、前記の他、支持ベース10と、振動発生ユニット100と、弾性部材30と、変位計40と、制御部50等、を備えている。
【0030】
本体カバー3は、上部カバー3aと、下部カバー3bとに分割形成されている。上部カバー3aは、上面側に振動プレート20が配されている。下部カバー3bは、車輪2に支持されており、車輪2と一体となって水平方向に移動自在なものとされている。
【0031】
支持ベース10は、振動プレート20に対して下方側に配され、下部カバー3bの底面に対して上方側に間隔を空けて水平に配されている。支持ベース10は、正方形状に形成され四隅がC面取りされている(
図3参照)。支持ベース10は、下部カバー3b上に固定されたゴム11を介して支持されている。ゴム11は、振動が床面に伝達されることを抑制している。支持ベース10は、後述する振動発生ユニット100及び弾性部材30を支持するものとされている。支持ベース10の上方側には、振動発生ユニット100及び弾性部材30が支持されている。また、支持ベース10は、中央部に開口12が形成されており、後述する変位計40が開口12を貫通するように配される。
【0032】
振動発生ユニット100は、支持ベース10上の中央付近に支持されており、振動プレート20の中央付近下方に位置している。
図4に示すように、振動発生ユニット100は、モータ101を駆動源として、モータ101の回転を上下方向の振動に変換するものとされている。モータ101は、インバータモータ、サーボモータ、ステッピングモータ等の各種のモータを利用することができるが、本実施形態では、例えば、DCブラシレスモータが用いられている。振動発生ユニット100は、間隔を空けて立設された固定板102,102(手前側の固定板102は図示省略)と、底板108と、固定板102に支持されたモータ101と、モータ101のモータ軸に接続されたプロペラシャフト103と、2本の回転シャフト104,104と、を備えている。回転シャフト104,104は、プロペラシャフト103を介して幅方向(図示左右方向)両側に配されている。回転シャフト104,104は、それぞれ、固定板102,102の間に回転可能に支持されている。固定板102,102の上端側は、振動プレート20の下面側に固定されている。また、底板108は、支持ベース10上に固定されている。
【0033】
振動発生ユニット100は、プロペラシャフト103に一体回転可能に固定された駆動プーリ110と、それぞれの回転シャフト104,104に一体回転可能に固定された従動プーリ111,111と、を備えている。駆動プーリ110は、モータ101の回転と同期した回転が可能である。また、駆動プーリ110及び従動プーリ111,111には、両面に歯が形成されたタイミングベルト112が掛け渡されている。タイミングベルト112は、駆動プーリ110の回転を従動プーリ111,111に伝達することができる。本実施形態では、駆動プーリ110の回転に伴って、従動プーリ111,111が、それぞれ逆方向に同期して回転するようにタイミングベルト112が掛け渡されている。従って、従動プーリ111,111の回転に伴って回転シャフト104,104が互いに逆法方向に同期して回転する。なお、本実施形態では、1つのモータ101により、2本の回転シャフト104,104が互いに逆方向に同期して回転するように構成しているが、2つのモータ101を用いて、2本の回転シャフト104,104が互いに逆方向に同期して回転するようにしてもよい。かかる場合は、2つのモータをインバータ等で回転シャフト104,104を互いに逆方向に同期させて回転させればよい。
【0034】
上述した回転シャフト104,104は、それぞれ左右対称に設けられているため、以下では、一方側について説明する。回転シャフト104の先端側には、第一の錘体105が、回転シャフト104と一体的に回転可能に固定されている。また、回転シャフト104の基端側(従動プーリ111側)には、第二の錘体106が、回転シャフト104と一体的に回転可能に固定されている。また、回転シャフト104の中間部には、第三の錘体107が、回転シャフト104に対して回転可能に支持されている。第一の錘体105及び第二の錘体106は、例えば、鉄を素材として形成されている。第三の錘体107は、例えば、アルミニウムを素材として形成されている。なお、第一の錘体105、第二の錘体106、及び第三の錘体107は、付与する振動に応じて、各種の材質で形成することができる。
【0035】
回転シャフト104の表面には、駆動ピン(図示せず)が設けられている。駆動ピンは、回転シャフト104の径方向に向けて突出しており、第三の錘体107と係合することが可能である。第三の錘体107は、駆動ピンが係合することにより、回転シャフト104と一体的に回転することができる。
【0036】
ここで、回転シャフト104が一方向(
図4のa方向)に回転するときは、第三の錘体107が、駆動ピン(図示せず)により第一の錘体105及び第二の錘体106とは180度反対側の位置に保持され、第一の錘体105及び第二の錘体106の遠心力が低減されることで、鉛直方向の振動が弱められる。これに対して、回転シャフト104が逆方向(
図4のb方向)に回転するときは、第三の錘体107が、駆動ピンにより第一の錘体105及び第二の錘体106とは同じ方向を向く位置に保持され、第一の錘体105及び第二の錘体106の遠心力が増加されることで、鉛直方向の振動が強められる。振動発生ユニット100による振動は、振動プレート20に伝達される。
【0037】
図1に示すように、支柱4は、上部カバー3aの前端側に立設されている。支柱4には、上端側にハンドル5と、操作パネル6と、が設けられている。
【0038】
ハンドル5は、手前側が幅方向に沿って直線状に形成され、幅方向両端側が後方に向けて突出形成されることにより、全体としてコの字状に形成されている。使用者M(
図6参照)は、ハンドル5の適所を握ることにより、トレーニングに適した姿勢を採ることができる。ハンドル5は、使用形態に合わせて、各種の形状に形成することができ、必要に応じて、可動式のものとすることもできる。
【0039】
操作パネル6は、例えば、タッチパネルで形成されている。本実施形態では、操作パネル6は、表示装置60と、入力部61と、を含むものとされている。表示装置60は、例えば、入力部61としての操作ボタンや振動トレーニング装置1における各種の設定画面を表示することができる。また、表示装置60は、後述する振動プレート20の変位量や振動プレート20に掛かる荷重W等の各種の表示を行うことができる。表示装置60における具体的な表示の詳細は後述する。
【0040】
入力部61は、例えば、タッチパネルに表示される操作ボタンである。操作ボタンは、例えば、トレーニング(振動発生)を開始するスタートボタン、トレーニング(振動発生)を停止するボタン、トレーニングで付与する振動の振動条件(周波数及び振幅等)を設定する設定ボタン、トレーニング時間を変更する設定ボタン等の各種のボタンを備えている。また、入力部61は、タッチパネルに表示される操作ボタンだけではなく、非常停止ボタン等の各種のボタンとしてタッチパネル以外の場所に配置することも可能である。
【0041】
ここで、振幅は、高又は低の2段階で調節することができ、周波数は、例えば20Hz、30Hz又は50Hzの3段階で調節することが可能である。振幅の調整は、上述したように回転シャフト104の回転方向により調整することができ、周波数は、回転シャフト104の回転数により調整することができる。
【0042】
振動プレート20は、上面側に使用者M(
図6参照)が足を載せるためのゴムマット21が敷設されている。ゴムマット21には、所定の位置(使用者Mが足を載せる位置)にマーク(本実施形態では線)が施されている。ゴムマット21に施すマークは、振動プレート20の重心位置に対して、左右対称となるように施されている。振動プレート20の下面側における中央付近には、振動発生ユニット100の固定板102(
図4参照)が固定されている。従って、振動発生ユニット100で発生させた振動が、振動プレート20に伝達される。これにより、振動プレート20が振動する。また、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、振動プレート20は、弾性部材30によって、支持されている。
【0043】
図3(a)及び(b)に示すように、支持ベース10の4つの面取り部のそれぞれに位置するように4つの弾性部材30が配されている。弾性部材30は、それぞれ面取り部の面取り方向に沿うように配されている。
【0044】
図2(a)に示すように、弾性部材30は、本実施形態では、六角形のリング形状に形成されたゴム部材である。弾性部材30は、支持ベース10及び振動プレート20の間に配されており、上面で振動プレート20を下面側から支持している。また、弾性部材30は、下面が支持ベース10の上面側に支持されている。これにより、弾性部材30は、振動プレート20を下方側から支持しつつ、振動プレート20を上方に向けて付勢している。4つの弾性部材30は、それぞれ振動プレート20の中心(重心)に対して対称となるように配置されている。すなわち、振動プレート20は、4つの弾性部材30に均等に支持されており、水平状態に近い状態で保たれる。詳細は後述するが、弾性部材30は、上下(鉛直)方向に対して、所定の弾性係数に従う弾性力を有しており、振動プレート20に負荷が掛かった際に所定の弾性力で弾性変形することが可能である。
【0045】
変位計40は、本実施形態では、非接触式変位計(例えば、レーザー変位計)が用いられている。
図2及び
図3(b)に示すように、変位計40は、支持ベース10及び振動プレート20の間において、弾性部材30及び振動発生ユニット100が配される領域を避けた領域に配されている。具体的には、変位計40は、振動プレート20の重心の下方側における下部カバー3b上にブラケット(図示せず)を介して取り付けられている。また、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、変位計40の上方には、変位計40の計測と干渉しないように、支持ベース10の開口12が位置している。また、開口12の上方には、変位計40と向き合うように反射部材41が設けられている。反射部材41は、振動発生ユニット100の底板108に固定されている。反射部材41は、変位計40から照射されるレーザー光を反射することができる。変位計40は、反射部材41に反射された光から、反射部材41との距離を計測することができる。変位計40による変位量Lの測定の詳細は、後述する。
【0046】
ここで、振動プレート20の重心は、4つの弾性部材30の配された領域の水平方向における中心と一致する位置とされている。そのため、変位計40は、振動による影響が少ない位置で、変位の検出を行うことができる。すなわち、振動プレート20における重心は、振動プレート20が振動する際に上下方向以外への振れが少ないため、精度の良い上下方向への変位量Lを検出することができる。また、上述したように変位計40に非接触変位計を用いれば、変位計40を配置する位置の自由度を高めることができる。なお、変位計40は、配置するレイアウトに応じて、非接触式のものだけではなく、接触式のものを用いることも可能である。
【0047】
図2(a)及び
図5に示すように制御部50は、下部カバー3bの後方側(支柱4の下方側)に設けられている。制御部50は、例えば、コンピュータにより構成されており、
図5に示すように、演算部51と、記憶部52等を備えている。また、制御部50には、変位計40と、表示装置60と、入力部61と、モータドライバ113等が接続されている。制御部50は、振動トレーニング装置1の全体の動作を制御することができる。制御部50は、入力部61で設定された条件に従って、振動を発生させることができる。
【0048】
モータドライバ113には、モータ101が接続されている。モータドライバ113は、制御部50からの指令に応じて、モータ101の駆動制御を行うことができる。
【0049】
演算部51は、変位計40で計測された変位量を演算処理することができる。具体的には、演算部51は、変位計40で計測された振動プレート20の上下方向の変位量に基づいて、振動プレート20に掛かる荷重を算出することができる。なお、演算部51による荷重の算出の詳細は後述する。演算部51は、荷重の算出の他、振動トレーニング装置1における各種の演算処理や制御を行うことが可能である。
【0050】
記憶部52は、フラッシュメモリ等の記憶媒体で構成されている。記憶部52は、使用者M(患者M)の各種の情報(性別、年齢、体重等)や、トレーニング条件等を記憶することができる。また、記憶部52は、適宜、記憶した情報を呼び出して、表示装置60に表示したり、入力部61にトレーニング条件を設定したりすることが可能である。
【0051】
以上が、本発明に係る振動トレーニング装置1の構成であり、次に振動トレーニング装置1を用いた振動付与方法及び演算部51における荷重の算出についての詳細を説明する。
【0052】
本実施形態では、
図6に示すように、使用者Mが、足(振動を付与したい身体部分)のみを振動プレート20に載せる場合について説明する。まず、振動トレーニング装置1による振動の付与に先立ち、予め振動の振動条件が操作パネル6を介して設定される。
【0053】
図7は、変位計40による振動プレート20の上下方向への変位を示すチャート図である。振動プレート20は、使用者Mが足を載せる前の状態において、高さが第一位置P1(図示省略)に位置する。すなわち、変位計40が変位量0(ゼロ)を示す。また、制御部50(演算部51)により、このときの高さ(非振動状態の高さ)が第一位置P1として設定される(第一位置設定ステップ)。言い換えると、振動プレート20の無負荷の状態が、第一位置P1として設定される。なお、第一位置P1の設定は、手動又は自動で行えばよい。
【0054】
次に、振動プレート20に振動を付与する前の状態(非振動状態とも称する)において、使用者Mは、別途用意された椅子7に着座し、振動プレート20の所定の位置(例えば、マークの施された位置)に足を載せる(
図6参照)。すなわち、本実施形態では、振動プレート20に対して使用者Mの全体重が掛かるものではなく、使用者Mの足の重量のみが掛かるものとされている。また、使用者Mは、所定の姿勢をとるようにハンドル5の所定位置を握る(
図6参照)。このとき、
図7に示すように、振動プレート20に荷重が掛かることで、振動プレート20の高さが変位計40により第二位置P2として計測される(第二位置計測ステップ)。具体的には、変位計40は、第一位置P1から第二位置P2への変位量L1(初期変位量L1とも称する)を計測する。
【0055】
ここで、荷重Wは、弾性部材30の弾性係数Kに基づいて、算出することができる。弾性係数Kは、弾性部材30の荷重に応じた縮み量(圧縮計等により計測)の関係から予め求めることができる。なお、弾性部材30としてバネを用いる場合は、バネ係数を使用すればよい。荷重Wは、例えば、弾性部材30に線形変化するバネを用いる場合は、以下の(式1)により算出できる。線形変化しない弾性部材30を用いる場合は、弾性部材30の弾性変形に応じて、(式1)を変形すればよい。
【0056】
荷重W=4(バネの個数)×K(バネ係数)×L(変位量)・・・(式1)
【0057】
従って、上述した初期変位量L1が、計測されると、演算部51は、初期変位量L1に基づいて、基準荷重W1(負荷量W1)を算出する(基準荷重算出ステップ)。ここで、基準荷重W1は、(式1)に基づいた(式2)により、算出することができる。
【0058】
基準荷重W1=4(バネの個数)×K(バネ係数)×L1(初期変位量)・・(式2)
【0059】
このように、本発明の振動トレーニング装置1や振動付与方法では、基準荷重算出ステップにより、非振動状態で使用者Mが振動プレートに付与した負荷(基準荷重)を測定することができる。これにより、本発明の振動トレーニング装置1や振動付与方法は、従来測定することができなかった非振動状態においても荷重W(例えば、使用者Mの体重や身体の一部の重量)を測定することができる。そのため、予め使用者Mの体重(見かけの体重)を測定する必要がないので、例えば、高齢者や要介護者等が、わざわざ別途に体重計に載って体重を測定する必要がない。これにより、使用者の負担や介助者の負担を軽減できる効果が期待できる。また、虚弱高齢者など多くの使用者等は荷重を増加させることが難しいため、荷重量の変化自体が振動トレーニング効果判定として有用になる。重量を客観的に観察することで、各使用者のトレーニングプロトコールを確立することができ、効果的なリハビリテーション手法を開発するためのエビデンスの確立にもつながる可能性がある。
【0060】
基準荷重算出ステップにおいて、基準荷重W1が算出されると、使用者Mが振動プレート20に足を載せた状態で、振動を振動プレート20に付与することにより振動状態とする(振動発生ステップ)。振動発生ステップでは、制御部50により、所定の振動条件に従った振動を発生させる制御が行われる。なお、振動の付与は、使用者M、理学療法士又は介護者等が、表示装置60に表示された操作ボタン(入力部61)を操作することにより開始することができる。
【0061】
振動発生ステップでは、
図7に示すように、所定の周波数(本実施形態では50Hz)で、振動が付与される。振動発生ステップでは、第二位置P2(基準荷重が付与された状態)を中心として所定の振幅で振動プレート20の高さが変位する。すなわち、0.02秒を1周期として、振動プレート20の高さが変位する。ここで、本実施形態では、変位計40のサンプリング間隔が例えば、0.002秒とされている。従って、1周期あたり10回のサンプリングが行われ、変位量Lに係るデータ(第一位置P1からの変位)がサンプリングされる。本実施形態では、サンプリング毎に第一位置P1からの変位(高さH)がa、b、c、d、e、f、g、h、i、jの順に順次変位するものとする。
【0062】
演算部51は、所定時間にサンプリングで検出された高さHを以下の(式3)に基づいて移動平均化することにより変位量Lを算出する。
【0063】
変位量L=(H1+H2+・・・Hn)/n・・・(式3)
【0064】
なお、本実施形態における具体的な変位量Lは、以下の(式4)に基づいて算出できる。
【0065】
変位量L=(a+b+c+d+e+f+g+h+i+j)/10・・・(式4)
【0066】
演算部51は、振動状態における変位量Lに基づいて、荷重Wを算出する(振動状態荷重算出ステップ)。すなわち、使用者Mの足により、振動プレート20に付与された荷重W(振幅による変動の影響を除外した荷重W)が算出される。このように、本実施形態では、移動平均法により変位量Lが算出される。そのため、サンプリング数を必要以上に増やすことなく、精度の良い荷重Wの算出が行える。これにより、本発明の振動トレーニング装置1や振動付与方法は、演算部51への負荷を軽減することができる。また、本発明の振動トレーニング装置1や振動付与方法は、振動プレート20に基準荷重W1の負荷を掛けた状態で、使用者Mに対して振動を付与できる。
【0067】
非振動状態及び振動状態で計測された荷重W及び基準荷重W1に対する荷重変化のいずれか一方又は双方は、表示装置60に直接的又は間接的に表示される(表示ステップ)。ここで、表示装置60に直接的に表示されるものは、実際の荷重Wや基準荷重W1を数値的に表したものが例示される。また、表示装置60に間接的に表示されるものは、視覚的にグラフで表示されるものや基準荷重W1に対するプラス又はマイナスの変化をインジケータとして表示するものなどが例示される。
【0068】
このように、表示装置60は、荷重W及び変位量Lのいずれか一方又は双方を直接的又は間接的に表示することができる。従って、本発明の振動トレーニング装置1及び振動付与方法は、使用者M(例えば、高齢者や要介護者)に対して、振動を付与する際の目標値(指針)を視覚的に提供することができる。そのため、本発明の振動トレーニング装置1や振動付与方法は、正確な荷重Wや変位量Lに基づいて、使用者Mに対して振動を付与することができ、適正なトレーニング効果(筋肉の刺激による効果)を得ることができる。また、本発明の振動トレーニング装置1及び振動付与方法は、例えば、使用者Mのトレーニングを介助する介助者(例えば、理学療法士やトレーナー)の利便性を向上させることができる。
【0069】
また、本発明の振動トレーニング装置1は、変位計40により、振動プレート20が非振動状態にある場合の高さHを第一位置P1として、振動プレート20の上下方向への変位量Lを検出することが可能である。すなわち、振動トレーニング装置1は、非振動状態での振動プレート20の上下方向の変位量Lを検出することが可能である。従って、振動トレーニング装置1は、検出した変位量Lに基づいて、振動プレート20に掛かる荷重Wを算出することができる。これにより、振動トレーニング装置1は、従来測定することができなかった非振動状態においても荷重W(例えば、使用者Mの体重や身体の一部の重量)を測定することができる。そのため、予め使用者Mの体重(見かけの体重)を測定する必要がないので、例えば、高齢者や要介護者等が、わざわざ別途に体重計に載って体重を測定する必要がない。また、使用者Mの負担や介助者の負担を軽減できる効果が期待できる。
【0070】
また、本発明の振動トレーニング装置1は、第一位置P1からの変位量Lに基づいて、振動プレート20に掛かる荷重を算出可能であるので、振動プレート20に振動を付与した際にも第一位置P1を基準として振動プレート20に掛かる荷重Wを算出することができる。また、振動トレーニング装置1は、ルックアップテーブル(比較表)を用いることなく、荷重Wを算出できる。そのため、振動トレーニング装置1は、荷重Wの測定精度を高めることができる。
【0071】
上述したように、本発明の振動トレーニング装置1において、演算部51は、使用者Mが非振動状態にある振動プレート20に足を載せた状態を第二位置P2として、第一位置P1から第二位置P2への変位量L1に基づいて基準荷重W1を算出可能であり、表示装置60は、振動プレート20が非振動状態及び振動状態にある場合の基準荷重W1に対する荷重変化を直接的又は間接的に表示可能なものとされている。
【0072】
ここで、基準荷重W1は、使用者Mが全体重を掛けた場合は、使用者Mの体重となり、使用者Mが例えば足だけを振動プレート20に載せて荷重Wを掛けた場合は、その荷重(足による荷重)となる。そのため、本発明の振動トレーニング装置1は、振動プレート20を非振動状態から振動状態とした際に、非振動状態にある基準荷重W1(負荷量)に基づいて、振動状態における荷重変化を表示装置60に表示させることができる。これにより、本発明の振動トレーニング装置1は、正確な荷重変化に基づいて、適切に使用者Mに対して振動を付与することができ、適正なトレーニング効果(筋肉の刺激による効果、バランス改善効果、血流改善効果など)を得ることができる。
【0073】
次に、本発明の振動トレーニング装置1を用いたトレーニングの目的別の実施方法について、以下に説明する。
【0074】
≪トレーニング方法について≫
トレーニングの目的としては、主に、筋力の向上、バランス感覚の向上、血管の拡張、柔軟性の向上などがある。そこで、振動トレーニング装置1は、目的別のモード(メニュー)が用意されている。例えば、筋力の向上を目的としたモードには、「やんわり筋トレモード」、「がっつり筋トレモード」がある。筋力の向上では、前傾姿勢をとることで体重を足底にしっかり乗せると効果が得られやすくなる。そこで、本発明による振動トレーニング装置1では、体重が足底にしっかり載っていることを例えば、表示装置60に表示されたインジケータ(荷重計)によって可視化している。
【0075】
また、例えば、バランス感覚の向上を目的としたモードには、「バランス改善モード」があり、柔軟性の向上を目的としたモードには、「ストレッチモード」があり、血管の拡張を目的としたモードには、「疲労血流改善モード」がある。以下、各モードについて、
図8~
図12を参照しながら、詳細を説明する。
【0076】
≪やんわり筋トレモード≫
図8(a1)に示すように、まず、使用者Mが別途用意した椅子7(上下可能なものとするとよい)に着席すると共に、足幅が開かれた状態(ワイドスタンス)で、使用者Mが、足を振動プレート20の所定位置に載せる。この状態で、振動プレート20に振動が付与される。なお、「やんわり筋トレモード」における振動条件は、周波数30Hz、振幅1.5mmとされている。また、トレーニング条件は、上記振動条件による振動を30秒間付与した後、60秒間の休憩を行うことを1セットとして、これが3セット(回)行われるものとされている。なお、トレーニング中は、表示装置60に示されたインジケータによって、確認しながら行われる。また、トレーニングは適宜、理学療法士等が支援しながら行われる。
【0077】
続いて、
図8(a2)に示すように、使用者Mの足幅を通常の状態とすると共に、使用者Mが中間的なスクワット状態となるように椅子7の高さを下げる。この状態で、上記
図8(a1)における条件と同じトレーニング条件でトレーニングが行われる。
【0078】
続いて、
図8(a3)に示すように、使用者Mが深いスクワット状態となるように、さらに椅子7の高さを下げる。この状態で、上記
図8(a1)における条件と同じトレーニング条件でトレーニングが行われる。
【0079】
続いて、
図8(a4)に示すように、使用者Mがワイドスタンスを取ると共に使用者Mのつま先が、振動プレート20に接するよう椅子7の高さを上げる。この状態で、
図8(a1)におけるトレーニング条件と同じ条件でトレーニングが行われる。
【0080】
続いて、
図8(a5)に示すように、使用者Mの足幅を通常の状態とすると共に、使用者Mのつま先が振動プレート20に接する状態で、使用者Mが中間的なスクワット状態となるように椅子7の高さを下げる。この状態で、上記
図8(a1)における条件と同じトレーニング条件でトレーニングが行われる。
【0081】
続いて、
図8(a6)に示すように、使用者Mのつま先が振動プレート20に接する状態で、使用者Mが深いスクワット状態となるように、さらに椅子7の高さを下げる。この状態で、上記
図8(a1)における条件と同じトレーニング条件でトレーニングが行われる。このように、本発明の振動トレーニング装置1を用いることにより、視覚的に荷重の状態を確認しながら、正確なトレーニングを行うことができる。以上が、「やんわり筋トレモード」の詳細であり、次に、「がっつり筋トレモード」の詳細について、
図9を参照しながら以下に説明する。
【0082】
≪がっつり筋トレモード≫
図9(b1)に示すように、まず、使用者Mが高さを下げた椅子7に着席し、使用者Mがスクワット状態を取る。また、使用者Mは、足幅が通常の状態で、足を振動プレート20の所定位置に載せる。この状態で、振動プレート20に振動が付与される。なお、「がっつり筋トレモード」における振動条件は、周波数40Hz、振幅2mmとされている。また、トレーニング条件は、上記振動条件による振動を30秒間付与した後、60秒間の休憩を行うことを1セットとして、これが3セット(回)行われるものとされている。なお、トレーニング中は、表示装置60に示されたインジケータによって、確認しながら行われる。また、トレーニングは適宜、理学療法士等が支援しながら行われる。
【0083】
続いて、
図9(b2)に示すように、使用者Mが片足を振動プレート20に載せた状態で、上記
図9(b1)における条件と同じトレーニング条件でトレーニングが行われる。
【0084】
続いて、
図9(b3)に示すように、使用者Mの片足が深いスクワット状態となるように、さらに椅子7の高さを下げる。この状態で、上記
図9(b1)における条件と同じトレーニング条件でトレーニングが行われる。
【0085】
続いて、
図9(b4)に示すように、使用者Mの両足のつま先が、振動プレート20に接する状態とすると共に使用者Mがスクワット状態となる高さに椅子7を上げる。この状態で、
図9(b1)におけるトレーニング条件と同じ条件でトレーニングが行われる。
【0086】
続いて、
図9(b5)に示すように、使用者Mの片足のつま先が、振動プレート20に接する状態とすると共に使用者Mがスクワット状態を取る。この状態で、上記
図9(b1)における条件と同じトレーニング条件でトレーニングが行われる。
【0087】
続いて、
図8(a6)に示すように、使用者Mの片足のつま先が、振動プレート20に接する状態とすると共に使用者Mが深いスクワット状態となるように椅子7の高さを下げる。この状態で、上記
図9(b1)における条件と同じトレーニング条件でトレーニングが行われる。このように、本発明の振動トレーニング装置1を用いることにより、視覚的に荷重の状態を確認しながら、正確なトレーニングを行うことができる。以上が、「がっつり筋トレモード」の詳細であり、次に、「バランス改善モード」の詳細について、
図10を参照しながら以下に説明する。
【0088】
≪バランス改善モード≫
「バランス改善モード」は、身体のバランス感覚を改善するためのものとされている。
図10(c1)に示すように、まず、使用者Mが高さを下げた椅子7に着席し、使用者Mがスクワット状態を取る。また、使用者Mは、足幅が通常の状態で、足を振動プレート20の所定位置に載せる。この状態で、振動プレート20に振動が付与される。なお、「バランス改善モード」における振動条件は、周波数40Hz、振幅2mmとされている。また、トレーニング条件は、上記振動条件による振動を30秒間付与した後、60秒間の休憩を行うことを1セットとして、これが3セット(回)行われるものとされている。なお、トレーニング中は、表示装置60に示されたインジケータによって、確認しながら行われる。また、トレーニングは適宜、理学療法士等が支援しながら行われる。
【0089】
続いて、
図10(c2)に示すように、使用者Mが深いスクワット状態となるように椅子7の高さを下げる。片足を振動プレート20に載せた状態で、上記
図10(c1)における条件と同じトレーニング条件でトレーニングが行われる。
【0090】
続いて、
図10(c3)に示すように、使用者Mが目を閉じた状態で、軽いスクワット状態となるように、椅子7の高さを上げる。この状態で、上記
図10(c1)における条件と同じトレーニング条件でトレーニングが行われる。このように、本発明の振動トレーニング装置1を用いることにより、視覚的に荷重の状態を確認しながら、正確なバランス改善のトレーニングを行うことができる。以上が、「バランス改善モード」の詳細であり、次に、「ストレッチモード」の詳細について、
図10を参照しながら以下に説明する。
【0091】
≪ストレッチモード≫
「ストレッチモード」は、身体の柔軟性向上を目的としたトレーニングを行うものとされている。
図11(d1)に示すように、まず、使用者Mのふくらはぎが、伸びるように振動プレート20の前端部分に補助板8を傾斜状態で設ける。使用者Mは、補助板8に足裏が接するように椅子7に着席する。
【0092】
次に、
図11(d2)に示すように、補助板8を除去することで、使用者Mのふくらはぎが伸びた状態で、かかとが振動プレート20に載せられた状態となる。この状態で、振動プレート20に振動が付与される。なお、「ストレッチモード」における振動条件は、周波数30Hz、振幅2mmとされている。また、トレーニング条件は、使用者Mのふくらはぎが伸びた状態で、上記振動条件による振動を10秒間付与した後、ストレッチ状態で上記振動条件による振動を5秒間行うことを1セットとして、これが4セット(回)行われるものとされている。すなわち、振動付与時間は、トレーニングの1セットの合計が、1分となる。なお、トレーニング中は、表示装置60に示されたインジケータによって、確認しながら行われる。また、トレーニングは適宜、理学療法士等が支援しながら行われる。
【0093】
続いて、
図11(d3)に示すように、使用者Mの足を曲げて、振動プレート20の手前側に使用者の足が載った状態(ストレッチ状態)とする。この状態で、上記振動条件による振動が5秒間行われる。このように、本発明の振動トレーニング装置1を用いることにより、視覚的に荷重の状態を確認しながら、正確にストレッチによるトレーニングを行うことができる。以上が、「ストレッチモード」の詳細であり、次に、「疲労血流改善モード」の詳細について、
図12を参照しながら以下に説明する。
【0094】
「疲労血流改善モード」は、血管を拡張することにより血流を改善し疲労を回復させるためのものとされている。
図12(e1)~
図12(e3)に示すように、「疲労血流改善モード」では、上述した「ストレッチモード」と同様のトレーニングが行われる。
【0095】
また、
図12(e4)に示すように、椅子7の座面の高さと、振動プレート20の高さとが同じになるように椅子7の高さ及び振動プレート20の高さが相対的に調整される。ここで、使用者Mは、足を伸ばしたリラクゼーション状態に椅子7に着席する。これにより、使用者Mの伸びた足が振動プレート20上に載せられた状態となる。すなわち、使用者Mのふくらはぎからかかとにかけての部分が、振動プレート20に接した状態となる。かかる状態で、
図12(d1)と同じ振動条件の振動が付与される。ここで、トレーニング条件は、上記振動条件の振動が60秒間付与された後、10秒の休憩が行われることを1セットとして、これが3セット(回)行われるものとされている。このように、本発明の振動トレーニング装置1を用いることにより、視覚的に荷重の状態を確認しながら、正確に疲労改善及び血流改善によるトレーニングを行うことができる。以上が、「疲労血流改善モード」の詳細である。
【0096】
上述したように、「バランス改善モード」、「ストレッチモード」、及び「血流改善モード」は、前傾姿勢ではなく通常姿勢で行われる。従って、通常姿勢では、前傾姿勢ほど大きく体重を足底に乗せないため、荷重計のレベルは前傾姿勢時より低くなる。また、本発明による振動トレーニング装置1は、足底から振動(圧力の変動情報)を与えると、空間における位置情報として変換され、これを継続することによって、中枢神経系における検出力を高めて、バランス感覚の向上を図ることができる。また、本発明の振動トレーニング装置1は、健常者のトレーニングのみならず、介助が必要な患者にも使い易いという利点がある。例えば、高齢者または患者がトレーニングを行う隣で、介助者がインジケータをリアルタイムで目視確認できるため、高齢者または患者に適切な姿勢をとるように促すことができる。なお、周波数、振幅、トレーニング時間なども、トレーニングの目的毎に最適化を図るとよい。また、椅子7は、適宜、設ければよく、振動トレーニング装置1に椅子7を組み込むこともできる。また、椅子7は、高さが変えれるものだけではなく、複数の高さの椅子7を用いてもよい。
【0097】
以上が、本発明の実施形態に係る振動トレーニング装置及び振動付与方法であるが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形を行うことができる。
【0098】
本実施形態で用いられる振動トレーニング装置1は、上述した実施形態に限定されない。例えば、振動発生ユニット100の構造は、各種の構造のものを用いることができる。例えば、振動の大きさが1段階のものや2段階以上に変更できるものとしてもよい。また、振動トレーニング装置1は、本実施形態の形状や大きさのものだけではなく、各種の形状や大きさのものを用いることができる。
【0099】
また、本実施形態では、椅子7が、振動トレーニング装置1とは、別途に準備されているが、椅子7が振動トレーニング装置1に搭載されていてもよい。また、本実施形態では、支持ベース10が、下部カバー3bにゴム11を介して支持されている構造を例示したが、支持ベース10が下部カバー3bとして形成されていてもよい。また、本実施形態では、弾性部材30が、六角形状でリング形状のゴム部材で形成されているが、これには限定されず、弾性部材30には、弾性変形が可能な各種のものが利用できる。例えば、弾性部材30は、コイルバネ等のバネであってもよい。また、弾性部材30は、単数のものや、2つ以上の複数のものなど各種の個数のものを配することができる。かかる場合は、振動プレート20の重心に対して、水平方向に対称となるようにそれぞれの弾性部材30が配されるとよい。
【0100】
また、本実施形態では、変位計40として非接触変位計を用いているが、変位計40は、接触式のものを用いることも可能である。また、本実施形態では、変位計40が、振動プレート20の変位を、振動発生ユニット100を介して間接的に検出しているが、変位計40による変位の検出は、振動プレート20の変位を直接的に検出してもよい。また、本実施形態では、変位計40が、振動プレート20の下方側において、弾性部材30及び振動発生ユニット100が配される領域を避けた領域に配されるものとしたが、変位計40を配する位置は、適宜の振動プレート20の上下方向への変位を検出可能なものであれば各種の位置に配することができる。かかる場合は、振動による影響が少ない振動プレート20の重心に近い位置に変位計を配することが望ましい。なお、弾性部材30が単数である場合は、弾性部材30と干渉しない範囲で弾性部材30の中心付近に変位計40を配するとよい。
【0101】
本実施形態では、制御部50に設けられた演算部51により、変位量Lや荷重Wを算出しているが、演算部51は、制御部50に設けられたものだけではなく、例えば、演算部51が変位計40そのものに設けられていてもよい。また、変位計40によるサンプリング間隔は、上述した実施形態に係るものだけではなく、各種のサンプリング間隔を採用することができる。また、振動条件は、実施形態に係るものだけではなく、各種の条件を採用することができる。また、変位量Lや荷重Wの算出は、移動平均法によるものだけではなく、各種の算術手段を用いることができる。また、本実施形態では、ルックアップテーブル(比較表)を用いない演算方法を例示したが、ルックアップテーブルを用いて演算することも可能である。また、本実施形態では、別途の体重測定を排することにより、見掛けの体重を使用しないものを例示したが、別途に体重測定を行って、見掛けの体重を用いることも可能である。例えば、見掛けの体重も考慮して使用者Mの身体全体や身体の一部に対して振動が付与されてもよい。また、本実施形態では、足のみに振動を付与しているが、本発明の振動トレーニング装置1は、身体全体や手など別の部位に対しても振動を付与することが可能である。
【0102】
また、本実施形態では、演算部51において、使用者Mが非振動状態にある振動プレート20に足を載せた状態を第二位置P2として、第一位置P1から第二位置P2への変位量に基づいて基準荷重W1を算出しているが、第一位置P1や第二位置P2は、各種の位置を基準として設定することができる。
【0103】
また、表示装置60は、タッチパネルと併用されているものだけではなく、各種のディスプレイ装置やインジケータランプ等を用いることができる。また、本実施形態では、振動プレート20が、非振動状態及び振動状態にある場合の基準荷重W1に対する荷重変化を表示装置60において表示させているが、表示装置60による荷重W,W1や変位量L,L1の表示形態は、各種のものを採用することができる。
【0104】
以上が、本発明に係る振動トレーニング装置及び振動付与方法の各種の実施形態や変形例であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の振動トレーニング装置及び振動付与方法は、病院、介護施設、スポーツジム等の各種の施設、あるいは家庭等において利用することができる。また、本発明の振動トレーニング装置及び振動付与方法は、高齢者、要介護者、怪我や病気による患者、アスリート等、各種の使用者に対して利用することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 :振動トレーニング装置
5 :ハンドル
10 :支持ベース
20 :振動プレート
30 :弾性部材
40 :変位計
41 :反射部材
50 :制御部
51 :演算部
60 :表示装置
61 :入力部
100 :振動発生ユニット
L :変位量
W1:基準荷重