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特開2023-140250モータエンコーダの故障診断システム及び故障診断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140250
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】モータエンコーダの故障診断システム及び故障診断方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/024 20160101AFI20230927BHJP
【FI】
H02P29/024
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084674
(22)【出願日】2022-05-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】202210285655.2
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】502330713
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS, INC.
【住所又は居所原語表記】No.252,ShanYing Rd.,Guishan Dist.,Taoyuan City 333,Taiwan, R.O.C.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】周家至
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501GG01
5H501JJ12
5H501LL22
5H501LL35
5H501LL47
5H501LL54
5H501MM09
(57)【要約】
【課題】モータエンコーダの故障診断システム及び故障診断方法を提供する。
【解決手段】モータエンコーダの故障診断システムは、モータと、モータに接続されたサーボアンプと、を含み、サーボアンプは、電流指令によってモータを制御する。サーボアンプは安全検知部を備え、エンコーダを介してモータのフィードバック位置を継続的に取得する。安全検知部は、フィードバック位置に基づいてモータの現在の状態が予め設定された発振条件を満たしていると判断した場合、モータに発振を与えるために、モータに追加電流を供給するようにサーボアンプに要求する。そして、安全検知部は、次のフィードバック位置の変化に基づいて、エンコーダが故障しているか否かを判断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、前記モータに接続されたサーボアンプと、を含み、
前記モータはエンコーダを備え、前記エンコーダは前記モータの回転に応じて対応する位置情報を検出するために用いられ、
前記サーボアンプは安全検知部を備え、前記安全検知部は、前記位置情報を読み取って前記モータのフィードバック位置を取得し、前記フィードバック位置に基づいて前記モータの状態が発振条件又は警告条件を満たすか否かを判断し、
前記モータの状態が前記発振条件を満たしていると判断した場合、前記安全検知部は、前記モータに追加電流を供給するように前記サーボアンプに要求し、
前記モータの状態が前記警告条件を満たしていると判断した場合、前記安全検知部は、異常警告信号を送信するように前記サーボアンプに要求するように構成されている、
モータエンコーダの故障診断システム。
【請求項2】
前記安全検知部は、前記フィードバック位置に基づいて、前記モータの回転位置が第1の期間より長く固定されていることを検出した場合、前記発振条件が満たされたと判断し、前記フィードバック位置に基づいて、前記モータの回転位置が第2の期間より長く固定されていることを検出した場合、前記警告条件が満たされたと判断し、前記第2の期間が前記第1の期間よりも長くなる、
請求項1に記載のモータエンコーダの故障診断システム。
【請求項3】
前記安全検知部は、発振フラグ及び警告フラグを用いて前記発振条件又は前記警告条件を満たすか否かの状態を記録し、
前記サーボアンプは、前記発振フラグによって前記モータに前記追加電流を供給し、前記警告フラグによって前記異常警告信号を送信する、
請求項2に記載のモータエンコーダの故障診断システム。
【請求項4】
前記安全検知部は、前記フィードバック位置に基づいて前記モータの回転位置が変化すると判断した場合、前記発振フラグ及び前記警告フラグを無効に設定するように構成されている、
請求項3に記載のモータエンコーダの故障診断システム。
【請求項5】
前記サーボアンプは、追加電流状態変数を用いて、前記発振フラグが有効にされるときに前記追加電流状態変数を読み取り、前記追加電流状態変数が第1数値であるときに前記追加電流を供給し、前記追加電流状態変数が第2数値であるときに前記追加電流をキャンセルするように構成されている、
請求項3に記載のモータエンコーダの故障診断システム。
【請求項6】
前記サーボアンプは、前記追加電流を供給した後に前記追加電流状態変数を前記第2数値に設定し、前記追加電流をキャンセルした後に前記追加電流状態変数を前記第1数値に設定するように構成されている、
請求項5に記載のモータエンコーダの故障診断システム。
【請求項7】
前記サーボアンプは、前記追加電流を供給又はキャンセルした後に前記発振フラグを無効に設定するように構成されている、
請求項5に記載のモータエンコーダの故障診断システム。
【請求項8】
前記追加電流は、定格電流の5%である、
請求項1~7のいずれか1項に記載のモータエンコーダの故障診断システム。
【請求項9】
モータのエンコーダを読み取って前記モータのフィードバック位置を取得するステップaと、
前記フィードバック位置に基づいて、前記モータの状態が発振条件又は警告条件を満たすか否かを判断するステップbと、
前記モータの状態が前記発振条件を満たす場合には、前記モータに追加電流を供給するようサーボアンプに要求するステップcと、
前記モータの状態が前記警告条件を満たす場合には、異常警告信号を送信するように前記サーボアンプに要求するステップdと、を含む、
モータエンコーダの故障診断方法。
【請求項10】
前記ステップbは、
前記フィードバック位置と前回のフィードバック位置とを比較して前記モータの回転位置が固定しているか否かを検出するステップb11と、
前記モータの回転位置が固定していることを検出した場合、カウンタを制御して前記モータの回転位置が固定している時間をカウントするステップb12と、
前記カウンタのカウントが第1の期間よりも長い場合、前記発振条件が満たされたと判断するステップb13と、を含む、
請求項9に記載のモータエンコーダの故障診断方法。
【請求項11】
前記ステップbは
前記カウンタのカウントが、第2の期間よりも長い場合、前記警告条件が満たされたと判断するステップb14をさらに含み、
前記第2の期間が前記第1の期間よりも長い、
請求項10に記載のモータエンコーダの故障診断方法。
【請求項12】
前記ステップcは、前記モータが前記発振条件を満たす場合、発振フラグを用いて前記発振条件が満たされたことを記録することで、前記サーボアンプは、前記発振フラグに基づいて前記モータに前記追加電流を供給することを含み、
前記ステップdは、前記モータが前記警告条件を満たす場合、警告フラグを用いて前記警告条件が満たされたことを記録することで、前記サーボアンプは、前記警告フラグに基づいて前記異常警告信号を送信することを含む、
請求項10に記載のモータエンコーダの故障診断方法。
【請求項13】
前記モータの回転位置が変化したと判断した場合には、カウンタをゼロリセットするステップeと、
前記モータの回転位置が変化したと判断した場合には、前記発振フラグ及び前記警告条件を無効に設定するステップfと、をさらに含む、
請求項12に記載のモータエンコーダの故障診断方法。
【請求項14】
前記サーボアンプは、前記発振フラグが有効にされるときに追加電流状態変数を読み取るステップgと、
前記追加電流状態変数が第1数値であるときに、前記追加電流を供給し、且つ前記追加電流状態変数を第2数値に設定するステップhと、
前記追加電流状態変数が前記第2数値であるときに、前記追加電流をキャンセルし、且つ前記追加電流状態変数を前記第1数値に設定するステップiと、
前記ステップh又は前記ステップiの後に、前記発振フラグを無効に設定するステップjと、を含む、
請求項12に記載のモータエンコーダの故障診断方法。
【請求項15】
前記ステップgは、
前記サーボアンプは、前記発振フラグが有効にされるときに、前記モータが位置モードで動作しているか否かを判断するステップg1と、
前記モータが前記位置モードで動作している間に、前記追加電流状態変数を読み取るステップg2と、を含む、
請求項14に記載のモータエンコーダの故障診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータのエンコーダに関し、特にエンコーダの故障診断システム及び故障診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータが回転すると、サーボアンプ(servo)は、モータのエンコーダ(encoder)を読み取ってモータデータ(例えば回転角度)を取得することにより、モータのフィードバック位置を取得することができる。また、サーボアンプは、フィードバック位置に基づいてモータの位置制御を行うことができる。
【0003】
しかしながら、フィードバック位置によってモータの位置が固定している(即ち、フィードバック位置が変化していない)ことを示している場合には、サーボアンプは、モータが実際に回転していないのでフィードバック位置が変化していないのか、モータが回転しているのにエンコーダが故障してフィードバック位置が変化していないのかを判別することができない。この場合、サーボアンプは、モータを正しく制御することができない。
【0004】
そのため、上述のように、システムがエンコーダの異常を発見できず、モータが暴走して危険性が生じることを回避するために、本発明は、エンコーダに適用される故障診断メカニズムを提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、モータの回転位置が固定しているときにエンコーダが故障しているか否かを診断できるモータエンコーダの故障診断システム及び故障診断方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るモータエンコーダの故障診断システムは、モータと、前記モータに接続されたサーボアンプと、安全検知部と、を含み、前記モータはエンコーダを備え、前記エンコーダは前記モータの回転に応じて対応する位置情報を検出するために用いられ、前記安全検知部は、前記エンコーダと前記サーボアンプとに接続され、位置情報を読み取って前記モータのフィードバック位置を取得し、前記フィードバック位置に基づいて前記モータの状態が発振条件又は警告条件を満たすか否かを判断し、前記安全検知部は、前記モータの状態が前記発振条件を満たしていると判断した場合、前記モータに追加電流を供給するように前記サーボアンプに要求し、前記モータの状態が前記警告条件を満たしていると判断した場合、前記安全検知部は、異常警告信号を送信するように前記サーボアンプに要求するように構成されている。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るモータエンコーダの故障診断方法は、モータのエンコーダを読み取って前記モータのフィードバック位置を取得するステップaと、前記フィードバック位置に基づいて、前記モータの状態が発振条件又は警告条件を満たすか否かを判断するステップbと、前記モータの状態が前記発振条件を満たす場合には、前記モータに追加電流を供給するようサーボアンプに要求するステップcと、前記モータの状態が前記警告条件を満たす場合には、異常警告信号を送信するように前記サーボアンプに要求するステップdと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、エンコーダによって提供されるフィードバック位置により、モータの回転位置が固定していることを示す場合にモータに発振を与える。従来技術に比べて、本発明は、発振を与える後のフィードバック位置から、モータが実際に回転していないのか、モータが回転しているのにエンコーダが故障しているため、誤ったフィードバック位置を提供してしまうのか、を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る故障診断システムの第1具体的な実施例を示すブロック図である。
図2】本発明に係る故障診断方法の第1具体的な実施例を示すフローチャートである。
図3】本発明に係る故障診断方法の第2具体的な実施例を示すフローチャートである。
図4】本発明に係る故障診断方法の第3の具体的な実施例を示すフローチャートである。
図5】本発明に係る発振の第1具体的な実施例を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明に係る発振波形の第1具体的な実施例を示す概略図である。
図7】本発明に係る発振波形の第2具体的な実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好ましい実施例については、図面を参照しながら以下に説明する。
【0011】
図1は、本発明に係る故障診断システムの第1具体的な実施例を示すブロック図である。図1に示すように、本発明に係るモータエンコーダの故障診断システム(以下、診断システムと略称する)は、主にモータ1と、エンコーダ2と、サーボアンプ3とを含む。
【0012】
エンコーダ2は、モータ1の軸に取り付け可能である。エンコーダ2は、モータ1が回転すると、モータ1の回転に応じて、対応するモータデータを検出する。モータデータは、少なくともモータ1の位置情報を含む。サーボアンプ3とエンコーダ2とが接続関係にある場合、サーボアンプ3は、エンコーダ2が出力するモータデータを読み取って、モータ1のフィードバック位置を求めることができる。具体的には、サーボアンプ3は、主にモータデータ中の位置情報を読み取り、位置情報からモータ1のフィードバック位置を取得する。このフィードバック位置により、サーボアンプ3は、モータ1の現在の回転状態を判断し、モータ1の位置制御を行うことができる。
【0013】
図1に示す実施例では、サーボアンプ3とモータ1とが配線を介して直接接続されている。本実施例において、サーボアンプ3は、フィードバック位置に応じて対応する電流指令(Iq)5を生成し、この電流指令5をモータ1に送信してモータ1の位置制御を行う。
【0014】
一実施例において、サーボアンプ3は安全検知部4をさらに含む。すなわち、安全検知部4は、サーボアンプ3が実行するソフトウェア又はファームウェアである。他の実施例において、安全検知部4は、サーボアンプ3から独立したハードウェアユニットに保存され実行されたソフトウェア又はファームウェアである。これらに限定されない。
【0015】
安全検知部4は、エンコーダ2によって検出された位置情報を継続的に読み取ることにより、モータ1のフィードバック位置を取得することができる。上記フィードバック位置は、当該技術分野における周知慣用技術であり、ここでは説明を省略する。本発明の1つの技術的特徴は、安全検知部4は、フィードバック位置に基づいてモータ1の状態を監視して、モータ1の状態が予め設定された発振条件を満たすか否かを判断する(詳細は後述する)。
【0016】
本発明において、モータ1の状態とは、モータ1が停滞している状態、即ちモータ1が回転していない状態を意味する。
【0017】
従来技術において、サーボアンプは、主にフィードバック位置によってモータ1の現在の状態(例えば、回転の有無)を取得する。フィードバック位置によってモータ1の回転位置が変化していないことを示している場合、サーボアンプは、モータ1の回転位置が固定していると認定する。しかしながら、従来技術において、サーボアンプは、フィードバック位置により、モータ1が本当に回転していないのか、エンコーダ2の異常に起因するフィードバック位置が誤っているのか、を直接判別することができない。
【0018】
本発明は、安全検知部4を設けることにより上記問題を解決する。具体的には、安全検知部4は、サーボアンプ3の代わりにエンコーダ2からモータ1のフィードバック位置を取得して、モータ1の状態を判断する。安全検知部4は、フィードバック位置に基づいて、モータ1の状態が予め設定された発振条件を満たす(例えば、モータ1が一定時間回転していない)と判断すると、サーボアンプ3と協働して、モータ1が確実に回転していないのか、エンコーダ2が故障しているのかを判断する。
【0019】
具体的には、安全検知部4は、モータ1の状態が発振条件を満たしていると判断すると、モータ1に対して追加電流(eIq)6を供給するようにサーボアンプ3に要求する。エンコーダ2が正常である場合、モータ1は、追加電流6の影響を受けて発振すると、エンコーダ2によって検出されたモータデータは必ず変化があり(少なくともモータデータ中の位置情報は変化する)、さらに安全検知部4が取得したフィードバック位置は、必ずモータ1の回転位置の変化を示すことになる。この場合、安全検知部4は、エンコーダ2が正常に動作していると認識することができる。
【0020】
サーボアンプ3がモータ1に追加電流6を送信した後、安全検知部4は、引き続き取得したフィードバック位置に基づいて、モータ1の回転位置が固定していると判断した場合、エンコーダ2に異常が発生していると判断することができる。
【0021】
ただし、上記説明は本発明の一部の具体的な実施例にすぎず、本発明を限定するものではない。
【0022】
一実施例において、安全検知部4は、モータ1のフィードバック位置を継続的に取得し、継続的に取得したフィードバック位置からモータ1の回転位置が固定しているか否かを判断する。フィードバック位置に基づいて、モータ1の回転位置が固定しているが、回転位置の固定している時間が予め設定された第1の期間(例えば200ms、300msなど)より長くない場合、安全検知部4は何も動作せず、モータ1の状態を継続的に監視する。
【0023】
フィードバック位置に基づいて、モータ1の回転位置が固定し、且つ回転位置の固定している時間が第1の期間より長い場合、安全検知部4は、モータ1の状態が上記発振条件を満たしていると認定できる。このとき、安全検知部4は、モータ1を発振させるために、サーボアンプ3に、追加電流6をモータ1に送信するよう要求する。
【0024】
ただし、上記説明は本発明の一部の具体的な実施例にすぎず、本発明を限定するものではない。
【0025】
なお、安全検知部4は、上記発振条件に加えて、フィードバック位置に基づいて、モータ1の状態が予め設定された警告条件(例えば、モータ1が発振条件に必要な時間長さよりも長い時間回転していない)を満たすか否かを判断することができる。安全検知部4は、モータ1の状態が警告条件を満たす場合に、エンコーダ2が故障していると直接判断できる。この場合、安全検知部4は、ユーザにエンコーダ2の診断やメンテナンスをリマインドするために、異常警告信号を送信するようにサーボアンプ3に要求することができる。
【0026】
一実施例において、安全検知部4は、モータ1のフィードバック位置を継続的に取得し、モータ1の回転位置が固定しているか否かを継続的に判断する。フィードバック位置に基づいて、モータ1の回転位置が固定しているが、回転位置の固定している時間が予め設定された第2の期間より長くない場合、安全検知部4は、何も動作せず、モータ1の状態を継続的に監視する。フィードバック位置に基づいて、モータ1の回転位置が固定し、且つ回転位置の固定している時間が第2の期間より長いことを検出した場合、安全検知部4は、モータ1の状態が上記警告条件を満たしていると認定できる。このとき、安全検知部4は、異常警告信号を送信するようにサーボアンプ3要求することができる。
【0027】
本発明の実施例において、上記第2の期間は第1の期間よりも長い、例えば第2の期間は500ms、600msなどであってもよいが、これらに限定されない。
【0028】
一実施例において、安全検知部4は、モータ1の状態が警告条件を満たしていると判断した場合、サーボアンプ3に制御指令を送信してもよい。これにより、サーボアンプ3は、制御指令に基づいて、ドライバパネル(図示せず)により異常警告信号を表示したり、ブザー(図示せず)により異常警告音を再生したりするが、これらに限定されない。
【0029】
図2を同時に参照する。図2は、本発明に係る故障診断方法の第1具体的な実施例を示すフローチャートである。本発明に係るモータエンコーダの故障診断方法(以下、診断方法と略称する)は、主に図1に示す診断システムに適用されるが、これに限定されない。
【0030】
前述したように、本発明に係る安全検知部4は、主にソフトウェア又はファームウェアによって実現される。一実施例において、プロセッサ(エンコーダ2又はサーボアンプ3から独立した他のハードユニット)は、上記ソフトウェア又はファームウェアを実行すると、安全検知部4を仮想的に構築して、本発明に係る診断方法の各実行ステップを実現することができる。
【0031】
図2に示すように、本発明に係る診断方法を適用するには、まず、モータ1は、位置モードに入り(ステップS10)、安全検知部4は、モータ1のエンコーダ2から対応する位置情報を読み取ることにより、モータのフィードバック位置を取得する(ステップS12)。
【0032】
具体的には、モータ1は、通常、位置決めを行う場合にのみ、回転位置が固定して動かない状態が発生する。このとき、フィードバック位置によってモータ1が動かないことを示しているが、安全検知部4は、モータ1が実際に回転していないのか、エンコーダ2が故障して誤ったフィードバック位置を生成するのか、したがって、本発明に係る診断方法は、主にモータ1の位置モードでエンコーダ2の故障診断を行うために用いられる。
【0033】
一般には、モータ1は、速度モード、トルクモードなどの他の制御モードを有している。しかし、速度モード及びトルクモードでは、通常、モータ1は制御されて回転を継続する。このとき、フィードバック位置によってモータ1が固定していることを示す場合、安全検知部4は、本発明に係る診断システム及び診断方法によりエンコーダ2を診断することなく、エンコーダ2の故障を直接推定できる。
【0034】
ただし、上記説明は本発明の一部の具体的な実施例にすぎず、本発明を限定するものではない。
【0035】
ステップS12の後、安全検知部4は、フィードバック位置に基づいてモータ1の状態を判断し、モータ1の状態が予め設定された発振条件を満たすか否かを判断する(ステップS14)。モータ1の状態が発振条件を満たす場合、安全検知部4は、対応する制御指令をサーボアンプ3に送信して、モータ1に追加電流6を送信するようにサーボアンプ3に要求することができる(ステップS16)。モータ1の状態が発振条件を満たしていない場合、安全検知部4は作動しない。
【0036】
また、安全検知部4は、モータ1の状態が予め設定された警告条件を満たすか否かを同時に判断する(ステップS18)。モータ1の状態が警告条件を満たす場合、安全検知部4は、対応する制御指令をサーボアンプ3に送信して、異常警告信号を外部に送信するようにサーボアンプ3に要求することができる(ステップS20)。モータ1の状態が警告条件を満たしていない場合、安全検知部4は作動しない。
【0037】
さらに、安全検知部4は、本発明に係る診断方法を実行する際に、モータ1及び/又はエンコーダ2に対する検出動作が終了したか否かを継続的に判断する(ステップS22)。モータ1及び/又はエンコーダ2の検出動作が終了する前に、安全検知部4は、ステップS12からステップS20を繰り返し実行することにより、モータ1のフィードバック位置を継続的に取得し、モータ1の状態を継続的に判断し、指定された条件を満たしている場合に追加電流6及び異常警告信号を送信するようにサーボアンプ3に要求する。
【0038】
以上のように、本発明に係る安全検知部4は、主に継続的に取得したフィードバック位置に基づいてモータ1の状態を判断する。そして、フィードバック位置に基づいて、モータ1の回転位置が固定し、且つ回転位置の固定している時間が予め設定された時間長さより長いことを検出した場合、発振条件が満たされたと判断し(即ち、エンコーダ2の異常を確認するためにモータ1を発振させる必要がある場合)、又は警告条件が満たされたと判断する(即ち、エンコーダ2の異常を確認して外部に警告する必要がある場合)。以下では、異なる実施例を用いて、発振条件及び警告条件をそれぞれ説明する。
【0039】
続いて図1図3を参照する。図3は、本発明に係る故障診断方法の第2具体的な実施例を示すフローチャートである。以下、図3に示す実施例に基づいて発振条件を説明する。
【0040】
まず、安全検知部4は、システム動作中にモータ1のフィードバック位置を継続的に取得する(ステップS30)。次に、安全検知部4は、ステップS30で取得したフィードバック位置と、一時記憶している前回のフィードバック位置とを比較し(ステップS32)、前後2つのフィードバック位置が同じであるか否かに基づいて、モータ1の回転位置が固定しているか否かを検出する(ステップS34)。
【0041】
安全検知部4は、ステップS34でモータ1の回転位置が固定していることを検出すると、内部のカウンタ(図示せず)を制御してカウントする(ステップS36)。
【0042】
一実施例において、安全検知部4は、サイクルごとに1つのフィードバック位置を取得することによってモータ1の回転位置を検出する。それにより、モータ1の回転位置が固定していることを検出すると、カウンタをカウントアップして1を加算する。本実施例において、カウンタのカウント数は、安全検知部4が実行したサイクルに対応する。
【0043】
他の実施例において、安全検知部4は、固定時間長さ(例えば1ms)を基にフィードバック位置を取得してモータ1の回転位置を検出し、モータ1の位置が固定していると判断すると、カウンタをカウントアップして1を加算する。本実施例において、カウンタのカウント内容は、実際の時間長さに対応する。
【0044】
説明を容易にするため、以下では、カウンタのカウント内容が実際の時間長さに相当することを例として説明する。
【0045】
ステップS34において、モータ1の回転位置が固定であることを検出した場合、安全検知部4はさらに、カウンタのカウントが予め設定された第1の期間に達するか否かを判断する(ステップS38)。即ち、安全検知部4は、カウンタのカウント状況に基づいて、モータ1の回転位置の固定している時間が第1の期間より長いか否かを検出する。第1の期間は、例えば20ms、30msなどであってもよいが、これらに限定されない。
【0046】
ステップS38において、カウンタのカウントが第1の期間に達すると判断した場合、安全検知部4は、モータ1が上記発振条件を満たしていると認定できる。本発明において、安全検知部4は、モータ1が発振条件を満たしていると判断した場合、追加電流6をモータ1に供給するようにサーボアンプ3に要求する。
【0047】
一実施例において、安全検知部4は、モータ1が発振条件を満たしていると判断したときに、1つの発振フラグを用いて発振条件が満たされたことを記録する。具体的には、安全検知部4は、モータ3が発振条件を満たしていると認定した場合、サーボアンプ3に制御指令を送信して、サーボアンプ3内の発振フラグ(図示せず)を有効に設定する(ステップS40)。サーボアンプ3は、内部の発振フラグが有効に設定されていることを発見すると、モータ1を発振させるために、モータ1に追加電流6を供給する。モータ1が正常に動作している場合、サーボアンプ3から追加電流6を供給されると、モータ1が発振した後、対応する回転位置がわずかに変化する。
【0048】
ステップS38において、カウンタのカウントが第1の期間に達していないと判断した場合、安全検知部4は一時的に作動を実行しない。
【0049】
次に、安全検知部4は、モータ1及び/又はエンコーダ2に対する検出動作が終了したか否かを判断する(ステップS42)。モータ1及び/又はエンコーダ2の検出動作が終了していない場合、安全検知部4は、ステップS30で取得したフィードバック位置を一時的に記憶し(ステップS44)、ステップS30に戻る。次のサイクルにおいて、安全検知部4は、モータ1の次のフィードバック位置を取得し、一時的に記憶されている前のフィードバック位置と比較して、モータ1の回転位置が固定しているか否かを検出する。
【0050】
以上、安全検知部4がモータ1の回転位置が固定していると検出したときの動作を説明した。ステップS34でモータ1の回転位置が変化したと検出した場合、エンコーダ2は正常に動作していることを意味するので、安全検知部4は、モータ1を発振させてエンコーダ2をテストする必要はない。この場合、安全検知部4は、カウンタをゼロリセットする(ステップS46)。そして、安全検知部4は、選択的に制御指令をサーボアンプ3に送信して、サーボアンプ3の発振フラグを無効に設定することができる(ステップS48)。本発明において、診断システムは、安全検知部4又はサーボアンプ3によって発振フラグを無効に設定してもよい(詳細は後述する)が、これらに限定されない。
【0051】
サーボアンプ3は、発振フラグが無効に設定されていることを発見した場合、モータ1に現在送信している電流指令5及び追加電流6を変更しない。このように、モータ1はサーボアンプ3の影響を受けて発振することがない。
【0052】
続いて図1図4を参照する。図4は、本発明に係る故障診断方法の第3の具体的な実施例を示すフローチャートである。以下、図4に示す実施例に基づいて警告条件を説明する。
【0053】
具体的には、図4に示す実施例と図3に示す実施例とは同じサイクル内に実行されてもよく、即ち、図3に示す各ステップ及び図4に示す各ステップは、同時に実行されてもよい。理解を容易にするため、以下では、図4に示す各ステップについてのみ説明する。
【0054】
図4に示すように、安全検知部4は、モータ1のフィードバック位置を継続的に取得し(ステップS50)、取得したフィードバック位置と、一時記憶している前回のフィードバック位置とを比較して(ステップS52)、モータ1の回転位置が固定しているか否かを検出する(ステップS54)。
【0055】
ステップS54でモータ1の回転位置が固定していることを検出した場合、安全検知部4は、上記カウンタによってモータ1の回転位置が固定している時間を測定する(ステップS56)。また、安全検知部4は、カウンタのカウントが予め設定された第2の期間に達するか否かを判断する(ステップS58)。即ち、安全検知部4は、モータ1の回転位置が固定している時間が持続し且つ第2の期間よりも長いか否かを検出する。
【0056】
カウンタのカウントが第2の期間に達すると、安全検知部4は、1つの警告フラグを用いて警告条件が満たされたことを記録する。具体的には、安全検知部4は、カウンタのカウントが第2の期間に達するとき、サーボアンプ3に制御指令を送信して、サーボアンプ3内の1つの警告フラグ(図示せず)を有効に設定する(ステップS60)。サーボアンプ3は、内部の警告フラグが有効に設定されていることを発見すると、外部に異常警告信号を自動的に送信する。
【0057】
ステップS58において、カウンタのカウントが第2の期間に達していないと判断した場合、安全検知部4は作動を実行しない。なお、図3に示す実施例は、図4に示す実施例と同じカウンタを使用する。カウンタのカウントが第1の期間に達しても、第2の期間に達しない場合、このとき、安全検知部4は、依然として追加電流6をモータ1に供給するようにサーボアンプ3に要求する。
【0058】
一実施例において、上記第2の期間は図3に示す実施例における第1の期間よりも長い、例えば第2の期間は50ms、60msなどであってもよいが、これらに限定されない。
【0059】
以下では、第1の期間は20ms、第2の期間は50msを例として、実施例の説明を行う。本実施例において、安全検知部4は、前後2つのフィードバック位置の比較により、モータ1の回転位置が固定しているか否かを継続的に検出する。モータ1の回転位置が固定し、且つ固定している時間が20ms(即ち、カウンタが20msカウント積算する)に達することを検出した場合、安全検知部4は、発振フラグを用いる(有効にする)ことにより、サーボアンプ3に、モータ1に追加電流6を供給させる。
【0060】
サーボアンプ3が追加電流6を供給した後でも、モータ1の回転位置が固定している場合、カウンタは継続的にカウントする(即ち、カウンタが21ms、22msカウント積算し、以下同様である)。
【0061】
安全検知部4は、モータ1の回転位置が固定し、且つカウンタのカウントが40ms(即ち、20msを2回目積算する)に達することを検出した場合、発振フラグを再度に無効に設定して、サーボアンプ3に、現在モータ1に供給している追加電流6をキャンセルさせることにより、モータ1に発振を再度に与える(詳細は後述する)。
【0062】
サーボアンプ3が追加電流6をキャンセルした後でも、モータ1の回転位置が固定している場合、カウンタは継続的にカウントする(即ち、カウンタが41ms、42msカウント積算し、以下同様である)。
【0063】
安全検知部4は、モータ1の回転位置が固定し、且つカウンタのカウントが50msに達することを検出した場合、警告フラグを有効にすることにより、サーボアンプ3に、外部に異常警告信号を送信させる。サーボアンプ3が異常警告信号を送信すると、使用者は、モータ1やエンコーダ2に異常が発生したことを知り、診断やメンテナンスを行うことができる。
【0064】
ただし、上記説明は本発明の1つの具体的な実施例に過ぎず、本発明中のカウンタのカウント方法、第1の期間、第2の期間は上記のものに限定されない。
【0065】
図4に戻る。図4に示す実施例において、安全検知部4は同様に、モータ1及び/又はエンコーダ2に対する検出動作が終了したか否かを継続的に判断する(ステップS62)。モータ1及び/又はエンコーダ2の検出動作が終了していない場合、安全検知部4は、ステップS50で取得したフィードバック位置を一時的に記憶し(ステップS64)、ステップS50に戻る。次のサイクルにおいて、安全検知部4は、モータ1の次のフィードバック位置を取得し、一時的に記憶されている前のフィードバック位置と比較して、モータ1の回転位置が固定しているか否かを検出する。
【0066】
図3に示す実施例と同様に、安全検知部4は、ステップS54においてモータ1の回転位置が変化したことを検出した場合、モータ1を発振させてエンコーダ2をテストする必要はないことを意味する。したがって、安全検知部4は、カウンタをゼロリセットする(ステップS66)。そして、安全検知部4は、選択的に制御指令をサーボアンプ3に送信して、サーボアンプ3の警告フラグを無効に設定することができる(ステップS68)。サーボアンプ3は、警告フラグが無効に設定されていることを発見すると、外部に異常警告信号を送信しない。これにより、使用者はモータ1及びエンコーダ2が正常な動作に戻ったことを知ることができる。
【0067】
本発明の1つの技術的特徴は、診断システムに安全検知部4を増設して、サーボアンプ3を修正して上記発振フラグ及び上記警告フラグを追加することである。本発明に係る診断システムは、安全検知部4によりモータ1の位置状態を監視し、安全検知部4は、位置状態に基づいてサーボアンプ3の発振フラグ及び警告フラグを設定する。これにより、サーボアンプ3は、発振フラグの内容(即ち、有効又は無効)を参照して、追加電流6を供給/キャンセルする必要があるか否かを判断するとともに、警告フラグの内容(即ち、有効又は無効)を参照して、外部に異常警告信号を送信する必要があるか否かを判断することができる。
【0068】
続いて図1から図5を参照する。図5は、本発明に係る発振の第1具体的な実施例を説明するためのフローチャートである。以下では、図5に示す実施例に基づいてサーボアンプ3の動作について説明する。
【0069】
図5に示すように、サーボアンプ3は、内部の発振フラグが有効であるか否かを継続的に判断する(ステップS70)。一実施例において、サーボアンプ3は、発振フラグが有効であると判断すると、現在モータ1が位置モードにあるか否かをさらに判断する(ステップS72)。
【0070】
前述したように、一般的には、位置モードでのみ、モータ1が動かないように固定することが可能である。言い換えれば、本発明に係る診断システム及び診断方法は、モータ1の位置モードでモータ1を発振させ、エンコーダ2が正常であるか否かを確認することができる。
【0071】
発振フラグが有効であり、且つモータ1が位置モードに入った場合、安全検知部4はさらに、内部の追加電流状態変数を読み取り、現在の追加電流状態変数が第1数値又は第2数値であると判断する(ステップS74)。一実施例において、上記第1数値は上記第2数値と異なる(例えば、第1数値は0で、第2数値は1である)が、これらに限定されない。
【0072】
本発明は、モータ1を発振させてモータ1の位置を変化させた後に、フィードバック位置の内容に基づいてエンコーダ2が正常であるか否かを診断する。サーボアンプ3がモータ1に追加電流6を供給すると、モータ1はその影響を受けて発振し、徐々に安定に戻り、最終的には元の回転位置に戻る。サーボアンプ3は、さらにモータ1に発振を与えよとする場合、モータ1を再び発振させるためには、現在供給している追加電流6をキャンセルしなければならない(又は、異なる数値の追加電流6を供給しなければならない)。今回の発振が追加電流6を供給すべきであるか、又は現在供給されている追加電流6をキャンセルすべきであるかを判断するために、本発明は、サーボアンプ3を修正してサーボアンプ3に追加電流状態変数を記録させる。
【0073】
一実施例において、追加電流状態変数が現在第1数値(例えば0である)を記録している場合、サーボアンプ3が追加電流6をモータ1に供給しないことを意味する。このとき、サーボアンプ3は、予め設定された追加電流6をモータ1に供給する(ステップS76)とともに、追加電流状態変数を第2数値に設定する(ステップS78)ことができる。
【0074】
ステップS74において、追加電流状態変数が第2数値(例えば1である)であることを判断した場合、現在サーボアンプ3が追加電流6をモータ1に継続的に供給するため、サーボアンプ3は、追加電流6をキャンセルする(ステップS80)とともに、追加電流状態変数を第1数値に設定する(ステップS82)ことがしてもよい。
【0075】
一実施例において、追加電流6は、例えば、モータ1の定格電流の5%であってもよい。また、サーボアンプ3がステップS80において追加電流6をキャンセルする動作は、例えば、追加電流6をモータ1の定格電流の0%に設定することであってもよい。ただし、上記説明は本発明の一部の具体的な実施例にすぎず、本発明を限定するものではない。
【0076】
図6及び図7を参照すると、図6は、本発明に係る発振波形の第1具体的な実施例を示す概略図であり、図7は、本発明に係る発振波形の第2具体的な実施例を示す概略図である。
【0077】
図6に示す実施例のように、モータ1のフィードバック位置は、モータ1の回転位置が固定し、且つ固定している時間が20msに達する(即ち、0秒から0.2秒の間は固定している)ことを示している。このとき、安全検知部4は、モータ1に追加電流6(図6では、定格電流の5%を例として挙げる)を供給する。モータ1は、追加電流6を受けて、第1方向に発振がある。時間が経過すると、モータ1は約0.4秒で発振がなくなり、静止に戻る。
【0078】
また、図7に示す実施例のように、モータ1のフィードバック位置は、モータ1の回転位置が固定し、且つ固定している時間が20msに達する(即ち、0.4秒から0.6秒の間は固定している)ことを示している。このとき、安全検知部4は、現在供給している追加電流6をキャンセルする(図7では、定格電流の5%を定格電流の0%に変更することを例として挙げる)。モータ1に追加電流6が流れなくなると、モータ1が第1方向とは逆の第2方向に発振し始める。約0.8秒後、モータ1は発振することがなくなり、静止に戻る。
【0079】
図6及び図7に示す実施例のように、エンコーダ2が正常に動作している場合には、安全検知部4が追加電流6を供給又はキャンセルすると、モータ1の回転位置が変化し、それに伴って安全検知部4が取得したフィードバック位置も変化するはずである。言い換えれば、安全検知部4が追加電流6を供給又はキャンセルしても、フィードバック位置が図6図7に示すような変化がない場合、安全検知部4は、エンコーダ2が故障している可能性があると推定することができる。
【0080】
前述したように、安全検知部4は、サーボアンプ3の警告フラグが有効にされる前に、モータ1に発振を与えるようサーボアンプ3に複数回要求する。ここで、サーボアンプ3は、1回目にモータ1に発振を与えるときに、追加電流6(例えば定格電流の5%)を供給し、2回目にモータ1に発振を与えるときに追加電流6(例えば定格電流の0%)をキャンセルし、3回目にモータ1に発振を与えるときに、追加電流6を再度供給する。警告フラグが有効にされ、安全検知部4が検出を停止し、又は他の停止条件が達成するまで、このように繰り返す。
【0081】
図5に戻る。サーボアンプ3は、追加電流6を供給した後、又は追加電流6をキャンセルした後、発振フラグを無効に設定する(ステップS84)。これにより、サーボアンプ3は、暫くの間、追加電流6の状態を再変更することはしない。
【0082】
サーボアンプ3は、安全検知部4と同様に、本発明に係る診断方法が終了したか否かを継続的に判断し(ステップS86)、診断方法が終了する前にステップS70~ステップS84を繰り返し実行して、発振フラグの内容に基づいて追加電流6を供給又はキャンセルする。
【0083】
サーボアンプ3は、発振フラグに加えて、内部の警告フラグが有効にされているか否かを継続的に判断する(ステップS88)。警告フラグが有効になった場合(例えば、図4のステップS60で安全検知部4によって有効に設定された場合)、サーボアンプ3は、警告フラグの内容に基づいて異常警告信号を外部に送信する(ステップS90)。
【0084】
一実施例において、サーボアンプ3は、その上のドライバパネル(図示せず)により異常警告信号を文字、図形、色、又はこれらの組み合わせで表示したり、ブザー(図示せず)により異常警告信号を音で再生したりすることができるが、これらに限定されない。サーボアンプ3が外部に異常警告信号を送信すると、使用者はモータ1又はエンコーダ2が故障していることを知ることができる。
【0085】
本発明は、フィードバック位置によりモータの回転位置が固定していることを示すときに、追加電流6によりモータ1に発振を発生させる。本発明は、モータ1の回転位置又は電流指令のしきい値を設定する必要がなく、通信型又は非通信型のような様々なタイプのエンコーダに適用することができ、従来技術に比べて、エンコーダの診断をより容易にすることができる。
【0086】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明は上記実施例に記載の範囲には限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施の形態に多様な変更又は改良を加えることができ、上記変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
1 モータ
2 エンコーダ
3 サーボアンプ
4 安全検知部
5 電流指令
6 追加電流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、前記モータに接続されたサーボアンプと、を含み、
前記モータはエンコーダを備え、前記エンコーダは前記モータの回転に応じて対応する位置情報を検出するために用いられ、
前記サーボアンプは安全検知部を備え、前記安全検知部は、前記位置情報を読み取って前記モータのフィードバック位置を取得し、前記フィードバック位置に基づいて前記モータの状態が発振条件又は警告条件を満たすか否かを判断し、
前記モータの状態が前記発振条件を満たしていると判断した場合、前記安全検知部は、前記モータに追加電流を供給するように前記サーボアンプに要求し、
前記モータの状態が前記警告条件を満たしていると判断した場合、前記安全検知部は、異常警告信号を送信するように前記サーボアンプに要求するように構成され、
前記安全検知部は、前記フィードバック位置に基づいて、前記モータの回転位置が第1の期間より長く固定されていることを検出した場合、前記発振条件が満たされたと判断し、前記フィードバック位置に基づいて、前記モータの回転位置が第2の期間より長く固定されていることを検出した場合、前記警告条件が満たされたと判断し、前記第2の期間が前記第1の期間よりも長くなり、
前記安全検知部は、発振フラグ及び警告フラグを用いて前記発振条件又は前記警告条件を満たすか否かの状態を記録し、
前記サーボアンプは、前記発振フラグによって前記モータに前記追加電流を供給し、前記警告フラグによって前記異常警告信号を送信し、
前記サーボアンプは、追加電流状態変数を用いて、前記発振フラグが有効にされるときに前記追加電流状態変数を読み取り、前記追加電流状態変数が第1数値であるときに前記追加電流を供給し、前記追加電流状態変数が第2数値であるときに前記追加電流をキャンセルするように構成されている、
モータエンコーダの故障診断システム。
【請求項2】
前記安全検知部は、前記フィードバック位置に基づいて前記モータの回転位置が変化すると判断した場合、前記発振フラグ及び前記警告フラグを無効に設定するように構成されている、
請求項に記載のモータエンコーダの故障診断システム。
【請求項3】
前記サーボアンプは、前記追加電流を供給した後に前記追加電流状態変数を前記第2数値に設定し、前記追加電流をキャンセルした後に前記追加電流状態変数を前記第1数値に設定するように構成されている、
請求項に記載のモータエンコーダの故障診断システム。
【請求項4】
前記サーボアンプは、前記追加電流を供給又はキャンセルした後に前記発振フラグを無効に設定するように構成されている、
請求項に記載のモータエンコーダの故障診断システム。
【請求項5】
前記追加電流は、定格電流の5%である、
請求項1~のいずれか1項に記載のモータエンコーダの故障診断システム。
【請求項6】
モータのエンコーダを読み取って前記モータのフィードバック位置を取得するステップaと、
前記フィードバック位置に基づいて、前記モータの状態が発振条件又は警告条件を満たすか否かを判断するステップbと、
前記モータの状態が前記発振条件を満たす場合には、発振フラグを用いて前記発振条件が満たされたことを記録することで、前記発振フラグに基づいて前記モータに追加電流を供給するようにサーボアンプに要求するステップcと、
前記モータの状態が前記警告条件を満たす場合には、警告フラグを用いて前記警告条件が満たされたことを記録することで、前記警告フラグに基づいて異常警告信号を送信するように前記サーボアンプに要求するステップdと、
前記サーボアンプは、前記発振フラグが有効にされるときに追加電流状態変数を読み取るステップeと、
前記追加電流状態変数が第1数値であるときに、前記追加電流を供給し、且つ前記追加電流状態変数を第2数値に設定するステップfと、
前記追加電流状態変数が前記第2数値であるときに、前記追加電流をキャンセルし、且つ前記追加電流状態変数を前記第1数値に設定するステップgと、
前記ステップf又は前記ステップgの後に、前記発振フラグを無効に設定するステップhと、を含み、
前記ステップbは、
前記フィードバック位置と前回のフィードバック位置とを比較して前記モータの回転位置が固定しているか否かを検出するステップb11と、
前記モータの回転位置が固定していることを検出した場合、カウンタを制御して前記モータの回転位置が固定している時間をカウントするステップb12と、
前記カウンタのカウントが第1の期間よりも長い場合、前記発振条件が満たされたと判断するステップb13と、を含む、
モータエンコーダの故障診断方法。
【請求項7】
前記ステップbは
前記カウンタのカウントが、第2の期間よりも長い場合、前記警告条件が満たされたと判断するステップb14をさらに含み、
前記第2の期間が前記第1の期間よりも長い、
請求項6に記載のモータエンコーダの故障診断方法。
【請求項8】
前記モータの回転位置が変化したと判断した場合には、カウンタをゼロリセットするステップと、
前記モータの回転位置が変化したと判断した場合には、前記発振フラグ及び前記警告条件を無効に設定するステップと、をさらに含む、
請求項6に記載のモータエンコーダの故障診断方法。
【請求項9】
前記ステップは、
前記サーボアンプは、前記発振フラグが有効にされるときに、前記モータが位置モードで動作しているか否かを判断するステップ1と、
前記モータが前記位置モードで動作している間に、前記追加電流状態変数を読み取るステップ2と、を含む、
請求項6に記載のモータエンコーダの故障診断方法。