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特開2023-140251写真等の作品の裏打ち材及び裏打ち方法
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  • 特開-写真等の作品の裏打ち材及び裏打ち方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140251
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】写真等の作品の裏打ち材及び裏打ち方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20230927BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20230927BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J201/00
B32B27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092466
(22)【出願日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2022045319
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519441235
【氏名又は名称】株式会社ボウルド
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】宇都 光孝
(72)【発明者】
【氏名】宇都 悠飛
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AR00B
4F100AR00D
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100AT00E
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10E
4F100DC11C
4F100JL13B
4F100JL13D
4F100JL14A
4F100JL14E
4J004AB01
4J004CA04
4J004CB02
4J004CE01
4J004DB02
4J004FA08
4J040JA09
4J040JB09
4J040MA09
4J040MB03
4J040NA05
(57)【要約】
【課題】ベースシートの表面と裏面の張力のバランスをとることで、反りにくくて平滑性を維持することができる写真等の作品の裏打ち材及びこれを用いた写真等の作品の裏打ち方法を提供することを課題とする。
【解決手段】ベースシート1の両面に粘着層2を設け、前記粘着層2上に剥離フィルム3,4を被装して成り、前記剥離フィルム3,4は片面のみ離型処理されていて、一旦剥離した後、裏返して前記粘着層2上に恒久的に粘着可能である。前記ベースシート1の一面に被装される剥離フィルム3と他面に被装される剥離フィルム4の厚さ及び硬度が異なる場合がある。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースシートの表裏両面に粘着層を設け、前記各粘着層上に剥離フィルムを被装して成り、前記剥離フィルムは片面のみ離型処理されていて、一旦剥離した後、裏返してその離型処理されていない面を前記粘着層上に恒久的に粘着可能であることを特徴とする写真等の作品の裏打ち材。
【請求項2】
前記ベースシートの一面に被装される剥離フィルムと他面に被装される剥離フィルムの厚さ及び硬度が異なる、請求項1に記載の写真等の作品の裏打ち材。
【請求項3】
前記ベースシートに適宜形状の透孔が設けられている、請求項1又は2に記載の写真等の作品の裏打ち材。
【請求項4】
前記ベースシートの表裏両面の粘着層は部分的に設けられている、請求項1又は2に記載の写真等の作品の裏打ち材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の写真等の作品の裏打ち材を用いて行う写真等の作品の裏打ち方法であって、
前記作品に合わせて前記裏打ち材を用意する工程と、前記剥離フィルムを剥がして前記粘着層上に前記作品を粘着する工程とから成り、前記裏打ち材を用意する工程は、前記作品の厚みに対応する厚みの剥離フィルムを被装した前記裏打ち材を選択する工程を含むことを特徴とする写真等の作品の裏打ち方法。
【請求項6】
前記作品を前記ベースシートの片面にのみ粘着する場合において、前記作品を前記片面に粘着した後、前記作品を粘着しない面の前記剥離フィルムを一旦剥離し、裏返して離型処理していない面を前記粘着層上に粘着する工程を含む、請求項5に記載の写真等の作品の裏打ち方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は写真等の作品の裏打ち材及び裏打ち方法に関するものであり、より詳細には、反りが起こりにくく、写真等の作品を長期的に平滑に貼着保持できる写真等の作品の裏打ち材及び裏打ち方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
展示用や装飾用の写真や絵画等の作品は、スポットライトの熱、湿気、温度変化等によってしわが寄ったり、波打ったりして、平滑性を失い、作品の価値低下につながってしまうおそれがあるため、一般的には、裏打ち材に粘着される。
【0003】
裏打ち材は、その一面に剥離シートが被装された粘着層を有していて、写真の貼り付けに際し、その剥離シートを取り除いて粘着層を表出させ、その上に写真を貼り付ける。このように写真は裏打ち材の片面に貼り付けられ、その両面に貼り付けることは想定されていないため、粘着層及び剥離シートは裏打ち材の片面にのみ配置される。そのため、裏打ち材の表裏において張力に差ができ、反りが生じて平滑性が損なわれるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-90855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の裏打ち材の問題点を解決するためになされたもので、ベースシートの表面と裏面の張力のバランスをとることで、反りにくくて平滑性を維持することができる写真等の作品の裏打ち材及びこれを用いた写真等の作品の裏打ち方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、ベースシートの表裏両面に粘着層を設け、前記各粘着層上に剥離フィルムを被装して成り、前記剥離フィルムは片面のみ離型処理されていて、一旦剥離した後、裏返してその離型処理されていない面を前記粘着層上に恒久的に粘着可能であることを特徴とする写真等の作品の裏打ち材である。
【0007】
一実施形態においては、前記ベースシートの一面に被装される剥離フィルムと他面に被装される剥離フィルムの厚さ及び硬度が異なる。また、一実施形態においては、前記ベースシートに適宜形状の透孔が設けられ、あるいは、前記ベースシートの表裏両面の粘着層は部分的に設けられる。
【0008】
上記課題を解決するための請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の写真等の作品の裏打ち材を用いて行う写真等の作品の裏打ち方法であって、
前記作品に合わせて前記裏打ち材を用意する工程と、前記剥離フィルムを剥がして前記粘着層上に前記作品を粘着する工程とから成り、前記裏打ち材を用意する工程は、前記作品の伸縮度に対応する伸縮度の剥離フィルムを被装した前記裏打ち材を選択する工程を含むことを特徴とする写真等の作品の裏打ち方法である。
【0009】
一実施形態においては、前記作品を前記ベースシートの片面にのみ粘着する場合において、前記作品を前記片面に粘着した後、前記作品を粘着しない面の前記剥離フィルムを一旦剥離し、裏返して離型処理していない面を前記粘着層上に粘着する工程を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る写真等の作品の裏打ち材は上記のとおりであって、ベースシートの表裏両面に剥離フィルムが被装されることで、ベースシートの表面と裏面の張力のバランスが取れるために、反りにくくて平滑性を維持することが可能な裏打ち材となり、また、写真を片面にのみ粘着する場合に、その裏面の剥離フィルムを裏返して離型処理してない面を粘着層に粘着することで、ベースシートの表面と裏面の張力のバランスを長期間保持し得る効果があり、これを用いた裏打ち方法によれば、作品の平坦性を長期間に亘って保持し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る写真等の作品の裏打ち材の構成例を示す斜視図である。
図2】本発明に係る写真等の作品の裏打ち材の使用方法(作品粘着工程)を示す斜視図である。
図3】本発明に係る写真等の作品の裏打ち材の使用方法(剥離フィルム再粘着工程)を示す斜視図である。
図4】本発明に係る写真等の作品の裏打ち材の他の構成例を示す斜視図である。
図5】本発明に係る写真等の作品の裏打ち材の更に他の構成例を示す斜視図である。
図6】本発明に係る写真等の作品の裏打ち材を裏打ちした作品の額装方法を示す斜視図である。
図7】本発明に係る写真等の作品の裏打ち材を裏打ちした作品のパネル定着方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態について、添付図面に依拠して説明する。本発明に係る写真等の作品の裏打ち材11は、写真や絵画等の作品10を展示したり、飾ったりするために、作品10を担持するものであって、ベースシート1の両面に粘着層2を設け、その上に剥離フィルム3,4を被装して成るものである。本発明に係る裏打ち材において、このようにベースシート1の両面に剥離フィルム3,4を被装するのは、ベースシート1の表面と裏面の張力のバランスを取って、ベースシート1の反りを防止するためである。
【0013】
ベースシート1としては、耐水性に優れ、破れにくく、油・薬品に強く、軽くて表面が滑らかといった特性を有する、ポリプロピレンと天然鉱物である無機充填剤を主原料とする合成紙である、ユポコーポレーション社のユポを用いることが推奨される。また、剥離フィルム3,4としては、ポリエステルフィルムに離型処理を施した離型フィルムを用いることが好ましい。剥離フィルム3,4には、一面にのみ離型処理が施されている。後述するように、剥離フィルム3,4は、一旦剥離した後、裏返して粘着層2上に再粘着することが予定されている。
【0014】
剥離フィルム3と剥離フィルム4は、厚み及び硬度(伸縮度)あるいは色が同じであってもよいが、異なるものとされる場合もある。例えば、片面にのみ写真を貼ることを想定している場合は、裏面側の剥離フィルム5は50~100ミクロンの比較的厚手で硬度の高いもの(伸縮度の低いもの)を用い、写真を貼る表面側の剥離フィルム3は、これより薄手のものを用いる。このようにするのも、ベースシート1の表面と裏面の張力のバランスを取って、ベースシート1の反りを防止するためである。なお、製品としては、片面粘着用と両面粘着用とが用意され、片面粘着用については、作品10を粘着する面が指示される。
【0015】
写真等の作品10は、剥離フィルム4,5を剥離して露出させた粘着層2上に粘着するが、一旦粘着した後、貼り直したり、交換したりする場合がある。その場合、ベースシート1の表裏全面に粘着層2を設けた場合は、粘着力が強過ぎて作品10を剥がしにくくなり、作品10を破損するおそれもある。そこで、粘着力を弱めるために、ベースシートに適宜形状の透孔5を設け(図4)、あるいは、粘着層2を部分的に設ける場合がある(図5)。
【0016】
図4は、透孔5を設ける場合の例を示すもので、(A)は円形の透孔5を、(B)は横長長方形の透孔5を、それぞれ縦横規則的に配置した例を示し、(C)は、台形と長方形の透孔5を斜交状に配した例を示している。透孔5の形状はこれらに限らず任意であり、また、その配置も規則的である必要はない。また、図5は、粘着層2を部分的に設ける場合の例示で、(A)に示す例は、ベースシート1の周縁部に沿った大きな四角形と、その内側に配した小さな四角形の部分を粘着層2としたものであり、(B)に示す例は、ベースシート1の周縁部に沿った大きな四角形と、その内側に等間隔置きに配置した長方形の部分を粘着層2としたものである。粘着層2の配置はランダムであって差し支えないが、少なくとも、ベースシート1の周縁部に沿った大きな四角形部分を粘着層2とすることが好ましい。
【0017】
本発明に係る写真等の作品の裏打ち方法は、上記裏打ち材11を用いて行うものであり、裏打ち材11を用意する工程と、剥離フィルム3,4を剥がして粘着層2に写真等の作品10を粘着する工程と、から成る。裏打ち材11を用意する工程は、写真等の作品10の厚み(伸縮度)に対応する厚み(伸縮度)の剥離フィルム3,4を被装した裏打ち材11を選択する工程を含む。そのために、本発明に係る裏打ち材11として、作品10の厚さやサイズに対応する複数種の製品、即ち、ベースシート1及び剥離フィルム3,4の厚みや強度の異なる複数種の製品(裏打ち材11)が用意される。
【0018】
作品10の粘着工程においては、剥離フィルム3,4のいずれかを剥取し、露呈した粘着層2上に作品10を静置し、ロールを用いて軽く押し付ける等の操作を行うことにより、作品10を裏打ち材11に粘着する(図2)。作品10は、このようにして簡単に裏打ち材11に粘着でき、展示期間中その平滑性が保たれる。
【0019】
また、作品10をベースシート1の片面にのみ粘着する場合においては、作品10を粘着しない面の剥離フィルム4を一旦剥離し、裏返して粘着層2上に被装する工程を含む(図3)。このように、片面に作品10を貼る場合において、作品10を粘着しない面の剥離フィルム4を裏返して貼り直すのは、剥離フィルム4の離型処理されていない面を粘着層2に貼り付けることで、粘着層2に対する剥離フィルム4の粘着を強固にし、長期的に剥離フィルム4が剥がれないようにすることで張力を高め、表裏両面の張力のバランスを維持して反りを防止するためである。
【0020】
また、一旦粘着した写真等の作品10を、貼り直したり、交換したりするために、粘着層2から剥がし取る場合があるが、その場合、ベースシート1に透孔5が設けられ(図4)、あるいは、粘着層2が部分的に設けられている場合は、粘着力が適度に弱められるため、作品10を粘着層2から容易に剥がし取ることができ、また、その際に作品10を損傷するおそれがない。
【0021】
本裏打ち材11を裏打ちした作品10は、任意の方法で額装することができる。図6は、作品10をベースシート1の片面にのみ粘着し、作品10を粘着しない面の剥離フィルム4を裏返して粘着層2上に被装したものを額装する場合の例を示している。その場合、額12の裏蓋13が木板又は樹脂板であるときは、作品10の裏面側、即ち、剥離フィルム4を裏返して粘着層2上に再被装した側を、例えば、両面テープ等を介して裏蓋13に定着する。そして、必要に応じ、作品10の上に、窓を有するマット14を、やはり両面テープ等を介して被装定着する(図6(A))。また、裏蓋13が金属板である場合は、作品10の裏面に、片面粘着剤付きマグネットシートを粘着して作品10を裏蓋13に磁着し、作品10上に、裏面にマグネットシートを粘着したマット14を被着する。
【0022】
また、本裏打ち材11を裏打ちした作品10を、展示用パネル15に定着することもある。その場合は、作品10とパネル15のサイズを合わせ、作品10がパネル15からはみ出ないように、パネル15の表面板16全体にぴったりと定着する(図7(A))。その定着は、上記額装の場合と同様に、表面板16が木製や樹脂製の場合は両面テープ等を用い、表面板16が金属製の場合は、マグネットシートを用いる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明に係る写真等の作品の裏打ち材は上記のとおりであって、ベースシートの表裏両面に剥離フィルムが被装されることで、ベースシートの表面と裏面の張力のバランスが取れるために、反りにくくて平滑性を維持することが可能な裏打ち材となり、また、写真を片面にのみ粘着する場合に、その裏面の剥離フィルムを裏返して離型処理してない面を粘着層に粘着することで、ベースシートの表面と裏面の張力のバランスを長期間保持し得る効果があり、これを用いた裏打ち方法によれば、作品の平坦性を長期間に亘って保持し得る効果があるので、産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0024】
1 ベースシート
2 粘着層
3 剥離フィルム
4 剥離フィルム
10 作品
11 裏打ち材
12 額
13 裏蓋
14 マット
15 パネル
16 表面板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7