(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140256
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/872 20060101AFI20230927BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20230927BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20230927BHJP
H01L 29/47 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
H01L29/86 301F
H01L29/78 657D
H01L29/91 K
H01L29/48 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119593
(22)【出願日】2022-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2022044988
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】布施 香織
(72)【発明者】
【氏名】河村 圭子
(72)【発明者】
【氏名】末代 知子
(72)【発明者】
【氏名】岩鍜治 陽子
(72)【発明者】
【氏名】もたい 貴子
(72)【発明者】
【氏名】糸数 裕子
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104BB02
4M104BB05
4M104BB06
4M104BB09
4M104BB14
4M104BB18
4M104CC01
4M104CC03
4M104EE02
4M104EE09
4M104GG02
4M104GG03
4M104GG18
(57)【要約】
【課題】リカバリ損失を低減した半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、半導体部と、第1乃至第4電極と、第1および第2絶縁膜と、を備える。前記半導体部は、第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2、第3半導体層と、前記第1導電形の第4半導体層と、を含む。前記第1電極は、前記半導体部の裏面上に設けられ、前記第2電極は、前記裏面とは反対側の表面上に設けられる。前記第3、第4電極は、前記半導体部の前記表面側に設けられたトレンチの内部にそれぞれ配置される。前記第1、2絶縁膜は、前記半導体部と前記第3、第4電極との間にそれぞれ位置する。前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第3電極と前記第4電極との間に延在する。前記第3半導体層は、前記第2半導体層と前記第2電極との間に部分的に設けられる。前記第4半導体層は、前記第2半導体層中に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、前記第2導電形の第3半導体層と、前記第1導電形の第4半導体層と、を含む半導体部と、
前記半導体部の裏面上に設けられた第1電極と、
前記半導体部の前記裏面とは反対側の表面上に設けられた第2電極と、
前記半導体部の前記表面側に設けられた第1トレンチの内部に配置された第3電極と、
前記第1トレンチの内面を覆い、前記半導体部と前記第3電極との間に位置する第1絶縁膜と、
前記半導体部の前記表面側において、前記第1トレンチと隣り合う位置に設けられた第2トレンチの内部に配置された第4電極と、
前記第2トレンチの内面を覆い、前記半導体部と前記第4極との間に位置する第2絶縁膜と、
を備え、
前記第1半導体層は、前記第1電極と前記第2電極との間に延在し、
前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第3電極と前記第4電極との間に延在し、
前記第3半導体層は、前記第2半導体層と前記第2電極との間において、前記第2半導体層上に部分的に設けられ、前記第2半導体層の第2導電形不純物の濃度よりも高濃度の第2導電形不純物を含み、
前記第3電極と前記第4電極との間において、前記第4半導体層は、前記第2半導体層中に位置し、前記第2半導体層は、前記第3半導体層と前記第4半導体層との間に位置し、前記第3半導体層を前記第4半導体層から離間させる部分を含み、
前記第2電極は、前記半導体部の前記表面において、前記第2半導体層および前記第3半導体層に接続される、半導体装置。
【請求項2】
前記第4半導体層は、前記第1絶縁膜または前記第2絶縁膜の少なくともいずれか一方に接するように設けられる請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第4半導体層との間に位置し、前記第4半導体層を前記第1半導体層から離間させる別の部分を含む請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3半導体層は、前記第1絶縁膜または前記第2絶縁膜の少なくともいずれか一方に接するように設けられる請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3電極および前記第4電極は、それぞれ、前記半導体部の前記表面から前記第1半導体層中に延在するように設けられる請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体部は、前記第3半導体層とは別の第3半導体層をさらに含み、
前記第3半導体層は、前記第1絶縁膜に接し、前記別の第3半導体層は、前記第2絶縁膜に接するように設けられる請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体部は、前記第4半導体層とは別の第4半導体層をさらに含み、
前記第4半導体層は、前記第1絶縁膜に接し、前記別の第4半導体層は、前記第2絶縁膜に接するように設けられる請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体部は、前記第3半導体層とは別の第3半導体層をさらに含み、
前記第3半導体層および前記別の第3半導体層は、前記第3電極から前記第4電極に向かう第1方向と直交する第2方向に離間して並ぶ請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体部は、前記第4半導体層とは別の第4半導体層をさらに含み、
前記第4半導体層および前記別の第4半導体層は、前記第2方向に並ぶ請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第4半導体層は、前記第1半導体層と前記第3半導体層との間に位置する請求項1記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体部は、前記第1導電形の第5半導体層と、前記第1導電形の第6半導体層と、をさらに含み、
前記第5半導体層は、前記第1半導体層と前記第1電極との間に設けられ、前記第1半導体層の第1導電形不純物の濃度よりも高濃度の第1導電形不純物を含み、
前記第6半導体層は、前記第2半導体層と前記第2電極との間に設けられ、
前記第3半導体層および前記第6半導体層は、前記第2半導体層上に並び、前記第2電極に接続される請求項1記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第6半導体層は、前記第3半導体層と、前記第1絶縁膜または前記第2絶縁膜と、の間に設けられ、
前記第4半導体層は、前記第1半導体層と前記第6半導体層との間に位置する請求項11記載の半導体装置。
【請求項13】
前記半導体部は、別の第3半導体層と、別の第6半導体層と、をさらに備え、
前記第3半導体層は、前記第6半導体層と前記第1絶縁膜との間に設けられ、
前記別の第3半導体層は、前記別の第6半導体層と前記第2絶縁膜との間に設けられ、
前記第2半導体層は、前記第6半導体層と前記別の第6半導体層との間に延在し、前記第2電極に接続される請求項11記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第3半導体層および前記第6半導体層は、前記第1絶縁膜または前記第2絶縁膜に接する請求項11記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換用半導体装置には、リカバリ損失(スイッチング損失)を低減することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、リカバリ損失を低減した半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、半導体部と、第1乃至第4電極と、第1絶縁膜と、第2絶縁膜と、を備える。前記半導体部は、第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、前記第2導電形の第3半導体層と、前記第1導電形の第4半導体層と、を含む。前記第1電極は、前記半導体部の裏面上に設けられ、前記第2電極は、前記半導体部の前記裏面とは反対側の表面上に設けられる。前記第3電極は、前記半導体部の前記表面側に設けられた第1トレンチの内部に配置される。前記第1絶縁膜は、前記第1トレンチの内面を覆い、前記半導体部と前記第3電極との間に位置する。前記第4電極は、前記半導体部の前記表面側において、前記第1トレンチと隣り合う位置に設けられた第2トレンチの内部に配置される。前記第2絶縁膜は、前記第2トレンチの内面を覆い、前記半導体部と前記第4極との間に位置する。前記第1半導体層は、前記第1電極と前記第2電極との間に延在し、前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第3電極と前記第4電極との間に延在する。前記第3半導体層は、前記第2半導体層と前記第2電極との間において、前記第2半導体層上に部分的に設けられ、前記第2半導体層の第2導電形不純物の濃度よりも高濃度の第2導電形不純物を含む。前記第3電極と前記第4電極との間において、前記第4半導体層は、前記第2半導体層中に位置し、前記第2半導体層は、前記第3半導体層と前記第4半導体層との間に位置し、前記第3半導体層を前記第4半導体層から離間させる部分を含む。前記第2電極は、前記半導体部の前記表面において、前記第2半導体層および前記第3半導体層に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る半導体装置を示す模式斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る半導体装置の特性を示すグラフである。
【
図4】第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【
図5】第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【
図6】第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置を示す模式斜視図である。
【
図7】第1実施形態の第4変形例に係る半導体装置を示す模式斜視図である。
【
図8】第1実施形態の第5変形例に係る半導体装置を示す模式斜視図である。
【
図9】第1実施形態の第6変形例に係る半導体装置を示す模式斜視図である。
【
図10】第1実施形態の第7変形例に係る半導体装置を示す模式図である。
【
図11】第1実施形態の第8変形例に係る半導体装置を示す模式図である。
【
図12】第2実施形態に係る半導体装置を示す模式図である。
【
図13】第2実施形態の第1変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【
図14】第2実施形態の第2変形例に係る半導体装置を示す模式図である。
【
図15】第2実施形態の第3変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【
図16】第3実施形態に係る半導体装置を示す模式斜視図である。
【
図17】第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置を示す模式斜視図である。
【
図18】第3実施形態の第2変形例に係る半導体装置を示す模式斜視図である。
【
図19】第3実施形態の第3変形例に係る半導体装置を示す模式斜視図である。
【
図20】第3実施形態に係る半導体装置の特性を示すグラフである。
【
図21】第3実施形態の第4変形例に係る半導体装置を示す模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置1を示す模式断面図である。半導体装置1は、ダイオードである。半導体装置1は、例えば、インバータを構成する還流ダイオード(FWD)として用いられる。また、半導体装置1は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)と集積化されてRC-IGBT(Reverse Conducting IGBT)を構成してもよい。
【0010】
半導体装置1は、半導体部10と、第1電極20と、第2電極30と、第3電極40と、第4電極50と、を備える。半導体部10は、例えば、シリコンである。
【0011】
第1電極20は、半導体部10の裏面10B上に設けられる。第1電極20は、例えば、カソード電極である。第1電極20は、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、金(Au)、白金(Pt)等の群から選ばれる少なくとも1つを含む金属層である。
【0012】
第2電極30は、半導体部10の裏面10Bとは反対側の表面10F上に設けられる。第2電極30は、例えば、アノード電極である。第2電極30は、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、金(Au)、白金(Pt)等の群から選ばれる少なくとも1つを含む金属層である。
【0013】
第3電極40は、半導体部10の表面10F側に設けられた第1トレンチTR1の内部に配置される。第3電極40は、第1トレンチTR1の内面を覆う第1絶縁膜45を介して、半導体部10に向き合う。すなわち、第1絶縁膜45は、半導体部10と第3電極40との間に設けられる。第1絶縁膜45は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0014】
第4電極50は、半導体部10の表面10F側に設けられた第2トレンチTR2の内部に配置される。第2トレンチTR2は、第1トレンチTR1の隣に設けられる。第4電極50は、第2トレンチTR2の内面を覆う第2絶縁膜55を介して、半導体部10に向き合う。すなわち、第2絶縁膜55は、半導体部10と第4電極50との間に設けられる。第2絶縁膜55は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0015】
半導体部10は、第1導電形の第1半導体層11と、第2導電形の第2半導体層13と、第2導電形の第3半導体層15と、第1導電形の第4半導体層17と、第1導電形の第5半導体層19と、を含む。以下、第1導電形をn形、第2導電形をp形として説明する。
【0016】
第1半導体層11は、例えば、n形低濃度層である。第1半導体層11は、第1電極20と第2電極30との間に延在する。
【0017】
第2半導体層13は、例えば、p形アノード層である。第2半導体層13は、第1半導体層11と第2電極30との間に設けられる。また、第2半導体層13は、第3電極40と第4電極50との間に延在する。
【0018】
第3半導体層15は、例えば、p+形コンタクト層である。第3半導体層15は、第2半導体層13と第2電極30との間において、第2半導体層13上に部分的に設けられる。第3半導体層15は、第2半導体層13の第2導電形不純物の濃度よりも高濃度の第2導電形不純物を含む。
【0019】
第2電極30は、半導体部10の表面10Fにおいて、第2半導体層13および第3半導体層15に接続される。第2電極30は、第2半導体層13に、例えば、ショットキー接続される。また、第2電極30は、第3半導体層15に、例えば、オーミック接続される。実施形態はこれに限定されず、第2電極30と第2半導体層13との界面における第2半導体層13の表面層の不純物濃度が低ければ良い。すなわち、第2電極30が第2半導体層13にショットキー接続されることに限定される訳ではない。
【0020】
第4半導体層17は、例えば、n形の導電性を有し、第2半導体層13中に設けられる。第2半導体層13は、第3半導体層15と第4半導体層17との間に延在し、第3半導体層15から第4半導体層17を離間させる部分を含む。また、第2半導体層13は、第1半導体層11と第4半導体層17との間に延在し、第1半導体層11から第4半導体層17を離間させる別の部分を含む。
【0021】
第3半導体層15および第4半導体層17は、それぞれ、第1絶縁膜45に接するように設けられる。第3半導体層15および第4半導体層17は、第1絶縁膜45を介して、第3電極40に向き合う。また、第3半導体層15は、第4半導体層17と第2電極30との間に位置する。
【0022】
半導体部10は、別の第3半導体層15および別の第4半導体層17をさらに含む。別の第3半導体層15および別の第4半導体層17は、それぞれ、第2絶縁膜55に接する。また、別の第3半導体層15および別の第4半導体層17は、第2絶縁膜55を介して、第4電極50に向き合う。
【0023】
第2半導体層13は、第4半導体層17と別の第4半導体層17との間、および、第3半導体層15と別の第3半導体層15との間に延在する。第2半導体層13は、半導体部10の表面10Fにおいて、第2電極30に接する。
【0024】
第5半導体層19は、例えば、n形カソード層である。第5半導体層19は、第1半導体層11と第1電極20との間に設けられる。第5半導体層19は、第1半導体層11の第1導電形不純物の濃度よりも高濃度の第1導電形不純物を含む。第1電極20は、半導体部10の裏面10B上において、第5半導体層19に、例えば、オーミック接続される。
【0025】
図1に示すように、第3電極40および第4電極50は、第2電極30に接続され、第2電極30と同電位になるように設けられる。実施形態は、この例に限定される訳ではなく、例えば、第3電極40および第4電極50は、第2電極30から電気的に絶縁され、好適な電位を供給される構成であってもよい。
【0026】
半導体装置1では、第2半導体層13中に第4半導体層17を設けることにより、第1半導体層11から第2電極30へ流れる電子電流Ie、および、第2電極30から第1半導体層11へ流れる正孔電流Ihの流路を制御することができる。例えば、第1電極20と第2電極30との間に順方向電圧を印可した場合、電子電流Ieは、第1半導体層11から第4半導体層17を経由して第2電極30へ流れる。正孔電流Ihは、第3半導体層15および第2半導体層13を経由して第1半導体層11に流れる。すなわち、正孔電流Ihは、第3半導体層15から第2電極30から第4半導体層17と別の第4半導体層17との間の第2半導体層13の延在部13exを経由して第1半導体層11に流れる。
【0027】
このように、第2半導体層13中に第4半導体層17を設けることにより、正孔電流Ihの経路が狭められ、第2半導体層13から第1半導体層11への正孔注入が抑制される。このため、オン状態からオフ状態へ移行するターンオフ過程において、正孔注入が抑制されるため、正孔の排出時間を短縮することが可能となり、リカバリ損失(スイッチング損失)を低減することができる。
【0028】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置1を示す模式斜視図である。
図2では、第1電極20および第2電極30を省略し、半導体部10と第3電極40と第4電極50とを表している。
【0029】
図2に示すように、第3電極40および第4電極50は、それぞれ、半導体部10の表面10Fに沿った方向、例えば、Y方向に延在する。第3半導体層15および第4半導体層17は、それぞれ、第1絶縁膜45に沿って、Y方向に延在する。また、別の第3半導体層15および別の第4半導体層17は、それぞれ、第2絶縁膜55に沿って、Y方向に延在する。
【0030】
図3は、第1実施形態に係る半導体装置1の特性を示すグラフである。横軸は、順方向電圧VFであり、縦軸は、リカバリ損失Errである。
【0031】
図3に示すように、第1半導体層11から第4半導体層17に至るZ方向の距離Lnnが小さくなるにつれて、リカバリ損失は減少する。すなわち、Lnnが小さくなるにつれて、第2半導体層13および第3半導体層15から第1半導体層11への正孔注入が抑制され、リカバリ損失が減少する。このように、第2半導体層13中に第4半導体層17を設けることにより、リカバリ損失を低減することができる。
【0032】
図4(a)および(b)は、第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置1b、1cを示す模式断面図である。
図4(a)および(b)では、第1電極20、第2電極30および第5半導体層19を省略している。
【0033】
図4(a)に示す半導体装置1bでは、第3電極40から第4電極50に向かう方向、例えば、X方向における第3半導体層15と別の第3半導体層15との間の間隔Wppは、第4半導体層17と別の第4半導体層17との間のX方向の間隔Wnnよりも狭い。
【0034】
例えば、製造工程の制約等により間隔Wppが狭くなるとしても、第2半導体層13中に第4半導体層17を設けることにより、正孔電流Ihの経路が狭められ、第3半導体層15および第2半導体層13から第1半導体層11への正孔注入が抑制される。
【0035】
図4(b)に示す半導体装置1cでは、X方向における第4半導体層17と別の第4半導体層17との間のX方向の間隔Wnnは、第3半導体層15と別の第3半導体層15との間の間隔Wppよりも狭い。第2半導体層13中に第4半導体層17を設けることにより、正孔電流Ihの経路が狭められ、第3半導体層15および第2半導体層13から第1半導体層11への正孔注入が抑制さる。間隔Wnnを狭めることでこの効果がさらに大きくなる。
【0036】
このように、第3半導体層15と別の第3半導体層15との間の間隔Wpp、および、第4半導体層17と別の第4半導体層17との間の間隔Wnnを好適に設けることにより、順方向特性およびオン状態からオフ状態に至るリカバリ特性を制御することができる。
【0037】
図5(a)および(b)は、第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置1d、1eを示す模式断面図である。
図5(a)および(b)では、第1電極20、第2電極30および第5半導体層19を省略している(
図1参照)。
【0038】
図5(a)に示す半導体装置1dでは、第4半導体層17は、第1半導体層11に接する。また、第4半導体層17は、第1絶縁膜45に接し、別の第4半導体層17は、第2絶縁膜55に接する。第2半導体層13は、第4半導体層17と別の第4半導体層17との間に延在する延在部13exを含む。第2半導体層13の延在部13exは、第4半導体層17と別の第4半導体層17との間において、第1半導体層11に接する。
【0039】
図5(b)に示す半導体装置1eでは、第3電極40および第4電極50は、第2半導体層13中に設けられる。第1絶縁膜45は、第2半導体層13と第3電極40との間に設けられる。また、第2絶縁膜55は、第2半導体層13と第4電極50との間に設けられる。第2半導体層13は、第1半導体層11と第3電極40との間、および、第1半導体層11と第4電極50との間に延在する。
【0040】
図6は、第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置1fを示す模式斜視図である。
図6では、第1電極20および第2電極30を省略し、半導体部10と第3電極40と第4電極50とを表している。
【0041】
半導体装置1fは、コンタクトトレンチCTを有する。コンタクトトレンチCTは、第3半導体層15と別の第3半導体層15との間に設けられる。第2電極30(
図1参照)は、コンタクトトレンチCTの内部を埋め込むように設けられる。
【0042】
コンタクトトレンチCTは、第3半導体層15と別の第3半導体層15との間の第2半導体層13中に設けられる。また、コンタクトトレンチCTは、第3半導体層15の延在方向に沿って、例えば、Y方向に延在する。
【0043】
第2電極30は、半導体部10の表面10Fにおいて、第2半導体層13および第3半導体層15に接すると共に、コンタクトトレンチCTの内面において、第2半導体層13に接する。これにより、第2電極30と第2半導体層13との間のコンタクト面積を広くすることができる。さらに、半導体部10の表面10Fより深い位置に第2電極30と第2半導体層13との間のコンタクト部分をもつことでも、第2電極30から第2半導体層13を介して第2半導体層13へ注入される正孔の量を抑制することができる。
【0044】
図7は、第1実施形態の第4変形例に係る半導体装置2を示す模式斜視図である。
図7では、第1電極20および第2電極30を省略し、半導体部10と第3電極40と第4電極50とを表している。
【0045】
この例では、第3半導体層15は、第1絶縁膜45および第2絶縁膜55から離間した位置に設けられる。第2半導体層13は、第3半導体層15と第1絶縁膜45との間、および、第3半導体層15と第2絶縁膜55との間に延在する。
【0046】
第4半導体層17は、第1絶縁膜45に接し、別の第4半導体層17は、第2絶縁膜55に接する。第2半導体層13は、第4半導体層17と別の第4半導体層17との間に延在する延在部13exを含む。
【0047】
図7に示すように、第4半導体層17と第2電極30(
図1参照)との間には、第3半導体層15は設けられない。また、第1半導体層11と第3半導体層15との間には、第4半導体層17は設けられない。
【0048】
電子電流Ieは、第1半導体層11から第4半導体層17を介して、第2電極30の第2半導体層13に接する部分へ流れる。正孔電流Ihは、第4半導体層17と別の第4半導体層17との間の第2半導体層13の延在部13exを介して、第3半導体層15から第1半導体層11へ流れる。
【0049】
図8は、第1実施形態の第5変形例に係る半導体装置2bを示す模式斜視図である。
図8では、第1電極20および第2電極30を省略し、半導体部10と第3電極40と第4電極50とを表している。
【0050】
この例では、第4半導体層17は、第1絶縁膜45および第2絶縁膜55から離間するように設けられる。第2半導体層13は、第4半導体層17と第1絶縁膜45との間、および、第4半導体層17と第2絶縁膜55との間に延在する。
【0051】
第3半導体層15は、第1絶縁膜45に接し、別の第3半導体層15は、第2絶縁膜55に接する。第4半導体層17と第2電極30(
図1参照)との間には、第3半導体層15は設けられない。また、第1半導体層11と第3半導体層15との間には、第4半導体層17は設けられない。
【0052】
電子電流Ieは、第1半導体層11から第4半導体層17を介して、第2電極30に流れる。電子電流Ieは、第3半導体層15と別の第3半導体層15との間において第2半導体層13に接する第2電極30のコンタクト領域を介して、第2電極30に流れる。正孔電流Ihは、第4半導体層17と第1絶縁膜45との間、および、第4半導体層17と第2絶縁膜55との間に位置する第2半導体層13の延在部13exを介して、第3半導体層15から第1半導体層11へ流れる。
【0053】
図9は、第1実施形態の第6変形例に係る半導体装置3を示す模式斜視図である。
図9では、第1電極20および第2電極30を省略し、半導体部10と第3電極40と第4電極50とを表している。
【0054】
この例では、第3半導体層15は、第3電極40の延在方向、例えば、Y方向において、相互に離間した複数の部分(
図10(a)参照)を含むように設けられる。第3半導体層15の複数の部分は、それぞれ、第1絶縁膜45に接する。また、別の第3半導体層15も第2絶縁膜55に接し相互に離間した複数の部分を有する。第4半導体層17は、第1半導体層11と第3半導体層15との間に設けられる。第4半導体層17は、第1絶縁膜45または第2絶縁膜55に接し、Y方向に延在する。第2半導体層13は、第3半導体層15と別の第3半導体層15との間、および、第4半導体層17と別の第4半導体層17との間に延在する。
【0055】
図10(a)および(b)は、第1実施形態の第7変形例に係る半導体装置3bを示す模式図である。
図10(a)では、第1電極20および第2電極30を省略し、半導体部10と第3電極40と第4電極50とを表している。
図10(b)は、
図10(a)中に示すA-A線に沿った断面図である。
【0056】
この例でも、第3半導体層15は、Y方向において相互に離間した複数の部分を含む。第3半導体層15の複数の部分は、それぞれ、第1絶縁膜45に接する。別の第3半導体層15もY方向において相互に離間した複数の部分を含む。別の第3半導体層15の複数の部分は、それぞれ、第2絶縁膜55に接する。
【0057】
第4半導体層17は、Y方向において相互に離間した複数の部分を含む。第4半導体層17の複数の部分は、それぞれ、第1絶縁膜45に接するように設けられる。別の第4半導体層17もY方向において相互に離間した複数の部分を含む。別の第4半導体層17の複数の部分は、それぞれ、第2絶縁膜55に接する。
【0058】
第2半導体層13は、第3半導体層15と別の第3半導体層15との間、および、第4半導体層17と別の第4半導体層17との間に延在する。
【0059】
図10(b)に示すように、第4半導体層17は、第2半導体層13中において、第1半導体層11と第3半導体層15との間に位置するように設けられる。電子電流Ieは、第1半導体層11から第4半導体層17を介して、第2電極30(
図1参照)の第2半導体層13に接する部分へ流れる。正孔電流Ihは、第3半導体層15から第2半導体層13を介して第1半導体層11へ流れる。
【0060】
図11(a)および(b)は、第1実施形態の第8変形例に係る半導体装置3cを示す模式図である。
図11(a)では、第1電極20および第2電極30を省略し、半導体部10と第3電極40と第4電極50とを表している。
図11(b)は、
図11(a)中に示すB-B線に沿った断面図である。
【0061】
図11(a)に示す第3半導体層15は、Y方向において相互に離間した複数の部分を含む(
図10(a)参照)。第3半導体層15の複数の部分は、それぞれ、第1絶縁膜45に接するように設けられる。別の第3半導体層15もY方向において相互に離間した複数の部分を含む。別の第3半導体層15の複数の部分は、それぞれ、第2絶縁膜55に接するように設けられる。
【0062】
第4半導体層17は、Y方向において相互に離間した複数の部分を含む。第4半導体層17の複数の部分は、それぞれ、第1絶縁膜45に接するように設けられる。別の第4半導体層17もY方向において相互に離間した複数の部分を含む。別の第4半導体層17の複数の部分は、それぞれ、第2絶縁膜55に接するように設けられる。
【0063】
第2半導体層13は、第3半導体層15と別の第3半導体層15との間、および、第4半導体層17と別の第4半導体層17との間に延在する。
【0064】
図11(b)に示すように、第4半導体層17は、Y方向において隣り合う部分を含む。第2半導体層13は、第4半導体層17の隣り合う部分の間に延在する延在部13exを有する。第3半導体層15は、第2半導体層13の延在部13exを介して、第1半導体層11に向き合うように設けられる。
【0065】
電子電流Ieは、第1半導体層11から第4半導体層17を介して、第2電極30と第2半導体層13とが接するコンタクト領域に流れる。正孔電流Ihは、第2半導体層13の延在部13exを介して、第3半導体層15から第1半導体層11へ流れる。
【0066】
(第2実施形態)
図12(a)および(b)は、第2実施形態に係る半導体装置4を示す模式図である。
図12(a)では、第1電極20および第2電極30を省略し、半導体部10と第3電極40と第4電極50とを表している。
図12(b)は、
図12(a)中に示すC-C線に沿った断面図である。
【0067】
図12(a)に示すように、半導体装置4の第3半導体層15は、第3電極40から第4電極50に向かう方向、例えば、X方向に延在し、第1絶縁膜45および第2絶縁膜55に接するように設けられる。また、第4半導体層17もX方向に延在し、第1絶縁膜45および第2絶縁膜55に接するように設けられる。
【0068】
この例では、複数の第4半導体層17が設けられる。第4半導体層17は、第3電極40および第4電極50のそれぞれの延在方向、例えば、Y方向に並ぶ。第4半導体層17は、相互に離間して、Y方向に並ぶ。
【0069】
図12(b)に示すように、第2半導体層13は、Y方向において隣り合う第4半導体層17の間に延在する延在部13exを有する。第3半導体層15は、第2半導体層13の延在部13exを介して、第1半導体層11に向き合うように設けられる。
【0070】
電子電流Ieは、第1半導体層11から第4半導体層17を介して、第2電極30と第2半導体層13とが接するコンタクト領域に流れる。正孔電流Ihは、第2半導体層13の延在部13exを介して、第3半導体層15から第1半導体層11へ流れる。
【0071】
図13(a)および(b)は、第2実施形態の第1変形例に係る半導体装置4b、4cを示す模式断面図である。
図13(a)および(b)では、第1電極20、第2電極30および第5半導体層19を省略している。
【0072】
図13(a)に示すように、Y方向において隣り合う第4半導体層17の間隔Wnnは、例えば、第3半導体層15のY方向の幅Wpよりも広く設けられる。
【0073】
また、
図13(b)に示すように、Y方向において隣り合う第4半導体層17の間隔Wnnは、第3半導体層15のY方向の幅Wpよりも狭くてもよい。
【0074】
これらの例でも、第2半導体層13中に、第4半導体層17を設けることにより、第2半導体層13から第1半導体層11への正孔注入を抑制し、リカバリ損失を低減することができる。
【0075】
図14(a)および(b)は、第2実施形態の第2変形例に係る半導体装置5を示す模式図である。
図14(a)では、第1電極20および第2電極30を省略し、半導体部10と第3電極40と第4電極50とを表している。
図14(b)は、
図14(a)中に示すD-D線に沿った断面図である。
【0076】
図14(a)に示すように、第3半導体層15は、第3電極40から第4電極50に向かう方向、例えば、X方向に延在し、第1絶縁膜45および第2絶縁膜55に接するように設けられる。また、第4半導体層17もX方向に延在し、第1絶縁膜45および第2絶縁膜55に接するように設けられる。
【0077】
この例では、複数の第3半導体層15および複数の第4半導体層17が設けられる。第3半導体層15および第4半導体層17は、それぞれ、第3電極40および第4電極50の延在方向、例えば、Y方向に並ぶ。第4半導体層17は、第1半導体層11と第3半導体層13との間に位置する。
【0078】
図14(b)に示すように、第2半導体層13は、Y方向において隣り合う第3半導体層15の間、および、Y方向において隣り合う第4半導体層17の間に延在する。電子電流Ieは、第1半導体層11から第4半導体層17を経由して、第2電極30(
図1参照)と第2半導体層13とが接するコンタクト領域に流れる。一方、正孔電流Ihは、隣り合う第4半導体層17の間に延在する第2半導体層13の延在部13exを経由して、第3半導体層15から第1半導体層11へ流れる。
【0079】
図15(a)および(b)は、第2実施形態の第3変形例に係る半導体装置5b、5cを示す模式断面図である。
図15(a)および(b)では、第1電極20、第2電極30および第5半導体層19を省略している。
【0080】
図15(a)に示すように、Y方向において隣り合う第4半導体層17の間隔Wnnは、Y方向において隣り合う第3半導体層15の間隔Wppよりも狭く設けられる。第2半導体層13中に第4半導体層17を設けることにより、正孔電流Ihの経路が狭められ、第3半導体層15および第2半導体層13から第1半導体層11への正孔注入が抑制される。間隔Wnnを狭めることでこの効果がさらに大きくなる。
【0081】
また、
図15(b)に示すように、Y方向において隣り合う第3半導体層15間隔Wppは、Y方向において隣り合う第4半導体層17の間隔Wnnよりも狭くてもよい。例えば、製造工程の制約等で間隔Wppが狭くなるとしても、第2半導体層13中に第4半導体層17を設けることにより、正孔電流Ihの経路が狭められ、第3半導体層15および第2半導体層13から第1半導体層11への正孔注入が抑制される。
【0082】
これらの例でも、第2半導体層13中に、第4半導体層17を設けることにより、第2半導体層13から第1半導体層11への正孔注入を抑制し、リカバリ損失を低減することができる。
【0083】
(第3実施形態)
図16は、第3実施形態に係る半導体装置6を示す模式斜視図である。
図16では、第1電極20および第2電極30を省略し、半導体部10と第3電極40と第4電極50とを表している。
【0084】
第3電極40および第4電極50は、それぞれ、半導体部10の表面10Fに沿った方向、例えば、Y方向に延在する。半導体部10と第3電極40との間には、第1絶縁膜45が設けられる。第3電極40は、第1絶縁膜45により半導体部10から絶縁される。また、半導体部10と第4電極50との間には、第2絶縁膜55が設けられる。第4電極50は、第2絶縁膜55により半導体部10から絶縁される。
【0085】
図16に示すように、半導体部10は、第1導電形の第6半導体層16をさらに含む。第6半導体層16は、例えば、n形コンタクト層である。第6半導体層16は、第2半導体層13と第2電極30(
図1参照)との間において、第2半導体層13上に設けられる。また、第3半導体層15および第6半導体層16は、第2半導体層13上に並び、それぞれ、Y方向に延在する。第2電極30(
図1参照)は、第3半導体層15および第6半導体層16に接する。
【0086】
第6半導体層16は、第3半導体層15と第1絶縁膜45との間に設けられる。第6半導体層16は、第1絶縁膜45に接し、且つ、第1絶縁膜45に沿って、Y方向に延在する。第3半導体層15は、第6半導体層16に接する。第6半導体層16のZ方向の長さは、例えば、第3半導体層15のZ方向の長さと略同一である。
【0087】
第4半導体層17は、第1半導体層11と第6半導体層16との間において、第2半導体層13中に設けられる。第6半導体層16は、第4半導体層17の上方に設けられる。第4半導体層17は、第1絶縁膜45に接し、且つ、第1絶縁膜45に沿って、Y方向に延在する。また、第2半導体層13は、第1半導体層11と第4半導体層17との間、および、第4半導体層17と第6半導体層16との間にそれぞれ延在し、第1絶縁膜45に接する。
【0088】
半導体部10は、別の第3半導体層15と、別の第4半導体層17と、別の第6半導体層16とをさらに含む。第2半導体層13は、第3半導体層15と別の第3半導体層15との間、および、第4半導体層17と別の第4半導体層17との間に延在する。別の第4半導体層17は、第2絶縁膜55に接し、且つ、第2絶縁膜55に沿って、Y方向に延在する。
【0089】
別の第6半導体層16は、別の第4半導体層17の上方に設けられる。別の第6半導体層16は、別の第3半導体層15と第2絶縁膜55との間に設けられる。別の第6半導体層16は、第2絶縁膜55に接し、且つ、第2絶縁膜55に沿って、Y方向に延在する。第2半導体層13は、第1半導体層11と別の第4半導体層17との間、および、別の第4半導体層17と別の第6半導体層16との間にそれぞれ延在し、第2絶縁膜55に接する。
【0090】
このように、第2半導体層13中に、第4半導体層17を設けることにより、第2半導体層13から第1半導体層11への正孔注入を抑制し、リカバリ損失を低減することができる。
【0091】
図17は、第3実施形態の第1変形例に係る半導体装置6bを示す模式斜視図である。この例では、第3半導体層15は、第6半導体層16と第1絶縁膜45との間に設けられる。また、別の第3半導体層15も、別の第6半導体層16と第2絶縁膜55との間に設けられる。
【0092】
第2半導体層13は、第4半導体層17と別の第4半導体層17との間、および、第6半導体層16と別の第6半導体層16との間に延在するように設けられる。さらに、第2半導体層13は、第1半導体層11と第4半導体層17との間、および、第3半導体層15と第4半導体層17との間に延在し、第1絶縁膜45に接する。また、第2半導体層13は、第1半導体層11と別の第4半導体層17との間、および、別の第3半導体層15と別の第4半導体層17との間に延在し、第2絶縁膜55に接する。
【0093】
図18は、第3実施形態の第2変形例に係る半導体装置6cを示す模式斜視図である。この例では、第6半導体層16は、第3半導体層15と第1絶縁膜45との間に設けられる。また、別の第6半導体層16は、別の第3半導体層15と第1絶縁膜45との間に設けられる。さらに、第4半導体層17が設けられず、第6半導体層16は、第1絶縁膜45および第2絶縁膜55に沿って、下方(-Z方向)に延びる。すなわち、第6半導体層16のZ方向の長さは、第3半導体層15のZ方向の長さよりも長い。
【0094】
図19は、第3実施形態の第3変形例に係る半導体装置6dを示す模式斜視図である。この例でも、第6半導体層16は、第3半導体層15と第1絶縁膜45との間に設けられる。また、別の第6半導体層16は、別の第3半導体層15と第1絶縁膜45との間に設けられる。さらに、第4半導体層17は、第2半導体層13中に設けられない。
【0095】
図20は、第3実施形態に係る半導体装置6~6dの特性を示すグラフである。横軸は、順方向電圧VFであり、縦軸は、リカバリ損失Errである。同図中には、半導体装置1および6~6dの特性をプロットしている。
【0096】
半導体装置6の特性を半導体装置1の特性と比べると、VFが低減され、Errも低減されている。すなわち、第2半導体層13中に第4半導体層17を設けることにより、第1半導体層11へ注入される正孔が低減され、さらに、第6半導体層16を設けることによりVFが低減される。これにより、リカバリ損失Errがより低減されることがわかる。
【0097】
半導体装置6bでは、半導体装置1に比べて、リカバリ損失Errは低減される。一方、半導体装置6cでは、半導体装置1の特性とほぼ同等の特性が得られる。
【0098】
半導体装置6dでは、第4半導体層17および第6半導体層16を設けない比較例に係る半導体装置(
図20中のRef)に比べて、リカバリ損失Errは低減されるものの、第4半導体層17を設けた場合に比べると、リカバリ損失Errの低減効果は少ない。
【0099】
図21は、第3実施形態の第4変形例に係る半導体装置7を示す模式斜視図である。この例では、第3半導体層15および第6半導体層16は、共に、第1絶縁膜45に接し、Y方向に延在するように設けられる。すなわち、p形コンタクト層(第3半導体層15)およびn形コンタクト層(第6半導体層16)が、第4半導体層17の上方に設けられ、Y方向に並ぶ。
【0100】
また、別の第3半導体層15および別の第6半導体層16は、共に、第2絶縁膜55に接し、Y方向に延在するように設けられる。別の第3半導体層15および別の第6半導体層16は、別の第4半導体層17の上方に設けられ、Y方向に並ぶ。
【0101】
第2半導体層13は、第3半導体層15と別の第3半導体層15との間、第4半導体層17と別の第4半導体層17の間、および、第6半導体層16と別の第6半導体層16との間に設けられる。第2半導体層13は、第3半導体層15と第4半導体層17との間、および、第6半導体層16と第4半導体層17との間に延在し、第1絶縁膜45に接する。また、第2半導体層13は、別の第3半導体層15と別の第4半導体層17との間、および、別の第6半導体層16と別の第4半導体層17との間に延在し、第1絶縁膜45に接する。さらに、第2半導体層13は、第1半導体層11と第4半導体層17との間に延在し、第1絶縁膜45に接し、第1半導体層11と別の第4半導体層17との間に延在し、第2絶縁膜55に接するように設けられる。
【0102】
このような構成においても、順方向電圧VFを低減し、リカバリ損失Errを低減することができる。なお、本実施形態に係る第6半導体層16は、上記の例に限定される訳ではない。例えば、第1実施形態および第2実施形態に係る半導体装置のいずれにも適用可能である。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0104】
(付記1)
第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、前記第2導電形の第3半導体層と、前記第1導電形の第4半導体層と、を含む半導体部と、
前記半導体部の裏面上に設けられた第1電極と、
前記半導体部の前記裏面とは反対側の表面上に設けられた第2電極と、
前記半導体部の前記表面側に設けられた第1トレンチの内部に配置された第3電極と、
前記第1トレンチの内面を覆い、前記半導体部と前記第3電極との間に位置する第1絶縁膜と、
前記半導体部の前記表面側において、前記第1トレンチと隣り合う位置に設けられた第2トレンチの内部に配置された第4電極と、
前記第2トレンチの内面を覆い、前記半導体部と前記第4極との間に位置する第2絶縁膜と、
を備え、
前記第1半導体層は、前記第1電極と前記第2電極との間に延在し、
前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第3電極と前記第4電極との間に延在し、
前記第3半導体層は、前記第2半導体層と前記第2電極との間において、前記第2半導体層上に部分的に設けられ、前記第2半導体層の第2導電形不純物の濃度よりも高濃度の第2導電形不純物を含み、
前記第3電極と前記第4電極との間において、前記第4半導体層は、前記第2半導体層中に位置し、前記第2半導体層は、前記第3半導体層と前記第4半導体層との間に位置し、前記第3半導体層を前記第4半導体層から離間させる部分を含み、
前記第2電極は、前記半導体部の前記表面において、前記第2半導体層および前記第3半導体層に接続される、半導体装置。
(付記2)
前記第4半導体層は、前記第1絶縁膜または前記第2絶縁膜の少なくともいずれか一方に接するように設けられる付記1記載の半導体装置。
(付記3)
前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第4半導体層との間に位置し、前記第4半導体層を前記第1半導体層から離間させる別の部分を含む付記1または2に記載の半導体装置。
(付記4)
前記第3半導体層は、前記第1絶縁膜または前記第2絶縁膜の少なくともいずれか一方に接するように設けられる付記1乃至3のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記5)
前記第3電極および前記第4電極は、それぞれ、前記半導体部の前記表面から前記第1半導体層中に延在するように設けられる付記1乃至4のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記6)
前記半導体部は、前記第3半導体層とは別の第3半導体層をさらに含み、
前記第3半導体層は、前記第1絶縁膜に接し、前記別の第3半導体層は、前記第2絶縁膜に接するように設けられる付記1乃至5のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記7)
前記半導体部は、前記第4半導体層とは別の第4半導体層をさらに含み、
前記第4半導体層は、前記第1絶縁膜に接し、前記別の第4半導体層は、前記第2絶縁膜に接するように設けられる付記6記載の半導体装置。
(付記8)
前記半導体部は、前記第3半導体層とは別の第3半導体層をさらに含み、
前記第3半導体層および前記別の第3半導体層は、前記第3電極から前記第4電極に向かう第1方向と直交する第2方向に離間して並ぶ付記1乃至5のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記9)
前記半導体部は、前記第4半導体層とは別の第4半導体層をさらに含み、
前記第4半導体層および前記別の第4半導体層は、前記第2方向に並ぶ付記8記載の半導体装置。
(付記10)
前記第4半導体層は、前記第1半導体層と前記第3半導体層との間に位置する付記1乃至9のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記11)
前記半導体部は、前記第1導電形の第5半導体層と、前記第1導電形の第6半導体層と、をさらに含み、
前記第5半導体層は、前記第1半導体層と前記第1電極との間に設けられ、前記第1半導体層の第1導電形不純物の濃度よりも高濃度の第1導電形不純物を含み、
前記第6半導体層は、前記第2半導体層と前記第2電極との間に設けられ、
前記第3半導体層および前記第6半導体層は、前記第2半導体層上に並び、前記第2電極に接続される付記1乃至9のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記12)
前記第6半導体層は、前記第3半導体層と、前記第1絶縁膜または前記第2絶縁膜のと、の間に設けられ、
前記第4半導体層は、前記第1半導体層と前記第6半導体層との間に位置する付記11記載の半導体装置。
(付記13)
前記半導体部は、別の第3半導体層と、別の第6半導体層と、をさらに備え、
前記第3半導体層は、前記第6半導体層と前記第1絶縁膜との間に設けられ、
前記別の第3半導体層は、前記別の第6半導体層と前記第2絶縁膜との間に設けられ、
前記第2半導体層は、前記第6半導体層と前記別の第6半導体層との間に延在し、前記第2電極に接続される付記11記載の半導体装置。
(付記14)
前記第3半導体層および前記第6半導体層は、前記第1絶縁膜または前記第2絶縁膜に接する付記11記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0105】
1、1b、1c、1d、1e、1f、2、2b、3、3b、3c、4、4b、5、5b…半導体装置、 10…半導体部、 10B…裏面、 10F…表面、 11…第1半導体層、 13…第2半導体層、 13ex…延在部、 15…第3半導体層、 17…第4半導体層、 19…第5半導体層、 16…第6半導体層、 20…第1電極、 30…第2電極、 40…第3電極、 45…第1絶縁膜、 50…第4電極、 55…第2絶縁膜、 CT…コンタクトトレンチ、 Ie…電子電流、 Ih…正孔電流、 TR1…第1トレンチ、 TR2…第2トレンチ