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特開2023-140262自律移動ロボット及びその安定化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140262
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】自律移動ロボット及びその安定化方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20230927BHJP
【FI】
G05D1/02 H
G05D1/02 R
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149539
(22)【出願日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】202210284402.3
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】502330713
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS, INC.
【住所又は居所原語表記】No.252,ShanYing Rd.,Guishan Dist.,Taoyuan City 333,Taiwan, R.O.C.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄正豪
(72)【発明者】
【氏名】黄柏喬
(72)【発明者】
【氏名】林漢卿
(72)【発明者】
【氏名】王錫裕
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】自律移動ロボット及びその安定化方法を提供する。
【解決手段】自律移動ロボットの安定化方法は、車体と、平面圧力センサと、移動機構とを備える自律移動ロボットに適用され、平面圧力センサにより車体の圧力分布状態を検出することと、圧力分布状態に基づいて車体の重心位置を算出することと、重心位置が車体上の予め定義された安定領域から外れたか否かを判断することと、重心位置が安定領域から外れたと判断した場合には、重心位置を安定領域に戻すために、自律移動ロボットにより重心オフセット方向に反力を加えることとを含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動機構が配置されたシャーシを有する車体と、
前記車体に配置され、前記車体の圧力分布状態を検出して前記車体の重心位置を取得する平面圧力センサと、
前記車体に配置された可動部と、
前記移動機構と、前記平面圧力センサと、前記可動部とに接続され、前記重心位置が前記車体の安定領域から外れると、前記安定領域に対する前記重心位置の重心オフセット方向に反力を加えて前記重心位置を前記安定領域に戻す重心補償運動を行うように前記移動機構又は前記可動部を制御するコントローラと、を含む、
自律移動ロボット。
【請求項2】
前記重心補償運動は、前記移動機構を前記重心オフセット方向へ移動させることである、
請求項1に記載の自律移動ロボット。
【請求項3】
前記コントローラは、前記重心オフセット方向が前記自律移動ロボットの所定の経路方向と一致しない場合、前記移動機構を前記重心オフセット方向に向けて移動させて前記反力を加え、前記重心位置が前記安定領域に戻った後に再び前記所定の経路方向に向けて前進するように前記移動機構を制御するように構成されている、
請求項2に記載の自律移動ロボット。
【請求項4】
前記重心補償運動は、姿勢調整プロセスによって前記可動部を制御することであり、
前記姿勢調整プロセスは、前記可動部の重心を前記重心オフセット方向とは逆方向に移動させるように、前記可動部の位置及び姿勢を調整する、
請求項1に記載の自律移動ロボット。
【請求項5】
前記可動部が前記姿勢調整プロセスを行う際に、まず前記車体上の負荷を掴んでから、前記位置及び前記姿勢の調整を行う、
請求項4に記載の自律移動ロボット。
【請求項6】
前記車体の一方側に負荷を載置するための荷重領域を有し、
前記重心補償運動は、前記重心オフセット方向とは逆方向に前記負荷を移動させるように前記可動部を制御することである、
請求項4に記載の自律移動ロボット。
【請求項7】
前記重心補償運動は、前記可動部によって前記負荷を移動し続けることであり、
前記コントローラは、前記重心位置が前記安定領域に戻ったと判断すると、前記可動部を制御してその他の負荷を移動することを停止するように構成されている、
請求項6に記載の自律移動ロボット。
【請求項8】
前記コントローラは、前記重心位置が前記安定領域外の補償領域の内側にあるか外側にあるかで、前記可動部を制御して前記負荷を移動させる際に前記移動機構が動くか止まるかを決定するように構成されている、
請求項6に記載の自律移動ロボット。
【請求項9】
平面圧力センサを備える車体を有する自律移動ロボットに適用される安定化方法であって、
前記平面圧力センサにより前記車体の圧力分布状態を検出するステップaと、
前記圧力分布状態に基づいて前記車体の重心位置を算出するステップbと、
前記重心位置が前記車体の中心位置に近接する安定領域から外れたと判断した場合には、前記安定領域に対する前記重心位置の重心オフセット方向に反力を加える重心補償運動を実行するステップcと、を含む、
自律移動ロボットの安定化方法。
【請求項10】
前記車体は、移動機構が配置されたシャーシを有し、
前記ステップcは、前記移動機構を前記重心オフセット方向へ移動させることを含む、
請求項9に記載の自律移動ロボットの安定化方法。
【請求項11】
前記車体には、可動部が配置され、
前記ステップcは、前記可動部の重心を前記重心オフセット方向とは逆方向に移動させるために、前記可動部の位置及び姿勢を調整する姿勢調整プロセスを行うように前記可動部を制御することを含む、
請求項9に記載の自律移動ロボットの安定化方法。
【請求項12】
前記車体の一方側に負荷を載置するための荷重領域を有し、
前記ステップcは、前記可動部を前記重心オフセット方向とは逆方向に前記負荷を移動させるように制御することを含む、
請求項11に記載の自律移動ロボットの安定化方法。
【請求項13】
前記重心位置が前記安定領域に収まると判断すると、振動を抑制するように前記可動部を制御するステップdをさらに含む、
請求項11に記載の自律移動ロボットの安定化方法。
【請求項14】
平面圧力センサと可動部とを備える車体を有する自律移動ロボットに適用される安定化方法であって、
前記平面圧力センサにより車体の圧力分布状態を検出するステップaと、
前記圧力分布状態に基づいて前記車体の重心位置を算出するステップbと、
前記重心位置が前記車体の中心位置に近接する安定領域に収まるのか、前記車体の周縁位置に近接する補償領域に収まるのかを判断するステップcと、
前記重心位置が前記補償領域に収まると判断した場合には、前記車体に移動可能な負荷が載置されているか否かを判断するステップdと、
前記負荷が存在しない又は移動できない場合には、前記可動部の重心を前記安定領域に対する前記重心位置の重心オフセット方向とは逆方向へ移動させるように前記可動部を制御するステップeと、
前記負荷が移動可能な場合には、前記圧力分布状態に基づいて前記負荷の分布状態を確認するステップfと、
前記ステップfの後、前記負荷を前記逆方向に移動させるように前記可動部を制御するステップgと、を含む、
自律移動ロボットの安定化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律移動ロボットに関し、特に、自律移動ロボット及びその運動安定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイルロボット(Mobile Robot)の需要が増加しつつあり、無人搬送車(Autonomous Guided Vehicle、AGV)や自律移動ロボット(Autonomous Mobile Robot、AMR)など、様々なモバイルロボットが一般大衆の生活環境に普及しつつある。
【0003】
移動時に重心がシャーシの支持範囲を超えて転倒することを回避するために、製造業者はモバイルロボットのシャーシを重くしたり、シャーシのカウンタウェイトを均等にしたりすることが多い。これにより、モバイルロボット全体の重心ができるだけ車体の中心位置に収まるようにする。
【0004】
しかしながら、上記の方法では、モバイルロボット全体としてかさばる傾向がある。また、モバイルロボットに載置される負荷が増加して重心位置が高くなると、モバイルロボットが急発進やブレーキをかける際に負荷が振動しやすくなる。このように、モバイルロボット自体も負荷の揺れ状態を確保できずに転倒してしまうことがある。
【0005】
そのため、当該技術分野では、モバイルロボットの転倒を回避するために、モバイルロボットの重心位置を動的に調整できる有効なメカニズムが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、自律移動ロボットの動作時の慣性及び重心の変化を監視し、重心位置を動的に補償できる自律移動ロボット及びその安定化方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る自律移動ロボットは、移動機構が配置されたシャーシを有する車体と、前記車体に配置され、前記車体の圧力分布状態を検出して前記車体の重心位置を取得する平面圧力センサと、前記車体に配置された可動部と、前記移動機構と、前記平面圧力センサと、前記可動部とに接続され、前記重心位置が前記車体の安定領域から外れると、可動部前記安定領域に対する前記重心位置の重心オフセット方向に反力を加えて前記重心位置を前記安定領域に戻す重心補償運動を行うように前記移動機構又は前記可動部を制御するコントローラと、を含む。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る自律移動ロボットの安定方法は、平面圧力センサを備える車体を有する自律移動ロボットに適用され、前記平面圧力センサにより前記車体の圧力分布状態を検出するステップaと、前記圧力分布状態に基づいて前記車体の重心位置を算出するステップbと、前記重心位置が前記車体の中心位置に近接する安定領域から外れたと判断した場合には、前記安定領域に対する前記重心位置の重心オフセット方向に反力を加える重心補償運動を実行するステップcと、を含む。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る自律移動ロボットの安定化方法は、平面圧力センサと可動部とを備える車体を有する自律移動ロボットに適用され、前記平面圧力センサにより車体の圧力分布状態を検出するステップaと、前記圧力分布状態に基づいて前記車体の重心位置を算出するステップbと、前記重心位置が前記車体の中心位置に近接する安定領域に収まるのか、前記車体の周縁位置に近接する補償領域に収まるのかを判断するステップcと、前記重心位置が前記補償領域に収まると判断した場合には、前記車体に移動可能な負荷が載置されているか否かを判断するステップdと、前記負荷が存在しない又は移動できない場合には、前記可動部の重心を前記安定領域に対する前記重心位置の重心オフセット方向とは逆方向へ移動させるように前記可動部を制御するステップeと、前記負荷が移動可能な場合には、前記圧力分布状態に基づいて前記負荷の分布状態を確認するステップfと、前記ステップfの後、前記負荷を前記逆方向に移動させるように前記可動部を制御するステップgと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、自律移動ロボットを監視制御することにより、車体が転倒しにくいように重心位置を動的に補償することができる。これにより、製造業者は、自律移動ロボットのシャーシを重くする必要がなく、自律移動ロボットを軽量化設計に適用することができる。また、重心位置を動的に調整することにより、自律移動ロボットの負荷が増加したり、重心が高くなったり、負荷が揺れ動いたりした場合に、自律移動ロボットが転倒することを防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る自律移動ロボットの第1具体的な実施例を示す概略図である。
図2】本発明に係る自律移動ロボットの第1具体的な実施例を示すブロック図である。
図3】本発明に係る自律移動ロボットの重心の第1具体的な実施例を示す概略図である。
図4】本発明に係る安定方法の第1具体的な実施例を示すフローチャートである。
図5】本発明に係る安定方法の第2具体的な実施例を示すフローチャートである。
図6】本発明に係る重心補償運動の第1具体的な実施例を説明するための概略図である。
図7】本発明に係る重心補償運動の第2具体的な実施例を説明するための概略図である。
図8A】本発明に係る重心補償運動の第3具体的な実施例の重心補償運動前を説明するための概略図である。
図8B】本発明に係る重心補償運動の第3具体的な実施例の重心補償運動後を説明するための概略図である。
図9】本発明に係る自律移動ロボットの第2具体的な実施例を示す概略図である。
図10】本発明に係る自律移動ロボットの第3の具体的な実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好ましい実施例については、図面を参照しながら以下に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る自律移動ロボットの第1具体的な実施例を示す概略図である。図1に示すように、本発明に係る自律移動ロボット1は、車体11と、車体11の一方側に配置されたシャーシ12と、シャーシ12に配置された移動機構13と、車体11に配置された平面圧力センサ(plane-pressure sensor)2と、可動部3とを備えている。図1に示す実施例において、自律移動ロボット1は、自律移動ロボット(Autonomous Mobile Robot、AMR)や無人搬送車(Autonomous Guided Vehicle、AGV)を例に挙げているが、これらに限定されない。
【0014】
本発明の1つの技術的特徴は、自律移動ロボット1の重心が不安定であるときに、運動を行うように移動機構13又は可動部3を制御して、即時に重心位置に対して補償を行うことにより、自律移動ロボット1の転倒を避けることにある。本発明では、自律移動ロボット1の重心が予め定義された範囲外にある場合に、重心不安定現象が生じていると認定する。
【0015】
図1に示すように、車体11は、上面111と底面112とを有する。シャーシ12は、主に車体11の底面112に配置され、移動機構13は、シャーシ12の下方に配置されている。図1に示す実施例において、移動機構13は、シャーシ12の隅部にそれぞれ設けられた車輪を例に挙げているが、これに限定されない。他の実施例において、移動機構13は、車体11を駆動して地面に対して移動する1つ又は複数のコンベヤ(Conveyer)としてもよい。ただし、上記説明は本発明の一部の具体的な実施例にすぎず、これに限定されない。
【0016】
平面圧力センサ2は、静電容量型センサであってもよく、誘導型センサであってもよいが、これらに限定されない。図1に示す実施例において、平面圧力センサ2は、シャーシ12の一方側の面に配置され、シャーシ12と平行な状態である。これにより、平面圧力センサ2は、水平面上の複数の位置点における車体11の圧力値を検出することができる。自律移動ロボット1のコントローラ(図2に示すコントローラ10)は、車体11上の複数の位置点における圧力値により、現在の車体11の圧力分布状態を判断することができる。また、コントローラ10は、圧力分布状態に基づいて自律移動ロボット1の現在の重心位置をさらに推定することができる。
【0017】
他の実施例において、移動機構13は、シャーシ12の下方に配置された複数の車輪であり、平面圧力センサ2は、各車輪の車軸支点に設けられた複数の支点感圧センサ(図示せず)を含む。本実施例において、コントローラ10は、演算アルゴリズムによって複数の支点感圧センサの計測値を演算することにより、車体11の現在の圧力分布状態を解析し、さらに現在の重心位置を推定する。
【0018】
ただし、上記説明は本発明の一部の具体的な実施例にすぎず、本発明を限定するものではない。
【0019】
図1に示す実施例において、可動部3は、3次元空間を移動可能なロボットアームを例としている。図1に示すように、車体11は、上面111に荷重領域1111が配置され、荷重領域1111は、自律移動ロボット1が搬送する負荷(payload)4を載置するために用いられる。自律移動ロボット1の重心位置は、荷重領域1111に負荷4が載置されたり、ロボットアームが荷重領域1111上の負荷4を出し入れたりする際に変化することがある。この場合、負荷4の載置により自律移動ロボット1が転倒する可能性がある。上記の問題を回避するために、本発明は、自律移動ロボット1の重心位置を即時に補償する。
【0020】
図2及び図3を参照する。図2は、本発明に係る自律移動ロボットの第1具体的な実施例を示すブロック図である。図3は、本発明に係る自律移動ロボットの重心の第1具体的な実施例を示す概略図である。
【0021】
図2に示すように、自律移動ロボット1は、コントローラ10をさらに含む。コントローラ10は、移動機構13と、平面圧力センサ2と、可動部3とに接続されている。本発明において、コントローラ10は、平面圧力センサ2から出力される圧力値に基づいて移動機構13又は可動部3を制御することにより、自律移動ロボット1の重心位置を補償する。
【0022】
図3には、車体11の上面図が示されている。図3に示すように、本発明では、車体11に安定領域14と補償領域15とが予め定義され、安定領域14は車体11の中心位置に近接し、補償領域15は車体11の周縁位置に近接している。具体的には、自律移動ロボット1全体の重心位置5が安定領域14内に収まっていれば、自律移動ロボット1が転倒するおそれがない。一方、自律移動ロボット1全体の重心位置5が補償領域15に収まると、自律移動ロボット1は重心が不安定な状態となり、転倒するおそれがある。
【0023】
本発明において、平面圧力センサ2は、車体11上の各位置点の圧力値を継続的に検出して出力し、コントローラ10は、平面圧力センサ2が出力した圧力値に基づいて自律移動ロボット1全体の重心位置5を算出する。コントローラ10は、重心位置5が安定領域14内に収まると判断した場合、何の動作を行わなくてもよい。一方、コントローラ10は、重心位置5が補償領域15に収まると判断すると、移動機構13又は可動部3を制御して重心補償運動を行う。
【0024】
具体的には、コントローラ10は、重心位置5が補償領域15に収まる場合に、安定領域14に対する現在の重心位置5の重心オフセット方向(CoG offset direction、例えば、図6に示す重心オフセット方向D1)を演算して取得することができる。本発明の重心補償運動は、移動機構13及び/又は可動部3を制御して、重心オフセット方向D1に反力を加える対応運動を行うことである。この反力を車体11に加えることにより、自律移動ロボット1の重心位置5を補償領域15から安定領域14に戻すことができる。一実施例において、重心オフセット方向は安定領域14に対する重心位置5の重心オフセット方向、つまり、安定領域14の中心点から現在の重心位置5までの方向である。他の実施例において、重心オフセット方向は無負荷の状態やロボットアームが既定位置にある初期の重心位置から、現在の重心位置5までの方向である。
【0025】
一実施例において、重心補償運動は、移動機構13(例えば、車輪又はコンベヤ)を重心オフセット方向D1に向けて移動させるように制御することである。これにより、自律移動ロボット1の順方向出力により上記反力を加える。一実施例では、重心オフセット方向D1が自律移動ロボット1の所定の経路方向と一致しない場合には、自律移動ロボット1は、まず重心オフセット方向D1に向けて移動して反力を加え、重心位置5が安定領域14に戻ったと判断した後、自律移動ロボット1は、再び所定の経路方向に向けて前進する。これにより、移動中に重心補償を行うことができる。
【0026】
他の実施例において、重心補償運動は、姿勢調整プロセスを実行するように可動部3を制御することである。具体的には、上記姿勢調整プロセスは、可動部3に自身の姿勢を調整させることで、可動部3の工具重心を重心オフセット方向D1とは逆方向に移動させ、車体11に上記反力を加える。
【0027】
図2に示すように、可動部3には、可動部3の慣性変化量を計測する慣性計測装置(Inertial Measurement Unit、IMU)31が設けられていてもよい。慣性計測装置31は、加速ゲージとジャイロとの組み合わせにより構成されていてもよく、可動部3の加速度状態や傾斜状態等の情報を計測して記録することができるが、これらに限定されない。
【0028】
本発明において、可動部3は、慣性計測装置31によって計測した慣性変化量から可動部3の工具重心を算出することができる。上記実施例において、可動部3は、工具重心に基づいて姿勢調整プロセスを実行する。例えば、工具重心に基づいて可動部3の位置及び姿勢を決定するが、これらに限定されない。これにより、可動部3は、自身の工具重心を調整することにより、車体11に反力を加えることができる。
【0029】
他の実施例において、重心補償運動は、荷重領域1111上の負荷4の載置位置を重心オフセット方向D1とは逆方向に移動させることであり、これにより車体11に反力を加える。具体的には、上記重心補償運動は、主として、可動部3が負荷4を重心オフセット方向D1とは逆方向に移動させるように、可動部3を制御することである。
【0030】
一実施例において、可動部3は、例えばロボットアームであってもよい。重心補償運動は、荷重領域1111上の負荷4を挟持し、重心オフセット方向D1とは逆方向に沿って負荷4の載置位置を変更するように、可動部3を制御することである。
【0031】
なお、ロボットアームは、一般に3次元の動的識別(Dynamic Identification)プロセスを実行できる。上記動的識別プロセスは、ロボットアームが運動又は関連負荷を挟持すると、各軸の状態で即時にロボットアームの3次元環境における重心位置を推定し、この動的識別プロセスによって得た推定値は、上述した工具の重心である。
【0032】
ただし、上記説明は本発明の一部の具体的な実施例にすぎず、本発明を限定するものではない。
【0033】
図1図4を参照する。図4は、本発明に係る安定方法の第1具体的な実施例を示すフローチャートである。図4は、図1図3に示す自律移動ロボット1に主に適用される本発明に係る自律移動ロボットの安定化方法(以下、安定化方法と略称する)を示しているが、これに限定されない。
【0034】
図4に示すように、本発明の安定化方法は、まず、自律移動ロボット1上の平面圧力センサにより車体11の圧力分布状態を計測し(ステップS10)、コントローラ10により、その圧力分布状態に基づいて車体11の重心位置5を算出する(ステップS12)。
【0035】
ステップS12の後、コントローラ10は、重心位置5が車体11上の予め定義された安定領域14から外れたか否かを判断する(ステップS14)。重心位置5が安定領域14から外れていない場合、コントローラ10は補償動作を行わなくてもよい。
【0036】
上述したように、可動部3には、可動部3の慣性変化量を計測する慣性計測装置31が配置されてもよい。別の実施例において、コントローラ10は、重心位置5が安定領域14から外れていないときに、慣性計測装置31の計測値によって振動抑制制御(Vibration Suppression Control)プロセスを実行するように可動部3を制御してもよい。これにより、自律移動ロボット1の通常振動を常時抑制することができる。
【0037】
ステップS12において、コントローラ10は、自律移動ロボット1の重心位置5が車体11上の安定領域14から外れた(例えば、重心位置5が補償領域15に収まっている)と判断した場合には、重心補償運動を実行する(ステップS16)。本発明において、重心補償運動とは、倒立振子運動の一種である。具体的には、重心補償運動は、安定領域14に対する重心位置5の重心オフセット方向D1に反力を提供する。車体11に反力を直接加えることにより、重心位置5を安定領域14内に戻すことができ、自律移動ロボット1を安定に戻すことができる。
【0038】
図6を併せて参照する。図6は、本発明に係る重心補償運動の第1具体的な実施例を説明するための概略図である。図6に示す実施例において、コントローラ10は、重心位置5が安定領域14から外れた(例えば、補償領域15に収まる)と判断した場合に、重心補償運動を行うように車体11上の移動機構13(例えば、車輪又はコンベヤ)を制御する。
【0039】
図6に示すように、重心補償運動は、コントローラ10が移動機構13を制御して現在の重心オフセット方向D1に向けて移動させる(即ち、自律移動ロボット1全体を重心オフセット方向D1に向けて移動させるように移動機構13を動作制御する)ことである。自律移動ロボット1の順方向出力によって重心オフセット方向D1に反力を加えることにより、重心位置5を補償領域15から安定領域14に戻す。ここで、重心オフセット方向D1が自律移動ロボット1の所定の経路方向と一致しない場合には、自律移動ロボット1は、まず重心オフセット方向D1に向けて移動して反力を加え、重心位置5が安定領域14に戻ったと判断した後、自律移動ロボット1は、再び所定の経路方向に向けて前進する。
【0040】
図7を併せて参照する。図7は、本発明に係る重心補償運動の第2具体的な実施例を説明するための概略図である。図7に示す実施例において、コントローラ10は、重心位置5が安定領域14から外れたと判断した場合に、重心補償運動を行うように車体11上の可動部3(例えばロボットアーム)を制御する。
【0041】
図7に示すように、重心補償運動は、コントローラ10が可動部3を制御して姿勢調整プロセスを行うことである。具体的には、上記姿勢調整プロセスは、可動部3自身の工具重心を安定領域14に対する重心位置5の重心オフセット方向D1とは逆方向D2に移動させるように、可動部3の位置姿勢を調整する。重心位置5を補償領域15から安定領域14に戻す。上記姿勢調整プロセスは、可動部3の位置及び姿勢を調整する際に、可動部3を特定方向に回転又は伸縮させることにより行うことができる。一実施例において、可動部3は、負荷を掴んでから位置及び姿勢の調整を行う。このようにして、重心位置5に影響を与える目的をより容易に達成することができる。
【0042】
図8A及び図8Bを併せて参照する。図8A及び図8Bは、本発明に係る重心補償運動の第3具体的な実施例の重心補償運動前後を説明するための概略図である。
【0043】
図8A及び図8Bに示す実施例において、コントローラ10は、重心位置5が安定領域14から外れたと判断した場合に、重心補償運動を行うように車体11上の可動部3(例えばロボットアーム)を制御する。図8A及び図8Bに示すように、重心補償運動は、車体11に載置される1つ又は複数の負荷4の載置位置に調整を行うようにコントローラ10で可動部3を制御することである。
【0044】
実施例において、上記調整は、コントローラ10が車体11上の少なくとも1つの負荷4を掴んで移動させるように可動部3を制御することにより、少なくとも1つの負荷4の車体11上の載置位置を補償領域15から安定領域14内に移動させることである。そして、コントローラ10は、重心位置5が補償領域15から安定領域14に戻ったと判断すると、負荷4の載置位置の調整を停止することができる。つまり、一部の負荷4の載置位置が補償領域15に収まったままであっても、重心位置5が安定領域14に戻っている限り、コントローラ10は、負荷4の載置位置を調整するために可動部3を制御しない。別の実施例において、上記調整は、コントローラ10が少なくとも1つの負荷4を移動し続けるように可動部3を制御することであり、コントローラ10は、重心位置5が安定領域14に戻ったと判断すると、可動部3を制御してその他の負荷を移動することを停止する。
【0045】
一実施例において、コントローラ10は、補償領域15における重心位置5の落下点位置に基づいて、自律移動ロボット1を所定の経路に沿って移動させながら負荷4の載置位置を調整するか否かを決定することができる。例えば、コントローラ10は、補償領域15における重心位置5の落下点位置が補償領域15の外側に比較的に近いと判断した場合(ここで、補償領域15の外側が安定領域14から比較的に遠い)、まず所定の経路上の移動を停止するように自律移動ロボット1を制御し、負荷4の載置位置の調整が完成した後に、所定の経路で継続的に移動するように自律移動ロボット1を制御する。また例えば、コントローラ10は、補償領域15における重心位置5の落下点位置が補償領域15の内側に比較的に近いと判断すると(ここで、補償領域15の内側が安定領域14に比較的に近い)、自律移動ロボット1の所定の経路での移動を維持すると同時に、負荷4の載置位置に対して調整を行うように可動部3を制御し、自律移動ロボット1の所定の経路での移動を停止する必要がない。別の実施例において、コントローラ10は、現在の重心位置5が安定領域14外の補償領域15の内側にあるか外側にあるかを判断し、その判断結果に基づいて、可動部3が負荷4を移動させる際に、移動機構13を移動又は停止させるように制御することを決定してもよい。
【0046】
本発明において、コントローラ10又は可動部3は、平面圧力センサ2が計測した圧力分布状態に基づいて、車体11上の1つ又は複数の負荷4の現在の分布状態を判断する。言い換えれば、コントローラ10又は可動部3は、平面圧力センサ2により、車体11の上面111(例えば、荷重領域1111)上の各位置点における負荷4の有無及び各位置点における負荷4の数を解析することができる。
【0047】
重心位置5が安定領域14を外れるとき、可動部3は、コントローラ10の制御を受けて車体11上の対応位置点の1つ又は複数の負荷4を取得し、安定領域14に対する重心オフセット方向D1の逆方向D2に向けて上記負荷4を移動させる。自律移動ロボット1全体の重心位置5は、負荷4の逆移動に連動して可動部3によって調整されることにより、重心位置5を補償領域15から安定領域14に戻すことができる。
【0048】
別の実施例において、自律移動ロボット1は、管理者が負荷4を載置している(例えば、倉庫管理を行う)とき、平面圧力センサ2により、車体11上の各位置点の圧力値変化を継続的に記録することができる。これにより、車体11の各位置点に負荷4が載置されているか否か、負荷4の種類、数、移動可能か否か等の荷重情報を動的に記録することができる。上記重心補償運動を実行する際に、コントローラ10又は可動部3は、上述した荷重情報、現在の重心位置5、及び重心オフセット方向D1を組み合わせて総合的に解析して、移動させる対象負荷及び対象負荷の移動終点を決定することができる。
【0049】
なお、平面圧力センサ2が各車軸支点に配置された支点感圧センサであれば、コントローラ10は、複数の支点感圧センサの圧力値変化を演算アルゴリズムによって演算することにより、車体11の各位置における負荷4の載置状態を推定することができる。
【0050】
別の実施例において、自律移動ロボット1は、車体11上に配置された画像センサ(例えば、図示しないカメラ)をさらに備えていてもよい。本実施例において、自律移動ロボット1は、管理者が負荷4を車体11に載置しているとき、画像センサにより負荷4の載置状態を認識して追跡することができる。これにより、コントローラ10又は可動部3は、上記重心補償運動を行う際に、記録された負荷4の載置状態に応じて、移動させる対象負荷及び対象負荷の移動終点を決定することができる。
【0051】
ただし、上記は本発明の一部の具体的な実施例にすぎず、これらに限定されるものではない。
【0052】
図4を再び参照する。コントローラ10は、自律移動ロボット1の動作中に自律移動ロボット1の制御を終了するか否かを判断する(ステップS18)。例えば、コントローラ10は、自律移動ロボット1の電源がオフになるまで自律移動ロボット1を継続的に制御することができる。コントローラ10は、自律移動ロボット1の制御を終了する前にステップS10~S16を繰り返し実行して、動作中の自律移動ロボット1の重心位置5を継続的に監視し、重心位置5が予め設定された補償条件(例えば、安定領域14から外れて補償領域15に収まる)を満たした場合に、移動機構13、可動部3及び/又は負荷4により重心位置5を動的に補償する。これにより、動作中に自律移動ロボット1が転倒することを回避することができる。
【0053】
なお、一部のシナリオでは、自律移動ロボット1上に負荷4が載置されているとは限らない。自律移動ロボット1上に載置された負荷4があっても、負荷4が移動可能であるとは限らず、又は負荷4が移動されても重心位置5が十分に変化するとは限らない。これにより、コントローラ10は、重心補償運動を実行する前に、予め定められた判断プロセスを優先的に実行してもよい。
【0054】
同時に図5を併せて参照する。図5は、本発明に係る安定方法の第2具体的な実施例を示すフローチャートである。図5は、本発明に係る安定化方法の他の実施態様を示しており、この安定化方法は、主に図1図3に示す自律移動ロボット1に適用される。
【0055】
図4に示す実施例と同様に、上記安定化方法は、自律移動ロボット1上の平面圧力センサにより車体11の圧力分布状態を計測し、コントローラ10により、その圧力分布状態に基づいて車体11の重心位置5を算出する(ステップS30)。コントローラ10は、重心位置5を算出した後、現在の重心位置5が車体11上の予め定義された安定領域14に収まるのか、補償領域15に収まるのかを判断する(ステップS32)。
【0056】
重心位置5が安定領域14内に収まる場合、コントローラ10は重心位置5を補償する必要がない。しかし、自律移動ロボット1上に可動部3が配置され、可動部3が慣性計測装置31を有している場合、コントローラ10は、慣性計測装置31の計測値に基づいて、振動抑制制御プロセスを実行するように可動部3を制御することができる(ステップS34)。これにより、自律移動ロボット1は、可動部3により通常振動の振動抑制機能を実現することができる。
【0057】
重心位置5が補償領域15に収まる場合、コントローラ10は、可動部3を優先的に制御して上述した姿勢調整プロセスを実行して、重心位置5を補償することができる。上述したように、可動部3が重心位置5を補償する方法としては、重心位置5を補償するために自身の位置及び姿勢を調整する方法と、重心位置5を補償するために車体11上の負荷4の載置位置を移動させる方法とが考えられる。
【0058】
本実施例において、コントローラ10は、重心位置5が補償領域15に収まると判断した場合、さらに、車体11に移動可能な負荷4が載置されているか否かを判断する(ステップS36)。一実施例において、コントローラ10は、ステップS36において、倉庫管理中に記録された負荷情報から、車体11上に移動可能な負荷4があるか否かを判断することができる。別の実施例において、コントローラ10は、平面圧力センサ2の計測値及び/又は画像センサの検出結果により、車体11上に移動可能な負荷4があるか否かを判断することができるが、これらに限定されない。
【0059】
ステップS36において、コントローラ10は、車体11に負荷4がないか又は負荷4が移動できないと判断さすると、姿勢調整プロセスを実行するように可動部3自体を制御する(ステップS38)。可動部3は、自身の位置と姿勢を調整することにより、自身の工具重心を安定領域14に対する重心位置5の重心オフセット方向D1とは逆方向D2に移動させることができる。
【0060】
ステップS36において、コントローラ10は、車体11に1つ又は複数の移動可能な負荷4を有すると判断すると、目前の圧力分布状態に基づいて負荷4の分布状態を確認する(ステップS40)とともに、上記重心オフセット方向D1の逆方向D2に向けて対応する1つ又は複数の負荷4を移動させるように可動部3を制御する(ステップS42)。具体的には、ステップS40において、コントローラ10は、主に負荷4の分布状態に基づいて、移動させる対象負荷、対象負荷の数及び移動終点を決定するが、これらに限定されない。
【0061】
ステップS38又はステップS42の後、コントローラ10は、重心位置5の補償が完了したか否かを判断する(ステップS44)。具体的には、コントローラ10は、ステップS44において、可動部3又は負荷4が重心補償運動を行った後に重心位置5が安定領域14に戻ったか否かを判断する。
【0062】
ステップS44において、コントローラ10は、重心位置5の補償が完了していない(即ち、重心位置5が安定領域14に戻っていない)と判断すると、さらに移動機構13を重心オフセット方向D1に向けて移動制御する(ステップS46)。自律移動ロボット1全体を重心オフセット方向D1に向けて出力することにより、重心位置5を安定領域14に効果的に戻すことができる。
【0063】
移動機構13を制御して重心補償運動を行う方法は、自律移動ロボット1全体を移動させることになり、自律移動ロボット1の使用に若干の不都合が生じる可能性がある。上述した実施例において、コントローラ10は、先に可動部3を制御し、次に移動機構13を制御するように重心位置5を補償する。しかしながら、上記説明は本発明の一実施例にすぎず、コントローラ10は、実際の要求に応じて(例えば、所在位置の環境情報を参照する)、可動部3、移動機構13及び負荷4の制御方法及び制御順序を決定してもよく、上記の判断及び制御順序に限定されるものではない。
【0064】
図4に示す実施例と同様に、コントローラ10は、自律移動ロボット1の動作中に、自律移動ロボット1の制御を終了するか否かを判断する(ステップS48)。コントローラ10は、自律移動ロボット1の制御を終了する前に、ステップS30~ステップS46を繰り返し実行して、自律移動ロボット1の重心位置5を継続的に監視し、移動機構13、可動部3、及び/又は負荷4によって重心位置5を動的に補償する。
【0065】
上記図1図6図7図8A及び図8Bに示す実施例において、可動部3は、主に3次元空間内を移動可能なロボットアームを例とする。ロボットアームを3次元空間で位置及び姿勢の調整を行うように制御するか、又はロボットアームによって負荷4を挟持して負荷4の配置位置を変えることにより、自律移動ロボット1全体の重心位置5を補償する主な目的を実現することができる。しかしながら、別の実施例において、可動部3はロボットアームに限定されない。
【0066】
図9は、本発明に係る自律移動ロボットの第2具体的な実施例を示す概略図である。図9は、他の実施態様の自律移動ロボット6を示している。図9に示す実施例において、自律移動ロボット6上の可動部3は2次元空間内を垂直移動可能なパレット(Pallet)61であり、1つ又は複数の負荷4がパレット61に載置されている。
【0067】
本実施例において、コントローラ10は、自律移動ロボット6の重心位置が安定領域14から外れたと判断した場合に、図4及び図5に示す各ステップに基づいて、重心補償運動を行うようにパレット61を制御してもよい。このとき、パレット61は、負荷4を上下移動させることで工具重心の高さを調整することにより、自律移動ロボット6全体の重心位置5を補償する。
【0068】
図10を併せて参照する。図10は、本発明に係る自律移動ロボットの第3の具体的な実施例を示す概略図である。図10は、他の実施態様の自律移動ロボット7を示している。図10に示す実施例において、自律移動ロボット7上の可動部3は、2次元空間を水平移動可能なコンベヤ(Conveyer)71であり、1つ又は複数の負荷4がコンベヤ71に載置されている。
【0069】
本実施例において、コントローラ10は、自律移動ロボット7の重心位置が安定領域14から外れたと判断した場合に、図4及び図5に示す各ステップに基づいて、重心補償運動を行うようにコンベヤ71を制御してもよい。このとき、コンベヤ71は、負荷4を前後左右に移動させることで工具重心の位置を調整することにより、自律移動ロボット7全体の重心位置5を補償する。
【0070】
ただし、上記説明は本発明の一部の実施例にすぎず、自律移動ロボット1、6、7上の可動部3は、上述したロボットアーム、パレット61、コンベヤ71に限定されない。例えば、自律移動ロボットは、フォークリフト(Forklift)、リーチフォークリフト(Reach Truck)、幅狭通路フォークリフト(Very Narrow Aisle)、牽引車(Tow Tractor)等であってもよく、可動部3は、例えば、リフタ(Lifting Tool)、ローラ(Roller)、ピッカー(Multiple/Single Picking Tool)等であってもよいが、これらに限定されない。
【0071】
本発明は、自律移動ロボットの重心位置を継続的に算出するとともに、自律移動ロボット上の要素を制御することで重心位置を動的に補償することにより、自律移動ロボットの重心不安定による転倒を回避する。これにより、自律移動ロボットを軽量化した設計とすることができ、負荷の増加や重心の移動による自律移動ロボットの転倒を防止することができる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明は上記実施例に記載の範囲には限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施例に多様な変更又は改良を加えることができ、上記変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1、6、7 自律移動ロボット
10 コントローラ
11 車体
111 上面
1111 荷重領域
112 底面
12 シャーシ
13 移動機構
14 安定領域
15 補償領域
2 平面圧力センサ
3 可動部
31 慣性計測装置
4 負荷
5 重心位置
61 パレット
71 コンベヤ
D1 重心オフセット方向
D2 (重心オフセット方向の)逆方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10