(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140276
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】医用画像診断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
A61B5/055 366
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201169
(22)【出願日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】17/701,032
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーク・スプリング
(72)【発明者】
【氏名】濱村 良紀
(72)【発明者】
【氏名】岡本 和也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 荘十郎
(72)【発明者】
【氏名】副島 和幸
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB42
4C096AB44
4C096AB46
4C096AD18
4C096AD23
4C096EB01
4C096FB01
4C096FB09
4C096FB10
(57)【要約】
【課題】コイルを接続するための複合ケーブルの一束あたりの本数を減らすこと。
【解決手段】実施形態に係る医用画像診断装置は、電源ユニットと、架台と、寝台と、駆動ユニットとを備える。前記寝台は、前記電源ユニットからの電力を複数の無線コイルに供給する複数のコネクタであって、前記複数の無線コイルからデータを受信しない複数のコネクタを有する。前記駆動ユニットは、前記架台に対して前記寝台を位置決めする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源ユニットと、
架台と、
前記電源ユニットからの電力を複数の無線コイルに供給する複数のコネクタであって、前記複数の無線コイルからデータを受信しない複数のコネクタを有する寝台と、
前記架台に対して前記寝台を位置決めする駆動ユニットと
を備える、医用画像診断装置。
【請求項2】
前記寝台は、前記架台の電源コネクタに接続するための電源コネクタをさらに備え、
前記電源ユニットは、前記架台の電源コネクタ及び前記寝台の電源コネクタを介して、前記寝台に電力を供給する、
請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記電源ユニットは、前記架台の外部にあり、
前記寝台は、前記架台の外部の前記電源ユニットに接続するための電源コネクタをさらに備える、
請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記電源ユニットは、前記寝台に収容されたバッテリであり、当該バッテリは、前記架台の電源コネクタと前記架台及び前記寝台の外部の電源接続部との少なくとも一方を介して再充電可能である、
請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記寝台は、前記架台に着脱可能に接続されるように構成されている、
請求項1~4のいずれか1つに記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記複数のコネクタは、前記複数の無線コイルにDC電力を供給する、
請求項1~4のいずれか1つに記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記複数のコネクタは、前記複数の無線コイルにDC電力及びクロック信号を供給する、
請求項1~4のいずれか1つに記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
前記複数のコネクタは、前記複数の無線コイルにAC電力を供給する、
請求項1~4のいずれか1つに記載の医用画像診断装置。
【請求項9】
前記複数のコネクタは、スライド式レセプタクルに一体化されている、
請求項1~4のいずれか1つに記載の医用画像診断装置。
【請求項10】
前記複数のコネクタのうちの第1のコネクタは、第1のスライド式レセプタクルに一体化されており、
前記複数のコネクタのうちの第2のコネクタは、前記第1のスライド式レセプタクルから独立してスライド可能な第2のスライド式レセプタクルに一体化されている、
請求項1~4のいずれか1つに記載の医用画像診断装置。
【請求項11】
前記複数のコネクタを前記複数の無線コイルにそれぞれ接続するための複数のケーブルをさらに備える、
請求項1~4のいずれか1つに記載の医用画像診断装置。
【請求項12】
前記複数のケーブルは、複数の同軸ケーブルを含む、
請求項11に記載の医用画像診断装置。
【請求項13】
前記複数のケーブルは、複数の三軸ケーブルを含む、
請求項11に記載の医用画像診断装置。
【請求項14】
前記複数のケーブルは、複数のシールド付きツイストペアケーブルを含む、
請求項11に記載の医用画像診断装置。
【請求項15】
前記複数のケーブルは、前記複数の無線コイルに永久的に固定されている、
請求項11に記載の医用画像診断装置。
【請求項16】
前記複数のコネクタは、前記寝台における、イメージング中に患者が置かれる位置の近傍に接続されている、
請求項1~4のいずれか1つに記載の医用画像診断装置。
【請求項17】
前記寝台における、イメージング中に患者が置かれる位置の下に接続された少なくとも1つの追加コネクタをさらに備える、
請求項1~4のいずれか1つに記載の医用画像診断装置。
【請求項18】
前記寝台を位置決めする前記駆動ユニットは、前記架台と一体化されている、
請求項1~4のいずれか1つに記載の医用画像診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像診断装置に関する。
【0002】
具体的には、本開示は、イメージング中に患者を保持する医用画像診断装置に関し、一実施形態では、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)、磁気共鳴分光法、コンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)及びポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)のいずれかに使用するための寝台に関する。
【背景技術】
【0003】
MRI、CT又はPETのためのスキャナを含む医用画像診断装置と共に、着脱式の患者用寝台(以下、寝台)が使用されることがある。着脱式の寝台を使用することによって、患者の移動(例えば、病院のベッドからストレッチャーへの移動、さらにスキャナ対応ストレッチャーへの移動、及び、再び病院のベッドへ戻る移動)の回数が削減されるだけでなく、イメージング終了時又は緊急時にスキャナ及び関連磁場からの患者の移動が容易になる。さらに、スキャンルームの外において、寝台上でスキャンのための患者の準備を行えるようになり、患者の準備とスキャンと作業とを分離するために複数の着脱式の寝台を使用するような忙しい施設にとって、医用画像診断装置をより効率的に使用できるようになる。
【0004】
医用画像診断装置には、様々な形状及び形式のものがあるが、多くは環状のものであり、機械の長さ方向に延在する中央開口部の中で患者がイメージングされる。
図1Aは、対応する寝台を有する既知のMRIシステムを示す。
図1Aでは、磁石架台(以下、架台)103、ボア110、支持装置105、寝台130、ベースユニット152及び寝台支持ユニット154を図示している。ベースユニット152及び寝台支持ユニット154は、いずれも患者を位置決めするための複数の伝動装置を含み、これらによって寝台130の重量が増加する。いくつかのMRI装置は、患者の両側又は患者の上下に置かれる大きな板で囲まれた空隙によって規定されるイメージングボリュームを有する。なお、本明細書では環状の医用画像診断装置を図示しているが、本願が開示する技術は、あらゆるタイプの医用画像診断装置に適用することが可能である。
【0005】
磁気共鳴収集では、イメージング中に、被検体又は被検体の近くに局所高周波(Radio Frequency:RF)コイルを配置することが有効な場合がある。このように、磁気共鳴励起信号の送信、磁気共鳴信号の受信又はその両方に使用される局所RFコイルを近接配置することによって、RFコイルと被検体との間のRFカップリングを実質的に改善することができる。
図1Bは、既知の寝台130の内部の詳細を示す。
図1Bでは、寝台130に7つのコイルデータポートが設けられており、そのうちの2つに符号(135A、135B)が付されている。図示されているように、コイルデータポートは、電力、制御及びデータを搬送し、既知の構成では、1ポートごとに少なくとも16のデータ信号が使用される。このデータトラフィックはイメージングデータを含むため、RFコイルからコイルデータポートへ渡されるデータを収容するデータケーブルの本数が多くなる(例えば、100本以上)。そして、コイルデータポート(例えば、135A、135B)は、一連の多数のケーブル140A/140Bを介してアナログマルチプレクサ190に接続され、さらに、寝台130から離れた、より少ないチャネルを有するアナログ-デジタル受信機194に接続される。なお、このような構成の代わりに、アナログマルチプレクサ190を省略して、より多くのチャネルをアナログ-デジタル受信機194に入れる構成もあり得るが、その場合には、アナログ-デジタル受信機194のコストが高くなる。
【0006】
結果として、局所RFコイルの1つの難点は、多数のケーブル140A/140Bによって、コイルからのデータを別々に転送する必要があることである。典型的な構成では、ケーブルは、スキャナの外部の制御装置からボア内へ、例えば、寝台130に沿って、又は、寝台130の内側に、天板パレットと共に磁気共鳴スキャナのボア内へ伸びるように延在する。
【0007】
ここで、ケーブルは、天板パレットが寝台130の上に引き出される際のケーブルの弛みに適応するように、かつ、被検体と共にスキャナボア内へ移動する局所RFコイルの動きに応じて伸展するように、柔軟な構成を有する必要がある。加えて、1人の患者が体の異なる部位について複数のRFコイルを必要とする場合があるため、複数の電源コネクタが寝台に含まれることがある。コネクタは、メス型ジャック又はオス型プラグを備えることもあり、その一方が、個別に又はスライド可能な電気コネクタストリップ又はスライド式レセプタクルの一部として取り付けられる場合もある。
【0008】
また、既知の磁気共鳴スキャナの寝台及び天板パレットの構成は、通常、寝台高さ調整機構と、データ収集のために天板パレットを寝台から磁気共鳴スキャナのボア内の正確な位置にスムーズに移動させ、また、データ収集が完了した後に天板パレットをボアから寝台にスムーズに戻すために較正及び自動化された機械的な天板パレット移動機構とを含む複合アセンブリである。そして、このような複合アセンブリに、寝台高さ調整機構及び天板パレット移動機構に干渉しないように電源ケーブルを組み込むと、システムのコスト及び重量に加えて複雑さも増加する。
【0009】
なお、上記背景技術は、本実施形態における主題の全体的な構成を示すことのみを意図したものであり、本実施形態の開示又はその態様を限定することを意図したものではない。特に、上記背景技術に開示された内容は、新規の技術を含む場合もあり、従来技術の説明に該当しない場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0028873号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/0003791号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/0072997号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0039101号明細書
【特許文献5】米国特許第7634827号明細書
【特許文献6】蘭国特許出願公開第8802874号明細書
【特許文献7】国際公開第2009/150575号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】”Wireless Data and Power Link To Detachable Couch”,AN IP.COM PRIOR ART DATABASE TECHNICAL DISCLOSURE,THE IP.COM JOURNAL,No.IPCOM000259954D,October 2,2019,2 pages
【非特許文献2】Kevin J.WU,et al.,”Magnetic resonance conditional paramagnetic choke for suppression of imaging artifacts during magnetic resonance imaging”,PROCEEDINGS OF THE INSTITUTION OF MECHANICAL ENGINEERS,PART H:JOURNAL OF ENGINEERING IN MEDICINE,Vol.232,Issue 6,April 24,2018,pages 597-604
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、コイルを接続するための複合ケーブルの一束あたりの本数を減らすことである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態に係る医用画像診断装置は、電源ユニットと、架台と、寝台と、駆動ユニットとを備える。前記寝台は、前記電源ユニットからの電力を複数の無線コイルに供給する複数のコネクタであって、前記複数の無線コイルからデータを受信しない複数のコネクタを有する。前記駆動ユニットは、前記架台に対して前記寝台を位置決めする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付の図面と共に以下の詳細な説明を考慮し、参照することによって、本実施形態及び本実施形態に伴う多くの利点が容易に、より深く理解されるであろう。
【0015】
【
図1B】
図1Bは、寝台内の様々なポートからデータをルーティングするために必要なケーブルの大きな束を含むMRIシステムの既知の実施形態に係る寝台の内部の詳細を示す。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る着脱式の寝台を含むMRIシステムを示す。
【
図3】
図3は、着脱式の寝台の一部として電源接続領域を含む一実施形態を示す。
【
図4A】
図4Aの(a)は、第1の一連の固定DC電源コネクタを利用した電源接続領域の一実施形態を示し、
図4Aの(b)は、第2の一連の固定DC電源コネクタを利用した電源接続領域の一実施形態を示し、
図4Aの(c)は、DC電源コネクタを移動可能に提供するために、スライド可能電気コネクタストリップを使用した電源接続領域の一実施形態を示す。
【
図4B】
図4Bの(d)は、DC電源コネクタを移動可能に提供する、一連のスライド式レセプタクルコネクタを使用した電源接続領域の一実施形態を示し、
図4Bの(e)は、異なる種類の信号/通信プロトコルを搬送するための異なる種類のコネクタを含む第3の一連のコネクタを利用した電源接続領域の一実施形態を示す。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る着脱式の寝台上の仰臥位の患者を示す。
【
図6】
図6は、本開示の無線によるイメージデータ及び制御データの伝送に使用されるサブコンポーネントを示すブロック図である。
【
図7】
図7は、データを無線送信するMRI装置及びRFコイルと共に着脱式の寝台を使用する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、医用画像診断装置の実施形態について詳細に説明する。
【0017】
本開示では、モーター及びモーター制御部を削減することによって寝台の重量を減らすために、イメージング領域(例えば、磁気ボア)内に寝台を位置決めするためのいくつかの機械的コンポーネントが寝台の外に移動されている。この機械的コンポーネントには、寝台の水平方向及び垂直方向の少なくとも一方の位置決めを制御するためのモーター及び位置決めハードウェアが含まれる。さらに、いくつかの実施形態では、RFコイルとのケーブル配線が削減されている。RF信号を受信するためのRFコイル(このRFコイルは、多くの場合、寝台上の患者又はその近くに局所RFコイルとして配置される)は、(a)無線、又は、(b)電源ケーブルを介したデータ通信によって制御される。これらのRFコイルは、寝台の縁部に戴置されたスライド式レセプタクル又はスライド可能電気コネクタストリップなどの様々な電気接続から電力を得てもよい。本明細書に記載されている寝台の実施形態は、患者に近接するRFケーブル配線及びRFコネクタによるRF火傷の可能性という安全性の懸念に対処するだけでなく、より長いケーブル及びケーブル引込装置の巻き込みの可能性及び重量を削減する。
【0018】
寝台は、さらに、医用イメージングに必要となる任意のRFコイルに電力を供給してもよい。このようなコイルは、当該コイルに接続されたデータケーブルを含まない場合(又は、有線及び無線の両方で動作可能な実施形態において、データケーブルを接続せずに動作する場合)に、「無線」コイルと呼ばれてもよい。したがって、本明細書で使用される「無線コイル」は、着脱可能に接続された電力線/ケーブルを含んでもよいし、本明細書に記載される電源コネクタによって再充電されるバッテリで動作してもよい。なお、ここで説明される内容は、本願に係る技術の全範囲又はその実施形態を網羅的又は完全に開示するものではない。
【0019】
ここで、図面を参照するが、複数の図を通して、類似した参照符号は同一又は対応する部品を示す。
図2は、一実施形態に係る着脱式の寝台202を含むMRIシステムを示す。
図2では、架台103及びボア110が、ボア110に接近している着脱式の寝台202と共に示されている。また、寝台202の天板が、寝台ベース204の上に置かれており、寝台ベース204に接続された電源コネクタ206が、電源ユニット290から受電する電源コネクタ256に取り付け寸前の状態で示されている。ここで、寝台202は、搬送車輪210と、寝台202の天板をボア110内に案内するレール260とを含む。一実施形態では、架台103の電源コネクタ256からの電力が、(電源コネクタ206を介して、)寝台202内のケーブル配線によって、寝台202の天板に配置された1つ以上のコネクタに接続される。また、他の実施形態では、電力は、架台103を収容する部屋の外にある電源ユニットから寝台202に接続された電源ケーブルを介して供給される。さらに、他の実施形態では、寝台202は、バッテリを含み、当該バッテリが、(例えば、架台103を備えた部屋に寝台202が運び込まれる前に壁のソケットを介して)充電された後に、寝台202が電力に接続されていなない状態でRFコイルに電力を供給する。
【0020】
図3は、電力(データではなく)が寝台202の天板における対向する側部に示す1つ以上の電源接続領域310に供給される一実施形態を示す。電力が、電源コネクタ256によって、又は、電源ケーブルを介して、寝台202に供給される一実施形態では、寝台202は、天板への電力線を短く邪魔にならないようにするための引込式電源コードをさらに含んでもよい。なお、電源接続領域310内の接続については、
図4A及び4Bにより詳細に示されている。また、
図3では、寝台202が2つの電源接続領域310を有する場合の例を示しているが、寝台202は、2つ以外の数(例えば、1つ又は3つ以上)の電源接続領域310を有してもよい。さらに、寝台202は、両側部の電源接続領域310に加えて、又は、その代わりに、寝台202の一方の端部に少なくとも1つの電源接続領域(図示せず)を含んでもよい。さらに、寝台202は、患者が寝台202上に置かれた際に当該患者の下に位置する電源接続領域312を含んでもよい。このような電源接続領域312は、イメージング中に患者の下に置かれるRFコイルに電力を供給するために使用することができる。
【0021】
図4A及び4Bに示すように、電源接続領域310には、いくつかの異なる構成が可能である。
図4Aの(a)は、第1の一連の固定電源コネクタ400Aを利用した電源接続領域310の一実施形態を示す。これらのコネクタは、例えば、+12V、GND及び-12Vの3極構成、又は、+12V及びGNDの2極構成のように、複数極であってもよく、電力(RFコイルからのデータではなく)を搬送するように設計されている。なお、ここでは、全体的に、コネクタは、DC電力を搬送するDC電源コネクタとして記載されているが、別の一実施形態では、コネクタは、RFコイル内でAC/DCコンバータ(例えば、整流器)を用いてDC電力に変換された低電圧AC電力(例えば、12VのAC)を搬送するものでもよい。
図4Aの(a)に示す実施形態では、第1の一連の固定電源コネクタ400Aは、短い電源コードを挿入可能な円形のコネクタである。このような構成の1つでは、電源コネクタ400Aの側部が、第1極性の電源(例えば、各々、グランド、-5V又は12V)に接続され、電源コネクタ400Aの底面が、第2極性の電源(例えば、各々、+5V、+5V及び+12V)に接続される。さらに別の構成では、電源コネクタ400A内に配置されたコネクタの第1の部分が第1極性に接触し、電源コネクタ400A内に配置されたコネクタの第2の部分が第2極性に接触し、電源コネクタ400A内に配置されたコネクタの第3の部分が第3極性に接触するように、電源コネクタ400Aの円筒側部に沿って追加の電源接続部が設けられてもよい。当業者であれば、右チャンネル、左チャンネル及びグランドの接続部を含む円筒形のオーディオコネクタ(当該オーディオコネクタは、マイク用の接続部をさらに含んでもよい)と類似するものであることを理解できるだろう。
【0022】
別の例として、
図4Aの(b)は、正方形である第2の一連の固定DC電源コネクタ400Bを利用した電源接続領域310の一実施形態を示す。
図4Aの(b)に示す実施形態では、電源コネクタ400Bの側部が、
図4Aの(a)に関して上述したような複数の異なる極性に接続されてもよい。また、電源コネクタ400Bのさらなる側部が、電源以外の接続部(例えば、クロック)に接続されてもよい。また、電源コネクタ400Bは、対応するケーブルが誤って挿入されないように印が付けられてもよい。さらに、電源コネクタ400Bは、標準的な電源接続部、例えば、USB-A、USB-B及びUSB-C形式のポートを使用する接続部であってもよく、寝台202から任意の接続先デバイスに印加される電力レベルを取り決めるための回路を含んでもよい。
【0023】
さらに別の例として、
図4Aの(c)は、DC電源コネクタ400Bを移動可能にするために、スライド可能電気コネクタストリップを使用した電源接続領域310の一実施形態を示す。
図4Aの(c)に示す実施形態では、DC電源コネクタ400Bは、グループ化された状態ではあるが、寝台202のいずれかの端部に近づくようにスライドさせることができる。各側部にスライド可能電気コネクタストリップを使用した電源接続領域310を用いる構成では、一方の側がボアに入る寝台202の端部に向けてスライドされ、他方の側がボアから最も遠い寝台202の端部に向けてスライドされてもよい。
【0024】
図4Bの(d)は、寝台202の1つ以上の側部に沿った様々な場所に複数のDC電源コネクタ400Aを移動可能にするために、チャネル420内でそれぞれが独立してスライド可能な一連のスライド式レセプタクルコネクタ410を使用した電源接続領域310の一実施形態を示す。さらに、他の実施形態では、
図4Bの(e)に示すように、電源接続領域310は、固定又は可動の2種類以上のコネクタを含んでもよい。例えば、電源接続領域は、(1)第1のレベルで電力を提供する電源接続部の第1のセットと、(2)追加の通信情報(例えば、すべての電源コネクタにブロードキャスト可能であり、かつ、B1RFパルスの送信によって生じる干渉に依存するクロック信号)を含み得る第2レベルで電力を提供する接続部(例えば、同軸接続部)の第2セットとを含んでもよい。
図4A及び4Bの構成を用いることで、RFコイルへの最小限のケーブル配線で、寝台202の天板に沿った複数の位置に複数のRFコイルを挿入することができる。なお、電源接続領域310の動きに対応するために電源ケーブルが動く必要がある実施形態では、寝台202は、寝台202の動きと干渉しないようにするために電源ケーブルの弛みを取り除く電源コード引込装置及び/又は電源コード引張装置をさらに含んでもよい。さらに、寝台202は、重量を最小にするために、寝台202に一体化された、又は、寝台202に着脱可能なバッテリ(
図6の692)から電力を得てもよい。バッテリは、架台103の一部であってもよいし、寝台202の一部であってもよいし、架台103及び寝台202の両方に対して外付けであってもよい。
【0025】
なお、RFコイルと電源コネクタとの間のケーブルは、どのような種類のケーブルであってもよく、例えば、同軸ケーブル、3軸ケーブル、並列ケーブル、2軸ケーブル、シールド付きツイストペアケーブル、シールドなしツイストペアなどであるが、これらに限定されるものではない。複数のコネクタを同じRFコイルに接続する接続部では、上記のケーブルのうちの2本をオーバーモールドで固定したものを含むコンビネーションケーブルが用いられてもよい。また、ケーブルは、寝台側が永久的に取り付けられ、RFコイル側が着脱可能に接続されてもよいし、寝台側が着脱可能に取り付けられ、RFコイル側が永久的に接続されてもよいし、寝台側が着脱可能に取り付けられ、RFコイル側が着脱可能に接続されてもよい。すべての構成において、ケーブルは、できるだけ短く、ただし、好ましくは患者に接触しないように設計される。
【0026】
図5は、寝台202の天板がスキャン装置のボア110内のレール260上に配置された状態で、当該天板上に置かれた患者を示す。
図5では、患者が、表面コイル512、胴体コイル514、頭部コイル516を含む3つのRFコイルと共に示されている。これらのコイルは、3つのスライド式レセプタクルコネクタ410A、410B及び410Cを介して、寝台202の天板に電気的に接続されている。一実施形態では、表面コイル512、胴体コイル514及び頭部コイル516は、スライド式レセプタクルコネクタ410A、410B及び410Cを介して電力供給されるが、無線送信される制御データによって制御され、また、イメージデータもコイルポートを横断せずにシステムの架台部分へ無線送信されてもよい(矢印502を参照)。当該無線のプロトコルは、例えば、IEEE 802.11 Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) LE、Near Field Communication、WirelessHART、その他様々な無線プロトコルを含み得る。他の実施形態(図示せず)では、制御データ及びイメージデータは、着脱式の寝台202の電源ケーブルを介して転送されてもよい。この実施形態では、RFチョークとコンデンサとの組み合わせを使用することで、電力がデータから分けられてもよい。
【0027】
図6は、本開示の無線によるイメージデータ及び制御データの伝送に使用されるサブコンポーネントを示すブロック図である。
図6では、プリアンプなどの低雑音増幅器(Low Noise Amplifier:LNA)610に接続された胴体コイル514が示されている。低雑音増幅器610は、可変ゲインアンプ(Variable Gain Amplifier:VGA)又はゲインコントロールアンプ(Gain Control Amplifier:GCA)620のいずれかに接続されており、VGA/GCA620の出力は、バンドパスフィルタ(Band Pass Filter:BPF)630を通る。BPF630の出力は、アナログ-デジタル変換器(Analog to Digital Converter:ADC)640によって検出及び変換される。ADC640は、その出力であるデジタル信号をデータ処理モジュール650に渡す。データ処理モジュール650は、1つ以上のプロセッサ、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)、1つ以上のUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)などのサブコンポーネントを含む。そして、データ処理モジュール650は、デジタル信号を送信機モジュール660に出力し、送信機モジュール660は、イメージデータを、送信機アンテナ662を介してイメージデータの受信機へ出力する。この受信機は、架台103内の他の箇所でボア110に隣接して配置されてもよいし、架台103から離れた場所に配置されてもよい。このことは、
図5の上向き矢印502でも示されている。さらに、
図6では、受信アンテナ672が示されている。当該受信アンテナ672は、
図5の下向き矢印502で示すように、制御データ又はクロックデータを受信するために使用されてもよい。制御データ又はクロックデータを受信する場合、当該データは受信アンテナ672によって受信され、送受信機652及びデータ処理モジュール650に渡された後に、ADC640に渡される。又は、受信された制御データは、PLL642に直接渡された後に、ADC640に渡される。制御データは、BPF630、VGA/GCA620及びLNA610を通過した後に、RFコイル(胴体コイル514)に到達する。そして、RFコイルにおいて、制御データがコマンド(装置のオン/オフ又は他のイメージングパラメータの調整など)を実行する。
【0028】
さらに、
図6では、DCプラグである電源コネクタ256、バッテリコントローラ690、DC/DCコンバータ680、及び、RFコイルコンポーネントへの配電などのバッテリサブコンポーネントが示されている。この配電は、例えば、スライド可能電気コネクタストリップを使用した電源接続領域310若しくは312、又は、スライド式レセプタクルコネクタ410を使用した電源接続領域310若しくは312を含んでもよい。任意のスライド可能電気コネクタストリップを使用した電源接続領域312は、患者の下に置かれる可能性のあるRFコイルを支持することができる。この構成では、RFコイルは、追加のケーブル配線を使用せずに、(例えば、スライド可能電気コネクタストリップを使用した電源接続領域312に直接接続するRFコイルの下側のコネクタを使用して)コネクタストリップに直接接続されてもよい。
【0029】
図7は、RFコイルとの間でデータが無線送信されるMRIシステムに無線接続されたRFコイルと共に着脱式の寝台を使用する方法700を示すフロー図である。ブロック710のステップでは、患者が寝台202に戴置される。このステップは、医用画像診断装置を最大限に活用するために、1人又は複数人の患者を架台103から離れた複数の寝台202に乗せることによって行われてもよい。この場合は、前の患者をイメージングしている間に、1人又は複数人の患者をイメージングのために準備することができる。ブロック720のステップでは、患者が載置された寝台202が架台103に搬送される。このステップは、
図2に示す寝台ベース204及び搬送車輪210によって実施可能である。ブロック730のステップでは、寝台202が架台103の駆動ユニットに接続される。この駆動ユニットは、架台103と一体化されていていてもよいし、寝台202に組み込まれていてもよい。また、駆動ユニットは、ボア110内で寝台202を水平方向及び/又は垂直方向のいずれかに移動させることが可能な駆動ユニットであってもよい。ブロック740のステップでは、寝台202の電気基盤が、
図2に示す電源コネクタ206及び256のような架台103の電源に接続される。ブロック750のステップでは、寝台202の電気接続がRFコイルに接続される。この電気接続は、同期クロック信号を搬送してもよい。このステップは、例えば、スライド可能電気コネクタストリップを使用した電源接続領域310又は312の様々な点にRFコイル512、514又は516を接続することによって行われてもよい。ブロック760のステップでは、寝台202がボア110内で水平方向又は垂直方向に位置決めされる。さらに、ブロック760のステップでは、RFコイルが、例えば、RFコイル内の高周波の強度又はタイミングを開始又は変更するための制御命令を無線受信する。ブロック770のステップでは、RFコイルを用いて患者からのイメージデータが収集され、ブロック780のステップでは、イメージデータが、RFコイルから、架台103の内部又は架台103から離れた別の部屋にある受信機に無線送信される。このステップは、4G又は5Gセルラー、Bluetooth(登録商標)、IEEE 802.11 Wi-Fi、LoRA(登録商標)、WirelessHART、ZigBEE(登録商標)などの無線プロトコルを使用することによって行われてもよい。
【0030】
なお、他の実施形態では、ブロック760のステップで受信されるスキャン制御データは、無線受信されるのではなく、信号からDC電力を分離するためのRFチョークなどを含む、フィルタリングされた電源接続部を介して伝送されてもよい。この実施形態では、ブロック770のステップで収集されたイメージデータも、電源ケーブルを介して送信されてもよい。
【0031】
また、他の実施形態では、同期クロック信号が、DC電源ケーブルを介してRFコイルに送信されてもよい。
【0032】
(用語の説明)
本明細書で使用されている用語は、特定の実施形態を説明するものであり、本実施形態を限定することを意図するものではない。
【0033】
また、本明細書で使用される場合、「1つ」の用語は、文脈上明らかに異なることが示されない限り、複数も含むことが意図されている。
【0034】
また、本明細書で使用される場合、「備える」の用語は、記載されている特徴、ステップ、操作、要素及び/又はコンポーネントの存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、操作、要素、コンポーネント及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除しないことがさらに理解されるであろう。
【0035】
また、本明細書で使用される場合、「及び/又は」の用語は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意及びすべての組み合わせを含み、「/」と略記されてもよい。
【0036】
また、本明細書で使用される場合、「好ましい」及び「好ましくは」の用語は、特定の状況下で、特定の利点をもたらす技術の実施形態を意味する。しかし、他の実施形態も、同一又は他の状況下で、好ましいとされてよい。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを意味するものではなく、他の実施形態を技術の範囲から除外することを意図するものでもない。
【0037】
なお、本記述及び具体例は、技術の実施形態を示すものであるが、説明することのみを意図するものであり、技術の範囲を限定することを意図するものではない。さらに、記載された特徴を有する複数の実施形態の記載は、追加の特徴を有する他の実施形態、又は、記載された特徴の異なる組み合わせを組み込んだ他の実施形態を除外することを意図するものではない。具体的な実施例は、本技術の構成物及び方法の製造方法及び使用方法を例示する目的で提供されるものであり、明示的に別段の記載がない限り、本技術の所定の実施形態が製造又は試験されている、又は、されていないことを示すことを意図するものではない。
【0038】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、コイルを接続するための複合ケーブルの一束あたりの本数を減らすことができる。
【0039】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0040】
また、本開示の実施形態は、以下の付記に記載された通りであってもよい。
【0041】
(付記1)
電源ユニットと、
架台と、
前記電源ユニットからの電力を複数の無線コイルに供給する複数のコネクタであって、前記複数の無線コイルからデータを受信しない複数のコネクタを有する寝台と、
前記架台に対して前記寝台を位置決めする駆動ユニットと
を備える、医用画像診断装置。
【0042】
(付記2)
前記寝台は、前記架台のコネクタに接続するための電源コネクタをさらに備え、
前記電源ユニットは、前記架台の電源コネクタ及び前記寝台の電源コネクタを介して、前記寝台に電力を供給してもよい。
【0043】
(付記3)
前記電源ユニットは、前記架台の外部にあり、
前記寝台は、前記架台の外部の前記電源ユニットに接続するための電源コネクタをさらに備えてもよい。
【0044】
(付記4)
前記電源ユニットは、前記寝台に収容されたバッテリであり、当該バッテリは、前記架台の電源コネクタと前記架台及び前記寝台の外部の電源接続部との少なくとも一方を介して再充電可能であってもよい。
【0045】
(付記5)
前記寝台は、前記架台に着脱可能に接続されるように構成されていてもよい。
【0046】
(付記6)
前記複数のコネクタは、前記複数の無線コイルにDC電力を供給してもよい。
【0047】
(付記7)
前記複数のコネクタは、前記複数の無線コイルにDC電力及びクロック信号を供給してもよい。
【0048】
(付記8)
前記複数のコネクタは、前記複数の無線コイルにAC電力を供給してもよい。
【0049】
(付記9)
前記複数のコネクタは、スライド式レセプタクルに一体化されていてもよい。
【0050】
(付記10)
前記複数のコネクタのうちの第1のコネクタは、第1のスライド式レセプタクルに一体化されており、
前記複数のコネクタのうちの第2のコネクタは、前記第1のスライド式レセプタクルから独立してスライド可能な第2のスライド式レセプタクルに一体化されていてもよい。
【0051】
(付記11)
前記複数のコネクタを前記複数の無線コイルにそれぞれ接続するための複数のケーブルをさらに備えてもよい。
【0052】
(付記12)
前記複数のケーブルは、複数の同軸ケーブルを含んでもよい。
【0053】
(付記13)
前記複数のケーブルは、複数の三軸ケーブルを含んでもよい。
【0054】
(付記14)
前記複数のケーブルは、複数のシールド付きツイストペアケーブルを含んでもよい。
【0055】
(付記15)
前記複数のケーブルは、前記複数の無線コイルに永久的に固定されていてもよい。
【0056】
(付記16)
前記複数のコネクタは、前記寝台における、イメージング中に患者が置かれる位置の近傍に接続されていてもよい。
【0057】
(付記17)
前記寝台における、イメージング中に患者が置かれる位置の下に接続された少なくとも1つの追加コネクタをさらに備えてもよい。
【0058】
(付記18)
前記寝台を位置決めする前記駆動ユニットは、前記架台と一体化されていてもよい。
【0059】
明らかではあるが、上記の記載を考慮して、本発明の多くの修正及び変形が可能である。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内で、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で実施されてもよいことが理解される。
【符号の説明】
【0060】
103 磁石架台
202 患者用寝台
290 電源ユニット
206、256 電源コネクタ