IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特開2023-140282風量調整方法および空間浄化システム
<>
  • 特開-風量調整方法および空間浄化システム 図1
  • 特開-風量調整方法および空間浄化システム 図2
  • 特開-風量調整方法および空間浄化システム 図3
  • 特開-風量調整方法および空間浄化システム 図4
  • 特開-風量調整方法および空間浄化システム 図5
  • 特開-風量調整方法および空間浄化システム 図6
  • 特開-風量調整方法および空間浄化システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140282
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】風量調整方法および空間浄化システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20230927BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20230927BHJP
   F24F 8/24 20210101ALI20230927BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20230927BHJP
   A61L 9/14 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F13/02 D
F24F8/24
A61L9/01 F
A61L9/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003497
(22)【出願日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】P 2022044830
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】木下 剛
(72)【発明者】
【氏名】小河 大輔
(72)【発明者】
【氏名】別所 義浩
(72)【発明者】
【氏名】小原 弘士
(72)【発明者】
【氏名】佐々井 真弓
【テーマコード(参考)】
3L056
3L080
4C180
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L056BD04
3L056BE01
3L080AA02
3L080AA03
3L080AA05
4C180AA02
4C180AA07
4C180BB15
4C180CB01
4C180EA58X
4C180GG06
4C180HH05
4C180KK02
4C180KK03
4C180KK04
4C180LL06
4C180LL11
(57)【要約】
【課題】空間浄化システムにおいて風量を容易に調整できる技術を提供する。
【解決手段】空間浄化システム100は、次亜塩素酸を含んだ空気を主ダクト66及び複数の分岐ダクト67を介して、複数の分岐ダクト67に対応する複数の被空調空間(屋内空間62)に分配して送風する送風装置(空間浄化装置10)を備える。空間浄化システム100における風量調整方法では、複数の分岐ダクト67のそれぞれに必要とされる風量を個別設定風量として設定し、分岐ダクト67ごとに、風量検出装置72で検出された分岐ダクト67における風量が、分岐ダクト67における個別設定風量に近づくように、分岐ダクト67の風量調整装置70を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次亜塩素酸を含んだ空気を主ダクト及び複数の分岐ダクトを介して、前記複数の分岐ダクトに対応する複数の被空調空間に分配して送風する送風装置と、前記複数の分岐ダクトのそれぞれを通過する空気の風量を調整する複数の風量調整装置と、前記複数の分岐ダクトのそれぞれを通過する空気の風量を検出する複数の風量検出装置と、を備える空間浄化システムにおける風量調整方法であって、
前記複数の分岐ダクトのそれぞれに必要とされる風量を個別設定風量として設定する風量設定ステップと、
前記分岐ダクトごとに、前記風量検出装置で検出された前記分岐ダクトにおける風量が、前記分岐ダクトにおける前記個別設定風量に近づくように、前記分岐ダクトの前記風量調整装置を制御する風量調整ステップと、
を有する風量調整方法。
【請求項2】
前記風量設定ステップにおいて、前記分岐ダクトごとに、前記分岐ダクトの長さが長いほど多くの風量を設定する請求項1に記載の風量調整方法。
【請求項3】
前記風量調整ステップにおいて、前記複数の分岐ダクトのそれぞれにおける前記個別設定風量と検出された風量との差が大きい順に前記分岐ダクトの前記風量調整装置を制御する請求項1または2に記載の風量調整方法。
【請求項4】
前記風量調整ステップの後、前記分岐ダクトごとに、前記分岐ダクトの吹出口における次亜塩素酸濃度を計測し、計測された次亜塩素酸濃度に応じて前記分岐ダクトの前記風量調整装置を制御するステップをさらに有する請求項1~3のいずれか一つに記載の風量調整方法。
【請求項5】
次亜塩素酸を含んだ空気を主ダクト及び複数の分岐ダクトを介して、前記複数の分岐ダクトに対応する複数の被空調空間に分配して送風する送風装置と、前記送風装置が送風する総送風量を検出する総送風量検出装置と、を備える空間浄化システムにおける風量調整方法であって、
前記複数の分岐ダクトのそれぞれに必要とされる風量を個別設定風量として設定する風量設定ステップと、
前記複数の分岐ダクトのそれぞれの前記個別設定風量の合計風量を演算する合計風量演算ステップと、
検出された前記総送風量が演算された前記合計風量に近づくように、前記送風装置を制御する風量調整ステップと、
を有する風量調整方法。
【請求項6】
前記総送風量検出装置は、前記送風装置における電流値に基づいて前記総送風量を検出する請求項5に記載の風量調整方法。
【請求項7】
前記総送風量検出装置は、前記送風装置における羽根車の回転数に基づいて前記総送風量を検出する請求項5に記載の風量調整方法。
【請求項8】
次亜塩素酸を含んだ空気を主ダクト及び複数の分岐ダクトを介して、前記複数の分岐ダクトに対応する複数の被空調空間に分配して送風する送風装置と、
前記複数の分岐ダクトのそれぞれを通過する空気の風量を調整する複数の風量調整装置と、
前記複数の分岐ダクトのそれぞれを通過する空気の風量を検出する複数の風量検出装置と、
前記複数の風量調整装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記複数の分岐ダクトのそれぞれに必要とされる風量を個別設定風量として設定する風量設定部と、
前記分岐ダクトごとに、前記風量検出装置で検出された前記分岐ダクトにおける風量が、前記分岐ダクトにおける前記個別設定風量に近づくように、前記分岐ダクトの前記風量調整装置を制御する風量調整部と、
を有する空間浄化システム。
【請求項9】
前記風量設定部は、前記分岐ダクトごとに、前記分岐ダクトの長さが長いほど多くの風量を設定する請求項8に記載の空間浄化システム。
【請求項10】
前記風量調整部は、前記複数の分岐ダクトのそれぞれにおける前記個別設定風量と検出された風量との差が大きい順に前記分岐ダクトの前記風量調整装置を制御する請求項8または9に記載の空間浄化システム。
【請求項11】
前記風量調整部は、前記個別設定風量に基づいて前記風量調整装置を制御した後、前記分岐ダクトごとに、前記分岐ダクトの吹出口において計測された次亜塩素酸濃度に応じて前記分岐ダクトの前記風量調整装置を制御する請求項8~10のいずれか一つに記載の空間浄化システム。
【請求項12】
次亜塩素酸を含んだ空気を主ダクト及び複数の分岐ダクトを介して、前記複数の分岐ダクトに対応する複数の被空調空間に分配して送風する送風装置と、
前記送風装置が送風する総送風量を検出する総送風量検出装置と、
前記送風装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記複数の分岐ダクトのそれぞれに必要とされる風量を個別設定風量として設定する風量設定部と、
前記複数の分岐ダクトのそれぞれの前記個別設定風量の合計風量を演算する合計風量演算部と、
検出された前記総送風量が演算された前記合計風量に近づくように、前記送風装置を制御する風量調整部と、
を有する空間浄化システム。
【請求項13】
前記総送風量検出装置は、前記送風装置における電流値に基づいて前記総送風量を検出する請求項12に記載の空間浄化システム。
【請求項14】
前記総送風量検出装置は、前記送風装置における羽根車の回転数に基づいて前記総送風量を検出する請求項12に記載の空間浄化システム。
【請求項15】
前記複数の被空調空間それぞれの空間における人の有無を検出する人検出部を備え、
前記風量設定部は、
前記人検出部により前記人がいると検出されている前記被空調空間と接続される分岐ダクトの前記個別設定風量を、既に設定されている個別基本設定風量よりも小さく補正し、
前記人検出部により前記人がいないと検出されている前記被空調空間と接続される分岐ダクトの前記個別設定風量を、前記既に設定されている前記個別基本設定風量よりも大きく補正し、
前記風量調整部は、
前記補正された前記個別設定風量に近づくように、前記分岐ダクトの前記風量調整装置を制御する請求項8に記載の空間浄化システム。
【請求項16】
前記複数の被空調空間それぞれの空間における人の有無を検出する人検出部を備え、
前記風量設定部は、
前記人検出部により前記人がいると検出された前記被空調空間と接続される分岐ダクトの前記個別設定風量を、既に設定されている個別基本設定風量からゼロに補正し、
前記風量調整部は、
前記補正された前記個別設定風量に近づくように、前記分岐ダクトの前記風量調整装置を制御する請求項8に記載の空間浄化システム。
【請求項17】
前記風量設定部は、
前記人検出部により前記人がいないと検出された前記被空調空間と接続される分岐ダクトの前記個別設定風量を、前記既に設定されている前記個別基本設定風量よりも大きく補正する請求項16記載の空間浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、風量調整方法および空間浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空間除菌脱臭装置は、対象とする領域を殺菌するために、薬剤などの微細水粒子、例えば次亜塩素酸水を散布する。例えば、空間除菌脱臭装置の液体微細化室は、貯水部に貯留された次亜塩素酸水溶液から水滴を放出する。水滴は、送風部による通風によって、空気風路を通って吹出口から対象領域に放出される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第20/158850号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空間浄化装置の吹出口に主ダクトを接続し、主ダクトから分岐した複数の分岐ダクトを施設内の複数の被空調空間に接続し、次亜塩素酸を含む空気を主ダクトと分岐ダクトを通して複数の被空調空間に分配する構成が考えられる。この構成において、複数の被空調空間のそれぞれにおける次亜塩素酸の濃度が所望の濃度となるように、次亜塩素酸を含む空気が予め定められた設定風量で分岐ダクトから被空調空間に供給されることが望まれる。
【0005】
しかし、施工後の分岐ダクトの状態を設計時から詳細に把握することは難しい。また、施設の構造に応じて、設計とは異なる長さや経路で分岐ダクトを設置しなければならない場合もある。そのため、設置された分岐ダクトの風路抵抗が設計値とは異なってしまい、一部の分岐ダクトの風量が設定風量より小さくなったり、全ての分岐ダクトの風量の合計が設定風量の合計より小さくなったりする可能性がある。施工時に分岐ダクトの断面サイズを変更することなどにより風量を調整する場合、時間がかかり、また、他の分岐ダクトの風量にも影響を与えるため、調整は困難である。
【0006】
本開示は、こうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、空間浄化システムにおいて風量を容易に調整できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の風量調整方法は、次亜塩素酸を含んだ空気を主ダクト及び複数の分岐ダクトを介して、複数の分岐ダクトに対応する複数の被空調空間に分配して送風する送風装置と、複数の分岐ダクトのそれぞれを通過する空気の風量を調整する複数の風量調整装置と、複数の分岐ダクトのそれぞれを通過する空気の風量を検出する複数の風量検出装置と、を備える空間浄化システムにおける風量調整方法であって、複数の分岐ダクトのそれぞれに必要とされる風量を個別設定風量として設定する風量設定ステップと、分岐ダクトごとに、風量検出装置で検出された分岐ダクトにおける風量が、分岐ダクトにおける個別設定風量に近づくように、分岐ダクトの風量調整装置を制御する風量調整ステップと、を有する。
【0008】
本開示の別の態様もまた、風量調整方法である。この方法は、次亜塩素酸を含んだ空気を主ダクト及び複数の分岐ダクトを介して、複数の分岐ダクトに対応する複数の被空調空間に分配して送風する送風装置と、送風装置が送風する総送風量を検出する総送風量検出装置と、を備える空間浄化システムにおける風量調整方法であって、複数の分岐ダクトのそれぞれに必要とされる風量を個別設定風量として設定する風量設定ステップと、複数の分岐ダクトのそれぞれの個別設定風量の合計風量を演算する合計風量演算ステップと、検出された総送風量が演算された合計風量に近づくように、送風装置を制御する風量調整ステップと、を有する。
【0009】
本開示のさらに別の態様は、空間浄化システムである。この空間浄化システムは、次亜塩素酸を含んだ空気を主ダクト及び複数の分岐ダクトを介して、複数の分岐ダクトに対応する複数の被空調空間に分配して送風する送風装置と、複数の分岐ダクトのそれぞれを通過する空気の風量を調整する複数の風量調整装置と、複数の分岐ダクトのそれぞれを通過する空気の風量を検出する複数の風量検出装置と、複数の風量調整装置を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、複数の分岐ダクトのそれぞれに必要とされる風量を個別設定風量として設定する風量設定部と、分岐ダクトごとに、風量検出装置で検出された分岐ダクトにおける風量が、分岐ダクトにおける個別設定風量に近づくように、分岐ダクトの風量調整装置を制御する風量調整部と、を有する。
【0010】
本開示のさらに別の態様もまた、空間浄化システムである。この空間浄化システムは、次亜塩素酸を含んだ空気を主ダクト及び複数の分岐ダクトを介して、複数の分岐ダクトに対応する複数の被空調空間に分配して送風する送風装置と、送風装置が送風する総送風量を検出する総送風量検出装置と、送風装置を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、複数の分岐ダクトのそれぞれに必要とされる風量を個別設定風量として設定する風量設定部と、複数の分岐ダクトのそれぞれの個別設定風量の合計風量を演算する合計風量演算部と、検出された総送風量が演算された合計風量に近づくように、送風装置を制御する風量調整部と、を有する。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、空間浄化システムにおいて風量を容易に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1の空間浄化システムの構成を示す上面図である。
図2図1の制御装置の構成を示す図である。
図3図2の制御装置の処理を示すフローチャートである。
図4】実施例2の空間浄化システムの構成を示す上面図である。
図5】実施例3の空間浄化システムの構成を示す上面図である。
図6図5の制御装置の構成を示す図である。
図7図6の制御装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例1)
本開示の実施例を具体的に説明する前に、実施例の概要を説明する。本実施例は、室内(以下、「被空調空間」または「屋内空間」ともいう)に対して、空気浄化を行う成分(以下、「空気浄化成分」という)を含む水を噴霧する空間浄化システムに関する。空間浄化システムは、空気浄化成分を含む水の噴霧を実行する空間浄化装置と、空間浄化装置から送られる空気を複数の被空調空間に分配する複数の分岐ダクトとを備える。空気浄化成分には、例えば、殺菌性あるいは消臭性を備えた次亜塩素酸が用いられる。これにより、室内の殺菌あるいは消臭を行う。
【0015】
既述のように、分岐ダクトの長さが設計より長くなったり、分岐ダクトの曲げ回数が設計より多くなったりすると、その分岐ダクトを通る空気の風量が設計値の風量より小さくなる可能性がある。そこで、実施例1では、分岐ダクトごとに、検出された当該分岐ダクトにおける風量が個別設定風量に近づくように、当該分岐ダクトに設けられた風量調整装置を制御する。
【0016】
以下に説明する実施例は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示す。よって、以下の実施例で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。したがって、以下の実施例における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0017】
図1は、実施例1の空間浄化システム100の構成を示す上面図である。空間浄化システム100は、例えば、屋内空間62と総称される屋内空間62a、屋内空間62b、及び屋内空間62cを有する住宅等の施設に設置される。空間浄化システム100は、例えば、施設の天井裏に設置される。屋内空間62a、屋内空間62b、及び屋内空間62cは、それぞれ1つの部屋である。屋内空間62の数は、「3」に限定されず、複数であればよい。
【0018】
空間浄化システム100は、屋内空間62の空気を循環させる際に、屋内空間62からの空気(RA:Return Air)に対して微細化された水とともに空気浄化成分を含ませる。空間浄化システム100は、内部を流通した空気(SA:Supply Air)を複数の屋内空間62に供給することで、複数の屋内空間62の殺菌と消臭を行う。ここでは、空気浄化成分として次亜塩素酸が用いられ、空気浄化成分を含む水は次亜塩素酸水である。
【0019】
空間浄化システム100は、空間浄化装置10、制御装置41、ダクト64、主ダクト66、第1分岐ダクト67a、第2分岐ダクト67b、第3分岐ダクト67c、第1風量調整装置70a、第2風量調整装置70b、第3風量調整装置70c、第1風量検出装置72a、第2風量検出装置72b、及び第3風量検出装置72cを備える。本実施例では、第1分岐ダクト67a、第2分岐ダクト67b、第3分岐ダクト67cを総称して分岐ダクト67と呼ぶ。第1風量調整装置70a、第2風量調整装置70b、第3風量調整装置70cを総称して風量調整装置70と呼ぶ。第1風量検出装置72a、第2風量検出装置72b、第3風量検出装置72cを総称して風量検出装置72と呼ぶ。
【0020】
分岐ダクト67の数、風量調整装置70の数、風量検出装置72の数は、それぞれ「3」に限定されず、複数であればよい。これらの数は、屋内空間62の数と体積に応じて適宜定められ、屋内空間62の数と異なってもよい。
【0021】
空間浄化装置10は、吸込口2及び吹出口3を有する。吸込口2は、屋内空間62から取得された空気8を空間浄化装置10に取り入れる取入口である。吸込口2は、屋内空間62aの天井等に設けられた屋内吸込口65との間でダクト64を介して連通されている。これにより、吸込口2は、屋内吸込口65から空間浄化装置10内に屋内空間62の空気8を吸い込むことができる。屋内吸込口65は複数設けられてもよい。
【0022】
吹出口3は、空間浄化装置10内を流通した空気9を吐き出す吐出口である。空気9は、微細化された次亜塩素酸水を含む。空間浄化装置10は、例えば、内部の混合槽(図示せず)に貯められた次亜塩素酸水を遠心破砕することによって、吹出口3から吹き出される空気9に次亜塩素酸水を含ませる。空間浄化装置10は、公知の技術を用いて構成できる。
【0023】
吹出口3には主ダクト66の一端が接続される。主ダクト66の他端は、3つの分岐ダクト67に接続されている。
【0024】
吹出口3は、屋内空間62aの天井等に設けられた屋内吹出口68aとの間で主ダクト66と第1分岐ダクト67aを介して連通されている。吹出口3は、屋内吹出口68aから屋内空間62aに向けて、空間浄化装置10内を流通した空気9aを吹き出すことができる。
【0025】
吹出口3は、屋内空間62bの天井等に設けられた屋内吹出口68bとの間で主ダクト66と第2分岐ダクト67bを介して連通されている。吹出口3は、屋内吹出口68bから屋内空間62bに向けて、空間浄化装置10内を流通した空気9bを吹き出すことができる。
【0026】
吹出口3は、屋内空間62cの天井等に設けられた屋内吹出口68cとの間で主ダクト66と第3分岐ダクト67cを介して連通されている。吹出口3は、屋内吹出口68cから屋内空間62cに向けて、空間浄化装置10内を流通した空気9cを吹き出すことができる。
【0027】
つまり、吹出口3から吹き出した空気9は、複数の分岐ダクト67により空気9a、空気9b、及び空気9cに分けられる。
【0028】
このように、空間浄化装置10は、次亜塩素酸を含んだ空気を主ダクト66及び複数の分岐ダクト67を介して、複数の分岐ダクト67に対応する複数の屋内空間62に分配して送風する送風装置である。
【0029】
風量調整装置70は、例えば、ダンパであり、開度を変更可能である。第1風量調整装置70aは、第1分岐ダクト67a内に設置され、制御装置41の制御により開度が制御されることで、第1分岐ダクト67aを通過する空気の風量を調整する。第2風量調整装置70bは、第2分岐ダクト67b内に設置され、制御装置41の制御により開度が制御されることで、第2分岐ダクト67bを通過する空気の風量を調整する。第3風量調整装置70cは、第3分岐ダクト67c内に設置され、制御装置41の制御により開度が制御されることで、第3分岐ダクト67cを通過する空気の風量を調整する。
【0030】
風量検出装置72は、例えば、風量センサである。第1風量検出装置72aは、第1分岐ダクト67a内に設置され、第1分岐ダクト67aを通過する空気の風量を検出し、検出値を制御装置41に出力する。第2風量検出装置72bは、第2分岐ダクト67b内に設置され、第2分岐ダクト67bを通過する空気の風量を検出し、検出値を制御装置41に出力する。第3風量検出装置72cは、第3分岐ダクト67c内に設置され、第3分岐ダクト67cを通過する空気の風量を検出し、検出値を制御装置41に出力する。
【0031】
制御装置41は、施工時に空間浄化システム100の設置が完了した段階で、施工作業者の操作に従い、空間浄化装置10に空気9を送風させ、各風量検出装置72で検出された各分岐ダクト67の風量に基づいて、複数の風量調整装置70のそれぞれを制御する。また、施工完了後の通常使用時、制御装置41は、図示しない操作装置が操作者から受け付けた運転モードなどの情報を受信し、その情報に基づいて空間浄化装置10の運転動作を制御する。
【0032】
図2は、図1の制御装置41の構成を示す。制御装置41は、風量設定部42及び風量調整部44を有する。図2では、風量調整装置70の制御に関連する構成のみを示す。
【0033】
風量設定部42は、複数の分岐ダクト67のそれぞれに必要とされる風量を個別設定風量として設定する。個別設定風量は、分岐ダクト67ごとに、例えば施工作業者により予め制御装置41に入力される。個別設定風量は、それぞれの屋内空間62の体積に基づいて、それぞれの屋内空間62の次亜塩素酸の濃度が概ね一定値になるように予め計算される。そのため、個別設定風量は、分岐ダクト67ごとに異なり得る。
【0034】
分岐ダクト67ごとに、分岐ダクト67の長さが長いほど多くの個別設定風量を設定してもよい。つまり、ある分岐ダクト67に関して、長さが基準長であると仮定した当該分岐ダクト67が接続される屋内空間62の次亜塩素酸の濃度が概ね一定値になるように計算された基準風量に、当該分岐ダクト67の長さが基準長より長いほど大きい補正量を加算した加算結果を個別設定風量としてもよい。次亜塩素酸を含んだ空気が分岐ダクト67を通過するとき、分岐ダクト67の長さが長いほど空気中の次亜塩素酸の量が減衰するため、分岐ダクト67による次亜塩素酸の減衰量を補正するように個別設定風量を設定する。
【0035】
風量調整部44は、空間浄化装置10に空気9を送風させる。空気9の風量が複数の個別設定風量の合計値に近づくように、主ダクト66と分岐ダクト67の設計値に基づいて、例えば、空間浄化装置10の内部の搬送ファン(図示せず)の回転数が施工作業者により設定される。搬送ファンは、吸込口2から空間浄化装置10に取り入れた空気を吹出口3に搬送する遠心ファンである。
【0036】
風量調整部44は、分岐ダクト67ごとに、風量検出装置72で検出された当該分岐ダクト67における風量が、当該分岐ダクト67における個別設定風量に近づくように、当該分岐ダクト67の風量調整装置70を制御する。風量調整部44は、複数の分岐ダクト67のそれぞれにおける個別設定風量と検出された風量との差が大きい順に分岐ダクト67の風量調整装置を制御する。
【0037】
例えば、第1分岐ダクト67aの個別設定風量は100(m/h)であり、第2分岐ダクト67bの個別設定風量は50(m/h)であり、第3分岐ダクト67cの個別設定風量は50(m/h)であることを想定する。初期状態では、複数の風量調整装置70のそれぞれの開度は初期値に設定され、例えば、80%であることを想定する。空間浄化装置10は、例えば、200(m/h)の風量を出力する。
【0038】
例えば、第3分岐ダクト67cの長さが設計より長く、第1分岐ダクト67aの長さは設計より短く、第2分岐ダクト67bの長さは設計通りであると想定する。主ダクト66と分岐ダクト67の全体の風路抵抗は、概ね設計値であると想定する。そして、検出された第1分岐ダクト67aの風量は108(m/h)であり、検出された第2分岐ダクト67bの風量は52(m/h)であり、検出された第3分岐ダクト67cの風量は40(m/h)であることを想定する。
【0039】
風量調整部44は、個別設定風量と検出された風量との差が大きい順に、即ち第3分岐ダクト67c、第1分岐ダクト67a、第2分岐ダクト67bの順に、風量調整装置70を制御する。風量調整部44は、最初に、第3分岐ダクト67cについて、検出された風量が個別設定風量に近づくように第3風量調整装置70cを制御する。この例では、第3風量調整装置70cの開度が初期値より大きく制御される。これにより、例えば、検出された第3分岐ダクト67cの風量は49(m/h)に増え、検出された第1分岐ダクト67aの風量は103(m/h)に減り、検出された第2分岐ダクト67bの風量は48(m/h)に減ったと想定する。
【0040】
個別設定風量と検出された風量との差が最も大きい分岐ダクト67について風量を変更すると、他の分岐ダクト67の風量への影響が相対的に大きくなる。そのため、差が最も大きい分岐ダクト67の風量を最初に調整することで、効率的に調整しやすくなる。
【0041】
風量調整部44は、次に、第1分岐ダクト67aについて、検出された風量が個別設定風量に近づくように第1風量調整装置70aを制御し、最後に、第2分岐ダクト67bについて、検出された風量が個別設定風量に近づくように第2風量調整装置70bを制御する。風量調整装置70は、調整が完了すると、調整された開度を維持する。
【0042】
これにより、第3分岐ダクト67cの長さが設計より長くても、複数の分岐ダクト67のそれぞれについて、風量を個別設定風量に近づけることができる。
【0043】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM(Read Only Memory)、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0044】
以上の構成による空間浄化システム100の動作を説明する。図3は、図2の制御装置41の処理を示すフローチャートである。図3の処理は、例えば、施設への空間浄化システム100の設置が終了した場合、施工作業者の操作に従い開始される。風量設定部42は、各分岐ダクト67の個別設定風量を設定する(S10)。風量調整部44は、空間浄化装置10に空気9の送風を指示し(S12)、検出された各分岐ダクト67の風量を取得し(S14)、分岐ダクト67ごとに、検出された風量が個別設定風量に近づくように風量調整装置70を制御し(S16)、処理を終了する。
【0045】
本実施例によれば、分岐ダクト67ごとに、検出された風量が個別設定風量に近づくように風量調整装置70を制御するので、各分岐ダクト67の風量を容易に調整でき、分岐ダクト67の長さと形状によらず、概ね所望の風量を得ることができる。これにより、各分岐ダクト67から単位時間あたりに吹き出される次亜塩素酸の量を所望の値に近づけることができ、それぞれの屋内空間62の次亜塩素酸の濃度を概ね一定値に制御できる。よって、施工時に分岐ダクト67の断面積を変更して風量を調整する必要がなく、施工に要する時間を短縮することもできる。また、分岐ダクト67ごとに、分岐ダクト67の長さが長いほど多くの個別設定風量を設定することで、分岐ダクト67による次亜塩素酸の減衰量を補正でき、それぞれの屋内空間62の次亜塩素酸の濃度を一定値により近づけることもできる。
【0046】
(実施例2)
実施例2では、実施例1の制御により各分岐ダクトの風量を調整した後、各分岐ダクトにおける次亜塩素酸の濃度に基づいて各分岐ダクトの風量を補正する。以下、実施例1との相違点を中心に説明する。
【0047】
図4は、実施例2の空間浄化システム100の構成を示す上面図である。空間浄化システム100は、濃度計測装置74と総称される第1濃度計測装置74a、第2濃度計測装置74b、及び第3濃度計測装置74cをさらに備える。
【0048】
第1濃度計測装置74aは、第1分岐ダクト67a内の屋内吹出口68a付近に設置され、第1分岐ダクト67aから吹き出す空気の次亜塩素酸濃度を計測し、計測値を制御装置41に出力する。
【0049】
第2濃度計測装置74bは、第2分岐ダクト67b内の屋内吹出口68b付近に設置され、第2分岐ダクト67bから吹き出す空気の次亜塩素酸濃度を計測し、計測値を制御装置41に出力する。
【0050】
第3濃度計測装置74cは、第3分岐ダクト67c内の屋内吹出口68c付近に設置され、第3分岐ダクト67cから吹き出す空気の次亜塩素酸濃度を計測し、計測値を制御装置41に出力する。
【0051】
制御装置41の風量調整部44は、実施例1のように個別設定風量に基づいて風量調整装置70を制御した後、分岐ダクト67ごとに、当該分岐ダクト67の屋内吹出口68において計測された次亜塩素酸濃度に応じて当該分岐ダクト67の風量調整装置70を制御する。
【0052】
例えば、風量調整部44は、分岐ダクト67ごとに、計測された次亜塩素酸濃度と、検出された風量とをもとに導出される単位時間あたりに放出される次亜塩素酸の量が、予め定められた基準値に近づくように、風量調整装置70を制御する。基準値は、屋内空間62の体積と、屋内空間62に要求される次亜塩素酸濃度とに基づいて定められる。
【0053】
本実施例によれば、各分岐ダクト67から単位時間あたりに吹き出される次亜塩素酸の量を所望の基準値にさらに近づけることができ、それぞれの屋内空間62の次亜塩素酸の濃度をより正確に調整できる。
【0054】
(実施例3)
実施例3では、それぞれの分岐ダクトの風量を個別に調整せず、空間浄化装置が送風する風量を調整することが、実施例1と異なる。以下、実施例1との相違点を中心に説明する。
【0055】
図5は、実施例3の空間浄化システム100の構成を示す上面図である。空間浄化システム100は、図1の風量検出装置72に代えて総送風量検出装置76を備え、図1の風量調整装置70に代えて風量調整装置78を備える。
【0056】
総送風量検出装置76と風量調整装置78は、空間浄化装置10に含まれる。総送風量検出装置76は、空間浄化装置10が送風する総送風量を検出し、検出値を制御装置41に出力する。総送風量検出装置76は、空間浄化装置10における搬送ファンのモータの電流値に基づいて総送風量を検出する。総送風量検出装置76は、空間浄化装置10における搬送ファンの羽根車の回転数に基づいて総送風量を検出してもよい。
【0057】
風量調整装置78は、例えば、ダンパであり、吹出口3付近に配置される。風量調整装置78は、制御装置41の制御により開度が制御されることで、空間浄化装置10が送風する風量を調整する。
【0058】
図6は、図5の制御装置41の構成を示す。制御装置41は、図2の構成に加え、合計風量演算部46を有する。合計風量演算部46は、複数の分岐ダクト67のそれぞれの個別設定風量の合計風量を演算する。
【0059】
風量調整部44は、総送風量検出装置76で検出された総送風量が、合計風量演算部46で演算された合計風量に近づくように、風量調整装置78を制御する。この処理は、風量調整部44が、総送風量が合計風量に近づくように空間浄化装置10を制御することに相当する。なお、風量調整装置78を設けず、風量調整部44は、総送風量が合計風量に近づくように空間浄化装置10の搬送ファンの回転数を制御してもよい。
【0060】
例えば、設計時には考慮されていなかった施設の構造物を避けるために第1分岐ダクト67aと第3分岐ダクト67cの長さがそれぞれ設計より長くなり、第2分岐ダクト67bの長さは設計通りであると想定する。図5の例では、第1分岐ダクト67aと第3分岐ダクト67cの長さは、図1の例より長い。そのため、主ダクト66と分岐ダクト67の全体の風路抵抗は、設計値より大きいと想定する。この場合、実施例1のように主ダクト66と分岐ダクト67の設計値に基づいて空間浄化装置10の内部の搬送ファンの回転数が設定されると、空間浄化装置10の出力する風量は、複数の個別設定風量の合計風量より小さくなる。
【0061】
これに対して、実施例3によれば、主ダクト66と分岐ダクト67の全体の風路抵抗が設計値より大きい場合であっても、総送風量を合計風量に近づけることができる。よって、施工時に分岐ダクト67の断面積を変更して総送風量を調整することなく、総送風量を容易に調整でき、施工に要する時間を短縮することもできる。
【0062】
以上の構成による空間浄化システム100の動作を説明する。図7は、図6の制御装置41の処理を示すフローチャートである。図7の処理は、例えば、施設への空間浄化システム100の設置が終了した場合、施工作業者の操作に従い開始される。風量設定部42は、各分岐ダクト67の個別設定風量を設定する(S20)。合計風量演算部46は、各分岐ダクト67の個別設定風量の合計風量を演算する(S22)。風量調整部44は、検出された総送風量を取得し(S24)、総送風量が合計風量に近づくように空間浄化装置10を制御し(S26)、処理を終了する。
【0063】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0064】
例えば、実施例1または実施例2に実施例3を組み合わせ、最初に実施例3の制御を行い総送風量を合計風量に近づけてから、実施例1または実施例2の制御を行い各分岐ダクト67の風量を調整してもよい。この変形例によれば、実施例1または実施例2においても、主ダクト66と分岐ダクト67の全体の風路抵抗が設計値より大きい状況において、総送風量を合計風量に容易に近づけることができる。
【0065】
また、実施例1から実施例3において、風量に代えて、風量に基づいて定まる風速を用いて制御してもよい。
【0066】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の風量調整方法は、次亜塩素酸を含んだ空気を主ダクト(66)及び複数の分岐ダクト(67)を介して、複数の分岐ダクト(67)に対応する複数の被空調空間(62)に分配して送風する送風装置(10)と、複数の分岐ダクト(67)のそれぞれを通過する空気の風量を調整する複数の風量調整装置(70)と、複数の分岐ダクト(67)のそれぞれを通過する空気の風量を検出する複数の風量検出装置(72)と、を備える空間浄化システム(100)における風量調整方法であって、複数の分岐ダクト(67)のそれぞれに必要とされる風量を個別設定風量として設定する風量設定ステップと、分岐ダクト(67)ごとに、風量検出装置(72)で検出された分岐ダクト(67)における風量が、分岐ダクト(67)における個別設定風量に近づくように、分岐ダクト(67)の風量調整装置(70)を制御する風量調整ステップと、を有する。
【0067】
風量設定ステップにおいて、分岐ダクト(67)ごとに、分岐ダクト(67)の長さが長いほど多くの風量を設定してもよい。
【0068】
風量調整ステップにおいて、複数の分岐ダクト(67)のそれぞれにおける個別設定風量と検出された風量との差が大きい順に分岐ダクト(67)の風量調整装置(70)を制御してもよい。
【0069】
風量調整ステップの後、分岐ダクト(67)ごとに、分岐ダクト(67)の吹出口における次亜塩素酸濃度を計測し、計測された次亜塩素酸濃度に応じて分岐ダクト(67)の風量調整装置(70)を制御するステップをさらに有してもよい。
【0070】
本開示の別の態様の風量調整方法は、次亜塩素酸を含んだ空気を主ダクト(66)及び複数の分岐ダクト(67)を介して、複数の分岐ダクト(67)に対応する複数の被空調空間(62)に分配して送風する送風装置(10)と、送風装置(10)が送風する総送風量を検出する総送風量検出装置(76)と、を備える空間浄化システム(100)における風量調整方法であって、複数の分岐ダクト(67)のそれぞれに必要とされる風量を個別設定風量として設定する風量設定ステップと、複数の分岐ダクト(67)のそれぞれの個別設定風量の合計風量を演算する合計風量演算ステップと、検出された総送風量が演算された合計風量に近づくように、送風装置(10)を制御する風量調整ステップと、を有する。
【0071】
総送風量検出装置(76)は、送風装置(10)における電流値に基づいて総送風量を検出してもよい。
【0072】
総送風量検出装置(76)は、送風装置(10)における羽根車の回転数に基づいて総送風量を検出してもよい。
【0073】
本開示のさらに別の態様の空間浄化システム(100)は、次亜塩素酸を含んだ空気を主ダクト(66)及び複数の分岐ダクト(67)を介して、複数の分岐ダクト(67)に対応する複数の被空調空間(62)に分配して送風する送風装置(10)と、複数の分岐ダクト(67)のそれぞれを通過する空気の風量を調整する複数の風量調整装置(70)と、複数の分岐ダクト(67)のそれぞれを通過する空気の風量を検出する複数の風量検出装置(72)と、複数の風量調整装置(70)を制御する制御装置(41)と、を備える。制御装置(41)は、複数の分岐ダクト(67)のそれぞれに必要とされる風量を個別設定風量として設定する風量設定部(42)と、分岐ダクト(67)ごとに、風量検出装置(72)で検出された分岐ダクト(67)における風量が、分岐ダクト(67)における個別設定風量に近づくように、分岐ダクト(67)の風量調整装置(70)を制御する風量調整部(44)と、を有する。
【0074】
風量設定部(42)は、前記分岐ダクト(67)ごとに、分岐ダクト(67)の長さが長いほど多くの風量を設定してもよい。
【0075】
風量調整部(44)は、複数の分岐ダクト(67)のそれぞれにおける個別設定風量と検出された風量との差が大きい順に分岐ダクト(67)の風量調整装置(70)を制御してもよい。
【0076】
風量調整部(44)は、個別設定風量に基づいて風量調整装置(70)を制御した後、分岐ダクト(67)ごとに、分岐ダクト(67)の吹出口において計測された次亜塩素酸濃度に応じて分岐ダクト(67)の風量調整装置(70)を制御してもよい。
【0077】
本開示のさらに別の態様の空間浄化システム(100)は、次亜塩素酸を含んだ空気を主ダクト(66)及び複数の分岐ダクト(67)を介して、複数の分岐ダクト(67)に対応する複数の被空調空間(62)に分配して送風する送風装置(10)と、送風装置(10)が送風する総送風量を検出する総送風量検出装置(76)と、送風装置(10)を制御する制御装置(41)と、を備える。制御装置(41)は、複数の分岐ダクト(67)のそれぞれに必要とされる風量を個別設定風量として設定する風量設定部(42)と、複数の分岐ダクト(67)のそれぞれの個別設定風量の合計風量を演算する合計風量演算部(46)と、検出された総送風量が演算された合計風量に近づくように、送風装置(10)を制御する風量調整部(44)と、を有する。
【0078】
総送風量検出装置(76)は、送風装置(10)における電流値に基づいて総送風量を検出してもよい。
【0079】
総送風量検出装置(76)は、送風装置(10)における羽根車の回転数に基づいて総送風量を検出してもよい。
【0080】
(実施例4)
実施例4は、風量制御に関する。ここで、実施例1にて風量設定部42により既に設定されている個別設定風量を個別基本設定風量とする。
【0081】
空間浄化システム100は、屋内空間62の人の有無を検出するための装置をさらに備える。装置の一例は、人感センサ、CO2センサ、カメラ等であるが人の有無を検出可能にするための装置であれば上記以外でもよい。実施例4では人感センサを例としてあげる。人感センサは、複数の屋内空間62である屋内空間62a、屋内空間62b、及び屋内空間62cのそれぞれの空間に設けられる。
【0082】
また、制御装置41は人検出部をさらに備える。人検出部は、複数の被空調空間(屋内空間62)それぞれの空間における人の有無を検出する。具体的には、人検出部は、屋内空間62a、屋内空間62b、及び屋内空間62cのそれぞれの空間に設けられる人感センサからの情報を取得し、取得した情報を基に、それぞれの空間における人の有無を検出する。人検出部による人の検出方法は既知の検出方法が用いられればよい。例えば、人検出部は、人感センサより取得した電圧が所定値以上であれば、所定値以上の電圧を示す人感センサが設けられた屋内空間62に人がいると検出する。
【0083】
風量設定部42は、人検出部により人がいると検出されている屋内空間62と接続される分岐ダクト67の個別設定風量を、既に設定されている個別基本設定風量よりも小さく補正する。また、風量設定部42は、人検出部により人がいないと検出されている屋内空間62と接続される分岐ダクト67の個別設定風量を、既に設定されている個別基本設定風量よりも大きく補正する。
【0084】
風量調整部44は、風量設定部42により補正された個別設定風量に近づくように、分岐ダクト67の風量調整装置70を制御する。つまり、風量調整部44は、各風量検出装置72により検出される各分岐ダクト67を通過する風量が補正後の個別設定風量になるように風量調整装置70の開度を調整する。個別設定風量が補正されることで、複数の個別設定風量の合計値も変更となる。そこで、風量調整部44は、空気9の風量が複数の個別設定風量の合計値に近づくように、例えば空間浄化装置10の内部の搬送ファン(送風装置)の回転数を調整する。例えば、合計値の風量に対応する搬送ファンの回転数が予め制御装置41のメモリ等に格納されており、風量調整部41は、メモリを参照して合計値の風量に対応する搬送ファンの回転数に調整する。
【0085】
上記制御を行う効果について説明する。例えば、空気浄化成分である次亜塩素酸を含む空気が屋内空間62に送風され、屋内空間62に存在するユーザに次亜塩素酸を含む空気が当たるとユーザの快適性が低下する可能性がある。快適性が低下する原因の一つは、送風された空気がユーザに当たることによりユーザが冷気を感じてしまうことである。
【0086】
また、次亜塩素酸水を空気に含ませることで次亜塩素酸と空気中のアンモニアが反応し、クロラミンが生成され、生成されたクロラミンの臭いはユーザに不快感を与える。つまり、送風される空気が多い(クロラミンが多く送風される)場合、ユーザにクロラミン臭による不快感を与えてしまい、ユーザの快適性が低下する可能性がある。
【0087】
実施例4の制御を行うことで、屋内空間62にユーザが存在する場合は、個別設定風量が個別基本設定風量よりも小さく補正される。つまり、ユーザに次亜塩素酸を含んだ空気を少なく送風することが出来るので、ユーザの快適性低下を抑制することができる。
【0088】
また、実施例4の制御を行うことで、屋内空間62にユーザが存在しない場合は、個別設定風量が個別基本設定風量よりも大きく補正される。つまり、ユーザが不在の屋内空間62に次亜塩素酸を含んだ空気を多く送風することが出来るので、ユーザが不在の屋内空間62を早期に殺菌あるいは消臭することができる。
【0089】
また、ユーザが存在することでユーザが存在する屋内空間62には菌あるいは臭いが発生している可能性があり、ユーザが存在する屋内空間62からユーザが退出し、ユーザが存在しない屋内空間62に変わった場合には早期に殺菌あるいは消臭を行うことが望ましい。ユーザが存在する屋内空間62からユーザが退出し、ユーザが存在しない屋内空間62に変わった場合には、本制御を行うことで屋内空間62に次亜塩素酸を含んだ空気を多く送風することが出来るので、ユーザが存在していた屋内空間62を早期に殺菌あるいは消臭することができる。
【0090】
ここで、風量設定部42は、人検出部により人がいると検出された屋内空間62と接続される分岐ダクト67の個別設定風量を、既に設定されている個別基本設定風量からゼロに補正してもよい。これにより、ユーザが存在する屋内空間62におけるユーザの快適性低下を抑制することができる。このとき、風量設定部42は、人検出部により人がいないと検出された屋内空間62と接続される分岐ダクト67の個別設定風量を、既に設定されている個別基本設定風量よりも大きく補正してもよい。
【符号の説明】
【0091】
2 吸込口、 3 吹出口、 8,9,9a,9b,9c 空気、 10 空間浄化装置(送風装置)、 41 制御装置、 42 風量設定部、 44 風量調整部、 46 合計風量演算部、 62,62a,62b,62c 屋内空間(被空調空間)、 64 ダクト、 65 屋内吸込口、 66 主ダクト、 67 分岐ダクト、 67a 第1分岐ダクト、 67b 第2分岐ダクト、 67c 第3分岐ダクト、 68,68a,68b,68c 屋内吹出口、 70 風量調整装置、 70a 第1風量調整装置、 70b 第2風量調整装置、 70c 第3風量調整装置、 72 風量検出装置、 72a 第1風量検出装置、 72b 第2風量検出装置、 72c 第3風量検出装置、 74 濃度計測装置、 74a 第1濃度計測装置、 74b 第2濃度計測装置、 74c 第3濃度計測装置、 76 総送風量検出装置、78 風量調整装置、 100 空間浄化システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7