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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140317
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】消耗品使用量推定方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20230927BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20230927BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
G06F3/12 335
G06F3/12 319
G06F3/12 337
G06F3/12 329
G06F3/12 356
B41J29/38 204
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040343
(22)【出願日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】17/700,955
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】ハヴィア エー モラレス
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP03
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061HJ08
2C061HK03
2C061HN08
2C061HN15
2C061HP06
2C061HP08
2C061HQ17
2H270KA59
2H270KA61
2H270LA77
2H270LA87
2H270LD08
2H270LD14
2H270MB25
2H270MH06
2H270ND36
2H270RA10
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】 オフラインでインテリジェントな消耗品量の推定を行う消耗品使用量推定方法を提供する。
【解決手段】
印刷システムは、対象印刷装置での印刷ジョブのインク又はトナー使用量の見積もりを提供するオフライン見積もり装置を含む。オフライン見積もり装置は、対象印刷装置からデジタルフロントエンド(DFE)バージョン情報、構成設定情報、及びカラー印刷リソースを取得し得る。DFEバージョン情報を使用して、オフライン推定装置は、印刷システム内で利用可能なソフトウェアバージョンの複数のRIPからラスターイメージプロセッサー(RIP)を選択する。オフライン見積装置は、構成設定情報の構成設定でRIPを構成する。カラー印刷リソースもRIPにプッシュされる。オフライン見積もり装置は、構成されたRIPを使用して、インク又はトナーの使用見積もりを提供し得る。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置での印刷業務のための消耗品の使用量を推定する方法であって、
印刷ジョブを受信する対象印刷装置を選択し、
前記対象印刷装置からデジタルフロントエンド(DFE)情報と、構成設定情報とを取得し、
前記対象印刷装置からの前記DFE情報に基づいてラスターイメージプロセッサー(RIP)を選択し、前記RIPは、前記装置で使用可能な複数のRIPの一つであり、
前記対象印刷装置からの構成設定情報により前記RIPを構成し、
構成された前記RIPと印刷チケット設定とを使用して、前記印刷ジョブの消耗品の量を見積もる
ことを特徴とする消耗品使用量推定方法。
【請求項2】
前記対象印刷装置からのカラー設定情報を用いて前記RIPを構成するステップを更に含む
ことを特徴とする請求項1に記載の消耗品使用量推定方法。
【請求項3】
前記カラー設定情報は、少なくとも一つのキャリブレーション、少なくとも一つのICCプロファイル、又は用紙カタログを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の消耗品使用量推定方法。
【請求項4】
前記印刷ジョブは、印刷チケット設定を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の消耗品使用量推定方法。
【請求項5】
前記RIPの構成設定は、スポットカラー処理を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の消耗品使用量推定方法。
【請求項6】
前記消耗品の量は、構成されたRIP及び前記印刷チケット設定を使用して推定されたインクの量又はトナーの量を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の消耗品使用量推定方法。
【請求項7】
前記DFE情報は、前記RIPを選択するために使用されるDFEソフトウェアバージョンを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の消耗品使用量推定方法。
【請求項8】
前記DFE情報は、印刷エンジンモデル情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の消耗品使用量推定方法。
【請求項9】
前記RIPの選択は、前記印刷エンジンモデル情報に基づいて前記RIPを選択することを含む
ことを特徴とする請求項8に記載の消耗品使用量推定方法。
【請求項10】
前記DFEから標高情報を検索するステップを更に含む
ことを特徴とする請求項1に記載の消耗品使用量推定方法。
【請求項11】
前記標高情報に基づいて消耗品の量を調整するステップを更に含む
ことを特徴とする請求項10に記載の消耗品使用量推定方法。
【請求項12】
印刷システム内の装置であって、
制御部と、
前記制御部に接続された制御部であって、
印刷ジョブを受信する対象印刷装置を選択し、
前記対象印刷装置からデジタルフロントエンド(DFE)情報と構成設定情報を取得し、
前記対象印刷装置からのDFE情報に基づいてラスターイメージプロセッサー(RIP)を選択し、前記RIPは、前記装置で利用可能な複数のRIPのうちの一つであり、
前記対象印刷装置からの構成設定情報を使用して前記RIPを構成し、
構成された前記RIPと印刷チケット設定とを使用して、前記印刷ジョブの消耗品の量を見積もるように前記制御部を構成する命令を格納する制御部を備える
ことを特徴とする装置。
【請求項13】
前記命令は、前記対象印刷装置からの色設定情報を用いて前記RIPを構成するように前記制御部を更に構成する
ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記色設定情報は、少なくとも一つのキャリブレーション、少なくとも一つのICCプロファイル、又は用紙カタログを含む
ことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記印刷ジョブは、印刷チケット設定を含む
ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項16】
装置での印刷業務のための消耗品の使用量を推定する方法であって、
印刷ジョブを受信するための対象印刷装置を選択し、前記印刷ジョブは印刷チケット設定を含み、
前記対象印刷装置からデジタルフロントエンド(DFE)情報を取得し、
前記対象印刷装置のカラー印刷リソースを識別し、
前記対象印刷装置からのDFE情報に基づいてラスターイメージプロセッサー(RIP)を選択し、前記RIPは、装置で使用可能な複数のRIPの一つであり、
前記RIPに、前記カラー印刷リソースを提供し、
前記RIPと前記印刷チケット設定とを使用して、前記印刷ジョブの消耗品の量を見積もる
ことを特徴とする消耗品使用量推定方法。
【請求項17】
前記対象印刷装置から構成設定を取得するステップを更に含む
ことを特徴とする請求項16に記載の消耗品使用量推定方法。
【請求項18】
前記構成設定で前記RIPを構成するステップを更に含む
ことを特徴とする請求項17に記載の消耗品使用量推定方法。
【請求項19】
前記カラー印刷リソースは、キャリブレーション又はICCプロファイルを含む
ことを特徴とする請求項16に記載の消耗品使用量推定方法。
【請求項20】
前記カラー印刷リソースは紙のカタログを含む
ことを特徴とする請求項16に記載の消耗品使用量推定方法。
【請求項21】
前記消耗品の量は、前記RIPと前記印刷チケット設定とでカラー印刷リソースを使用して推定されたインクの量又はトナーの量を含む
ことを特徴とする請求項16に記載の消耗品使用量推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ジョブのインテリジェントなオフラインインク推定を提供する印刷システムの装置及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、プロダクション印刷作業(業務)では、インク又はトナーの見積もりを行うことがある。1000枚以上のドキュメントのある大規模な印刷ジョブの場合、インクとトナーの使用量が多くなると考えられるからである。印刷ジョブの出力の価格を適切に設定するには、正確な見積もりが重要になる。インク又はトナーの使用量を見積もるには、二つの方法がある。一つは、印刷装置のデジタルフロントエンド(Digital Front End。以下、「DFE」と省略する。)を用いた「インライン(inline)」消耗品見積もりである。DFEは、ラスターイメージプロセッサー(RIP)で印刷ジョブをラスターイメージ処理して、インクとトナーの使用量を見積もることが可能である。もう一つは、「オフライン(offline)」処理である。この処理では、見積もりアプリケーションが見積もりを提供する。見積もりアプリケーションは、種類に応じて、印刷ジョブのジョブファイル内の色を調べてインク又はトナーの使用量を見積もるか、ファイルをオフラインでラスターイメージ処理してインク又はトナーの使用量を見積もる。
【0003】
特許文献1を参照すると、このような消耗品の見積もりを行うシステムの一例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-213471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたようなこれらのプロセスには欠点がないわけではない。DFEで推定する場合、オペレーターが推定を行う必要があった。この作業によりプロダクション印刷の時間が奪われ、更に重要なことに、販売担当者が、この情報をタイムリーに収集することが不可能になっていた。
また、オフライン見積もりの場合は、ポータブルドキュメントフォーマット(PDF)の画像データを使用して見積もりを行っていた。このプロセスでは、すべての色変換を実行し、色を変更せずにジョブを印刷することが含まれる。このようなプロセスは、印刷装置のキャリブレーション等の要因を考慮していないため、不可能な場合がある。また、オペレーターが印刷装置のカラーマネジメントを一切使用しないことも要求されるが、これは欠点である。または、オフラインRIPを使用して見積もることもあり得る。しかし、RIPはコンテンツをラスタライズするだけである。
したがって、色変換が印刷装置と正確に一致しない場合は、これらの問題が発生するだけでなく、更なる問題が発生する可能性があった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、上述の問題点を解消する消耗品使用量推定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の消耗品使用量推定方法は、装置での印刷業務での消耗品の使用を見積もる方法である。この方法は、印刷ジョブを受け取る対象印刷装置を選択することを含む。この方法は、対象印刷装置からデジタルフロントエンド(DFE)情報と、構成設定情報とを取得することも含む。この方法はまた、対象印刷装置からのDFE情報に基づいてラスターイメージプロセッサー(RIP)を選択することを含む。RIPは、装置で利用可能な複数のRIPのうちの一つである。この方法はまた、対象印刷装置からの構成設定情報を用いてRIPを構成することを含む。この方法は、構成されたRIPを使用して、印刷ジョブの消耗品の量を見積もることも含む。
印刷システム内の装置が開示される。この装置には制御部が含まれている。装置には、制御部に接続された記憶部も含まれている。記憶部には、印刷ジョブを受信する対象印刷装置を選択するように制御部を構成する命令が格納されている。制御部は、また、対象印刷装置からデジタルフロントエンド(DFE)情報及び構成設定情報を検索するように構成されている。制御部はまた、対象印刷装置からのDFE情報に基づいてラスターイメージプロセッサー(RIP)を選択するように構成される。RIPは、装置で利用可能な複数のRIPのうちの一つである。制御部はまた、対象印刷装置からの構成設定情報を使用してRIPを構成するように構成されている。制御部は、構成されたRIPを使用して印刷ジョブの消耗品の量を見積もるようにも構成されている。
装置での印刷業務での消耗品の使用を見積もる方法が開示される。この方法は、印刷ジョブを受け取る対象印刷装置を選択することを含む。この方法は、対象印刷装置からデジタルフロントエンド(DFE)情報を取得することも含む。この方法は、対象印刷装置のカラー印刷リソースを識別することも含む。この方法は、また、対象印刷装置からのDFE情報に基づいてラスターイメージプロセッサー(RIP)を選択することを含む。このRIPは、装置で利用可能な複数のRIPのうちの一つである。この方法には、カラー印刷リソースをRIPに提供することも含まれる。この方法には、RIPを使用して印刷ジョブの消耗品の量を見積もることも含まれる。
印刷作業のための消耗品の使用を見積もる方法が開示される。この方法は、対象印刷装置からデジタルフロントエンド(DFE)情報を取得することを含む。DFE情報には、プリントエンジンのモデル情報が含まれる。この方法はまた、対象印刷装置に利用可能な複数のラスターイメージプロセッサー(RIP)を決定することを含む。この方法はまた、印刷エンジンモデル情報に基づいて、複数のRIPからラスターイメージプロセッサー(RIP)を選択することを含む。この方法は、印刷エンジンモデル情報に基づく構成設定情報でRIPを構成することも含む。この方法は、構成されたRIPを使用して印刷ジョブの消耗品の量を見積もることも含む。
印刷作業のための消耗品の使用を見積もる方法が開示される。この方法は、対象印刷装置からデジタルフロントエンド(DFE)情報及び構成設定情報を取得することを含む。構成設定情報には、対象印刷装置のデフォルト設定が含まれる。この方法はまた、対象印刷装置からのDFE情報に基づいてラスターイメージプロセッサー(RIP)を選択することを含む。RIPは、対象印刷装置で利用可能な複数のRIPのうちの一つである。この方法には、対象印刷装置のデフォルト設定でRIPを構成することも含まれる。この方法は、構成されたRIPを使用して印刷ジョブの消耗品の量を見積もることも含む。
印刷作業のための消耗品の使用量を推定する方法が開示される。この方法は、対象印刷装置からデジタルフロントエンド(DFE)情報を取得することを含む。この方法は、印刷ジョブを受信するために対象印刷装置内のキューを選択することも含む。この方法には、キューに関連付けられた構成設定情報を取得することも含まれる。この方法はまた、対象印刷装置からのDFE情報に基づいてラスターイメージプロセッサー(RIP)を選択することを含む。RIPは、対象印刷装置で利用可能な複数のRIPのうちの一つである。この方法はまた、構成設定情報のデフォルトの色処理設定でRIPを構成することを含む。この方法は、構成されたRIPを使用して印刷ジョブの消耗品の量を見積もることも含む。
印刷作業のための消耗品の使用量を推定する方法が開示される。この方法は、対象印刷装置からデジタルフロントエンド(DFE)情報を取得することを含む。この方法は、印刷ジョブを受信するために対象印刷装置内のキューを選択することも含む。キューには設定情報が含まれる。この方法はまた、対象印刷装置からのDFE情報に基づいてラスターイメージプロセッサー(RIP)を選択することを含む。RIPは、対象印刷装置で利用可能な複数のRIPのうちの一つである。この方法には、キューからの設定情報を使用してRIPを構成することも含まれる。この方法は、構成されたRIPを使用して印刷ジョブの消耗品の量を見積もることも含む。
印刷作業のための消耗品の使用量を推定する方法が開示される。この方法は、印刷ジョブを受け取る対象印刷装置を選択することを含む。この方法は、対象印刷装置からデジタルフロントエンド(DFE)情報を取得することも含む。この方法はまた、対象印刷装置からのDFE情報に基づいて、オフライン推定装置で複数のRIPからラスターイメージプロセッサー(RIP)を選択することを含む。RIPには、レンダリングコンポーネントと色変換コンポーネントが含まれる。この方法はまた、印刷ジョブに基づいてDFEから構成設定情報及び色変換設定を要求することを含む。この方法はまた、オフライン推定装置で構成設定情報及び色変換設定を受信することを含む。この方法はまた、RIPのレンダリングコンポーネントを構成設定情報で構成し、色変換設定を色変換コンポーネントに適用することを含む。この方法には、RIPを使用して印刷ジョブの消耗品の量を見積もることも含まれる。
印刷作業のための消耗品を見積もる方法が開示される。この方法は、印刷ジョブを受け取る対象印刷装置を選択することを含む。この方法は、対象印刷装置からデジタルフロントエンド(DFE)情報を取得することも含む。この方法はまた、対象印刷装置からのDFE情報に基づいて、オフライン推定装置で複数のRIPからラスターイメージプロセッサー(RIP)を選択することを含む。この方法には、プロキシ印刷ジョブをDFEに送信することも含まれる。プロキシ印刷ジョブには、印刷ジョブの印刷チケット情報が含まれる。この方法は、プロキシ印刷ジョブの構成設定情報及び色変換設定を決定するために、DFEでプロキシ印刷ジョブを処理することも含む。この方法はまた、オフライン推定装置で構成設定情報及び色変換設定を受信することを含む。この方法には、構成設定情報と色変換設定を使用してRIPを構成することも含まれる。この方法には、RIPを使用して印刷ジョブの消耗品の量を見積もることも含まれる。
印刷作業のための消耗品見積もりシステムが開示される。システムは、対象印刷装置のデジタルフロントエンド(DFE)を含む。DFEにはDFE情報が含まれる。DFEは、プロキシ印刷ジョブを受信するように構成されている。また、DFEは、プロキシ印刷ジョブの構成設定情報と色変換設定を生成するように構成されている。このシステムには、DFEに接続されたオフライン推定装置も含まれている。オフライン推定装置は、対象印刷装置の印刷ジョブを受信する。オフライン推定装置は、対象印刷装置のDFEで利用可能な複数のRIPからラスターイメージプロセッサー(RIP)を選択するように構成される。オフライン推定装置はまた、印刷ジョブに対応するプロキシ印刷ジョブをDFEに送信するように構成される。オフライン推定装置はまた、DFEからプロキシ印刷ジョブの構成設定情報及び色変換設定を受信するように構成される。オフライン推定装置は、構成設定情報と色変換設定を使用してRIPを構成するようにも構成されている。オフライン推定装置は、RIP及び色変換設定を使用して印刷ジョブの消耗品の量を推定するようにも構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、オペレーターが推定を行う必要がなく、インテリジェントであり、色変換による問題が生じにくいオフラインで消耗品量の推定を行う消耗品使用量推定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の他の様々な特徴及び付随する利点は、添付の図面と併せて検討するとより完全に理解されるであろう。
図1A】開示された実施形態に係る文書を印刷するための印刷システムを示している。
図1B】開示された実施形態に係る印刷装置のデジタルフロントエンド(DFE)を示す。
図2】開示された実施形態に係る印刷システム内で使用される印刷装置の構成要素のブロック図を示している。
図3】開示された実施形態に係るDFE内で使用されるRIPファームウェアのブロック図を示す。
図4】開示された実施形態に係るオフライン推定装置における複数のRIPからのRIPの選択のプロセスフロー図を示している。
図5】開示された実施形態に係るオフライン推定装置によって検索された構成設定情報及びカラー印刷リソース内の構成設定のブロック図を示す。
図6】開示された実施形態に係る対象印刷装置での印刷動作のための消耗品の使用量を推定するためのフローチャートを示している。
図7】開示された実施形態に係るオフライン推定装置を使用して印刷動作のための消耗品を推定する際に使用される追加設定のブロック図を示している。
図8】開示された実施形態に係る、選択された待ち行列に基づいて消耗品の使用量を推定するためのフローチャートを示す。
図9】開示された実施形態に係るDFE内で設定を生成するためにプロキシ印刷ジョブを使用して消耗品を見積もるブロック図を示す。
図10】開示された実施形態に係るオフライン推定装置によってプロキシ印刷ジョブを使用するためのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本発明の特定の実施形態を詳細に参照する。これらの実施形態の例は、添付の図面に示されている。本発明の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が示される。図面と共に実施形態を説明するが、以下の説明は、本発明をいずれか一つの実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。逆に、以下の説明は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれる代替物、修正物、及び均等物をカバーすることを意図している。
【0011】
図示された実施形態は、従来のオフラインのインク及びトナー使用量推定システムの制限なしに、インク及びトナー使用量推定を可能にする。以下の詳細な説明では、インクという用語が使用される場合があり、これにはトナーも含まれる。インクは液体として体積で使用量を算出され、トナーは粉末として重量で使用量を算出される。簡潔に説明するために、詳細な説明において、トナーも同様に「インク」として言及する場合がある。これらの用語は、本明細書全体で交換可能に使用される場合があり得る。
【0012】
図示されたインク使用量推定処理は、インク使用量推定に使用するジョブファイル、文書、ファイル等をオペレーターが選択することによって動作させることができる。オペレーターは、インク使用量推定の対象となる印刷装置を選択する。この時点で、オペレーターは印刷設定やチケット設定を定義できる。たとえば、オペレーターは、ドラフト品質対通常品質を使用する印刷ジョブに対してインク使用量推定値が提供されるように指定することができる。もう一つの例は、シートの片面だけではなく両面にドキュメントを印刷することである。
【0013】
図示された実施形態は、情報処理装置(装置)がインク使用量推定を管理することを可能にする。情報処理装置は、対象印刷装置に接続されたサーバーであってもよい。情報処理装置は、常にネットワークに接続されているとは限らず、対象印刷装置にさえ接続されていない可能性があるため、オフラインとなる。情報処理装置は、印刷装置から次の情報を取得し得る:
【0014】
DFEバージョン情報、
インクの使用に影響を与える印刷装置の構成設定、例えば、統合印刷構成、インクジェットパージオプション、又は標高設定等、
用紙カタログ及び用紙グループ、
キャリブレーション、
ICCプロファイル、及び
スポットカラー処理等のRIP構成設定。
【0015】
その他の情報と設定とは、DFEから取得できる。
【0016】
インクの使用量を推定するために、開示された実施形態は、情報処理装置を使用して、DFEソフトウェアのバージョンを決定し、同じバージョンを有するRIPを選択する。情報処理装置には一つのRIPだけではなく、多数の異なるRIPが含まれている。リリースされたソフトウェアバージョン毎にRIPが存在し得ることが好適である。情報処理装置は、取得した印刷装置構成設定を使用して、RIPを自動的に構成し得る。他のインク使用量推定システムとは異なり、開示された実施形態は、構成をリアルタイムで行うことを可能にし、異なるRIP処理(インスタンス)が異なる印刷装置構成を使用することを可能にする。RIPは、これらの設定を使用して、印刷ジョブがどのようにRIPされ又はレンダリングされるかを調整される。また、RIPされた画像データからどのようにインク消費量を計算するかも調整される。
【0017】
図示された実施形態は、印刷装置の構成と一致するようにリソースをRIPに適用する。これらのリソースには、用紙カタログと用紙グループ、キャリブレーション、及びICCプロファイルが含まれる。RIPが構成されると、開示された実施形態は、現在利用可能な実装毎にインク使用量推定を実行する。インク使用量の計算後、開示された実施形態により、印刷装置の設定だけでなく上述したもの等のインクの使用に影響を与える印刷チケット設定を含むように、より拡張して検証された印刷を行うことができる。
【0018】
図示された実施形態は、オフラインでのRIPインク使用量の計算が、インク使用の計算のための対象印刷装置と同様の方法で行われることを保証する。これにより、インテリジェントなインク使用量の推定関連の処理を行うことが可能である。
【0019】
図1Aは、開示された実施形態に係る印刷装置104を使用して文書を印刷するための印刷システム100を示す。印刷システム100は、プリントショップ又は生産印刷作業に適した他の環境に配置することができる。印刷システム100は、一つ又は複数のクライアント端末102から印刷ジョブを受信する一つ又は複数の印刷装置104を含む。
【0020】
印刷装置104は、印刷システム100を介して印刷ジョブを受信する。この際、印刷ジョブ103が受信されてもよい。印刷ジョブ103を処理した後、印刷装置104は、印刷ジョブによって指定された紙又は媒体でドキュメント105を印刷又は生成する。印刷装置104は、図2により詳細に開示される。印刷装置104は、印刷ジョブ103の処理を容易にするデジタルフロントエンドであるDFE106も含む。DFE106は、図1Bにより詳細に開示される。図1Bに開示されたDFE106の構成要素に加えて、また、インク使用量推定に有用であり得る様々な情報が含まれる。この情報には、DFEバージョン情報126、構成設定情報128、及びカラー印刷リソース130が含まれる。DFE106は、RIPファームウェア290も含み、これについては以下でより詳細に開示される。
【0021】
印刷装置104は、消耗品132も含む。消耗品132は、印刷装置104又はその内部の品目に関連し得るが、実際には印刷装置自体の一部ではない。しかし、消耗品132は印刷作業で使用される。消耗品132は、インク134及びトナー136を含む。インク134及びトナー136は更に、異なる着色剤インクに分解され得る。たとえば、インク134は、シアンインク(Cyan ink)、マゼンタインク(Magenta ink)、イエローインク(Yellow ink)、及びブラックインク(Black ink, Key plate)を含み得る。印刷装置104がカラー印刷できない場合、インク134はブラックインクのみを含むことができる。印刷装置104は、本明細書では詳細に開示されていない、シート等の他の消耗品132を含むことができる。
【0022】
印刷ジョブ103は、印刷装置104で印刷されると、所定量の消耗品132を使用してドキュメント105を生成する。いくつかの実施形態では、印刷ジョブ103は、数千以上のドキュメントを生成する。したがって、印刷ジョブ103に使用される消耗品の量はかなりの量になる可能性がある。上述にて開示したように、印刷システム100は、消耗品132の使用に関する見積もりを提供する必要がある場合がある。印刷ジョブ103について決定された見積もりは、印刷装置104のさまざまな設定に依存する場合がある。印刷ジョブ103に関連する設定および印刷チケット設定138は、ドキュメント105を生成するために使用される消耗品132の量に影響を与える。
【0023】
たとえば、DFE106は、RIPファームウェア290を使用して、印刷ジョブ103内のページに関連付けられたビットマップ画像、ベクトルグラフィックス、フォント等を、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、及びK(ブラック)ピクセル等のページのビットマップ/ラスタライズ表現に変換することができる。RIP化(以下、「ラスタライズ」ともいう。)されたページ内の特定の色のピクセルの値の合計は、その色を印刷するために印刷装置104によって使用される消耗品132の量に比例する可能性がある。RIPファームウェア290は、構成設定情報128によって捕捉されるように、様々な画像ラスタライズ設定に従って印刷ジョブ103のページをラスタライズすることができる。たとえば、これらの画像ラスタライズパラメータは、キャリブレーション曲線、用紙定義、ICCプロファイル、スポットカラー定義、色調再現曲線(tone reproduction curves。以下、「TRC」という。)、色変換設定、インク又はトナーの色材制限、レンダリングインテント、K保存、CGRレベル、最大色材濃度、印刷余白、ハーフトーン、スポットカラー処理、オーバープリント、ノックアウト等を含んでもよい。
【0024】
印刷装置の消耗品の使用量を削減するために、構成設定情報128の画像ラスタライズパラメータを介してRIPファームウェア290を構成し、各着色剤の濃度を下げ、カラー画像を白黒に変換し、TRCを調整して印刷装置を削減することができる。グレー成分の置換レベルは、構成設定情報128を介して調整することができる。カラー印刷リソース130は、印刷用に色を変換する方法を変更して、消耗品132の使用を減らすように構成することができる。
【0025】
また、開示された実施形態は、インク使用量推定の実行を容易にする推定ロジックを含むオフライン推定装置108を含む。オフライン推定装置108は、印刷装置104のDFE106及び印刷エンジン260によって実行される動作をエミュレートするように構成されたDFEエミュレーター120及び印刷エンジンエミュレーター122を有する推定ロジック118を含むことができる。印刷エンジン260については、以下でより詳細に開示する。DFEエミュレーター120及び印刷エンジンエミュレーター122は、構成設定情報128を用いて、印刷装置104に対応づけられた設定と一致させるように構成することができる。推定ロジック118は、印刷ジョブ103を処理してドキュメント105を作成するための消耗品132の量を推定するようにも構成することができる。
【0026】
動作中、推定ロジック118は、印刷装置104の情報及び設定を監視して、以前の推定値との差異を決定することができる。この機能により、印刷装置104の利用に対応する設定を有するDFE106、RIPファームウェア290、又は印刷エンジン260の構成情報を、実時間で利用することが容易となる。
【0027】
印刷装置104は、構成設定情報128内に他の設定として、例えば、制御又は影響を与えられる印刷装置メンテナンス設定である、プリントヘッドの全てのジェットが発射されるようにするためのヘッドクリーニング間隔、ヘッド詰まり防止間隔、吐出、又はすべてのコンテンツにわたるスプレーパターンの印刷、パージシート又はインクジェットパージオプションの印刷、分割線の印刷、又はロール供給印刷装置でページフレーム間に印刷された線の印刷を含むことができる。
【0028】
オフライン推定装置108は、印刷システム100内の任意の装置であり、ネットワーク190に接続されて印刷装置104とデータを送受信することができる。オフライン推定装置108は、印刷システム100内の他の印刷装置に接続することもできる。好ましくは、オフライン推定装置108は、サーバーである。または、コンピューター等の別の装置の場合もある。オフライン推定装置108は、記憶部114及び制御部112を含む。オフライン推定装置108は、I/Oサブシステム110(Input / Output subsystem)及び見積もりデータベース116も含む。
【0029】
また、オフライン推定装置108は、装置上で実行される消耗品推定ソフトウェアを指す場合もある。以下に開示するように、「オフライン推定装置」は、このソフトウェアを指す場合がある。
【0030】
制御部112は、記憶部114と通信する。制御部112は、記憶部114内の命令コードを実行するように構成される。命令コードは、オフライン推定装置108を制御して、印刷装置104によって使用され得る消耗品132を推定するための様々な動作を実行する。制御部112は、記憶部114内の命令コードを実行するコンピューター処理ユニットであってもよい。
【0031】
I/Oサブシステム110は、クライアント端末102及び印刷装置104等、印刷システム100内の他の装置との通信を容易にするように構成された一つ又は複数の入力、出力、又は入出力インターフェイスを含むことができる。I/Oサブシステム110の一例は、印刷システム100の実体(エンティティ)が情報を通信するために利用する通信方法を動的に決定するように構成することができる。たとえば、I/Oサブシステム110は、第一のエンティティがRESTful APIを利用し、その結果、RESTful通信方法を使用するインターフェイスを使用してエンティティと通信できると判断することができる。
【0032】
推定ロジック118は、印刷ジョブ103のドキュメント105を印刷するために印刷装置104によって使用される消耗品132の量を推定するために、オフライン推定装置108内に実装される。推定ロジック118は、上述のように、DFEエミュレーター120及び印刷エンジンエミュレーター122を含む。DFEエミュレーター120及び印刷エンジンエミュレーター122は、印刷装置104の設定及びパラメータと一致するように構成設定情報128で構成される。
【0033】
DFEエミュレーター120は、印刷装置104のDFE106によって実行される動作をエミュレートするように構成することができる。エミュレーションは、印刷装置104に指定された様々な設定に依存する。たとえば、DFEエミュレーター120は、ビットマップ画像、ベクトルグラフィックス、フォント、及び印刷ジョブ103のサンプルページで指定された同様のものを、C、M、Y、及びKピクセルを使用してページのビットマップ/ラスタライズ表現に変換する。DFEエミュレーター120が変換を実行する方法は、DFE106の画像ラスタライズ設定に対応する、DFEエミュレーターの様々な画像ラスタライズ設定に依存してもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、DFEエミュレーター120は、オフライン推定装置108で利用可能な複数のRIP124のRIPを検索する。適切なRIPの選択は、より高精度でインク使用量を推定する基礎となる。たとえば、推定ロジック118は、DFEバージョン情報126からDFEソフトウェアバージョンを決定して、同じバージョンを有するRIPを選択することができる。オフライン推定装置108は、多くの異なるRIPである複数のRIP124を含んでいる。好ましくは、リリースされたソフトウェアバージョン毎に一つを含んでもよい。DFEエミュレーター120は、構成設定情報128からの構成設定を使用して、選択されたRIPを自動的に構成することが可能である。RIPの構成は、実時間で、異なるRIPインスタンスに対して有効とすることができる。
【0035】
オフライン推定装置108によって構成されたRIPは、これらの設定を使用して、印刷ジョブ103が画像処理される方法を調整し、消耗品132がラスタライズされた画像データから計算される方法を調整することもできる。推定ロジック118は、カラー印刷リソース130を複数のRIP124のうちの選択されたRIPにプッシュして、それが印刷装置の構成と一致するようにすることもできる。
【0036】
RIPが構成されると、オフライン推定装置108は、インク使用量推定を実行することができる。推定が完了した後、オフライン推定装置108は、消耗品の推定を以前の推定と比較することによって生産を検証することができる。このプロセスには、印刷装置の設定だけでなく、インクの使用に影響を与える印刷チケット設定138も含まれる。
【0037】
図1Bは、開示された実施形態に係るDFE106のブロック図を示す。DFE106は、レシーバー181、RIPファームウェア290、CMYKデータストレージ184、入出力コネクター185、及び補正ユニット186を含む。RIPファームウェア290も図2に開示され、図3により詳細に開示される。これらは、図1Aに開示されたものを含め、DFE106内に実装されてもよい。したがって、DFE106は、図1Bには示されていないが、DFEバージョン情報126及び構成設定情報128のデータを含む。
【0038】
レシーバー181は、印刷システム100内で受信された印刷ジョブ103を受信し、印刷ジョブをRIPファームウェア290に出力する。レシーバー181は、印刷ジョブ内の文書又は複数の文書の色情報も受信することができる。それは、色情報を補正ユニット186に出力することができる。レシーバー181によって受信された印刷ジョブは、印刷媒体に印刷される画像データに関連付けられる。また、片面印刷か両面印刷かを示す情報を含む印刷条件情報、又は印刷ジョブに関連する他のデータとともに印刷媒体の種類情報を含むこともできる。
【0039】
RIPファームウェア290は、印刷ジョブに係る画像データをラスターデータに変換して描画データを生成し、生成した描画データを出力する。また、RIPファームウェア290は、レンダリングデータをCMYK形式のレンダリングデータに変換する。描画データが元々CMYK形式の場合や、CMYK描画データの場合、変換が行われない場合がある。RIPファームウェア290は、一つ又は複数の色調再現曲線(TRC)を参照して、CMYKレンダリングデータの階調変換を実行することができる。TRCは、描画データの色の階調値と印刷媒体上の印刷色(印刷濃度)との関係を示すデータである。
【0040】
印刷装置104によって提供される印刷色が経時的に変化するとき、CMYKデータストレージ184に記憶されたTRCは、色値と印刷色との間の実測関係からそれぞれ逸脱することがある。TRCが実際の関係からずれると、各色の階調値の階調変換が所望の印刷色にならない。ここで、補正ユニット186は、各色の階調値が所望の印刷色に一致するように、CMYKデータストレージ184に記憶されたTRCの実際の関係からのずれを補正する。補正ユニット186は、レシーバー181を介して取得したRGBの色情報をCMYKの色情報に変換する。補正ユニット186は、変換後のCMYK色情報を用いてTRCを生成してもよい。CMYKデータストレージ184に記憶されたTRCは、生成されたTRCに置き換えられる。補正ユニット186は、TRCを修正することができる。補正ユニット186は、CMYKデータストレージ184に格納されたTRCの一部を書き換えることにより、TRCを補正してもよい。
【0041】
RIPファームウェア290によって生成されたレンダリングデータは、入出力コネクター185を介して印刷装置104内で送信される。印刷条件情報及び印刷媒体タイプ、並びにレンダリングデータは、図2に開示される印刷装置104内にある印刷エンジン260に送信され得る。
【0042】
また、DFE106は、例えば入出力コネクター185を使用して、他の印刷装置又はオフライン推定装置108が別の装置に配置されている場合にはそれらと通信することができるウェブユーザーインターフェイス188を含む。ウェブユーザーインターフェイス188、又はウェブアプリケーションにより、他の印刷装置のDFEのユーザーが、DFE106で実行されているコンテンツ又はソフトウェアと対話できてもよい。
【0043】
図2は、開示された実施形態に係る印刷装置104の構成要素のブロック図を示す。図2に示すアーキテクチャは、印刷システム100内で印刷、スキャン、格納、コピー等の様々な機能を実行する任意の多機能印刷装置(Multi-Functional Printing Device)又は画像形成装置に適用することができる。上に開示したように、印刷装置104は、別個の装置である場合は、オフライン推定装置108、及び印刷システム100内の他の装置からデータを送受信することができる。
【0044】
印刷装置104は、これらの機能をサポートする動作を実行するコンピューティングプラットフォーム201を含む。コンピューティングプラットフォーム201は、コンピューター処理ユニット(制御部)であるCPU202、画像形成ユニット204、記憶部206、及びネットワーク通信インターフェイス210を含む。コンピューティングプラットフォーム201を使用する印刷装置104は、スキャン、コピー、印刷、ファクシミリの受信若しくは送信、又はドキュメント処理等のさまざまな動作を実行するように構成することができる。このように、印刷装置104は、印刷装置又はスキャナーを含む多機能周辺機器(Multi-Function Peripheral、MFP)、及びコピー機、ファクシミリ装置、及びプリンターの一つ又は複数の機能であり得る。これらの機能を提供するために、印刷装置104は、印刷業務を実行するプリンターコンポーネント220、コピー動作を実行するコピーコンポーネント222、スキャン動作を実行するスキャナーコンポーネント224、及びファクシミリ文書を送受信するファクシミリコンポーネント226を含む。CPU202は、これらの構成要素に命令を発行して、所望の動作を実行することができる。
【0045】
印刷装置104は、フィニッシャー211及び一つ又は複数の用紙カセット212も含む。フィニッシャー211は、所望の動作後に画像形成面を有する紙をトレイに移動するための回転可能な下流ローラーを含む。フィニッシャー211はまた、仕上げられた紙を分類する、紙のシートをステープルで綴じる、二重にする、折り目を付ける、穴をあける、折り畳む等の追加の動作を実行することもできる。
【0046】
用紙カセット212は、用紙を様々な構成要素、プリンターコンポーネント220、コピーコンポーネント222、スキャナーコンポーネント224、及びファクシミリコンポーネント226に供給して、用紙上に画像形成面を作成する。用紙カセット212は、用紙トレイとして知られている場合もある。用紙カセット212は、様々なサイズ、色、構成等を有する用紙を含むことができる。用紙カセット212内の用紙又は媒体は、印刷装置104に「搭載(ロード)された」と見なすことができる。これらの用紙を印刷するための情報は、DFE106に格納された用紙カタログに取り込むことができる。用紙カセット212は、必要に応じて補充するために取り外すことができる。プリンターコンポーネント220、コピーコンポーネント222、スキャナーコンポーネント224、及びファクシミリコンポーネント226からの印刷された用紙は、一つ又は複数の出力容器227(アウトプットビン)内に配置される。一つ又は複数の出力容器227は、出力容器を空にするか印刷を一時停止する前に完成した印刷ジョブを受け取ることが可能な量に関連した容量とすることができる。出力容器は、一つ又は複数の出力トレイを含むことができる。
【0047】
ドキュメントフィーダートレイ230は、プロセッサー入力フィーダトレイであり、印刷装置104の物理的な構成要素を含み、処理される用紙及びドキュメントを受け取ることができる。このフィーダトレイは、印刷装置104の一つ又は複数の入力トレイを指す場合もある。ドキュメントは、ドキュメントフィーダートレイ230の上又は中に配置され、ドキュメントフィーダートレイ230は、ドキュメントを印刷装置104内の他のコンポーネントに移動し得る。ドキュメントフィーダートレイ230は、ユーザーによって入力された指示によって制御され得る。たとえば、ドキュメントは、スキャン動作のためにスキャナーフラットベッドに移動する場合がある。図2に示すように、ドキュメントフィーダートレイ230は、印刷エンジン260と対話して、所望の動作を実行することができる。
【0048】
記憶部206は、命令215(インストラクション)を格納するための格納場所(記憶場所)であるメモリー214を含む。命令215は、CPU202、又はプリンターコンポーネント220、コピーコンポーネント222、スキャナーコンポーネント224、並びにファクシミリコンポーネント226内の任意のプロセッサー等、印刷装置104に関連する他の制御部で実行可能である。たとえば、メモリー214は、印刷装置104内の構成要素をサポートするためにコンピューティングプラットフォーム201によって実行されるオペレーティングシステムを実行するためのデータを含むことができる。本実施形態では、記憶部206は、印刷装置104の延期動作を実行する際に使用されるトークン及びコードを格納することができる。
【0049】
記憶部206は、揮発性及び不揮発性メモリーを含み得る。揮発性メモリーには、ランダムアクセスメモリー(Random Access Memory、RAM)が含まれる場合がある。不揮発性メモリーの例としては、読み取り専用メモリー(Read-Only Memory、ROM)、フラッシュメモリー、電気的に消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリー(Erasable Programmable Read-Only Memory、EEPROM)、デジタルテープ、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)、又はソリッドステートドライブ(Solid-State Drive、SSD)が挙げられる。また、記憶部206は、他の種類のメモリーデバイスと共に、読み取り可能又は書き込み可能な揮発性メモリーまたは不揮発性メモリーの任意の組み合わせを含む。
【0050】
コンピューティングプラットフォーム201は、CPU202等の一つ又は複数の制御部をホストすることができる。これらの制御部(プロセッサー)は、一つ又は複数の記憶場所であるメモリー214に格納された命令215(インストラクション)を実行できる。これらの命令を実行することにより、制御部は印刷装置104にさまざまな動作を実行させる。制御部は、特定用途向け集積回路(Application-Specific Integrated Circuit、ASIC)やフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)等、特定の目的のための処理ユニットを組み込むこともできる。プリンターコンポーネント220、コピーコンポーネント222、スキャナーコンポーネント224、及びファクシミリコンポーネント226に固有の動作を実行するために、他の制御部を含めることができる。言い換えると、特定の制御部は、印刷装置104をプリンター、コピー機、スキャナー、及びファクシミリ装置として機能させることができる。印刷装置104はまた、コンピューティングプラットフォーム201に接続され得る操作パネル208を含む。操作パネル208は、印刷装置104にコマンドを提供するためのユーザーとの対話を容易にするための表示ユニット216及び入力ユニット217を含み得る。表示ユニット216は、液晶ディスプレイ(LCD)等の任意の電子ビデオディスプレイとすることができる。入力ユニット217は、ボタン、タッチスクリーン、キーボード又はキーパッド、スイッチ、ダイヤル等、ユーザーが操作パネル208に情報を入力できるようにする装置の任意の組み合わせを含むことができる。好ましくは、入力ユニット217は、ユーザーからの入力を受け取るためにタッチを感知する表示ユニット216上に重ねられたタッチスクリーンデジタイザを含む。このようにして、ユーザーは表示ユニット216と対話することが可能となる。これらの構成要素を使用して、コード又は他の情報を印刷装置104に入力することができる。
【0051】
表示ユニット216は、該当する場合、オフライン推定装置108からの結果を表示する役目も行ってもよい。オフライン推定装置108は、インク使用量推定データを印刷装置104に送信して表示することができる。たとえば、印刷装置104のオペレーターは、受信した印刷ジョブ103の見積もりを要求することができる。印刷装置104は、開示された実施形態に従って消耗品132の見積もりを要求する。
【0052】
印刷装置104は、ネットワーク通信処理ユニット218も含む。ネットワーク通信処理ユニット218は、一つ又は複数の他の画像形成装置又はネットワークサービスとの無線又は有線接続等、ネットワーク通信インターフェイス210を使用してネットワーク通信を確立することができる。CPU202は、ネットワーク通信処理ユニット218に、ネットワーク通信インターフェイス210を使用して、ネットワークを介して情報を送信又は取得するように指示することができる。データがネットワークを介してコンピューティングプラットフォーム201で受信されると、ネットワーク通信処理ユニット218は、着信パケットを復号化し、それらをCPU202に配信する。CPU202は、印刷装置104の設定等、記憶部206に格納されている情報を取得することもできる。
【0053】
印刷装置104は、上述にて開示したように、印刷エンジン260も含む。印刷エンジン260は、タスクを達成するように動作するハードウェア、ファームウェア、又はソフトウェアコンポーネントの組み合わせであってもよい。たとえば、印刷エンジン260は、文書を印刷するためのコンポーネント及びソフトウェアから構成される。操作パネル208を介したユーザー入力の後、コンピューティングプラットフォーム201から命令を受け取ることができる。あるいは、印刷エンジン260は、他の接続又はリンクされた装置から命令を受け取ることができる。
【0054】
印刷エンジン260は、インクやトナーを用紙に配置するハードウェアコンポーネント等の印刷装置エンジンの下位レベルの機構を管理及び動作させる。印刷エンジン260は、ハーフトナー、トナーカートリッジ、ローラー、スケジューラー、ストレージ、入力/出力動作等を管理及び調整することができる。ページ記述言語(Page Description Language、PDL)を解釈するラスターイメージプロセッサーのRIPファームウェア290は、印刷装置104での動作中に画像を実際にレンダリングし、紙にインクを塗布するために、下位レベルの印刷エンジン260に命令を送信及び送信する。RIPファームウェア290は、上述にて開示したように、DFE106に配置することができる。
【0055】
印刷装置104は、データ及び情報を収集してコンピューティングプラットフォーム201又はCPU202に提供する一つ又は複数のセンサー262を含むことができる。各センサー262は、印刷装置104の特定の動作状態を監視するために使用することができる。センサー262は、紙詰まり、ハードウェア若しくはソフトウェアコンポーネントの障害、部品の破損、オペレーティングシステムの問題、ドキュメントのミスフィード、トナーレベル、及びその他の動作状態の位置を示すために使用することができる。センサー262は、印刷装置104によって印刷又は処理されたページ数も検出することができる。センサー262は、動作上の問題又は障害イベントを検出すると、信号をCPU202に送信することができる。CPU202は、問題に関連するエラー警告を生成することができる。エラー警告には、エラーコードが含まれる場合がある。
【0056】
一部のエラーには、ハードウェア関連の原因がある。たとえば、紙詰まり等の故障がフィニッシャー211で発生した場合、表示ユニット216は、エラー並びに故障イベント、又はフィニッシャーの場所に関する情報を表示することができる。用紙カセット212で用紙の紙詰まりが発生した場合、表示ユニット216は、用紙カセットの一つの箇所として、紙詰まりエラーに関する情報を表示する。
【0057】
一部のエラーには、ファームウェア関連の原因がある。たとえば、ネットワーク通信処理ユニット218は、ファームウェア又はソフトウェアのエラーを引き起こし得る。表示ユニット216は、ファームウェア関連のエラーであることと、適用可能なエラーコードとを表示し、装置を再起動する等、エラーに対処するための推奨策を提示することができる。
【0058】
記憶部206は、故障イベント及び発生したエラーの履歴を、各エラーのタイムスタンプとともに格納することができる。印刷装置104は、ネットワーク通信インターフェイス210を介して、上述したようなネットワークプロトコルを利用することにより、印刷システム100内の他の装置と通信する。いくつかの実施形態では、印刷装置104は、サーバーが印刷システム100内の複数の装置からデータを収集できるようにするREST APIを介して印刷システム100内の他の装置と通信する。REST API及びSOAPは、XMLメッセージやJSONメッセージ等のファイル等の異なるフォーマットでデータを送信するために使用されるアプリケーションプロトコルである。適用可能なネットワーク通信プロトコル及びアプリケーションプロトコルを利用することによって、印刷装置104は、オフライン推定装置108及び印刷システム100内の他の印刷装置からデータを送信及び受信する。
【0059】
図3に、開示された実施形態に係るDFE106内で使用されるRIPファームウェア290のブロック図を示す。RIPファームウェア290は、テキスト及び画像データを、PDF、TIFF、又はJPEGを含む異なるファイル形式から、印刷装置104が理解できる形式に変換する。ページを処理するラスターイメージプロセスでは、ページがPostScript(登録商標)、PDF、又はその他のページ記述言語(PDL)として送信されるかどうかに関係なく、いくつかの手順を実行する必要がある。要するに、RIPファームウェア290は、解釈、ラスタライズ、及びスクリーニング(ディザリング)を提供することができる。
【0060】
ジョブファイル302は、印刷ジョブ103に関連付けられたジョブファイルであってもよい。ジョブファイル302は、コードを含むポストスクリプトファイルであってもよい。ジョブファイル302は、DFE106内のRIPファームウェア290に与えられて、そのコードをラスター又はビットマップコードに変換することができる。ジョブファイル302は、インタープリター304にて受信される。インタープリター304は、コード内のコマンドを解釈し、ページのオブジェクトと要素をベクトルオブジェクト306として再描画する。これにより、ジョブファイル302のPDLが読み取られ、グラフィック要素にデコードされてシート上に配置される。各要素は、画像、テキストの文字、塗りつぶし、ストローク等を含むことができ、ベクトルオブジェクト306にリストされる。
【0061】
レンダラー308は、ベクトルオブジェクト306を処理して、全てのグラフィック要素を適切なピクセルのパターンに変換して出力し、ラスター画像を形成する。ここでは、解像度に依存しないベクトルオブジェクトは、ピクセル310に変換される。スクリーニング312は、ピクセル310のラスター画像を取得して、個別にスクリーニング(ディザリング)されたシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのセパレーション(バンド)を形成する。これらは、印刷エンジン260が理解できるコマンドで構成されるビットマップ314の形式のハーフトーンドットである。
【0062】
また、RIPファームウェア290は、カラーコンバーター316を実装することができる。カラーコンバーター316は、色変換に関して上述にて開示された機能を実装することができる。カラーコンバーター316は、カラーマネジメント及びキャリブレーションを提供する。これらの処理は、構成とジョブの内容に応じて、解釈又はレンダリング中に適用される場合がある。カラーマネジメントを提供するために、カラー印刷リソース130にアクセスすることができる。
【0063】
RIPファームウェア290は、このバージョンを印刷システム100内の他のバージョンと区別する、ソフトウェアバージョン又はそれに関連付けられた他の識別情報を有することができる。印刷装置104は、印刷ジョブ103の種類に応じて、いくつかの異なるRIPファームウェアバージョンを実装することができる。さらに、異なる印刷装置は、RIPファームウェアの異なるバージョンを実装することができる。好ましくは、RIPファームウェア290はソフトウェアで実装される。
【0064】
図4は、開示された実施形態に係る、オフライン推定装置108における複数のRIP124からのRIPの選択のプロセスフロー図を示している。オフライン推定装置108は、印刷装置104のDFE106に実装されたRIPファームウェア290をエミュレートするために、RIPの最も適切なバージョンを選択する必要がある。DFEエミュレーター120は、この選択されたRIPを使用して、オフライン推定装置108で消耗品132の推定を実行することができる。
【0065】
図4によって開示された動作は、オフライン推定装置108で実施することができる。オフライン推定装置108は、消耗品の使用量を推定する際に使用する適切なRIPを選択するために、印刷装置に関する情報を検索する。好ましくは、オフライン推定装置108は、DFE106からDFEバージョン情報126を受け取る。この情報には、印刷エンジンモデル情報402が含まれる。異なる印刷装置は、印刷業務のために異なる印刷エンジンを使用することができる。これらの異なる印刷エンジンは、異なるRIPを利用する場合もある。印刷エンジンで使用されるさまざまなRIP内に、さまざまなバージョンが存在する場合がある。
【0066】
たとえば、DFEバージョン情報126は、印刷エンジンモデル情報402と共にRIPソフトウェアバージョン情報404を含むことができる。オフライン推定装置108は、印刷エンジンモデル及び正確なバージョン番号と一致するRIPを選択する。開示された実施形態は、異なる印刷装置のRIP間で選択することができる。たとえば、開示された実施形態は、印刷エンジンモデル情報402に基づいて、「TASKalfaPro 15000c RIP」ではなく、「MZ8001ic RIP」を選択することができる。
【0067】
また、印刷装置104において、開示された実施形態は、RIPソフトウェアバージョン情報404によって指定されるように、RIPソフトウェアの正確なバージョンを選択する。たとえば、印刷装置104には、「TASKalfaPro 15000c」モデルに対応づけられた印刷エンジン260があってもよい。このDFEには、5つの異なるソフトウェアバージョンが市場にリリースされている可能性がある。開示された実施形態は、印刷装置104が使用する正確なバージョンを使用して印刷ジョブを処理するために、RIPソフトウェアバージョン情報404からバージョン番号を引きだす。
【0068】
DFEバージョン情報126を使用して、オフライン推定装置108は複数のRIP124に問い合わせて、潜在的RIP494を生成する。これらの潜在的RIPは、DFE印刷エンジンモデル情報に関連付けられた特定の印刷装置用にリリースされた異なるソフトウェアバージョンであってもよい。オフライン推定装置108は、多くの異なるRIP及びそれらの異なるバージョンを含む。複数のRIP124が最新に保たれるようにするために、印刷システム100内に配備された様々なRIPへの更新をオフライン推定装置108で受信することができる。この機能により、RIPファームウェア290に関連しない別のRIPへの更新をDFE106が認識し続ける必要性を減少させられる。
【0069】
潜在的RIPが識別されると、オフライン推定装置108は、RIPソフトウェアバージョン情報404を使用して、印刷装置104におけるRIPの正確なバージョン番号を決定することができる。あるいは、開示された実施形態において、RIPファームウェア290として使用される複数のRIP内にあるRIPの正確なバージョン番号を使用することができる。この情報を使用して選択された選択RIP406が、潜在的なRIP494から決定される。なお、いくつかの実施形態においては、選択RIP406は、潜在的なRIP494を生成する必要なく、複数のRIP124から直接決定されてもよい。
【0070】
選択RIP406は、構成設定情報128を使用して、印刷装置104内のRIPファームウェア290をミラーリングするように構成される。オフライン推定装置108は、取得された印刷装置構成設定を使用して、選択RIP406を自動的に構成することができる。構成設定情報128内の構成設定の詳細は、後述にて開示する。また、オフライン推定装置108は、DFE106から提供されるカラー印刷リソース130を検索することができる。選択RIP406は、カラー印刷を行いながらカラー印刷リソース130を呼び出すことができる。カラーコンバーター316は、これらのリソースを適用して、印刷ジョブ内のデータを、印刷装置104で適用可能な色に変換することができる。
【0071】
推定を行うため、オフライン推定装置108内の選択RIP406は、RIPファームウェア290と同様に印刷ジョブ103を処理する。選択RIP406は、印刷ジョブ103の印刷チケット設定138も考慮する。上述にて開示したように、印刷チケット設定138は、両面印刷、ドラフト品質印刷の指定等、印刷ジョブに固有の設定を指定できる。換言すれば、印刷チケット設定138は、印刷ジョブ間で異なる場合がある。構成された選択RIP406は、印刷ジョブ103を完了するために必要とされる消耗品132の量を推定することができる。構成された選択RIP406は、消耗品量推定408を、オフライン推定装置108から提供する。見積もりは、クライアント端末102又は印刷装置104等、印刷システム100内の他の装置に送信されてもよい。
【0072】
評価可能とするため、印刷装置104のRIPファームウェア290をミラーリングするように選択RIP406を適合させ、任意の数の構成設定を構成設定情報128に指定することができる。これらの構成設定の例を図5に示す。開示された設定は全てを網羅するものではない。選択RIP406は、図3に開示されたRIPファームウェア290と同様の構成要素を含むことに留意されたい。
【0073】
図5は、開示された実施形態に係るオフライン推定装置108によって取り出された構成設定情報128及びカラー印刷リソース130内の構成設定のブロック図を示す。取得情報502は、DFE106によってオフライン推定装置108に提供されたデータを表すことができる。選択RIP406は、それに応じて構成される。
【0074】
構成設定情報128は、印刷装置104内でのインク及びトナーの使用に影響を与える印刷装置構成設定を含む。これらの設定には、印刷装置104で利用可能なマージン504(余白)が含まれる。マージン504は、印刷装置及びRIPファームウェアに応じて大きく又は小さくすることができる。マージンは、デフォルトとして、又は印刷ジョブ毎に設定できる。さらに、マージンはメディアに依存する場合がある。たとえば、印刷装置104において、大きい用紙サイズでは、1mm~4mmの間の余白を使用できる小さい用紙サイズとは異なる4mmのマージンを使用しなければならない。さらに、メディア属性によってマージンが制限される場合がある。たとえば、特定のメディアの特定のシートでは、印刷業務に最小限のマージンが必要な場合がある。この情報は通常、モデル固有であり、構成設定情報128で取得する必要がある。
【0075】
他の構成設定は、高度又は海抜の設定である高度設定506であってもよい。海抜等の高度は、インクの使用に影響を与える場合がある。一部のインクジェット印刷装置には、選択RIP406を構成するために使用できる高度に関連する設定が含まれている。この例を使用すると、印刷装置104は、0~1000m、1001~2000m、2001~3000m、及び3001m以上の四つの異なる高度の一つに設定できる。ヘッドは、印刷装置104の高度に応じて変更する必要がある場合がある。定着温度設定521も、印刷装置固有の設定として含めることができる。定着温度設定は、トナーデバイスに適用される場合があり、トナーも含む「インク」の使用に影響を与える可能性がある。この場合も、印刷装置104内のメンテナンスは、これらの温度設定に依存する場合がある。
【0076】
構成統合印刷設定508は、統合(マージ、差し込み)印刷に使用される命令を提供することができる。パージオプション510は、動作中にインクジェットヘッドがパージ(詰まりを抑えるためのクリーニング)される頻度を表すことができる。これらの処理は、インクの使用に影響を与える。大規模な生産印刷ジョブでは、印刷ジョブ中にパージが必要になる場合があり、パージは印刷ジョブの処理に使用されるインクの一部である。したがって、これらの設定も取得する必要がある。
【0077】
スポットカラー処理512は、スポットカラー動作の設定を提供して、印刷装置104の再現能力を決定することができる。繰り返すが、これらは、印刷業務中に定期的に実行する必要があり、大規模な印刷ジョブ中に複数回実行する必要がある場合がある。バーンシート514も含まれる。バーンシートは、印刷装置104のより多くの品質テストのために、特定の間隔で印刷することができる。これらの設定は、印刷装置固有のものであり、必要に応じて、又は指定に従って行うことができる。選択RIP406は、それに応じてこれらの設定で構成される。
【0078】
メンテナンス設定516は、印刷装置104のプリントヘッドのメンテナンスに関連してもよい。これらの設定は、ヘッドのメンテナンスがどのように行われるかに関連し得る。たとえば、パージオプション510に記載されているように、指定された間隔でパージシートを印刷するか、人間の目には見えないパターンを全ての印刷シートに印刷することによって、ヘッドメンテナンスを行うことができる。これらの動作により、全てのインクジェットが一定の間隔で射出されるようになる。これらのアクションは、インクの使用にも影響し得る。
【0079】
画像調整518は、倍率調整、画像の寸法の変更、用紙のスケーリング、印刷ジョブ内の画像又はグラフィックスに関する位置の変更に関する設定である。印刷装置104は、設定が印刷用の画像の調整に役立つようにするために、画像を正確に印刷できない場合がある。これらはまた、特に印刷ジョブ103が何らかの画像を含む場合に、インクの使用に影響を与える可能性がある。用紙固有設定520も、構成設定情報128に含まれる。印刷装置104に搭載される特定の用紙は、インクの使用に影響を与える独自の設定又は要件を含んでもよい。たとえば、にじみやインクの過剰使用を防ぐために、特定の用紙では、インクの使用が制限される場合がある。
【0080】
また、構成設定情報128は、デフォルトのCMYK、デフォルトのグレー、及びデフォルトのRGB ICCプロファイルを含み得る。また、デフォルトのレンダリングインテントとデフォルトのシミュレーションICCプロファイルが含まれる場合もある。オペレーターは、印刷装置104のこれらのデフォルトのカラーリソースを変更することができる。たとえば、デフォルトのシミュレーションプロファイルを「FOGRA51」から「GRACoL 2013」に変更することができる。これは、画質に影響を与える可能性がある。さらに、これらのデフォルトは、ジョブ設定の一部として印刷ジョブ毎に上書きされる場合がある。
【0081】
構成設定情報128に加えて、検索された情報には、DFE106内のカラー印刷リソース130が含まれる。これらのリソースは、印刷ジョブ103でカラー印刷が行われる際に選択RIP406を利用可能とするための、DFE106に格納されたファイルであってもよい。なお、カラー印刷リソース130は、印刷装置104での印刷の全てのインスタンスに適用されるわけではない。
【0082】
カラー印刷リソース130は、用紙カタログ522を含む。用紙カタログ522は、プロダクション印刷ショップ又は印刷システム100で利用可能なメディア在庫の属性を格納するDFE106上の用紙データベースであってもよい。用紙カタログ522は、複数の媒体属性の組み合わせを定義し、固有の各組み合わせに名前を付ける。また、各メディアにカラープロファイルを割り当てることもできる。また、送信された印刷ジョブ用に事前定義されたメディアを選択し、そのメディアを印刷装置104のトレイに割り当てることもできる。用紙グループ524も、用紙カタログ522内に含めることができる。用紙グループ524は、暗黙的(規則に基づいてシステムによって定義される)又は明示的となる(オペレーターによって定義される)。
【0083】
カラー印刷リソースには、キャリブレーション/TRC526及びICCプロファイル528も含まれる。これらは、印刷装置104でのカラー印刷に使用されるリソースである。好ましくは、この情報は印刷装置104に固有のものである。エンドポイント対象の設定(End Point Target Settings)であるEPT設定530も使用することができる。他の設定には、インク制限、総面積適用範囲等がある。これらの設定及びリソースは全て、RIPファームウェア290を使用して印刷ジョブを処理している間のインク使用に影響を与えるため、これらの設定及びリソースは、オフライン推定装置108内の選択RIP406で利用できるようになる。
【0084】
図6は、開示された実施形態に係る、対象印刷装置104での印刷動作のための消耗品132の使用量を推定するためのフローチャート600を示す。フローチャート600は、説明のために図1A図5を参照することができる。しかし、フローチャート600は、図1A図5によって開示された実施形態に限定されない。
【0085】
ステップS602は、印刷ジョブ103を受信する処理を実行する。印刷ジョブ103により、ドキュメント105が印刷される。上述のように、印刷ジョブ103は、結果として1000枚又は100000枚以上のシートを印刷する場合がある。印刷ジョブ103は、クライアント端末102によって印刷システム100に送信されてもよい。これは、オフライン推定装置108によるインク使用見積もりのために受信される。たとえば、顧客サイトのセールスパーソンは、印刷装置で印刷するために印刷ジョブを提出する前に、印刷ジョブ103をオフライン推定装置108に提出することができる。あるいは、印刷ジョブ103は、印刷装置104で受信されてもよい。印刷ジョブ103はまた、上述にて開示されたように、印刷チケット設定138を含んでもよい。
【0086】
ステップS604は、印刷システム100内の対象印刷装置を選択する処理を実行する。たとえば、印刷装置104は、印刷ジョブ103のドキュメント105を処理及び印刷するための対象印刷装置として選択され得る。ステップS606は、インク使用推定のためにRIPを構成するのに必要な情報を求めるクエリーを、DFE106に送信する処理を実行する。クエリーは、オフライン推定装置108によって送信されてもよい。DFE106は、クエリーを受信し、取得情報502として要求された情報をコンパイルする。
【0087】
ステップS608は、DFEバージョン情報126、構成設定情報128、及びカラー印刷リソース130を、オフライン推定装置108によってDFE106から取得する処理を実行する。この情報は、取得情報502として、ネットワーク190を介して送信され得る。ステップS610は、RIP406を選択する処理を実行する。いくつかの実施形態では、DFEバージョン情報126は、印刷装置104の印刷エンジンモデルと一致する印刷エンジンモデル情報402を含むことができる。また、RIPソフトウェアバージョン情報404を含むこともできる。RIPソフトウェアバージョン情報404は、RIPファームウェア290の適用可能なRIPソフトウェアのバージョン番号であってもよい。この情報は、印刷システム100内で利用可能な複数のRIP124に対してRIP406を選択するために使用される。
【0088】
ステップS612は、構成設定情報128を用いて選択RIP406を構成する処理を実行する。上述にて開示されたように、いくつかの構成設定がDFE106によって提供される。選択RIP406は、RIPファームウェア290と一致するように、これらの設定で構成される。いくつかの実施形態では、一致は、できるだけ近くなるようにする。これらの設定は、印刷ジョブ103を処理するときに、選択RIP406がどのように動作するかを通知する。ステップS614は、選択RIP406にカラー印刷リソース130を提供する処理を実行する。選択RIP406は、カラー印刷のために実行されるアクション、及びこれらのアクションを達成するためのインクの使用のされ方について、RIPファームウェア290を模倣することができる。
【0089】
ステップS616は、オフライン推定装置108内で選択RIP406を使用して、印刷チケット設定138を使用して印刷ジョブ103を処理する処理を実行する。開示された実施形態では、印刷ジョブ103がRIPファームウェア290を使用してDFE106で処理されているように、このプロセスを動作させるものの、DFE106でリソースを占有しないように、別の装置に配置して処理させてもよい。さらに、インク使用量推定値を得るために印刷装置104に直接アクセスする必要はない。この際、印刷ジョブ103は、あたかも印刷されるかのように処理される。ステップS618は、印刷ジョブ103のためにドキュメント105を印刷するための消耗品132の量を推定する処理を実行する。オフライン推定装置108は、選択RIP406及びその中の他の構成要素によって提供される結果を使用して、ドキュメント105を印刷するためのインク134又はトナー136の量を計算する。この推定は、印刷システム100内のユーザー又はオペレーターに提供され得る。たとえば、消耗品量の推定は、クライアント端末102又は印刷装置104に送信され得る。
【0090】
図7は、開示された実施形態に係る、オフライン推定装置108を使用して印刷動作のための消耗品量を推定する際に使用するための追加設定のブロック図を示している。図7は、上述にて開示したように、選択RIP406を構成する際に使用できる構成設定情報128への追加の機能を含む。さらに、DFE106は、印刷装置104で処理及び印刷するために印刷ジョブを「待ち行列(キュー)に入れる」ためのジョブキュー712を含む。ジョブキューに関する情報又は設定も、開示された実施形態に従ってインク使用量推定値を提供する際に使用され得る。
【0091】
DFE106は、印刷装置104のデフォルト設定702を含むことができる。デフォルト設定702は、印刷ジョブに対して明示的に何も指定されていない場合に、規定(デフォルト)の設定として、印刷装置104によって使用されることがある。これらの設定は、マージン504等、上述にて開示された他の構成設定の代わりに使用することができる。たとえば、印刷装置104は、デフォルト用紙プロファイル704、デフォルトシミュレーションプロファイル706、及びデフォルトソースプロファイル708を含むことができる。デフォルト用紙プロファイル704は、三つの異なるデフォルト用紙プロファイルを含んでいてもよい。これらのプロファイルは、DFE106内の印刷業務に使用できる。あるいは、印刷装置104は、単一のデフォルト用紙プロファイル704を含んでもよい。また、オペレーターがデフォルトプロファイルを変更できるようにすることもできる。
【0092】
デフォルト設定702は、印刷動作中にいくつかの状況で適用されるため、消耗品の推定に適用できる場合がある。さらに、それらは印刷装置104で変更される可能性があるため、推定が行われている時点で印刷装置のためにこの変更が取得されることが重要である。RIPファームウェア290は、ドキュメントの印刷においてデフォルト設定702に依存してもよい。したがって、選択RIP406は、推定が始まった後に印刷装置104に問い合わせる必要はなく、同じ処理を行い、オフラインでデフォルト設定にアクセスできるように構成されるべきである。
【0093】
デフォルト設定702は、デフォルト色処理オプション710も含む。カラー印刷の場合、DFE106及び印刷装置104は、印刷ジョブを処理し、カラー印刷に利用できるようにするデフォルト動作を開始することができる。上述のように、カラー印刷リソース130は、オフライン推定装置108に提供される。デフォルト色処理オプション710は、印刷ジョブ103に対してこれらのオプションが指定されていない場合に、デフォルトで様々なオプションを無効又は有効にすることができる。たとえば、ブラックポイント補正(Black Point Compensation、BPC)は、デフォルトで有効又は無効になっている。印刷ジョブ103でBPCが指定されていない場合は、デフォルト設定が使用される。別の例は、インク又はトナーを節約するために、インクの使用を制限するか、又は特定のカラー印刷動作を他のものに置き換える、デフォルト色処理オプション710の下のデフォルト色設定である。
【0094】
デフォルト設定702は、印刷装置104内で、全体設定に基づいて(global basis)で指定することができる。あるいは、デフォルト設定702は、キューに基づいて(queue basis)指定することもできる。DFE106は、二つ以上のジョブキュー712を含むことができる。たとえば、第一キュー714及び第二キュー716は、印刷装置104で受信され、DFE106内に保持される印刷ジョブのために実装され得る。第一キュー714は、モノクロ又は非カラーの印刷ジョブ用であってもよい。第二キュー716は、カラー印刷ジョブのためのものであってもよい。したがって、各キューは、その印刷ジョブの印刷動作に適用できる異なるデフォルト設定を持っている場合がある。
【0095】
上述の例を使用すると、第一キュー714のBPCのデフォルトオプションは、設定情報715のデフォルト色処理オプション710で設定することができる。BPCのデフォルトオプションは、設定情報715とは異なる設定情報717のデフォルト色処理オプション710で、第二キュー716に設定することもできる。オペレーターは、印刷業務でどのキューを使用するかを選択することができる。他の例によれば、第一キュー714内の印刷ジョブは、第二キュー716内の印刷ジョブよりも優先され得るか、又はより高い品質の印刷ジョブを受ける可能性がある。したがって、キューの構成とデフォルト設定は異なる場合がある。設定情報715は、第一キュー714に関する、この特定の情報を取得することができ、設定情報717は、第二キュー716に関するこの情報を取得することができる。印刷ジョブ103がDFE106内の特定のキューに送信される可能性があるため、この情報は、選択RIP406を構成するために提供されるべきである。
【0096】
デフォルト設定702、第一キュー714の設定情報715、及び第二キュー716の設定情報717は、オフライン推定装置108に提供される取得情報502内の構成設定情報128内の他の構成設定と共に含まれる。選択RIP406は、DFE106のRIPファームウェア290により適合するように、これらの設定、オプション、及び情報で構成される。
【0097】
フローチャート600を再び参照すると、ステップS608は、デフォルト設定702並びに設定情報715及び設定情報717を取得することを含み得る。これらは、構成設定情報128に含まれてもよく、ステップS612において選択RIP406を構成するために使用され得る。なお、他の実施形態において、デフォルト設定702は、構成設定情報128で明示的に指定されていない構成及び印刷装置設定を満たすために使用されてもよい。
【0098】
異なるキューの設定情報715及び設定情報717を使用して、デフォルト色処理オプションも適用することができる。選択RIP406は、印刷ジョブを保持するために割り当てられたジョブキューに従って印刷ジョブを処理するように構成することができる。上述のように、設定情報は、DFE106内に実装された異なるジョブキュー間で、異なる場合がある。この情報は、印刷装置104での印刷動作をより適切に一致させるために、オフライン推定装置108に提供される。
【0099】
図8は、開示された実施形態に係る、選択されたキューに基づいて消耗品132の使用量を推定するためのフローチャート800を示す。フローチャート800は、例示の目的で図1A図7を参照することができる。しかしながら、フローチャート800は、図1A図7によって開示された実施形態に限定されない。
【0100】
フローチャート800は、印刷ジョブ103を受信し、対象印刷装置104を選択し、オフライン推定装置108からクエリーを送信するステップS602~S606を組み込むことができる。さらに、DFEバージョン情報126もステップS608で検索される。また、構成設定情報128も、以下に開示されている追加機能とともに取得できる。
【0101】
ステップS802は、DFE106のジョブキュー712内のキューを選択する処理を実行する。オペレーターは、印刷ジョブ103を処理するキューを選択することができる。キューが異なれば、印刷ジョブの動作と処理も異なる場合があり得る。さらに、あるジョブキューが別のジョブキューよりも優先される場合がある。この場合、印刷ジョブ103を受信するために第一キュー714を選択することができる。ステップS804は、第一キュー714の設定情報715を取得する処理を実行する。設定情報715は、第一キュー714内の印刷ジョブのデフォルト設定702を含むことができる。
【0102】
ステップS806は、ステップS610で上述したように、複数のRIP124から選択RIP406を選択する処理を実行する。ステップS808は、RIPを構成するために任意のデフォルト設定702を適用する処理を実行する。たとえば、デフォルト色処理オプション710は、第一キュー714内の印刷ジョブに適用するためのデフォルト色処理設定を含むことができる。ステップS810は、印刷ジョブ103を受信するために、選択されたキューの設定情報715で選択RIP406を構成する処理を実行する。この構成には、デフォルト設定の使用も含まれる場合がある。フローチャート800は、ステップS614~S618を組み込んで、印刷ジョブ103の消耗品使用量の見積もりを生成することができる。
【0103】
図9は、開示された実施形態に従ってDFE106内で設定を生成するためにプロキシ印刷ジョブ908を使用して消耗品を見積もるブロック図を示す。いくつかの実施形態では、選択RIP406は、上述にて開示された構成に従う二つの主要構成要素(コアコンポーネント)を含むことができる。換言すれば、複数のRIP124は、RIPバージョン間で実質的に変わらない共有されたコアコンポーネントを含むことができる。オフライン推定装置108は、バージョン毎にコアコンポーネントを冗長に格納するのではなく、多数のRIPバージョン間で使用される共通のコアコンポーネントを格納することができる。オフライン推定装置108は、選択されたRIPの一部として推定動作を行うときに、コアコンポーネントを検索することができる。
【0104】
これらの共通のコアコンポーネントは、一つ又は複数の印刷装置に実装されているRIPで見られるものと一致する。たとえば、レンダラー902及びカラーコンバーター904は、オフライン推定装置108におけるRIPのコアコンポーネントであり得る。印刷業務については、これらのコンポーネントは、RIPファームウェア290のレンダラー308及びカラーコンバーター316として機能する。これらはオフライン推定装置108に配置されるので、これらのコンポーネントは異なるものとして示される。
したがって、開示された実施形態は、全てのエンジンモデル及びそのエンジンモデル内の全てのバージョンに対して異なるバージョンのRIPを有するのではなく、コアRIPソフトウェアのバージョンに基づいて、及びカラーマネジメントライブラリのバージョンに基づいて、RIPの異なるバージョンを有する。
【0105】
オフライン推定装置108は、印刷エンジン260が使用するものに基づいて、DFE106の一致するバージョンを選択する。ただし、DFEの全体的なバージョンを確認するのではなく、二つのコアコンポーネントのバージョンを確認し得る。たとえば、DFE106は、レンダラー308に関する情報をオフライン推定装置に提供して、複数のRIP124内のいくつかのRIPに共通であり得るレンダラー902を識別することができる。また、カラーコンバーター316に基づいてカラーコンバーター904を識別することができる。たとえば、レンダラー902に適用可能なバージョンは一つだけであるが、カラーコンバーター904に適用可能なバージョンはいくつかであり得る。なお、いくつかの実施形態では、レンダラー902のみがDFE106からの情報により識別される。
【0106】
インクの見積もりが要求されると、オフライン見積もり装置は、印刷装置104に対して特別なジョブを生成し得る。この特別なジョブは、クライアント端末102又は印刷装置104からではなく、オフライン推定装置108で生成されるプロキシ印刷ジョブ908である可能性がある。プロキシ印刷ジョブ908は、見積対象の印刷ジョブ103の印刷チケット設定138を含む。さらに、プロキシ印刷ジョブ908は、印刷ジョブ103のジョブファイルに関するメタデータ906を含む。メタデータ906は、例えば、PDF等のジョブファイルに埋め込まれたファイルサイズ及び出力意図を含み得る。
【0107】
好ましくは、プロキシ印刷ジョブ908は、印刷ジョブ103のジョブファイルを含まない。したがって、プロキシ印刷ジョブ908は、印刷装置104で受信される通常の印刷ジョブと比較して大きなファイルではない。プロキシ印刷ジョブ908は、DFE106によって受信される。DFE106は、プロキシ印刷ジョブ908を処理して、それが印刷装置104に提出された場合にジョブがどのように処理されるかを決定する。いくつかの実施形態では、印刷ジョブ103を受信するために第一キュー714を指定することができる。したがって、プロキシ印刷ジョブ908は、それに応じて第一キュー714に入れられる。
【0108】
DFE106は、プロキシ印刷ジョブ908を使用して、印刷ジョブ103のドキュメントを印刷するためのモデル固有の設定を決定し得る。たとえば、マージン504が印刷装置104上の指定されたサイズに制限されていると判断することができる。マージン504は、印刷装置毎に異なり、その設定が印刷動作及び消耗品132の使用にどのように影響するかについて、各印刷装置に照会する必要がある。さらに、DFE106は、印刷ジョブ103に使用される色変換設定912を決定するために使用される論理フローを通過する。いくつかの実施形態では、正確な色変換設定が決定される。
【0109】
プロキシ印刷ジョブ908には実際の「ジョブファイル」がないため、処理は非常に高速であるか、少なくとも印刷ジョブ103を処理するよりも高速である必要がある。DFE106は、印刷装置104で印刷ジョブ103を実際に処理するために使用されるべき構成設定情報910及び色変換設定912を決定する。これらの項目は、取得情報502に含まれ、オフライン推定装置108に送信される。また、これらの設定は、要求に応じて生成されるため、上述にて開示した構成設定情報128及びカラー印刷リソース130とは異なる場合がある。それらは、後で使用するために必ずしもDFE106に格納されるとは限らない。
【0110】
構成設定情報910及び色変換設定912は、上述にて開示したように、選択RIP406を構成するためにオフライン推定装置108によって使用される。開示されたプロセスの利点は、オフライン推定装置108内で異なるRIPインスタンスの数を減らすことができることである。さらに、オフライン推定装置108は、色変換をどのように実行するかを正確に決定するために使用されるロジックを複製する必要がない。DFE106は、このロジックを実行し、出力をオフライン推定装置108に返す。したがって、これらの実施形態は、オフライン推定装置108を、より効率的にすることができる。
【0111】
図10は、開示された実施形態に係る、オフライン推定装置108によってプロキシ印刷ジョブ908を使用するためのフローチャート1000を示す。フローチャート1000は、説明のために図1A図9を参照することができる。しかし、フローチャート1000は、図1A図9によって開示された実施形態に限定されない。
【0112】
ステップS1002は、好ましくはオフライン推定装置108で印刷ジョブ103を受信する処理を実行する。このステップは、上述にて開示したステップS602と同様である。ステップS1004は、対象印刷装置104を選択する処理を実行する。このステップは、上述のステップS604と同様である。ステップS1006は、DFEバージョン情報126を取得する処理を実行する。印刷装置104のDFE106に要求が送信される。構成設定情報128及びカラー印刷リソース130は取得されないことに留意されたい。ステップS1008は、DFEバージョン情報126を使用して、複数のRIP124からRIP406を選択する処理を実行する。選択RIP406は、レンダラー902及びカラーコンバーター904等のコアコンポーネントを含み得る。
【0113】
ステップS1010は、プロキシ印刷ジョブ908を生成する処理を実行する。上述のように、プロキシ印刷ジョブ908は、印刷ジョブ103に対応する。プロキシ印刷ジョブ908は、印刷ジョブ103とともに提出された印刷チケット設定138及びメタデータ906を含むことができる。ステップS1012は、プロキシ印刷を送信する処理を実行する。プロキシ印刷ジョブ908をオフライン推定装置108から印刷装置104のDFE106に送信する。プロキシ印刷ジョブ908を受信するために、第一キュー714等のジョブキューを指定することができる。
【0114】
ステップS1014は、DFE106でプロキシ印刷ジョブ908を処理する処理を実行する。DFE106は、プロキシ印刷ジョブ908を処理して、印刷ジョブ103が印刷装置104に提出された場合にどのように処理されるかを決定する。上述にて開示したように、プロキシ印刷ジョブ908を「印刷」するために必要な印刷装置104の構成設定が決定される。DFE106は、印刷される印刷ジョブ103として機能するプロキシ印刷ジョブ908を準備するための論理フローを通過する。
【0115】
ステップS1016は、DFE106でプロキシ印刷ジョブ908の構成設定情報910を決定する処理を実行する。構成設定情報910の構成設定は、DFEバージョン情報126が検索されるときではなく、この時点で生成及び決定される。ステップS1018は、プロキシ印刷ジョブ908によって提供される情報を使用して、印刷ジョブ103に使用される色変換設定912を決定する処理を実行する。
【0116】
ステップS1020は、構成設定情報910及び色変換設定912をDFE106からオフライン推定装置108で受信する処理を実行する。ステップS1024は、印刷ジョブ103を処理する処理を実行する。ステップS1024は、上述にて開示されたステップS616と同様である。ステップS1026は、消耗品132の量を推定して、印刷ジョブ103のドキュメント105を印刷する処理を実行する。ステップS1026は、上述にて開示したステップS618と同様である。
【0117】
当業者には理解されるように、本発明は、システム、方法、又はコンピュータープログラム製品として具現化することができる。したがって、本発明は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)、又はソフトウェアとハードウェアの側面を組み合わせた実施形態であり、本明細書では全て一般的に「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ぶことができる形態をとることができる。さらに、本発明は、コンピューターで使用可能なプログラムコードが具現化された有形の表現媒体に具現化されたコンピュータープログラム製品の形をとることができる。
【0118】
一つ又は複数のコンピューター使用可能又はコンピューター可読媒体の任意の組み合わせを利用することができる。コンピューター使用可能又はコンピューター可読媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体のシステム、装置、装置、又は伝播媒体であり得るが、これらに限定されない。コンピューター可読媒体のより具体的な例(網羅的ではないリスト)には、次のものが含まれる。専用メモリー(ROM)、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリー(EPROM又はフラッシュメモリー)、光ファイバー、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリー(CD-ROM)、光記憶装置、サポートしているような伝送媒体インターネット又はイントラネット、又は磁気記憶装置である。コンピューター使用可能又はコンピューター可読媒体は、プログラムが印刷された紙又は別の適切な媒体でさえあり得ることに留意されたい。プログラムは、例えば、紙又は他の媒体の光学走査を介して電子的にキャプチャされ、コンパイルされ、解釈されることができ、必要に応じて適切な方法で処理され、コンピューターのメモリーに保存され得る。
【0119】
本発明の動作を実行するためのコンピュータープログラムコードは、Java、Smalltalk、C++等のオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」若しくは類似のプログラミング言語等の従来の手続き型プログラミング言語を含む、一つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記載されてもよい。プログラムコードは、完全にユーザーのコンピューター上、部分的にユーザーのコンピューター上、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザーのコンピューター上で部分的にリモートコンピューター上、又は完全にリモートコンピューター又はサーバー上で実行することができる。後者のシナリオでは、ローカルエリアネットワーク(LAN)やワイドエリアネットワーク(WAN)等、任意の種類のネットワークを介してリモートコンピューターをユーザーのコンピューターに接続するか、外部コンピューターに接続することができる(たとえば、インターネットサービスプロバイダーを使用してインターネット経由で)。
【0120】
本発明は、本発明の実施形態に係る方法、装置(システム)、及びコンピュータープログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して説明される。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図及び/又はブロック図におけるブロックの組み合わせは、コンピュータープログラム命令(インストラクション)によって実装できることが理解されるであろう。これらのコンピュータープログラム命令は、汎用コンピューター、専用コンピューター、又は他のプログラム可能なデータ処理装置の制御部に提供されて、命令がコンピューター又は他のプログラム可能なデータ処理装置の制御部を介して実行されるように機械を生成することができ、フローチャート及び/又はブロック図ブロック又はブロックで指定された機能/動作を実装するための手段を作成し得る。
【0121】
図中のフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態に係るシステム、方法、及びコンピュータープログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、及び動作を示している。これに関して、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための一つ又は複数の実行可能な命令を含むモジュール、セグメント、又はコードの一部を表すことができる。また、いくつかの代替実装では、ブロックに記載されている機能が、図に記載されている順序とは異なる場合があることにも留意されたい。たとえば、関連する機能に応じて、連続して示される二つのブロックが実際には実質的に同時に実行されるか、ブロックが逆の順序で実行される場合がある。ブロック図若しくはフローチャート図の各ブロック、及びブロック図若しくはフローチャート図のブロックの組み合わせは、指定された機能又は行為を実行する専用ハードウェアベースのシステム、又は専用ハードウェアとコンピューター命令の組み合わせによって実装できることにも留意されたい。
【0122】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図しない。本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形も含むことを意図する。本明細書で使用される場合、「含む」又は「含み得る」という用語は、記載された機能、整数、ステップ、動作、要素、又は構成要素の存在を特定するもののが、一つ又は複数の他の機能、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除しないことが更に理解されるであろう。
【0123】
実施形態は、コンピュータープロセス、コンピューティングシステムとして、又はコンピューター可読媒体のコンピュータープログラム製品等の製品として実装され得る。コンピュータープログラム製品は、コンピューターシステムによって読み取り可能であり、コンピュータープロセスを実行するためのコンピュータープログラムインストラクションを符号化するコンピューター記憶媒体であってもよい。アクセスされると、命令によって、制御部は、他のコンポーネントが上記で開示された機能を実行できるようになる。
【0124】
以下の特許請求の範囲における全ての手段又はステップと機能要素の対応する構造、材料、行為、及び均等物は、他の特許請求された要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料又は行為を含むことを意図している。本発明の説明は、例示及び説明を目的として提示されたものであり、網羅的であること、又は開示された形態の本発明に限定されることを意図していない。本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者には多くの修正及び変形が明らかであろう。実施形態は、本発明の原理及び実際の適用を最もよく説明し、当業者が、考えられる特定の用途に適したさまざまな変更を伴う実施形態について本発明を理解できるようにするために選択され、説明された。
【0125】
開示されたネットワーク又はシステムの一つ又は複数の部分は、情報及びデータを交換できるネットワークに結合された一つ又は複数の印刷システムにわたって分散され得る。印刷システムの様々な機能及びコンポーネントは、複数のクライアントコンピュータープラットフォームに分散されるか、分散システムの一部としてタスクを実行するように構成される。これらのコンポーネントは、プロトコルを使用してネットワーク経由で通信する実行可能コード、中間コード、又は解釈済みコードの場合がある。コンポーネントは、ネットワーク内のコンポーネントを識別するために、アドレス又はその他の指示子を指定している場合がある。
【0126】
当業者には、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、開示されたものに様々な変更を加えることができることが明らかであろう。したがって、本発明は、これらの変更が特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内にあるという条件で、上に開示された修正及び変更を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0127】
100 印刷システム
102 クライアント端末
103 印刷ジョブ
104 印刷装置
105 ドキュメント
106 DFE
108 オフライン推定装置
110 I/Oサブシステム
112 制御部
114、206 記憶部
116 見積もりデータベース
118 推定ロジック
120 DFEエミュレーター
122 印刷エンジンエミュレーター
124 複数のRIP
126 DFEバージョン情報
128、910 構成設定情報
130 カラー印刷リソース
132 消耗品
134 インク
136 トナー
138 印刷チケット設定
181 レシーバー
184 CMYKデータストレージ
185 入出力コネクター
186 補正ユニット
188 ウェブユーザーインターフェイス
190 ネットワーク
201 コンピューティングプラットフォーム
202 CPU
204 画像形成ユニット
208 操作パネル
210 ネットワーク通信インターフェイス
211 フィニッシャー
212 用紙カセット
214 メモリー
215 命令
216 表示ユニット
217 入力ユニット
218 ネットワーク通信処理ユニット
220 プリンターコンポーネント
222 コピーコンポーネント
224 スキャナーコンポーネント
226 ファクシミリコンポーネント
227 出力容器
230 ドキュメントフィーダートレイ
260 印刷エンジン
262 センサー
290 RIPファームウェア
302 ジョブファイル
304 インタープリター
306 ベクトルオブジェクト
308、902 レンダラー
310 ピクセル
312 スクリーニング
314 ビットマップ
316、904 カラーコンバーター
402 印刷エンジンモデル情報
404 RIPソフトウェアバージョン情報
406 選択RIP
408 消耗品量推定
494 潜在的RIP
502 取得情報
504 マージン
506 高度設定
508 構成統合印刷設定
510 パージオプション
512 スポットカラー処理
514 バーンシート
516 メンテナンス設定
518 画像調整
520 用紙固有設定
521 定着温度設定
522 用紙カタログ
524 用紙グループ
526 キャリブレーション/TRC
528 ICCプロファイル
530 EPT設定
600、800、1000 フローチャート
702 デフォルト設定
704 デフォルト用紙プロファイル
706 デフォルトシミュレーションプロファイル
708 デフォルトソースプロファイル
710 デフォルト色処理オプション
712 ジョブキュー
714 第一キュー
715、717 設定情報
716 第二キュー
906 メタデータ
908 プロキシ印刷ジョブ
912 色変換設定
図1A
図1B
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