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特開2023-140320ロータリーエンコーダー及びロータリーエンコーダーを動作させる方法
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  • 特開-ロータリーエンコーダー及びロータリーエンコーダーを動作させる方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140320
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ロータリーエンコーダー及びロータリーエンコーダーを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/30 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
G01B7/30 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023041703
(22)【出願日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】10 2022 106 688.6
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】522068533
【氏名又は名称】ヨハネス ヒュプナー ファブリーク エレクトリッシャー マシーネン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブランク トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マイバーガー ズィーモン
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA31
2F063BA17
2F063CA18
2F063CA28
2F063EA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ホイスト、クレーン等の機械のためのロータリーエンコーダー及びロータリーエンコーダーを動作させる方法を提供する。
【解決手段】ロータリーエンコーダー10は、シャフトの回転を検出するために機械のシャフトに接続可能なロータリーエンコーダーシャフト12を有し、ロータリーエンコーダー10は、機械に取付可能なフレーム11を有し、フレーム11は、ロータリーエンコーダーシャフト12の回転を検出するためにフレーム11に配置されたエンコーダー素子13と、回転角度信号及び/又は速度信号を出力するための信号出力素子14と、を有し、ロータリーエンコーダー10は、ロータリーエンコーダーシャフト12をフレーム11に回転可能に取り付けるための軸受装置20を有し、ロータリーエンコーダー10は、ロータリーエンコーダーシャフト12と軸受装置20とをフレーム11から電気的に絶縁する絶縁装置を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にホイスト、クレーン等の機械のためのロータリーエンコーダー(10)であって、
前記ロータリーエンコーダーは、シャフトの回転を検出するために機械の前記シャフトに接続可能なロータリーエンコーダーシャフト(12)を有し、
前記ロータリーエンコーダーは、機械に取付可能なフレーム(11)を有し、
前記フレーム(11)は、ロータリーエンコーダーシャフトの回転を検出するためにフレーム(11)に配置されたエンコーダー素子(13)と、回転角度信号及び/又は速度信号を出力するための信号出力素子(14)と、を有し、
前記ロータリーエンコーダーは、前記ロータリーエンコーダーシャフトを前記フレームに回転可能に取り付けるための軸受装置(20)を有し、
前記ロータリーエンコーダーは、前記ロータリーエンコーダーシャフトと前記軸受装置とを前記フレームから電気的に絶縁する絶縁装置(19)を有することを特徴とする、
ロータリーエンコーダー。
【請求項2】
前記絶縁装置(19)は、前記シャフト及び/又は前記ロータリーエンコーダーシャフト(12)に誘導される電流が、前記フレーム(11)に放電することが遮断されるように形成され得ることを特徴とする、請求項1に記載のロータリーエンコーダー。
【請求項3】
前記フレーム(11)は、前記エンコーダー素子(13)、前記信号出力素子(14)及び前記軸受装置(20)が収容されたハウジング(15)として形成されていることを特徴とする、請求項1-2のいずれか1項に記載のロータリーエンコーダー。
【請求項4】
前記軸受装置(20)は、少なくとも1つの軸受、好ましくは転がり軸受(21)、より好ましくは2つ以上の転がり軸受を有することを特徴とする、請求項1―3のいずれか1項に記載のロータリーエンコーダー。
【請求項5】
前記軸受は、前記ロータリーエンコーダーシャフト(12)に直接的に接続されていることを特徴とする、請求項4に記載のロータリーエンコーダー。
【請求項6】
前記軸受装置(20)は、前記軸受又は複数の軸受を支持し、かつ少なくとも部分的に囲う支持要素(22)を備えることを特徴とする、請求項4―5のいずれか1項に記載のロータリーエンコーダー。
【請求項7】
前記絶縁装置(19)は、前記フレーム(11)と前記軸受装置(20)との間に配置された誘電材料によって形成されていることを特徴とする、請求項1―6のいずれか1項に記載のロータリーエンコーダー。
【請求項8】
前記誘電材料は、プラスチック、絶縁紙、雲母又はセラミックであることを特徴とする、請求項7に記載のロータリーエンコーダー。
【請求項9】
前記絶縁装置(19)は、複数の絶縁要素(26,27,28,29)によって形成され、
前記軸受装置(20)は、前記絶縁要素を介して前記フレーム(11)に強固に接続されていることを特徴とする、請求項1―8のいずれか1項に記載のロータリーエンコーダー。
【請求項10】
前記絶縁装置(19)は、少なくともスリーブ及び/又はプレートとして形成されていることを特徴とする、請求項1―9のいずれか1項に記載のロータリーエンコーダー。
【請求項11】
前記絶縁装置は、誘電材料によって形成され、
前記支持要素は、前記絶縁装置を形成することを特徴とする、請求項6に記載のロータリーエンコーダー。
【請求項12】
請求項1―11のいずれか1項に記載のロータリーエンコーダー(10)と、特にホイスト、クレーン等の機械と、を有するロータリーエンコーダー装置であって、
前記ロータリーエンコーダーは、前記シャフトの回転を検出するように前記機械のシャフトに接続されている、
ロータリーエンコーダー装置。
【請求項13】
特にホイスト、クレーン等の機械のためのロータリーエンコーダー(10)を動作させる方法であって、
前記ロータリーエンコーダーのロータリーエンコーダーシャフト(12)は、シャフトの回転を検出し、
前記ロータリーエンコーダーシャフト(12)は、機械のシャフトに接続され、
前記ロータリーエンコーダーのエンコーダー素子(13)は、前記ロータリーエンコーダーのフレーム(11)に配置され、前記ロータリーエンコーダーシャフトの回転を検出し、
前記フレーム(11)は、前記機械に固定され、
回転角度信号及び/又は速度信号は、前記ロータリーエンコーダーの信号出力素子(14)によって出力され、
前記ロータリーエンコーダーシャフトは、前記ロータリーエンコーダーの軸受装置(20)を介して前記フレームに回転可能に取り付けられ、
前記ロータリーエンコーダーシャフト及び前記軸受装置は、前記ロータリーエンコーダーの絶縁装置(19)によって前記フレームから電気的に絶縁されていることを特徴とする方法。
【請求項14】
少なくとも、前記ロータリーエンコーダーシャフト(12)と前記フレーム(11)との間、前記軸受装置(20)と前記フレームとの間、機械の前記シャフトと前記フレームとの間及び/又は前記軸受装置と前記ロータリーエンコーダーシャフトとの間における電気信号及び/又は電位が、前記ロータリーエンコーダー(10)の測定要素によって検出されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
電気信号が測定要素によって生成され、
前記電気信号は、前記軸受装置(20)の少なくとも軸受、好ましくは少なくとも転がり軸受(21)、及び/又は前記機械の前記シャフトの軸受を介して伝導及び測定されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記測定要素は、動作期間にわたって電気信号の変化を検出し、
前記測定要素は、物理量を、好ましくは前記機械の前記シャフトの軸受、前記軸受装置(20)及び/又は前記機械のアタッチメントの負荷依存の損傷評価を、決定及び出力することを特徴とする、請求項14―15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にホイスト、クレーン等の機械のためのロータリーエンコーダー、及びロータリーエンコーダーを動作させる方法に関し、ロータリーエンコーダーはシャフトの回転を検出するために機械のシャフトに接続可能であり、ロータリーエンコーダーは機械に取付可能なフレームを備え、フレームは、ロータリーエンコーダーシャフトの回転を検出するためにフレーム上に配置されたエンコーダー素子と、ロータリーエンコーダー信号及び/又は速度信号を出力するためのシグナル出力素子とを備え、ロータリーエンコーダーは、ロータリーエンコーダーシャフトをフレームに回転可能に取り付けるための手段としての軸受装置を備える。
【背景技術】
【0002】
この種のロータリーエンコーダー及び方法は、先行技術として良く知られ、基本的にアクスル又はシャフトの位置及び速度を検出するために用いられる。ロータリーエンコーダーは、機械に結合可能なロータリーエンコーダーシャフトと、機械的、光学的、容量性、誘導性又は磁気的なエンコーダー素子又は検出素子と、を少なくとも備える。エンコーダー素子は、例えば、インクリメンタルエンコーダー又はアブソリュートエンコーダーを形成することができる。機械を用いる実施形態においては、エンコーダー素子は、スイッチ又はメーターであり得る。エンコーダー素子は、シャフトの回転についての回転角度信号又は速度信号のような信号を生成することができる。信号出力素子を介し技術規格に合わせて変換又は調整され得る対応する信号は、このように、信号出力素子によってこれらの信号に基づいて出力され得る。信号出力素子は、一般に、信号伝送用のケーブルによって又はワイヤレスによって、評価装置、機械制御等に接続される。この種のロータリーエンコーダーは、DE 10 2013 204 399 A1号より知られている。
【0003】
ロータリーエンコーダーは、例えば、大型の機械又は設備に使用されており、作動中には大きなストレスを受けることになる。したがって、ロータリーエンコーダーが機械的及び熱的な影響に対して比較的耐性があるように、一般にロータリーエンコーダーのハウジングは金属製である。ロータリーエンコーダーの固定は、例えばハウジングがねじによって機械に接続されることによって行われる。機械に接続するため、補償電流又は軸電流がシャフトに接続されたロータリーエンコーダーに流れ、これによって特に転がり軸受のような軸受の破損が発生しうる問題がある。このような軸受の損傷を避けるため、接地接点を介してシャフトを接地すること、及び/又は軸受の代わりに実質的に接地接点を介して誘導電流を制御されたやり方で放電することを確実にするために、シャフトにいわゆる接地接点を接続することが知られている。接地接点は追加の構成要素であるので、常に使用可能とは限らず不要なコストも発生する。加えて、軸電流が多いことは、不要な電力損失及び高い動作温度の原因となる。また、機械のシャフトを結合器を介してロータリーエンコーダーのシャフトから電気的に絶縁することが知られている。しかしながら、この種の絶縁カップリングでは、対応する絶縁アダプターシャフト又は絶縁ブッシングが、同心度の誤差を最小限に抑えるために、高精度で製造され組立てられなければならない。このような解決法は、取付インターフェイスの設計において、より多くの取付スペースが必要になるとともに、対応する制約条件が課される場合がある。さらに、結果として生じる力が、軸受の摩耗を増加させる可能性がある。設計によっては、絶縁カップリングには小さな負荷しかかけられないこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような接続では、異物混入及び湿気のせいで絶縁性の接続の抵抗を減少させ、これによって軸電流に対する保護機能が低下する可能性がある。さらに、絶縁軸受は知られてはいるが、全ての標準的なサイズ及び設計の軸受で利用可能なわけではない。いわゆるハイブリッド軸受に用いられる異なる材料、例えば鋼及びセラミックは、熱膨張係数も異なり、そのため動作温度範囲が制限される。ハイブリッド軸受では、ボールはセラミックで形成され得て、軸受外殻の絶縁もセラミックコーティングによって形成され得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の目的は、簡単な方法によって軸受の破損を防ぐ、ロータリーエンコーダー、ロータリーエンコーダー装置及びロータリーエンコーダーを動作させる方法を提案することにある。
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有するロータリーエンコーダー、請求項12の特徴を有するロータリーエンコーダー装置及び請求項13の特徴を有する方法によって達成される。
【0007】
特にホイスト、クレーム等の機械のための本発明によるロータリーエンコーダーは、シャフトの回転を検出するために機械のシャフトに接続可能なロータリーエンコーダーを有し、このロータリーエンコーダーは、機械に取付可能なフレームを有し、フレームは、ロータリーエンコーダーシャフトの回転を検出するためにフレームに配置されたエンコーダー素子と、回転角度信号及び/又は速度信号を出力するための信号出力素子と、を有し、ロータリーエンコーダーは、ロータリーエンコーダーシャフトをフレームに回転可能に取り付けるための軸受装置を有し、ロータリーエンコーダーは、ロータリーエンコーダーシャフトと軸受装置とをフレームから電気的に絶縁する絶縁装置を有する。
【0008】
よって、本ロータリーエンコーダーシャフトは、機械のシャフトに回転可能に取り付けられ、その機械としては例えば電気モーターがあり得る。本発明の目的のため、シャフトはアクスルを意味するとも理解される。シャフトは、機械のドライブユニットに直接的に結合され得る。しかし、一般に、ロータリーエンコーダーシャフトは、アクスルにも回転可能に接続され得る。フレームは、エンコーダー素子を機械に固定するのに役立ち、ロータリーエンコーダーシャフトが回転している時に、回転角度信号及び/又はスピード信号が生成され得るように、エンコーダー素子は、ロータリーエンコーダーシャフト上に配置され、この回転角度信号及び/又はスピード信号は信号出力素子によって送信され処理もされ得る。エンコーダー素子及び信号出力素子は、先行技術に知られているエンコーダー素子及び信号出力素子のように設計され得る。さらに、ロータリーエンコーダーシャフトは、軸受装置によってフレーム上に回転可能に取り付けられる。ロータリーエンコーダーは、ロータリーエンコーダーシャフトと軸受装置とをフレームから電気的に絶縁する絶縁装置を有するので、シャフト及び/又はロータリーエンコーダーシャフトの補償電流又は軸電流が、軸受装置を介してフレーム及び/又は機械の構成要素に流れることを防ぐことができる。これにより、ロータリーエンコーダーシャフトと、シャフト、特定の軸受、結合器又は接地接点との間に絶縁アダプターシャフトを設ける必要がなくなる。フレームとロータリーエンコーダーシャフト及び/又は軸受装置との間で電位が生成される可能性はあるが、軸受装置によって容易にはオフセットされ得ず及び/又は絶縁装置のために電流としては流れ得ない。このように、絶縁装置だけによって、複雑な技術的対策を追加することなく、例えばロータリーエンコーダーや機械に対する軸受の損傷を容易に防ぐことができるようになる。さらに、絶縁装置は、ロータリーエンコーダーシャフトとフレームとの間、機械のシャフトとフレームとの間、軸受装置とフレームとの間、及び/又は軸受装置とロータリーエンコーダーシャフトとの間において、電気信号及び/又は電位を入力及び/又は検出する可能性を開く。測定要素によって、電気信号及び/又は電位の変化が測定され得て、例えば、ロータリーエンコーダーシャフトの軸受、機械のシャフト及び/又は軸受装置の損傷の値のような物理量が決定され得る。特に、ロータリーエンコーダー及び/又は結合器、アダプターシャフト又はトルクサポートを含むエンコーダーアタッチメントの物理量又は損傷値、さらに、例えば機械の軸受の損傷値が決定され得る。軸受装置を絶縁することによって、駆動列全体の電気的な状態を監視するための全ての方法は、ロータリーエンコーダーに統合されて、取り付け箇所が一箇所に減らされ得る。
【0009】
絶縁装置は、シャフト及び/又はロータリーエンコーダーシャフトに誘導又は入力された電流がフレームに放電されることを遮断するように形成され得る。フレームは一般に機械に取り付けている間は機械によって接地されるので、絶縁装置は、軸受装置又はロータリーエンコーダーシャフトを介してフレームに電流が流れることを防ぎ得る。よって、ロータリーエンコーダーの軸受装置の状態監視及び/又は機械の軸受を通じた駆動列のその他の部分の状態監視が実現され得て、それぞれは分離もされ得る。もし例えば、絶縁された結合器等がロータリーエンコーダーシャフトと機械のシャフトとの間に用いられるなら、機械のシャフトの接触は、適切な追加の装置によって影響され得る。
【0010】
フレームは、エンコーダー素子、信号出力素子及び軸受装置が収容され得るハウジングとして形成され得る。このハウジングは、自己完結型(self-contained)のハウジングであってもよく、複数の部品により実現されてもよい。ハウジングは、機械に固定するためのフランジを備えるように設計され得る。軸受装置の台座は、ハウジングの中に形成され得る。エンコーダー素子は、回転角度信号及び/又は速度信号が生成され得るように、ロータリーエンコーダーシャフトを囲うきざみ(Inkremente、増分)を有するプレートと、そのきざみを検出するための検出器と、によって形成され得る。信号出力素子は、それぞれの信号を処理し送信するためのディスクリート回路で形成され得る。エンコーダー素子及び信号出力素子は、ハウジングに固定され得る。
【0011】
軸受装置は、少なくとも1つの軸受、好ましくは転がり軸受、より好ましくは2つ以上の転がり軸受を有し得る。転がり軸受は、標準化及び/又は正規化された、安価で容易に入手可能な非絶縁の転がり軸受であることが重要である。転がり軸受は、例えば深溝玉軸受であり得る。代替として、この軸受装置は、少なくとも1つの平軸受、好ましくは2つ以上の平軸受を有し得る。
【0012】
軸受又は転がり軸受は、ロータリーエンコーダーシャフトに直接的に接続され得る。例えば中間ばめ又は締まりばめ等の嵌め合いが、ロータリーエンコーダーシャフトの外径と軸受又は転がり軸受の内径との間に形成され得る。よって軸受又は転がり軸受は、ロータリーエンコーダーシャフトに直接的に接触し得る。
【0013】
前記軸受装置は、軸受又は転がり軸受、若しくは複数の軸受又は転がり軸受を支持し、かつ少なくとも部分的に囲う支持要素を備え得る。この支持要素は、例えば、軸受や複数の軸受や転がり軸受が挿入されたスリーブのような方法で形成され得る。この場合、軸受又は転がり軸受の外径は、例えば中間ばめ又は締まりばめ又は接着接続等の、嵌め合いによってスリーブの内径に直接的に接続され得る。よって、軸受又は転がり軸受を取り付けることは、フレームに関係なく、著しく促進され得る。支持要素及び/又はスリーブは、フランジを介して支持要素がフレームに固定され得るフランジを形成してもよい。絶縁装置は、軸受又は転がり軸受の安全かつ容易な取り付けを確実にしつつ、ハウジングからの支持要素の電気的絶縁を可能にする。同時に、特別な転がり軸受の設計が必要とされることがないので、安価な転がり軸受も使用できる。支持要素は、支持要素が異なる種類のロータリーエンコーダーに使用され得るように、ロータリーエンコーダーのためのモジュラーデザインを可能にし得る。さらに、支持要素は、軸受又は転がり軸受を介する信号の入力又は電位の測定のための電線への電気的な接続を、著しく促進する。
【0014】
絶縁装置は、フレームと軸受装置との間に配置され得る誘電材料によって形成され得る。そのような誘電材料により絶縁装置は比較的、薄くすることができ、その結果、本絶縁装置は、それほど多くの取付スペースは必要としない。
【0015】
この誘電材料は、プラスチック、絶縁紙、雲母又はセラミックであり得る。さらに、積層布又はプリント基板材料のような他の既知の誘電材料も用いられ得る。本絶縁装置は、空隙を形成してもよい。また誘電材料は、表面被覆を形成し得て、例えば塗装や陽極被覆であり得る。
【0016】
本絶縁装置は、複数の絶縁要素によって形成され得て、軸受装置は、この絶縁要素を介してフレームに強固に接続される。絶縁要素は、軸受装置がフレームに取り付けられる、そうでないならフレームと接触する、軸受装置とフレームとの間の位置に配置され得る。
【0017】
絶縁装置は、少なくとも1つのスリーブ及び/又はプレートとして形成され得る。もし軸受装置が少なくとも部分的にスリーブを形成しているなら、絶縁装置は、軸受装置を囲み得る。もし軸受装置の軸の表面がフレームに当接しているなら、絶縁装置は、また、軸の表面に当接するプレートとして部分的に形成され得る。もし絶縁装置が複数の絶縁要素を備えるなら、これら絶縁要素は、例えば、ねじのワッシャー等のような、リングとして又は単一のプレートとして形成され得る。このことは、ベアリング装置及び/又は支持要素がフレームにねじ止めされる場合に、特に有利である。
【0018】
代替として、本絶縁装置は、誘電材料によって形成され得て、支持要素は、絶縁装置を形成する。よって、支持要素は、プラスチック等のような誘電材料のみによって作られ得る。よって、別個の絶縁装置及び/又は別個の絶縁要素は、もはや必要なくなる。この実施形態は、支持要素を介して大きな力が伝達されない場合には、特に有利である。
【0019】
本発明によるロータリーエンコーダー装置は、本発明によるロータリーエンコーダーと、特にホイスト、クレーン等の機械とを備え、ロータリーエンコーダーは、シャフトの回転を検出するように機械のシャフトに接続されている。機械のシャフトは、アダプターシャフト又はその他のシャフトを相互に電気的に絶縁する方法を設ける必要がなく、ロータリーエンコーダーのロータリーエンコーダーシャフトに直接的に接続され得る。
【0020】
特にホイスト、クレーン等の機械のためのロータリーエンコーダーを動作させる本発明による方法において、ロータリーエンコーダーのロータリーエンコーダーシャフトは、シャフトの回転を検出し、ロータリーエンコーダーは、機械のシャフトに接続され、ロータエリーエンコーダーのエンコーダー素子は、ロータリーエンコーダーのフレームに配置され、ロータリーエンコーダーシャフトの回転を検出し、フレームは、機械に固定され、ロータリーエンコーダーの信号及び/又は速度信号は、ロータリーエンコーダーの信号出力素子によって出力され、ロータリーエンコーダーシャフトは、ロータリーエンコーダーの軸受装置を介してフレームに回転可能に取り付けられ、ロータリーエンコーダーシャフト及び軸受装置は、ロータリーエンコーダーの絶縁装置によってフレームから電気的に絶縁されている。本発明による方法の利点のさらなる詳細については、本発明によるロータリーエンコーダーの利点の記載が参照される。
【0021】
さらに、少なくとも1つの電気信号及び/又は電位が、ロータリーエンコーダーシャフトとフレームとの間、軸受装置とフレームとの間、機械のシャフトとフレームとの間及び/又は軸受装置とロータリーエンコーダーシャフトにおいて、ロータリーエンコーダーの測定要素によって入力又は検出される。ロータリーエンコーダーの測定要素は、例えばロータリーエンコーダーのハウジングの中に統合され得る。ここでハウジングは、フレームによって形成されている。ロータリーエンコーダーシャフト及び機械のシャフトは、絶縁装置によってフレームから電気的に絶縁されているので、ロータリーエンコーダーシャフト及び/又は機械のシャフトとフレームとの間には電位が発生し得る。測定要素を介して、この電位の値は、検出及び/又は測定され得る。このようにして、測定要素は、電気信号、例えば、固定された又は可変の周波数又は任意の信号パターンをもつ電気信号を入力及び/又は検出し得る。この場合、入力された信号とは、具体的には測定要素によって生成された電位を意味する。入力された信号は、機械のグラウンドから直流的に絶縁し得る。これにより、誘導された又は結合された軸電圧による信号の干渉を防ぎ、したがって、測定要素の精度及び感度を向上し得る。もし軸受装置とフレームとの間を伝送された信号について検出が実施されるなら、有利には、信号の測定値が当該軸受装置について生成され得る。この検出は、機械のシャフトとフレームとの間を伝送された信号についても実施され得て、シャフトの軸受及び/又は駆動列に対する信号の測定値が、有利なやり方によって生成可能である。それぞれの場合において異なる信号を使用することによって、同時に測定することが可能になる。測定要素は、信号出力素子に接続され得て、信号出力素子を介してそれぞれの測定値を出力し得る。この測定値は、ロータリーエンコーダー自体が電位及び/又は信号の測定機器として使用され得るように、評価され得る。電位及び/又は信号は、機械及び/又はロータリーエンコーダーの動作の状態を決定するために使用され得る。
【0022】
電気信号は、測定要素によって生成され得て、前記軸受装置の少なくとも1つの軸受、好ましくは少なくとも1つの転がり軸受、及び/又は機械のシャフトの軸受を介して、伝導及び測定され得る。よって、簡単な方法で、それぞれの軸受の動作の状態を監視できるようになる。信号の強度は、信号によって軸受が損傷しないように決定され得る。軸受装置をフレームから絶縁することによって、軸受装置の個々の軸受又は軸受装置の全ての軸受が同時に監視され得る。測定要素は、よって個々の軸受又は軸受装置の支持要素に直接的に電気的に接続され得る。例えば、転がり軸受の場合には、信号は、転がり軸受の内輪、転動体及び外輪を介して伝達され得る。
【0023】
測定要素は、動作期間にわたって電位及び電気信号の変化を検出及び/又は記憶し得て、この測定要素は、物理量、例えば、機械のシャフトの軸受、軸受装置及び/又は機械のアタッチメント(結合器、アダプターシャフト又はトルクサポートのようなアタッチメントに関与する全てのパーツを含む)の負荷依存の損傷評価を、決定及び出力することができる。それぞれの軸受及び/又は機械の関連する部品の状態に依存して、信号及び/又は電位は、多かれ少なかれ意味のある変化を生じ得る。もし測定要素が電気信号を生成するなら、電気信号は連続的に又は間隔を空けて生成され得る。この信号及び/又はこれらの干渉信号及び/又は電位の変化は、動作期間にわたる測定によって容易に決定され得る。この測定は、損傷評価を決定するために使用され得て、よって機械及び/又は軸受(群)の損傷を事前に決定することができる。よって、測定要素は、機械の動作の状態の監視にも役立ち得る。
【0024】
以下に、本方法の有利な実施形態は、装置の請求項1に戻って参照する従属項の特徴の記述から導出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、ロータリーエンコーダー10の長手方向の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照し、より詳細に本発明の好ましい実施形態を述べる。
【0027】
図は、フレーム11、ロータリーエンコーダーシャフト12、エンコーダー素子13及び信号出力素子14(概略的にのみ図示)によって本質的に形成されたロータリーエンコーダー10の長手方向断面図を示す。フレーム11は、第1ハウジング部17のフランジを介して機械(不図示)に接続され得るハウジング15として形成されている。第2ハウジング部18は、第1ハウジング部17にねじ止めされている。
【0028】
また、ロータリーエンコーダー10は、絶縁装置19と、ロータリーエンコーダーシャフト12を支持するための軸受装置20とを有する。絶縁装置19は、ロータリーエンコーダーシャフト12及び軸受装置20をフレーム11から電気的に絶縁するように構成されている。軸受装置20は、ロータリーエンコーダーシャフト12に直接接続された2つの転がり軸受21を備える。また、軸受装置20は、部分的にスリーブ状に形成された、転がり軸受21を収容する支持要素22を備える。転がり軸受21は、支持要素22に直接的に接続され、リング23を介して間隔を空けて配置されている。また、支持要素22はフランジ24を形成し、支持要素22はフランジ24を介してねじ25によって第1ハウジング部17にねじ止めされている。絶縁装置19は、例えばプラスチックのような誘電材料によって形成され、この場合、第1リング26、第2リング27、プレート28及びねじ25のための複数のワッシャー29によって形成されている。このようにして、支持要素22はフレーム11から完全に電気的に絶縁されている。したがって、機械のシャフト(不図示)及び/又はロータリーエンコーダーシャフト12からフレーム11へ誘導される可能性のある電流の放電が遮断される。エンコーダー素子13は、この場合、きざみ(不図示)を有し、ロータリーエンコーダーシャフト12上に取り付けられているプレート30と、そのきざみを検出するための、回路基板31上に配置されている検出器(不図示)とによって形成されるが、このエンコーダー素子13の設計は、軸受装置20及び絶縁装置19の設計によって影響されない。
図1
【外国語明細書】