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特開2023-140323ロータ着脱用治具、ロータ装着方法、及びロータ脱離方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140323
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ロータ着脱用治具、ロータ装着方法、及びロータ脱離方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 5/04 20060101AFI20230927BHJP
   F16K 3/24 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
F16K5/04 J
F16K3/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043084
(22)【出願日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2022046112
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】507001162
【氏名又は名称】株式会社ツカサ
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】戸田 健朗
【テーマコード(参考)】
3H053
3H054
【Fターム(参考)】
3H053AA26
3H053BA01
3H053BC03
3H053BD02
3H054AA02
3H054BB17
3H054CA06
3H054CC03
3H054CD12
(57)【要約】
【課題】ケーシング内にロータを有する機器のロータ着脱作業をするにあたり、現在使用されている機器に対して適用可能であり、かつ複数の機器に対して1つの治具で適用可能なロータ着脱用治具、ロータ装着方法、及びロータ脱離方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、ケーシング12内に位置するシャフト13に対して、開口部12aを通じてロータ11を着脱する際に、ケーシング12に取り付け可能なロータ着脱用治具1であって、ロータ11の羽根11bを挿通可能な挿通路22を有するレール部2と、ケーシング12に取り付けるための取付部4と、を備え、レール部2が、羽根11bを挿通路22に挿通した状態で、ロータ11を軸方向X1にスライド移動可能に支持し、挿通路22が、レール部2の先端2aで外部空間OSと連通し、ケーシング12に取り付けた際に、先端2aを含むレール部2の一部がケーシング12内に位置する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するケーシング内に位置するシャフトに対して、前記開口部を通じて、軸部と複数の羽根とを有するロータを着脱する際に、前記ケーシングに取り付け可能なロータ着脱用治具であって、
前記羽根を挿通可能な挿通路を有するレール部と、
前記ケーシングに取り付けるための取付部と、を備え、
前記レール部が、前記羽根を前記挿通路に挿通した状態で、前記ロータを軸方向にスライド移動可能に支持し、
前記挿通路が、前記レール部の先端で外部空間と連通し、
前記ケーシングに取り付けた際に、前記先端を含む前記レール部の一部が前記ケーシング内に位置するロータ着脱用治具。
【請求項2】
前記レール部が、前記軸部の前記羽根が設けられていない外周領域と当接する当接部材を有する請求項1に記載のロータ着脱用治具。
【請求項3】
前記当接部材の上端縁が、前記軸部の左右から前記軸部の中心に向かうように指向している請求項2に記載のロータ着脱用治具。
【請求項4】
前記挿通路に前記軸部の一部を挿通可能であり、
前記レール部が、前記羽根および前記軸部の一部を前記挿通路に挿通した状態で、前記ロータを軸方向にスライド移動可能に支持する請求項1に記載のロータ着脱用治具。
【請求項5】
前記レール部が、前記羽根と当接する当接部材を有する請求項4に記載のロータ着脱用治具。
【請求項6】
前記当接部材の上端縁が、前記羽根と面接触する請求項5に記載のロータ着脱用治具。
【請求項7】
前記ケーシングに取り付ける際に位置決めをする位置決め部を備える請求項1~6のいずれか1項に記載のロータ着脱用治具。
【請求項8】
前記取付部と前記位置決め部とが一体的に設けられる請求項7に記載のロータ着脱用治具。
【請求項9】
前記挿通路が、前記レール部の後端で前記外部空間と連通する請求項1~6のいずれか1項に記載のロータ着脱用治具。
【請求項10】
前記後端に、前記挿通路と外部空間との連通を制限可能である制限部を備える請求項9に記載のロータ着脱用治具。
【請求項11】
前記レール部の側面が、上端から下端に向かって外側に傾斜する請求項1~6のいずれか1項に記載のロータ着脱用治具。
【請求項12】
前記取付部が、貫通孔を含み、
前記貫通孔が、前記ケーシングに設けられたネジ穴と螺合する締結部材を挿通可能である請求項1~6のいずれか1項に記載のロータ着脱用治具。
【請求項13】
前記取付部が環状であり、
前記ケーシングに取り付けたときに、前記取付部と前記ケーシングとが面接触する請求項1~6のいずれか1項に記載のロータ着脱用治具。
【請求項14】
開口部を有するケーシング内に位置するシャフトに対して、前記開口部を通じて、軸部と複数の羽根とを有するロータを装着するロータ装着方法であって、
前記ロータを軸方向にスライド移動可能に支持するロータ着脱用治具を前記ケーシング内に差し込む差込み工程と、
前記ロータ着脱用治具を前記ケーシングに取り付ける取付工程と、
前記羽根を前記ロータ着脱用治具の内部に挿通した状態で前記ロータを前記ロータ着脱用治具上に載置する載置工程と、
前記ロータをスライド移動させて前記シャフトに装着する装着工程と、を含むロータ装着方法。
【請求項15】
前記載置工程が、前記羽根および前記軸部の一部を前記ロータ着脱用治具の内部に挿通した状態で前記ロータを前記ロータ着脱用治具上に載置する工程である請求項14に記載のロータ装着方法。
【請求項16】
開口部を有するケーシング内に位置するシャフトに装着された、軸部と複数の羽根とを有するロータを、前記開口部を通じて前記シャフトから脱離するロータ脱離方法であって、
前記ロータを軸方向にスライド移動可能に支持するロータ着脱用治具を、前記羽根が前記ロータ着脱用治具の内部に挿通した状態で前記ケーシング内に差し込む差込み工程と、
前記ロータ着脱用治具を前記ケーシングに取り付ける取付工程と、
前記ロータをスライド移動させて前記シャフトから脱離する脱離工程と、を含むロータ脱離方法。
【請求項17】
前記差込み工程が、前記ロータ着脱用治具を、前記羽根および前記軸部の一部を前記ロータ着脱用治具の内部に挿通した状態で前記ケーシング内に差し込む工程である請求項16に記載のロータ脱離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーシング内のシャフトに対してロータを着脱する際にケーシングに取り付け可能なロータ着脱用治具、ケーシング内のシャフトに対してロータを装着するロータ装着方法、及びケーシング内のシャフトに装着されたロータを脱離するロータ脱離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータリーバルブ等のケーシング内にロータを有する機器において、ロータの着脱作業をする際には、熟練した作業者によって行われている。ケーシング内のシャフトにロータを取り付ける場合には、作業者の手によってロータを持ち上げて、ロータとシャフトの中心軸を合わせ、ロータの高さを維持しながら軸方向に沿って真直に押し進める必要がある。ロータを取り外す場合には、作業者の手によってロータを持ち上げ、ロータの高さを維持しながら軸方向に沿って真直に引き抜く必要がある。
【0003】
作業者がロータを持ち上げ、軸方向に沿って真直に移動させる場合には、一般的にロータは5~20kg程度の重量があるため、ロータの高さを維持しながら軸方向に沿って真直に移動させるには熟練した技術が必要である。未熟な作業者がシャフトからロータを引き抜く際には、ロータの位置に応じてシャフトにかかる負荷が変化するため、ロータを支えるための力のバランスが崩れ、ロータがシャフトに対して傾くという事態が生じることがある。この状態のままロータを引き抜いた場合には、ロータがケーシングと接触し、それぞれに傷が発生する虞がある。また、ロータがシャフトから離れる際には、ロータから作業者にかかる負荷が大きく変化するため、ロータを落下させてしまう虞もある。また、ロータリーバルブは、高所に設置される場合もあり、高所でのロータ着脱作業は、作業者の十分な作業スペースの確保が難しい場合も多く、より正確な作業が求められる。そのため、ロータの着脱作業は、熟練した作業者によって行われている。
【0004】
上記のロータ着脱作業を簡略化したロータリーバルブとして、特許文献1では、供給口及び排出口とそれぞれ連通するロータ室を備えたケーシングと、該ケーシングの両端に配設された軸受を介して回転自在に軸支されたロータ軸及び該ロータ軸の外周面に放射状に突設され、かつ前記ロータ室内で該ロータ軸と一体に回転する複数の羽根からなるロータとで構成されたロータリーバルブにおいて、前記ケーシングの前端部分は該ケーシング本体と取り外し可能なカバーであって、裏面において前記ロータと掛合部材を介して掛合するように形成されていて、該カバーをケーシング本体との固定から解除して前方に移動させると前記ロータも一体に移動するように構成されていること及び前記ケーシングの両側面には前記カバー及び前記ロータの前方への移動を案内かつ支持するための案内棒が前記ロータ軸の軸線に沿ってそれぞれ形成されていることを特徴とするロータリーバルブが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-1817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のロータリーバルブは、ケーシングの側面に形成した案内棒を使用することによりロータの着脱作業を簡略化している。そのため、個々のロータリーバルブに対して案内棒を常設する構成であり、1つの案内棒を複数のロータリーバルブに対して適用可能なものではない。一般に使用されているケーシング内にロータを有する機器(ロータリーバルブ等)の多くは、特許文献1の案内棒のようなロータ着脱機構を備える構成ではないため、特許文献1に基づいてこれら機器のロータ着脱作業を行うためには、ロータ着脱機構を備える機器への取り換えまたはロータ着脱機構の増設といった大掛かりな作業が必要となる。さらに、各機器に対してロータ着脱機構を必要とするため、対応するために必要なコストが大きい。
【0007】
上記の問題点を解決するため、本発明は、ケーシング内にロータを有する機器のロータ着脱作業をするにあたり、現在使用している機器に対して適用可能であり、かつ複数の機器に対して1つの治具で適用可能なロータ着脱用治具、ロータ装着方法、及びロータ脱離方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、開口部を有するケーシング内に位置するシャフトに対して、開口部を通じて、軸部と複数の羽根とを有するロータを着脱する際に、ケーシングに取り付け可能なロータ着脱用治具であって、羽根を挿通可能な挿通路を有するレール部と、ケーシングに取り付けるための取付部と、を備え、レール部が、羽根を挿通路に挿通した状態で、ロータを軸方向にスライド移動可能に支持し、挿通路が、レール部の先端で外部空間と連通し、ケーシングに取り付けた際に、先端を含むレール部の一部がケーシング内に位置することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、取付部によってケーシングに取り付け可能であるため、ロータ着脱機構のない機器に対して適用可能である。可搬性があり、ロータ着脱作業を行うときに取り付けて使用するものであるため、1つで複数の機器に対して適用可能である。個々の機器に常設する必要がないため、ロータ着脱機構を備える機器と比較して省スペース化及び省コスト化も実現できる。ケーシングに取り付けたロータ着脱用治具がロータを軸方向にスライド移動可能に支持するため、ロータ着脱用治具が、ロータとシャフトの中心軸同士が一致するように、ロータを支持することにより、作業者がロータをシャフトに向かって押し込む又は引き抜く操作で、ロータとシャフトの中心軸を合わせ、ロータの高さを維持しながら軸方向に沿って真直に進めることが可能となる。したがって、未熟な作業者であっても、ロータ着脱作業を簡便に行うことができ、作業者にロータ着脱作業の熟練を必要としない。ロータ着脱用治具によってロータが支持されるため、ロータの落下を防止し、安全性を向上させることができる。「着脱」とは、装着すること、及び脱離することの両方の操作を含む。
【0010】
本発明は、レール部が、軸部の羽根が設けられていない外周領域と当接する当接部材を有することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、当接部材が軸部と当接してロータを支持するため、安定して支持することができる。当接部材としては、例えばポリアセタール等の樹脂材料が好ましい。このような当接部材を採用することにより、当接によって軸部に傷が発生する事態を防止できる。
【0012】
本発明は、当接部材の上端縁は軸部の左右から軸部の中心に向かうように指向していることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、ロータ着脱用治具がロータを支持すると同時に、レール部の長手方向とロータの軸方向とが一致するようにロータを配置することができる。
【0014】
本発明は、前記挿通路に前記軸部の一部を挿通可能であり、前記レール部が、前記羽根および前記軸部の一部を前記挿通路に挿通した状態で、前記ロータを軸方向にスライド移動可能に支持する構成であってもよい。
【0015】
この構成によれば、様々な形状のロータの着脱に対して適用可能である。
【0016】
本発明は、前記レール部が、前記羽根と当接する当接部材を有する構成であってもよい。
【0017】
この構成によれば、当接部材が羽根と当接してロータを支持するため、様々な形状の軸部のロータを安定して支持することができる。
【0018】
本発明は、前記当接部材の上端縁が、前記羽根と面接触する構成であってもよい。
【0019】
この構成によれば、より安定してロータを支持することができる。
【0020】
本発明は、ケーシングに取り付ける際に位置決めをする位置決め部を備えることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、ケーシングへの取り付け時にロータ脱着用治具の位置決めがされるため、位置調整が容易になり、使用時の利便性が向上する。
【0022】
本発明は、取付部と位置決め部とが一体的に設けられることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、ロータ脱着用治具を構成するために必要な部材が減少するため、省スペース及び省コストに寄与する。
【0024】
本発明は、挿通路が、レール部の後端で外部空間と連通することが好ましい。
【0025】
この構成によれば、挿通路に対し、ロータの羽根を、後端から挿入するまたは引き抜くことができるため、上方のスペースが限られている場合にもロータ脱着用治具の使用が可能となる。
【0026】
本発明は、後端に、挿通路と外部空間との連通を制限可能である制限部を備えることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、後端からの意図しないロータの抜け落ちを防止することができる。
【0028】
本発明は、レール部の側面が、上端から下端に向かって外側に傾斜することが好ましい。
【0029】
この構成によれば、ロータ着脱用治具がロータを支持する際に、ロータの調心をすることができる。さらに、ロータをロータ着脱用治具によってより安定的に支持することができる。
【0030】
本発明は、取付部が、貫通孔を含み、貫通孔が、ケーシングに設けられたネジ穴と螺合する締結部材を挿通可能であることが好ましい。
【0031】
この構成によれば、ロータ着脱用治具をケーシングに取り付ける際に、ケーシングに設けられたネジ穴を利用することができる。
【0032】
本発明は、前記取付部が環状であり、前記ケーシングに取り付けたときに、前記取付部と前記ケーシングとが面接触する構成であってもよい。
【0033】
この構成によれば、取付部とケーシングとの接触面積が増加し、接合強度が増加するため、耐荷重性が向上する。
【0034】
本発明は、開口部を有するケーシング内に位置するシャフトに対して、開口部を通じて、軸部と複数の羽根とを有するロータを装着するロータ装着方法であって、ロータを軸方向にスライド移動可能に支持するロータ着脱用治具をケーシング内に差し込む差込み工程と、ロータ着脱用治具をケーシングに取り付ける取付工程と、羽根をロータ着脱用治具の内部に挿通した状態でロータをロータ着脱用治具上に載置する載置工程と、ロータをスライド移動させてシャフトに装着する装着工程と、を含むことを特徴とする。
【0035】
この構成によれば、ロータ着脱機構のない機器に対して適用可能である。ロータ装着作業を行うときにロータ着脱用治具を取り付けて使用するため、1つのロータ着脱用治具を複数の機器に対して適用可能である。ロータ着脱機構を個々の機器に常設する必要がないため、ロータ着脱機構を備える機器と比較して省スペース化及び省コスト化も実現できる。ケーシングに取り付けたロータ着脱用治具がロータを軸方向にスライド移動可能に支持するため、ロータ着脱用治具がロータを、シャフトと中心軸が合うように支持することにより、作業者がロータをシャフトに向かって押し込む操作で、ロータとシャフトの中心軸を合わせ、ロータの高さを維持しながら軸方向に沿って真直に押し進めることが可能となる。したがって、熟練した作業者でない者であっても、ロータ装着作業を簡便に行うことができる。ロータがロータ着脱用治具によって支持されるため、ロータの落下を防止し、安全性を向上させることができる。
【0036】
本発明は、前記載置工程が、前記羽根および前記軸部の一部を前記ロータ着脱用治具の内部に挿通した状態で前記ロータを前記ロータ着脱用治具上に載置する工程であってもよい。
【0037】
この構成によれば、様々な形状のロータの装着が可能となる。
【0038】
本発明は、開口部を有するケーシング内に位置するシャフトに装着された、軸部と複数の羽根とを有するロータを、開口部を通じてシャフトから脱離するロータ脱離方法であって、ロータを軸方向にスライド移動可能に支持するロータ着脱用治具を、羽根がロータ着脱用治具の内部に挿通した状態でケーシング内に差し込む差込み工程と、ロータ着脱用治具をケーシングに取り付ける取付工程と、ロータをスライド移動させてシャフトから脱離する脱離工程と、を含むことを特徴とする。
【0039】
この構成によれば、ロータ着脱機構のない機器に対して適用可能である。ロータ脱離作業を行うときにロータ着脱用治具を取り付けて使用するため、1つのロータ着脱用治具を複数の機器に対して適用可能である。ロータ着脱機構を個々の機器に常設する必要がないため、ロータ着脱機構を備える機器と比較して省スペース化及び省コスト化も実現できる。ケーシングに取り付けたロータ着脱用治具がロータを軸方向にスライド移動可能に支持するため、ロータ着脱用治具がロータを、シャフトと中心軸が合うように支持することにより、作業者がロータをシャフトから引き抜く操作で、ロータとシャフトの中心軸を合わせ、ロータの高さを維持しながら軸方向に沿って真直に引き抜くことが可能となる。したがって、熟練した作業者でない者であっても、ロータ脱離作業を簡便に行うことができる。ロータがロータ着脱用治具によって支持されるため、ロータの落下を防止し、安全性を向上させることができる。このロータ着脱用治具は、ロータ着脱作業を行うときに作業対象に取り付けて使用するため、個々のロータリーバルブ等の機器に常設する必要がなく、省スペース化及び省コスト化を実現できる。
【0040】
本発明は、前記差込み工程が、前記ロータ着脱用治具を、前記羽根および前記軸部の一部を前記ロータ着脱用治具の内部に挿通した状態で前記ケーシング内に差し込む工程であってもよい。
【0041】
この構成によれば、様々な形状のロータの脱離が可能となる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、ロータ着脱機構のない機器に対して適用可能である。1つのロータ着脱用治具を複数の機器に対して適用可能である。熟練した作業者でない者であっても、ロータ着脱作業を簡便に行うことができる。ロータの落下を防止し、安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明第1実施形態のロータ着脱用治具及びロータリーバルブの斜視図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3図1のIII-III断面図である。
図4】本発明第1実施形態において、ロータリーバルブに取り付けたロータ着脱用治具の斜視図である。
図5】同、ロータを支持したロータ着脱用治具の斜視図である。
図6】同、制限部による制限を解除した状態のロータ着脱用治具の斜視図である。
図7】本発明第1実施形態のロータ着脱用治具の変形例を示す斜視図である。
図8】本発明第1実施形態のロータ装着方法の工程図である。
図9】同、ロータ装着方法の手順を示す斜視図であり、(a)は差込み工程、(b)は取付工程、(c)は載置工程、(d)は装着工程を示す。
図10】本発明第1実施形態のロータ脱離方法の工程図である。
図11】同、ロータ脱離方法の手順を示す斜視図であり、(a)は差込み工程、(b)は取付工程、(c)は脱離工程を示す。
図12】本発明第2実施形態のロータ着脱用治具の斜視図である。
図13】同、ロータを支持したロータ着脱用治具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
[ロータ着脱用治具]
図1図7を参照して、ロータ着脱用治具の実施形態を説明する。ロータ着脱用治具1(以下、治具1と記載する。)は、開口部を有するケーシング内に位置するシャフトに対して、開口部を通じて、軸部と複数の羽根とを有するロータを着脱する際に、ケーシングに取り付け可能な治具である。本実施形態では、治具1を取り付ける対象として、軸部11a及び複数の羽根11bを有するロータ11と、開口部12aを有するケーシング12と、ケーシング12内に位置するシャフト13と、を備えるロータリーバルブ10を例として説明する。
【0045】
治具1は、レール部2と、制限部3と、ケーシング12に取り付けるための取付部4と、ケーシング12に取り付ける際に治具1の位置決めをする位置決め部5と、を備える(図1図3参照)。治具1がロータ11を支持する時の各部材の位置を示すために、図3において、一点鎖線でロータ11を仮想的に表している。
【0046】
治具1は、複数のロータリーバルブ10に対して取り付け可能であることにより、各ロータリーバルブ10がロータ着脱機構(例えば特許文献1の案内棒)を備える必要がないため、ロータリーバルブ10の製造コストの増大を抑制することができる。
【0047】
レール部2は、フレーム21と、フレーム21の上部が開口していることによって、治具1の長手方向Lに沿って形成される挿通路22と、ロータ11の軸部11aの羽根11bが設けられていない外周領域と当接する当接部材23と、フレーム21の側板21aに固定され、当接部材23を支持する支持部材24と、を有する長尺体であり、羽根11bを挿通路22に挿通した状態で、ロータ11をロータ11の軸方向X1にスライド移動可能に支持する(図4参照)。
【0048】
フレーム21は、一対の側板21a、後板21b、及びリブ21cを有している。リブ21cは、長手方向Lにおけるフレーム21の中央近傍において、側板21aの内側から長手方向Lと直交する治具1の幅方向WDに沿って延び出ている。一対の側板21aは、後板21b、及びリブ21cによって接続されている。したがって、フレーム21は、リブ21cから先端にかけて両側に二股に分かれ、差し入れ板部21fを構成している(図1図3参照)。後板21b及びリブ21cには、それぞれ上部が略U字状に開口する切り欠き21d、21eが設けられており、レール部2に支持されたロータ11をスライド移動した際の羽根11bと、後板21b及びリブ21cとの接触が回避される。側板21a(側面)は、上端から下端に向かって、その外側が三角形の一辺を成すように傾斜している。側板21aは、後板21bとリブ21cとの間においては、図示横長な略矩形状であり、リブ21cと差し入れ板部21fの先端との間においては、その先端に向かうにつれて差し入れ板部21fの下側端が図示上向き傾斜するテーパ部21gを形成している。治具1をケーシング12に取り付けた際に、フレーム21の先端を含むレール部2の一部(差し入れ板部21f)がケーシング12内に位置する(図4図5参照)。フレーム21にテーパ部21gを設けたので、フレーム21を差し込む時には差し入れ易くなり、フレーム21を引き抜く時には抜き易くなるというメリットがある。
【0049】
挿通路22は、上方に開口しており、幅方向WDに沿う開口幅W1が羽根11bの厚さTよりも大きく、治具1の高さ方向HDに沿う深さが、治具1がロータ11を支持するときに、羽根11bがフレーム21に接触しない大きさに構成されるため内部に羽根11bを挿通可能である。そのため、レール部2の上方から羽根11bを挿通路22に挿通させることができる。挿通路22は、レール部2の先端2a及び後端2bで、外部空間OSと連通している(図1図3参照)ため、羽根11bを挿通路22内に挿通した状態でレール部2に支持されたロータ11を、軸方向X1にスライド移動させて先端2a又は後端2bから、押し出す又は引き抜くことができる(図4図5参照)。また、先端2a又は後端2bから羽根11bを挿通路22内に挿通させることもできる。
【0050】
当接部材23は、軸部11aの羽根11bが設けられていない領域と当接する長尺板状の部材であり、後述する支持部材24に支持された状態で側板21aに固定されており、側板21aの傾斜に沿ってフレーム21の上方に延び出ている。当接部材23においては、後述するように治具1を締結部材14によってケーシング12に取り付け、治具1がロータ11を支持した際に、当接部材23の上端縁23aがロータ11の軸部11aの中心(軸中心P)に向くように指向させて設定されている。これにより、治具1がロータ11を支持すると同時に、長手方向Lとロータ11の軸方向X1とが一致するようにロータ11を配置することができる。さらに、当接部材23が垂直に設けられる場合と比較して、ロータ11の軸方向X1のスライド移動がより安定する。当接部材23の大きさは、ロータリーバルブ10に取り付けた治具1にロータ11を支持させた際に、ロータ11の軸中心Pと、シャフト13の軸中心とが一致するように設定される。これにより、ロータ11とシャフト13とを調心することができる。上端縁23aは、ロータ11の軸部11aと同一の曲率を有する曲面であることが好ましい。これにより、上端縁23aが軸部11aの羽根11bを除く外周領域にピッタリと当接し、治具1によるロータ11の支持、及びロータ11とシャフト13との調心がより安定する。当接部材23は、ロータ11よりも柔らかい素材で形成されており、ロータ11への傷の発生を防止することができる。当接部材23の材質としては、ゴムやポリアセタール樹脂等が例示されるが、これに限定されず、当接部材23と当接した状態でスライド移動したロータ11に傷を発生させない材質であればよい。
【0051】
支持部材24は、略L字状の長尺の部材であり、フレーム21の側板21aに固定され、上方に位置する当接部材23を支持する。支持部材24の形状は、当接部材23を支持可能であれば、略L字状に限定されない。
【0052】
制限部3は、後板21bに設けられ、挿通路22と外部空間OSとの連通を制限することができる。制限部3により挿通路22と外部空間OSとの連通を制限することにより、レール部2に支持されたロータ11がレール部2の後端2bから意図せずに脱落するという事態を防止することができる。挿通路22と外部空間OSとの連通を制限しない、すなわち制限部3による連通の制限を解除した状態では、治具1に支持されたロータ11を後端2bから引き抜くことができる(図6参照)。
【0053】
取付部4は、一対の板状部材41からなり、それぞれが長手方向Lにおける側板21aの中央近傍(本実施形態では内側にリブ21cが設けられる位置)と接続する。本実施形態においては、一対の板状部材41とリブ21cは一体に形成されている。一対の板状部材41には、ケーシング12に設けられたネジ穴12bと螺合する締結部材14を挿通可能な貫通孔42が設けられている。貫通孔42の位置は、ケーシング12に設けられたネジ穴12bの位置と対応しており、治具1をケーシング12に取り付けた際には、貫通孔42を通じてネジ穴12bに螺合した締結部材14によって板状部材41がケーシング12に押し付けられることにより、治具1がケーシング12に固定される。ケーシング12の外面のうち、板状部材41が当接する位置に突起等がある場合には、板状部材41が突起等を回避するための回避孔43を有していてもよい。回避孔43により、治具1のロータリーバルブ10への安定した取り付けが可能となる。板状部材41の形状は、取り付けるロータリーバルブ10の形状に応じて、適宜変更可能である。
【0054】
位置決め部5は、一対の板状部材41から、レール部2と平行に延び出す突起である。治具1をケーシング12に取り付ける際に、位置決め部5が開口部12aの内壁と当接することで、治具1の位置決めをする。これにより、治具1の適切な位置への配置を簡便に行うことができる。本実施形態では、取付部4と位置決め部5とが一体的に設けられているが、これに限定されない。
【0055】
<変形例>
本実施形態の変形例であるロータ着脱用治具101(以下、治具101と記載する。)を、図7を参照して説明する。治具101は、フレーム21に替えて、切り欠きが設けられていない後板121bを有するフレーム121を有する構成である。治具1は、フレーム21の後板21bに切り欠き21dが設けられており、レール部2の後端2bにおいて挿通路22と外部空間OSとが連通した形状であるが、後端2bからロータ11を引き抜く必要がない場合には、治具101も採用可能である。
【0056】
[ロータ装着方法]
図1図6図8図9を参照して、治具1を使用したロータ装着方法を、軸部11a及び複数の羽根11bを有するロータ11と、開口部12aを有するケーシング12と、ケーシング12内に位置するシャフト13と、を備えるロータリーバルブ10に対するロータ11の装着を例として説明する。
【0057】
ロータ装着方法は、ロータ11を軸方向X1にスライド移動可能に支持する治具1をケーシング12内に差し込む差込み工程S1と、治具1をケーシング12に取り付ける取付工程S2と、羽根11bを挿通路22に挿通した状態でロータ11を治具1上に載置する載置工程S3と、フレーム21を軸方向X1にスライド移動させてシャフト13に装着する装着工程S4と、を含む(図8参照)。
【0058】
<差込み工程S1>
ロータ11がシャフト13に装着されていないケーシング12に対して、先端2aを含むレール部2の一部(差し入れ板部21f)がケーシング12内に位置するように、治具1を開口部12aからシャフトの軸方向X2に沿って差し込む。差し込みが完了した時には、取付部4の板状部材41とケーシング12の前面部とが当接する(図9(a)参照)。このとき、一対の位置決め部5が開口部12aの内壁面と当接する様に治具1の位置を調整することで、取付部4の貫通孔42とケーシング12のネジ穴12bとが連通する位置への治具1の位置決めが容易になる。位置決め後の治具1は、長手方向Lとシャフトの軸方向X2とが一致する。
【0059】
<取付工程S2>
位置決めされた治具1の貫通孔42を通じて、ネジ穴12bに締結部材14を螺合させる。これにより位置決めされた治具1が固定され、ケーシング12に取り付けられる(図9(b)参照)。
【0060】
<載置工程S3>
ケーシング12に取り付けられた治具1に対して、上方からロータ11を降下させることにより、羽根11bを挿通路22に挿通させた状態でロータ11を治具1上に載置する(図9(c)参照)。後端2bからロータ11の軸方向X1に沿ってロータ11をスライド移動させて、羽根11bを挿通路22に挿通させ、治具1上に載置してもよい。ロータ11の治具1上への載置時にロータ11が調心されるため、ロータ11の軸方向X1と、長手方向Lと、シャフト13の軸方向X2とが一致する。治具1上にロータ11を載置した後は、制限部3により後端2bと外部空間OSとの連通を制限することが好ましい。これにより、ロータ11が後端2bから抜け落ちることを防止できる。
【0061】
<装着工程S4>
治具1上に載置されたロータ11を、ケーシング12内に向かってスライド移動させ、シャフト13に装着する(図9(d)参照)。このとき、載置工程S3においてロータ11が調心されており、かつ治具1によりロータ11を軸方向X1に沿ってスライド移動させることができるため、ロータ11をケーシング12に向かって押し込むことで、ロータ11とケーシング12とが接触することなく軸部11aにシャフト13が挿入される。これにより、ロータ11とケーシング12との接触を回避するために、軸部11aとシャフト13との位置関係を調整しながらロータ11を押し込むという熟練を要する作業を簡便に行うことが可能である。シャフト13が挿入された後、締結部材等でロータ11をシャフト13に固定し、ロータ11の装着が完了する。ロータ11の装着が完了した後は、治具1をケーシング12から取り外すことができるため、ケーシング12への治具1の常設は不要である。
【0062】
[ロータ脱離方法]
図1図6図10図11を参照して、治具1を使用したロータ脱離方法を説明する。ロータ装着方法と同様に、軸部11a及び複数の羽根11bを有するロータ11と、開口部12aを有するケーシング12と、ケーシング12内に位置するシャフト13と、を備えるロータリーバルブ10に対するロータ11の脱離を例として説明する。
【0063】
ロータ脱離方法は、ロータ11を軸方向X1にスライド移動可能に支持する治具1を、羽根11bが挿通路22に挿通した状態でケーシング12内に差し込む差込み工程S11と、治具1をケーシング12に取り付ける取付工程S12と、ロータ11をスライド移動させてシャフト13から脱離する脱離工程S13と、を含む(図10参照)。
【0064】
<差込み工程S11>
ロータ11がシャフト13に装着されたケーシング12に対して、先端2aを含むレール部2の一部(差し入れ板部21f)がケーシング12内に位置するように、治具1を開口部12aからシャフトの軸方向X2に沿って差し込む。このとき、羽根11bが、挿通路22に挿通するように治具1を差し込む。差込み工程S1と同様に、差し込みが完了した時には、板状部材41とケーシング12とが当接した状態であり、位置決め部5によって治具1の位置決めがされる(図11(a)参照)。
【0065】
<取付工程S12>
取付工程S2と同様に、貫通孔42を通じて、ネジ穴12bに締結部材14を螺合させることにより、位置決めされた治具1が固定され、ケーシング12に取り付けられる(図11(b)参照)。このとき、シャフト13に装着されたロータ11は、レール部2の当接部材23と当接しており、シャフト13及び治具1によって支持された状態である。
【0066】
<脱離工程S13>
締結部材等によるシャフト13へのロータ11の固定を解除し、ロータ11をケーシング12内からスライド移動させて、シャフト13から脱離する(図11(c)参照)。このとき、ロータ11が治具1によって調心された状態で支持され、かつ軸方向X1に沿ってスライド移動させることができるため、ケーシング12の外側へ引き出す際に、ロータ11をケーシング12と接触させることなくシャフト13から引き抜くことができる。これにより、ロータ11とケーシング12との接触を回避するために、軸部11aとシャフト13との位置関係を調整しながらロータ11を引き出すという熟練を要する作業を簡便に行うことが可能である。ロータ11の全体がケーシング12の外側に引き出されてロータ11の脱離が完了する。脱離工程S13を行う際には、制限部3によって後端2bと外部空間OSとの連通を制限した状態としてもよく、これにより、ロータ11が後端2bから意図せずに脱落する事態を防止することができる。
【0067】
ロータ11をケーシング12の外側に引き出した後は、治具1上に支持されるロータ11を上方に持ち上げて、治具1から引き抜くことが可能である。あるいは、制限部3による連通の制限を解除し、後端2bからロータ11を引き抜くことも可能である。ロータ11を治具1から引き抜いた後は、治具1をケーシング12から取り外すことができるため、ケーシング12への治具1の常設は不要である。
【0068】
以上の通り、本発明の実施形態によれば、以下の効果を奏する。治具1が、ロータ11を軸方向X1にスライド移動可能に支持するため、ロータ11をシャフト13に向かって押し込む又は引き出す操作で、ロータ11をシャフト13に着脱することができる。治具1によってロータ11が支持されるため、ロータ11の落下を防止し、安全性を向上させることができる。当接部材23により、ロータ11を調心することができる。制限部3が後端2bと外部空間OSとの連通を制限するため、後端2bからのロータ11の脱落を防止することができる。位置決め部5により、治具1が位置決めされるため、治具1の適切な位置への配置を簡便に行うことができる。治具1により、熟練した作業者でない者であっても、ロータ着脱機構のないロータリーバルブ10のロータ着脱作業を簡便に行うことができる。治具1は、可搬性があり、ロータ着脱作業を行うときに作業対象に取り付けて使用するため、各ロータリーバルブ10に常設する必要がなく、1つで複数のロータリーバルブ10に対して適用可能であり、省スペース化及び省コスト化を実現できる。
【0069】
(第2実施形態)
図12および図13を参照して、本発明第2実施形態であるロータ着脱用治具201(以下、治具201と記載する。)を説明する。ここでは、第1実施形態と同一のものに関しては同一の符号を付してその説明を援用し、相違点を説明する。
【0070】
図12に示す通り、治具201は、ロータ11の軸部11aよりも径の大きい軸部211aおよび複数の羽根211bを有するロータ211に対しても適用可能であり、第1実施形態の治具1のレール部2と取付部4に替えて、それぞれレール部202と取付部204を備える。
【0071】
レール部202は、挿通路222を形成するフレーム221と、上端縁223aが羽根211bと面接触して当接する当接部材223を有する。挿通路222は、幅方向WDに沿う開口幅W2が、第1実施形態の治具1の挿通路22の開口幅W1より大きく構成され、また、高さ方向HDに沿う深さが、治具201によりロータ211を支持するときに、ロータ211がフレーム221に接触しない大きさに構成される。挿通路222がこのような構成であるため、挿通路222に対して羽根211bに加えて軸部211aの一部も挿通可能な構成であり、レール部202が、羽根211bおよび軸部211aの一部を挿通路222に挿通した状態でロータ211をロータ211の軸方向X1にスライド移動可能に支持することができる(図13参照)。
【0072】
レール部202が上記構成であるため、治具201は、第1実施形態の治具1とは異なり、ロータリーバルブ10に取り付けた治具201にロータ211を支持させたときに、幅方向WDにおけるロータ211とシャフト13とを調心する機能を有さないが、ロータの軸部の外径および羽根の長さが異なる等の多様な形状のロータに対しても適用可能である。
【0073】
本実施形態では、挿通路222の開口幅W2が、ロータ211の軸部211aの外径よりも大きい構成であるが、レール部202が、羽根211bおよび軸部211aの一部を挿通路222に挿通した状態でロータ211をロータ211の軸方向X1にスライド移動可能に支持できる構成であれば、これに限定されない。
【0074】
レール部202がロータ211を支持するときに、当接部材223の上端縁223aが羽根211bと面接触するため、治具201は安定してロータ211を支持することができる(図13参照)。本実施形態において、当接部材223を支持する支持部材224の形状は、長尺板状であるが、当接部材223を支持可能であれば、この形状に限定されない。
【0075】
フレーム221の差し入れ板部221fは、内側に向かって延び出すリブ221hを有している(図12参照)。リブ221hにより、差し入れ板部221fの剛性が向上し、治具201の耐荷重性が向上する。図12に示すように、フレーム221の後板221bが締結部材14を保持するための孔221iを有する構成であってもよい。この構成であれば、締結部材14の保管に便利であり、保管時の締結部材14の紛失を防ぐこともできる。第1実施形態の場合と同様に、後板221bは、制限部3を有する構成であってもよい。
【0076】
取付部204は、環状の板状部材241からなり、内側に孔244を形成している(図12参照)。差し入れ板部221fをケーシング12内に差し込んで治具201をケーシング12に取り付けた際には、取付部204の板状部材241がケーシング12の外表面と面接触する構成である(図13参照)。板状部材241が環状であること、およびケーシング12の外表面と面接触することから、板状部材241とケーシング12との接触面積が向上するため、治具201とケーシング12との接合強度が向上する。これにより、ロータ211を支持するときの治具201の垂れ込みを軽減する。本実施形態において、開口部12aの開口と孔244とが略同形であるが、治具201に支持されたロータ211のスライド移動時に取付部204とロータ211の接触が回避される構成であれば孔244の形状および大きさはこれに限定されない。本実施形態では取付部204は、環状の板状部材241からなるが、これに限定されない。例えば、取付部204とケーシング12との接触面積を増加させる形状の部材からなるものであってもよい。
【0077】
ロータ装着方法およびロータ脱離方法については、挿通路222に羽根211bに加えて軸部211aの一部が挿通される点以外は第1実施形態の場合と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0078】
以上の通り、第2実施形態の治具201は、第1実施形態の治具1と比較して、軸部の外径の大きいロータに対しても適用可能であり、剛性が高く、耐荷重性が優れている。したがって、多様なロータに対して適用が可能な構成である。
【0079】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。例えば、ロータ着脱用治具がロータの複数の羽根を挿通路に挿通する構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係るロータ着脱用治具、ロータ装着方法、及びロータ脱離方法は、1つのロータ着脱用治具で複数の機器に対して簡便かつ安全にロータ着脱操作を行うことができることから産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0081】
1、101、201・・・ロータ着脱用治具
2、202・・・レール部
2a・・・先端
2b・・・後端
21、121、221・・・フレーム
21a・・・側板
21b、121b、221b・・・後板
21c・・・リブ
21d、21e・・・切り欠き
21f・・・差し入れ板部
21g・・・テーパ部
22、222・・・挿通路
23、223・・・当接部材
23a、223a・・・上端縁
24、224・・・支持部材
3・・・制限部
4、204・・・取付部
41・・・板状部材
42・・・貫通孔
43・・・回避孔
5・・・位置決め部
10・・・ロータリーバルブ
11、211・・・ロータ
11a、211a・・・軸部
11b、211b・・・羽根
12・・・ケーシング
12a・・・開口部
12b・・・ネジ穴
13・・・シャフト
14・・・締結部材
221h・・・リブ
221i・・・孔
244・・・孔
H1・・・深さ
HD・・・高さ方向
L・・・長手方向
L1・・・長さ
OS・・・外部空間
P・・・軸中心
S1・・・差込み工程
S2・・・取付工程
S3・・・載置工程
S4・・・装着工程
S11・・・差込み工程
S12・・・取付工程
S13・・・脱離工程
T・・・厚さ
X1・・・軸方向
X2・・・軸方向
W1、W2・・・開口幅
WD・・・幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13