(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140358
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】マイクロ流体デバイスおよび関連する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20230927BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20230927BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230927BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20230927BHJP
C12N 9/26 20060101ALI20230927BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20230927BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20230927BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
G01N33/53 M
C12Q1/6851 Z
C12N9/26 Z
C12Q1/04
C12M1/00 A
G01N33/50 P
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110502
(22)【出願日】2023-07-05
(62)【分割の表示】P 2019547111の分割
【原出願日】2018-02-27
(31)【優先権主張番号】62/464,576
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520474495
【氏名又は名称】アボット・ダイアグノスティックス・スカボロー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニール・エイ・アームズ
(72)【発明者】
【氏名】オラフ・ピーペンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン・ジーン・グリーンウッド
(72)【発明者】
【氏名】オリバー・ネントウィッチ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・シェンク・ツー・シュバインスベルク
(72)【発明者】
【氏名】オースティン・マシュー・デルファス
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン・デビッドソン
(72)【発明者】
【氏名】カーティケヤン・クマラバディベル
(72)【発明者】
【氏名】マウリク・ビノッド・パテル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】インフルエンザおよび/またはRSVウイルスに存在する標的核酸の迅速な検出を促進するマイクロ流体デバイスを提供する。
【解決手段】マイクロ流体デバイスは、試料を受け取るように構成された入口ポートと、入口ポートに流体的に結合された第1反応室と、入口ポートに流体的に結合された第1ポンプと、混合室に流体的に結合された第2ポンプと、第1反応室および混合室に流体的に結合された計量チャネルと、混合室に流体的に結合された1つまたは複数の第2反応室と、を備えている。第1ポンプは、流体を、入口ポートから第1反応室におよび第1ポンプから入口ポートに、移動させるように構成されている。第2ポンプは、流体を、第2ポンプから混合室に第1反応室から混合室におよび混合室から1つまたは複数の第2反応室に、移動するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体デバイスであって、
試料を受け取るように構成された入口ポートと、
入口ポートに流体的に結合された第1反応室と、
入口ポートに流体的に結合された第1ポンプと、
混合室に流体的に結合された第2ポンプと、
第1反応室および混合室に流体的に結合された計量チャネルと、
混合室に流体的に結合された1つまたは複数の第2反応室と
を備え、
第1ポンプは、流体を、入口ポートから第1反応室におよび第1ポンプから入口ポートに、移動させるように構成されており、
第2ポンプは、流体を、第2ポンプから混合室に第1反応室から混合室におよび混合室から1つまたは複数の第2反応室に、移動させるように構成されている、
マイクロ流体デバイス。
【請求項2】
マイクロ流体デバイス内の流体圧力を調節するように構成された廃棄物リザーバをさらに備えている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
第1反応室が、第1の増幅試薬セットを含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
第1の増幅試薬セットが、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)試薬を含む、請求項3に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
RPA試薬が、凍結乾燥されている、請求項4に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
第1反応室が、触媒試薬をさらに含む、請求項3に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
触媒試薬が、マグネシウムを含む、請求項6に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項8】
第1の増幅試薬セットが、オリゴマーを含む、請求項3に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項9】
混合室が、第2の増幅試薬セットを含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項10】
第2の増幅試薬セットが、RPA試薬を含む、請求項9に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項11】
RPA試薬が、凍結乾燥されている、請求項10に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項12】
第2の増幅試薬セットが、オリゴマーを含む、請求項9に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項13】
1つまたは複数の第2反応室が、それぞれ第2の増幅試薬セットを含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項14】
第2の増幅試薬セットが、RPA試薬を含む、請求項13に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項15】
RPA試薬が、凍結乾燥されている、請求項13に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項16】
第2の増幅試薬セットが、オリゴマーを含む、請求項13に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項17】
第1ポンプが、第1緩衝液を含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項18】
第1ポンプが、第1緩衝液および溶解剤を含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項19】
第2ポンプが、第2緩衝液を含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項20】
第2ポンプが、第2緩衝液および溶解剤を含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項21】
第1ポンプが、触媒試薬を含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項22】
第2ポンプが、触媒試薬を含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項23】
触媒試薬が、マグネシウムを含む、請求項21または請求項22に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項24】
1つまたは複数の第2反応室の各々が、検出室である、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項25】
各々の検出室の一部が、光学的に透明である、請求項24に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項26】
第1反応室が、加熱ユニットに結合されるように構成されている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項27】
入口ポートが、加熱ユニットに結合されるように構成されている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項28】
第1反応室が、混合手段を備えるか、または混合手段に結合されている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項29】
混合室が、混合手段を含むか、または混合手段に連結されている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項30】
1つまたは複数の第2反応室が、それぞれ混合手段を備えるか、または混合手段に結合されている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項31】
混合手段が、磁石である、請求項28、請求項29、または請求項30に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項32】
混合手段が、音響ストリーミングによって動作する、請求項30に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項33】
入口ポートが、試料を含み、第1ポンプが、第1緩衝液を含み、第1ポンプが、第1緩衝液を第1ポンプから入口ポートに送って試料および第1緩衝液を含む希釈試料を生成するように構成されている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項34】
第1反応室が、第1の増幅試薬セットを含み、第1ポンプが、希釈試料の一部を入口ポートから第1反応室に提供して、希釈試料と第1の増幅試薬セットとを含む第1反応混合物を生成するように構成されている、請求項33に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項35】
第2ポンプが、計量チャネルを介して、第1反応室から混合室に第1反応混合物の一部を提供するように構成されている、請求項34に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項36】
第2ポンプが、第2緩衝液を含み、第2ポンプが、計量チャネルを介して第2ポンプから混合室に第2緩衝液を送るように構成されており、第2緩衝液は第1反応混合物の一部と結合して、希釈された第1反応混合物を生成する、請求項35に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項37】
1つまたは複数の第2反応室が、それぞれ第2の増幅試薬セットを含み、第2ポンプが、混合室から1つまたは複数の第2反応室のそれぞれに、希釈された第1反応混合物の一部を送って希釈された第1反応混合物および第2の増幅試薬セットを含む第2反応混合物を生成するように構成されている、請求項36に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項38】
第2の増幅試薬セットが、オリゴマーを含む、請求項37に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項39】
混合室が、第2の増幅試薬セットを含み、第2試薬室が、第2緩衝液を含み、第2ポンプが、第2試薬室から計量チャネルを介して混合室に第2緩衝液を送るよう構成され、第2緩衝液が、第1反応混合物の一部および第2の増幅試薬セットと結合して第2反応混合物を生成する、請求項35に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項40】
第2ポンプが、第2反応混合物の一部を1つまたは複数の第2反応室のそれぞれに送るように構成されている、請求項39に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項41】
1つまたは複数の第2反応室の各々がオリゴマーを含む、請求項40に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項42】
マイクロ流体デバイスが、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つの第2反応室を備えている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項43】
一連のバルブをさらに備えている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項44】
試料を処理するとともに試料をマイクロ流体デバイスに送るように構成されたリーダにマイクロ流体デバイスを接続するための位置合わせ穴をさらに備えている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項45】
接続ポートがリーダと係止可能に係合するように構成されている、請求項44に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項46】
マイクロ流体デバイスが使い捨てカートリッジである、請求項41に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項47】
第1ポンプおよび第2ポンプがシリンジポンプである、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項48】
入口ポートがキャップを含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項49】
キャップが、ガスケットシールリブを含むガスケットを含む、請求項48に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項50】
キャップが、キャップを開位置に固定するための戻り止め機能を備えている、請求項48に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項51】
請求項1に記載のマイクロ流体デバイスを受け取るように構成されたリーダであって、1つまたは複数の第2反応室内の第2反応産物の存在を検出するように構成された検出器を備えているリーダ。
【請求項52】
マイクロ流体デバイスまたはリーダが、キャップの閉鎖またはキャップの漏れを検出するように構成されたキャップ位置検出コンポーネントを備えている、請求項51に記載のリーダ。
【請求項53】
キャップ位置検出コンポーネントが、光学キャップ閉鎖センサおよび圧力センサからなる群から選択される1つまたは複数のコンポーネントを備えている、請求項52に記載のリーダ。
【請求項54】
光学式キャップ閉鎖センサが、キャップが閉じた密封位置にあるときに遮断される光ビームを含む、請求項53に記載のリーダ。
【請求項55】
圧力センサが、キャップの圧力に耐える能力を評価する、請求項54に記載のリーダ。
【請求項56】
圧力が、デバイスのポンプを使用して生成される、請求項55に記載のリーダ。
【請求項57】
所定の範囲外の圧力が、密閉されていないキャップを示す、請求項55に記載のリーダ。
【請求項58】
キャップが密閉されていると識別されない場合、リーダまたはマイクロ流体デバイスの動作を停止するように構成されている、請求項52に記載のリーダ。
【請求項59】
方法であって、
少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド配列を含む標的核酸を含む試料流体をマイクロ流体デバイスに提供することと、
等温条件下で少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド配列を増幅することと、を含み、増幅することが、
第1の増幅されたポリヌクレオチド配列を含む第1増幅産物を産生するために、標的ポリヌクレオチド配列に対して第1回目の増幅を実行することと、
第2の増幅されたポリヌクレオチド配列を含む第2増幅産物を産生するために、第1の増幅されたポリヌクレオチド配列に対して第2回目の増幅を実行することであって、第2の増幅されたポリヌクレオチド配列は、第1回目の増幅中に生成される第1の増幅されたポリヌクレオチド配列内に完全に含まれるより小さい配列を含む、第2回目の増幅を実行することと、
を含む、方法。
【請求項60】
第2増幅産物を検出することをさらに含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
第2増幅産物を検出することが、
標識された第2産物を産生するために、フルオロフォアおよびクエンチャに連結された第1オリゴヌクレオチドで第2増幅産物を標識することと、
標識された第2増幅産物からクエンチャを切断することと、
フルオロフォアからの信号を光学的に検出することであって、検出可能な信号は第2増幅産物の存在を示す、検出することと
を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
クエンチャの切断が、ヌクレアーゼを使用して行われる、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
ヌクレアーゼが、二本鎖DNAを標的とする、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
ヌクレアーゼが、ホルムアミドピリミン-DNAグリコシラーゼである、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
増幅するステップが、第1回目の増幅を実行することを含み、増幅はRPAである、請求項59に記載の方法。
【請求項66】
増幅するステップが、第2回目の増幅を実行することを含み、増幅はRPAである、請求項59に記載の方法。
【請求項67】
増幅するステップが、増幅がRPAである第1回目の増幅と、増幅がRPAである第2回目の増幅とを実行することを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項68】
試料が、血液、痰、粘液、唾液、涙、または尿である、請求項59に記載の方法。
【請求項69】
試料を動物から取得するステップをさらに含む、請求項59に記載の方法。
【請求項70】
試料が、動物から得られ、動物はヒトである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
標的核酸が、動物病原体の標的核酸である、請求項59に記載の方法。
【請求項72】
動物病原体が、一本鎖DNAウイルス、二本鎖DNAウイルス、または一本鎖RNAウイルスである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
動物病原体が細菌である、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
標的核酸が、二本鎖DNA、一本鎖DNA、またはRNAである、請求項59に記載の方法。
【請求項75】
標的核酸が、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ウイルスDNA、ミトコンドリアDNA、cDNA、合成二本鎖DNAおよび合成一本鎖DNAからなる群より選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項76】
標的核酸が、ウイルスDNAまたはウイルスRNAである、請求項59に記載の方法。
【請求項77】
動物病原体が、インフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルス、または呼吸器合胞体ウイルス(RSV)である、請求項71に記載の方法。
【請求項78】
標的核酸が、2つの標的ポリヌクレオチド配列を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項79】
標的核酸が、3つの標的ポリヌクレオチド配列を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項80】
試料をマイクロ流体デバイスに提供するステップの前に、試料をRPA試薬と混合するステップをさらに含む、請求項59に記載の方法。
【請求項81】
第2増幅産物が、マイクロ流体デバイスに試料を提供するステップの後、約30分未満、約15分未満、約10分未満、または約5分未満で検出される、請求項59に記載の方法。
【請求項82】
第2の増幅産物が、リアルタイムで検出される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
増幅の前に試料を溶解するステップをさらに含む、請求項59に記載の方法。
【請求項84】
溶解するステップが、試料を溶解剤と結合させるステップを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
溶解剤が、酵素である、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
溶解するステップが、機械的手段を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項87】
溶解するステップが、試料を加熱することを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項88】
方法であって、
少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド配列を含む標的核酸を含む試料をマイクロ流体デバイスに提供することと、
少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド配列を増幅することと、を含み、
増幅することが、
第1の増幅されたポリヌクレオチド配列を含む第1増幅産物を産生するために、標的ポリヌクレオチド配列に対して第1回目の増幅を実行することと、
追加の増幅産物を形成するために、第1の増幅されたポリヌクレオチド配列に対して1回または複数回の追加の連続した増幅を実行することであって、各連続したn+1回目の増幅からの増幅産物は、前回のn回目の間に生成された増幅されたポリヌクレオチド配列内に完全に含まれるより小さい配列である増幅されたポリヌクレオチド配列を含む、追加の連続した増幅を実行することと、
最終増幅産物を産生するために、最後から2番目に増幅されたポリヌクレオチド配列に対して最終回の増幅を実行することと、
最終増幅産物を検出することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2017年2月28日に出願された「マイクロ流体デバイスおよび関連方法」と題する米国特許出願第62/464,576号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府の利益に関する声明
本発明は、米国保健福祉省により授与されたHHSO100201400011Cの下で政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
本開示は、マイクロ流体デバイスに関し、より詳細には、診断分析を実施するために使用されるマイクロ流体デバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
マイクロ流体デバイスは、多くの用途で幾何学的に制約されたネットワーク内の流体の流れを正確に制御するように設計されている。いくつかの例では、マイクロ流体デバイスを使用して、等温核酸増幅法(例えば、レコンビナーゼポリメラーゼ増幅法(Recombinase Polymerase Amplification(RPA))または切断および伸長増幅反応法(Nicking and Extension Amplification Reaction(NEAR)))に基づく分析などの特定の分子診断分析を実行し、核酸のトレースレベルを検出する。場合によっては、マイクロ流体デバイスは、ポイントオブケア(POC)テストを容易にし、インフルエンザ(Flu)や呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を検出できる分析などの診断分析の利用可能性と速度とを向上させることができる。例えば、マイクロ流体デバイスは、インフルエンザおよび/またはRSVウイルスに存在する標的核酸の迅速な検出を促進する可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示されるマイクロ流体デバイスは、1つまたは複数の標的核酸を検出できる診断分析(例えば、インフルエンザ(Flu)および呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を検出できる分析)を実行するために設計されている。例えば、マイクロ流体デバイスは、カートリッジアセンブリ、エラストマー層、および蓋を含む。カートリッジアセンブリおよびエラストマー層はともに、マイクロ流体デバイスに提供された試料中の1つまたは複数の標的核酸の存在を検出するための分析を実行できる一連の、流体的に連結されたポート、チャネル、室(chamber)、リザーバ、バルブ、および付属コンポーネントを提供する。蓋は、カートリッジアセンブリを覆い、カートリッジアセンブリ内で1つまたは複数の標的核酸が検出され得る層を提供する。
【0006】
カートリッジアセンブリは、カートリッジ、キャップ、シール、プラグ、磁石、第1反応ペレットおよび第2反応ペレットを含む。カートリッジは、マイクロ流体ネットワークの形状と、マイクロ流体ネットワークへの入口ポートを提供する試料室を規定する。試料室は、試料採取装置(例えば、綿棒)を収容するサイズおよび形状であり、比較的広い第1部分および比較的狭い第2部分を含むので、液体試薬が試料室に送られた際には試料室内の綿棒の先端が完全に濡れる。
【0007】
カートリッジは、マイクロ流体ネットワークに流体を押し込むか、マイクロ流体ネットワークから流体を引き出すように動作可能な2つのオンボードポンプも規定する。カートリッジは、マイクロ流体デバイス内で多重化が実行され得るように、第1反応ペレットでプライミングされる第1反応室、混合室、およびそれぞれの第2反応ペレットでプライミングされる複数の第2反応室を規定する。第2反応室内での混合は、混合および音響マイクロストリーミングの一方または両方を介して起こり得る。各第2反応室は、第2反応室が流体で満たされると発生する背圧の結果として第2反応室間の充填レベルが自動的に平衡化されるようにするために、第2反応室内の流体の均等な分配を可能にする同一の空気ばねを含む。したがって、第2反応室は、正確で精密な同等の体積の流体で満たされ、同等の圧力を達成することができる。
【0008】
さらに、カートリッジと蓋との間に形成され、マイクロ流体ネットワークの外部にある容積は、マイクロ流体ネットワーク内の空気圧を緩衝する廃棄物リザーバ(例えば、空気リザーバ)を提供するので、マイクロ流体デバイスは別個の圧力平衡機構を備える必要がない。カートリッジ内の空洞と、空洞に沿って位置するエラストマー層の対応する領域とが協働して、マイクロ流体ネットワークに沿った選択位置にバルブを形成し、流体の流れを制御することができる。同様の分析を実行するために使用される従来のデバイスと比較して、周囲環境への漏れ汚染のリスクが大幅に低減されるように、閉じたシステムを提供するように、マイクロ流体デバイスは構成される。少なくとも部分的にマイクロ流体デバイスの構成により、マイクロ流体デバイスを使用して、約15分未満でFlu/RSV分析を実行することができる。
【0009】
例えば、いくつかの実施形態において、本明細書では、マイクロ流体デバイスであって、試料を受け取るように構成された入口ポートと、入口ポートに流体的に結合された第1反応室と、入口ポートに流体的に結合された第1ポンプと、混合室に流体的に結合された第2ポンプと、第1反応室および混合室に流体的に結合された計量チャネルと、混合室に流体的に結合された1つまたは複数の第2反応室と、を備え、第1ポンプは、流体を、入口ポートから第1反応室におよび第1ポンプから入口ポートに、移動させるように構成されており、第2ポンプは、流体を、第2ポンプから混合室に第1反応室から混合室におよび混合室から1つまたは複数の第2反応室に、移動させるように構成されている、マイクロ流体デバイスが提供される。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、マイクロ流体デバイス内の流体圧力を調節するように構成された廃棄物リザーバをさらに備えている。いくつかの実施形態において、第1反応室は、第1の増幅試薬のセット(例えば、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)試薬)を含む。いくつかの実施形態において、RPA試薬は凍結乾燥されている。いくつかの実施形態において、第1反応室は、触媒試薬(例えば、マグネシウム)をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1の増幅試薬セットはオリゴマーを含む。いくつかの実施形態において、混合室は、第2の増幅試薬セット(例えば、RPA試薬)を含む。いくつかの実施形態において、RPA試薬は凍結乾燥されている。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の第2反応室はそれぞれ、第2の増幅試薬セット(例えば、RPA試薬)を含む。いくつかの実施形態において、RPA試薬は凍結乾燥されている。いくつかの実施形態において、第2の増幅試薬セットはオリゴマーを含む。いくつかの実施形態において、第1ポンプは第1緩衝液を含む。いくつかの実施形態において、第1ポンプは第1緩衝液および溶解剤を含む。いくつかの実施形態において、第2ポンプは第2緩衝液を含む。いくつかの実施形態において、第2ポンプは第2緩衝液および溶解剤を含む。いくつかの実施形態において、第1ポンプは触媒試薬を含む。いくつかの実施形態において、第2ポンプは触媒試薬を含む。いくつかの実施形態において、触媒試薬はマグネシウムを含む。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の第2反応室のそれぞれは検出室である。いくつかの実施形態において、各検出室の一部は光学的に透明である。いくつかの実施形態において、第1反応室は、加熱ユニットに結合されるように構成されている。いくつかの実施形態において、入口ポートは、加熱ユニットに結合されるように構成されている。いくつかの実施形態において、第1反応室は、混合手段を備えているか、混合手段に結合されている。いくつかの実施形態において、混合室は、混合手段を含むか、混合手段に結合されている。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の第2反応室はそれぞれ、混合手段を含むか、または混合手段に結合されている。いくつかの実施形態において、混合手段は磁石である。いくつかの実施形態において、混合手段は、音響ストリーミングによって動作する。いくつかの実施形態において、入口ポートは試料を含み、第1ポンプは第1緩衝液を含み、第1ポンプは第1緩衝液を第1ポンプから入口ポートに送って試薬と第1緩衝液とを含む希釈試料を生成するように構成されている。いくつかの実施形態において、第1反応室は第1の増幅試薬セットを含み、第1ポンプは、希釈試料の一部を入口ポートから第1反応室に提供して、希釈試料と第1の増幅試薬セットとを含む第1反応混合物を生成するように構成されている。いくつかの実施形態において、第2ポンプは、計量チャネルを介して第1反応室から混合室に第1反応混合物の一部を提供するように構成されている。いくつかの実施形態において、第2ポンプは第2緩衝液を含み、第2ポンプは、計量チャネルを介して第2ポンプから混合室に第2緩衝液を送って、第2緩衝液が第1反応混合物の一部と結合して希釈された第1反応混合物を生成するように構成されている。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の第2反応室は、それぞれ第2の増幅試薬セットを含み、第2ポンプは混合室から1つまたは複数の第2反応室のそれぞれに、希釈された第1反応混合物の一部を送って希釈された第1反応混合物および第2の増幅試薬セットを含む第2反応混合物を生成するように構成されている。いくつかの実施形態において、第2の増幅試薬セットはオリゴマーを含む。いくつかの実施形態において、混合室は第2の増幅試薬セットを含み、第2試薬室は第2緩衝液を含み、第2ポンプは、第2試薬室から計量チャネルを介して混合室に第2緩衝液を送るよう構成され、第2緩衝液は、第1反応混合物の一部および第2の増幅試薬セットと結合して第2反応混合物を生成する。いくつかの実施形態において、第2ポンプは、第2反応混合物の一部を1つまたは複数の第2反応室のそれぞれに送るように構成されている。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の第2反応室のそれぞれは、オリゴマーを含む。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つの第2反応室を含む。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、一連のバルブをさらに含む。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、試料を処理するとともに試料をマイクロ流体デバイスに送るように構成されたリーダにマイクロ流体デバイスを接続するための位置合わせ穴をさらに含む。いくつかの実施形態において、接続ポートは、リーダと係止可能に係合するように構成されている。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは使い捨てカートリッジである。いくつかの実施形態において、第1ポンプおよび第2ポンプはシリンジポンプである。いくつかの実施形態において、入口ポートはキャップを含む。いくつかの実施形態において、キャップは、ガスケットシールリブを含むガスケットを含む。いくつかの実施形態において、キャップは、キャップを開位置に固定するための戻り止め機能を備えている。
【0010】
追加の実施形態は、本明細書に記載のマイクロ流体デバイスを受け入れるように構成されたリーダを提供し、リーダは、1つまたは複数の第2反応室内の第2反応産物の存在を検出する検出器を備えている。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスまたはリーダは、キャップの閉鎖または漏れを検出するように構成されたキャップ位置検出コンポーネントを含む。いくつかの実施形態において、キャップ位置検出コンポーネントは、1つまたは複数のコンポーネント(例えば、光学キャップ閉鎖センサおよび/または圧力センサ)を含む。いくつかの実施形態において、光学キャップ閉鎖センサは、キャップが閉じた密封位置にあるときに遮断される光ビームを含む。いくつかの実施形態において、圧力センサは、キャップが圧力に耐える能力を評価する。いくつかの実施形態では、デバイスのポンプを使用して圧力が生成される。いくつかの実施形態において、所定の範囲外の圧力は、密閉されていないキャップを示す。いくつかの実施形態において、リーダは、キャップが密閉されていると識別されない場合、リーダまたはマイクロ流体デバイスの動作を停止するように構成されている。
【0011】
さらに他の実施形態は、
方法であって、
少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド配列を含む標的核酸を含む試料流体をマイクロ流体デバイスに提供することと、
等温条件下で少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド配列を増幅することと、
を含み、
増幅することが、
第1の増幅されたポリヌクレオチド配列を含む第1増幅産物を産生するために、標的ポリヌクレオチド配列に対して第1回目の増幅を実行することと、
第2の増幅されたポリヌクレオチド配列を含む第2増幅産物を産生するために、第1の増幅されたポリヌクレオチド配列に対して第2回目の増幅を実行することであって、第2の増幅されたポリヌクレオチド配列は、第1回目の増幅中に生成される第1の増幅されたポリヌクレオチド配列内に完全に含まれるより小さい配列を含む、第2回目の増幅を実行することと、
を含む、方法
を提供する。
いくつかの実施形態では、方法は、第2増幅産物を検出することをさらに含む。いくつかの実施形態において、第2増幅産物を検出することは、フルオロフォアおよびクエンチャに連結された第1オリゴヌクレオチドで第2増幅産物を標識して、標識された第2産物を産生することと、標識された第2増幅産物からクエンチャを切断することと、フルオロフォアからの信号を光学的に検出することであって、検出可能な信号は第2増幅産物の存在を示す、検出することとを含む。いくつかの実施形態において、クエンチャの切断は、ヌクレアーゼを使用して実施される。いくつかの実施形態において、ヌクレアーゼは二本鎖DNAを標的とする。いくつかの実施形態において、ヌクレアーゼはホルムアミドピリミン-DNAグリコシラーゼである。いくつかの実施形態において、増幅するステップは、第1回目の増幅を実行することを含み、増幅はRPAである。いくつかの実施形態において、増幅するステップは、第2回目の増幅を実行することを含み、増幅はRPAである。いくつかの実施形態において、増幅するステップは、増幅がRPAである第1回目の増幅と、増幅がRPAである第2回目の増幅とを実行することを含む。いくつかの実施形態において、サンプルは、血液、痰、粘液、唾液、涙、または尿である。いくつかの実施形態では、方法は、動物からサンプルを取得するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、サンプルは動物から得られ、動物はヒトである。いくつかの実施形態では、標的核酸は、動物病原体の標的核酸である。一部の実施形態では、動物病原体は、一本鎖DNAウイルス、二本鎖DNAウイルス、または一本鎖RNAウイルスである。いくつかの実施形態では、動物病原体は細菌である。いくつかの実施形態において、標的核酸は、二本鎖DNA、一本鎖DNA、またはRNAである。いくつかの実施形態において、標的核酸は、例えば、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ウイルスDNA、ミトコンドリアDNA、cDNA、合成二本鎖DNAまたは合成一本鎖DNAから選択される。いくつかの実施形態において、標的核酸はウイルスDNAまたはウイルスRNAである。いくつかの実施形態において、動物病原体は、インフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルス、または呼吸器合胞体ウイルス(RSV)である。いくつかの実施形態において、標的核酸は、2つの標的ポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、標的核酸は、3つの標的ポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、方法は、サンプルをマイクロ流体デバイスに提供するステップの前に、サンプルをRPA試薬と混合するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、第2増幅産物は、試料をマイクロ流体デバイスに提供するステップの後、約30分未満、約15分未満、約10分未満、または約5分未満で検出される。いくつかの実施形態では、第2増幅産物はリアルタイムで検出される。いくつかの実施形態において、方法は、増幅の前に試料を溶解するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、溶解するステップは、試料を溶解剤と組み合わせるステップを含む。いくつかの実施形態において、溶解剤は酵素である。いくつかの実施形態において、溶解するステップは機械的手段を含む。いくつかの実施形態において、溶解するステップは、試料を加熱することを含む。
【0012】
さらなる実施形態は、
方法であって、
少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド配列を含む標的核酸を含む試料をマイクロ流体デバイスに提供することと、
少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド配列を増幅することと、を含み、増幅することは、第1の増幅されたポリヌクレオチド配列を含む第1増幅産物を産生するために、標的ポリヌクレオチド配列に対して第1回目の増幅を実行することと、
追加の増幅産物を形成するために、第1の増幅されたポリヌクレオチド配列に対して1回または複数回の追加の連続した増幅を実行することであって、各連続したn+1回目の増幅からの増幅産物は、前回のn回目の間に生成された増幅されたポリヌクレオチド配列内に完全に含まれるより小さい配列である増幅されたポリヌクレオチド配列を含む、追加の連続した増幅を実行することと、
最終増幅産物を産生するために、最後から2番目に増幅されたポリヌクレオチド配列に対して最終回の増幅を実行することと、
最終増幅産物を検出することと、
を含む、方法
を提供する。
【0013】
他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、図、および特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【0014】
この特許または特許出願公開には、カラーで作成された少なくとも1つの図面が含まれている。カラー図面を含むこの特許または特許出願公開のコピーは、USPTOから要求および関連する料金の支払いに応じて提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】分析を実施するために使用されるマイクロ流体デバイスの分解図を示す。
【
図2】
図1のマイクロ流体デバイスの正面図を示す。
【
図3】
図1のマイクロ流体デバイスの背面図を示す。
【
図4】
図1のマイクロ流体デバイスのカートリッジの上面図を示す。
【
図6】
図4のカートリッジのポンプ室の断面図を示す。
【
図8】
図4のカートリッジの反応室の断面側面図を示す。
【
図11】
図4のカートリッジに沿ったバルブの上面図を示す。
【
図13】
図1のマイクロ流体デバイスを使用して分析を実施する方法に対応する
図4のカートリッジの一連の概略図を示す。
【
図14】
図1のマイクロ流体デバイスを使用して分析を実施する方法に対応する
図4のカートリッジの一連の概略図を示す。
【
図15】
図1のマイクロ流体デバイスを使用して分析を実施する方法に対応する
図4のカートリッジの一連の概略図を示す。
【
図16】
図1のマイクロ流体デバイスを使用して分析を実施する方法に対応する
図4のカートリッジの一連の概略図を示す。
【
図17】
図1のマイクロ流体デバイスを使用して分析を実施する方法に対応する
図4のカートリッジの一連の概略図を示す。
【
図18】
図1のマイクロ流体デバイスを使用して分析を実施する方法に対応する
図4のカートリッジの一連の概略図を示す。
【
図19】
図1のマイクロ流体デバイスを使用して分析を実施する方法に対応する
図4のカートリッジの一連の概略図を示す。
【
図20】
図1のマイクロ流体デバイスを使用して分析を実施する方法に対応する
図4のカートリッジの一連の概略図を示す。
【
図21】
図1のマイクロ流体デバイスを使用して分析を実施する方法に対応する
図4のカートリッジの一連の概略図を示す。
【
図22】
図1のマイクロ流体デバイスを使用して分析を実施する方法に対応する
図4のカートリッジの一連の概略図を示す。
【
図23】
図1のマイクロ流体デバイスを使用して分析を実施する方法に対応する
図4のカートリッジの一連の概略図を示す。
【
図26】例示的なキャップ閉鎖検出コンポーネントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1から
図3は、分析(例えば、Flu/RSV分析などのインフルエンザ(Flu)および呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の多重診断)を実施するためのマイクロ流体デバイス100の分解斜視図、正面(上面)図、および背面(底面)図をそれぞれ示す。マイクロ流体デバイス100は、マイクロ流体デバイス100の特定の機能(例えば、バルブ構成、混合操作、加熱、ポンピング、およびそのような機能の監視)を制御するリーダに結合することができる。マイクロ流体デバイス100は、カートリッジアセンブリ102、エラストマー層104、および蓋106を含む。カートリッジアセンブリ102およびエラストマー層104はともに、マイクロ流体デバイス100に提供された試料中の1つまたは複数の標的核酸の存在を検出するための分析を実行できる一連の流体的に連結されたポート、チャネル、室(chamber)、リザーバ、バルブ、および付属コンポーネントを提供する。蓋106は、カートリッジアセンブリ102を覆い、カートリッジアセンブリ102内で1つまたは複数の標的核酸が検出され得る層を提供する。カートリッジアセンブリ102は、カートリッジ108と、キャップ110、シール112(例えば、Oリングシール)、4つのプラグ114、第1磁石116、任意の第2磁石118、複数(例えば、8個)の第3磁石120、第1反応ペレット122、任意の中間ペレット123、および複数(例えば、8個)の第2反応ペレット124を含むいくつかの付属コンポーネント(
図2および
図3には図示せず)を含む。
【0017】
図4および
図5は、それぞれカートリッジ108の上面図および底面図を示している。カートリッジ108は、分析中に流体が流れるマイクロ流体ネットワークの形状を規定する。カートリッジ108は、開口部128を形成する試料室126を画定する。試料室126は、マイクロ流体ネットワークへの入口ポートを提供し、スワブ(例えば綿棒)および収集チューブなどのさまざまな試料採取装置を収容するようなサイズおよび形状である。例えば、試料室126は、比較的広い第1部分130と比較的狭い第2部分132とを含む。第1部分130は、約5mmから約20mm(例えば、約13mm)の長さと、約8mmから約20mm(例えば、約16mm)の比較的大きな内径とを有し、第1部分130は、広く使用されている試料収集スワブまたはチューブに対応できる。第1部分130は、約10mmから約30mm(例えば、約16mm)の長さと、約6mmから約10mm(例えば、約8mm)の比較的小さな内径とを有する第2部分132に狭まり、その結果、液体試薬が試料室126に送られた際には、試料室126内の綿棒の先端が完全に濡れる。カートリッジアセンブリ102のキャップ110およびシール112は、(例えば、シール112がキャップ110を取り囲むように)試料室126の開口部128に挿入されて、試料室126を閉じて密閉するような大きさである。
【0018】
カートリッジ108はまた、第1ポンプ室134および第2ポンプ室136を画定する。
図6は、第1ポンプ室134および第2ポンプ室136の断面図を示している。プラグ114は、第1ポンプ室134および第2ポンプ室136の各端部領域内に配置されている。
図7は、マイクロ流体ネットワークから離れて配置されたプラグ114(すなわち、
図6の左側のプラグ114)の1つの断面図を示している。各プラグ114は、リーダのロッド140と係合(例えば保持)してロッドがプラグ114に力を加えて(例えば、押したり引いたり)、ポンプ室134、136内の流体をマイクロ流体ネットワークに押し入れたり、または流体をマイクロ流体ネットワークからポンプ室134、136内に引き出したりできるように形成されたアンダーカット138を画定する。ポンプ室134、136は、それぞれ2つのプラグ114とともに、それぞれ、リーダのロッド140によって作動してマイクロ流体ネットワーク内の流体の流れを送り込む第1ポンプ135および第2ポンプ137(例えば、搭載された一体型シリンジポンプ)を形成する。
【0019】
第1ポンプ135および第2ポンプ137の初期の閉鎖状態(a)では、マイクロ流体ネットワークに隣接して配置されたプラグ114は、ポンプ室134、136のポート142、144とマイクロ流体ネットワークとの間の流体連通を遮断する。第1ポンプ135および第2ポンプ137の作動状態(b)では、マイクロ流体ネットワークに隣接して配置されたプラグ114は、ポンプ室134、136のポート142、144とマイクロ流体ネットワークとの間の流体連通を可能にする。各ポンプ室134、136は、約50mmから約100mm(例えば、約80mm)の長さと、約4mmから約8mm(例えば、約6mm)の内径とを有している。プラグ114の体積を除いて、ポンプ室134、136のそれぞれは、約1mLから約5mL(例えば、約2mL)の流体体積を収容することができる。
【0020】
再び
図4および
図5を参照すると、カートリッジ108は、第1反応ペレット122でプライミングされるとともに第1磁石116を収容する第1反応室146を画定する。第1反応室146は、約15mmから約20mm(例えば、約18mm)の内径と、約1mLから約2mL(例えば、約1.6mL)の容積とを有している。カートリッジ108はさらに、第2磁石118および中間ペレット123を収容する混合室148を画定する。混合室148は、約12mmから約18mm(例えば、約15mm)の内径と約0.7mLから約1.7mL(例えば、約1.1mL)の容積とを有している。第1反応室146内の液体試薬に第1反応ペレット122を溶解するべく、第1磁石116は、リーダによって作動(例えば、回転)され得る。第2磁石118は、混合室148内の流体を混合するべく、リーダによって作動(例えば、回転)され得る。第1反応室146および混合室148は、最大約60rad/秒の磁石回転速度に耐えることができる。分析中、第1磁石116および第2磁石118は、約6rad/秒から約30rad/秒の範囲の角速度でリーダによって回転されてもよい。加えて、第1反応室146および混合室148は、約80℃までの温度に耐えることができ、分析中、リーダのそれぞれの隣接する加熱要素によって約37℃~約60℃の温度に加熱され得る。
【0021】
カートリッジ108はまた、多重化がマイクロ流体デバイス100内で実行され得るように、複数(例えば、8つ)の第2反応室150のセットを規定する。各第2反応室150は、第2反応ペレット124でプライミングされ、任意の第3磁石120を収容する。各第2反応室150は、約2.0mm~約4.0mm(例えば、約3.0mm)の内部幅、約5.0mm~約15.0mm(例えば、約10.0mm)の内部長さ、および約1.0mm~約3mm(例えば、約2.2mm)の内部深さを有しており、したがって、各第2反応室150は、約10μL~約200μL(例えば、約66μL)の容積を有している。いくつかの実施形態において、第3磁石120は、第2反応室150内の液体試薬に第2反応ペレット124を溶解するべく、リーダによって作動(例えば、回転)される。第2反応室150は、最大約60rad/秒の磁石回転速度に耐えることができる。いくつかの実施形態において、第3磁石120は、約5Hzまでのレートで第2反応室150内において垂直に移動することができる。分析中、第3磁石120は、リーダにより約6rad/秒~約30rad/秒の範囲の角速度で回転されてもよく、または約1Hz~約5Hzのレートで室内において上下されてもよい。加えて、第2反応室150は、最大約80℃の温度に耐えることができ、分析中、リーダのそれぞれの隣接する加熱要素によって約37℃~約60℃の温度に加熱され得る。第2反応室150内での第3磁石120との混合に加えて、またはその代わりに、第2反応室150内での混合は、音響マイクロストリーミングにより達成され得る。
【0022】
図8、
図9、および
図10は、それぞれ、第2反応室150の断面側面図、断面斜視図、および上面図を示す。音響マイクロストリーミングを使用して、第2反応室150の底面182に沿って、或いはカートリッジ108を覆う蓋106の上部の第2反応室150の上方に配置された空洞184によって形成されたエアポケットに作用する、リーダ内の圧電トランスデューサまたはソノトロードにより、第2反応室150での混合を達成することができる。複数の空洞184は、第2反応室150の底面182から延びている。室(chamber)を流体で満たすことにより、第2反応室150の空洞184にマイクロバブル186が閉じ込められる。閉じ込められたマイクロバブル186の表面は、超音波トランスデューサの作用の結果として振動する。マイクロバブル表面(例えば、バブル「スキン」)の動きは、マイクロバブル186と接触する液体の動きを引き起こす。適用された音響周波数でのこれらの結果の振動は、流体体積内に微小渦に似た2次流れを引き起こす。
図10は、第2反応室150内の音響マイクロストリーミングを介して生じる混合の4つの連続した画像を示している。図示されるように、第2反応室150内において約7秒以内にほぼ完全な混合が達成され得る。
【0023】
任意の第3磁石120を収容することに加えて、第2反応室150の各々は、第2反応室150内の流体の均一な分配を可能にする同一の空気ばねを含む。各第2反応室150はそれ自体の空気ばねを含むので、第2反応室150が流体で満たされると発生する背圧の結果として、第2反応室150間の充填レベルが自動的に平衡する。したがって、第2反応室150は、正確で精密な同等の体積の流体で満たされ、同等の圧力を達成することができる。
【0024】
再び
図4および
図5を参照すると、カートリッジ108は、マイクロ流体ネットワークの複数の流体チャネルを規定する。さらに、カートリッジ108と蓋106との間に形成され、カートリッジ108によって画定されるマイクロ流体ネットワークの外部にある容積は、マイクロ流体ネットワーク内の空気圧を緩衝する廃棄物リザーバ192(例えば、空気リザーバ)を提供するので、マイクロ流体デバイス100は、別個の圧力平衡機構を備える必要がない。ポンプ室134、136から延びる流体チャネル152、試料室126の第2部分132から流体チャネル152まで延びる流体チャネル154、流体チャネル152から第1反応室146まで延びる流体チャネル156、流体チャネル152から混合室148まで延びる流体チャネル158、流体チャネル152から延びる末端流体チャネル160、第2反応室150に供給する流体チャネルネットワーク162、混合室148から流体チャネルネットワーク162まで延びる流体チャネル164、試料室126の第1部分130から延びる流体チャネル166、流体チャネル166から延びる流体チャネル168、ポンプ室134、136から流体チャネル168および廃棄物リザーバ192まで延びる分岐流体チャネル170、第1反応室146から流体チャネル168まで延びる流体チャネル172、第1反応室146から廃棄物リザーバ192まで延びる流体チャネル174、混合室148から流体チャネル168まで延びる流体チャネル176、および混合室148から廃棄物リザーバ192まで延びる流体チャネル178を、カートリッジ108は画定する。さまざまなチャネル152~178は、約1.0mm~約2.5mmの範囲の内部幅と、約0.5mm
2~約1.5mm
2の範囲の断面積とを有している。
【0025】
カートリッジ108は、エラストマー層104とともに、マイクロ流体ネットワークに沿って一連のバルブ1~13をさらに画定する。バルブ1~6は、チャネルバルブとして形成され、バルブ7~13は、ページングバルブとして形成される。
図11および
図12は、カートリッジ108に沿った弁の上面および斜視断面図を示している。カートリッジ108内の特定の空洞および空洞に沿って位置するエラストマー層104の対応する領域は、協働して、マイクロ流体ネットワークに沿った選択された位置にバルブを形成することができる。例えば、カートリッジ108の空洞190に沿って位置するエラストマー層104の領域188は、協働してバルブ3を形成する。バルブ3の開状態(
図11および
図12に示すように)では、空洞190の両端に連結された流体チャネル間の空洞190を流体が通過できるように、領域188は空洞190の表面から離れている。分析中の所望の時点で、リーダのピストンが領域188に力を加えて領域188を空洞190に押し込み、空洞190と接触させて、空洞190の両端に結合された空洞190を通って流体が流体チャネル間を流れないようにすることができ、それによりバルブ3を閉じる。バルブ1~13が閉じた状態では、空洞は存在しない(すなわち、空洞には深さが全くない)。バルブが開いた状態では、流体の流れによってバルブが強制的に開かれる(つまり、流体の流れが空洞に深さを与える)。したがって、カートリッジ108に沿った空洞は、約0μm~約750μmの範囲の深さを有していてもよく、リーダは、エラストマー層104の領域とカートリッジ108に隣接する空洞との間の適切な接触を達成するべく、約6N~約8Nの範囲の力を加えてバルブを閉じてもよい。
【0026】
試料室126がキャップ110で閉じられたときにマイクロ流体デバイス100が密閉されるように、さまざまな接合構造(例えば、レーザー溶接、超音波溶接、接着、熱溶接、およびいくつかの締結構造)の周辺端部に沿って、(例えば、
図2および
図3の暗い線で示されるように)エラストマーガスケットに沿った1つまたは複数の内部位置でカートリッジ108に、エラストマー層104および蓋106は取り付けられる。マイクロ流体デバイス100は、単回使用後(例えば、単一の分析を実施するために使用された後)に廃棄できる使い捨てユニットである。マイクロ流体デバイス100が容易に取り扱われ、包装され、輸送され、および保管され得るように、マイクロ流体デバイス100は、設置面積がコンパクトであり、約20g~約40gと軽量である。マイクロ流体デバイス100は、ペレットおよび試薬でプライミングされた、組み立てられた、すぐに使用できるデバイスとして提供されてもよい。マイクロ流体デバイス100は、水分/酸素吸収剤ペレット(例えば、そのような敏感なコンポーネントとともに使用するための)を含む大気制御パッケージング(例えば、複合プラスチック/金属ホイルポーチ)内に提供され得る。マイクロ流体デバイス100は、試薬(例えば、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)試薬)の安定性により決定されるように、約12ヶ月~約24ヶ月の貯蔵寿命を有し得る。
【0027】
カートリッジ108は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、およびポリエーテルエーテルケトンなどの1つまたは複数の化学的に堅牢な材料で作られ得る剛性構造である。いくつかの実施形態において、カートリッジ108は、約80mm~約200mm(例えば、約150mm)の全長(試料室126の範囲を含む)を有する。いくつかの実施形態において、カートリッジ108は、約50mm~約100mm(例えば、約80mm)の全幅(試料室126の範囲を含む)を有する。いくつかの実施形態において、カートリッジ108は、約8mm~約20mm(例えば、約16mm)の総厚(試料室126の範囲を含む)を有する。いくつかの実施形態において、磁石116、118、120は、ネオジウム、テフロン(登録商標)、またはガラスなどの1つまたは複数の化学的に堅牢な材料で作られてもよい。いくつかの例では、他の不活性材料を使用して、磁石116、118、120を封入することもできる。いくつかの実施形態では、これらの場所の磁石116、118、120の代わりに、外部磁場に(すなわちリグから)引き付けられる金属材料(例えば、鉄、ニッケル、および合金)が使用され得る。カートリッジ108は、視覚化および/または検出を可能にするために、1つまたは複数の部分(例えば、室(chambers)146、148、150)において透明または半透明であってもよい。カートリッジ108はまた、リーダ内にマイクロ流体デバイス100を配置するようなサイズおよび位置にされた1つまたは複数の位置合わせ穴199(例えば、
図1から
図3に示される)を規定する。例えば、リーダ内の関連するピンは、カートリッジの位置合わせ穴199に係合するように配置される。
【0028】
いくつかの実施形態において、キャップ110およびシール112は、ポリプロピレンまたはニトリルブタジエンゴムなどの1つまたは複数の化学的に堅牢な材料で作製され得る。いくつかの実施形態において、シール112は、プラスチックオンプラスチックまたはオーバーモールドされた熱可塑性エラストマーで作られてもよい。いくつかの実施形態において、プラグ114は、ブロモブチルまたは別の材料でできていてもよい。カートリッジ108およびプラグ114の化学的堅牢性に少なくとも部分的に起因して、ポンプ135、137は、液体リザーバとして使用される場合、約0.00054g/(パッケージ×日)と低い平均水蒸気透過(例えば、拡散)速度を達成することが判明した。
【0029】
エラストマー層104は、熱可塑性エラストマーなどの1つまたは複数の化学的に堅牢な材料で作成され得る。そのような材料配合によれば、エラストマー層104は、弾性的に(例えば、可逆的に)変形して、バルブ1~13を開閉することができる。いくつかの実施形態において、エラストマー層104は、約50mm~約150mm(例えば、約100mm)の全長を有する。いくつかの実施形態において、エラストマー層104は、約20mm~約80mm(例えば、約50mm)の全幅を有する。いくつかの実施形態において、エラストマー層104は、約0.5mm~約1.5mm(例えば、約1.0mm)の総厚を有する。
【0030】
蓋106は、ポリプロピレンまたはポリカーボネートを含む1つまたは複数の材料で作られてもよい。蓋106は、透明または半透明であり、カートリッジ108の室146、148、150内で生じる反応の視覚化および検出を可能にする。いくつかの実施形態では、蓋106の全長が約50mm~約200mm(例えば、約130mm)である。いくつかの実施形態では、蓋106は、約20mm~約80mm(例えば、約50mm)の全幅を有する。いくつかの実施形態では、蓋106は、約0.5mm~約1.0mm(例えば、約0.7mm)の総厚を有する。
【0031】
上述のように、マイクロ流体デバイス100は、マイクロ流体デバイス100を受け取ることができるリーダとともに使用されるように構成されている(例えば、サイズ、形状、および材料構成要素を有する)。リーダは、テストポート内でマイクロ流体デバイス100を受け取ることができる。リーダは、マイクロ流体デバイス100内の分析の動作中にマイクロ流体デバイス100と相互作用するように構成される。一連のアクチュエータが、さまざまなバルブ構造の近くでマイクロ流体デバイス100に接触して、バルブを効果的に「開閉」する。上述のように、典型的には、アクチュエータがエラストマー層104を下にある成形カートリッジ108に対して圧縮すると、バルブは閉じた状態になる。したがって、アクチュエータが解放されると、エラストマー層104が弛緩し、それによりバルブが開状態に戻ることが可能になる。リーダはまた、分析の実行中に必要に応じて、マイクロ流体デバイス100の領域に局所加熱を加える加熱要素を含む。リーダはまた、マイクロ流体ネットワーク内で所望の流体運動を達成するために、各ポンプのプランジャ(例えば、ロッド140)を押したり引いたりできるアクチュエータを含む。リーダには、試験中の試料内における標的種の有無を示す測定値を提供するために、それぞれの反応室を調べる蛍光検出光学系も含まれている。リーダは、マイクロ流体デバイスが規定の使用期限内にあるかどうかを確認し、テスト結果を電子患者の記録に関連付けるために、テストタイプを識別するバーコードまたは同様のシステムをさらに含み得る。
【0032】
図13から
図23は、マイクロ流体デバイス100を使用して標的核酸を検出する分析を実施する方法に対応するカートリッジ108の連続概略図を示す。いくつかの実施形態において、分析は、等温条件で実行されるFlu/RSV分析である。先ず
図13を参照すると、カートリッジ108の試料室126は、マイクロ流体デバイス100が周囲環境に対して開いているように、分析の開始前にキャップが外される。第1ポンプ135は閉じた状態にあり、青色で示される約1mL~約5mL(例えば、約2mL)の第1液体試薬194でプライミングされる。いくつかの実施形態において、第1液体試薬194は溶解緩衝液であり、マグネシウムなどの触媒剤を含む。いくつかの実施形態において、溶解緩衝液は酵素溶解剤である。いくつかの実施形態において、溶解緩衝液は、約10mM~約10mMの濃度の塩酸(HCL)および約0.1%~約1%の濃度のTritionX100を含む。
【0033】
さらに
図13を参照すると、第2ポンプ137は、閉状態にあり、緑色で示される約1mL~約5mL(例えば、約2mL)の第2液体試薬196でプライミングされる。いくつかの実施形態では、第2液体試薬196は典型的には反応緩衝液であり、中性に近いpHを有する。第2液体試薬は、マグネシウムなどの触媒剤を含んでもよい。第1反応室146および第2反応室150は、それぞれ第1反応ペレット122および第2反応ペレット124でプライミングされる。いくつかの実施形態では、第1反応ペレット122および第2反応ペレット124のそれぞれは、RPA試薬、触媒試薬(例えば、マグネシウム)、およびオリゴマーなどの1つまたは複数の凍結乾燥増幅試薬を含む。RPA試薬は、目的の標的に特異的なプライマ、ならびに存在する場合、増幅された標的の視覚化のための検出可能な標識を備えた少なくとも1つのプローブを含み得る。プローブは通常、増幅された試料混合物中に存在する場合、プローブが相補配列にハイブリダイズする場合、ヌクレアーゼによる切断後に別々になるフルオロフォアとクエンチャとを含む。
【0034】
マイクロ流体デバイス100は、リーダに挿入され、リーダは、分析を開始するために、1つまたは複数の制御要素(例えば、ボタンおよびスイッチ)を介して手動で操作される。分析開始時に、カートリッジ108をリーダに挿入している間、バルブ1~13は開いている。その後、リーダは、マイクロ流体デバイス100を使用して分析を実行するべく、バルブ1~13、ポンプ135、137、磁石116、118、120、および圧電トランスデューサ180(
図8に示す)を作動させるとともに、室146、148、150を特定の回数だけ加熱するように制御される。
【0035】
図14を参照すると、バルブ2、3が開き、約5秒~約10秒(例えば、約9秒)の期間にわたって、第1ポンプ135が、第1ポンプ室134から流体チャネル152、154を介して第1液体試薬194を試料室126に送り込む(例えば、押すまたは押し込む)する。
図15を参照すると、バルブ2、3は閉じ、バルブ1、12、13は開く。第1ポンプ135は、約1秒~約10秒(例えば、約5秒)の期間にわたって周囲環境から約1mL~約5mL(例えば、約2mL)の空気を、流体チャネル170、168、166および試料室126を介してポンプ室134に引き込む(例えば、引く)。
【0036】
図16を参照すると、バルブ1、12、13が閉じる。試料は、ユーザによって試料室126に送られ、試料室126は、ユーザによって閉じられ、キャップ110およびシール112で密閉される。いくつかの実施形態において、試料は、人間または別の動物から収集された生体液または物質である。例えば、試料は、血液、痰、粘液、唾液、涙、または尿の1つまたは複数を含み得る。試料は、綿棒や収集チューブなどの適切な試料採取装置を使用して、被験者から取得できる。例えば、綿棒を使用して、鼻、鼻咽頭、膣、頬、または組織の開口道の試料を採取し、耳、目、喉、傷またはその他の身体表面に適用できる。いくつかの実施形態において、試料収集装置を用いて被験者から試料が収集された直後に試料室126に、試料は直接送られ得る。いくつかの実施形態において、試料は、対象からの収集後にウイルス輸送培地(VTM)または他の液体試薬に保存することができ、保存した試料の一定分量を、分析を開始するために試料室126に送ることができる。対象から得られた試料または別の媒体に保存された試料は、対象から収集されたものと実質的に同じ形(例えば、標的核酸を単離するための試料の精製なし、または試料から生体マトリックスまたはその他の成分を除去する)で、試料室126に適用することができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、試料は、標的ポリヌクレオチド配列(例えば、または2つまたは3つの標的ポリヌクレオチド配列などの1つより多い標的ポリヌクレオチド配列)を含む標的核酸を含む。いくつかの実施形態において、標的核酸は、二本鎖DNA、一本鎖DNA、またはRNAである。いくつかの実施形態において、標的核酸は、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ウイルスDNA、ミトコンドリアDNA、cDNA、合成二本鎖DNAおよび合成一本鎖DNAである。いくつかの実施形態において、標的核酸はウイルスDNAまたはウイルスRNAである。いくつかの実施形態において、標的核酸は動物病原体(例えば、一本鎖DNAウイルス、二本鎖DNAウイルス、一本鎖RNAウイルス、または細菌)に由来する。いくつかの実施形態において、動物の病原体はインフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルス、またはRSVである。いくつかの実施形態において、試料は、試料室126に送られる前にRPA試薬と混合されている。
【0038】
試料は、約0秒~約60秒(例えば、約10秒)の間、試料室126に含まれる約400μL~約1500μL(例えば、約500μL)の第1液体試薬194と混合する。第1液体試薬194が溶解剤を含む場合、この混合期間中に試料が溶解され得る。いくつかの実施形態において、試料室126は、混合ステップ中に加熱されてもよい。試料が試料室126に送られ、ユーザによってキャップが置かれると、試料室126のシールの完全性がリーダによってテストされる。
【0039】
図17を参照すると、バルブ1、3、4、9、12、13が開き、第1ポンプ135は、流体チャネル170、168、166を介してポンプ室134内に含まれる空気を試料室126に送り込み、これによって約200μL~約1000μL(例えば、約500μL)の体積の試料および試料室126に含まれる第1液体試薬194を、約5秒~約15秒(例えば、約10秒)の期間にわたって、流体チャネル154、152、156を介して第1反応室146に送り込む。約300秒~約600秒(例えば、約480秒)の期間にわたって第1反応室146で第1増幅反応が起こり、第1反応産物が産生される。いくつかの実施形態において、標的ポリヌクレオチド配列を増幅するための第1増幅反応はRPA反応であり、第1反応産物は第1の増幅されたポリヌクレオチド配列を含む。第1増幅反応中、第1反応室146が加熱され、第1反応室146内の第1磁石116が回転して、試料中の第1反応ペレット122を溶解する。
【0040】
図18を参照すると、バルブ3、4、9、12、13が閉じ、バルブ11が開き、第1ポンプ135が約1mL~約5mL(例えば、約2mL)の空気を廃棄物リザーバ192から引き出し、流体チャネル170を介して第1ポンプ室134に流入させ、その間、シアンの色で示されるように、第1反応室146で第1増幅反応が起こる。
図19を参照すると、バルブ11が閉じ、バルブ12、10、4、6が開く。第1ポンプ135は、第1ポンプ室134に含まれる空気を、流体チャネル170、168、172を介して第1反応室146に送り込み、それにより約5秒~約10秒(例えば、約7秒)の期間にわたって、約100μL~約400μL(例えば、約200μL)の第1反応産物を、第1反応室146から計量チャネル198を画定するバルブ4、6の間の流体チャネル152の一部に送り込む。シアンの色で示されるように、計量チャネル198内における過剰量197の第1反応産物が末端流体チャネル160に流入する。
【0041】
図20を参照すると、バルブ1、12、10、4、および6が閉じ、バルブ5、7が開く。第2ポンプ137は、約200μL~約800μL(例えば、約400μL)の第2液体試薬196を第2ポンプ室136から計量チャネル198および流体チャネル158を介して混合室146に送り込み、それによって約5秒~約10秒(例えば、約8秒)の期間にわたって、計量チャネル198内の第1反応産物をも押し流して混合室148に流入する。計量チャネル198および混合室148内において、第2液体試薬196は、計量チャネル198内に含まれていた第1反応産物を希釈する(例えば、約1:50で)。約500μL~約2000μL(例えば、約1000μL)の体積の第2液体試薬196が第2ポンプ室136に残っている。混合室148は、黄色で示される第1反応産物の約5μL~約20μL(例えば、約8μL)の容積を有する。混合室148が加熱され、黄色で示されるように、第2磁石118が回転して、ペレット123を第1反応産物および第2液体試薬196に溶解する。混合は、約2秒~約10秒(例えば、約5秒)の期間で起こる。混合室148内の残留空気は、バルブ7を介して廃棄物リザーバ192に排出される。
【0042】
図21を参照すると、バルブ5、7が閉じ、バルブ11が開き、第1ポンプ135が約1000μL~約5000μL(例えば、約2000μL)の空気を廃棄物リザーバ192から流体チャネル170を介して第1ポンプ室134に引き込み、その間に混合室148で混合が行われる。
図22を参照すると、バルブ11が閉じ、バルブ8、12、14が開く。第1ポンプ135は、流体チャネル170、168、176を介して第1ポンプ室134から混合室に約200μL~約1000μL(例えば、約500μL)の空気を送り込み、それにより混合室146中の第1反応産物を、約5秒~約20秒(例えば、約17秒)の期間にわたって押し流して、流体チャネルネットワーク162を介して第2反応室150に入れる。第1反応産物は、第2反応室150に関連付けられた空気ばねに抗して押し流され、約22.5μL~約27.5μL(例えば、約25.0μL)の第1反応産物の等しい体積が第2反応室150に送られ、その結果、第2反応室150は約30%満たされる。
【0043】
約180秒~約600秒(例えば、約240秒)の期間にわたって第2反応室150で第2増幅反応が起こり、その間、第2反応室150は加熱され、第3磁石120は回転または垂直に移動して第2反応ペレット124を第1反応産物に溶解する。いくつかの実施形態において、第1の増幅されたポリヌクレオチド配列を増幅するための第2増幅反応はRPA反応であり、第2反応産物は、第1の増幅されたポリヌクレオチド配列内に完全に含まれるより小さい配列を含む第2の増幅されたポリヌクレオチド配列を含む。
【0044】
図23を参照すると、バルブ1、8、14が閉じ、第2増幅反応の連続的な蛍光検出が実行される。いくつかの実施形態において、連続的な蛍光検出は、
フルオロフォアとクエンチャに結合した第一のオリゴヌクレオチドで第2増幅産物を標識して標識された第2産物を生成することと、
標識された第2増幅産物からクエンチャを切断することと、
フルオロフォアからの信号(例えば、第2増幅産物の存在を示す)を光学的に検出することと、を含む。
いくつかの実施形態では、消光剤はヌクレアーゼを使用して切断される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼは二本鎖DNAを標的とする。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼはホルムアミドピリミン-DNAグリコシラーゼである。検出は、約3分~約10分(例えば、約4分)の期間にわたって、約5秒~約20秒(例えば、約15秒)ごとに第2反応室150に沿って蓋106およびカートリッジ108に隣接するリーダを使用して実行され得る。
【0045】
試料が試料室126に送られる時点から検出が完了する時点まで測定されるように、分析はマイクロ流体デバイス100を使用して約30分未満(例えば、約15分未満、約10分未満、または約5分未満)の期間内に実行され得る。検出に続いて、マイクロ流体デバイス100はリーダから排出され、マイクロ流体デバイス100はリーダから手動で取り外される。少なくとも部分的にマイクロ流体デバイス100の閉鎖システム構成(例えば、試料室126のキャッピング後)により、同様の分析を実施するために使用される従来のデバイスと比較して、周囲環境への漏れ汚染のリスクが大幅に低減する。
【0046】
図24から
図27は、本明細書に記載のマイクロ流体デバイスの追加の例示的実施形態および特徴を示す。
図24を参照すると、例示的な寸法のデバイスが示されている。いくつかの実施形態において、デバイスは、その最も広い寸法が約82mm×106mm×11mmであるが、他の寸法が特に考えられる(例えば、±5%、±10%、±15%、±20%、±30%、±40%、±50%など。さらに
図24を参照すると、いくつかの実施形態において、デバイスは、第1反応室146の内部傾斜部分204を備えている。さらに
図24を参照すると、いくつかの実施形態において、デバイスのハンドル206は、より人間工学的な設計のためにグリップ縁部に完全な円形を備えている。
【0047】
図27を参照すると、いくつかの実施形態において、デバイスの蓋106は、スナップ207を介してデバイスに取り付けられている。いくつかの実施形態において、蓋106はVノッチ208がないが、デバイスの本体はVノッチ208を保持している(
図24に示されている)。
【0048】
いくつかの実施形態において、バルブ構成は、デバイスのサイズを最小化する(例えば、デバイスの寸法を最小化する)ように配置されている。
図24は、例示的なバルブ構成を示しているが、他の構成も特に考えられる。いくつかの実施形態では、漏れ検出を容易にするために、流体の流れの領域間の共有溶接が回避される。例えば、
図24を参照すると、いくつかの実施形態では、領域150は、デバイスコンポーネント間の共有溶接部を持たない。
【0049】
いくつかの実施形態において、デバイスの堅牢性は、例えば、より薄いコアアウトされた壁部、強力なコアアウトされた特徴、および堅牢なコアピンを含む成形技術により強化される。
【0050】
いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスとともに使用される検出機器の汚染の回避を含む、危険なまたは有害な物質(例えば、病原体を含む生物学的試料)のリスクおよび汚染を最小限にするための漏れ防止密閉キャップを含む。いくつかの実施形態において、これは、密封キャップ、キャップ閉鎖センサ、およびキャップ圧力センサの1つまたは複数またはそれぞれで達成される。
図25から
図26は、そのような例示的な実施形態を示している。
【0051】
図25を参照すると、キャップ110の実施形態が示されている。
図25の上部パネルを参照すると、キャップ110を開位置に固定するように設計された戻り止め機構201が示されている。さらに
図25を参照すると、キャップガスケット200が示されている。特定の材料に限定されることなく、いくつかの実施形態では、キャップガスケット200は適所に成形され、シリコーンを含む。さらに
図25を参照すると、ガスケットシールリブ202が示されている。いくつかの実施形態において、ガスケットおよびガスケットシールリブは、試料室106からの試料の漏れを防ぐ。また、
図25を参照すると、閉位置でキャップを密封するためのスナップフック205コンポーネントが示されている。閉じた位置にあるスナップフック205は、試料室126の上部領域の嵌合構造209と組み合う。
【0052】
図26を参照すると、キャップ位置検出コンポーネント203が示されている。いくつかの実施形態において、キャップ位置検出コンポーネント203は、漏れおよび/または適切に固定されていないキャップを検出するように構成されている。いくつかの実施形態において、キャップ位置検出コンポーネントは、光学式キャップ閉鎖センサおよび/または圧力検出器である。
【0053】
いくつかの実施形態において、キャップ位置検出コンポーネント203は、光学キャップ閉鎖センサを含む。例えば、いくつかの実施形態において、キャップ閉鎖検出コンポーネントは、キャップ開口部を横切る光ビームを生成し、この光ビームは、キャップ110が所定の位置に固定されると(例えば、スナップフック205または他のキャップシーリングコンポーネントを介して)遮断される。いくつかの実施形態において、デバイスまたはデバイスとともに機能する機器は、キャップが閉じた密閉位置にないとき(例えば、光ビームが遮断されていないとき)、動作を停止するかアラームを鳴らすように構成されている。
【0054】
いくつかの実施形態において、キャップ位置検出コンポーネント203は、圧力に耐えるキャップの能力を測定する圧力センサを備えている。いくつかの実施形態において、圧力の力フィードバック(例えば、装置のポンプによって提供される)は、適切に密閉されていないか、漏れを示しているキャップを検出するために利用される。いくつかの実施形態では、予想範囲外の圧力(例えば、キャップが適切にシールされていないこと、またはキャップが漏れていることを示す)は、アラームまたはデバイスまたはデバイスとともに機能する機器の動作の停止をもたらす。
【0055】
本発明の多くの実施形態が説明された。それにもかかわらず、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな修正を行うことができることを理解されたい。したがって、他の実施形態は、この詳細な説明に続く特許請求の範囲内にある。
【0056】
例えば、マイクロ流体デバイス100は、8つの第2反応室150を含むものとして説明および図示されたが、いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイス100と構造および機能が実質的に類似するマイクロ流体デバイスは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つ超の第2反応室など異なる数の第2反応室を含み得る。
【0057】
エラストマー層104、カートリッジ108、および蓋106は特定の寸法を有するものとして説明されたが、いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイス100と構造および機能が実質的に類似するマイクロ流体デバイスは、エラストマー層、カートリッジ、およびエラストマー層104、カートリッジ108、および蓋106について示されたものとは異なる寸法を有する蓋を含み得る。
【0058】
カートリッジ108は、任意の中間ペレット123を含むものとして説明および図示されているが、いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイス100に構造および機能が類似するマイクロ流体デバイスは、任意の中間ペレット123を含まなくてもよい。
【0059】
特定の分析に適用可能な特定の期間、流体量、ペレット成分、および液体試薬成分に関して
図13から
図27に示す方法を説明したが、いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイス100を使用して、異なる期間、流体量、ペレット成分、および液体試薬成分を含む、同様の、または異なる分析を行うことができる。
【0060】
本明細書の装置および方法は、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)技術の応用として説明されているが、標的核酸を増幅および検出するための他の等温技術も、本明細書に記載のマイクロ流体デバイス100に実装することができる(例えば、切断および伸長増幅反応(NEAR)技術)。本明細書に記載されるRPA増幅およびRPA増幅産物の検出の方法は、米国特許第7,399,590号明細書、第8,580,507号明細書、第7,270,981号明細書、第7,399,590号明細書、および第7,666,598号明細書、第7,435,561号明細書、米国特許出願公開第2009/0029421号明細書、および国際公開第2010/141940号パンフレットに詳細に記載されている。NEAR法は、米国特許出願公開第2009/0081670号明細書および第2009/0017453号明細書ならびに米国特許第9,562,263号明細書および第9,562,264号明細書に記載されている。前述の参考文献のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、本開示の一部とみなされる。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド配列を含む標的核酸を含む試料流体をマイクロ流体デバイスに提供することと、
等温条件下で少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド配列を増幅することと、を含み、増幅することが、
第1の増幅されたポリヌクレオチド配列を含む第1増幅産物を産生するために、標的ポリヌクレオチド配列に対して第1回目の増幅を実行することと、
第2の増幅されたポリヌクレオチド配列を含む第2増幅産物を産生するために、第1の増幅されたポリヌクレオチド配列に対して第2回目の増幅を実行することであって、第2の増幅されたポリヌクレオチド配列は、第1回目の増幅中に生成される第1の増幅されたポリヌクレオチド配列内に完全に含まれるより小さい配列を含む、第2回目の増幅を実行することと、
を含む、方法。
【請求項2】
第2増幅産物を検出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2増幅産物を検出することが、
標識された第2産物を産生するために、フルオロフォアおよびクエンチャに連結された第1オリゴヌクレオチドで第2増幅産物を標識することと、
標識された第2増幅産物からクエンチャを切断することと、
フルオロフォアからの信号を光学的に検出することであって、検出可能な信号は第2増幅産物の存在を示す、検出することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
クエンチャの切断が、ヌクレアーゼを使用して行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ヌクレアーゼが、二本鎖DNAを標的とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ヌクレアーゼが、ホルムアミドピリミン-DNAグリコシラーゼである、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
増幅するステップが、第1回目の増幅を実行することを含み、増幅はRPAである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
増幅するステップが、第2回目の増幅を実行することを含み、増幅はRPAである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
増幅するステップが、増幅がRPAである第1回目の増幅と、増幅がRPAである第2回目の増幅とを実行することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
試料が、血液、痰、粘液、唾液、涙、または尿である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
試料を動物から取得するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
試料が、動物から得られ、動物はヒトである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
標的核酸が、動物病原体の標的核酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
動物病原体が、一本鎖DNAウイルス、二本鎖DNAウイルス、または一本鎖RNAウイルスである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
動物病原体が細菌である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
標的核酸が、二本鎖DNA、一本鎖DNA、またはRNAである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
標的核酸が、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ウイルスDNA、ミトコンドリアDNA、cDNA、合成二本鎖DNAおよび合成一本鎖DNAからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
標的核酸が、ウイルスDNAまたはウイルスRNAである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
動物病原体が、インフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルス、または呼吸器合胞体ウイルス(RSV)である、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
標的核酸が、2つの標的ポリヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
標的核酸が、3つの標的ポリヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
試料をマイクロ流体デバイスに提供するステップの前に、試料をRPA試薬と混合するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
第2増幅産物が、マイクロ流体デバイスに試料を提供するステップの後、約30分未満、約15分未満、約10分未満、または約5分未満で検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
第2の増幅産物が、リアルタイムで検出される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
増幅の前に試料を溶解するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
溶解するステップが、試料を溶解剤と結合させるステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
溶解剤が、酵素である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
溶解するステップが、機械的手段を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
溶解するステップが、試料を加熱することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
方法であって、
少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド配列を含む標的核酸を含む試料をマイクロ流体デバイスに提供することと、
少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド配列を増幅することと、を含み、
増幅することが、
第1の増幅されたポリヌクレオチド配列を含む第1増幅産物を産生するために、標的ポリヌクレオチド配列に対して第1回目の増幅を実行することと、
追加の増幅産物を形成するために、第1の増幅されたポリヌクレオチド配列に対して1回または複数回の追加の連続した増幅を実行することであって、各連続したn+1回目の増幅からの増幅産物は、前回のn回目の間に生成された増幅されたポリヌクレオチド配列内に完全に含まれるより小さい配列である増幅されたポリヌクレオチド配列を含む、追加の連続した増幅を実行することと、
最終増幅産物を産生するために、最後から2番目に増幅されたポリヌクレオチド配列に対して最終回の増幅を実行することと、
最終増幅産物を検出することと、
を含む、方法。