(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140361
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ドックに接続された携帯用メディアデバイスからのメディア再生
(51)【国際特許分類】
H04R 3/12 20060101AFI20230927BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20230927BHJP
G10K 15/02 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
H04R3/12 Z
H04R3/00 310
G10K15/02
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118427
(22)【出願日】2023-07-20
(62)【分割の表示】P 2021154221の分割
【原出願日】2007-08-28
(31)【優先権主張番号】11/513,957
(32)【優先日】2006-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FIREWIRE
(71)【出願人】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アブラム・ジー・メイマン
(72)【発明者】
【氏名】スコット・ティー・イェウェル
(72)【発明者】
【氏名】リー・ザミール
(72)【発明者】
【氏名】ラスズロ・ドリムズ
(57)【要約】
【課題】ドッキングステーションの機能によって、携帯用メディアデバイスから、自宅、職場、又は他の場所の至る所に位置する1つ以上のリモートスピーカに、コンテンツをワイヤレス送信することができる。
【解決手段】開示された他の形態に加えて、携帯用メディアデバイスから有線接続を介してコンテンツを受信するドッキングステーションは、スピーカを介してコンテンツの再生又は表示を行うとともに、離れた位置にあるスピーカへのコンテンツの転送を行う。ドッキングステーションの機能によって、携帯用メディアデバイスから、自宅、職場、又は他の場所の至る所に位置する1つ以上のリモートスピーカに、コンテンツをワイヤレス送信することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモートスピーカである受信ステーションであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに一体化された受信部と、
前記ハウジングに一体化された送信部と、
前記ハウジングに一体化され、かつ前記受信部に接続されたスピーカとを具備し、
前記受信部は、携帯用メディアデバイスからドッキングステーションに提供されたコンテンツと前記受信ステーションの動作をコントロールするための情報とを表すワイヤレス信号を前記ドッキングステーションから受信し、
前記送信部は、信号をワイヤレス送信して、前記ドッキングステーションの動作をコントロールし、
また、前記送信部は、前記コンテンツをリモートスピーカにワイヤレス送信し、
前記スピーカは、前記受信したワイヤレス信号から可聴信号を生成し、
前記コンテンツに加えて、前記リモートスピーカを識別するデータが組み込まれて前記ドッキングステーションからワイヤレス送信され
可聴音信号が、実質的に同時に生成された第1の可聴音信号と第2の可聴音信号とのいずれかであり、
前記第1の可聴音信号と前記第2の可聴音信号とが、別個のコンテンツに相当し、
前記受信ステーションは、前記識別するデータに基づいて前記コンテンツが前記受信ステーションに対して送信されたものか否かを判断する、
ことを特徴とする受信ステーション。
【請求項2】
前記スピーカの動作をコントロールするためのワイヤレスリモートコントローラをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の受信ステーション。
【請求項3】
前記ワイヤレスリモートコントローラが、前記受信部の動作をさらにコントロールすることを特徴とする請求項2に記載の受信ステーション。
【請求項4】
前記ワイヤレスリモートコントローラが、前記ドッキングステーションの動作をさらにコントロールすることを特徴とする請求項3に記載の受信ステーション。
【請求項5】
前記送信部が、信号をワイヤレス送信して、前記携帯用メディアデバイスの動作をコントロールすることを特徴とする請求項1に記載の受信ステーション。
【請求項6】
前記コンテンツが、オーディオコンテンツを含むことを特徴とする請求項1に記載の受信ステーション。
【請求項7】
前記コンテンツが、前記携帯用メディアデバイスに格納されることを特徴とする請求項1に記載の受信ステーション。
【請求項8】
前記ワイヤレスリモートコントローラが、赤外線通信技術で実現されることを特徴とする請求項2に記載の受信ステーション。
【請求項9】
前記携帯用メディアデバイスが、ハードディスクドライブを具備することを特徴とする請求項1に記載の受信ステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ドックに接続された携帯用(handheld)メディアデバイスからのメディア再生に関する。
【背景技術】
【0002】
自宅や職場において携帯用メディアデバイス(例えば、アップルコンピュータ社(Apple Computer, Inc., of Cupertino, Calif.)製のiPod(登録商標)など)で音楽を聴くため、又は同時にプレーヤーの充電を行うため、人々は、プレーヤーをドッキングステーションに接続する。ドッキングステーションは、例えば、ボーズ社(Bose Corporation of Framingham, Mass.)製のSoundDock(登録商標)などであり、アンプ及びラウドスピーカを具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005-0272436号公報
【特許文献2】米国特許出願第10/640215号(米国特許出願公開第2006-0250973号公報)
【特許文献3】国際公開第2005/079448号
【特許文献4】特表2002-524000号公報
【特許文献5】特開2001-177890号公報
【特許文献6】特開2004-120407号公報
【特許文献7】特開平06-180974号公報
【特許文献8】特開2003-068061号公報
【特許文献9】特開2004-251471号公報
【特許文献10】特開平03-171473号公報
【特許文献11】特開2001-127712号公報
【特許文献12】米国特許出願公開第2004/0162029号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様では、携帯用メディアデバイスのためのドッキングステーションが開示される。ドッキングステーションは、ハウジング及びドッキングポートを具備する。ドッキングポートは、ハウジングに配置され、携帯用メディアデバイスをドッキングステーションに機械的に接続する。また、ドッキングステーションは、ドッキングポート内にインタフェースを具備する。インタフェースは、携帯用メディアデバイスとの有線電気接続を形成する。また、ドッキングステーションのハウジングは、携帯用メディアデバイスからコンテンツを受信するための回路と、該回路に接続されて、携帯用メディアデバイスからインタフェースを介して受信したコンテンツから可聴信号を生成するスピーカとを具備する。また、ドッキングステーションのハウジングは、上記回路に接続された送信部を具備する。送信部は、先の可聴信号と実質的に同時に、リモートスピーカ上に別の可聴信号を生成するために、携帯用メディアデバイスから受信したコンテンツをリモートスピーカにワイヤレス送信する。2つの可聴信号は、同一又は別個のコンテンツに相当してよい。また、ドッキングステーションは、携帯用メディアデバイス及びリモートスピーカの動作をコントロールする機能を有したワイヤレスリモートコントローラを具備する。また、ドッキングステーションは、動作を開始するために、リモートスピーカからメッセージを受信する機能を有した受信部を具備する。また、受信部は、携帯用メディアデバイスの動作をトリガするために、リモートスピーカからメッセージを受信する。インタフェースは、携帯用メディアデバイスからコンテンツを表すアナログ信号を受信する機能を有する。また、送信部は、コンテンツのデジタル化バージョンを送信する機能を有する。コンテンツは、リモートスピーカを識別するデータを含んでよい。コンテンツは、オーディオコンテンツを含んでよく、かつ携帯用メディアデバイスに格納されてよい。コンテンツは、オーディオコンテンツを圧縮したMPEG layer 3形式などの1つ以上の圧縮方式に対応してよい。コンテンツは、衛星信号から又は配線(hard wire)接続を介して提供されてよい。
【0005】
本発明の一態様では、ハウジングと、ハウジングに一体化された受信部とを具備した受信ステーションが開示される。受信部は、携帯用メディアデバイスからドッキングステーションに提供されたコンテンツを表すワイヤレス信号を、ドッキングステーションから受信する。また、受信部は、受信ステーションの動作をコントロールするために、コントロール情報を受信する。また、受信ステーションは、ハウジングに一体化されたスピーカを具備する。スピーカは、受信部に接続され、受信したワイヤレス信号から可聴信号を生成する。また、受信ステーションは、スピーカ、受信部、及びドッキングステーションの動作をコントロールするためのワイヤレスリモートコントローラを具備してよい。また、受信ステーションは、ハウジングに一体化された送信部を具備する。送信部は、ドッキングステーションの動作をコントロールするために、信号をワイヤレス送信する。送信部は、携帯用メディアデバイスの動作をコントロールするために、信号をワイヤレス送信する機能を有する。また、送信部は、コンテンツをリモートスピーカにワイヤレス送信する機能を有する。ドッキングステーションからのワイヤレス送信は、受信ステーションを識別するデータを含んでよい。コンテンツは、オーディオコンテンツを含んでよく、かつ携帯用メディアデバイスに格納されてよい。ワイヤレスリモートコントローラは、赤外線通信技術で実現されてよい。携帯用メディアデバイスは、ハードディスクドライブを具備してよい。
【0006】
本発明の一態様では、ハウジングを具備したドッキングステーションと、該ハウジングに接続されたドッキングポートとを具備したシステムが開示される。また、ドッキングステーションは、携帯用メディアデバイスとの有線電気接続を形成するインタフェースを具備する。また、ドッキングステーションは、携帯用メディアデバイスからコンテンツを受信するための回路と、ハウジングに配置され、かつ該回路に接続されたスピーカとを具備する。スピーカは、携帯用メディアデバイスから受信したコンテンツから可聴信号を生成する。また、ドッキングステーションは、携帯用メディアデバイスから受信したコンテンツとコントロール情報とをワイヤレス送信する送信部を具備する。また、本システムは、受信ステーションを具備する。受信ステーションは、コンテンツと受信ステーションの動作をコントロールするための情報とを表すワイヤレス信号を、ドッキングステーションから受信する受信部を具備する。また、受信ステーションは、受信部に接続されたスピーカを具備する。スピーカは、ワイヤレス信号送信から別の可聴信号を生成する。送信部は、ドッキングステーションのハウジングに配置される。本システムは、ドッキングステーション及び携帯用メディアデバイスの動作をコントロールするワイヤレスリモートコントローラを具備してよい。ワイヤレスリモートコントローラは、受信ステーションの動作をコントロールする機能を有する。ワイヤレスリモートコントローラは、ドッキングステーションの動作をコントロールするために、リモートスピーカからドッキングステーションへのワイヤレス送信をトリガする機能を有する。ワイヤレスリモートコントローラは、受信ステーションの動作をコントロールするために、ドッキングステーションから受信ステーションへのワイヤレス送信をトリガする機能を有する。受信ステーションは、コンテンツを別の受信ステーションに転送する機能を有する。少なくとも1つのバッテリーが、ドッキングステーションに電力を供給してよい。送信されたコンテンツは、受信ステーションを識別する機能を有する。コンテンツは、MPEG layer 3形式で圧縮されたオーディオコンテンツを含んでよい。コンテンツは、衛星ネットワークから提供されてよい。ドッキングステーションは、携帯用メディアデバイスに格納され、かつ受信ステーションに送信されたビデオコンテンツを表示するための表示部をさらに具備してよい。コンテンツは、同一又は別個の2つの可聴信号を含んでよい。
【発明の効果】
【0007】
ドッキングステーションの機能によって、携帯用メディアデバイスから、自宅、職場、又は他の場所の至る所に位置する1つ以上のリモートスピーカに、コンテンツをワイヤレス送信することができる。ワイヤレスリモートコントローラは、ドッキングステーション、携帯用メディアデバイス、及び/又は離れて位置するスピーカの動作をコントロールする信号を提供する。低遅延送信は、異なる部屋に位置するスピーカからの雑音(distracting)反響効果を低減する。
【0008】
その他の特徴及び利点が、明細書の記載及び特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ドックに接続された携帯用メディアデバイスからのメディア再生の図である。
【
図4】ドックに接続された携帯用メディアデバイスからのメディア再生の図である
【
図5】取り外し可能送受信部及びメディアデバイスクレードルを具備したドッキングステーションの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、システム100は、ドックに接続された携帯用メディアデバイス102(例えば、iPod(登録商標)プレーヤー)からメディアを再生する。携帯用メディアデバイス102は、オーディ又はビデオなどのデジタル化されたコンテンツ(content)を格納するためのメモリ(図示されていないが、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等)を具備する。いくつかのプレーヤーは、個人の音楽コレクションすべてであるデジタル化された何千もの楽曲を格納するために充分なメモリ容量を有する。
【0011】
さらに、携帯用メディアデバイス102を持ち歩き、移動しながらイヤホン(図示せず)を介して自身の音楽コレクションを個人的に楽しむために、人々は、自身のコレクションの楽曲を、特定の場所、例えば、自宅又は職場において、通常の室内再生音量で聴き、又は同時に、携帯用メディアデバイス102の電力源(例えば、充電式バッテリ)を充電したいと考えている。携帯用メディアデバイス102をドッキングステーション104のドッキングポート106に挿入することによって、デバイスは、オーディオコンテンツをドッキングステーション104に提供できる。ドッキングポート106は、ドッキングステーション104のハウジングと一体に形成され、これによって、携帯用メディアデバイス102を収容して支持するための機械的接続を提供する。また、ドッキングポート106は、携帯用メディアデバイス102からオーディオコンテンツを受信し、かつ携帯用メディアデバイス102に信号(例えば、コマンド)を提供するために、配線電気接続を提供するためのインタフェース(例えば、オス形コネクタ)を提供する。ドッキングステーション104に含まれた1つ以上の電力スピーカ108は、オーディオコンテンツ(例えば、楽曲)から、典型的な室内音量で可聴信号110を生成して、所望のリスニング体験を提供する。
【0012】
さらに、ドッキングステーション104のスピーカ108で楽曲を聴くために、ユーザは、ドッキングステーションの一部ではない1つ以上の他のスピーカ(例えば、リモートスピーカ112)によって音楽が再生されることを好む。上記他のスピーカは、ドッキングステーションに有線接続されていないか、又はドッキングステーションから「遠く離れて(remote)」いる。リモートスピーカ112は、ユーザの家又は職場、ドッキングステーションと同じ部屋、異なる部屋若しくは屋外、又は近隣の異なる建物に位置してよい。音楽をリアルタイムでリモートスピーカに提供すること(例えば、オーディオコンテンツが、大きな時間遅延なして、複数の場所でほぼ同時に再生されること)によって、信号遅延は、離れた場所に位置するスピーカからの可聴反響効果とともに低減される。オーディオコンテンツがリアルタイムで提供されても、いくつかの実施形態では、遅延は許容できる。例えば、2つ以上のスピーカ(例えば、ドッキングステーション104のスピーカ108、リモートスピーカ112等)が、個々に生成されたオーディオが同時に聴き取れないように位置するならば、遅延量は許容される。さらに、いくつかの実施形態では、ドッキングステーション104によって再生された可聴信号は、リモートスピーカ112によって可聴信号を生成するために用いられたコンテンツとは異なるコンテンツに相当してよい。例えば、ユーザがドッキングステーションである曲を聴くのと同時に、ドッキングステーションによって別の曲が再生のためにリモートスピーカに転送されてもよい。
【0013】
各リモートスピーカ112は、ワイヤレスリンク114を介して、ドッキングステーション104からオーディオコンテンツを表す信号を受信する。ワイヤレスリンク114は、無線周波数(RF)、赤外線(IR)、レーザー、又はその他のワイヤレス技術を使用する。
【0014】
ワイヤレスリンク114を介してオーディオコンテンツ信号を送信する前に、ドッキングステーション104は、効率的かつセキュアな送信のために、例えば、符号化、暗号化、又はその両方によって、オーディオコンテンツの処理を行う。オーディオコンテンツに加えて、その他のデータが、ドッキングステーション104からリモートスピーカに送信されてよい。例えば、リモートスピーカ112を一意に識別するデータ113(例えば、インターネットプロトコル(IP)アドレス、メディアアクセスコントロール(MAC)アドレス等)が、リンク114を介するワイヤレス送信に組み込まれてよい。この識別データを検出することによって、各リモートスピーカ112は、オーディオコンテンツが意図するスピーカがどうか判断する。もしそうであれば、予め指定されたリモートスピーカで再生するために、オーディオコンテンツを復号及び準備する。
【0015】
一意識別情報と共に、他のタイプの情報が、1つ以上のリモートスピーカに送信されてもよい。例えば、メディアコンテンツ(例えば、オーディオコンテンツ、ビデオコンテンツ等)を説明するメタデータ(すなわち、他のデータを説明するデータ)、制御情報(例えば、トランスポート制御)、リモートユーザインタフェース(例えば、リモートスピーカのインタフェース、リモコン(hand held remote))にシステムコントロールを提供するためのユーザインタフェース(UI)情報、通信チャネル情報(例えば、データ転送誤り率、周波数ホップパラメータなどのスペクトル拡散情報、チャネル等化用信号等)である。また、データ113は、ドッキングステーション104、リモートスピーカ112、又は音響システム100に含まれたその他のデバイスがデータを送信又は受信できるように、双方向性方式で提供されてもよい。
【0016】
音響システム100は、1つ以上のシステムコンポーネントの動作をコントロールするためのリモートコントローラ116を具備してよい。例えば、リモートコントローラ116は、携帯用メディアデバイス102がドッキングポート106に挿入された時点で、その動作をコントロールするために使用される。いくつかの実施形態において、リモートコントローラ116は、携帯用メディアデバイス102にコマンドを直接送信する。一方、別の実施形態では、リモートコントローラ116は、ドッキングステーション104にコマンドを送信する。この場合、コマンドは、携帯用メディアデバイス102に渡される。
【0017】
リモートコントローラ116は、例えば、格納されたコンテンツを一覧表にしたメニュー構成のナビゲーション(例えば、メニュー項目の選択)と、デバイスのオン・オフ切り替えと、バックライトレベルの設定と、再生動作(例えば、停止、再生、一時停止、消音、早送り、及び巻戻し)の選択と、音量レベルの変更と、曲の順序(例えば、プレイリスト)の作成、保存、編集、及び実行と、典型的に携帯用メディアデバイス102のユーザインタフェースで提供されるその他の機能とをコントロールする機能を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、リモートコントローラ116が、ドッキングステーション104の動作をコントロールする。例えば、1つ以上のスピーカ108の音量コントロール、ワイヤレスリンク114(例えば、送信周波数及び振幅)の特性決定、どのリモートスピーカ(群)がワイヤレスリンクにアクセスしているかの識別(例えば、スピーカに割り当てられた一意識別番号の選択)、パラメータの符号化及び暗号化などである。典型的に、1つ以上のアナログ又はデジタル信号が、ワイヤレスリンク114を介して送信され、オーディオコンテンツ(及びその他のデータ)をリモートスピーカ112へ提供する。
【0019】
いくつかの実施形態において、デジタル信号は、ワイヤレスリンク114を介して送信される。デジタル信号は、携帯用メディアデバイス102に格納された又は別のソースから得られた1つ以上のファイルを表す。このデジタル信号は、1つ以上のプロトコルに従う。例えば、個々の曲に関連するオーディオコンテンツは、MPEG(Moving Pictures Experts Group)audio layer 3(MP3)などの1つ以上の符号化方式を用いたファイルへと圧縮される。これらのMP3ファイルは、携帯用メディアデバイス102に格納されるとともに、オーディオコンテンツにアクセスして再生するために取り出される。また、オーディオコンテンツと同様に、MP3ファイルは、リモートスピーカ112に含まれる1つ以上のスピーカ118に配信されて再生されるために、ワイヤレスリンク114を介して送信される。
【0020】
また、リモートコントローラ116は、リモートスピーカ112などの1つ以上のリモートスピーカの動作をコントロールするために使用されてもよい。例えば、再生パラメータの調整(例えば、音量のコントロール、バランス、及び均等化)、スピーカの電源オン・オフ、リモートスピーカ112に対する一意のスピーカ識別子(例えば、英数字の識別子)の設定などである。
【0021】
リモートコントローラ116は、1つ以上のワイヤレス技術を実現して、1つ以上のコンポーネント(例えば、携帯用メディアデバイス102、ドッキングステーション104、又はリモートスピーカ112)との通信を確立する。上記ワイヤレス技術は、例えば、赤外線、RF、及びレーザー技術単独、又はそれらの組合せである。リモートスピーカ112は、リモートコントローラ116からワイヤレス信号を受信してよい。ワイヤレス信号は、1つ以上のスピーカ118の音量の調整、スピーカ再生の消音、電源のオン・オフ切り替えなどのイベントをトリガする。また、ドッキングステーション104は、これらのイベント又は同様のイベントをトリガするために信号を受信してよい。さらに、リモートコントローラ116は、システム全体の動作をトリガするための信号を提供してもよい。例えば、リモートコントローラ116は、リモートスピーカ112を消音するための(例えば、ワイヤレスリンク114を介した)信号の送信をトリガする信号を、ドッキングステーション104に送信する。あるいは、信号は、1つ以上のスピーカ118に可聴信号120を生成させるために、ワイヤレスリンク114を介して送信されてもよい。
【0022】
また、リモートコントローラ116は、動作のために1つ以上のリモートスピーカを選択するための信号を送信してもよい。例えば、可聴信号を生成するためにオーディオコンテンツの提供を受ける1つ以上のリモートスピーカを識別するための信号が、ドッキングステーション104に送信される。いくつかの実施形態において、各リモートスピーカは、選択スイッチ(例えば、ハードウェアで実装されたスイッチ若しくはソフトウェアで実装されたスイッチ、又はその両方)を具備する。スイッチが特定の状態(例えば、状態1、状態2等)にあることによって、リモートスピーカは、同一の状態にあるスイッチを具備した他のリモートスピーカとグループ化される。例えば、主寝室に位置するリモートスピーカの選択スイッチが「状態1」に設定され、一方、キッチンに位置するリモートスピーカの選択スイッチが「状態2」に設定される。選択スイッチの状態は、部屋毎の方針(room code)を考慮してよく、かつ各部屋に位置するリモートスピーカを識別するために使用されてもよい。スイッチ状態に基づいて、リモートコントローラ116からの信号は、ドッキングステーション104から特定のリモートスピーカグループへの信号送信をコントロールする。例えば、リモートコントローラ116からの信号において「状態1」が識別されることによって、ドッキングステーション104は、可聴信号(例えば、音楽)を生成するために、主寝室に位置するリモートスピーカに信号を提供する。ドッキングステーション104に信号を提供するとともに、リモートコントローラ116は、1つ以上の信号をリモートスピーカに送信して、どのスピーカ又はスピーカグループがドッキングステーション104からの信号を受信すべきかを識別する。
【0023】
図2を参照すると、送受信部200がドッキングステーション104に含まれている。送信部200は、ワイヤレスリンク114などの1つ以上のワイヤレスリンクを介して、コンテンツ(例えば、オーディオコンテンツ)を含む信号を送信する。送受信部200は、IR、RF、レーザー、又はその他の技術を組合せて、又は単独で実現される。いくつかの実施形態において、送受信部200は、ワイヤレス信号を、例えば、2.4GHz搬送周波数で送信するためのRF送信部を具備する。送信には、搬送周波数が周波数レンジとともに変化するスペクトル拡散技術(例えば、周波数ホッピング等)などが用いられる。さらに、ワイヤレス信号を受信するために、送受信部200は、搬送周波数(例えば、2.4GHz)上のワイヤレス信号を、又はスペクトル拡散信号に挿入されたワイヤレス信号を受信するための受信部を具備する。また、その他のワイヤレス通信プロトコルが送受信部200で使用されてもよい。例えば、ブルートゥース(登録商標)技術が組み込まれてよく、それによって、送受信部200は、比較的狭い範囲で相互接続する。超広帯域無線(UWB)技術が用いられ、それによって、比較的容量の大きいデジタルデータが、短い距離に対して、比較的小さな出力のワイドスペクトル周波数帯域を介して送信される。また、送受信部200は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11規格などの1つ以上の通信規格に適合する。また、送受信部200は、2005年12月8日に公開された米国特許出願公開第2005-0272436号公報と、2003年8月12日に出願された米国特許出願第10/640215号とに記載された1つ以上の明細事項を用いる。これら2つの特許文献は、引用によって本明細書に組み込まれる。
【0024】
送受信部200は、送信の前に信号の処理を実行する。信号の処理には、例えば、振幅変調、周波数変調、若しくは位相変調、並びに/又は、デジタル変調方式(例えば、周波数偏移変調(FSK)、位相偏移変調(PSK)、直交振幅変調(QAM))、又は送信のためにコンテンツ(例えば、オーディオコンテンツ)を調整するためのその他の同様の変調技術を用いる。
【0025】
いくつかの変形例において、送受信部200は、1つ以上のプロトコルに従って、オーディオコンテンツの送信を行う。例えば、いくつかのプロトコルは、マスター/スレーブ通信プロトコル、サーバ/クライアントプロトコル、又はピア/ピア通信プロトコルである。一般に、マスター/スレーブプロトコルの使用では、一方のデバイスをマスター、他方のデバイス又は他の複数のデバイスをスレーブとする。典型的に、マスターはスレーブを制御する。クライアント/サーバ通信プロトコルを用いて、サーバは、1つのクライアント又は複数のクライアントからのリクエストに応答する。ピア-トゥ-ピア通信プロトコルを用いて、2つのデバイスのうちのどちらか一方が通信セッションを開始する。送受信部200は、1つ以上の符号化方式(例えば、誤り訂正符号化又はデータ圧縮)及び/又は暗号化方式(例えば、対称暗号化方式、非対称暗号化方式、又はハッシュ関数)を用いて、送信のためにオーディオコンテンツを調整する。
【0026】
送受信部200は、ワイヤレス送信のために1つ以上のチャネルを生成してよい。例えば、2つのチャネルが生成され、それらは、オーディオコンテンツの分割されたセットを搬送する能力を有する。1つのチャネルは、携帯用メディアデバイス102によって提供されたオーディオコンテンツを搬送するために割り当てられ、一方、もう1つのチャネルは、ドッキングステーション104に(例えば、補助ジャックを介して)接続された別のオーディオソースによって提供されたオーディオコンテンツを搬送する。その他のオーディオソースは、ホームエンタテインメント装置(例えば、ステレオ装置、コンパクトディスク(CD)プレーヤー、又はデジタルビデオディスク(DVD)プレーヤー)、別の携帯用メディアデバイス(例えば、iPod(登録商標))、衛星信号(例えば、衛星ラジオ)、ケーブルシステム(例えば、ケーブルテレビシステムからのオーディオ信号)、コンピュータシステム(例えば、インターネット)、又はその他のタイプのオーディオコンテンツプロバイダである。
【0027】
ワイヤレスリモートコントローラ(例えば、リモートコントローラ116)から信号を受信するために、追加的な回路が、送受信部200及びドッキングステーション104に含まれてよい。例えば、表面配置信号受信部202(例えば、RFアンテナ、IR検出部、又は光検出部)が、ドッキングステーション104に組み込まれてよい。さらに、復号回路(例えば、IRデコーダ)が、ドッキングステーションに含まれてよく、リモートコントローラ116によって提供された1つ以上のコマンドを復号又は識別する。識別が済むと、ドッキングステーション104又は携帯用メディアデバイス102に関連するコマンドは、ローカルで実行され、一方、他のシステムコンポーネント(例えば、リモートスピーカ112)に関連するコマンドは、リモート実行のために転送される。
【0028】
ドッキングステーション104への電力は、交流(AC)電力を直流(DC)電力に変換する一体化電源によって、又は電池(例えば、充電式電池)若しくはバッテリーパックによって供給されてよい。他の動作(例えば、検出、変調、及び符号化)のための回路と同様に、電力供給回路は、アナログ及び/又はデジタル回路で実現されてよい。アナログ回路は、パッシブ及びアクティブコンポーネントを含んでよく、一方、デジタル回路は、1つ以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)及び1つ以上の専用デバイス(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))を含んでよい。複数のプロセッサ及び/又は複数のコンポーネントのうちの1つ以上が、一体型構造又は分散型構造として、1つの集積回路で実現されてよい。
【0029】
また、電力供給技術は、他の用途のためにドッキングステーション104に組み込まれてもよい。例えば、ドッキングポート106に挿入されると同時に、携帯用メディアデバイス102に組み込まれた電力源(例えば、1つ以上の充電式電池)は、ドッキングステーション104に組み込まれた電力供給回路によって充電される。充電は、メディアデバイス102がドッキングステーション104にアクセスするのと又はコンテンツを提供するのと実質的に同時に実行される。
【0030】
信号を送信及び受信するために、ドッキングステーション104は、1つ以上の内部又は外部に配置されたアンテナ(図示せず)を具備してよい。アンテナは、例えば、1つ以上のコンフォーマルアンテナ(例えば、パッチアンテナ又はストリップラインアンテナ)及び1つ以上のプロトルーディングアンテナ(例えば、テレスコープアンテナ)である。
【0031】
図3を参照すると、リモートスピーカ112は、1つ以上のワイヤレスリンクを確立するために受信又は送信モードで動作できる送受信部300を具備する。場合によっては、送受信部300は、別の送受信部(例えば、
図2に示された送受信部200)とのリンクを確立してよい。送受信部200と同様に、送受信部300は、ワイヤレス信号を受信又は送信するために、1つ以上のワイヤレス技術(例えば、RF技術、IR技術、又はレーザー技術)を用いてよい。送信側で実行された処理に基づき、送受信部300は、受信したワイヤレス信号に含まれたオーディオコンテンツにアクセスするために、動作(例えば、復調、符号解読(decoding)、又は暗号解読(decryption))を実行する。オーディオコンテンツは、リモートスピーカ112に組み込まれた1つ以上のスピーカ118に提供される前に、回路(例えば、アナログ回路又はデジタル回路)によってさらなる処理(例えば、フィルタ又は増幅)を受ける。
【0032】
また、送受信部300は、送信モードで動作して、リモートスピーカ112がワイヤレス信号を1つ以上の場所へ送信できるようにする。例えば、オーディオコンテンツがリモートスピーカ112によって正しく受信されたことを確認する信号が、ドッキングステーション104に送信される。あるいは、オーディオコンテンツが正しく受信されなかったことを示す警告信号が、送受信部300によって送信される。また、その他のタイプの手続き(例えば、ハンドシェイク)が、送受信部300から信号を送信することによって実行されてよい。リモートスピーカ112から送信されたワイヤレス信号は、ドッキングステーション104の動作をもたらす。例えば、送信した信号は、別の曲を選択する(例えば、次のトラックへの早送り又は前のトラックへの巻戻し)か、選択可能な曲を変更する(例えば、プレイリストの変更)か、又は別の動作を実行するように、携帯用メディアデバイス102をトリガする。
【0033】
また、ワイヤレス信号は、ドッキングステーション104に関連する動作をトリガしてもよい。例えば、ワイヤレス信号は、オーディオコンテンツソースを、携帯用メディアデバイス102からドッキングステーション104に組み込まれた補助ジャックに接続された装置(例えば、CDプレーヤー、ケーブルテレビ、又は衛星ラジオ受信機)へ切り替えるために送信される。また、送受信機300によって送信されたいくつかのワイヤレス信号は、コンテンツ(例えば、オーディオコンテンツ)を含んでよい。例えば、送受信部300で受信したオーディオコンテンツは、別の場所(例えば、別のリモートスピーカ又はリモートスピーカ群)に中継されてよい。ワイヤレス信号の受信又は送信によって、送受信部300が、他のリモートスピーカ及び1つ以上のドッキングステーションの間でワイヤレスネットワークを確立するために使用されてもよい。
【0034】
ドッキングステーション104と同様に、リモートスピーカ112は、さまざまなタイプの電源を組み込む。1つ以上のバッテリーが電力を供給して、リモートスピーカ110を持ち運び(例えば、別のオフィスに又は屋外に移動)できるようにしてよい。また、AC電圧信号をDC電圧レベルに変換するAC電源が組み込まれてもよい。また、ドッキングステーション104と同様に、リモートスピーカ112は、ワイヤレス信号を受信及び/又は送信するために、1つ以上のアンテナを用いてよい。
【0035】
リモートコントローラ116と通信するために、リモートスピーカ112は、表面配置された信号受信部302(例えば、RFアンテナ、IR検出部、光検出部等)を具備してよい。また、リモートスピーカ112は、信号受信部302で受信したワイヤレスリモートコントロール信号(例えば、RF信号、IR信号、又はレーザー信号)の処理を行うための回路(例えば、アナログ又はデジタル)を具備してよい。ドッキングステーション104と同様に、リモートスピーカ112は、リモートコントロール信号が(例えば、リモートスピーカ112による)ローカル実行又は(例えば、ドッキングステーション104又は別のリモートスピーカによる)リモート実行に対するコマンドを含むかどうかの検出を行うための回路を具備してよい。リモート実行に対して、送受信部300は、1つ以上の信号を適切な場所にワイヤレス送信して、1つ以上の動作の実行を開始する。
【0036】
図4を参照すると、例えば、1つのドッキングステーションと複数のリモートスピーカとが、2つの部屋間に分散されている。この例において、ドッキングステーション400及びリモートスピーカ402は、1つの部屋404に配置され、一方、他の2つのリモートスピーカ406,408は、もう1つの部屋410の壁に配置される。オーディオコンテンツを提供するために、携帯用メディアデバイス412は、ドッキングステーション400に挿入される。複数のリモートスピーカ402,406,408のそれぞれとドッキングステーション400とは、ワイヤレス信号を送信及び受信するための送受信部を具備する。この例において、オーディオコンテンツをリモートスピーカ402に提供するために、ワイヤレスリンク414が、ドッキングステーション400とリモートスピーカとの間で確立される。また、ワイヤレスリンクは、部屋410内のリモートスピーカ406,408と確立されてもよい。具体的には、ワイヤレスリンク416は、ドッキングステーション400とリモートスピーカ406との間で確立される。
【0037】
ドッキングステーション400は、リモートスピーカにリアルタイムでオーディオコンテンツを提供するとともに、異なる部屋に配置されたスピーカからの雑音(distracting)反響効果を低減する(例えば、およそ40ミリ秒の短い送信遅れとする)。
【0038】
ドッキングステーション400による送信範囲を越えてオーディオコンテンツを提供するために、リモートスピーカのうちの1つ以上は、オーディオコンテンツを1つ以上の他のリモートスピーカ又はデバイスにワイヤレス中継してよい。図示された用途に対して、リモートスピーカ408は、ドッキングステーション400の送信範囲を越える。リモートスピーカ408にオーディオコンテンツを提供するために、リモートスピーカ406が、ワイヤレスリンク416によって提供されたオーディオコンテンツを、ワイヤレスリンク418を介してリモートスピーカ408に中継する。その他のワイヤレスリンクと同様に、ワイヤレスリンク418は、信号を双方向で通過させる。故に、(例えば、リモートコントローラからのコマンドを含む)信号は、リモートスピーカ408からリモートスピーカ406に、例えば、ドッキングステーション400に配信するために、転送される。コンテンツ(例えば、オーディオコンテンツ又はリモートコントロールコマンド)の中継によって、ワイヤレスネットワークが、リモートスピーカ群及びドッキングステーションの間で確立される。例えば、各ネットワークノード(例えば、リモートスピーカ又はドッキングステーション)が2つ以上の他のネットワークノードとワイヤレスリンクを確立する場合、メッシュネットワークが確立され、それによって、コンテンツは、1つ以上の送信先ノードに到達するまで、ノードからノードに「ホップ(hop)」する。
【0039】
ネットワークノード間でコンテンツを転送するために、さまざまなタイプのネットワーク構成が実現される。例えば、ポイント-トゥ-ポイントネットワーク接続によって、コンテンツは、あるノードから別のノードに転送されることができ、ポイント-トゥ-マルチポイント接続によって、1つのノードから複数のノードに、コンテンツのブロードキャストを行うことができ、又は、その他の同様のネットワーク構成が実現される。
【0040】
いくつかの変形例において、各リモートスピーカは、ドッキングステーションからのワイヤレス送信に含まれる特殊なコンテンツを選択する機能を有する。例えば、2つのチャネルのオーディオコンテンツがリモートスピーカ402にワイヤレスで提供されている場合、リモートスピーカに格納されたデータは、2つのチャネルのうちの1つからのコンテンツを選択的に受信するために用いられてよい。さらに、リモートスピーカに格納されたデータは、リモートコントローラを用いて、ユーザによって提供されてもよい。このように、ドッキングステーション400が2つのチャネルのオーディオコンテンツを転送する場合、リモートスピーカ402は、(格納されたデータに基づいて)一方のチャネルを選択し、同時に、リモートスピーカ406,408は、(個々のリモートスピーカそれぞれに格納されたデータに基づいて)他方のチャネルを選択する。
【0041】
いくつかの変形例において、ドッキングステーション400は、オーディオコンテンツを1つ以上の特殊なリモートスピーカに向かわせる。例えば、ドッキングステーション400は、一方のチャネルのオーディオコンテンツをリモートスピーカ402に、かつ他方のチャネルのオーディオコンテンツを部屋410内のリモートスピーカ(例えば、リモートスピーカ406,408)に向かわせる。1つ以上の技術が、1つのチャネル(又は複数のチャネル)を1つ以上の送信先に向かわせるために用いられてよい。例えば、ドッキングステーション及びリモートスピーカは、プロトコルに従い、それによって、各リモートスピーカをアドレス指定できる。各リモートスピーカに一意のアドレスを割り当てることによって、ドッキングステーション400は、特殊なアドレスを用いて、コンテンツを複数のリモートスピーカのうちの1つ以上に向かわせる。例えば、各リモートスピーカは、特別な転送周波数に一意的に応答するように選択される。故に、これらの選択周波数でオーディオコンテンツを送信することによって、一意的に対応するリモートスピーカが、そのオーディオコンテンツを受信する。また、ドッキングステーションと同様に、1つ以上のリモートスピーカが、コンテンツを1つ以上の送信先(例えば、別のリモートスピーカ)に選択的に向かわせる(例えば、中継する)。
【0042】
上記の通り、さまざまなタイプのソースが、ドッキングステーション400から複数のリモートスピーカのうちの1つ以上に送信されるオーディオコンテンツを提供する。例えば、さらに、携帯用メディアデバイス412に格納されたコンテンツ、衛星ベースシステム、ケーブルベースシステム(例えば、ケーブルテレビシステム等)、コンピュータベースシステム(例えば、インターネット)からのオーディオコンテンツ(例えば、衛星ラジオ等)、又はその他の同様のオーディオコンテンツソースが、ドッキングステーション400から送信するために提供される。オーディオコンテンツと共に、他のタイプのコンテンツが、ドッキングステーション及び1つ以上のリモートスピーカの間で送信される。例えば、携帯用メディアデバイス412から提供されたビデオコンテンツ、又は別のタイプのビデオコンテンツソース(例えば、衛星システム、ケーブルテレビシステム、インターネット等)が、ドッキングステーション400及びリモートスピーカ402,406,408の間で送信される。また、デジタル情報(例えば、テキストデータ又は画像データ)が、個々に又はオーディオコンテンツ及びビデオコンテンツと組み合わせて、複数のデバイス間で送信される。例えば、テキスト(例えば、アーティスト名及び情報)と画像(例えば、アルバム表紙)が、ドッキングステーション400から複数のリモートスピーカ402,406,408のうちの1つ以上に送信される。このテキスト及び画像データは、複数のリモートスピーカのうちの1つ以上に組み込まれたビデオディスプレイ及び/又は複数のリモートスピーカのうちの1つ以上と通信を行うディスプレイ上に表示される。
【0043】
いくつかの変形例において、複数のドッキングステーションが、音響システム100などのシステムに含まれる。各ドッキングステーションが、1つ以上の専用のリモートスピーカに割り当てられるか、又は、複数のドッキングステーションが、1つ以上のリモートスピーカを共有してよい。異なる転送信号特性(例えば、周波数、位相、極性等)、変調方式などが、複数のドッキングステーションからの信号を識別するために、リモートスピーカに対して用いられる。リモートスピーカは、複数のドッキングステーションからの信号を選択的に受信するようにアドレス指定する機能を有する。例えば、住宅の一部(例えば、応接室(formal living room))に配置されたリモートスピーカは、1つのドッキングステーションから信号を受信するように構成され、一方、別の部分(例えば、居間(family room))では、リモートスピーカは、複数の信号を受信するように構成される。
【0044】
図5を参照すると、いくつかの実施形態では、ドッキングステーションの一部位が、ドッキングステーションハウジングの外部に配置されている。この例示的な設計では、ドッキングステーション500は、携帯用メディアデバイス504を受け入れることができるクレードル502を具備する。典型的に、携帯用メディアデバイス504は、メディアデバイスをクレードル502に接続する接続部(例えば、バスインタフェース)を具備する。クレードル502は、ドッキングステーション500に接続されて、信号(例えば、オーディオコンテンツ、ビデオコンテンツ、デジタルデータ等を含む信号)の変換を行う。この実施形態では、ケーブル506が、クレードル502を(接続部508を介して)ドッキングステーション500に接続する。接続部508は、ユニバーサルシリアルバス(すなわち、USB)ポート、シリアルポート、パラレルポート、IEEE 1394(すなわち、FireWire)ポートなどの1つ以上のインタフェース技術を用いるか、又は別の同様のタイプの接続を提供する。
【0045】
ケーブル506がクレードル502とドッキングステーション500との間の配線接続を実現すると同じく、また、ワイヤレス技術が複数のデバイスを接続するために使用されてもよい。例えば、IR、RF、レーザー、又はその他のワイヤレス方法が、クレードル502とドッキングステーション500との間でワイヤレス信号を送信するために用いられる。
【0046】
この実施形態において、クレードル502は、携帯用メディアデバイス504を受け入れること、かつデバイスをほぼ直立位置で保持する機能を有する。しかしながら、いくつかの実施形態において、ドッキングステーション500から分離した他のタイプのトレイが用いられてよい。さらに、取り外し可能なトレイを用いるのではなく、接続部(図示せず)が、ケーブル506を携帯用メディアデバイス504に直接接続してもよい。
【0047】
取り外し可能送受信部510は、ドッキングステーション500にワイヤレス送信及び受信機能を提供する。配線接続部512によって、信号は、取り外し可能送受信部510とドッキングステーション500との間を通過できる。しかしながら、クレードル502と同様に、ワイヤレス技術(例えば、IR、RF、レーザー等)が、ワイヤレス信号をやり取りするために、取り外し可能送受信部510とドッキングステーション500とに組み込まれてよい。また、1つ以上のアンテナが、ワイヤレス信号を送信及び受信するために、取り外し可能送受信部510とドッキングステーション500とに配置されてもよい。
【0048】
取り付け位置によっては、取り外し可能送受信部510は、ドッキングステーション500のハウジングからの距離を著しく延長できる。しかしながら、他の実施形態では、取り外し可能送受信部は、ドッキングステーション500のハウジングになじむような形状とされる。
【0049】
その他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内にある。例えば、さまざまなタイプのスピーカがドッキングステーション400又はリモートスピーカ402に組み込まれてよい。さらに、ドッキングステーションとリモートスピーカユニット(例えば、別のドッキングステーション、電源付きスピーカエンクロージャ等)との間のオーディオ信号の転送の上記実施形態と同時に、いくつかの実施形態は、携帯用メディアデバイスに格納されたビデオコンテンツを含む信号の、ドッキングステーション(例えば、一体化されたビデオ表示装置及び/又はスピーカを備えたドッキングステーション)から、一体化されたビデオ表示装置及び/又はスピーカを具備するリモートデバイスへの転送を含んでよい。
【符号の説明】
【0050】
100 音響システム
102 携帯用メディアデバイス
104 ドッキングステーション
106 ドッキングポート
108,118 スピーカ
110,120 可聴信号
112 リモートスピーカ
113 データ
114 ワイヤレスリンク
116 リモートコントローラ
200,300 送受信部
202,302 表面配置信号受信部
【手続補正書】
【提出日】2023-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオシステムであって、
基地局であって、
ハウジングと、
オーディオソースからオーディオコンテンツを受信するための、前記ハウジングに含まれる回路と、
前記オーディオコンテンツから可聴信号を生成するための、前記ハウジングに含まれるスピーカと、
前記オーディオコンテンツをワイヤレス送信するための、前記ハウジングに含まれる送受信部と
を含む、基地局と、
前記基地局にコマンドを送信するように構成されるリモートコントロールと、
前記基地局から前記ワイヤレス送信されたオーディオコンテンツおよび前記リモートコントロールコマンドを受信するように構成される1つまたは複数のリモートデバイスと
を含み、
前記1つまたは複数のリモートデバイスが、前記基地局の前記送受信部の前記送信範囲を超えて、前記オーディオコンテンツおよび前記リモートコントロールコマンドを1つまたは複数の他のリモートデバイスにワイヤレスに中継するように構成される、
オーディオシステム。
【請求項2】
前記オーディオソースが携帯用メディアデバイスである、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項3】
前記オーディオソースがコンピュータシステムである、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項4】
前記オーディオソースがビデオコンテンツを再生するために構成される、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項5】
前記回路が前記オーディオソースから前記オーディオコンテンツを受信することを可能にするためのインターフェースをさらに備える、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項6】
前記1つまたは複数のリモートデバイスが、前記オーディオコンテンツから第2の可聴信号を生成するスピーカである、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項7】
前記可聴信号および前記第2の可聴信号が、実質的に同時に生成される、請求項6に記載のオーディオシステム。
【請求項8】
前記1つまたは複数の他のリモートデバイスが、前記可聴信号および前記第2の可聴信号と同時に前記オーディオコンテンツから第3の可聴信号を生成するスピーカである、請求項7に記載のオーディオシステム。
【請求項9】
前記送受信部が、オーディオコンテンツの別々のセットを搬送するワイヤレス送信のための2つのチャネルを生成するように構成される、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項10】
前記基地局の動作を制御するように構成されるリモートコントロールをさらに備える、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項11】
前記リモートコントロールによって制御可能な前記基地局の動作が、再生動作、音量レベルの変更、曲の順序の編集および実行を含む、請求項10に記載のオーディオシステム。
【請求項12】
前記送受信部が、無線周波数(RF)ワイヤレス技術を使用して前記1つまたは複数のリモートデバイスへ前記オーディオコンテンツをワイヤレス送信し、前記1つまたは複数のリモートデバイスが、RFワイヤレス技術を使用して前記1つまたは複数の他のリモートデバイスへ前記オーディオコンテンツを中継する、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項13】
前記基地局、前記1つまたは複数のリモートデバイス、および前記1つまたは複数の他のリモートデバイスの間のワイヤレスリンクが、メッシュネットワークを確立する、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項14】
前記基地局、前記1つまたは複数のリモートデバイス、および前記1つまたは複数の他のリモートデバイスの間のワイヤレスリンクが、ポイント-トゥ-ポイントネットワークを確立する、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項15】
オーディオシステムであって、
基地局であって、
ハウジングと、
有線接続を介してオーディオソースからオーディオコンテンツを受信するための回路と、
前記ハウジングに含まれ、かつ前記オーディオソースから受信された前記オーディオコンテンツから第1の可聴信号を生成するための、前記回路に結合されるスピーカと、
1つまたは複数のリモートスピーカにワイヤレス信号を介して前記オーディオコンテンツを送信するための、前記ハウジングに含まれる送受信部と
を含む、基地局と、
前記基地局にコマンドを送信するように構成されるリモートコントロールと、
リモートスピーカであって、
前記基地局から前記ワイヤレス信号および前記リモートコントロールコマンドを受信するように構成される受信部と、
前記受信されたワイヤレス信号から第2の可聴信号を生成するための、前記受信部に結合されるトランスデューサと
を含む、リモートスピーカと
を含み、
前記リモートスピーカが、前記基地局の前記送受信部の前記送信範囲を超えて、前記オーディオコンテンツおよび前記リモートコントロールコマンドを1つまたは複数の他のリモートデバイスにワイヤレスに中継するように構成される、
オーディオシステム。
【請求項16】
前記オーディオソースが携帯用メディアデバイスである、請求項15に記載のオーディオシステム。
【請求項17】
前記オーディオソースがビデオコンテンツを再生するために構成される、請求項15に記載のオーディオシステム。
【請求項18】
前記有線接続が補助ジャックを介する、請求項15に記載のオーディオシステム。
【請求項19】
方法であって、
基地局においてオーディオソースからオーディオコンテンツを受信するステップであって、前記基地局が、
ハウジングと、
前記オーディオソースから前記オーディオコンテンツを受信するための、前記ハウジングに含まれる回路と、
前記オーディオコンテンツから可聴信号を生成するための、前記ハウジングに含まれるスピーカと、
前記オーディオコンテンツをワイヤレス送信するための、前記ハウジングに含まれる送受信部と
を含む、ステップと、
前記基地局においてリモートコントロールからコマンドを受信するステップと、
前記基地局から1つまたは複数のリモートデバイスへ前記オーディオコンテンツおよび前記リモートコントロールコマンドをワイヤレス送信するステップと、
前記基地局の前記送受信部の前記送信範囲を超えて、前記1つまたは複数のリモートデバイスから1つまたは複数の他のリモートデバイスに前記オーディオコンテンツおよび前記リモートコントロールコマンドをワイヤレスに中継するステップと
を備える、方法。
【請求項20】
前記オーディオソースが携帯用メディアデバイスである、請求項19に記載の方法。