(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140368
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】コンタクトおよびインターポーザ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/24 20060101AFI20230928BHJP
H01R 13/41 20060101ALI20230928BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H01R13/24
H01R13/41
H05K1/14 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046166
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(72)【発明者】
【氏名】橋本 尚貴
(72)【発明者】
【氏名】相澤 正幸
【テーマコード(参考)】
5E087
5E344
【Fターム(参考)】
5E087EE11
5E087GG06
5E087RR04
5E344AA01
5E344AA22
5E344BB02
5E344CD15
5E344CD27
5E344DD08
5E344EE30
(57)【要約】
【課題】コンタクトどうしを近づけて電気的特性の改善を図ることが可能なコンタクト、およびそのコンタクトを備えたインターポーザを提供する。
【解決手段】コンタクト10は、基部20と、第1延出部30と、第2延出部40とを備えている。第1延出部30は、基部20の第1端部21につながって基部20から延出し延出し、第1電気部品(不図示)に接する第1接点部31を有する。第2延出部40は、基部20の第2端部22につながって基部20から延出し、第2電気部品(不図示)に接する第2接点部41を有する。ここで、基部20は、互いの間に第1空間24を空けて上下に延在する2本の基部ビーム23を備え、2本の基部ビーム23の各々が、一方の基部ビーム23から他方の基部ビーム23に向って突き出た、ハウジングへの圧入によりハウジングに支持される圧入部25を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部と第2端部とを有し該第1端部と該第2端部との間に広がる基部と、
前記第1端部につながって前記基部から延出し、第1電気部品に接する第1接点部が形成された第1延出部と、
前記第2端部につながって前記基部から延出し、第2電気部品に接する第2接点部が形成された第2延出部とを備え、
前記基部が、互いの間に第1空間を空けた2本の基部ビームを備え、前記2本の基部ビームの各々が、一方の基部ビームから他方の基部ビームに向って突き出た、ハウジングへの圧入により前記ハウジングに支持される圧入部を備えたことを特徴とするコンタクト。
【請求項2】
前記基部が、前記2本の基部ビームを前記第2端部側において互いに連結する連結コラムを備え、
前記第1延出部が、
互いの間に前記連結コラムにより前記第1空間に連続する第2空間を空けて前記基部にから延出する2本の第1延出部ビームと、
前記基部から離れた側において前記第1延出部ビームどうしを互いに連結する第1端部コラムとを備えて、
前記第1接点部が、前記第1端部コラムから、前記基部から離れる向きに突出し、
前記第2延出部が、
互いの間に前記第1空間と分断された第3空間を空けて前記基部から延出する2本の第2延出部ビームと、
前記基部から離れた側において前記2本の第2延出部ビームどうしを互いに連結する第2端部コラムとを備えて、
前記第2接点部が、前記第2端部コラムから、前記基部から離れる向きに突出していることを特徴とする請求項1に記載のコンタクト。
【請求項3】
第1電子部品と第2電子部品とに挟まれて、前記第1電子部品と前記第2電子部品とを電気的に接続するインターポーザであって、
前記第1電子部品側を向いた第1面と、前記第2電子部品側を向いた第2面と、前記第1面と前記第2面とに貫通する貫通孔とを有するハウジング、および
請求項1または2に記載のコンタクトであって、前記基部が前記貫通孔内に配置され前記第1延出部が前記第1面側に延出するとともに前記第2延出部が前記第2面側に延出した該コンタクトとを備え、
前記ハウジングが、前記圧入部が圧入されて前記コンタクトを支持する、前記貫通孔の内壁面から前記貫通孔内に突き出た支持部を有することを特徴するインターポーザ。
【請求項4】
1つの前記貫通孔内に突き出た複数の支持部を有し、前記1つの貫通孔内に複数の前記コンタクトが配置されていることを特徴とする請求項3に記載のインターポーザ。
【請求項5】
複数の前記コンタクトが配置された前記貫通孔の内壁面から、互いに隣接する前記コンタクトどうしの間に突き出たリブを有することを特徴とする請求項4に記載のインターポーザ。
【請求項6】
前記1つの貫通孔内に配置された複数の前記コンタクトが、配列方向の幅が異なる複数種類のコンタクトを含むことを特徴とする請求項4または5に記載のインターポーザ。
【請求項7】
1つの前記貫通孔内に前記コンタクトが3つ以上配列され、前記配列の両端の2つの前記コンタクトの前記基部の前記配列の方向の寸法が、前記配列の両端の前記コンタクトを除く残りの前記コンタクトの前記配列の方向の寸法よりも広いコンタクトであることを特徴とする請求項6に記載のインターポーザ。
【請求項8】
1つの前記貫通孔内に配列された3つ以上の前記コンタクトの各々を支持する3つ以上の前記支持部のうちの前記配列の両端の2つの前記支持部の前記配列の方向の寸法が、前記配列の両端の2つの前記支持部を除く残りの前記支持部の前記配列の方向の寸法よりも大きい支持部であることを特徴とする請求項7に記載のインターポーザ。
【請求項9】
1つの前記貫通孔内に配列された3つ以上の前記コンタクトの各々を支持する3つ以上の前記支持部が、前記配列の方向の寸法が互いに同一な支持部であることを特徴とする請求項7に記載のインターポーザ。
【請求項10】
1つの前記貫通孔内に配列された3つ以上の前記コンタクトのうちの前記配列の両端の前記コンタクトに形成された前記第1接点部および前記第2接点部が、1つの前記貫通孔の、前記コンタクトの前記配列の方向に隣接する内壁面に寄った位置に形成されていることを特徴とする請求項7から9のうちのいずれか1項に記載のインターポーザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの電子部品(回路基板を含む)に挟まれて、それらの電子部品どうしを電気的に接続するインターポーザを構成するコンタクト、およびそのコンタクトを備えたインターポーザに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、2つの電子部品に挟まれて、それらの電子部品どうしを電気的に接続するインターポーザが知られている。このインターポーザは、配列された多数の貫通孔を有する板状のハウジングと、それら多数の貫通孔の各々に挿し込まれてハウジングに保持された多数のコンタクトとを備えている。
【0003】
ここで、特許文献1に開示されたインターポーザには、基部の幅方向両端部から幅方向外向きに突き出た圧入部を備えたコンタクトが開示されている。このコンタクトは、その圧入部がハウジングの壁に圧入されて、ハウジングに支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上掲の特許文献1のコンタクトは、基部の幅方向両端部から外向きに突き出た圧入部を備えている。このため、隣接するコンタクトどうしの間には、圧入部が圧入されてコンタクトを十分に支持することができる程度の厚みのあるハウジングの壁が必要となる。このため、隣接するコンタクトどうしをさらに近づけた位置に配置することが困難であり、さらに近づけることによる電気的特性の改善を図ることが困難である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、コンタクトどうしを近づけて電気的特性の改善を図ることが可能なコンタクト、およびそのコンタクトを備えたインターポーザを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明のコンタクトは、
第1端部と第2端部とを有し第1端部と第2端部との間に広がる基部と、
第1端部につながって基部から延出し、第1電気部品に接する第1接点部が形成された第1延出部と、
第2端部につながって基部から延出し、第2電気部品に接する第2接点部が形成された第2延出部とを備え、
上記基部が、互いの間に第1空間を空けた2本の基部ビームを備え、前記2本の基部ビームの各々が、一方の基部ビームから他方の基部ビームに向って突き出た、ハウジングへの圧入によりハウジングに支持される圧入部を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明のコンタクトは、2本の基部ビームを備え、2本の基部ビームの各々が、一方の基部ビームから他方の基部ビームに向って突き出た圧入部を備えている。このため、隣接するコンタクトどうしを近づけることが可能である。
【0009】
ここで、本発明のコンタクトにおいて、
上記基部が、2本の基部ビームを第2端部側において互いに連結する連結コラムを備え、
上記第1延出部が、
互いの間に上記第1空間に連続する第2空間を空けて基部にから延出する2本の第1延出部ビームと、
基部から離れた側において第1延出部ビームどうしを互いに連結する第1端部コラムとを備えて、
上記第1接点部が、第1端部コラムから、基部から離れる向きに突出し、
上記第2延出部が、
互いの間に上記第1空間と分断された第3空間を空けて基部から延出する2本の第2延出部ビームと、
基部から離れた側において2本の第2延出部ビームどうしを互いに連結する第2端部コラムとを備えて、
上記第2接点部が、第2端部コラムから、基部から離れる向きに突出していることが好ましい。
【0010】
上記の2本の基部ビームどうしの間に広がる第1空間と2本の第2延出部ビームどうしの間に広がる第3空間とを隔てる上記の連結コラムを備えることによりコンタクトの強度が保たれるとともに、2本の第1延出部ビームどうしの間に広がる第2空間を第1空間から連続した空間とすることで、ハウジングの貫通孔にコンタクトを挿し込んでハウジングの壁に圧入部を圧入する作業が容易となる。
【0011】
また、上記目的を達成する本発明のインターポーザは、第1電子部品と第2電子部品とに挟まれて第1電子部品と第2電子部品とを電気的に接続するインターポーザであって、
第1電子部品側を向いた第1面と、第2電子部品側を向いた第2面と、第1面と第2面とに貫通する貫通孔とを有するハウジング、および
本発明のいずれかの態様のコンタクトであって、基部が貫通孔内に配置され第1延出部が第1面側に延出するとともに第2延出部が第2面側に延出したコンタクトとを備え、
上記ハウジングが、圧入部が圧入されてコンタクトを支持する、貫通孔の内壁面から貫通孔内に突き出た支持部を有することを特徴する。
【0012】
ここで、本発明のインターポーザにおいて、1つの貫通孔内に突き出た複数の支持部を有し、1つの貫通孔内に複数のコンタクトが配置されていてもよい。
【0013】
上記の支持部は、コンタクトの基部を構成する2本の基部ビームどうしの間の第1空間に位置する。したがって、この支持部は、1つの貫通孔内に複数のコンタクトを配置するときの隣接するコンタクトどうしの間隔を狭めることには障害とはならず、1つの貫通孔内に複数のコンタクトを配置して隣接するコンタクトどうしを近接配置することが可能である。
【0014】
また、本発明のインターポーザにおいて、複数のコンタクトが配置された貫通孔の内壁面から、互いに隣接するコンタクトどうしの間に突き出たリブを有していてもよい。
【0015】
互いに隣接するコンタクトどうしの間に突出し長さや幅などが調整されたリブを設けることにより、コンタクトの電気的特性をさらに改善することができる。このリブは、コンタクトの圧入部が圧入されるリブではなく、コンタクトを支持するために必要となる強度や寸法は不要であり、電気的特性の改善を目的とした自由な設計が可能である。
【0016】
また、本発明のインターポーザにおいて、1つの貫通孔内に配置された複数のコンタクトが、配列方向の幅が異なる複数種類のコンタクトを含んでいてもよい。
【0017】
この場合において、1つの前記貫通孔内に前記コンタクトが3つ以上配列され、配列の両端の2つのコンタクトの配列の方向の寸法が、配列の両端のコンタクトを除く残りのコンタクトの配列の方向の寸法よりも広いコンタクトであってもよい。
【0018】
その場合に、1つの貫通孔内に配列された3つ以上のコンタクトの各々を支持する3つ以上の支持部のうちの配列の両端の2つの支持部の配列の方向の寸法が、配列の両端の2つの支持部を除く残りの支持部の配列の方向の寸法よりも大きい支持部であってもよい。
【0019】
あるいは、1つの前記貫通孔内に配列された3つ以上の前記コンタクトの各々を支持する3つ以上の支持部が、配列の方向の寸法が互いに同一な支持部であってもよい。
【0020】
また、1つの貫通孔内に配列された3つ以上のコンタクトのうちの配列の両端のコンタクトに形成された第1接点部および第2接点部が、1つの貫通孔の、コンタクトの配列の方向に隣接する内壁面に寄った位置に形成されていてもよい。
【0021】
このように、配列の両端の2つのコンタクトを、その2つのコンタクトを除くコンタクトとは形状を変えて、例えば、両端のコンタクトをグランド用、残りのコンタクトを信号伝送用とするなど、本発明によれば、設計上の広範な自由度を持つインターポーザが実現する。
【発明の効果】
【0022】
以上の本発明によれば、コンタクトどうしを近づけて電気的特性の改善を図ることが可能なコンタクト、およびそのコンタクトを備えたインターポーザが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態のコンタクトの斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態のインターポーザの斜視図(A)および平面図(B)である。
【
図3】
図2(B)に破線で示した領域D1の部分の拡大図(A)およびその拡大図に示した矢印A-Aに沿う断面図(B)である。
【
図4】本発明の第2実施形態のインターポーザの平面図である。
【
図5】
図4に破線で示した領域D2の部分の拡大図である。
【
図6】本発明の第3実施形態のインターポーザの平面図である。
【
図7】
図6に破線で示した領域D3の部分の拡大図(A)およびその拡大図に示した矢印B-Bに沿う断面図(B)である。
【
図8】本発明の第4実施形態のインターポーザの平面図である。
【
図9】
図8に破線で示した領域D4の部分の拡大図(A)およびその拡大図に示した矢印C-Cに沿う断面図(B)である。
【
図10】
図8および
図9に示した第4実施形態の変形例を示した、
図9(A)に対応する拡大図(A)およびその拡大図に示した矢印D-Dに沿う断面図(B)である。
【
図11】本発明の第5実施形態のインターポーザの平面図である。
【
図12】
図11に破線で示した領域D5の部分の拡大図(A)およびその拡大図に示した矢印E-Eに沿う断面図(B)である。
【
図13】本発明の第6実施形態のインターポーザの平面図である。
【
図14】
図13に破線で示した領域D6の部分の拡大図(A)およびその拡大図に示した矢印F-Fに沿う断面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態のコンタクトの斜視図である。
【0026】
また、
図2は、本発明の第1実施形態のインターポーザの斜視図(A)および平面図(B)である。この
図2に示した第1実施形態のインターポーザには、
図1に示したコンタクトが配列されている。インターポーザには、例えば4000個ものコンタクトが配置されるが、
図2には、コンタクトの個数を大きく制限した小規模のインターポーザが示されている。後述する第2実施形態以降の各実施形態のインターポーザについても同様である。
【0027】
さらに、
図3は、
図2(B)に破線で示した領域D1の部分の拡大図(A)およびその拡大図に示した矢印A-Aに沿う断面図(B)である。
【0028】
ここでは先ず、主に
図1を参照しながら、その
図1に示すコンタクトについて説明する。
【0029】
このコンタクト10は、基部20を有する。ここでは、基部20の2つの端部である第1端部21と第2端部22との間に広がる部分を基部20と称している。
【0030】
また、このコンタクト10は、基部20のほか、第1延出部30と、第2延出部40とを有する。
【0031】
第1延出部30は、基部20の第1端部21につながって基部20から延出している。本実施形態では、この第1延出部30は、基部20に対し全体として斜め上方に延出している。そして、この第1延出部30には、IC(Integrated Circuit)80(
図3(B)参照)に接触する第1接点部31が形成されている。
【0032】
また、第2延出部40は、基部20の第2端部22につながって基部20から延出している。本実施形態では、この第2延出部40は、基部20に対し全体として斜め下方に延出している。そして、この第2延出部40には、回路基板90(
図3(B)参照)に接触する第2接点部41が形成されている。
【0033】
ここで、IC80および回路基板90は、本発明にいう第1電子部品および第2電子部品の各一例に相当する。
【0034】
基部20には、2本の基部ビーム23が備えられている。これら2本の基部ビーム23は、互いの間に第1空間24を空けて上下に延在している。また、2本の基部ビーム23の各々には、一方の基部ビーム23から他方の基部ビーム23に向って突き出た圧入部25が備えられている。これらの圧入部25は、ハウジング50(
図2参照)への圧入によりコンタクト10をハウジング50に支持させる役割を担っている。
【0035】
また、基部20には、2本の基部ビーム23を第2端部21側において互いに連結する連結コラム26が備えられている。この連結コラム26を備えることによりコンタクト10の強度が保たれている。
【0036】
また、第1延出部30には、2本の第1延出部ビーム33が備えられている。これら2本の第1延出部ビーム33は、互いの間に第1空間24に連続する第2空間34を空けて基部20の第1端部21から基部20に対して全体として斜め上方に延出している。
【0037】
この第1延出部30には、さらに、第1端部コラム35が備えられている。第1端部コラム35は、2本の第1延出部ビーム33が基部20に対して斜め上方に延出した、基部20から離れた側において、第1延出部ビーム33どうしを互いに連結している。
【0038】
第1接点部31は、第1端部コラム35から、基部20から離れる向きに突出している。
【0039】
このように、2本の第1延出部ビーム33どうしの間に広がる第2空間34を第1空間24から連続した空間とすることで、ハウジングの壁に圧入部25を圧入する作業を容易に行うことができるようにしている。
【0040】
また、第2延出部40には、2本の第2延出部ビーム43が備えられている。これら2本の第2延出部ビーム43は、互いの間に第3空間44を空けて基部20の第2端部22から基部20に対して全体として斜め下方に延出している。これら2本の第2延出部ビーム43どうしの間に広がる第3空間44は、連結コラム26により、2本の基部ビーム23どうしの間に広がる第1空間24とは分離された空間となっている。
【0041】
この第2延出部40には、2本の第2延出部ビーム43が基部20に対して斜め下方に延出した、基部20から離れた側において、2本の第2延出部ビーム43どうしを互いに連結する第2端部コラム45が備えられている。そして、第2接点部41は、第2端部コラム45から、基部20から離れる向きに突出している。
【0042】
このように、2本の基部ビーム23どうしの間に広がる第1空間24と2本の第2延出部ビーム43どうしの間に広がる第3空間44とを隔てる上記の連結コラム26を備えることによるコンタクト10の強度を保つことと、2本の第1延出部ビーム33どうしの間に広がる第2空間34を2本の基部ビーム23どうしの間に広がる第1空間24から連続した空間とすることによる、ハウジング50の貫通孔53にコンタクト10を挿し込んでハウジング10に圧入部を圧入する作業の容易化とを両立させている。
【0043】
図2に示すインターポーザ70は、1つのハウジング50と、複数本の、
図1に示したコンタクト10とで構成されている。このインターポーザ70は、
図3(B)に示すように、IC80と回路基板90とに挟まれてそれらIC80と回路基板90を電気的に接続する役割の電子部品である。
【0044】
このインターポーザ70を構成しているハウジング50は、全体として平板形状を成し、IC80側を向いた第1面と回路基板90側を向いた第2面を有している。このハウジング50には複数の貫通孔53が設けられており、ここに示す例では、各貫通孔53には、1個から3個のコンタクト10が配置されている。
【0045】
各コンタクト10は、基部20が貫通孔53内に配置され、第1延出部30が第1面51側に延出するとともに第2延出部40が第2面52側に延出している。
【0046】
ハウジング70には、貫通孔53の内壁面53aから貫通孔53内に突き出た支持部54が設けられている。この支持部54は、その貫通孔53内に配置されるコンタクト10に対応していて、コンタクト10の基部20を構成している2本の基部ビーム23どうしの間に突き出ている。コンタクト10を貫通孔53内に挿し込むにあたり、この支持部54にコンタクト10の圧入部25が圧入され、これにより、挿し込まれたコンタクト10がハウジング50に支持される。前述の通り、コンタクト10の第1延出部30側には、第2延出部40側に存在する連結コラム26に対応する要素は存在せず、2本の第1延出部ビーム33どうしの間に広がる第2空間34は、2本の基部ビーム23どうしの間に広がる第1空間24に連続した空間となっている。このように、2本の第1延出部ビーム33どうしの間に広がる第2空間34を第1空間24から連続した空間とすることで、ハウジングの壁に圧入部25を圧入する作業を容易に行うことができるようにしている。
【0047】
この支持部54は、1つのコンタクト10の基部20を構成している2本の基部ビーム23どうしの間に位置しているため、1つの貫通孔54内の隣接するコンタクト10どうしを近接配置するにあたり支持部54は障害とはならず、電気的特性を考慮して十分に近づけた位置に配置することができる。
【0048】
図3(B)には、IC80や回路基板90からの外力を受けていないときの形状のコンタクト10が示されている。これに対し、IC80や回路基板90は、この
図3(B)に示すように、ハウジング70の第1面51および第2面52にそれぞれ接する位置に配置される。このため、コンタクト10の第1延在部30および第2延在部40は、IC80および回路基板90に押されて弾性変形する。ハウジング50には、第1面51側および第2面52側の貫通孔53に隣接した位置に、第1延在部30および第2延在部40が弾性変形した時の第1接点部31および第2接点部41を受け入れる窪み部55が形成されている。
【0049】
図4は、本発明の第2実施形態のインターポーザの平面図である。この
図4に示した第2実施形態のインターポーザにも、
図1に示したコンタクトが配列されている。
【0050】
また、
図5は、
図4に破線で示した領域D2の部分の拡大図である。
【0051】
この第2実施形態以降の各実施形態の説明にあたっては、上述した第1実施形態における各要素に対応する要素に第1実施形態において付した符号と同じ符号を付して示し、第1実施形態との相違点について説明する。
【0052】
この第2実施形態のインターポーザ70は、複数のコンタクトが配置された貫通孔53の内壁面53aから、互いに隣接するコンタクト10どうしの間に突き出たリブ56を有する。このように、互いに隣接するコンタクト10どうしの間に、突出し量や幅などが調整されたリブを設けることにより、コンタクト10の電気的特性をさらに改善することができる。
【0053】
このリブ56は、コンタクト10の圧入部25が圧入される支持部54とは異なり、コンタクト10を支持するのに必要な強度は不要であり、電気的特性の改善を目的とした自由な設計が可能である。
【0054】
図6は、本発明の第3実施形態のインターポーザの平面図である。
【0055】
また、
図7は、
図6に破線で示した領域D3の部分の拡大図(A)およびその拡大図に示した矢印B-Bに沿う断面図(B)である。
【0056】
この第3実施形態のインターポーザ70には、幅寸法が異なる2種類のコンタクト10が採用されている。これに対応して、ハウジング50に形成されている支持部54も、コンタクト10の幅に合う幅寸法となっている。具体的には、3つのコンタクト10が配列された貫通孔53に着目すると、この第3実施形態の場合、配列の両端の2つのコンタクト10の配列の方向の寸法w1が、配列の両端のコンタクト10を除く残りのコンタクト10、すなわち、中央に配列されたコンタクト10の配列の方向の寸法w2よりも大きい(w1>w2)コンタクトとなっている。
【0057】
このように、本発明のインターポーザには、例えば、高速信号伝送用と低速信号伝送用、あるいは、信号伝送用とグランドないし電源用など、その目的ごとに適した複数種類のコンタクト10を採用してもよい。
【0058】
図8は、本発明の第4実施形態のインターポーザの平面図である。
【0059】
また、
図9は、
図8に破線で示した領域D4の部分の拡大図(A)およびその拡大図に示した矢印C-Cに沿う断面図(B)である。
【0060】
この第4実施形態においても、
図9に示すように、1つの貫通孔53内に配列された3つのコンタクト10に着目する。
【0061】
これら3つのコンタクト10は、第3実施形態と同様、配列方向の幅寸法に関し、配列の両端の2つのコンタクト10の配列の方向の寸法w1が、配列の両端のコンタクトを除く残りのコンタクト10、すなわち、中央に配列されたコンタクト10の配列の方向の寸法w2よりも大きい(w1>w2)コンタクトとなっている。
【0062】
一方、コンタクト10に形成されている第1接点部31および第2接点部41に着目すると、第3実施形態の場合は、コンタクト10の幅寸法w1,w2の相違にかかわらず、幅方向の中央部に形成されている。
【0063】
これに対し、この第4実施形態の場合、貫通孔53内に配列されたコンタクト10のうちの配列の両端のコンタクト10に形成された第1接点部31および第2接点部41は、その貫通孔53の、コンタクト10の配列の方向に隣接する内壁面53aに寄った位置に形成されている。
【0064】
この両端のコンタクト10は、一例として、
図8の領域R4に示すように、隣接する貫通孔53どうしを隔てるハウジング50の壁57を挟んで隣接する2つのコンタクト10を、IC80あるいは回路基板90の1つのパッドに接触させることを想定している。これは、例えば、グランド用等、大きな電流容量を必要とする場合に有利である。ただし、1つのパッドに2つのコンタクト10を接触させることは必ずしも必要ではない。
【0065】
図10は、
図8および
図9に示した第4実施形態の変形例を示した、
図9(A)に対応する拡大図(A)およびその拡大図に示した矢印D-Dに沿う断面図(B)である。
【0066】
図9との相違点は、貫通孔53の内壁面53aから貫通孔53内に突き出ている支持部54の配列方向の寸法である。
【0067】
図9の場合、配列方向の両端のコンタクト10の幅寸法w1が中央のコンタクト10の幅寸法w2よりも大きく(w1>w2)、これに応じて、配列方向の両端の支持部54の幅寸法v1が中央の支持部54の幅寸法v2よりも大きい(v1>v2)。
【0068】
これに対し、
図10に示す変形例の場合、コンタクト10の幅寸法w1,w2は、
図9のコンタクト10の場合と同じく、配列方向の両端のコンタクト10の幅寸法w1が中央のコンタクト10の幅寸法w2よりも大きいが(w1>w2)、支持部54については、配列の両端の支持部54についても、配列の中央の支持部54の幅寸法v2と同じ幅寸法v1(v1=v2)となっている。配列方向の両端のコンタクト10については、その基部20を構成する2本の基部ビーム23の幅を広げることにより基部ビーム23どうしの間に形成された第1空間24を狭めて、幅寸法(v1=v2)の支持部54に適合させている。
【0069】
この
図10の変形例に示すように、支持部54の幅寸法をコンタクト10の幅寸法によらず一定幅としてもよい。
【0070】
図11は、本発明の第5実施形態のインターポーザの平面図である。
【0071】
また、
図12は、
図11に破線で示した領域D5の部分の拡大図(A)およびその拡大図に示した矢印E-Eに沿う断面図(B)である。
【0072】
図13は、本発明の第6実施形態のインターポーザの平面図である。
【0073】
また、
図14は、
図13に破線で示した領域D6の部分の拡大図(A)およびその拡大図に示した矢印F-Fに沿う断面図(B)である。
【0074】
これらの第5実施形態および第6実施形態の場合、4つのコンタクト10が配列された貫通孔53が存在する。ここで、第5実施形態の場合、これら4つのコンタクト10は、全て同一形状のコンタクトである。一方、第6実施形態の場合、4つのコンタクト10のうちの配列方向両端の2つのコンタクト10は、中央の2つのコンタクト10の幅寸法w2よりも大きな幅寸法w1(w1>w2)を有するコンタクトである。
【0075】
貫通孔53の寸法が大きくなるに伴って貫通孔53どうしを区切るハウジング50の壁57の数が減ることになり、この点に関するハウジング50の強度を考慮する必要があるものの、1つの貫通孔53内に配置するコンタクト10の本数は特定の本数以下に制限されるものではない。
【0076】
以上の各実施形態によれば、隣接するコンタクト10どうしを近接配置して電気的特性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0077】
10 コンタクト
20 基部
21 基部の第1端部
22 基部の第2端部
23 基部ビーム
24 第1空間
25 圧入部
26 連結コラム
30 第1延出部
31 第1接点部
33 第1延出部ビーム
34 第2空間
35 第1端部コラム
40 第2延出部
41 第2接点部
43 第2延出部ビーム
44 第3空間
45 第2端部コラム
50 ハウジング
51 ハウジングの第1面
52 ハウジングの第2面
53 貫通孔
54 支持部
55 窪み部
56 リブ
57 ハウジングの壁
70 インターポーザ
80 IC
90 回路基板