(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140377
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】管の内層構造
(51)【国際特許分類】
E03F 7/00 20060101AFI20230928BHJP
F16L 55/18 20060101ALI20230928BHJP
F16L 1/00 20060101ALI20230928BHJP
F16L 9/22 20060101ALN20230928BHJP
【FI】
E03F7/00
F16L55/18 B
F16L1/00 J
F16L9/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046178
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロンシーアイ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000207562
【氏名又は名称】タキロンシーアイシビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】建部 宏輔
(72)【発明者】
【氏名】竹下 賢
【テーマコード(参考)】
2D063
3H111
【Fターム(参考)】
2D063EA06
3H111CA32
3H111CA35
(57)【要約】
【課題】内面材連接材を使用しないようにすることで、内面材の構成を簡略化できるようにするとともに、内面材を係合する作業に大きな力を要さず、作業性を向上しながら、既設管の屈曲等に起因する寸法誤差を吸収して、内面材同士を確実に連結することができる管の内層構造を提供すること。
【解決手段】内面材4は、同一断面形状の内面材4を管周方向に並べて内面材固定部材3に固定することで、管1の内面を覆うようにした、管1の管軸方向に長い帯状をし、管周方向の一端部において、一端部側の内面材4に係合される被係合部41と、管周方向の中央部において、内面材固定部材3の内面材固定機構31に固定される被固定部42と、管周方向の他端部において、他端部側の内面材4に係合する係合部43とを備え、内面材4の管1の管心側の面に、少なくとも一つの管軸方向に連続する溝部44を設けて構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の内面に沿うように、前記管の管周方向及び管軸方向に所定の間隔をあけて設けられ、前記管の管心側に内面材固定機構を備える内面材固定部材と、前記内面材固定機構に固定される内面材とを備えた管の内層構造であって、
前記内面材は、同一断面形状の内面材を管周方向に並べて前記内面材固定部材に固定することで、前記管の内面を覆うようにした、前記管の管軸方向に長い帯状をし、
管周方向の一端部において、一端部側の内面材に係合される被係合部と、
管周方向の中央部において、前記内面材固定機構に固定される被固定部と、
管周方向の他端部において、他端部側の内面材に係合する係合部とを備え、
前記内面材の前記管の管心側の面に、管軸方向に連続する溝部を少なくとも一つ設けた
ことを特徴とする管の内層構造。
【請求項2】
前記内面材固定機構は、前記管の管心側に設けた被嵌合部であり、
前記被固定部は、前記内面材の前記管の管周側の面から突出した、前記被嵌合部と嵌合する嵌合部であり、
前記内面材は、前記嵌合部の上方に位置する中空部を備え、
前記中空部が、前記内面材の表面と通じる溝を有することで、前記溝部を構成する
ことを特徴とする請求項1記載の管の内層構造。
【請求項3】
前記被固定部が複数設けられていることを特徴とする請求項1~2のいずれか一項に記載の管の内層構造。
【請求項4】
前記溝部に第一のリブを設けたことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の管の内層構造。
【請求項5】
前記被係合部は、止水材設置部と、止水材と、前記内面材の表面から突出した被係合爪とを備え、
前記係合部は、前記内面材の裏面から突出した係合爪と、止水材押圧部とを備え、
前記係合爪と前記他端部側の内面材の被係合爪が係合するとともに、
前記他端部側の内面材の止水材を、前記内面材の止水材押圧部により押圧するようにした
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の管の内層構造。
【請求項6】
前記内面材の止水材押圧部の先端が、管周方向に突出する第二のリブを備えることを特徴とする請求項5に記載の管の内層構造。
【請求項7】
前記内面材の一端部側から管周方向に突出する第三のリブを備えることを特徴とする請求項1~6に記載の管の内層構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、既設管の補修や新設管の内表面の仕上げ等のために、管の内周面側に内面材を内張りするようにした管の内層構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、老朽化した下水道管等の既設管の補修構造として、既設管の内面を内張り材で全面的に覆う既設管の補修構造が数多く提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
このうち、特許文献1に記載のものは、組み立てることにより管状、角形又は馬蹄形の筒状体を構成する、内周面を構成する内面板と、該内面板の周縁に立設された外周板とをプラスチックによって一体に形成した流路施設修復用ブロック体を用いて施工されるものであり、また、特許文献2に記載のものは、既設管路内に、当該既設管路内面に略沿った中空骨組み状補強材が配置され、その補強材の内側に、既設管路の筒長方向並びに周方向にそれぞれ複数の内面部材が連続的に取り付けられて筒状に組み立てられているとともに、既設管路の筒長方向に隣接している内面部材同士は、互いの端面が当接した状態で、双方の内面部材に跨って配置された内面材連接材により相互に連結されてなり、内面部材と既設管路内面との間に硬化性充填材が充填されてなるものである。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、合成樹脂製のブロック体を使用するために高価な金型を必要とすることから、コストがかかり、また、数多くのブロック体の組み立てに多大な手間を要するものであり、また、特許文献2に記載のものは、既設管路の補修長が長くなるに従い、内面部材及び嵌合部材を筒長方向に連続したものを使用しようとする場合の輸送上又は製造設備上、製造現場における設置スペース等の問題を解決するものの、既設管路内に中空骨組み状の補強材を配置するのに補強材が多数の部材からなり補強材を既設管路内で組み立てるのに多大な手間を要し、また、内面部材の数も多くこれを同様に数の多い嵌合部材に係止するのに多大な手間を要するものとなっている。
【0004】
一方、このような実情に鑑み、経済的な部材を用い、その組み立ての手間を省いて設置作業を簡便化し、かつ、作業完了後においても長期に亘って耐久性のある既設管の補修構造として、既設管の内周面の周方向に沿って、管軸方向に所定の間隔をあけて配設した剛性リングと、これら剛性リングの内側に跨るように管軸方向に、剛性リングの周方向に所定の間隔をあけて配設した既設管の中心側に所定の間隔をあけて形成した切欠きを有する剛性直材と、該剛性直材の切欠きに対応する突条を有する帯状の合成樹脂製内面材とからなり、前記合成樹脂製内面材の突条を剛性直材の切欠きに嵌着することにより、合成樹脂製内面材を既設管の内周面の周方向に沿って、かつ、管軸方向に隙間なく順次配設し、既設管と合成樹脂製内面材との間に生じる空隙に硬化性充填材を充填したものも提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
しかしながら、特許文献3に記載のものは、合成樹脂製内面材が既設管の内周面の周方向に沿って配設されるものであるため、内面材を管軸方向に凹凸を生じないように精度高く配設することができず、既設管路の補修長が長くなるに従い、内面材の配設の手数がかかるという問題があった。
【0006】
この問題に対処するため、本件出願人らは、
図1~
図2に示すように、管1の内周面に沿って、管軸方向に間隔をあけて設置した骨格部材2と、骨格部材2に配設した内面材固定部材3と、管軸方向に隣接する内面材固定部材3間に架設した帯状の内面材4とからなる管の内層構造を提案した(特許文献4参照。)。
【0007】
さらに、本件出願人らは、
図3に示す、内面材を精度高くかつ簡便に配設するための内面材取付用骨格構造を用いた管の内層構造を提案した(特許文献5参照。)。
【0008】
そして、特許文献4及び特許文献5に記載の管の内層構造は、内面材を精度高く配設することを可能にしながら、内面材を含む、構成部材の組み立ての手間を省いて設置作業を簡便化し、かつ、作業完了後においても長期に亘って耐久性のある管の内層構造を提供するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003-286742号公報
【特許文献2】特開2002-310378号公報
【特許文献3】特開2006-316539号公報
【特許文献4】特許第5746443号公報
【特許文献5】特開2017-198305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献4及び特許文献5に記載の管の内層構造は、
図1~
図3に示すように、既設管1の内周面に沿って、既設管1の管軸方向に間隔をあけて設置した骨格部材2と、この骨格部材2に配設した、内面材4が嵌合される被嵌合部31及び骨格部材2に嵌着するための嵌着部32を備えた内面材固定部材3と、この内面材固定部材3の被嵌合部31に嵌合して、既設管1の管軸方向に隣接する骨格部材2に架設した内面材4とからなり、既設管1の内周面と内面材4によって区画された環状の隙間にモルタル6を注入、硬化させて、施工を完了するようにしている。
【0011】
内面材4は、既設管1の周方向に隣接する内面材4の既設管1の周方向の両端部同士を突き合わせた状態で内面材連接材5を介して連結するようにしたり(
図2(a)~(c)、
図3(b))、既設管1の周方向に隣接する内面材4同士を、内面材4の既設管1の周方向の両端部に形成した係合部を介して連結するようにしたり(
図2(d))するようにするとともに、内面材4の連結部40には、止水材7を配設し、止水を行うようにしている。
このうち、
図2(d)に記載の構造は、内面材連接材5を使用しないため、内面材4の構成を簡略化できる利点を有しているが、係合部は、管周方向の一方側と他方側とから挟み込むように係合されるため、内面材の係合に大きな力を要し、作業性の点において改善の余地があった。また、
図2(d)の記載の構造は、係合部と内面材4が一体化しているため、既設管1が屈曲している場合はその形状に追随するのが困難で、内面材連接材5を用いる、
図2(a)~(c)や
図3(b)の構造のほうが合理的になるケースもあった。
【0012】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、内面材連接材を使用しないようにすることで、内面材の構成を簡略化できるようにするとともに、内面材を係合する作業に大きな力を要さず、作業性を向上しながら、既設管の屈曲等に起因する寸法誤差を吸収して、内面材同士を確実に連結することができる管の内層構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の管の内層構造は、
管の内面に沿うように、前記管の管周方向及び管軸方向に所定の間隔をあけて設けられ、前記管の管心側に内面材固定機構を備える内面材固定部材と、前記内面材固定機構に固
定される内面材とを備えた管の内層構造であって、
前記内面材は、同一断面形状の内面材を管周方向に並べて前記内面材固定部材に固定することで、前記管の内面を覆うようにした、前記管の管軸方向に長い帯状をし、
管周方向の一端部において、一端部側の内面材に係合される被係合部と、
管周方向の中央部において、前記内面材固定機構に固定される被固定部と、
管周方向の他端部において、他端部側の内面材に係合する係合部とを備え、
前記内面材の前記管の管心側の面に、管軸方向に連続する溝部を少なくとも一つ設けた
ことを特徴とする。
【0014】
この場合において、前記内面材固定機構は、前記管の管心側に設けた被嵌合部であり、
前記被固定部は、前記内面材の前記管の管周側の面から突出した、前記被嵌合部と嵌合する嵌合部であり、
前記内面材は、前記嵌合部の上方に位置する中空部を備え、
前記中空部が、前記内面材の表面と通じる溝を有することで、前記溝部を構成することができる。
【0015】
また、前記被固定部が複数設けられるようにすることができる。
【0016】
また、前記溝部に第一のリブを設けることができる。
【0017】
また、前記被係合部は、止水材設置部と、止水材と、前記内面材の表面から突出した被係合爪とを備え、
前記係合部は、前記内面材の裏面から突出した係合爪と、止水材押圧部とを備え、
前記係合爪と前記他端部側の内面材の被係合爪が係合するとともに、
前記他端部側の内面材の止水材を、前記内面材の止水材押圧部により押圧するようにすることができる。
【0018】
また、前記内面材の止水材押圧部の先端が、管周方向に突出する第二のリブを備えるようにすることができる。
【0019】
また、前記内面材の一端部側から管周方向に突出する第三のリブを備えるようにすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の管の内層構造によれば、内面材連接材を使用しない、単一構造の内面材を使用することで、内面材の構成を簡略化できるようにするとともに、内面材を係合する作業に大きな力を要さず、作業性を向上しながら、内面材の管の管心側の面に設けた管軸方向に連続する溝部により、既設管の屈曲等に起因する寸法誤差を吸収して、内面材同士を確実に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】従来の管の内層構造の例を示し、(a)は管の横断面図、(b)は管の横断面の拡大図、(c)は管の縦断面の拡大図である。
【
図2】同骨格部材、内面材固定部材、内面材及び内面材連接材を組み立てた状態を示し、(a)は管の横断面方向の説明図(骨格部材省略)、(b)は管の縦断面方向の説明図(内面材及び内面材連接材省略)、(c)は管の横断面方向の要部の説明図、(d)は異なる例の管の横断面方向の要部の説明図である。
【
図3】従来の管の内層構造の第二の例を示し、(a)は管の横断面図、(b)は管の横断面の拡大図である。
【
図4】本発明の管の内層構造の内面材固定部材及び内面材を組み立てた状態の一実施例を示す管の横断面方向の説明図である。
【
図5】同内面材を示し、(a)は全体図、(b)は(a)のA部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の管の内層構造の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0023】
本発明の管の内層構造は、
図1~
図3に示す、従来の管の内層構造と同様の基本構造を有するとともに、内面材連接材を使用しないようにすることで、内面材の構成を簡略化できるようにしたものである。
【0024】
本発明の管の内層構造の一実施例を、
図4~
図5に示す。
【0025】
<管の内層構造の説明>
以下、管の内層構造について説明する。
この管の内層構造は、管軸方向に延びる複数の内面材4が、内面材4同士の端部が重なりながら管周方向の一方側に向かって敷設されることで形成されるもので、管1の内面に沿うように、管1の管周方向及び管軸方向に所定の間隔をあけて設けられ、管1の管径方向の管心側に内面材固定機構31を備える内面材固定部材3と、内面材固定機構31に固定される内面材4とを備えるものである。
【0026】
ここで、内面材固定部材3は、
図1~
図2に示す従来の管の内層構造と同様、管1の内周に沿って、管軸方向に間隔をあけて設置する骨格部材2に嵌着するための嵌着部32を備えるようにしている。
【0027】
また、本実施例の場合、
図3に示す従来の管の内層構造と同様、内面材固定部材3が、骨格部材2の保持機能と内面材4の保持機能とを兼ね備えている構造を利用しており、内面材固定部材3の底面33を管1の内面に接地させることにより、内面材固定部材3に内面材4を嵌合する際にも骨格部材2が安定するようにしている。
この場合、内面材固定部材3は、そのすべてを管1の内周面に接地して設ける必要はなく、内面材固定部材3を介して骨格部材2を安定させることができる範囲において、骨格部材2に沿って取り付けた内面材固定部材3のうちの任意の位置の内面材固定部材3を接地するようにしてもよい。なお、
図4において骨格部材2は図示していない。
【0028】
内面材4は、同一断面形状の内面材4を管周方向に並べて内面材固定部材3に固定することで、管1の内面を覆うようにした、管1の管軸方向に長い帯状をし、管周方向の一端部において、一端部側の内面材4に係合される被係合部41と、管周方向の中央部において、内面材固定部材3の内面材固定機構31に固定される被固定部42と、管周方向の他端部において、他端部側の内面材4に係合する係合部43とを備え、内面材4の管1の管心側の面(表面)に、少なくとも一つの管軸方向に連続する溝部44を設けて構成されている。
そして、一の内面材4の係合部43と、隣り合う他の内面材4の被係合部41とが係合して、係合部位を構成するようにしている。
【0029】
これにより、管1内での内面材4の内面材固定部材3に対する固定と、内面材4同士の連結が、内面材連接材を使用することなく、内面材4のみで可能としている。つまり、単一構造の内面材4を使用することで内面材4の構成を簡略化できる。また、内面材4を係合する作業に大きな力を要さず、作業性を向上することができるようにするとともに、内面材4の管の管心側の面(表面)に設けた管軸方向に連続する溝部44により、管1の屈曲や内面材4の設置状態(曲率)、内面材固定部材3の設置誤差、内面材4製造時における公差等に起因する寸法誤差を吸収して、被係合部41と係合部43とを係合させ、内面
材4同士を確実に連結することができる。
【0030】
ところで、本実施例において、内面材固定部材3の内面材固定機構31は、管1の管心側に設けた被嵌合部であり、この被嵌合部と嵌合する内面材4の被固定部42は、内面材4の管1の管径方向の管周側の面(裏面)から突出した、前記被嵌合部と嵌合する嵌合部である。
そして、内面材4は、内面材4の被固定部42としての嵌合部の上方に位置する中空部を備え、この中空部44aが、内面材4の表面と通じる溝44bを有することで、溝部44を構成するようにしている。
【0031】
被固定部42は、一つの内面材4に、複数、本実施例においては、2箇所、設けるようにしている。
これにより、内面材4を、内面材固定部材3に安定して取り付けることができるようにしている。
【0032】
溝部44には、中空部44aの内面材4の表面側の一部を覆う第一のリブ44cを設けることで、第一のリブ44cで覆われていない部分を溝44bに形成するようにしている。
これにより、溝部44に、内面材4を内面材固定部材3の内面材固定機構31に固定する際に使用する内面材固定治具(図示省略)のガイド部材を案内する機能と、反力を付与する機能を持たせることができる。
【0033】
内面材4の被係合部41は、止水材設置部45と、止水材7と、内面材4の表面から突出した被係合爪41aとを備える。
また、内面材4の係合部43は、内面材4の裏面から突出した係合爪43aと、止水材押圧部46を備える。
そして、内面材4の係合爪43aと他端部側の内面材4の被係合爪41aが係合するとともに、他端部側の内面材4の止水材7を、内面材4の止水材押圧部46により押圧するようにしている。ここで、被係合爪41aは、
図4~
図5に示すとおり、他端部側が丸みを帯びた形状としている。これにより係合爪43aを大きな力を要さずに係合できるようにしている。つまり、
図4における、他端部側の内面材4の被係合爪41aが、係合爪43aをガイドし所定の位置に導くようにしている。
なお、止水材7には、止水材押圧部46によって押圧されることで圧縮され、止水性を発現するエラストマ材、特に水膨張性ゴム材を好適に用いることができる。
これにより、より強固な内層構造を形成することでき、良好な止水性を発現することができる。
【0034】
さらに、本実施例においては、内面材4の止水材押圧部46の先端に、管周方向に突出する第二のリブ46aを備え、加えて、内面材4の一端部側から管周方向に突出する第三のリブ47を備えるようにしている。
これにより、管1の内周面と内面材4によって区画された環状の隙間にモルタル6を注入、硬化させた際に、第二のリブ46aや第三のリブ47がアンカーとして作用し、より強固な内層構造を形成することできる。
【0035】
<管の内層構造を構成する内面材の敷設方法の説明>
以下、この管の内層構造を構成する内面材の敷設方法について説明する。
初めに、以下の工程1を実施する。
工程1:最初に敷設する内面材4の被固定部42としての嵌合部を、内面材固定部材3の内面材固定機構31としての被嵌合部に嵌合することにより、内面材4を敷設する。この際、嵌合する被固定部42は一端部側のみとし、他端部側の被固定部42は後述の工程
4のために嵌合させずにおく。
次に、最初に敷設した内面材4と一端部側で係合する内面材4を以下の工程で敷設する。
工程2:前工程で敷設した内面材4の一端部側の内面材4の被固定部42としての嵌合部を、内面材固定部材3の内面材固定機構31としての被嵌合部に嵌合する。2つの被固定部42は双方とも嵌合させる。
工程3:前々工程で敷設した内面材4の被係合部41と、前工程で敷設した内面材4の係合部43とを係合するようにする。
【0036】
このように、内面材4及び一端部側の内面材4を内面材固定部材3に嵌合することで、内面材4、4の位置決めをした状態で、内面材4、4同士の係合を行うようにすることにより、内面材4、4同士の係合を円滑に行うことができる。
【0037】
続けて、工程2~工程3を内面材4の一端部側に向かって繰り返す。言い換えると、複数の内面材4を、内面材4同士の端部が重なるようにしながら管周方向の一方側(初めに敷設した内面材4の一端部側)に向かって周状に敷設するようにする。
【0038】
最後に、最後に敷設する内面材4(最初に敷設した内面材4の他端部側に係合する、内面材4)を以下の工程で敷設する。
工程4:上述の工程2と同様、他端部側の内面材4の被固定部42としての嵌合部を内面材固定部材3の内面材固定機構31としての被嵌合部に嵌合する。他端部側の内面材4の2つの被固定部42は双方とも嵌合させる。この際、最初に敷設した内面材4の係合部43を管心側に浮かせ、他端部側の内面材4の被係合部41を下に滑り込ませるようにして敷設する(最初に敷設した内面材4の他端部側の被固定部42は上述の工程1のとおり嵌合されていないため、最初に敷設した内面材4の係合部43は容易に浮かせることができる。)。
工程5:最初に敷設した内面材4の他端部側の被固定部42を、内面材固定部材3の内面材固定機構31としての被嵌合部に嵌合する。
工程6:上述の工程3と同様、他端部側の内面材4の被係合部41と、初めに敷設した内面材4の係合部43とを係合するようにする。
【0039】
これにより、内面材4を係合する作業に大きな力を要さず、作業性を向上することができるとともに、内面材4の管の管心側の面(表面)に設けた管軸方向に連続する溝部44により、管1の屈曲や内面材4の設置状態(曲率)、内面材固定部材3の設置誤差、内面材4製造時における公差等に起因する寸法誤差を吸収して、被係合部41と係合部43とを係合させ、内面材4同士を確実に連結することができる。
【0040】
以上、本発明の管の内層構造について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の管の内層構造は、内面材連接材を使用しないようにすることで、内面材の構成を簡略化できるようにするとともに、内面材を係合する作業に大きな力を要さず、作業性を向上しながら、既設管の屈曲等に起因する寸法誤差を吸収して、内面材同士を確実に連結することができることから、老朽化した下水道管等の既設管の補修の際に用いられる内面材の内張り作業の用途に好適に用いることができるほか、例えば、新設管の内表面の仕上げの際に用いられる内面材の内張り作業の用途にも用いることができ、特に、内面材が合成樹脂製である場合に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 管(既設管)
2 骨格部材
3 内面材固定部材
31 内面材固定機構(被嵌合部)
32 嵌着部
33 底面
4 内面材
41 被係合部
41a 被係合爪
42 被固定部
43 係合部
43a 係合爪
44 溝部
44a 中空部
44b 溝
44c 第一のリブ
45 止水材設置部
46 止水材押圧部
46a 第二のリブ
47 第三のリブ
5 内面材連接材
6 モルタル
7 止水材