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特開2023-140394梱包材とシート状弁体取出方法とエアー注入方法とエアー充填式緩衝袋体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140394
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】梱包材とシート状弁体取出方法とエアー注入方法とエアー充填式緩衝袋体
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
B65D81/05 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046206
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】591151163
【氏名又は名称】株式会社ニチワ
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【弁理士】
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】阿部 留松
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA51
3E066CA01
3E066CB04
3E066FA06
3E066JA03
3E066KA01
3E066NA01
3E066NA42
3E066NA60
(57)【要約】
【課題】 ダンボール箱本来の梱包時外観を損なうことなく、煩雑な梱包作業を不要とし、搬送途中の梱包対象物の不用意な移動による梱包対象物の損傷等を確実に防止することのできる梱包材と梱包方法とエアー充填式緩衝袋体を提供すること。
【解決手段】 箱と、箱内に設置されるエアー充填式緩衝袋体とを具備し、エアー充填式緩衝袋体は、一端をエアー注入口とし他端をエアー吐出口としたシート状弁体と緩衝袋体本体とから成り、シート状弁体のエアー吐出口側を緩衝袋体本体内に挿入し、エアー注入口側を緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成され、箱は、開口部を備えた箱本体と箱本体に設けられた開口部を閉塞する内蓋と外蓋とから構成されていて、シート状弁体のエアー注入口側を、閉じた内蓋の上面と外蓋の下面との間を通して箱の外方へと引き出し、引き出された上記エアー注入口を介してエアーを注入するようにしたもの。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱と、
上記箱内に設置されるエアー充填式緩衝袋体と、
を具備し、
上記エアー充填式緩衝袋体は、一端をエアー注入口とし他端をエアー吐出口としたシート状弁体と緩衝袋体本体とから成り、上記シート状弁体のエアー吐出口側を上記緩衝袋体本体内に挿入し、上記エアー注入口側を上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成され、
上記箱は、開口部を備えた箱本体と上記箱本体に設けられた上記開口部を閉塞する内蓋と外蓋とから構成されていて、
上記シート状弁体の上記エアー注入口側を、閉じた上記内蓋の上面と上記外蓋の下面との間を通して上記箱の外方へと引き出し、引き出された上記エアー注入口を介してエアーを注入するようにしたことを特徴とする梱包材。
【請求項2】
請求項1記載の梱包材において、
上記シート状弁体の上記エアー注入口側は、上記内蓋の端面を巻き込むようにして上記内蓋の上面と上記外蓋の下面との間に導かれることを特徴とする梱包材。
【請求項3】
請求項2記載の梱包材において、
上記シート状弁体の上記エアー注入口側は、上記内蓋の端面と上記外蓋の屈曲部との間を通して上記内蓋の上面と上記外蓋の下面との間に導かれることを特徴とする梱包材。
【請求項4】
請求項1記載の梱包材において、
上記内蓋には上記外蓋によって覆われる開口部を形成すると共に、上記シート状弁体の上記エアー注入口側は、上記内蓋に設けられた開口部を通して上記内蓋の上面と上記外蓋の下面との間に導かれることを特徴とする梱包材。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れかに記載の梱包材において、
上記シート状弁体が上記緩衝袋体本体の長手方向と45度の角度で上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成されていることを特徴とする梱包材。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れかに記載の梱包材において、
上記シート状弁体には、上記エアー注入口側の先端部を切除するためのミシン目が設けられていることを特徴とする梱包材。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れかに記載の梱包材において、
上記シート状弁体の上記エアー注入口側には、エアー注入ノズルの挿し込みをガイドするノズルガイド溶着部が設けられていることを特徴とする梱包材。
【請求項8】
箱と、
上記箱内に設置されるエアー充填式緩衝袋体と、
を具備し、
上記エアー充填式緩衝袋体は、一端をエアー注入口とし他端をエアー吐出口としたシート状弁体と緩衝袋体本体とから成り、上記シート状弁体のエアー吐出口側を上記緩衝袋体本体内に挿入し、上記エアー注入口側を上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成され、
上記箱は、開口部を備えた箱本体と上記箱本体に設けられた上記開口部を閉塞する内蓋と外蓋とから構成された梱包材にあって、
上記シート状弁体を上記箱の外方に取り出すシート状弁体取出方法において、
上記シート状弁体の上記エアー注入口側を、閉じた上記内蓋の端と外蓋の屈曲部との間を通し、上記内蓋の上面と上記外蓋の下面との間を通して、上記箱の外方へと取り出すようにしたことを特徴とするシート状弁体取出方法。
【請求項9】
箱と、
上記箱内に設置されるエアー充填式緩衝袋体と、
を具備し、
上記エアー充填式緩衝袋体は、一端をエアー注入口とし他端をエアー吐出口としたシート状弁体と緩衝袋体本体とから成り、上記シート状弁体のエアー吐出口側を上記緩衝袋体本体内に挿入し、上記エアー注入口側を上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成され、
上記箱は、開口部を備えた箱本体と上記箱本体に設けられた上記開口部を閉塞する内蓋と外蓋とから構成された梱包材にあって、
上記緩衝袋体本体内にエアーを注入するエアー注入方法において、
上記シート状弁体を使用して、上記箱の外方から上記閉じた内蓋の上面と上記外蓋の外面との間を通し、上記内蓋の端と外蓋の屈曲部との間を通して、上記緩衝袋体本体内にエアーを注入するようにしたことを特徴とするエアー注入方法。
【請求項10】
箱内に設置され、
一端をエアー注入口とし他端をエアー吐出口としたシート状弁体と緩衝袋体本体とから成り、
上記シート状弁体のエアー吐出口側を上記緩衝袋体本体内に挿入し、上記エアー注入口側を上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成され、
上記シート状弁体が上記緩衝袋体本体の長手方向と45度の角度で上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成されていることを特徴とするエアー充填式緩衝袋体。
【請求項11】
箱内に設置され、
一端をエアー注入口とし他端をエアー吐出口としたシート状弁体と緩衝袋体本体とから成り、
上記シート状弁体が上記エアー吐出口側の一辺と上記エアー注入口側の他辺が屈曲した状態で設けられていて、
その一辺を上記緩衝袋体本体内に挿入し、他端を長手方向と平行に外方へと延びる状態として構成されていることを特徴とするエアー充填式緩衝袋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ダンボール箱で、衣類や靴、化粧品や日用雑貨、小型家電や精密機器、割れ物、医薬品などの梱包対象物を収容して梱包する梱包材とシート状弁体取出方法とエアー注入方法とエアー充填式緩衝袋体に係り、特に、ダンボール箱等のその箱本来の梱包時外観を損なうことなく、そして、煩雑な梱包作業を要することなく、所望の梱包状態を得ることができ、それによって、搬送途中における梱包対象物の不用意な移動による損傷等を確実に防止することができるよう工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
ダンボール箱で、衣類や靴、化粧品や日用雑貨、小型家電や精密機器、割れ物などの梱包対象物を収容して梱包・搬送する場合、搬送途中にそれら梱包対象物がダンボール箱内で不用意に移動して損傷してしまうことが懸念される。そこで、ダンボール箱の中に様々な緩衝材を入れて、搬送途中における梱包対象物の不用意な移動を規制することが行われている。
【0003】
そのような緩衝体を使用した梱包材として予めエアーが充填された複数の空気室が連接されたエアーバッグを使用したものがある。
しかし、上記エアーバッグを使用した梱包材では梱包対象物をエアーバッグで包み込み、更にダンボール箱の中にできた余剰の空間を埋めるという面倒な梱包作業が必要になっていた。
【0004】
そして、本発明者は上記面倒な梱包作業を容易にする新たな緩衝体を使用した梱包材として、下記の特許文献1に記載した梱包構造を既に開発し、出願、特許に及んでいる。
この梱包構造は、ダンボール箱の中の一つの側面と天面に展開されるエアー充填式緩衝体を梱包材として使用したものであり、ダンボール箱に形成したエアー注入部用開口部を介してエアー充填式緩衝体に設けられたエアー注入部をダンボール箱の外部に取り出してエアーを注入するようにしたものであり、既に製品化、上市されて、一部の梱包業者により展開が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6408298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1の梱包構造の場合には、ダンボール箱にエアー注入部用開口部を設けるために、実際にはその可能性は低いと考えられるものの、エアー注入部用開口部から異物や塵、埃等が侵入する虞があるとして敬遠されることもあり、現状では、その普及に限界があることが判明してきた。
他方、ダンボール箱自体は、A式と呼ばれたりする、内蓋と外蓋とで塞がれる、いわゆるみかん箱や引っ越しなどで使われているタイプが最もポピュラーであるため、それら内蓋と外蓋のある箱への簡単な梱包作業で、所望の梱包状態を得ることができる技術が望まれていた。
【0007】
本発明は、このような現状に基づくと共に、ダンボール箱に一切の加工を施すことなく、常法で梱包完了したダンボール箱内のエアー充填式緩衝体へとエアーを注入できる経路等を見出して成したもので、その目的とするところは、ダンボール箱本来の梱包時外観を損なうことなく、すなわち、梱包完了時のダンボール箱に外から視認できる開口等は一切設けないという大前提の下に、煩雑な梱包作業を不要とし、搬送途中の梱包対象物の不用意な移動による梱包対象物の損傷等を確実に防止することのできる梱包材とシート状弁体取出方法とエアー注入方法とエアー充填式緩衝袋体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による梱包材は、箱と、上記箱内に設置されるエアー充填式緩衝袋体と、を具備し、上記エアー充填式緩衝袋体は、一端をエアー注入口とし他端をエアー吐出口としたシート状弁体と緩衝袋体本体とから成り、上記シート状弁体のエアー吐出口側を上記緩衝袋体本体内に挿入し、上記エアー注入口側を上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成され、上記箱は、開口部を備えた箱本体と上記箱本体に設けられた上記開口部を閉塞する内蓋と外蓋とから構成されていて、上記シート状弁体の上記エアー注入口側を、閉じた上記内蓋の上面と上記外蓋の下面との間を通して上記箱の外方へと引き出し、引き出された上記エアー注入口を介してエアーを注入するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項2による梱包材は、請求項1記載の梱包材において、上記シート状弁体の上記エアー注入口側は、上記内蓋の端面を巻き込むようにして上記内蓋の上面と上記外蓋の下面との間に導かれることを特徴とするものである。
又,請求項3による梱包材は、請求項2記載の梱包材において、上記シート状弁体の上記エアー注入口側は、上記内蓋の端面と上記外蓋の屈曲部との間を通して上記内蓋の上面と上記外蓋の下面との間に導かれることを特徴とするものである。
又、請求項4による梱包材は、請求項1記載の梱包材において、上記内蓋には上記外蓋によって覆われる開口部を形成すると共に、上記シート状弁体の上記エアー注入口側は、上記内蓋に設けられた開口部を通して上記内蓋の上面と上記外蓋の下面との間に導かれることを特徴とするものである。
又、請求項5による梱包材は、請求項1~請求項4の何れかに記載の梱包材において、上記シート状弁体が上記緩衝袋体本体の長手方向と45度の角度で上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項6による梱包材は、請求項1~請求項5の何れかに記載の梱包材において、上記シート状弁体には、上記エアー注入口側の先端部を切除するためのミシン目が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項7による梱包材は、請求項1~請求項6の何れかに記載の梱包材において、上記シート状弁体の上記エアー注入口側には、エアー注入ノズルの挿し込みをガイドするノズルガイド溶着部が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項8によるシート状弁体取出方法は、箱と、上記箱内に設置されるエアー充填式緩衝袋体と、を具備し、上記エアー充填式緩衝袋体は、一端をエアー注入口とし他端をエアー吐出口としたシート状弁体と緩衝袋体本体とから成り、上記シート状弁体のエアー吐出口側を上記緩衝袋体本体内に挿入し、上記エアー注入口側を上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成され、上記箱は、開口部を備えた箱本体と上記箱本体に設けられた上記開口部を閉塞する内蓋と外蓋とから構成された梱包材にあって、上記シート状弁体を上記箱の外方に取り出すシート状弁体取出方法において、上記シート状弁体の上記エアー注入口側を、閉じた上記内蓋の端と外蓋の屈曲部との間を通し、上記内蓋の上面と上記外蓋の下面との間を通して、上記箱の外方へと取り出すようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項9によるエアー注入方法は、箱と、上記箱内に設置されるエアー充填式緩衝袋体と、を具備し、上記エアー充填式緩衝袋体は、一端をエアー注入口とし他端をエアー吐出口としたシート状弁体と緩衝袋体本体とから成り、上記シート状弁体のエアー吐出口側を上記緩衝袋体本体内に挿入し、上記エアー注入口側を上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成され、上記箱は、開口部を備えた箱本体と上記箱本体に設けられた上記開口部を閉塞する内蓋と外蓋とから構成された梱包材にあって、上記緩衝袋体本体内にエアーを注入するエアー注入方法において、上記シート状弁体を使用して、上記箱の外方から閉じた上記内蓋の上面と上記外蓋の外面との間を通し、上記内蓋の端と上記外蓋の屈曲部との間を通して、上記緩衝袋体本体内にエアーを注入するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項10によるエアー充填式緩衝袋体は、箱内に設置され、一端をエアー注入口とし他端をエアー吐出口としたシート状弁体と緩衝袋体本体とから成り、上記シート状弁体のエアー吐出口側を上記緩衝袋体本体内に挿入し、上記エアー注入口側を上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成され、
上記シート状弁体が上記緩衝袋体本体の長手方向と45度の角度で上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項11によるエアー充填式緩衝袋体は、箱内に設置され、一端をエアー注入口とし他端をエアー吐出口としたシート状弁体と緩衝袋体本体とから成り、上記シート状弁体が上記エアー吐出口側の一辺と上記エアー注入口側の他辺が屈曲した状態で設けられていて、その一辺を上記緩衝袋体本体内に挿入し、他端を長手方向と平行に外方へと延びる状態として構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように本発明の請求項1による梱包材によると、箱と、上記箱内に設置されるエアー充填式緩衝袋体と、を具備し、上記エアー充填式緩衝袋体は、一端をエアー注入口とし他端をエアー吐出口としたシート状弁体と緩衝袋体本体とから成り、上記シート状弁体のエアー吐出口側を上記緩衝袋体本体内に挿入し、上記エアー注入口側を上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成され、上記箱は、開口部を備えた箱本体と上記箱本体に設けられた上記開口部を閉塞する内蓋と外蓋とから構成されていて、上記シート状弁体の上記エアー注入口側を、閉じた上記内蓋の上面と上記外蓋の下面との間を通して上記箱の外方へと引き出し、引き出された上記エアー注入口を介してエアーを注入するようにしたので、ダンボール箱等のその箱本来の梱包時外観を損なうことなく、そして、煩雑な梱包作業を要することなく、所望の梱包状態を得ることができ、それによって、搬送途中における梱包対象物の不用意な移動による損傷等を確実に防止することができる。
又、請求項2による梱包材によると、請求項1記載の梱包材において、上記シート状弁体の上記エアー注入口側は、上記内蓋の端面を巻き込むようにして上記内蓋の上面と上記外蓋の下面との間に導かれるので、外蓋は勿論のこと内蓋にも何等処理を施すことなく上記効果を奏することができる。又、自身が直接に折り畳まれるのではなく、内蓋の厚さ分だけ緩い屈曲として折り返すことができる。
又,請求項3による梱包材によると、請求項2記載の梱包材において、上記シート状弁体の上記エアー注入口側は、上記内蓋の端面と上記外蓋の屈曲部との間を通して上記内蓋の上面と上記外蓋の下面との間に導かれるので、エアー注入時のシート状弁体の膨張余裕を確保することができる。
又、請求項4による梱包材によると、請求項1記載の梱包材において、上記内蓋には上記外蓋によって覆われる開口部を形成すると共に、上記シート状弁体の上記エアー注入口側は、上記内蓋に設けられた開口部を通して上記内蓋の上面と上記外蓋の下面との間に導かれるので、内蓋に開口部を設けるだけで上記効果を奏することができる。
又、請求項5による梱包材によると、請求項1~請求項4の何れかに記載の梱包材において、上記シート状弁体が上記緩衝袋体本体の長手方向と45度の角度で上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成されているので、エアー注入口側の長さを極力短くしつつ、且つ、エアー注入口側の長さの間でシート状弁体におけるエアーの注入される経路同士が折り畳まれ、重ならないよう、すなわち、流路が自身の重なり合いで閉塞されないように引き出すことができる。
又、請求項6による梱包材によると、請求項1~請求項5の何れかに記載の梱包材において、上記シート状弁体には、上記エアー注入口側の先端部を切除するためのミシン目が設けられているので、梱包後に箱の外部に露出した部分を切除することができる。
又、請求項7による梱包材によると、請求項1~請求項6の何れかに記載の梱包材において、上記シート状弁体の上記エアー注入口側には、エアー注入ノズルの挿し込みをガイドするノズルガイド溶着部が設けられているので、エアー注入ノズルの挿入性を高めることができる。
又、請求項8によるシート状弁体取出方法によると、箱と、上記箱内に設置されるエアー充填式緩衝袋体と、を具備し、上記エアー充填式緩衝袋体は、一端をエアー注入口とし他端をエアー吐出口としたシート状弁体と緩衝袋体本体とから成り、上記シート状弁体のエアー吐出口側を上記緩衝袋体本体内に挿入し、上記エアー注入口側を上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成され、上記箱は、開口部を備えた箱本体と上記箱本体に設けられた上記開口部を閉塞する内蓋と外蓋とから構成された梱包材にあって、上記シート状弁体を上記箱の外方に取り出すシート状弁体取出方法において、上記シート状弁体の上記エアー注入口側を、閉じた上記内蓋の端と外蓋の屈曲部との間を通し、上記内蓋の上面と上記外蓋の下面との間を通して、上記箱の外方へと取り出すようにしたので、エアー注入時のシート状弁体の膨張余裕を確保して効率良くエアーを注入することができる。
又、請求項9によるエアー注入方法によると、箱と、上記箱内に設置されるエアー充填式緩衝袋体と、を具備し、上記エアー充填式緩衝袋体は、一端をエアー注入口とし他端をエアー吐出口としたシート状弁体と緩衝袋体本体とから成り、上記シート状弁体のエアー吐出口側を上記緩衝袋体本体内に挿入し、上記エアー注入口側を上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成され、上記箱は、開口部を備えた箱本体と上記箱本体に設けられた上記開口部を閉塞する内蓋と外蓋とから構成された梱包材にあって、上記緩衝袋体本体内にエアーを注入するエアー注入方法において、上記シート状弁体を使用して、上記箱の外方から上記閉じた内蓋の上面と上記外蓋の外面との間を通し、上記内蓋の端と外蓋の屈曲部との間を通して、上記緩衝袋体本体内にエアーを注入するようにしたので、エアー注入時のシート状弁体の膨張余裕を確保して効率良くエアーを注入することができる。
又、請求項10によるエアー充填式緩衝袋体によると、箱内に設置され、一端をエアー注入口とし他端をエアー吐出口としたシート状弁体と緩衝袋体本体とから成り、上記シート状弁体のエアー吐出口側を上記緩衝袋体本体内に挿入し、上記エアー注入口側を上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成され、上記シート状弁体が上記緩衝袋体本体の長手方向と45度の角度で上記緩衝袋体本体の長手方向の外方へと延びる状態として構成されているので、エアー注入口側の長さを極力短くしつつ、且つ、エアー注入口側の長さの間でシート状弁体におけるエアーの注入される経路同士が折り畳まれ、重ならないよう、すなわち、流路が自身の重なり合いで閉塞されないように引き出すことができる。
又、請求項11によるエアー充填式緩衝袋体によると、箱内に設置され、一端をエアー注入口とし他端をエアー吐出口としたシート状弁体と緩衝袋体本体とから成り、上記シート状弁体が上記エアー吐出口側の一辺と上記エアー注入口側の他辺が屈曲した状態で設けられていて、その一辺を上記緩衝袋体本体内に挿入し、他端を長手方向と平行に外方へと延びる状態として構成されているので、他辺を上記緩衝袋体本体の長手方向と平行な方向に沿って外方に引き出すことができ、エアー注入作業の自動化に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、ダンボール箱内に梱包対象物を入れてエアー充填式緩衝袋体にエアーを充填している状態を示す斜視図である。
図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、梱包材を分解して示す分解斜視図である。
図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図1のIII-III断面図である。
図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、エアー充填式緩衝袋体の構成を示す平面図である。
図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、シート状弁体の構成を示す平断面図である。
図6】本発明の第1の実施の形態を示す図で、梱包対象物を入れる前のダンボール箱の状態を示す斜視図である。
図7】本発明の第1の実施の形態を示す図で、ダンボール箱内に梱包対象物を入れた状態を示す斜視図である。
図8】本発明の第1の実施の形態を示す図で、ダンボール箱内に梱包対象物を入れ、その上にエアー充填式緩衝袋体を掛けてシート状弁体のエアー注入口側をダンボール箱の外部に突出させた状態を示す斜視図である。
図9】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図8の状態にした後、ダンボール箱を密封した状態を示す斜視図である。
図10】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図9の状態にした後、エアー注入口よりエアーを供給している状態を示す斜視図である。
図11】本発明の第1の実施の形態を示す図で、エアーの供給が完了しエアー供給用パイプを取り外した状態を示す斜視図である。
図12】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図11の状態にした後、エアー注入口の先端部をミシン目でカットした状態を示す斜視図である。
図13】本発明の第2の実施の形態を示す図で、ダンボール箱内に梱包対象物を入れ、その上にエアー充填式緩衝袋体を掛け、内蓋に形成した開口部からシート状弁体のエアー注入口側を引き出した状態を示す斜視図である。
図14】本発明の第2の実施の形態を示す図で、内蓋に形成する開口部の種々の態様を示す平面図である。
図15】本発明の第3の実施の形態を示す図で、ダンボール箱内に梱包対象物を入れ、その上にエアー充填式緩衝袋体を掛け、内蓋の対向する両開き蓋の間隙部からシート状弁体のエアー注入口側を引き出した状態を示す斜視図である。
図16】本発明の第4の実施の形態を示す図で、エアー充填式緩衝袋体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1乃至図12に示す第1の実施の形態と、図13及び図14に示す第2の実施の形態と、図15に示す第3の実施の形態と、図16に示す第4の実施の形態との4つの実施の形態を例にとって本発明の梱包材について説明する。
尚、以下の説明では最初に第1の実施の形態に基づいて本発明の梱包材の基本的構成について説明し、次に、当該梱包材を使用した場合の梱包の手順について説明する。更に、第2の実施の形態と第3の実施の形態と第4の実施の形態に基づいて本発明の梱包材の3種類の変形例について説明し、最後に、上記4つの実施の形態とは部分的構成を異にする本発明の梱包材の他の実施の形態について言及する。
【0012】
[第1の実施の形態]
(1)梱包材の構成(図1乃至図5参照)
本発明の梱包材1は、箱2と、箱2内に設置されるエアー充填式緩衝袋体31とを具備し、上記エアー充填式緩衝袋体31は、一端をエアー注入口35とし他端をエアー吐出口39としたシート状弁体41と緩衝袋体本体33とから成り、シート状弁体41のエアー吐出口39側を緩衝袋体本体33内に挿入し、エアー注入口35側を緩衝袋体本体33の長手方向の外方へと延びる状態として構成され、上記箱2は、開口部12を備えた箱本体3と該箱本体3に設けられた開口部12を閉塞する蓋13とから構成されている。
そして、上記シート状弁体41のエアー注入口35側を箱本体3と蓋13との間から外方へと引き出し、引き出されたエアー注入口35を介してエアーAを注入するようにしたことを特徴としている。
なお、エアー注入口35側とは、後述する非シール部63からエアー注入口35に至る部分を指し、エアー吐出口39側とは、非シール部63からエアー吐出口39に至る部分を指す。
【0013】
ここで、本発明で言う箱とは、ダンボール、厚紙、合成樹脂等によって形成される各種形状、大きさの箱が含まれ、箱本体と蓋とからなるものであって、箱本体には、少なくともその一部に梱包対象物を出し入れする開口部が形成されており、蓋は、内蓋と外蓋から成り、それぞれ上記箱本体に連接された片開き式乃至両開き式の蓋が含まれる。
【0014】
そして、本実施の形態の梱包材1Aでは、箱2として、図示のような長方体(直方体)形状をしたダンボール箱2(箱2と同一の符号を使用する)を使用しており、このダンボール箱2は、中心ライナによって強度を高めたダンボールを所定の形状にカットすると共に折り曲げ、全体として箱状にしたものである。
すなわち、このダンボール箱2は、側壁5、側壁7、側壁9、側壁11によって四方が囲まれた角筒状の部材の底面を一例として4枚の翼板4a、4b、4c、4dによって閉塞して底板4を形成することによって構成されている箱本体3を有している。
【0015】
又、上記箱本体3の上面は開放されていて、ここが梱包対象物81を箱本体3から出し入れする際に使用する上述した開口部12になっている。
そして、本実施の形態では、上記箱本体3の開口部12を閉塞する蓋13が内蓋15と外蓋21とから構成されていて、更に、内蓋15は、両開きする一対の両開き蓋17、19から構成されており、外蓋21は、両開きする一対の両開き蓋23、25から構成されている。尤も、内蓋15たる両開きする一対の両開き蓋17、19は翼板4c、4aに、外蓋21たる両開きする一対の両開き蓋23、25は、翼板4d、4bに、各々対向する位置で同一寸法・形状として形成されている。
【0016】
図1図4に示すエアー充填式緩衝袋体31は、箱本体3と梱包対象物81との間にできる一つの側方空間Sと上方空間Uとを覆い隠すことができる大きさの矩形袋状の緩衝袋体本体33と後述するシート状弁体41を有して成る。
緩衝袋体本体33は、一例として、二枚のフィルムを重ねてその外周縁を熱溶着することによって密閉された袋状に形成したもので、この中にエアーAを充填することによって膨らんでエアーバッグのように機能するように構成されている。
【0017】
又、上記二枚のフィルムを熱溶着する際その所定位置に図4及び図5に示すシート状弁体41が挿入配置され、その状態で熱溶着される。シート状弁体41は、図4に示すように、緩衝袋体本体33の1つのコーナ部寄りの位置に斜めに取り付けられている。これは、後述する通り、シート状弁体41のエアー注入口35をダンボール箱2の外部に突出するように引き出す際に、エアー注入口35側の長さを極力短くしつつ、且つ、エアー注入口35側の長さの間でシート状弁体41におけるエアーの注入される経路同士が折り畳まれ、重ならないよう、すなわち、流路が自身の重なり合いで閉塞されないように引き出すためである。従って、シート状弁体41の緩衝袋体本体33への取付け位置と取付け角度θは、上記シート状弁体41のエアー注入口35側の引き出しが最も効率的に行える位置と角度に設定されている。取付け角度θは、格別な他の事情が無ければ、45度が合理的である。
【0018】
シート状弁体41としては、例えば、本件特許出願人が出願に及んでいる特開平5―118455号公報や特開2012-101819号公報等に開示されているようなシート状の逆止弁が使用できる。このシート状弁体41は、短冊状の2枚のシート素材43、45を重ね合わせ、その左右両側辺付近を長手方向に沿って一例として熱溶着することによって扁平な筒状に形成されている。
又、熱溶着された左右のヒートシール部51、53の内方にはエアー注入口35側に一例として二組と、エアー吐出口39側に一例として三組のヒートシール部55A、55Bと57A、57B、57Cとの計5組のヒートシール部が形成されている。
【0019】
このうち、エアー注入口35側に設けられている二組のヒートシール部55A、55Bは、シート状弁体41のエアー注入口35側でエアー注入ノズル69を挿し込む際にガイドするノズルガイド溶着部55A、55B(ヒートシール部55A、55Bと同じ符号を使用する)として機能させるため、2枚のシート素材43、45としては、やや幅広形状のシート素材を用いることができる。ノズルガイド溶着部55A、55Bは、エアー吐出口39側に窄むように湾曲して傾斜する、対向する二組のフラップ状の部材によって一例として構成されている。
【0020】
一方、エアー吐出口39側に設けられている三組のヒートシール部57A、57B、57Cは、エアー吐出口39側へのエアーAの流入は許容するが、エアー注入口35側へのエアーAの流出を規制する逆止弁として直接機能する部分である。
本明細書では、このヒートシール部57A、57B、57Cを弁フラップ部57A、57B、57C(ヒートシール部57A、57B、57Cと同一の符号を使用する)と別に呼称するものとし、この弁フラップ部57A、57B、57Cは、エアー吐出口39側に窄むように直線的に傾斜する、対向する三組のフラップ状の部材によって一例として構成されている。
【0021】
又、シート状弁体41のエアー注入口35とエアー吐出口39を結ぶ流路59のエアー注入口35寄りの部分には、エアーAの注入方向を視覚的に知らせる矢印を模したマーキング61が印刷によって付されている。
更に、上記流路59の中間部には、加熱してもシート素材43と45とが互いに溶着し合わないように非シール部63が一例として二色印刷によって設けられている。これにより、シート状弁体41を、熱溶着する前の緩衝袋体本体33の対向するフィルムの間に挟み、全体を熱溶着することで、上記非シール部63によってシート状弁体41の流路59の連通性が確保されたうえで、シート状弁体41が緩衝袋体本体33の二枚のフィルムのそれぞれの内側に溶着されたエアー充填式緩衝袋体31が形成されるように構成されている。
【0022】
又、本実施の形態ではシート状弁体41には、ダンボール箱2の外部に引き出されたエアー注入口35側の先端部37を切除するためのミシン目38が弱化部の一例として、ノズルガイド溶着部55A、55Bを概ね切り落とせるよう設けられている。
即ち、シート状弁体41のエアー注入口35側の先端部37は、エアーAの充填の際にエアー注入ノズル69を挿し込むために必要になるが、エアーAの充填後は不要になるため、事後に、箱21から飛び出ている先端部37を切除するために上記ミシン目38が設けられている。
【0023】
又、本実施の形態では次に述べるシート状弁体41のエアー注入口35側の引出し態様との関係で、上記ミシン目38は、図5に示すように、シート状弁体41の長手方向と交差する傾斜した角度で設けられていて、図9に示すように、両開き蓋23の縁に沿って切り取れるように構成されている。なお、両開き蓋23の縁に沿って綺麗に切り取れるようにするには、シート状弁体41と緩衝袋体本体33との溶着筋のライン延長線とミシン目38の延長線とが90度で交差するような、それぞれの交差角度とするのが良い。
尚、ミシン目38に代わる弱化部の他の構成としては、切除部位の厚さを薄くして切れ易くする、切除部位の両端に切除方向を案内するスリット等を入れる等の構成が採用可能である。
【0024】
本実施の形態に係る梱包材1Aは、このような構成を有することを特徴としているが、更に、シート状弁体41のエアー注入口35側をダンボール箱2の外部に引き出す引出し態様も本実施の形態に係る梱包材1Aの特徴になっている。
即ち、本実施の形態では、シート状弁体41のエアー注入口35側は、上記内蓋15の一方の両開き蓋17と箱本体3との隙間65、更に詳しく言えば、外蓋21の一方の両開き蓋23の内折りする部分と内蓋15の一方の両開き蓋17の脇の端面との間の隙間65を通したのち、内蓋15と外蓋21とを重ね合わせた両者の間隙、すなわち、内蓋15の一方の両開き蓋17の上面と外蓋21の一方の両開き蓋23の下面との間を通させた後、ダンボール箱2の外方にエアー注入口35側の先端部37が突出した状態で引き出されるように構成されている。
【0025】
(2)梱包の手順(図6乃至図12参照)
次に、このようにして構成される本実施の形態に係る梱包材1Aを使用して梱包対象物81を梱包する手順について説明する。
まず、図6に示すように、天面が開放されて開口部12が形成されたダンボール箱2に対してエアー充填式緩衝袋体31を図示のようにセットする。即ち、エアー充填式緩衝袋体31の緩衝袋体本体33における側面対向部33Aを設置したい一つの側壁(図示の実施の形態では側壁5)の内面に対向するように設置する。
【0026】
又、緩衝袋体本体33における残りの天面対向部33Bは、上記側壁5と接続されている起立姿勢の内蓋15の両開き蓋(図示の実施の形態では両開き蓋19)に引っ掛けられて外側に折り返されている。
そして、勿論、すべてを手作業で行っても良いが、一連の梱包作業が図示しないベルトコンベアやローラコンベア等を使用して行われる場合には、図6に示す状態のダンボール箱2がコンベア上に置かれ、次工程に向けて搬送される。
【0027】
次に、図7に示すように、上方から梱包対象物81をダンボール箱2内に搬入する。
次に、図8に示すように、内蓋15の両開き蓋19に引っ掛けられて外側に折り返されていた天面対向部33Bを、梱包対象物81側に折り曲げて梱包対象物81の上面に被せる。そして、内蓋15の一方の両開き蓋(図示の実施の形態では両開き蓋17)を内側に水平に倒し、この両開き蓋17に近接する側壁(図示の実施の形態では側壁11)との間の隙間65を通して上記シート状弁体41を折り曲げて上記両開き蓋17の上面に至らせる。このとき、シート状弁体41のエアー注入35側は、内蓋15の一方の両開き蓋(図示の実施の形態では両開き蓋17)の脇の端面を巻き込むよう折り返されるため、自身が直接に折り畳まれるのではなく、内蓋15の一方の両開き蓋(図示の実施の形態では両開き蓋17)のダンボールの厚さ分だけ緩い屈曲として折り返すことができる。
【0028】
尚、この状態で、図8に示すように、シート状弁体41のエアー注入口35側の先端部37は、ダンボール箱2の外部に突出するようになり、上記両開き蓋17と側壁9との接続部、すなわち、内蓋15の一方の両開き蓋(図示の実施の形態では両開き蓋17)が内側に山折りされた辺に沿うように上記ミシン目38が位置するようになっている。勿論、両開き蓋23の縁にも沿っている。
次に、図9に示すように、もう一方の内蓋15の両開き蓋19の内側に水平に倒し、更に外蓋21の2枚の両開き蓋23、25を内側に水平に倒して開口部12を閉塞し、図示しない粘着テープ等を使用して貼り、密封状態にする。
【0029】
次に、図9に示すように、エアー注入ノズル69をシート状弁体41のエアー注入口35に挿し込み、図10に示すように、エアーガン71を装着してエアーAの注入を開始する。
尚、エアーガン71には、図示しないエアーコンプレッサやエアーチャンバからエアーAが供給される。
エアーAの注入が進むと、エアー充填式緩衝袋体31の緩衝袋体本体33は、シート状弁体41の流路59を通って流入するエアーによって、図2及び図3に示すように、「L」字状に変形した状態で膨らんで行く。
【0030】
即ち、緩衝袋体本体33の側面対向部33Aは、ダンボール箱2の側壁5と梱包対象物81との間の側方空間Sを埋めるように膨らんで行く。一方、緩衝袋体本体33の天面対向部33Bは、内蓋15の2枚の両開き蓋17、19と梱包対象物81との間の上方空間Uを埋めるように膨らんで行く。
これにより、ダンボール箱2内では、梱包対象物81は、側壁5側と内蓋15側とにより、側方と上方との2方向から緩衝袋体本体33によって押し付ける力が加えられ、搬送途中の梱包対象物81の不用意な移動と、これに起因する梱包対象物81の損傷等の不具合が防止されるようになっている。
【0031】
エアーAの充填が終了後、図11に示すように、エアーガン71とエアー注入ノズル69とを取り外し、図12に示すように、ミシン目38を利用してシート状弁体41のエアー注入口35側の先端部37を切り取れば一連の梱包作業は完了する。
【0032】
上記構成によると、ダンボール箱2自体には一切の加工を加えていないからダンボール箱2の梱包時の外観は全く従来と同じであり、切り込みや開口部等をダンボール箱に加えることによって生ずるダンボール箱2内への異物や塵、埃等の侵入など一切不安視する必要はなく、そのうえで、従来行っていた煩雑な梱包作業は不要となり、搬送途中に梱包対象物81が不用意に移動して損傷する等の不具合を防止できる。
又、エアーAの注入中、シート状弁体41における流路59自体も膨らむ必要があるが、エアー吐出口39側は、緩衝袋体本体33の中に位置する為、エアーが吹き込まれた際にのみ膨らめば良く、緩衝袋体本体33内にほぼ十分なエアーが吹き込まれた場合には、緩衝袋体本体33の内部圧力により扁平となって逆止弁作用が奏される。他方、エアー注入口35側は、内蓋たる両開き蓋17と外蓋たる両開き蓋23との両平面間に挟まれており、エアーが吹き込まれなければ、その間で扁平になっているが、エアーが吹き込まれると、先ずは、外蓋たる両開き蓋23を上方へと押し上げるが如くの変形をさせて通過し、次に、隙間65の処で、外蓋たる両開き蓋23の谷折り部分以下の側壁5を側方へと押し広げるが如くの変形をさせて通過し、結果、エアーはエアー吐出口35側へと移動し、エアー吐出口35から緩衝袋体本体33内へと吹き込まれることができる。すなわち、シート状弁体41、特にエアー注入口35側の流路59が箱を外方へと変形させることが可能な位置で配置されている為、エアーAの注入が阻害されることがない。
又、ミシン目38を利用してシート状弁体41のエアー注入口35側の先端部37を切り取れば、外部に突出するものは皆無となり、その後の搬送作業に支障を来たすこともなく、且つ、従来と全く同じダンボール箱の外観とすることができる。
なお、上記実施例では、緩衝袋体本体33が箱2内で「L」字状に変形した状態で膨らんでゆくもの、すなわち、箱本体3と梱包対象物81との間にできる一つの側方室間Sと上方空間Uとを覆い隠すことができる緩衝袋体本体33として説明したが、本発明における緩衝袋体本体33は、必ずしも、そのような長さ大きさの形状である必要は無く、要は、梱包対象物を箱2内である程度の位置に留めおくことのできる長さ大きさの形状であれば、それで良い。
【0033】
〔第2の実施の形態〕(図13及び図14参照)
第2の実施の形態に係る梱包材1Bは、外部から見えない内蓋15の一部に開口部27を形成した点と、該開口部27を利用したシート状弁体41の引き出し方を採用した点とで、前記第1の実施の形態に係る梱包材1Aと相違している。
従って、ここでは前記第1の実施の形態と共通する部分の構成については説明を省略し、前記第1の実施の形態と相違する本実施の形態特有の構成に絞って説明する。
【0034】
即ち、本実施の形態では、内蓋15の一方の両開き蓋(図示の実施の形態では両開き蓋17)に開口部27が設けられている。具体的には、両開き蓋17の側壁11側の側縁付近に一例として矩形状の穴部27aが設けられていて、この穴部27aを開口部27として使用してシート状弁体41のエアー注入口35側の引き出しに利用している。
尚、開口部27としては、図14(a)に示す穴部27aの他、図14(b)に示す凹部27bや図14(c)に示す切欠き27c或いは図14(d)に示すスリット27d、図14(e)に示す切り欠き27eが含まれる。その他図示しない様々な形状の開口部27が考えられる。
【0035】
そして、本実施の形態では、上記シート状弁体41のエアー注入口35側を、上記内蓋15の一方の両開き蓋17に設けられた開口部27を通して、内側に水平に倒した両開き蓋17の上面に引き出し、この両開き蓋17の上面に沿わせてダンボール箱2の外部に至らせるように構成されている。
このようにして構成される本実施の形態に係る梱包材1Bによっても、前記第1の実施の形態に係る梱包材1Aと同様の作用、効果が発揮されて、ダンボール箱2の外観としては前記第1の実施の形態と同様であり、ダンボール箱2内への異物や塵、埃等の侵入について不安視されることはなく、それでいて、従来行っていた煩雑な梱包作業は不要になり、搬送途中の梱包対象物81のダンボール箱2内での不用意な移動が防止されるから梱包対象物81が搬送途中に損傷する等の不具合も防止される。
【0036】
[第3の実施の形態](図15参照)
第3の実施の形態に係る梱包材1Cは、シート状弁体41の取付け位置と外部への引き出し位置を変えた実施の形態である。ここでは前記第1の実施の形態、第2の実施の形態と共通する部分の構成については説明を省略し、前記第1の実施の形態、第2の実施の形態と相違する本実施の形態特有の構成に絞って説明する。
具体的には、シート状弁体41は、図15に示すように、緩衝袋体本体33の先端から外に真っ直ぐに突出され、内蓋15の二つの両開き蓋17、19を内側に水平に倒したときにできる両者の間隙部67を介して、両開き蓋17を跨ぐようにして内蓋たる両開き蓋17の上面と外蓋たる両開き蓋25の下面との間をとおして外部へと引き出されるように構成されている。
【0037】
そして、本実施の形態では、上記シート状弁体41のエアー注入口35側を内側に水平に倒した上記内蓋15の一方の両開き蓋17の上面に沿わせて、そのままダンボール箱2の外部に至らせるように引き出す態様が採られている。本実施例の場合では、エアー吐出口39側が位置する緩衝袋体本体33の下方には梱包対象物の外郭が位置しない梱包対象物を梱包する場合に適する。と言うのも、そのエアー吐出口39側が位置する部分においては、エアー注入口35側の一部流路が重なるため、エアー吐出口39側が位置する緩衝袋体本体33を下方に押し拡げながら膨らめる領域が必要だからである。
このように構成される本実施の形態に係る梱包材1Cによっても、前記第1の実施の形態と同様であり、ダンボール箱2の外観としては前記第1の実施の形態、第2の実施の形態に係る梱包材1A、1Bと同様であり、ダンボール箱2内への異物や塵、埃等の侵入について不安視されることはなく、それでいて、従来行っていた煩雑な梱包作業は不要になり、搬送途中の梱包対象物81のダンボール箱2内での不用意な移動が防止されるから梱包対象物81が搬送途中に損傷する等の不具合も防止される。
【0038】
[第4の実施の形態](図16参照)
第4の実施の形態におけるシート状弁体41はL字形状となっている。そのL字の一辺のエアー吐出口39側を緩衝袋体本体33の長手方向に対して直交する方向に延びるように溶着する。この場合L字の他辺のエアー注入口35側は緩衝体本体33の長手方向に平行な方向に延長される。そして、シート状弁体41のエアー注入口35側は、上記内蓋15の一方の両開き蓋17と箱本体3との隙間65、更に詳しく言えば、外蓋21の一方の両開き蓋23の内折りする部分と内蓋15の一方の両開き蓋17の脇の端面との間の隙間65を通したのち、内蓋15と外蓋21とを重ね合わせた両者の間隙、すなわち、内蓋15の一方の両開き蓋17の上面と外蓋21の一方の両開き蓋23の下面との間を通させた後、ダンボール箱2の外方にエアー注入口35側の先端部37が突出した状態で引き出されるように構成されている。
その結果、その他辺は緩衝体本体の長手方向に平行な方向に沿って段ボール箱から外方に突出されることになり、例えば、エアー注入作業を自動化させる場合に好都合である。
尚、この実施の形態ではシート状弁体41はL字形状としたが、J字形状、等辺L字形状、でも良く、要は、一辺と他辺が屈曲した状態で設けられていて、他辺が緩衝体本体の長手方向に平行な方向に沿って段ボール箱から外方に突出されればよく、よって、一辺と他辺が必ずしも直交していなくてもよい。
【0039】
〔他の実施の形態〕
本発明は、前記第1乃至第4の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前記第1乃至第3の実施の形態では、内蓋と外蓋とをそれぞれを一対の両開き蓋を有する構成としたが、それに限定されるものではなく、内蓋と外蓋があれば、様々な構成の蓋が想定される。
例えば、内蓋のみを一対の両開き蓋で構成し外蓋を片開き式の一枚の蓋で構成することも可能である。
又、蓋が箱本体に対して別体に設けられているようなものも想定される。
又、前記前記第1乃至第3の実施の形態では段ボール箱を例に挙げて説明したが、それ以外にも、厚紙、合成樹脂等によって形成される各種形状、大きさの箱が想定される。
【0040】
又、前記第1乃至第4の実施の形態の説明の中で述べた逆止弁の構成は一例あり、逆止弁として機能するものであれば種々の他の溶着筋の形成による逆止弁を採用することが可能である。 又、前記第1乃至第3の実施の形態で説明した緩衝袋体本体は、単一の大きな空気室を有するものであったが、複数の小さな空気室が連接された構成の緩衝袋体本体33を採用することも可能である。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、種々の形状、大きさの梱包対象物を煩雑な梱包作業を要することなく、搬送途中の梱包対象物の不用意な移動を防止した状態で梱包したい場合に利用でき、ダンボール箱本来の梱包時外観を損なうことなく、すなわち、梱包完了時のダンボール箱に外から視認できる開口等は一切設けられていないという梱包状態を得たい場合に利用できるように工夫したものに関する。
【符号の説明】
【0042】
1 梱包材
2 ダンボール箱(箱)
3 箱本体
4 底板
4a 翼板
4b 翼板
4c 翼板
4d 翼板
5 側壁
7 側壁
9 側壁
11 側壁
12 開口部
13 蓋
15 内蓋
17 両開き蓋
19 両開き蓋
21 外蓋
23 両開き蓋
25 両開き蓋
27 開口部
27a 穴部
27b 凹部
27c 切欠き
27d スリット
31 エアー充填式緩衝袋体
33 緩衝袋体本体
33A 側面対向部
33B 天面対向部
35 エアー注入口
37 先端部
38 ミシン面
39 エアー吐出口
41 シート状弁体
43 シート素材
45 シート素材
51 ヒートシール部
53 ヒートシール部
55 ノズルガイド溶着部(ヒートシール部)
57 弁フラップ(ヒートシール部)
59 流路
61 マーキング
63 非シール部
65 隙間
67 間隙部
69 エアー注入ノズル
71 エアーガン
81 梱包対象物
A エアー
S 側方空間
U 上方空間
θ 取付け角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16