(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140398
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷制御方法
(51)【国際特許分類】
A45D 29/00 20060101AFI20230928BHJP
A45D 29/22 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A45D29/00
A45D29/22
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046211
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 知幸
(57)【要約】
【課題】印刷対象である爪に対応する指を適切に配置することのできる印刷装置及び印刷制御方法を提供する。
【解決手段】印刷装置1が、少なくとも印刷対象となる爪Tに対応する指Uを載置する載置台151と、載置台151上で移動可能であって、載置台151上において印刷対象となる爪Tに対応する指U1を固定する指固定部3と、指固定部3を載置台151上の複数の位置のうち印刷対象となる爪に対応する指U1に応じた位置で係止させることが可能な係止手段としての凹部154及び凸部33と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも印刷対象となる爪に対応する指を載置する載置台と、
前記載置台上で移動可能であって、前記載置台上において印刷対象となる爪に対応する指を固定する指固定部と、
前記指固定部を前記載置台上の複数の位置のうち印刷対象となる爪に対応する指に応じた位置で係止させることが可能な係止手段と、
を備えている、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記係止手段は、
前記載置台に設けられた位置の異なる複数の係止部と、前記指固定部に設けられ、いずれかの前記係止部に選択的に係止される被係止部と、を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記係止部は、前記載置台に間隔をあけて設けられた複数の凹部又は凸部であり、前記被係止部は、前記指固定部に設けられ、いずれかの前記凹部に係止される凸部又はいずれかの前記凸部に係止される凹部である、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記指固定部を移動させる移動手段と、
前記移動手段を制御する移動制御手段と、
を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記移動制御手段は、印刷対象となる爪に対応する指の指種に関する情報に応じて前記移動手段を動作させるとともに、前記指種に対応する位置で前記指固定部を係止させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記移動手段は移動用モータであり、
前記移動制御手段は、前記移動用モータに電圧又は電流を印加することで前記移動用モータの動きを停止させ、前記指固定部を任意の位置で係止させる、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
印刷対象となる爪に対応する指を固定する指固定部を、少なくとも印刷対象となる爪に対応する指を載置する載置台上で移動させ、
前記指固定部を前記載置台上の複数の位置のうち印刷対象となる爪に対応する指に応じた位置で係止可能とする、
ことを特徴とする印刷制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、人の爪等の印刷対象に各種デザイン等を印刷する印刷装置(ネイルプリント装置)が知られている。
このような印刷装置では、印刷対象である爪の位置がずれると高品位の印刷を行うことができない。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、印刷対象である爪及び爪に対応する指を指固定部(特許文献1において「指固定機構」)によって固定する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、指の爪に印刷を行う場合に、不自然な体勢で指を固定すると印刷中に指がぶれやすくなる。
また狭い空間に複数の指を配置すると、爪が他の指や装置内の各種構成部等に当たることで印刷が剥がれたり傷ついたりするおそれもある。
【0006】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、印刷対象である爪に対応する指を適切に配置することのできる印刷装置及び印刷制御方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の印刷装置は、
少なくとも印刷対象となる爪に対応する指を載置する載置台と、
前記載置台上で移動可能であって、前記載置台上において印刷対象となる爪に対応する指を固定する指固定部と、
前記指固定部を前記載置台上の複数の位置のうち印刷対象となる爪に対応する指に応じた位置で係止させることが可能な係止手段と、
を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、印刷対象である爪に対応する指を適切に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る印刷装置の要部外観構成を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係る印刷装置内部の要部構成を示す平面図であり、指固定部に右手の人差指を載置した状態を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る印刷装置内部の要部構成を示す平面図であり、指固定部に左手の親指を載置した状態を示す図である。
【
図4】第1の実施形態における基台と指固定部との係止部分を示す要部拡大斜視図である。
【
図5】第1の実施形態に係る印刷装置及びこれと連携する端末装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
【
図6】第2の実施形態に係る印刷装置内部の要部構成を示す平面図である。
【
図7】第2の実施形態に係る印刷装置及びこれと連携する端末装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しつつ、本発明に係る印刷装置及び印刷制御方法の実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の実施形態では、印刷装置が手の指の爪等を印刷対象とするネイルプリント装置である場合を例に説明する。なお、本発明における印刷装置は、手の指の爪を印刷対象とする印刷装置に限定されるものではない。
【0011】
[第1の実施形態]
まず
図1から
図5を参照しつつ、本発明に係る印刷装置及び印刷制御方法の第1の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態における印刷装置(ネイルプリント装置)の要部外観構成を示す斜視図である。
なお、以下の実施形態において、上下、左右及び前後は、
図1等に示した向きをいうものとする。また、X方向、Y方向は、
図1等に示した方向をいうものとする。
【0012】
図1に示すように、印刷装置1は、ほぼ箱形に形成された筐体2を有している。
筐体2の前面側(印刷装置1の正面側、
図1において前側)には、左右方向(印刷装置1の横方向、
図1において左右方向、X方向)のほぼ中央部に広く開口する開口部21が形成されている。開口部21は、少なくとも装置内に片手を出し入れできる程度の幅を有している。開口部21は、装置内に両手を出し入れできる程度の幅を有していてもよい。
【0013】
筐体2の上面(天板)や側面等には、操作部22が設けられている。操作部22は、ユーザが各種入力を行う機能部である。本実施形態では、筐体2の上面に操作部22が設けられている例を図示している。
操作部22は、例えば印刷装置1の電源をONする電源スイッチボタン、動作を停止させる停止スイッチボタン等であり、操作部22が操作されると操作に応じた指示信号が後述の制御部11に出力される。
なお、図示例では、操作部22が1つのボタンで構成されている場合を示しているが、操作部22は筐体2の上面等に設けられた複数のボタン等で構成されていてもよい。
また、後述の表示部6の表面にタッチパネルが一体的に構成されている場合には、タッチパネルも操作部22として機能する。
【0014】
また、筐体2には、表示部23が設けられている。図示例では筐体2の上面(天板)に表示部23が配置されている。
表示部23は、後述する制御部11から出力された画像データ等に基づいて各種の表示画面を表示させる表示手段である。表示部23の大きさや設けられる具体的な位置等は図示例に限定されない
表示部23は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。なお、表示部23の表面に、タッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には当該タッチパネルも操作部22として機能する。
【0015】
筐体2の内部には、基台15を含む印刷装置1の装置本体が収容されている。
図3及び
図4は、印刷装置内部の要部構成を示す平面図である。
図3及び
図4に示すように、装置本体の基台15上には、印刷機構4が設けられている。
【0016】
印刷機構4は、
図2に示すように、印刷ヘッド41と、ヘッド移動手段としてのX方向移動モータ45、Y方向移動モータ47(
図5参照)等を備えている。
本実施形態の印刷ヘッド41は、爪表面に対向する面(下側の面)が、インクを吐出させる複数のノズル口を備えたインク吐出面(いずれも図示せず)となっており、インクを微滴化し、インク吐出面から爪表面に直接にインクを吹き付けて(吐出させて)印刷を行うインクジェット方式の印刷手段である。なお、具体的なインクの吐出方式等は特に限定されない。また印刷ヘッド41の構成は特に限定されないが、例えばインク吐出面等の吐出機構部とインクを貯留するインクカートリッジとが一体となったカートリッジ一体型のヘッドである。
印刷ヘッド41は、例えば、シアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)等の色インクを吐出可能となっている。なお、印刷ヘッド41の種類や数は特に限定はされない。例えば上記のような色インクを吐出する印刷ヘッドの他に、デザインを印刷する前に下地となる液剤(例えば白色のインク等)を印刷する下地用の印刷ヘッド等を備えていてもよい。
【0017】
印刷ヘッド41は、X方向に亘って設けられているX方向ガイド軸44に支持されており、X方向移動モータ45が動作することでX方向ガイド軸44にガイドされて、装置の左右方向(X方向)に移動可能となっている。
また、基台15上のX方向両端側には、装置のY方向に亘ってY方向ガイド軸46が設けられている。X方向ガイド軸44は一対のY方向ガイド軸46にかけ渡されており、Y方向移動モータ47が動作することでX方向ガイド軸44に支持された印刷ヘッド41はY方向ガイド軸46にガイドされて、装置の前後方向(Y方向)に移動可能となっている。
X方向移動モータ45、Y方向移動モータ47は、例えばステッピングモータであり、制御部11によって動作が制御される。
【0018】
基台15のうちの後側(装置におけるY方向の奥側)は、印刷ヘッド41の待機領域16やメンテナンス領域17等が設けられた基台後部152となっている。
図3及び
図4に示す例では、基台後部152のうちの後部右側に待機領域16が配置され、後部左側にメンテナンス領域17が配置されている。なお、各領域の配置等は図示例に限定されない。
【0019】
待機領域16は、非印刷時において印刷ヘッド41が配置される領域である。待機領域16には、例えば非印刷時において印刷ヘッド41のインク吐出面を覆って乾燥等から保護する図示しないキャップ部等が設けられている。
またメンテナンス領域17は、印刷ヘッド41のメンテナンスが行われる領域である。図示は省略するが、メンテナンス領域17には、インク吐出面のインク吐出口からインクを強制的に吐出させるパージ処理を行うパージ部や、インク吐出面をワイプするワイプ処理を行うワイプ部等が設けられている。
【0020】
また、基台15のうちの前側(装置におけるY方向の手前側)の部分は、印刷対象となる爪Tに対応する指U(印刷対象となる爪Tに対応する指Uを以下「指U1」という。)を含む指U(「指U1」以外の指Uを以下「指U2」という。)を載置する載置台151となっている。
載置台151には、載置台151上において印刷対象となる爪Tに対応する指U1を固定する指固定部3が設けられている。
【0021】
指固定部3は、指U1が載置される固定部本体31と、固定部本体31上であって、指の挿入方向奥側(装置のY方向奥側)に設けられた爪載置部32とを含んでいる。
固定部本体31上に指U1が配置されると、指U1の先端部が爪載置部32に突き当てられる。そして指U1の先端よりも爪Tが伸びている場合には、爪Tの先端部分を爪載置部32に引っ掛けることができるようになっている。
なお、爪載置部32の形状・構成等は図示例に限定されない。また爪載置部32は必須ではなく、これを備えない構成でもよい。
【0022】
また指固定部3は、載置台151上において装置左右方向(X方向)に移動させることが可能であるとともに、係止手段によって載置台151上の複数の位置で係止可能となっている。載置台151上の複数の位置のうち指固定部3をどこに係止させるかは、ユーザが爪Tに印刷を行う際、最も楽な姿勢が取れる位置がどこであるかにより、印刷対象となる爪Tに対応する指U1に応じた位置で係止させる。本実施形態では、ユーザが手動で指固定部3を移動させ、所望の位置で載置台151に係止させるようになっている。
本実施形態において係止手段は、載置台151に設けられた位置の異なる複数の係止部(後述の凹部154)と、指固定部3に設けられ、いずれかの係止部に選択的に係止される被係止部(後述の凸部33)と、を備えている。
【0023】
図4は、基台のうちの前側と後側との切り替わり部分及び載置台に載置される指固定部の要部構成を示す拡大斜視図である。
図4に示すように、本実施形態では基台15のうち、載置台151となる部分が基台後部152よりも、指固定部3の高さ分程度低くなっており、基台15のうちの載置台151(前側)と基台後部152(後側)との切り替わり部分には段差がある。
段差となっている部分は段差の分だけ立ち上がる突当て壁部153となっており、載置台151上に配置された指固定部3は、突当て壁部153に突き当たることで装置前後方向(Y方向)の位置が決まり、装置奥側に押し込まれ過ぎないようになっている。
また突当て壁部153には装置前側から後方に向って窪む凹部154がほぼ等間隔で複数設けられている。本実施形態において凹部154は、載置台151に設けられた位置の異なる複数の係止部である。
【0024】
指固定部3には、突当て壁部153と対応する位置(すなわち、
図4に示すように指固定部の先端側(指固定部に固定される指の先端側が配置される側、印刷装置1のY方向奥側)の端面等)に、凹部154の間隔と同等の間隔をあけて2つの凸部33が設けられている。本実施形態において凸部33は、いずれかの係止部(すなわち載置台151に設けられた凹部154)に選択的に係止される被係止部である。
【0025】
具体的には、凸部33は、突当て壁部153に向って、凹部154の深さとほぼ同程度突出しており、いずれか2つの凹部154と嵌り合うようになっている。
本実施形態の凸部33は、指固定部3の固定部本体31におけるY方向奥側の端面に、X方向に2つ並んで形成されている。凹部154は、前述のようにほぼ等間隔で設けられているため、凹部154の間隔と同等の間隔をあけて設けられた2つの凸部33は、隣り合っている2つの凹部154であれば、いずれの凹部154とも嵌り合うことができる。
このように、2つの凸部33がいずれか2つの凹部154に嵌り合うことで、指固定部3が突当て壁部153のいずれかの位置にぐらつきなく固定される。
【0026】
なお、
図4等において図示するように、本実施形態では載置台151に係止部として複数の凹部154が設けられ、指固定部3にいずれかの凹部154に係止される被係止部として凸部33が設けられている場合を例示したが、係止手段の構成はこれに限定されない。
例えば、載置台151に複数の凸部が設けられ、指固定部3にいずれかの凸部に係止される凹部が設けられていてもよい。
また、凹部154と凸部33とは互いに嵌り合う形状であればよく、図示例の形状に限定されない。
また、指固定部3に設けられる被係止部(本実施形態では凸部33)は、2つに限定されず、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。ただ、1つのみで係止させた場合にはぐらつきを生じるおそれがある。他方で3つ以上である場合には、載置台151の係止部と指固定部3の被係止部との間隔がわずかにずれただけで嵌り合わなくなるおそれがあり、製造時に高度な精度が要求される。
さらに、係止手段である係止部及び被係止部(凹部及び凸部)は、突当て壁部153と突当て壁部153に対向する指固定部3の先端側(Y方向奥側)の端面とに設けられているものに限定されない。例えば載置台151の上面に凹部が設けられ、指固定部3の底面に凸部が設けられて、互いに嵌り合う構成としてもいい。なお、これとは逆に載置台151の上面に設けられる係止部が凸部であり、指固定部3の底面に凸部と嵌り合う凹部を設ける構成も考えられるが、載置台151上には指U2が載置されることから、載置台151の上面に凸部が設けられていると指U2に凸部が当たってしまうため、好ましくない。
【0027】
図2では、指固定部3の凸部33が基台15における左側(
図2におけるX方向左側)端部寄りの2つの凹部154に係止された状態を示している。
例えば、右手の人差し指(左手の小指の場合も同様)の爪Tに印刷する場合には、
図2に示すような位置で指固定部3を係止することで、指固定部3が装置の幅方向中央部に固定されている場合と比較して、印刷する爪Tに対応する指U1(例えば右手の人差し指(または左手の小指)を自然な姿勢で指固定部3に配置することができるとともに、印刷する爪Tに対応する指U1以外の指U2(すなわち、右手の中指・薬指・小指。なお、左手の小指の爪Tに印刷する場合には、左手の薬指・中指・人差し指)を配置する空間を広く取ることができる。
【0028】
なお、親指の爪Tに印刷する場合には、他の指U1(すなわち、人差し指・中指・薬指・小指)の爪Tに印刷する場合と異なり、指U1以外の指U2を親指の横に配置することが難しい。この場合には、例えば
図3に示すように、指固定部3の凸部33を装置中央部付近の凹部154に係止させて、親指を指固定部3の固定部本体31上に配置し、親指以外の指U2を基台15の下の空間(
図1の空間155参照)内に配置させ、親指と他の指U2とで載置台151を挟み持つようにして指U1である親指を固定する。
なおこの場合、指固定部3を固定する位置は図示例に限定されず、ユーザが最も楽な姿勢をとることのできる位置に指固定部3を固定すればよい。
【0029】
図5は、本実施形態の印刷装置及びこれと連携する端末装置の制御構成を示す要部ブロック図である。
図5に示すように、印刷装置1は前述の操作部22、表示部23、印刷機構4を備える他、撮影部5、通信部25等を備えている。
【0030】
撮影部5は、例えば筐体2の天面の裏側等に配置されており、カメラ51と、光源52とを含んでいる。
カメラ51は、例えば、200万画素程度以上の画素を有する固体撮影素子とレンズ等を備えて構成された小型の撮影装置であり、印刷装置1内に配置された爪Tを含む指U1等を撮影して各種の画像を取得する画像取得手段である。また、光源52は、例えば白色LED等の照明灯である。
撮影部5は、指固定部3に載置された指U1や爪T等の撮影対象を光源52によって照明する。そして、カメラ51によってその指U1等を撮影して指画像(爪画像を含む指Uの画像)を得る。
【0031】
なお、本実施形態では指固定部3がX方向に移動可能となっており、カメラ51の画角が狭い場合、指固定部3の位置によっては指固定部3に固定された指U1の爪Tの一部又は全部がカメラ51の画角から外れてしまうおそれがある。
このため、カメラ51としては、載置台151のほぼ全体を撮影することができる程度の画角の広いものを適用することが好ましい。
【0032】
また本実施形態では、爪Tに印刷するデザイン(ネイルデザイン)のデータ等を印刷装置1が外部機器を介して取得するようになっており、印刷装置1は、外部機器との間で情報の送受信を行う通信部25を有している。ここで外部機器とは、例えば後述の端末装置7や各種サーバ等である。
印刷装置1と外部機器との間での通信は、例えば無線LAN等により行われる。なお、印刷装置1と外部機器との間での通信はこれに限定されず、いかなる方式によるものでもよい。例えば、インターネット等のネットワーク回線を使うものであってもよいし、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi等の近距離無線通信規格に基づく無線通信を行うものであってもよい。また、この通信は無線接続方式に限定されず、有線接続により両者間で各種データの送受信が可能な構成としてもよい。通信部25は通信することが想定される各種外部機器の通信方式、通信規格に対応するアンテナチップ等を備えている。
【0033】
印刷装置1に搭載される制御装置10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有する制御部11と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)を有する記憶部12(いずれも図示せず)とを備えるコンピュータである。
記憶部12のROM等には、印刷装置1を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
ROM等に格納された各種プログラムを制御部11がRAMの作業領域に展開して実行することによって、印刷装置1の各部の動作を統合的に制御する。
【0034】
すなわち、制御部11はプログラム(例えば印刷処理アプリケーションプログラム等)との協働により、印刷装置1が印刷処理等を行うための各種機能を実現する。
なお、制御部11の各機能は、制御部11がプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現されてもよいし、専用のモジュール(ハードウェア)によって実現されていてもよい。
本実施形態において制御部11は、主として印刷機構4各部の動作を制御する印刷制御手段、撮影部5各部の動作を制御する撮影制御手段、表示部23の動作を制御する表示制御手段等として機能する。
【0035】
印刷制御手段としての制御部11は、印刷機構4の印刷ヘッド41及び各モータ(X方向移動モータ45,Y方向移動モータ47)等を動作させ、指固定部3に配置された指Uの爪Tに印刷データにしたがって各種のデザイン(ネイルデザイン)を印刷させる。なお、印刷データは、制御部11において生成してもよいし、通信部25を介して端末装置7等の外部装置から受信してもよい。
【0036】
表示制御手段としての制御部11は、表示部23の動作を制御して、各種の画像データにしたがった表示を行わせる。
また、指固定部3の位置や指固定部3に配置された指U1の状況を撮影部5のカメラ51で撮影してもよく、こうした画像が取得された場合には、表示制御手段としての制御部11は、これらの画像を表示部23に表示させてもよい。
【0037】
また、撮影制御手段としての制御部11は、撮影部5のカメラ51及び光源52の動作を制御して、指画像等を取得させる。
なお、本実施形態では指固定部3がX方向に移動可能となっている。
このため、撮影制御手段としての制御部11は、取得された画像内の指U1の位置から、補正値を導出するようになっている。すなわち制御部11は、指画像内の指U1や爪Tの位置が、爪Tが中央に位置している場合と比較して左右どちら側にどの程度ずれているかを算出する。そして、ずれ量の算出結果に基づいて爪Tが中央に位置している場合と比べてどの程度印刷の位置座標等を補正すべきかを導出する。
【0038】
また本実施形態の印刷装置1は、外部機器としての端末装置7と連携するようになっている。
本実施形態において端末装置7は、例えばスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末装置が想定される。なお、端末装置7は、印刷装置1と通信可能なものであればよく、スマートフォン等に限定されない。例えばゲーム用の端末装置等であってもよい。
【0039】
図2に示すように、端末装置7は、操作部73、表示部74、通信部75、制御装置70等を備えている。
【0040】
操作部73は、ユーザの操作に応じて各種の入力・設定等を行うことができるようになっており、操作部73が操作されると、当該操作に対応する入力信号が制御装置70に送信される。なお、本実施形態では表示部74の表面にタッチパネルが一体的に設けられており、ユーザはタッチパネルへのタッチ操作によっても各種の入力・設定等の操作を行うことができるようになっている。
なお、各種の入力・設定等の操作を行う操作部73はタッチパネルである場合に限定されない。例えば各種の操作ボタンやキーボード、ポインティングデバイス等が操作部73として設けられていてもよい。
また端末装置7の操作部73を操作することで、印刷装置1において各種の入力・設定等が行われてもよい。例えばユーザが操作部73を操作することで、印刷装置1の印刷動作をスタートさせることができてもよい。
【0041】
表示部74は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
表示部74は、制御部71の制御にしたがって、例えば各種画像データに基づく画像や、ユーザに対するメッセージ画面、各種の案内画面等を表示可能となっている。
ユーザに対するメッセージ画面、案内画面等は、印刷装置1の表示部23に表示されるとともに、又は表示部23に表示されるのに代えて、端末装置7の表示部74に表示されてもよい。
なお、前述のように、表示部74の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合にはタッチパネルが操作部73としても機能する。
【0042】
通信部75は、印刷装置1の通信部25との間で通信を行う通信手段である。例えば通信部75は、印刷装置1内に配置された爪Tを含む指U1をカメラ51によって撮影して得られた、指画像のデータ等を印刷装置1から受信する。
通信部75は、印刷装置1の通信部25との間で通信可能な無線通信モジュール等を備えている。
なお、通信部75は、印刷装置1との間で通信を行うことのできるものであればよく、印刷装置1の通信部25の通信規格と合致するものが適用される。
【0043】
制御装置70は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等により構成される制御部71と、図示しないROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成される記憶部72とを備えるコンピュータである。
【0044】
記憶部72には、端末装置7の各部を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されたプログラム記憶領域721が設けられている。
本実施形態のプログラム記憶領域721には、端末装置7の各部を統括制御するための動作プログラム(図示せず)の他、印刷装置1を用いた印刷処理を行うためのネイルプリント処理を行うアプリケーションプログラム(
図5において「ネイルプリントAP721a」とする。)、等の各種プログラム等が格納されており、制御装置70がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して実行することによって、端末装置7が制御されるようになっている。
また記憶部72には、印刷装置1において爪Tに印刷されるデザイン(ネイルデザイン)のデータが記憶されていてもよい。
【0045】
制御部71は、端末装置7の各部の動作を統合的に制御する。制御部71は、記憶部72に記憶されたプログラム(「ネイルプリントAP721a」等)との協働により、印刷装置1による印刷処理や表示部74に表示用画像等を表示させる処理等を行うための各種機能を実現する。
【0046】
次に、本実施形態の印刷装置の作用について説明する。
本実施形態において印刷装置1を用いたネイルプリントを行う場合には、まず印刷装置1の電源及び端末装置7の電源をONとする。これにより端末装置7において「ネイルプリントAP721a」が起動し、印刷装置1の表示部23や端末装置7の表示部74に爪Tに印刷を施したい指U1を印刷装置1内の指固定部3にセットするよう促す画面が表示される。
ユーザは印刷したい爪Tに対応する指U1を配置しやすい位置に指固定部3を配置して、基台15の載置台151と基台後部152との境界部分の段差を構成する突当て壁部153に設けられた凹部154のうち、所望の位置(又はそれに近い位置)に指固定部3を配置することのできる凹部154に指固定部3の凸部33を嵌め込んで、指固定部3を係止させる。
【0047】
そして、指固定部3がその位置に係止された状態を維持させたまま、指固定部3の固定部本体31に指U1を配置させ、爪Tを爪載置部32に引っ掛けて位置を固定する。
また、印刷対象の爪Tに対応する指U1以外の指U2を載置台151上であって指固定部3の左右の空間に配置する。
指U1の位置が固定されると、撮影部5のカメラ51で爪Tを含む指U1を撮影して指画像を取得し、制御部11が指画像中の爪Tの位置に基づいて爪Tが画角の中心にとらえられている状態からのずれ量を算出して、補正値を導出する。
そして指画像から検出される爪領域にデザインを合わせ込んで印刷データを生成し、印刷機構4にデータを出力して、印刷ヘッド41を動作させて爪Tへの印刷を行わせる。
【0048】
なお、補正値の導出や爪領域の検出、印刷データの生成等は端末装置の制御部71において行われてもよい。この場合には、撮影部5のカメラ51で指画像が取得されると、制御部11は、通信部25を介して端末装置7に指画像のデータを送信し、端末装置7の制御部71が指画像に適宜画像処理を行って補正値の導出等を行う。
【0049】
例えば手の中央部付近の指U(中指等)の爪Tに印刷する場合と手の左右の端部等の指U(小指等)の爪Tに印刷する場合とでは、印刷対象の爪Tに対応する指U1の左右に配置される指U2の本数が異なる。例えば、右手の小指の爪Tに印刷を行う場合には、指U1である小指の左横に3本の指U2が配置されることとなるのに対して、右手の人差し指の爪Tに印刷を行う場合には、指U1である人差し指の右横に3本の指U2が配置されることとなる。
このため、指固定部3の位置が固定されている場合には、指固定部3の左右にそれぞれ3本分の空間を設けておかなければ全ての指Uについて無理のない体勢で印刷することが難しい。
この点本実施形態では、装置左右方向(X方向)における任意の位置に指固定部3を移動させて固定(係止)することができる。このため、いずれの指種の指U1が指固定部3に配置される場合でも他の指U2を配置する空間を広く確保することができる。
【0050】
以上のように、本実施形態の印刷装置1は、印刷対象となる爪Tに対応する指U1を含む指Uを載置する載置台151と、載置台151上で移動可能であって、載置台151上において印刷対象となる爪Tに対応する指U1を固定する指固定部3と、指固定部3を載置台151上の複数の位置で係止させることが可能な係止手段としての凹部154及び凸部33と、を備えている。
【0051】
指U1の爪Tに印刷を行う場合には、印刷対象となる爪Tに対応する指U1を含む片手の指U(親指を除く人差し指~小指の4本指U)を手の幅方向に並べた状態とするのが比較的ユーザに負担のない体勢となる。
しかし、前述のように、全ての指Uの爪Tに印刷を行おうとすると、印刷対象となる爪Tに対応する指U1が載置される指固定部3の左側に3本分、右側に3本分の空間が指U2を待機させておく空間として必要となる。爪Tにすでに印刷が施されている場合や、下地等が塗布されている場合には、指同士がぶつかりあったり重なり合ったりすると、すでに塗られているインク等が剥げたり傷ついたりするおそれがあるとともに、他の指Uや他の爪T、装置内の各構成部等にインク等が付着して汚してしまうおそれもある。
このため、印刷対象となる爪Tに対応する指U1以外の指U2を待機させておく空間は、ある程度ゆとりを持って設けることが好ましい。他方で指U2を待機させる空間を広くとると、それだけ印刷装置1が大型化してしまい、特に個人ユーザ向けの装置等において好ましくない。
この点本実施形態では、印刷装置1の左右方向(X方向)における任意の位置に指固定部3を移動させて固定(係止)することができる。このため、指固定部3が載置台151におけるX方向中央部等に固定的に配置されている場合には、指固定部3の幅+左側3本指分、右側3本指分の空間を載置台151に確保する必要があるのと比較して、例えば
図2に示すように指固定部3の幅+3本指分の空間を確保すれば足り、印刷装置1の大型化を回避しつつ、いずれの指U1が指固定部3に配置される場合でも他の指U2を待機させておく空間を広く確保することができる。
【0052】
また本実施形態の係止手段は、載置台151に設けられた位置の異なる複数の係止部(本実施形態では凹部154)と、指固定部3に設けられ、いずれかの係止部(凹部154)に選択的に係止される被係止部(本実施形態では凸部33)と、を備えている。
これにより、指固定部3が載置台151上で移動可能である場合にも所望の位置に指固定部3を係止させた状態で指U1を配置し、爪Tに印刷を施すことができる。
【0053】
また本実施形態の係止部は、載置台151に間隔をあけて設けられた複数の凹部154であり、被係止部は、指固定部3に設けられ、いずれかの凹部154に係止される凸部33である。
これにより、凹部154と凸部33とを嵌め合わせることで、容易かつ確実に指固定部3を所望の位置に係止させることができる。
【0054】
[第2の実施形態]
図6及び
図7を参照しつつ、本発明に係る印刷装置及び印刷制御方法の第2の実施形態を説明する。なお、本実施形態は、指固定部を載置台の所望の位置に固定(係止)させる構成のみが第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
図6は、本実施形態に係る印刷装置内部の要部構成を示す平面図であり、
図7は、本実施形態に係る印刷装置及びこれと連携する端末装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
【0055】
図6に示すように、本実施形態における印刷装置1aの載置台151aには、装置左右方向(すなわち、X方向、横方向)に亘って指固定部3aを案内するガイド部157が設けられている。
ガイド部157は、例えばガイド軸やベルト、レール等であり、指固定部3aを移動させる図示しない固定部移動機構を構成する。指固定部3aの底部等にはこのガイド部157に係止されガイド部157に沿って移動可能な図示しない係止部が設けられている。
【0056】
固定部移動機構は、指固定部移動用モータ35を備えている。本実施形態において、指固定部移動用モータ35は指固定部3aを移動させる移動手段であり、後述の移動制御手段として機能する制御部11が指固定部移動用モータ35の動作を制御することで、指固定部3aがガイド部157に沿ってX方向に移動する。
指固定部移動用モータ35は例えばステッピングモータであり、後述するように、指固定部移動用モータ35に投入された入力パルスの情報に基づいて移動量や移動方向(X方向の左方向への移動か右方向への移動か)を正確に把握することができる。
また、指固定部移動用モータ35に適宜電圧又は電流を印加することによって、その動きを停止させ、移動対象である指固定部3aを任意の位置で維持(固定、係止)させることができるようになっている。
【0057】
指固定部3aが配置されている箇所以外の載置台151a上には、印刷する爪Tに対応する指U1以外の指U2が載置される。このため、ガイド部157は指U2を配置する際に邪魔にならないよう、基台15内部に埋設されていることが好ましい。
なお、ガイド部157は指U2を載置台151aに載置する際に邪魔にならない位置にあればよく、ガイド部157に係止されるのは指固定部3aの底部に限定されない。
例えば第1の実施形態と同様に、基台15に突当て壁部153が設けられている場合、ガイド部157はこの突当て壁部153に設けられていてもよい。この場合には、例えば指固定部3aの先端側(指固定部3aに固定される指U1の先端側が配置される側、印刷装置1のY方向奥側)の端面等にガイド部157に係止される係止部が設けられていてもよい。
【0058】
また、第1の実施形態の場合と同様に、本実施形態の印刷装置1aは、印刷機構4及び撮影部5等を備えている。
第1の実施形態の場合と同様、撮影部5の位置が固定されている場合には、指固定部3がいずれの位置に配置された場合でも指固定部3aに配置された指U1を撮影することができるように、画角の広いカメラ51を備えることが好ましい。
【0059】
なお、撮影部5は指固定部3aの位置に合わせて移動可能に構成されていてもよい。
ることができるように構成してもよい。
撮影部5を移動させる構成は特に限定されない。
例えば印刷機構4の印刷ヘッド41の近傍等にカメラ51を設けて、例えば印刷ヘッド41を移動させるX方向移動モータ45等の機構によってカメラ51等も移動するように構成してもよい。
【0060】
カメラ51が固定でない場合には、カメラ51で撮影した画像のある画素の位置(カメラ座標)が印刷機構4における印刷位置(印刷座標)ではどこに当たるかを正確に特定する必要があり、カメラ座標と印刷座標とのアライメントをとる必要がある。この点、印刷ヘッド41を移動させる機構によってカメラ51等も移動させるとした場合には、印刷ヘッド41を移動させた分だけ座標をずらす補正することで対応することができ、容易にアライメントをとることができる。
また例えば指固定部3aを移動させる指固定部移動用モータ35を用いて撮影部5のカメラ51を移動させるようにしてもよい。
前述のように、ステッピングモータ等である指固定部移動用モータ35は、投入された入力パルスの情報に基づいて指固定部3aの移動量や移動方向を正確に把握することができる。そして指固定部3aと撮影部5とが同じ指固定部移動用モータ35で移動する場合には、指固定部3aの移動量と撮影部5の移動量とがずれないため、印刷を行う際の印刷座標と撮影部5のカメラ51のカメラ座標とのアライメントをとることが比較的容易となる。
【0061】
また、
図7に示すように、本実施形態の印刷装置1aは制御部11及び記憶部12を含むコンピュータとしての制御装置10を備えている。
本実施形態において印刷装置1aの制御部11は、第1の実施形態と同様に印刷機構4や撮影部5等を制御するとともに、指固定部移動用モータ35の動作を制御する移動制御手段としても機能する。
【0062】
具体的には、本実施形態の指固定部移動用モータ35は投入された入力パルスに応じて動作するステッピングモータであり、移動制御手段としての制御部11は、指固定部3aを配置させたい位置に応じて、必要な入力パルスを指固定部移動用モータ35に投入し、指固定部3aを所望の位置まで移動させる。
また、指固定部3aが所望の位置に配置されると、指固定部移動用モータ35に適宜電圧又は電流を印加することで指固定部移動用モータ35の動きを停止させ、指固定部3aが移動しないように指固定部3aを任意の位置で係止させる。
【0063】
本実施形態では、印刷対象となる爪Tに対応する指U1が左右いずれの手の何指Uであるか、といった指種に関する情報が操作部22や後述する端末装置7の操作部73等から入力されるようになっており、移動制御手段としての制御部11は、この指種に関する情報に応じて移動手段である指固定部移動用モータ35を動作させるとともに、当該指種に対応する位置で指固定部3aを係止させる。
各指U1の爪T印刷する場合の指固定部3aの適切な位置の情報(一般的に比較的自然な体勢で指U1を配置できる位置)は、予め記憶部12等に記憶されており、制御部11は入力された指種に対応する位置まで指固定部3aを移動させるように指固定部移動用モータ35の動作を制御する。
【0064】
なお、その他の構成は、第1の実施形態と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0065】
次に、本実施形態における印刷制御方法(印刷装置の作用)について説明する。
【0066】
まず、印刷装置を用いて印刷を行う場合には、印刷を行いたい爪Tが左右いずれの手の何指Uの爪Tであるかをユーザが操作部22や後述する端末装置7の操作部73等から入力する。指種の入力は、ボタンを操作して選択する方式、タッチパネルから選択する方式等、どのような方式でもよい。
入力された指種に関する情報は制御部11によって受け付けられ、制御部11は指固定部3aの現時点での位置情報と、指種に応じた適正位置との情報から指固定部3aをX方向の左右いずれの方向にどれだけ移動させればよいかを導出する。
【0067】
そして指固定部3aを移動させるために必要な分の入力パルスを指固定部移動用モータ35に投入する。指固定部3aが指種に応じた適正位置まで移動すると、制御部11は所定の電圧又は電流を印加することで指固定部移動用モータ35の動きを停止させ、指固定部3aの位置が動かないように維持(係止)させる。
【0068】
指固定部3aが係止されると、印刷装置1の表示部23又は端末装置7の表示部74に、印刷したい爪Tに対応する指U1を指固定部3aに配置するように促す指示画面が表示され、ユーザはこれに応じて印刷したい爪Tに対応する指U1を指固定部3aに配置し、その他の指U2を載置台151上であって指固定部3aの左右の空間に配置する。
例えば
図6に示す例では、左手の薬指(又は右手の中指)の爪Tに印刷する場合に、左手の薬指(又は右手の中指)を指固定部3a上に配置して位置を固定し、その他の指U2を載置台151の上であって指固定部3aの左右に配置した場合を例示している。
【0069】
例えば左手の薬指の爪Tに印刷する場合には、左手の薬指を指固定部3a上に配置し、左手のこれ以外の指U2(親指以外)は、小指を載置台151上の指固定部3aの左側に配置し、中指と人差し指は載置台151上の指固定部3aの右側に配置する。
【0070】
なお、ユーザが各指Uを配置したが、指固定部3aの位置が合っていないと感じた場合等には、一旦指固定部3aの位置固定を解除する指示を入力し、指固定部3aを再び移動可能な状態にしてから位置を微調整し、OKボタン等を操作すると再度適正な位置で指固定部3aの位置が維持されるように制御部11が所定の電圧又は電流を印加するようにしてもよい。
【0071】
また例えば印刷装置1においてユーザの情報が登録されている場合には、当該登録情報によって指固定部3aを配置する位置をカスタマイズしてもよい。
すなわち、例えばユーザが爪Tへの印刷の際に指固定部3aの適正位置の調整を行った場合、ユーザ名や指種、調整後の指固定部3aの位置情報(位置座標の情報等)等を対応付けて、記憶部12等に記憶させておき、次回から同じ指種が選択された場合には、登録されている位置に指固定部3aを自動で配置させるように指固定部3aの適正位置情報を更新してもよい。この場合、指固定部3aを配置する適正位置の情報がユーザの手指に合ったものにカスタマイズされ、ユーザが装置の使用を繰り返すにしたがって、より自然な体勢で指Uを固定することのできる装置とすることができる。
【0072】
各指U(指U1及び指U2)を適正な位置に配置することができたら、指固定部3aに固定された指U1の爪Tを撮影部5のカメラ51で撮影して指画像を取得し、この画像から印刷領域となる爪領域(爪輪郭の内側領域)を検出し、この爪領域にデザインを合わせ込むことで生成された印刷データに基づいて印刷機構4による印刷を行わせる。
なお、印刷を行う工程等、その他の点については第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0073】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得られる他、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、印刷装置が指固定部3aを移動させる移動手段と、移動手段を制御する移動制御手段と、を備えている。
これにより、ユーザが手動で指固定部3aを移動、固定しなくても、自動的に指固定部3aを適正位置に配置することができる。
【0074】
また本実施形態の移動制御手段は、印刷対象となる爪Tに対応する指U1の指種に関する情報に応じて移動手段を動作させるとともに、指種に対応する位置で指固定部3aを係止させる。
これにより、ユーザが印刷を行う爪Tが左右いずれの手のどの指種の指Uかを入力するだけで、自動的に指固定部3aを適正位置に配置することができる。
【0075】
また本実施形態の移動手段は、例えばステッピングモータ等である指固定部移動用モータ35であり、移動制御手段としての制御部11は、指固定部移動用モータ35に電圧又は電流を印加することで指固定部移動用モータ35の動きを停止させ、指固定部3aを任意の位置で係止させる。
これにより、任意の位置で確実に指固定部3aを固定(係止)させることができる。なお、指固定部移動用モータ35によって指固定部3aの移動及び係止(固定)を行うことで、例えば第1実施形態に示すような凹部と凸部との嵌り合いによって指固定部3を固定する場合と異なり、いずれの位置でも指固定部3aを係止させることができ、係止位置の自由度が向上する。
【0076】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0077】
例えば第1の実施形態では、凹部154と凸部33とが嵌り合うことで指固定部3が係止される構成としたが、指固定部3を係止する手法はこれに限定されない。
例えば、載置台151上の複数位置に磁石を設け、指固定部3に載置台151上の磁石と引き合う磁石を設けておき、指固定部3が載置台151上のいずれかの磁石と引き合う位置で係止されるようにしてもよい。なおこの場合、指固定部3、載置台151のいずれもが磁石を備えなくても、いずれか一方が磁石を備え、他方には磁石に引き付けられる鉄材等を設けてもよい。
また例えば、印刷装置のX方向に亘ってガイド軸等を設け、送りねじを回すことで指固定部3をガイド軸に沿って装置の左右方向に移動させる送りねじ機構を設けてもよい。
この場合には、例えばつまみ部等のねじの操作部分を筐体2の外側に出してユーザが外側から送りねじを操作できるようにする。この場合、指固定部3が移動する様子を印刷装置1や端末装置7の表示部23,74等に表示させてリアルタイムで確認できるようにすることが好ましい。
【0078】
また、各凹部154の近傍にLED等を設けておき、ユーザが印刷したい爪Tに対応する指U1の指種を入力すると、対応する凹部154(当該指種の場合の指固定部3の一般的な適正位置)がライティングされてユーザをガイドするようになっていてもよい。
このようにすれば、ユーザがどの凹部154に指固定部3の凸部33を嵌めればよいかに迷わずに済む。
【0079】
また第2の実施形態では、各爪Tに印刷を行う際に、次に印刷したい爪Tに対応する指U1の指種を入力することで、指固定部3aの適正位置が制御部11によって自動で判断され、指固定部3aが移動・係止させるようにしたが、指固定部3aをどの位置に配置させるかの入力の仕方はこれに限定されない。
例えば、印刷開始前に右手の5本の指Uの爪Tに印刷することを入力し、その印刷順(例えば人差し指、中指、薬指、小指、親指の順)を指定すると、1本の指U1の爪Tへの印刷が終了するごとに次の指U1を指定しなくても、制御部11が指定された印刷順にしたがった指種の位置に指固定部3aを自動的に移動させるようにしてもよい。
【0080】
また指固定部3aの配置は、指種を入力することで指定するのではなく、載置台151上の位置を指定することで行ってもよい。
例えば載置台151の中央位置を「0位置」とし、これよりも一段階左側に寄った位置を「-1」、さらに左側に寄った位置を「-2」…とし、逆に「0位置」よりも一段階右側に寄った位置を「+1」、さらに右側に寄った位置を「+2」…というように、位置を数値で示し、ユーザはこの数値を入力することで指固定部3aの所望の位置を指定してもよい。
指種で指固定部3aの位置を指定する場合には、ある指U1の爪Tに印刷する場合に比較的自然な体勢で指を配置できる一般的な位置に指固定部3aが配置されることになるが、自然な体勢で指U1を配置できる位置は手の大きさ等によって異なり、必ずしもユーザにとって楽な姿勢となる位置とは限らない。この点、位置を細かく数値で指定する方がよりユーザに合った位置に指固定部3aを配置できる場合もある。
【0081】
また、本実施形態では、印刷装置1が単体として動作するものである場合を例示したが、印刷装置1は端末装置7等、各種外部機器と連携して印刷処理等を行ってもよい。
例えば、印刷装置1における印刷処理の開始指示の入力、ネイルデザイン(デザイン)の選択等を端末装置7の操作部73等から行ってもよい。
また、印刷データの生成等の画像処理等を端末装置7等の外部機器で行ってもよい。この場合には、印刷装置1のカメラ51で撮影された指画像等が端末装置7側に送信される。
この場合、例えば端末装置7の記憶部72に各種処理を行うためのプログラム等を格納しておき、端末装置7の制御部71が、このプログラムと協働することで、各種機能を実現する。
このように、端末装置7等の外部装置に各種の処理を担当させた場合には、印刷装置1の制御部11をより簡易な構成で実現することができる。
【0082】
またデザイン(ネイルデザイン)のデータは印刷装置1の記憶部12や端末装置7等の各種外部機器の記憶部72に保存されているものに限定されない。
また、ネットワーク回線等を介して接続可能なサーバ装置等にデザインの画像データを記憶させておき、サーバ装置等にアクセスしてデザインのデータを参照可能に構成してもよい。
このようにすることで、記憶部12等の容量を大きくしなくても、より多くのネイルデザインの中から印刷するデザインを選択することが可能となる。
【0083】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
少なくとも印刷対象となる爪に対応する指を載置する載置台と、
前記載置台上で移動可能であって、前記載置台上において印刷対象となる爪に対応する指を固定する指固定部と、
前記指固定部を前記載置台上の複数の位置のうち印刷対象となる爪に対応する指に応じた位置で係止させることが可能な係止手段と、
を備えている、
ことを特徴とする印刷装置。
<請求項2>
前記係止手段は、
前記載置台に設けられた位置の異なる複数の係止部と、前記指固定部に設けられ、いずれかの前記係止部に選択的に係止される被係止部と、を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
<請求項3>
前記係止部は、前記載置台に間隔をあけて設けられた複数の凹部又は凸部であり、前記被係止部は、前記指固定部に設けられ、いずれかの前記凹部に係止される凸部又はいずれかの前記凸部に係止される凹部である、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
<請求項4>
前記指固定部を移動させる移動手段と、
前記移動手段を制御する移動制御手段と、
を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
<請求項5>
前記移動制御手段は、印刷対象となる爪に対応する指の指種に関する情報に応じて前記移動手段を動作させるとともに、前記指種に対応する位置で前記指固定部を係止させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
<請求項6>
前記移動手段は移動用モータであり、
前記移動制御手段は、前記移動用モータに電圧又は電流を印加することで前記移動用モータの動きを停止させ、前記指固定部を任意の位置で係止させる、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の印刷装置。
<請求項7>
印刷対象となる爪に対応する指を固定する指固定部を、少なくとも印刷対象となる爪に対応する指を載置する載置台上で移動させ、
前記指固定部を前記載置台上の複数の位置のうち印刷対象となる爪に対応する指に応じた位置で係止可能とする、
ことを特徴とする印刷制御方法。
【符号の説明】
【0084】
1 印刷装置
2 筐体
11 制御部
12 記憶部
15 基台
151 載置台
154 凹部
3 指固定部
33 凸部
4 印刷機構
41 印刷ヘッド
5 撮影部
51 カメラ
7 端末装置
【手続補正書】
【提出日】2023-03-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
なお、撮影部5は指固定部3aの位置に合わせて移動可能に構成されていてもよい。
ることができるように構成してもよい。
例えば印刷機構4の印刷ヘッド41の近傍等にカメラ51を設けて、例えば印刷ヘッド
41を移動させるX方向移動モータ45等の機構によってカメラ51等も移動するように
構成してもよい。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
なお、撮影部5は指固定部3aの位置に合わせて移動可能に構成されていてもよい。
例えば印刷機構4の印刷ヘッド41の近傍等にカメラ51を設けて、例えば印刷ヘッド41を移動させるX方向移動モータ45等の機構によってカメラ51等も移動するように構成してもよい。