(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014041
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】ターボ機械装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/057 20060101AFI20230119BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20230119BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
F04D29/057
F04D29/00 B
F04D29/58 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022112460
(22)【出願日】2022-07-13
(31)【優先権主張番号】10 2021 118 253.0
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
【氏名又は名称原語表記】MAN ENERGY SOLUTIONS SE
【住所又は居所原語表記】Stadtbachstr.1 86153 Augsburg,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ディルク・ビュッヒェ
(72)【発明者】
【氏名】ヤニーネ・シュター
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB27
3H130AB60
3H130AC30
3H130BA33E
3H130BA56E
3H130DD01Z
3H130DG01X
3H130EA07G
(57)【要約】
【課題】新型のターボ機械装置を創出する。
【解決手段】ターボ機械装置は、圧縮機シャフトを含む圧縮機部分と、圧縮機シャフトに対して同軸に延在しかつ連結されたシャフトを含む電気機械であって、電気機械と各圧縮機部分とは、各圧縮機部分と電気機械と軸受とが共に作動媒体によって洗浄されるように軸受を介して共通の密閉されたハウジング内に取り付けられる、電気機械と、圧縮されていない作動媒体のための供給導管と、圧縮された作動媒体のための排出導管と、第1の圧力レベルにある作動媒体が、第2の接続を介してより低い第2の圧力レベルにある作動媒体を吸い込むための推進剤として第1の接続を介して供給され得、かつ、エジェクタ内で形成される第1の圧力レベルにある作動媒体と第2の圧力レベルにある作動媒体との混合物が、冷却媒体として電気機械及び/又は冷却されるべきアセンブリに第3の接続を介して供給され得る、エジェクタと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械装置(10)であって、
それぞれ作動媒体の圧力を上昇させるための少なくとも1つの単段又は多段の圧縮機部分(11、11a、11b)であって、前記圧縮機部分(11、11a、11b)それぞれは、圧縮機シャフト(13、13a、13b)を含んでいる、圧縮機部分(11、11a、11b)と、
シャフト(17)を含む電気機械(16)であって、
前記圧縮機シャフト(13、13a、13b)それぞれは、前記電気機械(16)の前記シャフト(17)に対して同軸に延在しており、
前記圧縮機シャフト(13、13a、13b)それぞれは、前記電気機械(16)の前記シャフト(17)に連結されており、
前記電気機械(16)と前記圧縮機部分(11、11a、11b)それぞれとは、共通の密閉された一体型又は複数の部分からなるハウジング(18)内に配置され、前記圧縮機部分(11、11a、11b)それぞれと前記電気機械(16)と軸受(19)とが共に前記作動媒体によって洗浄されるように、前記軸受(19)を介して前記ハウジング(18)内に取り付けられている、
電気機械(16)と、
供給導管(14)であって、圧縮されていない作動媒体が、前記供給導管(14)を介して前記ターボ機械装置(10)に供給されることが可能な、供給導管(14)と、
排出導管(15)であって、前記ターボ機械装置(10)によって圧縮された作動媒体が、前記排出導管(15)を介して排出されることが可能な、排出導管(15)と、
少なくとも1つのエジェクタ(20)であって、第1の圧力レベルにある作動媒体が、推進剤として、すなわち第2の導管(23)又は第2の接続(24)を介してより低い第2の圧力レベルにある作動媒体を吸い込むために、第1の導管(21)又は第1の接続(22)を介して供給され得、少なくとも1つの前記エジェクタ(20)内で形成される、前記第1の圧力レベルにある作動媒体と前記第2の圧力レベルにある作動媒体との混合物は、冷却媒体として、前記電気機械(16)及び/又は少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリに、第3の導管(25)又は第3の接続(26)を介して供給され得る、エジェクタ(20)と、を有しているターボ機械装置(10)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記エジェクタ(20)は、少なくとも部分的に圧縮された作動媒体が、前記第2の導管(23)又は前記第2の接続(24)を介して圧縮されていない作動媒体を吸い込むための推進剤として、前記第1の導管(21)又は前記第1の接続(22)を介して供給され得、少なくとも1つの前記エジェクタ(20)内で形成される、前記少なくとも部分的に圧縮された作動媒体と前記圧縮されていない作動媒体との混合物は、冷却媒体として、前記電気機械(16)及び/又は少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリに、前記第3の導管(25)又は前記第3の接続(26)を介して供給され得ることを特徴とする、請求項1に記載のターボ機械装置。
【請求項3】
少なくとも1つの前記エジェクタ(20)は、前記第1の導管(21)又は前記第1の接続(22)を介して、前記圧縮機部分(11)若しくは前記圧縮機部分(11a、11b)の内の1つ、又は、前記ターボ機械装置の前記排出導管(15)、又は、前記ターボ機械装置の第1の漏出点に連結されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のターボ機械装置。
【請求項4】
少なくとも1つの前記エジェクタ(20)は、前記第2の導管(23)又は前記第2の接続(24)を介して、前記ターボ機械装置の前記供給導管(14)、又は、前記圧縮機部分(11)若しくは前記圧縮機部分(11a、11b)の内の1つ、又は、前記ターボ機械装置の第2の漏出点、又は、前記電気機械(16)及び/又は少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリを経由又は通過するように誘導される冷却媒体のための前記ターボ機械装置の戻り導管(27)に連結されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のターボ機械装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記エジェクタ(20)は、前記第3の導管(25)又は前記第3の接続(26)を介して、前記電気機械(16)及び/又は少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリに連結されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のターボ機械装置。
【請求項6】
前記電気機械(16)及び/又は少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリを経由又は通過するように誘導される冷却媒体のための戻り導管(27)が、冷却媒体の前記戻り導管(27)の前記ターボ機械装置の前記供給導管(14)への開口点(27a)が前記供給導管(14)の貫流方向に見て前記ターボ機械装置の前記供給導管(14)の前記第2の導管(23)又は前記第2の接続(24)の分岐点(23a)の下流に位置するように、前記ターボ機械装置の前記供給導管(14)に連結されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のターボ機械装置。
【請求項7】
前記電気機械(16)及び/又は少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリを経由又は通過するように誘導される冷却媒体のための戻り導管(27)が、少なくとも1つの前記エジェクタ(20)に通じる前記第2の導管(23)、又は、少なくとも1つの前記エジェクタ(20)の前記第2の接続(24)に連結されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のターボ機械装置。
【請求項8】
冷却媒体のための前記戻り導管(27)には、熱交換器(28)又は冷却器が組み込まれていることを特徴とする、請求項6又は7に記載のターボ機械装置。
【請求項9】
単独の圧縮機部分(11)が、前記電気機械(16)の側面に、前記電気機械に対して同軸に配置された少なくとも1つの圧縮機段(12)を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のターボ機械装置。
【請求項10】
少なくとも1つの圧縮機段(12a、12b)をそれぞれ有する2つの圧縮機部分(11a、11b)が、前記電気機械(16)の互いに反対側に位置する側面に、前記電気機械に対してそれぞれ同軸に配置されたていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のターボ機械装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ機械装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1からは、多段圧縮機部分と電気機械とを有するターボ機械装置が知られており、電気機械は、作動媒体の圧力を上昇させるために、圧縮機部分を駆動する。圧縮機部分の圧縮機シャフトは、電気機械のシャフトに対して同軸に延在しており、電気機械のシャフトに連結されている。電気機械と圧縮機部分とは、共通のハウジング内に配置されており、軸受を介してハウジング内に取り付けられている。圧縮された作動媒体は、冷却ガスとして、圧縮機部分の段から取り出され、電気機械の冷却に用いられ得る。
【0003】
少なくとも1つの単段又は多段圧縮機部分と、1つ又は各圧縮機部分を駆動する電気機械と、を有するターボ機械装置は、統合モータ圧縮機とも呼ばれる。
【0004】
特許文献2からは、複数の圧縮機部分を有するターボ圧縮機が知られている。圧縮機部分と、圧縮機部分を駆動する電気機械とは、気密なハウジング内に配置されており、軸受を介してハウジングに取り付けられている。各圧縮機部分のシャフトと電気機械のシャフトとは、互いに対して同軸に延在しており、歯車装置を用いずに連結されている。圧縮機部分から分岐する、圧縮された作動媒体は、電気機械を冷却するために用いられる。
【0005】
特許文献3は、さらに、ターボ圧縮機を開示している。ターボ機械の圧縮機部分の圧縮機段の領域において圧縮された作動媒体を取り出し、当該作動媒体を冷却されるべきアセンブリに供給するために、作動媒体を、歯車側方空間を始点として、歯車側方空間端部を通過するように誘導し、作動媒体を、取り出し経路を通過して収集室に誘導することが開示されている。
【0006】
特に、ターボ機械装置のアセンブリを冷却するために、圧縮機部分の領域において圧縮された作動媒体を取り出し、冷却に用いる場合、ターボ機械装置の全体効率が低下するという欠点が存在する。加えて、圧縮された作動媒体は、圧縮の結果として既に加熱されており、その結果、冷却力が低下する。
【0007】
ターボ機械装置の電気機械を、ターボ機械装置の高い熱力学的な全体効率で、より効率的に冷却する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2013/139568号
【特許文献2】欧州特許第1074746号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102007019264号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この必要性に基づき、本発明の課題は、新型のターボ機械装置を創出することにある。本課題は、請求項1に記載のターボ機械装置によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ターボ機械装置は、プロセスガス等の作動媒体の圧力を上昇させるために、少なくとも1つの単段又は多段圧縮機部分を備えており、各圧縮機部分は、圧縮機シャフトを含んでいる。さらに、ターボ機械装置は、シャフトを含む電気機械を備えている。各圧縮機部分の圧縮機シャフトは、電気機械のシャフトに対して同軸に延在している。
【0011】
各圧縮機部分の圧縮機シャフトは、好ましくは、電気機械のシャフトに直接、歯車装置を用いずに連結されている。
【0012】
電気機械と各圧縮機部分とは、共通の密閉された一体型又は複数の部分から成るハウジング内に配置され、軸受を介して、各圧縮機部分と電気機械と軸受とが、共に作動媒体によって洗浄されるように、ハウジング内に取り付けられている。圧縮されていない作動媒体は、供給導管を介してターボ機械装置に供給され得る。圧縮された作動媒体は、排出導管を介して、ターボ機械装置から排出され得る。
【0013】
さらに、請求項1に記載のターボ機械装置は、少なくとも1つのエジェクタを備えており、エジェクタは、第1の圧力レベルにある作動媒体が、推進剤として、すなわち、第2の導管又は第2の接続を介してより低い第2の圧力レベルにある作動媒体を吸い込むために、第1の導管又は第1の接続を介して供給され得、少なくとも1つのエジェクタ内で形成される、第1の圧力レベルにある作動媒体と第2の圧力レベルにある作動媒体との混合物は、冷却媒体として、電気機械及び/又は少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリ、特に軸受に、第3の導管又は第3の接続を介して供給され得る。
【0014】
本発明では、ターボ機械装置が、少なくとも1つのエジェクタを含んでおり、エジェクタには、第1の圧力レベルにある作動媒体、好ましくは少なくとも部分的に圧縮された作動媒体が、推進剤として供給され得、これによって、第1の圧力レベルにある作動媒体と、好ましくは圧縮されていない作動媒体である、より低い第2の圧力レベルにある作動媒体と、の間の圧力差によって、より低い第2の圧力レベルにある作動媒体が吸い込まれ、第2の圧力レベルにある作動媒体は、第1の圧力レベルにある作動媒体と混合され、当該混合物が、電気機械、及び/又は、少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリに、冷却のために供給されることが提案されている。
【0015】
電気機械及び/又は少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリを通過又は経由するように誘導される冷却媒体の一方の部分のみが、第1の圧力レベルにある作動媒体、好ましくは少なくとも部分的に圧縮された作動媒体から成り、作動媒体の他方の部分は、より低い第2の圧力レベルにあり、好ましくは圧縮されていない作動媒体から成るので、冷却媒体は、一方ではより低い温度を有し、これによって他方では、ターボ機械装置の熱力学的な全体効率は、増大し得る。ターボ機械装置の高い熱力学的な全体効率で、電気機械のより効率的な冷却が供給され得る。
【0016】
好ましくは、少なくとも1つのエジェクタが、第1の導管又は第1の接続を介して、1つの圧縮機部分若しくは圧縮機部分の内の1つ、又は、ターボ機械装置の排出導管、又は、ターボ機械装置の第1の漏出点に連結されている。好ましくは、少なくとも1つのエジェクタは、第2の導管又は第2の接続を介して、ターボ機械装置の供給導管、又は、ターボ機械装置の第2の漏出点、又は、電気機械及び/又は少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリを経由又は通過するように誘導される冷却媒体のためのターボ機械装置の戻り導管に連結されている。
【0017】
本発明の第1のさらなる発展形態によると、電気機械及び/又は少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリを経由又は通過するように誘導される冷却媒体のための戻り導管は、冷却媒体の戻り導管のターボ機械装置の供給導管への開口点が、ターボ機械装置の供給導管の貫流方向に見て、ターボ機械装置の供給導管の第2の導管又は第2の接続の分岐点の下流に位置するように、ターボ機械装置の供給導管に連結されている。第2の導管又は第2の接続の分岐点は、少なくとも1つのエジェクタに供給される、より小さい又はより低い圧力にある作動媒体を取り出すために用いられる。
【0018】
この本発明の第1のさらなる発展形態は、特に好ましい。戻り導管の供給導管への開口点が、供給導管の第2の導管又は第2の接続の分岐点の下流に位置するので、第2の導管又は第2の接続を介して、専ら圧縮されていない低温の作動媒体が、戻された冷却媒体を含まないエジェクタを介して吸い込まれることが保証されている。
【0019】
本発明の代替的な第2のさらなる発展形態によると、電気機械及び/又は少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリを通過又は経由するように誘導される冷却媒体のための戻り導管は、少なくとも1つのエジェクタ、又は、推進剤を少なくとも1つのエジェクタに供給するためのエジェクタの第2の接続に通じる第2の導管に連結されている。この第2のさらなる発展形態によって、電気機械を経由するように誘導される冷却媒体に関する閉鎖冷却回路が供給され得る。
【0020】
好ましくは、熱交換器又は冷却器が、効率を増大させるために、冷却媒体のための各戻り導管に組み込まれている。冷却媒体のための戻り導管に熱交換器を組み込むことは、電気機械及び/又は少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリの効率的な冷却に関して、特に好ましい。
【0021】
好ましくは、さらに効率を増大させるために、少なくとも1つのエジェクタが、第1の導管又は第1の接続を介して、1つの圧縮機部分又は圧縮機部分の内の1つに連結されており、少なくとも1つのエジェクタは、第2の導管又は第2の接続を介して、ターボ機械装置の供給導管に連結されている。このターボ機械装置のエジェクタの圧縮機部分との連結、及び、供給導管との連結は、ターボ機械装置の高い熱力学的な全体効率で、電気機械、及び/又は、軸受等の少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリの効率的な冷却を供給するために、特に好ましい。
【0022】
本発明の好ましいさらなる発展形態は、従属請求項及び以下の説明から得られる。
【0023】
本発明の例示的な態様を、図面を用いてより詳細に説明するが、これに限定されるものではない。示されているのは以下の図である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る第1のターボ機械装置を極めて概略的に示した図である。
【
図2】本発明に係る第2のターボ機械装置を極めて概略的に示した図である。
【
図3】本発明に係る第3のターボ機械装置を極めて概略的に示した図である。
【
図4】本発明に係る第4のターボ機械装置を極めて概略的に示した図である。
【
図5】本発明に係る第5のターボ機械装置を極めて概略的に示した図である。
【
図6】本発明に係る第6のターボ機械装置を極めて概略的に示した図である。
【
図7】本発明に係る第7のターボ機械装置を極めて概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、特に統合モータ圧縮機として具体化されたターボ機械装置10に関するものである。
【0026】
図1は、統合モータ圧縮機として形成された、本発明に係るターボ機械装置10の第1の例示的な態様を示しており、ターボ機械装置10は、作動媒体の圧力を上昇させるため、好ましくはプロセスガスを圧縮するための圧縮機部分11を含んでいる。
図1に係る圧縮機部分11は、複数の圧縮機段12と圧縮機シャフト13とを備えており、圧縮機部分11、従ってターボ機械装置10には、圧縮されていない作動媒体が、ターボ機械装置10の供給導管14を介して供給され得、圧縮機部分11から、従ってターボ機械装置10から、圧縮された作動媒体は、ターボ機械装置10の排出導管15を介して排出され得る。統合モータ圧縮機として形成された
図1に係るターボ機械装置10は、さらに、シャフト17を有する電気機械16を備えており、電気機械16は、圧縮機部分11を駆動するために用いられる。圧縮機シャフト13と電気機械16のシャフト17とは、互いに対して同軸に延在している。さらに、圧縮機シャフト13と電気機械16のシャフト17とは、好ましくは互いに直接、歯車装置を用いずに連結されている。
【0027】
電気機械16と圧縮機部分11とは、密閉され、従って気密な共通のハウジング18内に配置され、軸受19を介して、ハウジング18内に回転可能に取り付けられている。気密なハウジング18は、一体型として形成されていてもよいし、又は、複数の部分から構成されていてもよい。ここでは、圧縮機部分11、電気機械16及び軸受19は、共に作動媒体、特にプロセスガスによって洗浄される。
【0028】
本発明に係るターボ機械装置10は、少なくとも1つのエジェクタ20を備えている。
図1に示されたエジェクタ20には、第1の導管21又は第1の接続22を介して、第1の圧力レベルにある作動媒体が推進剤として、すなわち、より低い第2の圧力レベルにある作動媒体を、第2の導管23又は第2の接続24を介して吸い込むために、供給され得、エジェクタ20内で形成された、第1の圧力レベルにある作動媒体と第2の圧力レベルにある作動媒体との混合物は、冷却媒体として、電気機械16、及び/又は、軸受19等の、少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリに、第3の導管25又は第3の接続26を介して供給され得る。
【0029】
図1では、エジェクタ20には、第1の導管21又は第1の接続22を介して、少なくとも部分的に圧縮された作動媒体が、第2の導管23又は第2の接続24を介して圧縮されていない作動媒体を吸い込むための推進剤として供給され得、エジェクタ20内で形成された、少なくとも部分的に圧縮された作動媒体と圧縮されていない作動媒体との混合物は、冷却媒体として、電気機械16、及び/又は、軸受19等の、少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリに、第3の導管25又は第3の接続26を介して供給され得る。
【0030】
ここでは、エジェクタ20は、混合室20aとディフューザ20bとを備えており、混合室20aは、第1の接続22及び第2の接続24を供給し、ディフューザ20bは、第3の接続26を供給する。接続22を介して誘導される部分的に圧縮された作動媒体は、推進剤として、好ましくは調節可能な駆動ノズルを介して、混合室20aに入る作動媒体のパルス噴流を形成する。エジェクタ20には、圧縮機部分11を始点として第1の導管21を介して、混合室20aの第1の接続22を介して、少なくとも部分的に圧縮された作動媒体が供給され得、当該作動媒体は、
図1では、第1の圧力レベルにある作動媒体に相当し、
図1では、部分的に圧縮された作動媒体は、圧縮機部分11から分岐し、エジェクタ20に向かって誘導される。
【0031】
第1の導管21又は第1の接続22を介してエジェクタ20内に誘導される部分的に圧縮された作動媒体が、
図1では、より低い第2の圧力レベルにある作動媒体に相当し、第2の導管23又は第2の接続24を介してエジェクタ20内に誘導される圧縮されていない作動媒体よりも高い圧力を有することによって、圧縮されていない作動媒体は、この圧力差の結果として、好ましくは調節可能な駆動ノズルを介して、ターボ機械装置10の供給導管14を始点とし、第2の導管23又は第2の接続24を介して、エジェクタ20の混合室20a内へ吸い込まれ得るものであり、圧縮されていない媒体は、少なくとも部分的に圧縮された作動媒体と、混合室20aの領域において混合される。
【0032】
この少なくとも部分的に圧縮された作動媒体又は第1の圧力レベルにある作動媒体と圧縮されていない作動媒体又は第2の圧力レベルにある作動媒体との混合物は、エジェクタ20のディフューザ20b、及び、ディフューザ20bによって供給される第3の接続26、及び、第3の導管25を介して、電気機械16、及び/又は、軸受19等の少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリに、冷却のために供給される。
【0033】
図1では第1の圧力レベルにある作動媒体に相当する部分的に圧縮された作動媒体と
図1では第2の圧力レベルにある作動媒体に相当する圧縮されていない作動媒体との混合比は、一方ではエジェクタの構造に依存し、他方では圧縮されていない作動媒体又は第2の圧力レベルにある作動媒体と部分的に圧縮された作動媒体又は第1の圧力レベルにある作動媒体との間における圧力差に依存しており、圧縮されていない作動媒体、又は、第2の導管23を介して吸い込まれる第2の圧力レベルにある作動媒体の割合が大きくなる程、少なくとも部分的に圧縮された作動媒体又は第1の圧力レベルにある作動媒体と圧縮されていない作動媒体又は第2の圧力レベルにある作動媒体との間における圧力差は大きくなる。
【0034】
図1において、電気機械16、及び/又は、軸受19等の少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリを冷却するために、少なくとも部分的に圧縮された作動媒体と圧縮されていない作動媒体との混合物が、電気機械16、及び/又は、軸受19等の少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリを通るように誘導されるという事実ゆえに、冷却媒体は、少なくとも部分的に圧縮された作動媒体のみが、圧縮機部分11から分岐し、冷却のために電気機械16を通るように誘導される先行技術よりも低い温度を有している。これによって、冷却力を改善することが可能であり、さらに、ターボ機械装置10の改善された熱力学的な全体効率が供給される。
【0035】
図1に示された例示的な態様では、エジェクタ20、すなわちエジェクタ20の混合室20aは、適切に、第1の導管21又は第1の接続22を介して、圧縮機部分11、すなわち圧縮機部分11の圧縮機段12に連結されている。さらに、エジェクタ20、すなわちエジェクタ20の混合室20aは、
図1では、第2の導管23又は第2の接続24を介して、ターボ機械装置10の供給導管14に連結されている。これに加えて、エジェクタ20、すなわちエジェクタ20のディフューザ20bは、第3の導管25又は第3の接続26を介して、電気機械16に連結されている。
【0036】
図1では、電気機械16は、電気機械16を経由するように誘導される冷却媒体のための戻り導管27を介して、ターボ機械装置10の供給導管14に連結されており、すなわち、ターボ機械装置10の供給導管14への戻り導管27の開口点27aは、ターボ機械装置10の供給導管14の貫流方向に見て、供給導管14の第2の導管23の分岐点23aの下流に位置している。これによって、第2の導管23を介して、新鮮な作動媒体のみが導管23で取り出されることが確実化される。
【0037】
図2は、
図1に係るターボ機械装置10のさらなる発展形態を示しており、
図2に係るターボ機械装置10は、戻り導管27に、ターボ機械装置10の供給導管14に戻る前に冷却媒体を冷却するために、熱交換器28又は冷却器が組み込まれているという点においてのみ、
図1に係るターボ機械装置10と異なっている。これもまた、熱力学的な全体効率を増大させるために用いられる。その他の点では、
図2に係るターボ機械装置10は、
図1に係るターボ機械装置10に対応しているので、不必要な繰り返しを避けるために、同じアセンブリには同じ参照符号が用いられ、
図1に係るターボ機械装置10に関する説明が参照される。
【0038】
図3は、
図1に係るターボ機械装置10の変更を示しており、
図3に係るターボ機械装置10には2つの圧縮機部分11a、11bが存在し、当該圧縮機部分はそれぞれ、圧縮機段12a、12bと圧縮機シャフト13a、13bとを備えており、これらの圧縮機部分11a、11bは、電気機械16の互いに反対側に位置する側面に配置されている点で、
図1と異なっている。両方の圧縮機シャフト13a、13bは、それぞれ好ましくは、電気機械16の異なる側に、互いに反対側に配置されて、好ましくは直接、歯車装置を用いずに、電気機械16のシャフト17に連結されている。
【0039】
図3では、2つの圧縮機部分11a、11bは、直列に接続されている。圧縮機部分11aで圧縮された作動媒体はさらに、圧縮機部分11bにおいて圧縮される。代替的に、圧縮機部分11a、11bを並列に接続することも可能であり、第1の導管21は、2つの圧縮機部分11a、11bの内の1つの圧縮機部分の排出導管と接続されると共に、冷却媒体のための2つの圧縮機部分11a、11bの内の1つの圧縮機部分の供給導管14への戻り導管27とも接続される。
【0040】
図3では、圧縮機部分11a、11bは、それぞれ複数の圧縮機段を含むことも可能である。
【0041】
図3では、部分的に圧縮された作動媒体、すなわち、第1の圧縮機部分11aによって部分的に圧縮された作動媒体が、さらなる圧縮のために、あふれ導管29、及び、あふれ導管29から分岐する第1の導管21を介して、第2の圧縮機部分11bとエジェクタ20とにも供給されるので、エジェクタ20は再び、少なくとも部分的に圧縮された作動媒体と圧縮されていない作動媒体との間における圧力差によって、ターボ機械装置10の供給導管14から、圧縮されていない作動媒体を吸い込み、当該作動媒体を、エジェクタ20の混合室20aの領域において、部分的に圧縮された作動媒体と混合することができる。エジェクタ20から生じるこの混合物は、再び電気機械16、及び/又は、軸受19等の少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリに、その冷却のために供給される。
図3では、圧縮された作動媒体のための、ターボ機械装置10の排出導管15は、第2の圧縮機部分11bから離れるように延在している。
【0042】
図4は、
図3に係るターボ機械装置10の変更を示しており、やはり、熱交換器28が、冷却媒体のための戻り導管27に組み込まれているという点でのみ
図3の例示的な態様と異なっており、戻り導管27は、電気機械16を経由又は通過するように誘導される冷却媒体を、ターボ機械装置10の供給導管14の方向に戻すものである。代替的又は付加的に、冷却器が導管21、23及び25に組み込まれていてもよい。
【0043】
圧縮機部分の数及び配置を除いて、
図3及び
図4の例示的な態様は、
図1及び
図2の例示的な態様に対応しているので、不必要な繰り返しを避けるために、同じアセンブリには同じ参照符号が用いられる。
【0044】
図3及び
図4では、圧縮機部分11a、11bは、並列にも接続され得る。この場合、ターボ機械装置10の供給導管14は、両方の圧縮機部分11a、11bに通じ得る。圧縮機部分11a、11bの並列接続を用いて、第1の導管21は、好ましくは、2つの圧縮機部分11a、11bの内の1つの圧縮機部分の排出導管と接続され得ると共に、冷却媒体のための2つの圧縮機部分11a、11bの内の1つの圧縮機部分の供給導管14への戻り導管27とも接続され得る。
【0045】
図5は、
図3に係るターボ機械装置10の変更を示しており、
図5は、エジェクタ20に第1の導管21または第1の接続22を介して供給される推進剤として、部分的に圧縮された作動媒体は第1の圧縮機部分11a内で用いられないが、完全に圧縮された作動媒体が第2の圧縮機部分11b内で用いられるので、
図5によると、第1の導管21はあふれ導管29から分岐せず、ターボ機械装置10の排出導管15から分岐するという点で、
図3に係るターボ機械装置10と異なっている。従って、
図5では、推進剤として用いられる圧縮された作動媒体と供給導管から吸い込まれる圧縮されていない作動媒体との間に、顕著に大きくなる圧力差が存在しており、
図5において、エジェクタ20内で形成される圧縮されていない作動媒体と圧縮された作動媒体との混合物は、好ましくは、
図3におけるよりも大きい割合で、圧縮されていない作動媒体を含んでいる。残りの全ての詳細についてはそれぞれ、
図5の例示的な態様は、
図3の例示的な態様に対応するので、不必要な繰り返しを避けるために、同じアセンブリには同じ参照符号が用いられる。
【0046】
代替的に、多段圧縮機の構造を用いて、推進剤を、
図1に類似した中間段から取り出すことも可能である。さらに、導管23及び27は、ターボ機械装置10の供給導管14の代わりに、あふれ導管29で終端することも可能であり、これによって、冷却媒体は、圧縮機部分11bの下流においてのみ取り出され、あふれ導管29に戻される。
【0047】
図6は、
図5に係る例示的な態様の変更を示しており、
図6はやはり、熱交換器28が、電気機械16、又は、軸受19等の少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリを経由又は通過するように誘導される冷却媒体のための、冷却媒体の戻り導管27に組み込まれているという点においてのみ、
図5と異なっている。
【0048】
図7は、本発明に係るターボ機械装置10の一態様を示しており、
図4に係るターボ機械装置10の変更を表している。
図4において、第2の導管23が、ターボ機械装置10の供給導管14から分岐し、冷却媒体の戻り導管27が、ターボ機械装置10の供給導管14に開口している一方で、
図7では、冷却媒体のための閉鎖回路が、つまり第2の導管23が、冷却媒体の戻り導管27と連結されているという点で、存在している。従って、
図7において、第1の圧縮機部分11a内で部分的に圧縮された作動媒体は、やはり推進剤として適切に用いられ、当該作動媒体は、あふれ導管29から分岐し、第1の導管21を経由してエジェクタ20に供給される一方で、
図7では、圧縮されていない作動媒体が、エジェクタ20によって吸い込まれることはなく、電気機械16、及び/又は、軸受19等の少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリを経由又は通過するように誘導される冷却媒体が吸い込まれ、当該冷却媒体は、冷却媒体の戻り導管27を経由して、電気機械16、及び/又は、軸受19等の少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリから排出される。従って、第2の導管23及び冷却媒体のための戻り導管27は、
図7において、冷却媒体のための閉鎖された冷却回路を形成しており、
図7によると、当該冷却回路には、熱交換器28が組み込まれている。
【0049】
図7では、エジェクタ20には、第1の導管21又は第1の接続22を介して、第1の圧力レベルにある作動媒体が推進剤として、すなわち、より低い第2の圧力レベルにある作動媒体を、第2の導管23又は第2の接続24を介して吸い込むために供給され得、エジェクタ20内で形成される、第1の圧力レベルにある作動媒体と第2の圧力レベルにある作動媒体との混合物は、冷却媒体として、電気機械16、及び/又は、軸受19等の少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリに、第3の導管25又は第3の接続26を介して供給され得る。
図7では、第1の圧力レベルにある作動媒体は、圧縮機部分11aにおいて部分的に圧縮された作動媒体であるが、
図7において第2の圧力レベルにある作動媒体は、電気機械16、及び/又は、軸受19等の少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリを経由又は通過するように誘導される冷却媒体であり、当該冷却媒体は、冷却媒体の戻り導管27及び冷却器28を介して、第2の導管23、従って第2の接続24に供給される。第1の導管21又は第1の接続22を介して推進剤を供給することによって、回路内での冷却媒体のいずれの損失も補償される。
【0050】
本発明は、電気機械16、及び/又は、ターボ機械装置10の軸受19等の少なくとも1つの別の冷却されるべきアセンブリの、ターボ機械装置10の高い熱力学的な全体効率による効果的な冷却を可能にする。
【0051】
本発明は、高い出力範囲を有する電気機械16を、ターボ機械装置10において用いることを可能にする。
【0052】
エジェクタ20を通る流量は、好ましくは調節可能な駆動ノズル(図示せず)を用いて調節され得る。しかしながら、ターボ機械装置10の最大限の単純さと堅牢性とを保証するために、このような好ましくは調節可能である駆動ノズルは省略可能であり、エジェクタ20は、制御されていない状態で動作する。
【0053】
図1から
図7において示されたターボ機械装置10の例示的な態様では、エジェクタ20は、それぞれの場合において、ハウジング18の外側に位置しており、少なくとも導管21、25、29の内のいくつかは、ハウジング18の外側に、少なくとも部分的にハウジング18を通って延在している。代替的に、エジェクタ20がハウジング18内に位置することも可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 ターボ機械装置
11 圧縮機部分
11a 圧縮機部分
11b 圧縮機部分
12 圧縮機段
12a 圧縮機段
12b 圧縮機段
13 圧縮機シャフト
13a 圧縮機シャフト
13b 圧縮機シャフト
14 供給導管
15 排出導管
16 電気機械
17 シャフト
18 ハウジング
19 軸受
20 エジェクタ
20a 混合室
20b ディフューザ
21 第1の導管
22 第1の接続
23 第2の導管
23a 分岐点
24 第2の接続
25 第3の導管
26 第3の接続
27 戻り導管
27a 開口点
28 熱交換器
29 あふれ導管
【外国語明細書】