(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140418
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】玉網及び玉の柄
(51)【国際特許分類】
A01K 77/00 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
A01K77/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046243
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】青木 勇樹
【テーマコード(参考)】
2B106
【Fターム(参考)】
2B106EA13
2B106EL07
(57)【要約】
【課題】隣接する節同士の継合構造の加工が容易であると共に、スムーズな魚の取り込み操作が行なえる玉網を提供する。
【解決手段】本発明の玉網は、元節に複数本の節を収納し、隣接する前節と受節同士で、抜け止め及び回り止めされる継合構造30を備えている。継合構造30は、前節20の基端部に取着され、断面が多角形の大径部材31と、受節10の先端の内面に設けられ、大径部材31が当て付いて前節の抜け止め機能を有する小径突起部33と、受節先端の内面で小径突起部33より軸方向基端側に設けられ、大径部材31による隙間に入り込んで大径部材31の回転を規制する複数の規制突起35と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
元節に複数本の節を収納し、隣接する前節と受節同士で、抜け止め及び回り止めされる継合構造を備えた玉網において、
前記継合構造は、前記前節の基端部に取着され、断面が多角形の大径部材と、前記受節先端の内面に設けられ、前記大径部材が当て付いて前節の抜け止め機能を有する小径突起部と、前記受節先端の内面で前記小径突起部より軸方向基端側に設けられ、前記大径部材による隙間に入り込んで大径部材の回転を規制する複数の規制突起と、を備え、
前記規制突起と前記大径部材は、周方向に遊度を持って係合可能であることを特徴とする玉網。
【請求項2】
前記規制突起と前記大径部材の周方向の遊度は、60°以内に設定されることを特徴とする請求項1に記載の玉網。
【請求項3】
前記小径突起部と前記複数の規制突起は、一体形成されており、前記前節の先端内周に取着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の玉網。
【請求項4】
前記小径突起部は、周方向の一部が切り欠かれたリング状部材であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の玉網。
【請求項5】
前記各節は、ストレート状に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の玉網。
【請求項6】
前記前節の先端側の外周面には、軸方向に沿って係合突起が形成され、前記受節の小径突起部には、前記係合突起と係合するように軸方向に沿って凹部が形成されており、
前記前節の回転を規制することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の玉網。
【請求項7】
元節に複数本の節を収納し、隣接する前節と受節同士で、抜け止め及び回り止めされる継合構造を備えた玉網において、
前記継合構造は、前記前節の基端部に取着され、軸方向に延出して前節の回転を規制する規制部を備えた大径部材と、前記受節の内面に設けられ、前記大径部材が当て付いて前節の抜け止め機能を有する小径突起部と、前記受節の内面に軸方向に延出して基端部まで設けられ、前記大径部材の規制部と係合する係合部と、を有することを特徴とする玉網。
【請求項8】
前記規制部は、前記大径部材に設けられた切欠きであり、前記係合部は、受節の内面に軸方向に沿って形成される突起であることを有することを特徴とする請求項7に記載の玉網。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の玉網に用いられ、前記継合構造を備えたことを特徴とする玉の柄。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りに際して携行され、複数の節(管状体)を振出構造にした玉網、及び玉の柄に関する。
【背景技術】
【0002】
玉網は、主に、防波堤釣り、磯釣り等、釣人から海面までの距離が長い釣場において、魚が掛かった際に用いられる。このような釣場では、魚を取り込む際、海面から手元までの距離が長く、魚をバラす可能性があるため、玉網を用いて魚を取り込む操作が行なわれる。通常、魚の取り込み操作は、片手で釣竿を操作して魚を近くまで引き寄せ、もう一方の手で玉網の元節を握持し、順次、振出構造になっている柄を海面まで送り込み、先端に取り付けられた網で魚を取り込む。
【0003】
上記した玉網は、元節の中に複数の節が順次収納されており、元節の先端を下方に向けたとき(押出操作することもある)に、各節が順次突出すること、突出した際に節が抜けないこと、突出した状態で節同士の回転が規制されること、そして、魚を取り込んだ際に、容易に手繰り寄せることができるように、各節の継合状態が容易に外れて節の引き込み収納操作が容易に行えること、等の機能が必要とされる。
【0004】
例えば、特許文献1には、上記した機能を備えた玉網が開示されている。この玉網の各節の継合構造は、前節の基端部に大径部を形成すると共に、受節の先端部に大径部と係合する一対の突起が180°間隔で設けられている。前記大径部の外周面には、360°に亘って断面三角形状の凹凸が形成されており、前記一対の突起と係合することで、回り止めされている。また、受節の先端の内周は小径化されており、前記前節の大径部が抜けないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の継合構造は、前節の基端部に大径部を形成し、その外周面に全周に亘って断面略三角形状の凹凸を形成しているため、大径部の加工が難しいという問題がある。また、凹凸と突起の軸方向に沿った圧入係合では、節を伸ばした際、前節がスムーズに摺
動できない可能性があると共に、両者の間で固着等が生じ易く、魚の取り込み操作がスムーズに行なえないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、隣接する節同士の継合構造の加工が容易であると共に、スムーズな魚の取り込み操作が行なえる玉網、及び、そのような玉網に用いられる玉の柄を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明は、元節に複数本の節を収納し、隣接する前節と受節同士で、抜け止め及び回り止めされる継合構造を備えた玉網であり、前記継合構造は、前記前節の基端部に取着され、断面が多角形の大径部材と、前記受節先端の内面に設けられ、前記大径部材が当て付いて前節の抜け止め機能を有する小径突起部と、前記受節先端の内面で前記小径突起部より軸方向基端側に設けられ、前記大径部材による隙間に入り込んで大径部材の回転を規制する複数の規制突起と、を備え、前記規制突起と前記大径部材は、周方向に遊度を持って係合可能であることを特徴とする。
【0009】
上記した構成の玉網は、元節内に複数本の節を振出式に収納しており、先端の節に網が装着されている。元節を握持して先端側を下方に向けると、各節が突出し、海面付近に引き寄せた魚を網に取り込むことができる。この場合、隣接する前節と受節は、各節が突出した際に、継合構造によって抜け止め及び回り止めされる。前記継合構造は、前節の基端部に取着された断面多角形の大径部材が、前記受節先端の内面に設けられた小径突起部に当て付くことで抜け止めされる。また、断面多角形に形成された大径部材が、受節先端の内面に設けられた規制突起に当て付くことで回り止めされる。前記規制突起と前記大径部材は、周方向に遊度を持って係合可能となっているため、構造を簡単化することができ、各節をスムーズに出し入れすることが可能となる。
【0010】
また、本発明は、元節に複数本の節を収納し、隣接する前節と受節同士で、抜け止め及び回り止めされる継合構造を備えた玉網であり、前記継合構造は、前記前節の基端部に取着され、軸方向に延出して前節の回転を規制する規制部を備えた大径部材と、前記受節の内面に設けられ、前記大径部材が当て付いて前節の抜け止め機能を有する小径突起部と、前記受節の内面に軸方向に延出して基端部まで設けられ、前記大径部材の規制部と係合する係合部と、を有することを特徴とする。
【0011】
上記した構成の玉網においても、元節を握持して先端側を下方に向けると、各節が突出し、海面付近に引き寄せた魚を網に取り込むことができる。隣接する前節と受節は、各節が突出した際に、継合構造によって抜け止め及び回り止めされる。前記継合構造は、前節の基端部に取着された大径部材が、前記受節先端の内面に設けられた小径突起部に当て付くことで抜け止めされる。また、大径部材には、規制部が設けられており、この規制部が受節の内面に軸方向に延出して基端部まで設けられた係合部と係合しているので、前節は回り止めされた状態となっており、構造が単純で、各節をスムーズに出し入れすることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、隣接する節同士の継合構造の加工が容易であると共に、スムーズな魚の取り込み操作が行なえる玉網、及び、そのような玉網に用いられる玉の柄が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】前節と受節の継合構造の第1の実施形態を示す縦断面図(
図3のB-B線に沿った断面図)。
【
図4】(a)及び(b)は、それぞれ受節の先端の内面に装着される小径突起部の構成例を示す図。
【
図5】(a)及び(b)は、それぞれ前節の基端部に取着される大径部材の構成例を示す図。
【
図6】前節と受節の継合構造の第2の実施形態を示す縦断面図(
図7のD-D線に沿った断面図)。
【
図8】(a)は、小径突起部と複数の規制突起が一体化された構成例を示す図、(b)は、上方から見た平面図。
【
図9】前節と受節の継合構造の第3の実施形態を示す縦断面図。
【
図10】前節と受節の継合構造の第4の実施形態を示す縦断面図(
図11のF-F線に沿った断面図)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る玉網の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明に係る玉網の一例を示す図である。本実施形態の玉網1は、元節(管状体)10、元節10に順次振出式に収納される節20,21,22,23を備え、最径の節23の先端に網25が装着された構造となっている。
なお、節の本数については限定されることはないが、本実施形態では、元節10に4本の節20~23を収納した5本節で構成されている。また、各節の20~23の長さについては、元節10と略同一の長さに構成することが可能である。更に、これらの各節は、網25が取り付けられている必要はなく、玉の柄として単独で製造、販売することが可能である。
【0015】
前記各節10、20~23は、繊維強化樹脂製の管状体で構成されており、強化繊維(主に炭素繊維やガラス繊維等)に、エポキシ樹脂等の熱硬化性の合成樹脂を含浸した繊維強化樹脂プリプレグを芯金に巻回し、加熱工程を経た後、脱芯する等、定法に従って所定寸法の管状に形成されている。なお、本実施形態の各節は、先端側(網側)に移行するに連れて縮径化するテーパ形状で構成されるが、各節は、ストレート形状であっても良い。
【0016】
各節の先端部、及び、基端部には、継合構造が設けられており、受節から前節を突出させた際、受節から前節が抜けないようにすると共に、受節(前節)の回転を規制する継合構造30が設けられている。以下、継合構造30について説明するが、ここでは元節(受節とも称する)10と節(前節と称する)20との間の継合構造として説明する。
【0017】
図2及び
図3は、継合構造の第1の実施形態を示す図であり、
図2は、縦断面図(
図3のB-B線に沿った断面図)、
図3は、
図2のA-A線に沿った断面図である。
本実施形態の継合構造30は、前節20の基端部に取着され、断面が多角形状の大径部材31と、受節10の先端の内面(先端開口付近の内面)に設けられ、大径部材31が突出した際に当て付いて前節20の抜け止め機能を有する小径突起部33とを備えている。
【0018】
前記大径部材31は、前節20の基端の外径よりも大径であれば良く、前節20の基端側に圧入して接着されている。大径部材31の構成材料は限定されることはないが、軽量化が図れるように樹脂(繊維強化樹脂を含む)で成形されていることが好ましい。大径部材31は、断面多角形状に構成されており、本実施形態は、
図3に示すように、断面六角形状に構成されている。この場合、大径部材31は、断面を正多角形状に構成する必要はなく、収納スペース、及び、以下の回り止め機能を有する規制突起(受節10に設けられる)の構成との関係で適宜変形することが可能である。また、多角形状であっても、その角部にテーパやR面を形成しておいても良い。
【0019】
前記小径突起部33は、受節10の先端開口の径を小径化するものであれば良く、受節10と共に一体形成、或いは、開口部分に接着等することで設けられている。小径突起部33の構成材料は限定されることはないが、軽量化が図れるように樹脂樹脂(繊維強化樹脂を含む)で成形されていることが好ましい。小径突起部33は、例えば、
図4(a)に示すように、リング状に一体形成したり、
図4(b)に示すように、周方向の一部が切り欠かれたリング状に一体形成することが可能である。
【0020】
図4(a)に示す小径突起部33は、ストレート状に構成される受節10であれば、先端開口に圧入して接着固定することが可能である、また、
図4(b)に示すように、切り欠き部33aを形成した小径突起部33であれば、切り欠き部33aの両側を摘まんで径方向に小径化することができるので、ストレート状、テーパ状のいずれの受節10であっても、その先端開口に嵌入して容易に接着、固定することが可能となる。
前記小径突起部33は、受節10から前節20が飛び出そうとしても、前節20の基端側に固定された前記大径部材31が当て付いて抜け止めできれば、その形状、固定方法等は、適宜変形することが可能である。
【0021】
前記継合構造30は、受節10先端の内面で前記小径突起部33より軸方向基端側に設けられ、前記大径部材31の角部が入り込むと共に、大径部材31の回転を規制する複数の規制突起35を備えている。前記大径部材の角部とは、断面多角形状に形成したことによって生じる表面の変曲点領域を意味する。
【0022】
上記したように、本実施形態の大径部材31は、断面多角形状(六角形状)で構成されているため、受節10の円形状の内周面10aに対して近接している部分と、離間している部分が生じている。近接している部分は、円周方向の一部の領域(角部)であり、この領域は、周方向に沿って所定の間隔で複数個所存在している。
図3では、近接部分(近接領域であり角部)は6箇所存在しており、それぞれ符号31aを付してある。このため、近接部分31a同士の周方向の間は、離間した部分となって隙間Sが生じており、この隙間Sに入り込むように、規制突起35が設けられている。この規制突起35は、軸方向に直交する方向で、同一平面上に配設されており、隣接する規制突起35の間に、前記大径部材31の回転を規制するように、近接部分31aが入り込んでいる。本実施形態では、受節10の内周面10aに、周方向に略等間隔で3箇所、規制突起35が突出形成されている。
【0023】
なお、前記規制突起35は、隙間Sに入り込むような形状であれば良く、受節10と共に一体形成、或いは、内面に接着等することで設けられている。規制突起35の構成材料は限定されることはないが、軽量化が図れるように樹脂樹脂(繊維強化樹脂を含む)で成形されていることが好ましい。上記した規制突起35によれば、大径部材31は、その角部(近接部分)31aが規制突起35によって回転が規制されることから、前節20の回転は規制される。
【0024】
前記規制突起35の形状や配設態様については、大径部材31の構成に応じて適宜、変形することが可能である。例えば、
図5(a)に示すように、大径部材が断面略四角形状であれば、各辺31cと対向する領域が離間する部分となって上記した隙間Sが形成されることから、規制突起35は、この隙間に入り込んで各辺31cと対向するように配設すれば良い。また、大径部材が、例えば
図5(b)に示すような略正六角形状であれば、各辺31dと対向する領域が離間する部分となって上記した隙間Sが形成されることから、規制突起35は、この隙間に入り込んで辺31dと対向するように配設すれば良い。
【0025】
上記した構成では、受節10から前節20を突出させると、
図3に示すように、大径部材31は、各規制突起35の径方向内側に入り込むことができ、この状態で、前節20が回転しようとしても、大径部材31の角部(近接部分)31aが規制突起35に係合して回転が規制された状態となる。この場合、規制突起35は、大径部材31に対して、周方向に遊度(
図3では、角部31aと規制突起35とのギャップGが遊度となる)を持って係合可能となっており、大径部材31の回転は規制されるものの、多少の回転が許容されるように構成されている。
【0026】
次に、上記の継合構造30の作用効果について、
図1から
図3を参照して説明する。
実釣時において、魚が掛かった際、片方の手で釣竿を操作しながら、もう一方の手で玉網を操作する。魚を手前側に引き寄せて、元節(受節)10を握持して先端側を下方に向けると、各節20~23が順次突出し、前記継合構造30によって、隣接する前節と受節は、抜け止め及び回り止めされる。
【0027】
すなわち、前節20が軸方向前方に移動すると、前節20の基端部に取着された断面多角形の大径部材31が、前記規制突起35の隙間Sが形成されている部分を通過し、受節10先端の内面に設けられた小径突起部33に当て付くことで抜け止めされる。この場合、大径部材31がスムーズに小径突起部33に当て付くことができるように、大径部材31の先端には、先端に向けて縮径する傾斜面31Aを形成しておくことが好ましい。
【0028】
前記大径部材31が小径突起部33に当て付いて抜け止めされた状態では、断面多角形に形成された大径部材31が、受節の先端側の内面に設けられた規制突起35に当て付くことで回り止めされる。この場合、規制突起35と大径部材31は、周方向に遊度を持って係合可能であることから、厳密な寸法精度が要求されることはなく、構造を簡単化することができ、容易に加工することが可能となる。また、規制突起35と大径部材31は、従来のように、周方向に360°に亘って凹凸を連続形成した構成ではなく、周方向に所定の間隔(本実施形態では略120°間隔で3箇所の規制突起)で回り止めする構成であるため、強度の向上が図れると共に、各節をスムーズに出し入れすることが可能となる。
【0029】
上記した構成では、規制突起35と大径部材31の周方向の遊度については、各部材の形状や大きさ等を変えることで、容易に制御することが可能である。この遊度は、実際に各節を延ばして魚を取り組む際、あまり回転角度が大きいと操作性が低下してしまう。すなわち、手首の可動範囲内で網25の枠25Aを水平に調整できるように、遊度を60°以下となるようにすることが好ましい。特に、本実施形態のように、節が5本で継合構造が4箇所配設された構造では、各継合構造での遊度が大きくなりすぎると、元節10から全ての節が回転した際、手首の可動範囲を超えることがある。このため、元節10を握持した状態で、全節の回転が360°以下、好ましくは、1節当たり60°以下で、全節の回転が240°以下となるように、各節間の継合構造30の遊度を設定することが好ましい。
【0030】
そして、魚を網25に取り込んだ後は、片手で各節を手前側に手繰り寄せ、全ての節を元節10に収納することで、網25内の魚を取り出すことが可能となる。この手繰り寄せる操作でも、各節は、軸方向に規制されていない状態にあるので、スムーズな収納操作を行なうことが可能となる。
【0031】
図6及び
図7は、前節と受節の継合構造の第2の実施形態を示す図であり、
図6は縦断面図、
図7は
図6のC-C線に沿った断面図である。
以下、本発明の別の実施形態について説明するが、上記した実施形態と同一の機能を有する部分については、同一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。
【0032】
本実施形態の玉網の各節10,20~23は、全てストレート状の管状体で構成されている。また、小径突起部33と複数の規制突起35は、樹脂等によって一体成形されている。具体的には、
図8(a)(b)に示すように、円筒形の小径突起部33の軸方向端縁33A(大径部材31が当て付く部分)に、軸方向に略120°間隔で3個の規制突起35を一体形成している。
【0033】
このように、小径突起部33と複数の規制突起35を一体形成することで、受節10の先端開口に差し込むことが容易に行なえ、小径突起部33と複数の規制突起35の、受節10の先端内周に対する装着作業を容易に行うことができる。特に、本実施形態では、受節10をストレート状に形成したことで、受節10の先端側からの組付け作業を容易に行なうことができる。
【0034】
また、本実施形態では、前節20の先端側の外周面に、軸方向に沿って係合突起60が形成されており、受節10の小径突起部33には、係合突起60と係合するように軸方向に沿って凹部33Bが形成されている。係合突起60は、厚肉部として形成されたものであっても良いが、周方向に一定間隔をおいて複数個突出形成されたものであっても良い。また、凹部33Bは、前記係合突起60の外周面が当て付いて摩擦力を付与するものであれば良く、360°に亘って形成されていても良いし、係合突起60が一定間隔をおいて複数個突出形成された構成では、軸方向に延出する溝形状であっても良い。
【0035】
このような構成によれば、節を延ばす初期段階で前節の回転を制御できるので、網25の位置が軸周りに変動することが抑制され、手首を必要以上に回動操作することが無く、取り込み操作をスムーズに行なうことが可能となる。
【0036】
図9は、前節と受節の継合構造の第3の実施形態を示す縦断面図である。
この実施形態の小径突起部37は、
図6に示す小径突起部33と複数の規制突起35を一体形成し、抜け止めを果たすと共に回転を規制する機能を持たせている。
【0037】
このような小径突起部37は、大径部材31を抜け止めするように、大径部材31よりも小径化されており、かつ、大径部材31の前端部31Fが入り込めるように、小径突起部37の基端側の面に周方向に沿って複数の凹部を形成する等、複数の隙間を形成しておけば良い。
このような小径突起部37であっても、受節10の先端開口に差し込むことが容易に行なえ、受節10の先端内周に対する装着作業を容易に行うことができる。
【0038】
図10及び
図11は、前節と受節の継合構造の第4の実施形態を示す図であり、
図10は縦断面図、
図11は
図10のE-E線に沿った断面図である。
本実施形態の継合構造30は、受節10の内面に、前節の基端部に取着された大径部材38が当て付いて前節の抜け止め機能を有する小径突起部33が設けられている。
【0039】
大径部材38は、
図11に示すように、リング形状に構成されており、その一部には、径方向に延出する切欠き38aが形成されている。この切欠き38aは、軸方向に延出しており、前節20の回転を規制する規制部としての機能を備えている。本実施形態では、切欠き38aによって回転が規制されるように、受節10の内面には、軸方向に延出して基端部まで設けられ、前記切欠き(規制部)38aと係合する係合部40が設けられている。
【0040】
本実施形態の係合部40は、小径突起部33、又は、受節10と一体形成することが可能であり、軸方向に延出する突起として構成されている。なお、係合部40は、小径突起部33、又は、受節10とは別体で形成され、受節10の内面に取着される構造であっても良い。
【0041】
このような構成によれば、受節10の内面に形成された係合部40がガイドレールとしての機能を備えるため、前節20は、受節10に対して回転することなく軸方向に移動することができ、スムーズに出し入れ操作することが可能となる。
【0042】
なお、回転を規制する係合部40は、軸方向に延出する凹溝として構成し、大径部材38に軸方向に延出して凹溝と係合する突起を形成しても良い。また、前記係合部40と切欠き(規制部)38aとは、上記した実施形態と同様、回転方向に多少の遊度を持って係合していることが好ましい。さらに、このような係合部と規制部による回り止め構造では、係合部分を周方向に一定間隔をおいて複数個所形成しても良い。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【0044】
上記した大径部材及び規制突起の構成、及び、その配設個所や配置態様については適宜変形することが可能である。また、玉網の節(玉の柄)の本数や長さについても適宜変形することが可能である。また、上記した継合構造は、いずれかの節間に配設されていれば良く、場所によっては異なる継合構造が配設されていても良い。更に、本発明は、上記した継合構造を備えた玉の柄として構成されていても良い。
【符号の説明】
【0045】
1 玉網
10 元節(受節)
20~23 節
30 継合構造
31 大径部材
33 小径突起部
35,38 規制突起
40 係合部