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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140428
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】排水測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/28 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G01N27/28 321A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046258
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】518262693
【氏名又は名称】株式会社monotone technology
(71)【出願人】
【識別番号】506077005
【氏名又は名称】アイティーアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 淳二
(72)【発明者】
【氏名】矢島 昇
(72)【発明者】
【氏名】圓城寺 喬
(57)【要約】
【課題】測定対象である排水の流量が大きく変動する場合であっても該排水の化学的性質を常に正しく測定可能な排水測定システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る排水測定システムは、水平方向に向けられた第1接続部22および第2接続部23と、上方向に向けられた第3接続部24とを有するT字継手20A(21)と、筒状の筐体11とその先端部12から突出した電極13とを有する化学センサ10と、電極13が測定対象である排水に浸かるように該排水を案内して貯留する排水ガイド30Aとを備えている。排水ガイド30Aは、化学センサ10の筐体11に取り付けられて先端部12を覆っている。また、化学センサ10は、排水ガイド30AがT字継手20A(21)の内部に位置するように第3接続部24に取り付けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に向けられた第1接続部および第2接続部と、上方向に向けられた第3接続部とを有するT字継手と、
筒状の筐体と、前記筐体の先端から突出した複数の電極を有する化学センサと、
前記複数の電極が測定対象である排水に浸かるように該排水を案内して貯留する排水ガイドと、
を備え、
前記排水ガイドは、前記化学センサの前記筐体に取り付けられて前記先端を覆い、
前記化学センサは、前記排水ガイドが前記T字継手の内部に位置するように前記第3接続部に取り付けられている
ことを特徴とする排水測定システム。
【請求項2】
前記排水ガイドは、
前記化学センサの前記電極に対向した水平な底板と、
前記底板の縁部の一部分に連なる、該一部分から遠ざかるにつれて上方向に向かうように延びた傾斜底板と、
前記底板の縁部の残余部分から上方向に向かって延びた側壁と、
を備え、
前記底板は、上方向に向かって突出したスペーサーピンを有し、
前記スペーサーピンの突出量は、前記電極の突出量よりも大きく、
前記側壁は、オーバーフロー穴を有し、
前記オーバーフロー穴は、前記スペーサーピンの先端よりも高い位置にある
ことを特徴とする請求項1に記載の排水測定システム。
【請求項3】
前記化学センサは、前記排水の化学的性質に関するデータを送信し続ける
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排水測定システム。
【請求項4】
前記化学センサが送信したデータを受信する判定装置をさらに備え、
前記判定装置は、前記排水が供給されているか否かに関わらず、受信したデータに基づいて前記排水の科学的性質が予め定められた基準を満たすか否かを判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の排水測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学センサを用いて排水の化学的性質を測定する排水測定システムに関し、特に、排水の流量変動に対応した排水測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図10に、複数の患者に対して人工透析を行う一般的な医療施設の概略的構成を示す。同図に示すように、このような医療施設は、複数(例えば15台)の透析装置50と、15台のうちの6台に接続された枝管60aと、4台に接続された枝管60bと、5台に接続された枝管60cと、これら3本の枝管60a,60b,60cに接続された主管80と、主幹80に設けられた一時貯留槽90とを備えている。
【0003】
枝管60a,60b,60cおよび主管80は、各透析装置50において生じた使用済み洗浄液(以下、排水という)を一時貯留槽90に送るためのものである。一時貯留槽90に送られた排水は、pH調整等の化学的処理がなされた後、化学センサを用いた測定によって予め定めた環境基準を満たしていることが確認され、一時貯留槽90から外部に排出される。なお、図中の矢印は、排水の流れを示している。
【0004】
ところで、近年、使用後にそのまま排出可能な洗浄液(すなわち、化学的処理が不要な洗浄液)の開発が進められている。このような洗浄液によれば、一時貯留槽90を不要とし、これに関するコストを低減することができる。ただし、排水が環境基準を満たしていることを担保するために、化学センサを用いた測定は従前通り行わなければならない。一時貯留槽90ではなく枝管60a,60b,60cまたは主管80で測定を行う構成としては、例えば、特許文献1に記載のT字継手を用いた構成が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6548185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、人工透析を行う医療施設に特許文献1に記載のT字継手を用いた構成をそのまま適用すると、洗浄を行っていないとき(すなわち、枝管60a,60b,60cまたは主管80を流れる排水の流量が少量またはゼロであるとき)に、化学センサが排水に接触しなくなり、化学センサが排水の化学的性質とは無関係な測定結果を出力してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、測定対象である排水の流量が大きく変動する場合であっても該排水の化学的性質を常に正しく測定可能な排水測定システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る排水測定システムは、(1)水平方向に向けられた第1接続部および第2接続部と、上方向に向けられた第3接続部とを有するT字継手と、(2)筒状の筐体と、筐体の先端から突出した複数の電極を有する化学センサと、(3)複数の電極が測定対象である排水に浸かるように該排水を案内して貯留する排水ガイドとを備え、排水ガイドは、化学センサの筐体に取り付けられて先端を覆い、化学センサは、排水ガイドがT字継手の内部に位置するように第3接続部に取り付けられている、との構成を有している。
【0009】
上記排水測定システムの排水ガイドは、例えば、化学センサの電極に対向した水平な底板と、底板の縁部の一部分に連なる該一部分から遠ざかるにつれて上方向に向かうように延びた傾斜底板と、底板の縁部の残余部分から上方向に向かって延びた側壁とを備え、底板は、上方向に向かって突出したスペーサーピンを有し、スペーサーピンの突出量は、電極の突出量よりも大きく、側壁は、オーバーフロー穴を有し、オーバーフロー穴は、スペーサーピンの先端よりも高い位置にある、との構成を有していてもよい。
【0010】
上記排水測定システムの化学センサは、排水の化学的性質に関するデータを送信し続ける、との構成を有していてもよい。
【0011】
また、上記排水測定システムは、化学センサが送信したデータを受信し、排水が供給されているか否かに関わらず、受信したデータに基づいて排水の科学的性質が予め定められた基準を満たすか否かを判定する判定装置をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、測定対象である排水の流量が大きく変動する場合であっても該排水の化学的性質を常に正しく測定可能な排水測定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施例に係る排水測定システムおよびその周辺の概略的構成を示す図である。
図2】第1実施例に係る排水測定システムを構成する化学センサの斜視図である。
図3】第1実施例に係る排水測定システムの主要部の部分断面図である。
図4】第1実施例に係る排水測定システムを構成する排水ガイドの六面図である。
図5】第1実施例に係る排水測定システムを構成する排水ガイドの断面図である。
図6】本発明の第2実施例に係る排水測定システムおよびその周辺の概略的構成を示す図である。
図7】第2実施例に係る排水測定システムの主要部の部分断面図である。
図8】第2実施例に係る排水測定システムを構成する排水ガイドの六面図である。
図9】第2実施例に係る排水測定システムを構成する排水ガイドの断面図である。
図10】排水の測定が行われる従来の医療施設の概略的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る排水測定システムの実施例について説明する。
【0015】
[第1実施例]
図1に示すように、本発明の第1実施例に係る排水測定システム1Aは、6台の透析装置50において生じた使用済み洗浄液(排水)を回収する枝管60aと、4台の透析装置50において生じた排水を回収する枝管60bと、5台の透析装置50において生じた排水を回収する枝管60cと、これら3本の枝管60a,60b,60cに接続された、施設外に通ずる主管70とを備えた医療施設において使用される。
【0016】
同図に示すように、排水測定システム1Aは、枝管60a,60b,60cのそれぞれに1つずつ設けられた化学センサ10、T字継手20Aおよび排水ガイド30Aと、判定装置40とを備えている。枝管60aに設けられた化学センサ10は、枝管60aを流れる排水の化学的性質を測定し、測定結果に関するデータを判定装置40無線で送信し続ける。他の枝管60b,60cに設けられた化学センサ10についても同様である。そして、判定装置40は、いずれかの化学センサ10からデータを受信するたびに、そのデータが示す化学的性質が予め定めた環境基準を満たしているか否かを判定する。
【0017】
枝管60a,60b,60cのそれぞれに設けられた化学センサ10、T字継手20Aおよび排水ガイド30Aは、同一の構成を有している。以下、3つの化学センサ10等を代表して、枝管60aに設けられた化学センサ10等について詳しく説明する。
【0018】
化学センサ10は、排水のpHを測定するpHセンサであり、図2に示すように、先端部12を有する筒状の第1筐体11と、第1筐体11の後端に接続された箱状の第2筐体16と、先端部12から突出したガラス電極(ガラス応答膜)13、比較電極14および補償用温度センサ15とを備えている。これらの突出量は、いずれも約1mmである。ガラス電極13は概ね球状を有しているが、その半分以上は先端部12に埋まっている。したがって、ガラス電極13の先端部12から突出した部分は、半球状を有している。
【0019】
第1筐体11は、ガラス電極13の内部液を収容する区画、比較電極14の内部液を収容する区画および基準電極等を収容している。
【0020】
第2筐体16は、測定結果(pH)に関するデータを無線で送信する電子回路およびこの電子回路を作動させるための電源等を収容している。
【0021】
T字継手20Aは、図3に示すように、継手本体21およびキャップ25Aで構成されている。継手本体21は、第1接続部22、第2接続部23および第3接続部24を有している。キャップ25Aは、化学センサ10の第1筐体11と同径のセンサ挿入口26を有し、継手本体21の第3接続部24に取り付けられている。
【0022】
継手本体21は、第1接続部22が枝管60aに接続されるとともに第2接続部23が主管70に接続されている。このため、枝管60a(上流)から流れてきた排水は、継手本体21の内部を通過して主管70(下流)に流れていく。
【0023】
継手本体21の第1接続部22および第2接続部23は、水平方向に向けられている。ただし、用語「水平方向」は、排水をスムーズに流すために、上下方向に僅かに傾けた方向を含むものとする。つまり、継手本体21の第1接続部22は僅かに上方向を向いていてもよいし、継手本体21の第2接続部23は僅かに下方向を向いていてもよい。
【0024】
継手本体21の第3接続部24は、水平方向に直交する方向、すなわち上方向に向けられている。上下方向に僅かに傾いた方向が用語「水平方向」に含まれるのと同様に、用語「上方向」は、水平方向に僅かに傾いた方向を含むものとする。
【0025】
既存の配管を流れる排水を測定する場合は、その既存の配管を切断し、切断により生じた2本の配管(60a,70)の間に継手本体21を割り込ませればよい。
【0026】
排水ガイド30Aは、化学センサ10のガラス電極13、比較電極14および補償用温度センサ15が排水に常に浸かるように排水を案内して貯留するためのものである。図3に示すように、排水ガイド30Aは、化学センサ10の第1筐体11に取り付けられ、第1筐体11の先端部12を覆っている。また、化学センサ10の第1筐体11は、排水ガイド30Aのガイド部(後述)の大半が水位Hを有する排水に浸かるようにセンサ挿入口26に挿入されている。
【0027】
排水ガイド30Aは、図4および図5に示すように、第1筐体11に取り付けるための取付部31と、排水を案内して貯留するためのガイド部33Aとを備えている。
【0028】
排水ガイド30Aの取付部31は、特に図4(E)に示すように、化学センサ10の第1筐体11の外径に等しい内径Dを有するリング状を有している。取付部31は、特に図4(B),(D)に示すように、ネジ穴32を含んでいる。取付部31に第1筐体11を奥まで挿入した後に、ネジ穴32にネジを挿入することにより、第1筐体11(化学センサ10)に取付部31(排水ガイド30A)を位置ずれしないようにしっかりと固定することができる。
【0029】
排水ガイド30Aのガイド部33Aは、半円状を有する水平な底板35Aと、底板35Aの縁部の一部分(具体的には、上流側を向いた直線状の縁部)に連なる、当該一部分から遠ざかるにつれて(上流に向かうにつれて)上方向に向かうように延びた傾斜底板36Aと、この傾斜底板36Aの上端に連なる、当該上端から遠ざかるにつれて(上流に向かうにつれて)下方向に向かうように延びた逆傾斜底板38Aと、底板35Aの縁部の残余部分(具体的には、下流側を向いた円弧状の縁部)から取付部31に至るまで上方向に向かって延びた側壁37Aとを備えている。
【0030】
底板35Aは、上方向に向かって突出した2本のスペーサーピン39A,39Aを有している。スペーサーピン39A,39Aの突出量H39は、約3mmである。このため、スペーサーピン39A,39Aが化学センサ10の先端部12に当接したとき、先端部12と底板35Aとの間には約3mmの隙間ができる。また、前述した通り、先端部12からのガラス電極13等の突出量は約1mmなので、排水ガイド30Aを化学センサ10に取り付けるときに、機械的に脆弱なガラス電極13等が底板35Aに衝突して破損することはない。
【0031】
側壁37Aは、下流側に向かって開口したオーバーフロー穴34Aを有している。オーバーフロー穴34Aと底板35Aの間の上下方向における距離、すなわちオーバーフロー穴34Aの高さH34は、スペーサーピン39A,39Aの突出量H39よりも大きく、約7mmである。
【0032】
傾斜底板36Aおよび逆傾斜底板38Aからなる山の頂部と底板35Aの間の上下方向における距離、すなわち山の高さH36は、オーバーフロー穴34Aの高さH34に概ね等しく、約7mmである。
【0033】
図3および図5から理解されるように、ガイド部33Aの大半が浸かるような水位Hを有する排水が上流から流れてくると、排水は、逆傾斜底板38A側から排水ガイド30Aの内部に進入し、逆傾斜底板38Aおよび傾斜底板36Aからなる山を乗り越え、スペーサーピン39A,39Aによって形成された高さ約3mmの隙間を通って側壁37Aに到達する。そして、底板35A上の排水の水位がH34(≒H36)を超えると、超えた分はオーバーフロー穴34Aを通って排水ガイド30Aの外部に排出される。その後、ガイド部33Aが浸からない程度にまで流れてくる排水の水位Hが低下しても、底板35A上の排水の水位はH34(≒H36)に維持される。
【0034】
このように、排水ガイド30Aは、[A1]上流から流れてきた排水を化学センサ10の先端部12に対向した底板35A上に案内し、底板35A上の排水の水位をガラス電極13等が排水に浸かる程度にまで上昇させる役割と、[A2]底板35A上に溜まった排水の水位を維持し、ガラス電極13等を排水に浸け続ける役割とを有している。
【0035】
したがって、本実施例に係る排水測定システム1Aによれば、排水が流れていないとき、すなわち透析装置50の洗浄を行っていないときに、化学センサ10が排水の化学的性質とは無関係なデータを送信することが防がれる。
【0036】
[第2実施例]
図6に示すように、本発明の第2実施例に係る排水測定システム1Bは、6台の透析装置50において生じた使用済み洗浄液(排水)を回収する枝管60aと、4台の透析装置50において生じた排水を回収する枝管60bと、5台の透析装置50において生じた排水を回収する枝管60cと、これら3本の枝管60a,60b,60cに接続された、施設外に通ずる主管71,72,73,74とを備えた医療施設において使用される。
【0037】
同図に示すように、排水測定システム1Bは、枝管60a,60b,60cのそれぞれに1つずつ設けられた化学センサ10、T字継手20Bおよび排水ガイド30Bと、判定装置40とを備えている。枝管60aに設けられた化学センサ10は、枝管60aを流れる排水の化学的性質を測定し、測定結果に関するデータを判定装置40に無線で送信し続ける。他の枝管60b,60cに設けられた化学センサ10についても同様である。そして、判定装置40は、いずれかの化学センサ10からデータを受信するたびに、そのデータが示す化学的性質が予め定めた環境基準を満たしているか否かを判定する。なお、主幹71には、別の排水(測定対象ではない排水)も流れ込んでくるようになっている。
【0038】
枝管60a,60b,60cのそれぞれに設けられた化学センサ10、T字継手20Bおよび排水ガイド30Bは、同一の構成を有している。以下、3つの化学センサ10等を代表して、枝管60aに設けられた化学センサ10等について詳しく説明する。
【0039】
化学センサ10は、第1実施例における化学センサ10と同一の構成を有する、排水のpHを測定するpHセンサである。
【0040】
T字継手20Bは、図7に示すように、継手本体21およびキャップ25Bで構成されている。継手本体21は、第1実施例における継手本体21と同一の構成を有している。キャップ25Bは、化学センサ10の第1筐体11と同径のセンサ挿入口27および枝管60aと同径の配管挿入口28を有し、継手本体21の第3接続部24に取り付けられている。
【0041】
継手本体21は、第1接続部22が主管71に接続されるとともに第2接続部23が主管72に接続されている。このため、主管71(上流)から流れてきた別の排水は、継手本体21の内部を通過して主管72(下流)に流れていく。
【0042】
また、継手本体21は、第3接続部24がキャップ25Bを介して枝管60aに接続されている。このため、枝管60a(上流)から流れてきた測定対象である排水も、継手本体21の内部を通過して主管72(下流)に流れていく。
【0043】
継手本体21の第1接続部22および第2接続部23は、水平方向に向けられている。また、継手本体21の第3接続部24は、上方向に向けられている。用語「水平方向」および「上方向」がある程度の幅を持っている点については、第1実施例と同様である。
【0044】
排水ガイド30Bは、化学センサ10のガラス電極13、比較電極14および補償用温度センサ15が測定対象である排水に常に浸かるように排水を案内して貯留するためのものである。図7に示すように、排水ガイド30Bは、化学センサ10の第1筐体11に取り付けられ、第1筐体11の先端部12を覆っている。また、化学センサ10の第1筐体11は、排水ガイド30Bが別の排水に浸からないようにセンサ挿入口26に挿入されている。つまり、排水ガイド30Bは、第1実施例の排水ガイド30Aよりも高い位置に設置されている。
【0045】
排水ガイド30Bは、図8および図9に示すように、第1実施例における取付部31と同一の構成を有する取付部31と、排水を案内して貯留するためのガイド部33Bとを備えている。
【0046】
排水ガイド30Bのガイド部33Bは、半円状を有する水平な底板35Bと、底板35Bの縁部の一部分(具体的には、上流側を向いた直線状の縁部)に連なる、当該一部分から遠ざかるにつれて(別の排水の上流に向かうにつれて)上方向に緩やかに向かうように延びた傾斜底板36Bと、底板35Bの縁部の残余部分(具体的には、下流側を向いた円弧状の縁部)から取付部31に至るまで上方向に向かって延びた第1側壁37Bと、傾斜底板36Bの上端に連なる、上方向に向かって延びた第2側壁38Bとを備えている。また、傾斜底板36Bの上方は開放されている。
【0047】
底板35Bは、上方向に向かって突出した2本のスペーサーピン39B,39Bを有している。スペーサーピン39B,39Bの突出量H39は、約3mmである。このため、スペーサーピン39B,39Bが化学センサ10の先端部12に当接したとき、先端部12と底板35Bとの間には約3mmの隙間ができる。第1実施例と同様、排水ガイド30Bを化学センサ10に取り付けるときに、機械的に脆弱なガラス電極13等が底板35Bに衝突して破損することはない。
【0048】
第1側壁37Bは、下流側に向かって開口したオーバーフロー穴34Bを有している。オーバーフロー穴34Bと底板35Bの間の上下方向における距離、すなわちオーバーフロー穴34Bの高さH34は、スペーサーピン39B,39Bの突出量H39よりも大きく、約7mmである。
【0049】
第2側壁38Bの上端と底板35Bの間の上下方向における距離、すなわち第2側壁38Bの高さH38は、オーバーフロー穴34Bの高さH34よりも大きく、約11mmである。
【0050】
図7および図9から理解されるように、枝管60a(上流)から流れてきた測定対象である排水は、傾斜底板36Bの真上から排水ガイド30Bの内部に進入し、傾斜底板36Bをつたって流れ落ち、スペーサーピン39B,39Bによって形成された高さ約3mmの隙間を通って第1側壁37Bに到達する。そして、底板35B上の排水の水位がH34(<H38)を超えると、超えた分はオーバーフロー穴34Bを通って排水ガイド30Bの外部に排出される。その後、枝管60a(上流)から測定対象である排水が流れてこなくなっても、底板35B上の排水の水位はH34に維持される。
【0051】
このように、排水ガイド30Bは、[B1]上流から流れてきた測定対象である排水を化学センサ10の先端部12に対向した底板35B上に案内し、底板35B上の排水の水位をガラス電極13等が排水に浸かる程度にまで上昇させる役割と、[B2]底板35B上に溜まった排水の水位を維持し、ガラス電極13等を排水に浸け続ける役割とを有している。
【0052】
したがって、本実施例に係る排水測定システム1Bによれば、第1実施例と同様、測定対象である排水が流れていないとき、すなわち透析装置50の洗浄を行っていないときに、化学センサ10が排水の化学的性質とは無関係なデータを送信することが防がれる。
【0053】
以上、本発明に係る排水測定システムの実施例について説明してきたが、本発明の構成はこれに限定されるものではない。
【0054】
[変形例]
例えば、第1実施例の排水ガイド30Aは、上記[A1]および[A2]の機能を有する限りにおいて適宜変更された構成を有していてもよい。同様に、第2実施例の排水ガイド30Bも、上記[B1]および[B2]の機能を有する限りにおいて適宜変更された構成を有していてもよい。
【0055】
また、各実施例に係る排水測定システム1A,1Bは、使用済みの洗浄液以外の排水を測定するために使用されてもよい。
【0056】
また、各実施例の化学センサ10は、pH以外の化学的性質を測定してもよい。
【0057】
また、各実施例の化学センサ10は、測定結果に関するデータを判定装置に有線で送信してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1A,1B 排水測定システム
10 化学センサ
11 第1筐体
12 先端部
13 ガラス電極
14 比較電極
15 補償用温度センサ
16 第2筐体
20A,20B T字継手
21 継手本体
22 第1接続部
23 第2接続部
24 第3接続部
25A,25B キャップ
26,27 センサ挿入口
28 配管挿入口
30A,30B 排水ガイド
31 取付部
32 ネジ穴
33A,33B ガイド部
34A,34B オーバーフロー穴
35A,35B 底板
36A,36B 傾斜底板
37A,37B 側壁(第1側壁)
38A 逆傾斜底板
38B 第2側壁
39A,39B スペーサーピン
40 判定装置
50 透析装置
60a,60b,60c 枝管
70,71,72,73,74 主管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10