IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-距離画像撮像装置 図1
  • 特開-距離画像撮像装置 図2
  • 特開-距離画像撮像装置 図3
  • 特開-距離画像撮像装置 図4
  • 特開-距離画像撮像装置 図5
  • 特開-距離画像撮像装置 図6
  • 特開-距離画像撮像装置 図7
  • 特開-距離画像撮像装置 図8
  • 特開-距離画像撮像装置 図9
  • 特開-距離画像撮像装置 図10
  • 特開-距離画像撮像装置 図11
  • 特開-距離画像撮像装置 図12
  • 特開-距離画像撮像装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140448
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】距離画像撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20230928BHJP
   G01S 7/4863 20200101ALI20230928BHJP
   G01S 17/894 20200101ALI20230928BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20230928BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G01S7/497
G01S7/4863
G01S17/894
G01S7/481 A
G01C3/06 120Q
G01C3/06 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046293
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聡
(72)【発明者】
【氏名】山本 和人
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA06
2F112CA12
2F112DA28
2F112EA05
2F112FA03
2F112FA07
2F112FA21
2F112FA23
2F112FA45
2F112FA50
2F112GA01
5J084AA04
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA05
5J084BA20
5J084BA36
5J084BA40
5J084CA03
5J084CA20
5J084CA31
5J084DA05
5J084EA12
(57)【要約】
【課題】光源以外のセンサ部分に設けた温度センサにより測定した温度を使用して容易に且つ精度よく距離を補正する。
【解決手段】光源部と、受光した光量に応じた電荷を発生する光電変換素子と、フレーム周期において前記電荷を蓄積するN個(N≧3)の電荷蓄積部、及び前記電荷を排出する電荷排出部とを有する複数の画素回路と、前記光パルスの照射に同期した蓄積タイミングで前記電荷蓄積部の各々に前記光電変換素子で発生した前記電荷を振分けて蓄積させ、前記蓄積タイミングでない期間に前記電荷排出部に前記電荷を排出させる画素駆動回路と、を有する受光部と、距離演算部と、前記受光部または前記距離演算部のいずれかである非光源部に設けられた温度センサと、前記光源部と、前記非光源部との温度差を小さくするための機構と、を備え、前記距離演算部は、前記温度センサによって測定された温度を用いて、前記計算した距離を補正する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象である測定空間に光パルスを照射する光源部と、
受光した光量に応じた電荷を発生する光電変換素子と、フレーム周期において前記電荷を蓄積するN個(N≧3)の電荷蓄積部、及び前記電荷を排出する電荷排出部とを有する複数の画素回路と、前記光パルスの照射に同期した蓄積タイミングで前記電荷蓄積部の各々に前記光電変換素子で発生した前記電荷を振分けて蓄積させ、前記蓄積タイミングでない期間に前記電荷排出部に前記電荷を排出させる画素駆動回路と、を有する受光部と、
前記電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量のそれぞれに基づく電荷比から被写体と前記受光部との距離の計算を行う距離演算部と、
前記受光部または前記距離演算部のいずれかである非光源部に設けられた温度センサと、
前記光源部と、前記非光源部との温度差を小さくするための機構と、
を備え、
前記距離演算部は、前記温度センサによって測定された温度を用いて、前記計算した距離を補正する
距離画像撮像装置。
【請求項2】
前記機構は、前記光源部において発生した熱を、前記非光源部における前記温度センサの近傍に伝導する
請求項1に記載の距離画像撮像装置。
【請求項3】
前記機構は、前記光源部と前記非光源部を接続する熱伝導体である
請求項1に記載の距離画像撮像装置。
【請求項4】
前記光源部は、熱を放熱する放熱板を有し、
前記機構は、前記放熱板と前記非光源部を接続する熱伝導体である
請求項1に記載の距離画像撮像装置。
【請求項5】
前記光源部は、光源を複数有し、
前記機構は、前記複数の光源のうち第1光源と前記非光源部を接続する第1熱伝導体と、前記複数の光源のうち第1光源とは異なる第2光源と前記非光源部を接続する第2熱伝導体であり、
前記第1熱伝導体と前記第2熱伝導体とは、前記非光源部までの熱伝導経路の長さが同等となるように配置される
請求項1に記載の距離画像撮像装置。
【請求項6】
前記光源部と前記非光源部とが同一基板に配置され、
前記機構は、前記光源部と前記非光源部を接続する熱伝導体である
請求項1に記載の距離画像撮像装置。
【請求項7】
前記受光部において前記複数の画素回路が二次元的に配置され、
前記温度センサは、前記受光部に二次元的に配置された前記複数の画素回路の列又は行に沿って配置され、
前記距離演算部は、前記複数の画素回路の列又は行ごとに前記電荷蓄積部の各々に蓄積された電荷量に応じた画素信号を取得し、前記画素信号を取得した列又は行に前記温度センサが配置されている場合、前記温度センサに測定された温度に応じた温度信号を取得する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の距離画像撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離画像撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光の速度が既知であることを利用し、空間(測定空間)における光の飛行時間に基づいて測定器と対象物との距離を測定する、タイム・オブ・フライト(Time of Flight、以下「TOF」という)方式の距離画像撮像装置が実現されている(例えば、特許文献1参照)。このような距離画像撮像装置では、光パルスを照射した時点から被写体に反射した光パルスが戻ってくるまでの遅延時間を光電変換素子が発生した電荷を複数の電荷蓄積部に蓄積させることによって求め、遅延時間と光速とを用いて被写体までの距離を計算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4235729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ショートパルス方式(以下、SP方式)では、光パルスを照射したタイミング、反射した光パルスが受光されたタイミング、受光した光量に応じた電荷を蓄積させるタイミング(振り分けタイミング)、電荷を蓄積させた時間(振り分け期間)によって距離が決定される。距離の測定においては、光源の起動及び停止を長時間繰り返す必要がある。長時間光源の起動及び停止を繰り返すことにより、光源の温度が上昇する。光源の温度が上昇すると、照射する光パルスのタイミングや形状に変化が起こる。また、距離画像撮像装置を長時間起動させることにより、距離画像撮像装置における環境温度に変化が発生する。環境温度が変化することにより、光源以外のセンサ部分、例えば、電荷を蓄積させる距離画像センサ(距離画像撮像素子)や、距離画像センサに電荷を蓄積させるタイミングを制御するセンサ制御基板などが影響を受け、電荷を蓄積させる信号のタイミングや形状に変化が起こる。このため、光源及びセンサ部分のそれぞれが別々に影響を受け、電荷蓄積部に蓄積させる電荷量に誤差が生じ、計算して求めた距離に誤差が生じてしまう。
【0005】
この対策として光源及びセンサ部分の両方又は一方に温度センサを設け、それぞれの温度センサにより測定された温度に基づいて、計算により求めた距離を補正することが考えられる。しかし、一方のみに温度センサを設けた場合には、温度センサを設けていない方の影響を考慮した補正を行うことができず、両方に温度センサを設けた場合には補正が複雑になってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、光源以外のセンサ部分に設けた温度センサにより測定した温度を使用して容易に且つ精度よく距離を補正することができる距離画像撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の距離画像撮像装置は、測定対象である測定空間に光パルスを照射する光源部と、受光した光量に応じた電荷を発生する光電変換素子と、フレーム周期において前記電荷を蓄積するN個(N≧3)の電荷蓄積部、及び前記電荷を排出する電荷排出部とを有する複数の画素回路と、前記光パルスの照射に同期した蓄積タイミングで前記電荷蓄積部の各々に前記光電変換素子で発生した前記電荷を振分けて蓄積させ、前記蓄積タイミングでない期間に前記電荷排出部に前記電荷を排出させる画素駆動回路と、を有する受光部と、前記電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量のそれぞれに基づく電荷比から被写体と前記受光部との距離の計算を行う距離演算部と、前記受光部または前記距離演算部のいずれかである非光源部に設けられた温度センサと、前記光源部と、前記非光源部との温度差を小さくするための機構と、を備え、前記距離演算部は、前記温度センサによって測定された温度を用いて、前記計算した距離を補正する。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、光源以外のセンサ部分に設けた温度センサにより測定した温度を使用して容易に且つ精度よく距離を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態の距離画像撮像装置1の構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態の距離画像センサ32の構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態の画素回路321の構成の例を示す回路図である。
図4】第1の実施形態における距離画像撮像装置1の構成要素の配置の例を示す図である。
図5】第2の実施形態における距離画像撮像装置1の構成要素の配置の例を示す図である。
図6】第2の実施形態における距離画像撮像装置1の放熱板120の例を示す図である。
図7】第3の実施形態における距離画像撮像装置1の構成要素の配置の例を示す図である。
図8】第4の実施形態における距離画像撮像装置1の構成要素の配置の例を示す図である。
図9】第5の実施形態における距離画像撮像装置1の構成要素の配置の例を示す図である。
図10】実施形態の距離画像撮像装置1が行う補正を説明する図である。
図11】実施形態の距離画像撮像装置1が行う補正を説明する図である。
図12】実施形態の距離画像撮像装置1が行う補正を説明する図である。
図13】実施形態の変形例における距離画像センサ32の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、距離画像撮像装置1の概略構成を示したブロック図である。距離画像撮像装置1は、光源部2と、受光部3と、距離画像処理部4とを備える。なお、図1には、距離画像撮像装置1において距離を測定する対象物である被写体Sも併せて示している。距離画像撮像素子は、例えば、受光部3における距離画像センサ32(後述)である。
【0011】
光源部2は、距離画像処理部4からの制御に従って、距離画像撮像装置1において距離を測定する対象の被写体Sが存在する撮影対象の空間に光パルスPOを照射する。光源部2は、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)などの面発光型の半導体レーザーモジュールである。光源部2は、光源装置21と、拡散板22とを備える。
【0012】
光源装置21は、被写体Sに照射する光パルスPOとなる近赤外の波長帯域(例えば、波長が850nm~940nmの波長帯域)のレーザー光を発光する光源である。光源装置21は、例えば、半導体レーザー発光素子である。光源装置21は、タイミング制御部41からの制御に応じて、パルス状のレーザー光を発光する。
拡散板22は、光源装置21が発光した近赤外の波長帯域のレーザー光を、被写体Sに照射する面の広さに拡散する光学部品である。拡散板22が拡散したパルス状のレーザー光が、光パルスPOとして出射され、被写体Sに照射される。
【0013】
受光部3は、距離画像撮像装置1において距離を測定する対象の被写体Sによって反射された光パルスPOの反射光RLを受光し、受光した反射光RLに応じた画素信号を出力する。受光部3は、レンズ31と、距離画像センサ32とを備える。
レンズ31は、入射した反射光RLを距離画像センサ32に導く光学レンズである。レンズ31は、入射した反射光RLを距離画像センサ32側に出射して、距離画像センサ32の受光領域に備えた画素回路に受光(入射)させる。
【0014】
距離画像センサ32は、距離画像撮像装置1に用いられる撮像素子である。距離画像センサ32は、二次元の受光領域に複数の画素を備える。距離画像センサ32のそれぞれの画素回路(画素回路321)の中に、1つの光電変換素子と、この1つの光電変換素子に対応する複数の電荷蓄積部と、それぞれの電荷蓄積部に電荷を振り分ける構成要素とが設けられる。
【0015】
距離画像センサ32は、タイミング制御部41からの制御に応じて、光電変換素子が発生した電荷をそれぞれの電荷蓄積部に振り分ける。また、距離画像センサ32は、電荷蓄積部に振り分けられた電荷量に応じた画素信号を出力する。距離画像センサ32には、複数の画素回路が二次元の行列状に配置されており、それぞれの画素回路の対応する1フレーム分の画素信号を出力する。
【0016】
距離画像処理部4は、距離画像撮像装置1を制御し、被写体Sまでの距離を演算する。距離画像処理部4は、タイミング制御部41と、距離演算部42とを備える。
タイミング制御部41は、距離の測定に要する様々な制御信号を出力するタイミングを制御する。ここでの様々な制御信号とは、例えば、光パルスPOの照射を制御する信号や、反射光RLを複数の電荷蓄積部に振り分ける信号、1フレームあたりの振り分け回数を制御する信号などである。振り分け回数とは、電荷蓄積部CS(図3参照)に電荷を振り分ける処理を繰返す回数である。
【0017】
距離演算部42は、距離画像センサ32から出力された画素信号に基づいて、被写体Sまでの距離を演算した距離情報を出力する。距離演算部42は、複数の電荷蓄積部CSに蓄積された電荷量に基づいて、光パルスPOを照射してから反射光RLを受光するまでの遅延時間Tdを算出する。距離演算部42は、算出した遅延時間Tdに応じて、距離画像撮像装置1から被写体Sまでの距離を演算する。
【0018】
このような構成によって、距離画像撮像装置1では、光源部2が被写体Sに照射した近赤外の波長帯域の光パルスPOが被写体Sによって反射された反射光RLを受光部3が受光し、距離画像処理部4が、被写体Sと距離画像撮像装置1との距離を測定した距離情報を出力する。
なお、図1においては、距離画像処理部4を内部に備えた構成の距離画像撮像装置1を示しているが、距離画像処理部4は、距離画像撮像装置1の外部に備える構成要素であってもよい。
【0019】
次に、距離画像撮像装置1において撮像素子として用いられる距離画像センサ32の構成について説明する。図2は、撮像素子(距離画像センサ32)の概略構成を示したブロック図である。
図2に示すように、距離画像センサ32は、例えば、複数の画素回路321が配置された受光領域320と、制御回路322(画素駆動回路)と、振り分け動作を有した垂直走査回路323と、水平走査回路324と、画素信号処理回路325と、温度センサ326を備える。
【0020】
受光領域320は、複数の画素回路321が配置された領域であって、図2では、8行8列に二次元の行列状に配置された例を示している。画素回路321は、受光した光量に相当する電荷を蓄積する。制御回路322は、例えば、距離画像処理部4のタイミング制御部41からの指示に応じて、距離画像センサ32の構成要素の動作を制御する。
【0021】
垂直走査回路323は、制御回路322からの制御に応じて、受光領域320に配置された画素回路321を行ごとに制御する回路である。垂直走査回路323は、画素回路321の電荷蓄積部CSそれぞれに蓄積された電荷量に応じた電圧信号を画素信号処理回路325に出力させる。
【0022】
画素信号処理回路325は、制御回路322からの制御に応じて、それぞれの列の画素回路321から出力された電圧信号に対して、予め定めた信号処理(例えば、ノイズ抑圧処理やA/D変換処理など)を行う。
水平走査回路324は、制御回路322からの制御に応じて、画素信号処理回路325から出力される信号を、順次、時系列に出力させる回路である。これにより、1フレーム分蓄積された電荷量に相当する画素信号が、距離画像処理部4に順次出力される。以下の説明においては、画素信号処理回路325がA/D変換処理を行い、画素信号がデジタル信号であるものとして説明する。
【0023】
温度センサ326は、温度を測定する。温度センサ326は、制御回路322又は距離画像処理部4からの制御に応じて、測定した温度を距離画像処理部4に出力する。なお、ここでは、距離画像センサ32が温度センサ326を備える構成について説明したがこれに限定されない。温度センサ326は、光源部2でないセンサ部分、例えば、距離画像処理部4に設けられていてもよい。この場合、温度センサ326は、距離画像処理部4からの制御に応じて、測定した温度を距離画像処理部4に出力する。
【0024】
ここで、距離画像センサ32に備える受光領域320内に配置された画素回路321の構成について説明する。図3は、画素回路321の構成の一例を示した回路図である。図3の画素回路321は、4つの画素信号読み出し部を備えた構成例である。
【0025】
画素回路321は、1つの光電変換素子PDと、電荷排出トランジスタGD(後述するGD1、GD2)と、対応する出力端子Oから電圧信号を出力する4つの画素信号読み出し部RU(RU1からRU4)とを備える。画素信号読み出し部RUのそれぞれは、転送トランジスタGと、フローティングディフュージョンFDと、電荷蓄積容量Cと、リセットトランジスタRTと、ソースフォロアトランジスタSFと、選択トランジスタSLとを備える。フローティングディフュージョンFDと電荷蓄積容量Cとは、電荷蓄積部CSを構成している。
【0026】
図3に示した画素回路321において、出力端子O1から電圧信号を出力する画素信号読み出し部RU1は、転送トランジスタG1と、フローティングディフュージョンFD1と、電荷蓄積容量C1と、リセットトランジスタRT1と、ソースフォロアトランジスタSF1と、選択トランジスタSL1とを備える。画素信号読み出し部RU1では、フローティングディフュージョンFD1と電荷蓄積容量C1とによって電荷蓄積部CS1が構成されている。画素信号読み出し部RU2からRU4も同様の構成である。
【0027】
光電変換素子PDは、入射した光を光電変換して、入射した光(入射光)に応じた電荷を発生させ、発生させた電荷を蓄積する埋め込み型のフォトダイオードである。本実施形態においては、入射光は測定対象の空間から入射される。
画素回路321では、光電変換素子PDが入射光を光電変換して発生させた電荷を4つの電荷蓄積部CS(CS1からCS4)のそれぞれに振り分け、振り分けられた電荷の電荷量に応じたそれぞれの電圧信号を、画素信号処理回路325に出力する。
また、距離画像センサ32に配置される画素回路の構成は、図3に示したような、4つの画素信号読み出し部RU(RU1からRU4)を備えた構成に限定されるものではなく、画素信号読み出し部RUが2M(Mは整数であり、M≧2)個以上の複数の画素信号読み出し部RUを備えた構成の画素回路でもよい。すなわち、2M(Mは整数であり、M≧2)個以上の転送トランジスタGが備えられた構成の画素回路でもよい。
【0028】
上記距離画像撮像装置1の画素回路321の駆動において、光パルスPOが照射時間Toで照射され、遅延時間Td遅れて反射光RLが距離画像センサ32に受光される。垂直走査回路323は、光パルスPOの照射に同期させて、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の順に、光電変換素子PDに発生する電荷を振り替えて、それぞれに蓄積させる。
このとき、垂直走査回路323は、光電変換素子PDから電荷を電荷蓄積部CS1に転送する転送経路上に設けられた転送トランジスタG1をオン状態にする。これにより、光電変換素子PDにより光電変換された電荷が、転送トランジスタG1を介して電荷蓄積部CS1に蓄積される。その後、垂直走査回路323は、転送トランジスタG1をオフ状態にする。これにより、電荷蓄積部CS1への電荷の転送が停止される。このようにして、垂直走査回路323は、電荷蓄積部CS1に電荷を蓄積させる。電荷蓄積部CS2からCS4においても同様である。
【0029】
このとき、電荷蓄積部CSに電荷の振り分けを行なう電荷蓄積期間において、蓄積駆動信号TX1からTX4の各々が、転送トランジスタG1からG4それぞれに供給される蓄積周期が繰返される。
そして、転送トランジスタG1からG4の各々を介して、電荷蓄積部CS1からCS4それぞれに、光電変換素子PDから入射光に対応した電荷が転送される。電荷蓄積期間に複数の蓄積周期が繰返される。
これにより、電荷蓄積期間における電荷蓄積部CS1からCS4の各々の蓄積周期毎に、電荷蓄積部CS1からCS4それぞれに電荷が蓄積される。
【0030】
また、垂直走査回路323は、電荷蓄積部CS1からCS4の各々の蓄積周期を繰返す際、電荷蓄積部CS4に対する電荷の転送(振替)が終了した後、光電変換素子PDから電荷を排出する排出経路上に設けられた電荷排出トランジスタGDをオンさせる。
これにより、電荷排出トランジスタGDは、電荷蓄積部CS1に対する蓄積周期が開始される前に、直前の電荷蓄積部CS4の蓄積周期の後に光電変換素子PDに発生した電荷を破棄する(すなわち、光電変換素子PDをリセットさせる)。
【0031】
そして、垂直走査回路323は、受光領域320内に配置された全ての画素回路321の各々から、それぞれ電圧信号を画素信号処理回路325に、画素回路321の行(横方向の配列)単位で順次出力させる。
そして、画素信号処理回路325は、入力される電圧信号の各々に対してA/D変換処理などの信号処理を行ない、水平走査回路324に対して出力する。
水平走査回路324は、信号処理を行った後の電圧信号を、受光領域320の列の順番に、順次、距離演算部42に出力させる。
【0032】
上述したような、垂直走査回路323による電荷蓄積部CSへ電荷の蓄積と光電変換素子PDが光電変換した電荷の破棄とが、1フレームに渡って繰り返し行われる。これにより、所定の時間区間に距離画像撮像装置1に受光された光量に相当する電荷が、電荷蓄積部CSのそれぞれに蓄積される。水平走査回路324は、電荷蓄積部CSのそれぞれに蓄積された、1フレーム分の電荷量に相当する電気信号を、距離演算部42に出力する。
【0033】
光パルスPOを照射するタイミングと、電荷蓄積部CS(CS1からCS4)のそれぞれに電荷を蓄積させるタイミングとの関係から、電荷蓄積部CS1には、光パルスPOを照射する前の背景光などの外光成分に相当する電荷量が保持される。また、電荷蓄積部CS2、CS3及びCS4には、反射光RL、及び外光成分に相当する電荷量が振り分けられて保持される。電荷蓄積部CS2及びCS3、あるいは電荷蓄積部CS3及びCS4に振り分けられる電荷量の配分(振り分け比率)は、光パルスPOが被写体Sに反射して距離画像撮像装置1に入射されるまでの遅延時間Tdに応じた比率となる。
【0034】
距離演算部42は、この原理を利用して、以下の(1)あるいは(2)式により、遅延時間Tdを算出する。
Td=To×(Q3-Q1)/(Q2+Q3-2×Q1) …(1)
Td=To+To×(Q4-Q1)/(Q3+Q4-2×Q1) …(2)
ここで、Toは光パルスPOが照射された期間、Q1は電荷蓄積部CS1に蓄積された電荷量、Q2は電荷蓄積部CS2に蓄積された電荷量、Q3は電荷蓄積部CS3に蓄積された電荷量、Q4は電荷蓄積部CS4に蓄積された電荷量を示す。距離演算部42は、例えば、Q4=Q1である場合、(1)式で遅延時間Tdを算出し、一方、Q2=Q1である場合、(2)式で遅延時間Tdを算出する。
【0035】
(1)式においては、電荷蓄積部CS2及びCS3には反射光により発生された電荷が蓄積されるが、電荷蓄積部CS4には蓄積されない。一方、(2)式においては、電荷蓄積部CS3及びCS4には反射光により発生された電荷が蓄積されるが、電荷蓄積部CS2には蓄積されない。
なお、(1)式あるいは(2)式では、電荷蓄積部CS2、CS3及びCS4に蓄積される電荷量のうち、外光成分に相当する成分が、電荷蓄積部CS1に蓄積された電荷量と同量であることを前提とする。
【0036】
距離演算部42は、(1)式あるいは(2)式で求めた遅延時間に、光速(速度)を乗算させることにより、被写体Sまでの往復の距離を算出する。
そして、距離演算部42は、上記で算出した往復の距離を1/2とすることにより、被写体Sまでの距離を求める。
【0037】
図4は、第1の実施形態における距離画像撮像装置1の構成要素の配置の例を示す図である。ここでの構成要素は、レンズ31、光源装置21、センサ基板32A、及びセンサ制御基板4Aである。センサ基板32Aは距離画像センサ32が配置された基板である。センサ制御基板4Aは、距離画像センサ32を制御する機能、すなわち距離画像処理部4が配置された基板である。図4には、距離画像撮像装置1の構成要素が筐体に収容された様子が側面視にて模式的に示されている。
【0038】
図4に示すように、光源装置21は、レンズ31を囲むように配置される。光源装置21は、複数の光源21A(光源21A-1、光源21A-2)と光源基板21Bからなる。複数の光源21Aの各々は、光源基板21Bに配置され、レンズ31の光軸に対して点対象となるように配置される。
センサ基板32Aには、レンズ31に受光された光が、距離画像センサ32の画素回路321における光電変換素子PDに入射されるように、距離画像センサ32が配置されている。
センサ制御基板4Aは、センサ基板32Aと同じ基板であるか、或いは、センサ基板32Aに近接して配置されている。
光源基板21Bとセンサ基板32Aとは物理的に離れた位置に配置されている。
【0039】
本実施形態の距離画像撮像装置1は、光源部2と、非光源部との温度差を小さくするための機構を備える。ここでの非光源部とは受光部3及び距離画像処理部4の少なくとも一方である。このような温度差を小さくするための機構を備えることにより、光源部2と非光源部との温度差を小さくして、光源部2と非光源部とをほぼ同じ温度に維持する。したがって、非光源部(例えば、受光部3)に設けた温度センサによって測定された温度に基づいて、距離画像処理部4が計算により求めた距離を補正する場合において、光源部2における温度の影響を考慮した補正を行うことが可能となる。
【0040】
例えば、温度差を小さくするための機構として、熱伝導体100を用いることができる。熱伝導体100は、光源部2において発生した熱を温度センサ326が設けられた距離画像センサ32に伝導する。熱伝導体100として、例えば、金属パーツ、又は金属配線など、熱伝導性が高い物質を用いることができる。
【0041】
図4では、熱伝導体100(熱伝導体100-1、100-2)は、光源基板21Bと、センサ基板32Aとを接続する。
熱伝導体100-1は、光源基板21Bにおける光源21A-1とセンサ基板32Aとを接続する。熱伝導体100-2は、光源基板21Bにおける光源21A-2とセンサ基板32Aとを接続する。熱伝導体100-1と100-2とは、光源からセンサ基板32Aまでの熱伝導経路の長さが同等となるように配置される。これにより、光源部2において発生した熱をほぼ均等にセンサ基板32Aに伝えることができる。
【0042】
熱伝導体100は、例えば、光源210が照射する光を遮らないように、光源基板21Bにおける光が照射される側(正面)とは反対にある面(裏面)と、センサ基板32Aとを接続する。
【0043】
熱伝導体100は、少なくとも熱を伝導すればよく、導電性は必要としない。このため、例えば、金属パーツ、又は金属配線の表面を非導電性物質で被膜したものを熱伝導体100として適用してもよい。
【0044】
また、熱伝導体100は、光源基板21Bにて発生した熱を、距離画像センサ32の近傍まで伝導できる機構であればよい。熱伝導体100は、光源基板21B、及びセンサ基板32Aに必ずしも接続していなくとも、熱が伝導する経路が形成できればよい。例えば、光源基板21Bの熱が伝わる程度に近接する位置から、距離画像センサ32に熱が伝わる程度にセンサ基板32Aに近接する位置まで熱伝導体100が配置されていてもよい。また、熱伝導体100は、光源基板21B及びセンサ基板32Aのいずれか一方に接続し、他方に熱が伝わる程度に近接する位置に配置されていてもよい。
【0045】
以上説明したように、第1の実施形態の距離画像撮像装置1では、受光部3(非光源部)に温度センサ326が設けられる。また、第1の実施形態の距離画像撮像装置1では、光源部2と受光部3(非光源部)との温度差を小さくするための機構を備える。温度差を小さくするための機構として、光源部2において発生した熱を受光部3(非光源部)における温度センサ326の近傍に伝導する機構、例えば、光源部2(光源基板21B)と受光部3(センサ基板32A)とを接続する熱伝導体100が設けられる。距離画像処理部4は、温度センサ326によって測定された温度を用いて、距離画像処理部4が電荷比に基づいて計算した距離を補正する。
【0046】
比較例として、光源部2と受光部3(非光源部)との温度差が大きく、光源部2と受光部3とが受ける温度変化の影響が互いに異なる傾向となる構成を考える。この場合、光源部2側の影響と、受光部3(非光源部)側の影響とが複合的に重なった誤差が生じる。このため、受光部3(非光源部)に設けた温度センサ326により測定された温度のみでは精度よく距離を補正することが難しい。また、光源部2と受光部3(非光源部)のそれぞれに温度センサを設け、それぞれの温度センサにより測定された温度に基づいて補正を行おうとすると処理が複雑になる。
【0047】
これに対し、第1の実施形態の距離画像撮像装置1では、光源部2において発生した熱を受光部3(非光源部)に伝導することができる。したがって、光源部2と受光部3(非光源部)との温度差を小さくしてほぼ同じ温度にすることができ、光源部2と受光部3とが受ける温度変化の影響を同等にすることができる。すなわち、受光部3(非光源部)に設けた1つの温度センサ326により測定された温度のみに基づいて、容易に且つ精度よく距離を補正することができる。
【0048】
<第2の実施形態>
ここで、第2の実施形態について説明する。本実施形態では光源部2に放熱板120が設けられている点において上述した実施形態と相違する。以下では、本実施形態において上述した実施形態と相違する構成について説明し、上述した実施形態と同等な構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0049】
図5は第2の実施形態における距離画像撮像装置1の構成要素の配置の例を示す図である。図5には、距離画像撮像装置1の構成要素が筐体に収容された様子が、側面視にて模式的に示されている。
【0050】
図5の例では、図4の例と同様に、光源装置21は、レンズ31を囲むように配置される。センサ基板32Aには、レンズ31に受光された光が、距離画像センサ32の画素回路321における光電変換素子PDに入射されるように、距離画像センサ32が配置されている。センサ制御基板4Aは、センサ基板32Aと同じ基板であるか、或いは、センサ基板32Aに近接して配置されている。光源基板211と距離画像センサ32とは物理的に離れた位置に配置されている。
【0051】
図5に示すように、光源基板21Bに放熱板120が設けられている。放熱板120は、接続パーツ110を介して、光源基板21Bに近接するようにして、光源基板21Bと平行に設置される。放熱板120が光源基板21Bに近接して設けられることにより、放熱板120は、光源部2において発生した熱を吸熱し、吸熱した熱を外部へ放熱することができる。
【0052】
図6は、第2の実施形態における距離画像撮像装置1の放熱板120の例を示す図である。図6に示すように、放熱板120は、レンズ31に受光される光、及び、光源21Aから照射される光を遮らないように、レンズ31及び光源21Aが配置される箇所に、レンズ31及び光源21Aのそれぞれの形状に応じた穴(レンズ用穴121、及び光源用穴122)が形成される。
【0053】
図5に戻り、熱伝導体100は、放熱板120と、センサ基板32Aとを接続する。これにより、光源部2において発生した熱が、放熱板120を介して熱伝導体100に伝わり、熱伝導体100を介して距離画像センサ32に伝わる。したがって、光源部2と、受光部3(非光源部)との温度差を小さくすることができる。
【0054】
なお、図5の例では、放熱性を重視して、光源基板21Bにおける正面側に放熱板120を設置した例を示したがこれに限定されない。放熱板120は、他の構成要素(レンズ31、光源装置21、センサ基板32A、センサ制御基板4Aなど)に干渉しなければ、筐体内のいずれの位置に設置されてもよい。また、放熱板120として、放熱するための専用の機構を設けなくともよく、例えば、筐体に金属など熱伝導性が大きい物質を用いることによって、筐体を放熱板120として利用することもできる。
【0055】
熱伝導体100は、放熱板120が吸熱した熱を、距離画像センサ32の近傍まで伝導すればよく、熱伝導体100は、放熱板120及びセンサ基板32Aに必ずしも接続していなくとも、熱が伝導する経路が形成されるように配置されていればよい。例えば、光源基板211の熱が伝わる程度に近接する位置から、距離画像センサ32に設けられた距離画像センサ32に熱が伝わる程度に近接する位置まで熱伝導体100が配置されていてもよい。また、熱伝導体100の一方の端部が、放熱板120及びセンサ基板32Aのいずれか一方に接続し、他方の端部が他方の基板に熱が伝わる程度に近接する位置に配置されていてもよい。
【0056】
以上説明したように、第2の実施形態の距離画像撮像装置1では、光源部2に放熱板120が設けられる。熱伝導体100は放熱板120と受光部3(非光源部)とを接続する。これにより第2の実施形態の距離画像撮像装置1では、光源部2において発生した熱を受光部3(非光源部)に伝導することができる。したがって、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0057】
<第3の実施形態>
ここで、第3の実施形態について説明する。本実施形態では、光源基板21Bとセンサ基板32Aとが同一の基板であるか、又は近接して配置されている点において上述した実施形態と相違する。以下では、本実施形態において上述した実施形態と相違する構成について説明し、上述した実施形態と同等な構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0058】
図7は第3の実施形態における距離画像撮像装置1の構成要素の配置の例を示す図である。図7には、距離画像撮像装置1の構成要素が筐体に収容された様子が、側面視にて模式的に示されている。
【0059】
図7の例に示すように、本実施形態において、光源基板21Bとセンサ基板32Aとは同一の基板であるか、又は光源基板21Bとセンサ基板32Aとが近接して配置されている。この点を除けば、図4の例と同様に、光源装置21は、レンズ31を囲むように配置される。センサ基板32Aには、レンズ31に受光された光が、距離画像センサ32の画素回路321における光電変換素子PDに入射されるように、距離画像センサ32が配置されている。センサ制御基板4Aは、センサ基板32Aと同じ基板であるか、或いは、センサ基板32Aに近接して配置されている。
【0060】
熱伝導体100は、光源21Aの近傍と、センサ基板32Aとを接続する。熱伝導体100は、光源部2と受光部3の温度差を少なくするために、光源21Aにおいて発生した熱をセンサ基板32Aに伝えられればよい。すなわち、熱伝導体100は放熱できなくともよい。このため、この図の例に示すように、光源21Aからセンサ基板32Aまでの間を、光源基板21Bとセンサ制御基板4Aとの隙間を埋めるように熱伝導体100が配置されてもよい。この場合、熱伝導体100は、光源21Aにおいて発生した熱を、センサ基板32A及びセンサ制御基板4Aに伝えることができる。
【0061】
以上説明したように、第3の実施形態の距離画像撮像装置1では、光源部2と受光部3(非光源部)とが同一基板に配置される。或いは近接して配置される。熱伝導体100は光源部2と受光部3(非光源部)を接続する。これにより第3の実施形態の距離画像撮像装置1では、光源部2において発生した熱を受光部3(非光源部)に伝導することができる。したがって、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0062】
<第4の実施形態>
ここで、第4の実施形態について説明する。本実施形態では、光源基板21Bとセンサ基板32Aとが同一の基板であるか又は近接して配置されている点、及び、センサ基板32Aとセンサ制御基板4Aとが物理的に離れて配置されている点において上述した実施形態と相違する。以下では、本実施形態において上述した実施形態と相違する構成について説明し、上述した実施形態と同等な構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図8は、第4の実施形態における距離画像撮像装置1の構成要素の配置の例を示す図である。図8には、距離画像撮像装置1の構成要素が筐体に収容された様子が、側面視にて模式的に示されている。
【0064】
距離画像撮像装置1を携帯電話やスマートフォンなどに組込む場合、距離画像撮像装置1の小型化が求められる。この図では、このような事情を鑑み、筐体を小型化するために、距離画像センサ32と距離画像処理部4とを物理的に離れた位置に配置した例が示されている。
【0065】
図8の例に示すように、光源基板21Bとセンサ基板32Aとは同一の基板に配置されている。また、センサ制御基板4Aは、センサ基板32Aと物理的に離れて配置され、センサ制御基板4Aとセンサ基板32Aとは情報伝達を行う配線130を介して電気的に接続されている。これらの点を除けば、図4の例と同様に、光源装置21は、レンズ31を囲むように配置される。センサ基板32Aには、レンズ31に受光された光が、距離画像センサ32の画素回路321における光電変換素子PDに入射されるように、距離画像センサ32が配置されている。
【0066】
熱伝導体100は、光源21Aの近傍と、センサ基板32Aとを接続する。本実施形態では、センサ基板32Aとセンサ制御基板4Aとが物理的に離れて配置されている。このため、熱伝導体100が光源21Aの近傍とセンサ基板32Aとを接続した場合において、図7の例に示すようにセンサ基板32Aとセンサ制御基板4Aの隙間が埋まらず、熱伝導体100が放熱の役割を果たすことも可能である。しかしながら、熱伝導体100が放熱機構として作用し得るか否かに関わらず、熱伝導体100は、少なくとも光源部2と受光部3の温度差を少なくするために機能すればよい。すなわち、熱伝導体100は、光源21Aにおいて発生した熱を少なくともセンサ基板32Aに伝えられればよい。
また、図7及び図8では、同じ筐体に、光源21Aとセンサ基板32Aとセンサ制御基板4Aが収容されている例を示したが、これに限定されない。少なくとも、光源21Aと距離画像センサ32と、距離画像センサ32を駆動させるために必要最低限の機能が同じの筐体に収容されていればよい。例えば、距離画像処理部4や電源等の他の機能が、光源21Aが収容されている筐体(第1筐体)とは別の筐体(第2筐体)に収容されており、第1筐体に収容された光源21A及び距離画像センサ32と、第2筐体に収容された距離画像処理部4とを物理的に距離を離して配置するように構成されてもよい。
【0067】
以上説明したように、第4の実施形態の距離画像撮像装置1では、光源部2と受光部3(非光源部)とが同一基板に配置される。或いは近接して配置される。距離画像処理部4は、受光部3と物理的に離れて配置される。温度センサ326は受光部3に配置される。熱伝導体100は光源部2と受光部3(非光源部)を接続する。これにより第4の実施形態の距離画像撮像装置1では、光源部2において発生した熱を受光部3(非光源部)に伝導することができる。したがって、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0068】
<第5の実施形態>
ここで、第5の実施形態について説明する。本実施形態では、距離画像撮像装置1が複数ではなく一つの光源21Aのみを備える点、及び、光源21Aとセンサ基板32Aとが同一の基板であるか又は近接して配置されている点において上述した実施形態と相違する。以下では、本実施形態において上述した実施形態と相違する構成について説明し、上述した実施形態と同等な構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0069】
図9は、第5の実施形態における距離画像撮像装置1の構成要素の配置の例を示す図である。図9には、距離画像撮像装置1の構成要素が筐体に収容された様子が、側面視にて模式的に示されている。
【0070】
図9の例に示すように、1つの光源21Aが光源基板21Bに配置されている。また、光源基板21Bとセンサ基板32Aとは同一の基板に配置されている。これら点を除けば、図4の例と同様に、センサ基板32Aには、レンズ31に受光された光が、距離画像センサ32の画素回路321における光電変換素子PDに入射されるように、距離画像センサ32が配置されている。センサ制御基板4Aは、センサ基板32Aと同じ基板であるか、或いは、センサ基板32Aに近接して配置されている。
【0071】
熱伝導体100は、光源21Aの近傍と、センサ基板32Aとを接続する。これにより熱伝導体100は、光源21Aにおいて発生した熱をセンサ基板32A及びセンサ制御基板4Aに伝える。
【0072】
以上説明したように、第5の実施形態の距離画像撮像装置1では、光源部2と受光部3(非光源部)とが同一基板に配置される。或いは近接して配置される。光源部2は1つの光源21Aを備える。熱伝導体100は光源部2と受光部3(非光源部)を接続する。これにより第5の実施形態の距離画像撮像装置1では、光源部2において発生した熱を受光部3(非光源部)に伝導することができる。したがって、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0073】
<実施形態の補正について>
ここで、実施形態(第1の実施形態から第5の実施形態)において、距離画像撮像装置1が行う補正について説明する。図10から図12は、実施形態の距離画像撮像装置1が行う補正を説明する図である。
【0074】
図10には、横軸を実距離、縦軸を測定距離として、実距離と測定距離の関係が示されている。ここでの実距離は実際の距離である。測定距離は距離画像処理部4が電荷蓄積部CSに蓄積された電荷量に基づいて計算した距離である。
【0075】
図10には、高温時における実距離と測定距離の関係が示された関数L1、常温時における実距離と測定距離の関係が示された関数L0、及び低温時における実距離と測定距離の関係が示された関数L2が示されている。ここでの高温とは、温度センサ326により測定された温度が高温閾値以上となる場合である。低温とは、温度センサ326により測定された温度が低温閾値未満となる場合である。常温とは、温度センサ326により測定された温度が、低温閾値以上、且つ高温閾値未満となる場合である。
【0076】
まず、距離画像処理部4は、電荷蓄積部CS(電荷蓄積部CS1からCS4)に蓄積された電荷量Q(電荷量Q1からQ4)を取得する。距離画像処理部4は、電荷量Q(電荷量Q1に、(1)式又は(2)式を適用することにより距離を計算する。
次に、距離画像処理部4は、温度センサ326により測定された温度を取得する。距離画像処理部4は、取得した温度が高温閾値以上であるか否かを判定する。
【0077】
距離画像処理部4は、温度が高温閾値以上である場合、高温時の補正を行う。具体的には、距離画像処理部4は、高温時の補正関数(例えば、図10における関数L1)に基づいて、計算により求めた距離を補正する。より具体的には、距離画像処理部4は、計算により求めた距離(測定距離SK)を、高温時における補正に用いる関数(関数L1)を用いて、実距離(実距離JK1)に補正する。
【0078】
温度が高温閾値未満である場合、距離画像処理部4は、温度が低温閾値以上であるか否かを判定する。温度が低温閾値以上である場合、距離画像処理部4は、必要に応じて、常温時の補正を行う。具体的には、距離画像処理部4は、常温時の補正関数(例えば、図10における関数L0)に基づいて、計算により求めた距離を補正する。より具体的には、距離画像処理部4は、計算により求めた距離(測定距離SK)を、常温時における補正に用いる関数(関数L0)を用いて、実距離(実距離JK0)に補正する。
なお、関数L0において、測定距離SKと実距離JK0とが等しいことが示されている場合、補正を行う必要はない。
【0079】
温度が低温閾値未満である場合、距離画像処理部4は、低温時の補正を行う。具体的には、距離画像処理部4は、低温時の補正関数(例えば、図10における関数L2)に基づいて、計算により求めた距離を補正する。より具体的には、距離画像処理部4は、計算により求めた距離(測定距離SK)を、低温時における補正に用いる関数(関数L2)を用いて、実距離(実距離JK2)に補正する。
【0080】
上記では、関数L(関数L0からL2)を用いて補正を行う場合を例示したが、関数を用いずに、補正を行うようにしてもよい。例えば、測定距離と実距離との対応関係が示されたテーブルを用いて補正を行うようにしてもよい。この場合、例えば、高温時に行う補正に用いる高温時用の補正テーブルと、低温時に行う補正に用いる低温時用の補正テーブルとが生成される。また、必要に応じて、具体的には、常温時において補正を行う場合、常温時に行う補正に用いる常温時用の補正テーブルが生成される。
【0081】
図11及び図12には光パルスが温度変化により受ける影響の例が示されている。
図11の中段に示すように、高温時において、光パルスの照射タイミングが遅れる場合がある。この場合、電荷量Q2は常温時と比べて減少し、電荷量Q3は常温時と比べて増加する。このため、計算により求めた距離は常温時と比べて大きくなり、距離が遠くなったかのような誤差が発生する。
図11の下段に示すように、低温時において、光パルスの照射タイミングが早まる場合がある。この場合、電荷量Q2は常温時と比べて増加し、電荷量Q3は常温時と比べて減少する。このため、計算により求めた距離は常温時と比べて小さくなり、距離が近くなったかのような誤差が発生する。
【0082】
図12の中段に示すように、低温時において、光パルスの照射幅が広がる場合がある。この場合、例えば、電荷量Q2は常温時と比べて変化しないが、電荷量Q3は常温時と比べて増加する。このため、計算により求めた距離は常温時と比べて大きくなり、距離が遠くなったかのような誤差が発生する。
図12の下段に示すように、高温時において、光パルスの照射幅が短くなる場合がある。この場合、例えば、電荷量Q2は常温時と比べて変化しないが、電荷量Q3は常温時と比べて減少する。このため、計算により求めた距離は常温時と比べて小さくなり、距離が近くなったかのような誤差が発生する。
【0083】
上述したような誤差が発生した場合に、温度に応じた補正を行うことにより、計算により求めた距離を精度よく補正することができる。
【0084】
<実施形態の変形例>
実施形態の変形例について説明する。本変形例では、温度センサ326が、画素回路321の列又は行に沿って配置される点において上述した実施形態と相違する。以下では、本実施形態において上述した実施形態と相違する構成について説明し、上述した実施形態と同等な構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0085】
図13は、実施形態の変形例における距離画像センサ32の構成を示すブロック図である。
図13に示すように、図2と同様に、受光部3において、画素回路321が二次元的に配置される。温度センサ326は、二次元的に配置された画素回路321の行又は列に沿って配置される。
距離画像処理部4は、二次元的に配置された画素回路321の行又は列ごとに、電荷蓄積部CSの各々に蓄積された電荷量Qに応じた画素信号を読み出して取得する。そして、距離画像処理部4は、画素信号を取得した列又は行に、温度センサ326が配置されている場合、温度センサに測定された温度に応じた温度信号を、その列又は行に配置された画素回路321の画素信号を取得するタイミングで、読み出して取得する。
【0086】
或いは、距離画像処理部4は、画素回路321の行又は列ごとに画素信号を読み出す際に、読み出す行または列を一つ増やし、その増やした一行又は一列の読み出しにおいて、温度信号を読み出すようにしてもよい。
【0087】
図13では、温度センサ326が画素回路321の行又は列に沿って配置される場合を例示して説明したが、これに限定されない。本変形例では、少なくとも、画素信号を取得するタイミング、例えば1フレーム毎、或いは数フレーム毎に、距離画像処理部4が、温度センサ326により測定された温度を取得できればよい。
【0088】
例えば、画素回路321の行又は列とは別に、温度センサ326が設けられた行又は列を、受光領域320に設けるように構成されてもよい。或いは、受光領域320に設けられた画素回路321の何れが配置されていた位置に、温度センサ326を配置するようにしてもよい。
【0089】
以上説明したように、実施形態における変形例の距離画像撮像装置1では、受光部3において、画素回路321が二次元的に配置される。温度センサ326は、二次元的に配置された画素回路321の行又は列に沿って配置される。距離画像処理部4は、二次元的に配置された画素回路321の行又は列ごとに、電荷蓄積部CSの各々に蓄積された電荷量Qに応じた画素信号を読み出して取得する。距離画像処理部4は、画素信号を取得した列又は行に、温度センサ326が配置されている場合、温度センサに測定された温度に応じた温度信号を、その列又は行に配置された画素回路321の画素信号を取得するタイミングで、読み出して取得する。
【0090】
この構成により、実施形態における変形例の距離画像撮像装置1では、距離を計算する単位、つまりフレーム毎に、画素信号と共に温度信号を読み出すことができる。したがって、計算により求めた距離の補正に用いる温度信号を、計算により求める距離ごとに取得することができる。
【0091】
なお、上述した複数の実施形態において、ある実施形態の構成に、他の実施形態の構成を組み合わせてもよい。例えば、第3の実施形態に第2の実施形態を組み合わせて、放熱板120を有し、且つ、光源21Aと受光部3とが同一基板に配置された距離画像撮像装置1に、放熱板120とセンサ基板32Aを接続する熱伝導体100が適用されてもよい。
【0092】
また、上述した実施形態において、距離画像撮像装置1が、光源等(光源部2、距離画像センサ32、距離画像処理部4)とは異なる機能部であって、熱源となり得る機能部を有する場合、その機能部と光源部等との温度差を小さくするための機構を備えるようにしてもよい。
【0093】
例えば、光源等とは異なる機能部であって、熱源となり得る機能部として、電源部がある。電源部は、例えば、距離画像撮像装置1の各機能部に電源を供給したり、各機能部に供給する信号の電圧を調整したりする。距離画像撮像装置1がカメラモジュールである場合、電源部がカメラの筐体の内部に設けられる場合がある。若しくは、外部から一定の電源電圧が供給されることにより、電源電圧を各機能部に供給する信号の電圧に調整するような機構を、距離画像処理部4、又は距離画像センサ32の周辺回路に備える構成とする場合がある。このような場合、距離画像撮像装置1が、電源部と温度センサと接続する熱伝導物質を備えるようにしてもよい。これにより、電源と光源部等との温度差を小さくすることが可能となる。
【0094】
上述した実施形態における距離画像撮像装置1、距離画像処理部4の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0095】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1…距離画像撮像装置
100…熱伝導体
120…放熱板
2…光源部
21…光源装置
21A…光源
21B…光源基板
3…受光部
31…レンズ
32…距離画像センサ
32A…センサ基板
321…画素回路
4…距離画像処理部
4A…センサ制御基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13