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特開2023-140474試験装置、試験方法、加熱装置及び加熱方法
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  • 特開-試験装置、試験方法、加熱装置及び加熱方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140474
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】試験装置、試験方法、加熱装置及び加熱方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/26 20060101AFI20230928BHJP
   G01N 25/00 20060101ALI20230928BHJP
   G01N 27/409 20060101ALI20230928BHJP
   G01M 15/10 20060101ALN20230928BHJP
【FI】
G01N27/26 391B
G01N25/00 K
G01N27/409 100
G01M15/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046329
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】三須 直也
(72)【発明者】
【氏名】苅谷 涼
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅弘
【テーマコード(参考)】
2G004
2G040
2G087
【Fターム(参考)】
2G004BL18
2G040AB12
2G040BA02
2G040BA23
2G040CA01
2G040DA02
2G040DA12
2G040EA02
2G040EB01
2G040GA05
2G040ZA07
2G087AA15
2G087BB28
2G087CC19
2G087CC23
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】試験装置10、試験方法、加熱装置47及び加熱方法では、センサ12の先端部30は、第1断熱部材36の内部空間50に配置される。センサ12のうち、先端部30以外の中間部位52の外周面は、第2断熱部材42で覆われている。第2断熱部材42の外周面には、第2ヒータ44が設けられる。第1ヒータ38は、センサ12の先端部30を加熱する。第2ヒータ44の熱は、第2断熱部材42内に設けた熱伝達部材46を介して、センサ12に伝達される。
【効果】センサのうち、先端部以外の部分の温度が周囲環境の影響を受けにくくなる。これにより、実使用時にセンサの内部に発生する温度勾配に近い環境を模擬した状態で、センサに対する試験を行うことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に沿って延びるセンサが検出する検出信号の温度による挙動を観察するための試験装置であって、
内部空間を有し、前記内部空間に前記センサの先端部が配置される第1断熱部材と、
前記センサと離間した状態で前記内部空間に設けられた第1ヒータと、
前記センサのうち、前記先端部以外の中間部位の外周面を覆い、前記センサを支持する第2断熱部材と、
前記第2断熱部材の外周面に設けられた第2ヒータと、
前記第2断熱部材内に設けられ、前記第2ヒータの熱を前記センサに伝達する熱伝達部材と、
を備える、試験装置。
【請求項2】
請求項1記載の試験装置において、
前記センサの前記先端部、前記第1断熱部材及び前記第1ヒータを収容する第1チャンバをさらに備える、試験装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の試験装置において、
前記センサの前記中間部位、前記第2断熱部材及び前記第2ヒータを収容する第2チャンバをさらに備える、試験装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の試験装置において、
前記第1ヒータと前記第2ヒータとは、互いに異なる加熱温度に設定される、試験装置。
【請求項5】
請求項4記載の試験装置において、
前記第1ヒータの加熱温度は、前記第2ヒータの加熱温度よりも高温である、試験装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の試験装置において、
前記熱伝達部材は、銅製の治具である、試験装置。
【請求項7】
所定方向に沿って延びるセンサが検出する検出信号の温度による挙動を観察するための試験方法であって、
第1断熱部材の内部空間に第1ヒータが設けられている状態で、前記センサの先端部を、前記第1ヒータと離間した状態で前記内部空間に配置し、
前記センサのうち、前記先端部以外の中間部位の外周面を第2断熱部材で覆って、前記センサを支持し、
前記第2断熱部材の外周面に第2ヒータを設け、
前記第1ヒータで前記センサの前記先端部を加熱し、
前記第2ヒータの熱を、前記第2断熱部材内に設けた熱伝達部材を介して、前記センサに伝達する、試験方法。
【請求項8】
所定方向に沿って延びるセンサの先端部が配置されるチャンバを備えるセンサ検査装置に取り付け可能な加熱装置であって、
前記センサのうち、前記先端部以外の部分は、前記チャンバから外部に露出し、
前記加熱装置は、
前記センサのうち、前記先端部以外の中間部位の外周面を覆い、前記センサを支持する断熱部材と、
前記断熱部材の外周面に設けられたヒータと、
前記断熱部材内に設けられ、前記ヒータの熱を前記センサに伝達する熱伝達部材と、
を備える、加熱装置。
【請求項9】
所定方向に沿って延びるセンサを加熱するための加熱方法であって、
前記センサのうち、先端部以外の部分がセンサ検査装置のチャンバから外部に露出するように、前記先端部を前記チャンバ内に配置し、
前記センサのうち、前記先端部以外の中間部位の外周面を断熱部材で覆って、前記センサを支持し、
前記断熱部材の外周面にヒータを設け、
前記ヒータの熱を、前記断熱部材内に設けた熱伝達部材を介して、前記センサに伝達する、加熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験装置、試験方法、加熱装置及び加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、センサの試験装置が開示されている。
【0003】
センサは、自動車の排気管に取り付けられる。センサは、先端部が排気管の内部に配置されるように、排気管に取り付けられる。排気管には、自動車のエンジンから排出される排気ガス(被測定ガス)が流れる。排気ガスは、比較的高温のガスである。センサは、排気ガスに含まれる所定のガス成分を検出し、その検出結果に応じた検出信号を出力する。
【0004】
試験装置は、排気管の内部の環境を模擬することで、検出信号の温度による挙動を評価する。具体的には、排気管を模擬したチャンバ内にセンサの先端部を配置する。チャンバ内には、高温の排気ガスを模擬した検査用ガスが導入される。検査用ガスは、バーナーによって所定温度に加熱されている。チャンバ内を検査用ガスが流れることにより、センサの先端部が加熱される。センサは、先端部からの熱伝導によって、全体が加熱される。センサは、検出用ガスの成分を検出し、その検出結果に応じた検出信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-168327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
センサが排気管に取り付けられている場合、センサのうち、先端部以外の部分は、排気管の外部に配置されている。センサのうち、先端部以外の部分は、エンジン等から外気を介して伝達される熱によって加熱される。
【0007】
これに対して、特許文献1の試験装置では、センサのうち、先端部以外の部分は、バーナー等の熱源から遠い場所に配置されている。そのため、センサのうち、先端部以外の部分は、熱源からの熱が伝わりにくい。この結果、センサのうち、先端部以外の部分は、周囲環境の影響を受けやすい。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、所定方向に沿って延びるセンサが検出する検出信号の温度による挙動を観察するための試験装置であって、前記試験装置は、内部空間を有し、前記内部空間に前記センサの先端部が配置される第1断熱部材と、前記センサと離間した状態で前記内部空間に設けられた第1ヒータと、前記センサのうち、前記先端部以外の中間部位の外周面を覆い、前記センサを支持する第2断熱部材と、前記第2断熱部材の外周面に設けられた第2ヒータと、前記第2断熱部材内に設けられ、前記第2ヒータの熱を前記センサに伝達する熱伝達部材と、を備える。
【0010】
本発明の第2の態様は、所定方向に沿って延びるセンサが検出する検出信号の温度による挙動を観察するための試験方法であって、前記試験方法では、第1断熱部材の内部空間に第1ヒータが設けられている状態で、前記センサの先端部を、前記第1ヒータと離間した状態で前記内部空間に配置し、前記センサのうち、前記先端部以外の中間部位の外周面を第2断熱部材で覆って、前記センサを支持し、前記第2断熱部材の外周面に第2ヒータを設け、前記第1ヒータで前記センサの前記先端部を加熱し、前記第2ヒータの熱を、前記第2断熱部材内に設けた熱伝達部材を介して、前記センサに伝達する。
【0011】
本発明の第3の態様は、所定方向に沿って延びるセンサの先端部が配置されるチャンバを備えるセンサ検査装置に取り付け可能な加熱装置であって、前記センサのうち、前記先端部以外の部分は、前記チャンバから外部に露出し、前記加熱装置は、前記センサのうち、前記先端部以外の中間部位の外周面を覆い、前記センサを支持する断熱部材と、前記断熱部材の外周面に設けられたヒータと、前記断熱部材内に設けられ、前記ヒータの熱を前記センサに伝達する熱伝達部材と、を備える。
【0012】
本発明の第4の態様は、所定方向に沿って延びるセンサを加熱するための加熱方法であって、前記加熱方法では、前記センサのうち、先端部以外の部分がセンサ検査装置のチャンバから外部に露出するように、前記先端部を前記チャンバ内に配置し、前記センサのうち、前記先端部以外の中間部位の外周面を断熱部材で覆って、前記センサを支持し、前記断熱部材の外周面にヒータを設け、前記ヒータの熱を、前記断熱部材内に設けた熱伝達部材を介して、前記センサに伝達する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、センサのうち、先端部以外の部分の温度が周囲環境の影響を受けにくくなる。これにより、実使用時にセンサの内部に発生する温度勾配に近い環境を模擬した状態で、センサに対する試験を行うことができる。
【0014】
また、本発明の第3の態様及び第4の態様では、加熱装置(断熱部材、ヒータ及び熱伝達部材)をセンサ検査装置に外付けすることにより、センサに対して上記の試験を行うことができる。すなわち、既存の設備(モデルガス装置等のセンサ検査装置)を利用して、より少額の設備投資で、上記の試験を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、試験装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本実施形態に係る試験装置10の断面図である。試験装置10は、センサ12の検出信号の温度による挙動を観察するための装置である。
【0017】
センサ12は、センサ素子14と、外筒16と、固定部18と、カバー20と、封止材22とを有する。
【0018】
センサ素子14は、長尺な形状を有する。外筒16は、センサ素子14を覆う。センサ素子14は、支持部材(不図示)によって、外筒16の内側に支持されている。センサ素子14の先端部(図1の下方向の端部)は、外筒16の先端部から突出している。センサ素子14の先端部は、カバー20で覆われている。カバー20は、外筒16の先端部に取り付けられている。センサ素子14の先端部をカバー20で覆うことにより、カバー20内におけるセンサ12の先端部の周囲に内部空間(不図示)が形成される。カバー20には、センサ12の外部とカバー20の内部空間とを連通させる孔(不図示)が形成されている。
【0019】
外筒16の基端部(図1の上方向の端部)には、グロメット等の封止材22が取り付けられている。封止材22によって、外筒16の内部が封止される。封止材22には、リード線24が貫通している。リード線24は、センサ素子14に接続されている。外筒16の外周面には、固定部18が取り付けられている。固定部18は、ナット部26とボルト部28とを有する。
【0020】
センサ12のうち、ボルト部28からカバー20までの部分が、センサ12の先端部30である。センサ12のうち、外筒16の基端部は、センサ12の基端部32である。
【0021】
センサ12は、例えば、車両の排気管(不図示)に取り付けられる。排気管には、ネジ孔が形成されている。ボルト部28とネジ孔とを螺合させ、ナット部26を排気管の外周面に接触させることで、センサ12が排気管に取り付けられる。これにより、センサ12の先端部30は、排気管内に配置される。センサ12のうち、先端部30以外の部分は、排気管の外部に配置される。
【0022】
エンジンの動作中、エンジンから排気管に比較的高温の排気ガスが排出される。排気ガスは、排気管の内部を流れる。排気ガスは、孔を介してセンサ12の内部空間に流れる。センサ12の先端部30は、排気ガスの熱によって、加熱される。センサ素子14は、被測定ガスである排気ガスに含まれる所定のガス成分を検出し、その検出結果に応じた検出信号を出力する。検出信号は、センサ素子14からリード線24を介して外部に出力される。センサ12のうち、先端部30以外の部分は、エンジン等から外気を介して伝わる熱で加熱される。
【0023】
試験装置10は、排気管に取り付けられたセンサ12の環境を模擬した状態で、検出信号の温度による挙動を観察する。試験装置10は、第1チャンバ34(チャンバ)と、第1断熱部材36と、第1ヒータ38と、第2チャンバ40と、第2断熱部材42(断熱部材)と、第2ヒータ44(ヒータ)と、熱伝達部材46とを備える。なお、図1では、第1チャンバ34と第2チャンバ40とが、模式的に図示されている。また、第2チャンバ40、第2断熱部材42、第2ヒータ44及び熱伝達部材46は、加熱装置47を構成する。
【0024】
第1チャンバ34の内部には、第1断熱部材36及び第1ヒータ38が配置されている。第1断熱部材36は、内部空間50を有する部材である。図1では、第1断熱部材36が筒状である場合を図示している。従って、第1断熱部材36の内側が内部空間50となる。内部空間50は、排気管の内部を模擬している。第1ヒータ38は、内部空間50の下方に配置されている。第1ヒータ38は、コイルヒータである。
【0025】
センサ12の先端部30は、内部空間50に配置される。具体的には、第1チャンバ34の上壁48にネジ孔(不図示)が形成されている。固定部18のボルト部28とネジ孔とが螺合し、ナット部26が第1チャンバ34の上壁48に当接することで、センサ12が第1チャンバ34の上壁48に取り付けられる。これにより、センサ12の先端部30は、第1チャンバ34の内部に配置される。この場合、内部空間50において、センサ12と第1ヒータ38とは、互いに離間した状態で配置される。
【0026】
第2チャンバ40は、排気管の外部を模擬している。第2チャンバ40は、第1チャンバ34の上壁48に配置される。第2ヒータ44、第2断熱部材42及び熱伝達部材46は、第2チャンバ40の内部に配置される。第2チャンバ40の内部には、センサ12のうち、先端部30以外の部分が配置されている。
【0027】
第2断熱部材42は、センサ12のうち、先端部30と基端部32との間の中間部位52の外周面を覆う。具体的には、第2断熱部材42は、外筒16及びナット部26のうち、センサ12の基端部32以外の箇所を覆う。第2断熱部材42は、筒状の部材である。第2断熱部材42は、センサ12を支持する。
【0028】
第2ヒータ44は、第2断熱部材42の外周面に設けられている。第2ヒータ44は、筒状のヒータである。
【0029】
熱伝達部材46は、第2断熱部材42内に設けられている。熱伝達部材46は、第2断熱部材42を貫通して、第2ヒータ44と外筒16とを連結する。熱伝達部材46は、銅製の治具である。
【0030】
次に、試験装置10によるセンサ12の試験方法について説明する。
【0031】
先ず、第1チャンバ34内に第1断熱部材36及び第1ヒータ38を配置する。この場合、ネジ孔に対して略同軸となるように第1断熱部材36を配置する。また、ネジ孔に対して略同軸となるように、内部空間50に第1ヒータ38を配置する。
【0032】
次に、センサ12の先端部30をネジ孔を介して第1チャンバ34内に差し込んだ状態で、固定部18のボルト部28とネジ孔とを螺合させる。ボルト部28とネジ孔とが螺合し、固定部18のナット部26が第1チャンバ34の上壁48に当接することで、センサ12が第1チャンバ34の上壁48に取り付けられる。この結果、センサ12の先端部30は、内部空間50に配置される。
【0033】
次に、センサ12のうち、第1チャンバ34から突出する部分(中間部位52)を囲むように、第1チャンバ34の上壁48に第2断熱部材42を配置する。これにより、熱伝達部材46と外筒16とが連結される。
【0034】
次に、第2断熱部材42の外側に第2ヒータ44を配置する。これにより、第2ヒータ44と熱伝達部材46とが連結される。
【0035】
次に、第1チャンバ34の上壁48に第2チャンバ40を配置する。この場合、センサ12、第2ヒータ44、第2断熱部材42及び熱伝達部材46を覆うように、第2チャンバ40を第1チャンバ34の上壁48に配置する。このときに、リード線24は、第2チャンバ40から外部に引き出される。
【0036】
次に、外部から第1チャンバ34内に被測定ガスを供給する。次に、第1ヒータ38及び第2ヒータ44を駆動させる。このときに、第1ヒータ38の加熱温度は、第2ヒータ44の加熱温度よりも高温に設定されている。
【0037】
第1ヒータ38は、内部空間50の被測定ガスを加熱する。加熱された被測定ガスは、カバー20の孔からカバー20の内部空間に導入される。これにより、センサ12の先端部30が加熱される。センサ素子14は、被測定ガスに含まれる所定のガス成分を検出し、その検出結果に応じた検出信号を出力する。検出信号は、リード線24を介して外部に出力される。
【0038】
第2ヒータ44の熱は、熱伝達部材46を介して、外筒16に伝達される。外筒16に熱が伝達されることで、センサ12のうち、先端部30以外の部分が加熱される。具体的には、外筒16及び封止材22が、外筒16に伝達される熱で加熱される。第2ヒータ44と外筒16との間には、第2断熱部材42が配置されている。これにより、熱伝達部材46と外筒16との連結箇所に、第2ヒータ44の熱をピンポイントで伝熱することができる。
【0039】
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【0040】
上記のように、試験装置10は、実際の車両の状況を模擬している。従って、第1ヒータ38及び第2ヒータ44の各々の加熱温度と、熱伝達部材46の形状とは、センサ12が搭載される車両の環境に応じて適宜変更可能である。
【0041】
また、図1では、1つのセンサ12に対する試験について説明した。試験装置10は、複数のセンサ12に対して試験を行ってもよい。この場合、複数のセンサ12は、所定の間隔を隔てて、第1チャンバ34の上壁48に固定される。第2チャンバ40は、複数のセンサ12を覆うように第1チャンバ34の上壁48に配置される。試験装置10では、センサ12毎に、第1断熱部材36、第1ヒータ38、第2断熱部材42、第2ヒータ44及び熱伝達部材46が配置される。これにより、試験装置10におけるセンサ12の取付場所によって、センサ12の温度にばらつきが発生することを抑制することができる。
【0042】
また、加熱装置47が試験装置10に対して取り外し可能であってもよい。これにより、既存のモデルガス装置等のセンサ検査装置に加熱装置47を外付けすることで、既存の設備を利用して、センサ12に対する上記の試験を行うことが可能となる。すなわち、加熱装置47は、独立した装置として使用可能である。なお、センサ検査装置は、例えば、第1チャンバ34、第1断熱部材36及び第1ヒータ38を備えていればよい。
【0043】
具体的には、加熱装置47が外付けされたセンサ検査装置では、上記の試験方法を一部変更することにより、下記のように、センサ12に対する試験を行うことができる。なお、下記の説明では、上記の試験方法に共通する内容については、説明を簡略化するか、又は、説明を省略する。
【0044】
先ず、センサ12のうち、先端部30以外の部分がセンサ検査装置の第1チャンバ34から外部に露出するように、先端部30を第1チャンバ34内に配置する。次に、センサ12のうち、第1チャンバ34から突出する中間部位52を囲むように、第2断熱部材42を配置する。次に、第2断熱部材42の外側に第2ヒータ44を配置する。次に、センサ12、第2ヒータ44、第2断熱部材42及び熱伝達部材46を覆うように、第1チャンバ34の上壁48に第2チャンバ40を配置する。
【0045】
次に、センサ検査装置において、センサ12の先端部30を加熱する。また、第2ヒータ44を駆動させることで、第2ヒータ44の熱を熱伝達部材46を介して外筒16に伝達し、センサ12のうち、先端部30以外の部分を加熱させる。
【0046】
上記の実施形態から把握し得る発明について、以下に記載する。
【0047】
本発明の第1の態様は、所定方向に沿って延びるセンサ(12)が検出する検出信号の温度による挙動を観察するための試験装置(10)であって、前記試験装置は、内部空間(50)を有し、前記内部空間に前記センサの先端部(30)が配置される第1断熱部材(36)と、前記センサと離間した状態で前記内部空間に設けられた第1ヒータ(38)と、前記センサのうち、前記先端部以外の中間部位(52)の外周面を覆い、前記センサを支持する第2断熱部材(42)と、前記第2断熱部材の外周面に設けられた第2ヒータ(44)と、前記第2断熱部材内に設けられ、前記第2ヒータの熱を前記センサに伝達する熱伝達部材(46)と、を備える。
【0048】
本発明によれば、センサの各部が周囲環境の影響を受けにくくなる。これにより、実使用時にセンサの内部に発生する温度勾配に近い環境を模擬した状態で、センサに対する試験を行うことができる。
【0049】
本発明の第1の態様において、前記試験装置は、前記センサの前記先端部、前記第1断熱部材及び前記第1ヒータを収容する第1チャンバ(34)をさらに備える。
【0050】
これにより、センサの先端部が周囲環境の影響を受けにくくなる。また、センサの先端部の温度調整が容易になる。
【0051】
本発明の第1の態様において、前記試験装置は、前記センサの前記中間部位、前記第2断熱部材及び前記第2ヒータを収容する第2チャンバ(40)をさらに備える。
【0052】
これにより、センサのうち、先端部以外の部分が周囲環境の影響を受けにくくなる。また、センサのうち、先端部以外の部分の温度調整が容易になる。
【0053】
本発明の第1の態様において、前記第1ヒータと前記第2ヒータとは、互いに異なる加熱温度に設定される。
【0054】
これにより、実使用に近い環境でセンサの試験を行うことができる。すなわち、実使用時にセンサの内部に発生する温度勾配により近い環境を模擬した状態で、センサの試験を行うことができる。
【0055】
本発明の第1の態様において、前記第1ヒータの加熱温度は、前記第2ヒータの加熱温度よりも高温である。
【0056】
これにより、より一層、実使用に近い環境でセンサの試験を行うことができる。すなわち、実使用時にセンサの内部に発生する温度勾配により一層近い環境を模擬した状態で、センサの試験を行うことができる。
【0057】
本発明の第1の態様において、前記熱伝達部材は、銅製の治具である。
【0058】
これにより、第2ヒータからセンサに熱を効率よく伝熱することができる。
【0059】
本発明の第2の態様は、所定方向に沿って延びるセンサが検出する検出信号の温度による挙動を観察するための試験方法であって、前記試験方法は、第1断熱部材の内部空間に第1ヒータが設けられている状態で、前記センサの先端部を、前記第1ヒータと離間した状態で前記内部空間に配置し、前記センサのうち、前記先端部以外の中間部位の外周面を第2断熱部材で覆って、前記センサを支持し、前記第2断熱部材の外周面に第2ヒータを設け、前記第1ヒータで前記センサの前記先端部を加熱し、前記第2ヒータの熱を、前記第2断熱部材内に設けた熱伝達部材を介して、前記センサに伝達する。
【0060】
本発明によれば、センサのうち、先端部以外の部分の温度が周囲環境の影響を受けにくくなる。これにより、実使用時にセンサの内部に発生する温度勾配に近い環境を模擬した状態で、センサに対する試験を行うことができる。
【0061】
本発明の第3の態様は、所定方向に沿って延びるセンサの先端部が配置されるチャンバ(34)を備えるセンサ検査装置に取り付け可能な加熱装置(47)であって、前記センサのうち、前記先端部以外の部分は、前記チャンバから外部に露出し、前記加熱装置は、前記センサのうち、前記先端部以外の中間部位の外周面を覆い、前記センサを支持する断熱部材(42)と、前記断熱部材の外周面に設けられたヒータ(44)と、前記断熱部材内に設けられ、前記ヒータの熱を前記センサに伝達する熱伝達部材と、を備える。
【0062】
本発明では、加熱装置(断熱部材、ヒータ及び熱伝達部材)をセンサ検査装置に外付けすることにより、センサに対して上記の試験を行うことができる。すなわち、既存の設備(モデルガス装置等のセンサ検査装置)を利用して、より少額の設備投資で、上記の試験を行うことが可能となる。
【0063】
本発明の第4の態様は、所定方向に沿って延びるセンサを加熱するための加熱方法であって、前記加熱方法では、前記センサのうち、先端部以外の部分がセンサ検査装置のチャンバから外部に露出するように、前記先端部を前記チャンバ内に配置し、前記センサのうち、前記先端部以外の中間部位の外周面を断熱部材で覆って、前記センサを支持し、前記断熱部材の外周面にヒータを設け、前記ヒータの熱を、前記断熱部材内に設けた熱伝達部材を介して、前記センサに伝達する。
【0064】
本発明でも、加熱装置(断熱部材、ヒータ及び熱伝達部材)をセンサ検査装置に外付けすることにより、センサに対して上記の試験を行うことができる。すなわち、既存の設備(モデルガス装置等のセンサ検査装置)を利用して、より少額の設備投資で、上記の試験を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0065】
10…試験装置
12…センサ
30…先端部
34…第1チャンバ(チャンバ)
36…第1断熱部材
38…第1ヒータ
42…第2断熱部材(断熱部材)
44…第2ヒータ(ヒータ)
46…熱伝達部材
47…加熱装置
50…内部空間
52…中間部位
図1