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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140484
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】散水濾床システム及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/04 20230101AFI20230928BHJP
   C02F 1/78 20230101ALI20230928BHJP
【FI】
C02F3/04
C02F1/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046344
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】米津 直紀
【テーマコード(参考)】
4D003
4D050
【Fターム(参考)】
4D003AA02
4D003BA02
4D003CA10
4D003DA03
4D003DA07
4D003EA23
4D003EA30
4D003FA05
4D050AA15
4D050AB06
4D050BB02
4D050BD02
4D050BD08
4D050CA17
(57)【要約】
【課題】駆除対象生物の駆除を効率的に行うことを可能とする散水濾床システム及び洗浄方法を提供する。
【解決手段】被処理水についての生物処理を行う担体が充填された槽と、槽に対して被処理水を散水する散水管と、オゾンを発生するオゾン発生装置と、槽及び被処理水のうちの少なくともいずれかに対してオゾンを供給する供給管と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水についての生物処理を行う担体が充填された槽と、
前記槽に対して前記被処理水を散水する散水管と、
オゾンを発生するオゾン発生装置と、
前記槽及び前記被処理水のうちの少なくともいずれかに対して前記オゾンを供給する供給管と、を備えた散水濾床システム。
【請求項2】
更に、前記供給管からの前記オゾンの供給を制御する制御装置を備えた、請求項1に記載の散水濾床システム。
【請求項3】
更に、前記槽から前記オゾンを排出する排出管と、を備え、
前記制御装置は、前記排出管からの前記オゾンの排出を制御する、請求項2に記載の散水濾床システム。
【請求項4】
前記供給管は、前記槽において前記担体よりも上方に取り付けられ、
前記排出管は、前記槽において前記担体よりも下方に取り付けられ、
前記制御装置は、
前記排出管による前記槽からの前記オゾンの排出を停止し、
前記オゾンの排出の停止に応じて、前記供給管による前記槽に対する前記オゾンの供給を開始し、
前記オゾンの供給の開始から所定時間が経過した後、前記オゾンの排出を再開する、請求項3に記載の散水濾床システム。
【請求項5】
被処理水についての生物処理を行う担体が充填された槽と、前記槽に対して前記被処理水を散水する散水管と、オゾンを発生するオゾン発生装置と、前記槽及び前記被処理水のうちの少なくともいずれかに対して前記オゾンを供給する供給管と、前記槽から前記オゾンを排出する排出管と、を備え、前記供給管は、前記槽において前記担体よりも上方に取り付けられ、前記排出管は、前記槽において前記担体よりも下方に取り付けられる散水濾床システムにおける洗浄方法であって、
前記排出管による前記槽からの前記オゾンの排出を停止し、
前記オゾンの排出の停止に応じて、前記供給管による前記槽に対する前記オゾンの供給を開始し、
前記オゾンの供給の開始から所定時間が経過した後、前記オゾンの排出を再開する、洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散水濾床システム及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水等の被処理水の処理を行う水処理システム(以下、単に水処理システムとも呼ぶ)では、例えば、散水濾床を用いることによって、被処理水に含まれる有機性汚濁物質(以下、単に有機物とも呼ぶ)の生物的除去を行う。具体的に、散水濾床では、例えば、微生物を付着保持させた担体に対して被処理水を散布し、担体に付着保持された微生物によって被処理水に含まれる有機物の分解除去を行う(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-071478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記のような水処理システムでは、散水濾床において発生するハエ等の駆除対象生物を効率的に駆除することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
駆除対象生物の駆除を効率的に行うため、本発明における散水濾床システムは、被処理水についての生物処理を行う担体が充填された槽と、前記槽に対して前記被処理水を散水する散水管と、オゾンを発生するオゾン発生装置と、前記槽及び前記被処理水のうちの少なくともいずれかに対して前記オゾンを供給する供給管と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明における散水濾床システム及び洗浄方法によれば、駆除対象生物の駆除を効率的に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施の形態における水処理システム1000の構成例について説明する図である。
図2図2は、比較例における散水濾床システム900の構成例について説明する図である。
図3図3は、第1の実施の形態における散水濾床システム100の構成例について説明する図である。
図4図4は、制御装置30による供給制御処理の具体例について説明する図である。
図5図5は、制御装置30による供給制御処理の具体例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1の実施の形態における水処理システム1000]
初めに、第1の実施の形態における水処理システム1000の構成例について説明を行う。図1は、第1の実施の形態における水処理システム1000の構成例について説明する図である。
【0009】
水処理システム1000は、図1に示すように、例えば、散水濾床システム100と、散水濾床システム100の前段に設けられた濾過装置200と、散水濾床システム100の後段に設けられた濾過装置300とを有する。
【0010】
濾過装置200は、例えば、ラインL1を介して供給された被処理水の濾過を行うことによって、被処理水に含まれる浮遊物質(SS:Suspended Solid)等を除去する。ラインL1は、例えば、水処理システム1000の外部と濾過装置200とを連通する配管である。具体的に、濾過装置200では、例えば、槽(図示せず)に充填された担体を用いることによって、被処理水に含まれる浮遊物質等の除去を行う。そして、濾過装置200は、例えば、浮遊物質等の除去を行った被処理水を、ラインL2を介して散水濾床システム100に供給する。ラインL2は、例えば、濾過装置200と散水濾床システム100とを連通する配管である。
【0011】
散水濾床システム100は、例えば、ラインL2を介して供給された被処理水に含まれる有機物を生物処理によって除去する。そして、散水濾床システム100は、例えば、生物処理を行った被処理水を、ラインL3を介して濾過装置300に供給する。ラインL3は、例えば、散水濾床システム100と濾過装置300とを連通する配管である。
【0012】
濾過装置300は、例えば、ラインL3を介して供給された被処理水の濾過を行うことによって、被処理水に含まれる浮遊物質等(例えば、濾過装置200において除去されなかった浮遊物質等や、濾過装置200から剥離した浮遊物質等)を除去する。具体的に、濾過装置300では、例えば、槽(図示せず)に充填された担体を用いることによって、被処理水に含まれる浮遊物質等の除去を行う。そして、濾過装置300は、例えば、浮遊物質等の除去を行った被処理水を、ラインL4を介して後段設備(例えば、被処理水の滅菌を行う滅菌槽等)に供給する。ラインL4は、例えば、濾過装置300と後段設備とを連通する配管である。
【0013】
[比較例における散水濾床システム900]
次に、第1の実施の形態における散水濾床システム100に対応する比較例について説明を行う。図2は、比較例における散水濾床システム900の構成例について説明する図である。
【0014】
散水濾床システム900は、図2に示すように、例えば、散水濾床装置10を有する。
【0015】
散水濾床装置10は、例えば、好気性の微生物を付着保持させた担体11と、担体11が充填された充填槽12(以下、単に槽12とも呼ぶ)と、担体11に対して被処理水の散水を行う散水管13と、充填槽12に充填された担体11を下方から支持する支持部材14と、担体11において生物処理が行われた被処理水を一時的に貯留する貯留槽15とを有する。なお、担体11は、例えば自然石や樹脂等である。
【0016】
散水管13は、例えば、充填槽12において担体11が充填されている空間12b(以下、充填部12bとも呼ぶ)よりも上方の空間12a(以下、空間部12aとも呼ぶ)に設置され、上方から担体11に対して被処理水の散水を行う。
【0017】
具体的に、被処理水は、例えば、ラインL2に設けられたポンプP1によって、ラインL2を介して散水管13に供給される。なお、被処理水を、水位差による自然流下で散水管13へ供給する場合は、ポンプP1は不要となる。なお、被処理水は、この場合、例えば、散水濾床装置10の前段に設けられる貯留槽(図示せず)に一時的に貯留され、その貯留槽から散水管13に供給されるものであってもよい。散水管13に供給された被処理水は、散水管13から担体11に散水される。
【0018】
そして、担体11に散水された被処理水に含まれる有機物は、例えば、被処理水が担体11を通過する過程で、担体11に付着された微生物により分解除去される。その後、有機物の分解除去が行われた後の被処理水は、例えば、支持部材14に設けられた複数の孔14aを介して貯留槽15に供給された後、貯留槽15において一時的に貯留される。さらに、貯留槽15において貯留された被処理水(図2に示す例では被処理水W)は、例えば、ラインL3を介して濾過装置300に順次排出される。
【0019】
また、充填槽12には、例えば、充填槽12に空気を供給するラインL11が取り付けられる。ラインL11は、例えば、散水濾床装置10の外部と充填槽12とを連通する配管である。なお、ラインL11は、例えば、充填槽12において担体11が充填されている充填部12bよりも上方の空間部12aに取り付けられるものであってよい。
【0020】
また、貯留槽15には、例えば、充填槽12の空気を外部に排出するラインL12(以下、排出管とも呼ぶ)が取り付けられる。ラインL12は、例えば、充填槽12と散水濾床装置10の外部とを連通する配管であり、充填槽12の空気を排出する誘引ファンFが取り付けられている。
【0021】
なお、誘引ファンFは、例えば、充填槽12の空気をラインL12に対して排出するとともに、ラインL11を介して外部から供給された空気(外気)を充填槽12に対して誘引する。
【0022】
また、ラインL12は、例えば、ラインL11と連通することによって循環配管を形成するものであってもよい。そして、誘引ファンFは、この場合、例えば、ラインL12とラインL11と充填槽12と貯留槽15との間において、充填槽12に供給する空気の少なくとも一部を循環させるものであってもよい。
【0023】
さらに、貯留槽15には、例えば、貯留槽15に貯留された被処理水(被処理水W)を濾過装置300に供給するラインL3が取り付けられる。そして、ラインL3には、例えば、被処理水を濾過装置300に供給するポンプP2が取り付けられる。なお、ラインL3には、例えば、ポンプP2に加え、貯留槽15に貯留された被処理水の一部を濾過装置200やラインL2に供給(返送)する他のポンプ(図示せず)が取り付けられるものであってもよい。
【0024】
すなわち、ラインL11は、例えば、担体11に付着した微生物が有機物の分解を行うために必要な酸素を含む空気を充填槽12に対して供給する。そして、ラインL12は、例えば、担体11に付着した微生物によって酸素が消費された後の空気を充填槽12から排出する。
【0025】
ここで、充填槽12では、例えば、担体11に付着された微生物を餌とするオオチョウバエ、ホシチョウバエ及びサカマキ貝等の駆除対象生物が発生する場合がある。そして、散水濾床装置10では、この場合、担体11に付着された微生物が減少し、水処理機能(有機物の分解機能)が低下する。
【0026】
また、充填槽12では、例えば、ハエが散水濾床装置10の外部に逃げ出す可能性があり、衛生面や環境面において問題が生じる可能性がある。
【0027】
また、充填槽12では、例えば、ハエ等の駆除対象生物の糞が被処理水に混ざって流出する可能性があり、水質の悪化に繋がる可能性がある。
【0028】
さらに、充填槽12では、例えば、ハエ等の駆除対象生物が存在することによって、担体11に付着した微生物の量についての測定結果に誤差が生じる原因となる可能性がある。
【0029】
そのため、散水濾床装置10では、例えば、適切なタイミングにおいて担体11の洗浄を行い、駆除対象生物を充填槽12から排除する必要がある。
【0030】
この点、上記のような駆除対象生物の駆除を行う方法として、例えば、散水濾床装置10の浸漬洗浄が考えられる。この浸漬洗浄は、例えば、散水濾床装置10(充填槽12及び貯留槽15)を被処理水で満水にし、所定時間(例えば、12時間程度)が経過した後、被処理水を排出することによって担体11等の洗浄を行う方法である。これにより、散水濾床装置10では、例えば、駆除対象生物の駆除を行うことが可能になり、担体11に付着された微生物の減少を抑制することが可能になる。
【0031】
しかしながら、上記のような浸漬洗浄を行う場合、洗浄中の散水濾床装置10では、被処理水の流入を停止する必要がある。そのため、洗浄中の散水濾床装置10では、この場合、被処理水に対する処理を中断する必要がある。
【0032】
これに対し、散水濾床システム900では、例えば、複数の散水濾床装置10が配置される場合がある。これにより、散水濾床システム900では、例えば、一部の散水濾床装置10が洗浄中である場合であっても、他の散水濾床装置10において被処理水に対する処理を継続することが可能になる。
【0033】
しかしながら、散水濾床システム900が複数の散水濾床装置10を有する場合であっても、一部の散水濾床装置10が洗浄中である場合、散水濾床システム900では、他の散水濾床装置10における処理負担(処理する必要がある被処理水の量)が増加する。そのため、散水濾床システム900では、この場合、例えば、散水濾床装置10における有機物の分解除去が十分に行われず、処理水の水質が悪化する可能性がある。
【0034】
また、上記のような浸漬洗浄が行われる場合、例えば、被処理水の一部が洗浄用水として用いられる。そのため、散水濾床システム900は、この場合、例えば、処理が行われる被処理水の量が減少することになり、処理水の消費電力原単位が増加して省エネルギー性が低下する。
【0035】
そこで、本実施の形態における散水濾床システム100は、例えば、散水濾床装置10に対してオゾンを供給することによって駆除対象生物の駆除を行う。以下、第1の実施の形態における散水濾床システム100について説明を行う。
【0036】
[第1の実施における散水濾床システム100]
図3は、第1の実施の形態における散水濾床システム100の構成例について説明する図である。以下、図2で説明した散水濾床システム900と異なる点について説明を行う。なお、以下、充填槽12と貯留槽15とが一体化されている場合について説明を行うが、充填槽12と貯留槽15とは、それぞれ別々に設けられるものであってもよい。また、以下、散水濾床装置10を1つのみ有する散水濾床システム100について説明を行うが、散水濾床システム100は、複数の散水濾床装置10を有し、被処理水に対する処理を並列に行うものであってもよい。
【0037】
散水濾床システム100は、図3に示すように、例えば、オゾン発生装置20と、制御装置30とをさらに有する。
【0038】
オゾン発生装置20は、例えば、オゾンを発生する装置である。具体的に、オゾン発生装置20は、例えば、無声放電によって酸素を含む原料ガスからオゾンを発生する装置である。そして、オゾン発生装置20において発生したオゾンは、例えば、ラインL13(以下、単に供給管とも呼ぶ)を介して充填槽12に供給される。ラインL13は、図3に示すように、例えば、オゾン発生装置20とラインL11における充填槽12の入口側とを連通する配管である。すなわち、オゾン発生装置20において発生したオゾンは、例えば、ラインL11を通過する空気と混合した状態で充填槽12に供給される。
【0039】
なお、ラインL13は、例えば、オゾン発生装置20と充填槽12とを直接連通するものであってもよい。そして、オゾン発生装置20において発生したオゾンは、例えば、充填槽12に直接供給されるものであってもよい。また、ラインL13は、例えば、オゾン発生装置20とラインL2における充填槽12の入口側とを連通するものであってもよい。そして、オゾン発生装置20において発生したオゾンは、例えば、ラインL2を通過する被処理水(充填槽12に供給される前の被処理水)に対して供給され、ラインL2を通過する被処理水と混合した状態(一部が被処理水に溶解した状態)で充填槽12に供給されるものであってもよい。
【0040】
すなわち、本実施の形態における散水濾床システム100は、例えば、被処理水についての生物処理を行う担体11が充填された充填槽12と、充填槽12に対して被処理水を散水する散水管13と、オゾンを発生するオゾン発生装置20と、充填槽12及び被処理水のうちの少なくともいずれかに対してオゾンを供給するラインL13と、を備える。
【0041】
これにより、本実施の形態における散水濾床システム100は、例えば、充填槽12に供給されたオゾンによって駆除対象生物の駆除を行うことが可能になる。具体的に、散水濾床システム100は、例えば、ハエの卵及び幼虫に加えて、ハエの成虫についても駆除することが可能になる。そのため、散水濾床システム100は、例えば、浸漬洗浄を行う必要がなくなり、駆除対象生物の駆除を効率的に行うことが可能になる。具体的に、散水濾床システム100は、例えば、被処理水に対する処理の中断を行うことなく、駆除対象生物の駆除を行うことが可能になる。
【0042】
また、本実施の形態における散水濾床システム100では、例えば、被処理水の一部が洗浄用水として用いる必要がなくなる。そのため、散水濾床システム100では、例えば、浸漬洗浄が行われる場合と比較して、有機物の除去が行われる被処理水の量を増加させることが可能になる。したがって、散水濾床システム100では、例えば、処理水の消費電力原単位が減少させることが可能になり、省エネルギー性を向上させることが可能になる。
【0043】
図3に戻り、制御装置30は、例えば、オゾン発生装置20や誘引ファンFの制御を行うことにより、充填槽12に対するオゾンの供給を制御する処理(以下、供給制御処理とも呼ぶ)を行う。制御装置30は、例えば、CPU(Central Computing Unit)やメモリを有するコンピュータ装置である。
【0044】
具体的に、制御装置30は、例えば、オゾン発生装置20の起動及び停止や、誘引ファンFの起動及び停止を制御する。また、制御装置30は、例えば、オゾン発生装置20において発生されるオゾンの濃度を制御する。以下、供給制御処理の具体例について説明を行う。
【0045】
[制御装置30による供給制御処理の具体例]
図4及び図5は、制御装置30による供給制御処理の具体例について説明する図である。
【0046】
初めに、供給制御処理の第1具体例について説明を行う。図4(A)は、供給制御処理の第1具体例について説明するフローチャート図である。
【0047】
制御装置30は、図4(A)に示すように、例えば、オゾン供給タイミングになるまで待機する。オゾン供給タイミングは、例えば、1週間に1回等のタイミングであってよい。すなわち、制御装置30は、例えば、充填槽12における駆除対象生物の発生状況や駆除対象生物の成長サイクル等に応じて予め定められた間隔で供給制御処理を行うものであってよい。また、オゾン供給タイミングは、例えば、充填槽12に対するオゾンの供給を開始することを示す情報を管理者が入力したタイミングであってよい。さらに、オゾン供給タイミングは、例えば、担体11の洗浄が行われたタイミングであってよい。なお、ここでの担体11の洗浄は、例えば、充填槽12内に設けられた曝気ブロワ等の空気供給器(図示せず)からの空気供給によって行われる担体11の撹拌洗浄である。
【0048】
そして、オゾン供給タイミングになった場合(図4(A)のステップS1)、制御装置30は、例えば、オゾン発生装置20を制御することによって、オゾンを発生させるとともに、ラインL13(ラインL11及びラインL13)から充填槽12に対するオゾンの供給を行う(図4のステップS2)。具体的に、制御装置30は、この場合、例えば、予め定められた時間(以下、第1時間とも呼ぶ)が経過するまで、充填槽12に対するオゾンの供給を連続的に行う。第1時間は、特に限定はされないが、例えば、数分程度の時間であってよい。
【0049】
すなわち、制御装置30は、例えば、オゾン供給タイミングになった場合、誘引ファンFを起動させながら充填槽12に対するオゾンの供給を行うことによって、充填槽12(空間部12a及び充填部12b)と貯留槽15とのそれぞれにオゾンを供給する。
【0050】
これにより、制御装置30は、例えば、充填槽12と貯留槽15とのそれぞれに発生した駆除対象生物を駆除することが可能になる。
【0051】
次に、供給制御処理の第2具体例について説明を行う。図4(B)は、供給制御処理の第2具体例について説明するフローチャート図である。
【0052】
制御装置30は、図4(B)に示すように、例えば、オゾン供給タイミングになるまで待機する。
【0053】
そして、オゾン供給タイミングになった場合(図4(B)のステップS11)、制御装置30は、例えば、誘引ファンFを制御することによって、貯留槽15からラインL12に対する空気の排出を停止する(図4(B)のステップS12)。さらに、制御装置30は、この場合、例えば、オゾン発生装置20を制御することによって、オゾンを発生させるとともに、ラインL13(図3に示す例ではラインL11及びラインL13)から充填槽12に対するオゾンの供給を行う(図4(B)のステップS13)。
【0054】
すなわち、制御装置30は、例えば、充填槽12に対するオゾンの供給を行う際に、充填槽12からの空気の排出を停止することによって、充填槽12に対して供給したオゾンを充填槽12において一時的に留める。そして、制御装置30は、例えば、充填槽12において発生した駆除対象生物をオゾンによって駆除する。
【0055】
特に、図3に示すように、ラインL11から空間部12aに対してオゾンの供給を行う場合において、貯留槽15からの空気の排出を停止する場合、充填槽12に供給されたオゾンの多くは、担体11が障害物となって空間部12aに留まる。また、充填槽12において発生するハエの成虫の多くは、空間部12aにいる。そのため、制御装置30は、例えば、充填槽12に対するオゾンの供給を開始する際に、貯留槽15からの空気の排出を停止することで、空間部12aにおけるオゾン濃度を高めて空間部12aにいるハエの成虫を効率的に駆除することが可能になる。
【0056】
その後、制御装置30は、例えば、S13の処理の開始から予め定められた時間(以下、第2時間とも呼ぶ)の経過後、誘引ファンFを制御することによって、貯留槽15からラインL12に対する空気の排出を再開する(図4(B)のステップS14)。ここでの所定時間は、例えば、空間部12aに発生したハエの成虫を駆除するために必要な時間であってよい。第2時間は、特に限定はされないが、例えば、数分から数十分程度の時間であってよい。
【0057】
すなわち、制御装置30は、例えば、S13の処理の開始から第2時間が経過した後、貯留槽15からラインL12に対するオゾンの排出を行うことで、空間部12aに留まるオゾンを担体11の充填部12b及び貯留槽15に誘引する。そして、制御装置30は、例えば、充填部12b及び貯留槽15に発生した駆除対象生物(例えば、ハエの卵及び幼虫)についてもオゾンによって駆除する。
【0058】
ここで、充填槽12に供給されるオゾンは、濃度によっては、例えば、担体11に付着した微生物に対して有害である場合がある。そのため、制御装置30は、例えば、空間部12aに対するオゾンの供給開始後、第2時間が経過してから誘引ファンFを起動することによって、濃度が低下したオゾンを充填部12bに供給する。
【0059】
これにより、制御装置30は、例えば、充填槽12及び貯留槽15(以下、充填槽12等とも呼ぶ)において発生した駆除対象生物の駆除を、担体11に付着した微生物の死滅を抑制しながら行うことが可能になる。
【0060】
なお、図4(A)及び図4(B)で説明した例では、充填槽12に対するオゾンの供給を開始してから第1時間が経過したことに応じて、オゾンの供給を停止する場合について説明を行ったがこれに限られない。充填槽12に対するオゾンの供給は、例えば、常時行われるものであってもよい。
【0061】
次に、供給制御処理の第3具体例について説明を行う。図5(A)は、供給制御処理の第3具体例について説明するフローチャート図である。
【0062】
制御装置30は、図5(A)に示すように、例えば、充填槽12等においてハエ等の駆除対象生物が発生しているか否かを判定する。
【0063】
具体的に、制御装置30は、例えば、カメラ等の撮像装置(図示せず)が空間部12aを撮像した画像データを取得するものであってよい。そして、制御装置30は、例えば、取得した画像データに映るハエの数(例えば、充填槽12の内壁や散水管13に止まっているハエの数)を特定するものであってよい。その結果、画像データに映るハエの数が所定数以上であると判定した場合、充填槽12等においてハエ等の駆除対象生物が発生していると判定するものであってよい。
【0064】
そして、充填槽12等において駆除対象生物が発生していると判定した場合(図5(A)のステップS21のYES)、制御装置30は、例えば、オゾン発生装置20を制御することによって、オゾン発生装置20において生成されるオゾンの濃度を高くする(図5(A)のステップS22)。具体的に、制御装置30は、例えば、充填槽12に対するオゾンの供給が次に行われる際のオゾンの濃度が高くなるように制御を行う。
【0065】
一方、充填槽12等において駆除対象生物が発生していないと判定した場合(ステップS21のNO)、制御装置30は、例えば、ステップS22の処理を行わない。
【0066】
すなわち、充填槽12等において駆除対象生物が発生している場合とは、充填槽12に供給されるオゾンの濃度が十分でない場合である。そのため、制御装置30は、この場合、例えば、オゾン発生装置20において生成されるオゾンの濃度を高くする制御を行う。
【0067】
これにより、制御装置30は、例えば、充填槽12等における駆除対象生物の駆除を安定的に行うことが可能になる。
【0068】
なお、制御装置30は、例えば、駆除対象生物が発生していることを示す情報が管理者によって入力された場合(すなわち、管理者が充填槽12等における駆除対象生物の発生を確認した場合)においても、ステップS22の処理を行うものであってもよい。また、制御装置30は、例えば、駆除対象生物が発生していると判定した場合(ステップS21のYES)において、オゾン発生装置20が停止している場合、オゾン発生装置20を起動してオゾンの生成を開始するものであってもよい。
【0069】
次に、供給制御処理の第4具体例について説明を行う。図5(B)は、供給制御処理の第4具体例について説明するフローチャート図である。
【0070】
制御装置30は、図5(B)に示すように、例えば、充填槽12における担体11に付着した微生物活性が低下しているか否かを判定する。具体的に、制御装置30は、例えば、ラインL2とラインL3とのそれぞれに取り付けられた計測器(図示せず)が計測した値を参照し、散水濾床装置10に対する被処理水の流入に伴う有機物除去率が、予め定められた閾値を下回っている場合、充填槽12において有機物の分解が十分に行われていないと判定し、担体11に付着している微生物活性が低下していると判定する。
【0071】
そして、担体11に付着した微生物活性が低下していると判定した場合(図5(B)のステップS31のYES)、制御装置30は、例えば、オゾン発生装置20を制御することによって、オゾン発生装置20において生成されるオゾンの濃度を低くする(図5(B)のステップS32)。
【0072】
一方、担体11に付着した微生物活性が低下していないと判定した場合(ステップS31のNO)、制御装置30は、例えば、ステップS32の処理を行わない。
【0073】
すなわち、担体11に付着した微生物活性が低下している場合とは、充填槽12に供給されるオゾンによって、担体11に付着した微生物の一部が死滅した場合である。そのため、制御装置30は、この場合、例えば、オゾン発生装置20において生成されるオゾンの濃度を低くする制御を行う。
【0074】
これにより、制御装置30は、例えば、担体11に付着した微生物活性の低下を抑止することが可能になる。
【0075】
なお、制御装置30は、担体11に付着した微生物活性が低下していると判定した場合(ステップS31のYES)において、オゾン発生装置20が起動している場合、オゾン発生装置20を停止してオゾンの生成を中断するものであってもよい。
【0076】
すなわち、本実施の形態における散水濾床システム100は、例えば、ラインL13からのオゾンの供給を制御する制御装置30をさらに備える。また、散水濾床システム100は、例えば、充填槽12からオゾンを排出するラインL12をさらに備える。そして、ラインL13は、例えば、充填槽12において担体11よりも上方に取り付けられ、ラインL12は、例えば、充填槽12において担体11よりも下方に取り付けられ、制御装置30は、例えば、ラインL12による充填槽12からのオゾンの排出を停止し、オゾンの排出の停止に応じて、ラインL13による充填槽12に対するオゾンの供給を開始し、オゾンの供給の開始から所定時間(第2時間)が経過した後、ラインL12による充填槽12からのオゾンの排出を再開する。
【0077】
これにより、本実施の形態における散水濾床システム100は、例えば、充填槽12等において発生した駆除対象生物の駆除を、担体11に付着した微生物の死滅を防止しながら行うことが可能になる。
【0078】
また、散水濾床システム100では、充填槽12等に対してオゾンを供給することで、例えば、被処理水に含まれる有機物をオゾンによっても分解させることが可能になるともに、充填槽12等における脱臭を行うことが可能になる。さらに、散水濾床システム100では、充填槽12等に対してオゾンを供給することで、例えば、担体11に付着した微生物の自己消化を促進することが可能になり、これらの微生物の処分に要する費用を抑制することが可能になる。
【0079】
なお、散水濾床システム100は、例えば、充填槽12内に空気を供給して担体11を撹拌(例えば、撹拌洗浄)する曝気ブロワ等の空気供給器(図示せず)を備え、制御装置30は、充填槽12及び被処理水のうちの少なくともいずれかに対するオゾンを供給中に、空気供給器を動作させ、空気供給器から空気を充填槽12内に供給するものであってもよい。
【0080】
これにより、散水濾床システム100は、例えば、充填槽12に対するオゾンの供給時において、充填槽12内の担体11に対してオゾンを均一に接触させることが可能になる。
【0081】
具体的に、制御装置30は、例えば、図4(A)のステップS2の実行中や実行後において、空気供給器からの空気を充填槽12内に供給するものであってよい。また、制御装置30は、例えば、図4(B)のステップS14の実行後において、空気供給器からの空気を充填槽12内に供給するものであってよい。
【0082】
また、充填槽12の内壁及び外壁のうちの少なくともいずれかの少なくとも一部は、オゾン腐食防止部材で覆われるものであってよい。
【0083】
これにより、散水濾床システム100は、例えば、充填槽12内のオゾンにより、充填槽12の内壁や外壁が腐食することの防止が可能になる。
【0084】
また、ラインL12には、例えば、誘引ファンFの入口側において、ハエの成虫の大きさよりも目が小さい網(図示せず)を取り付けるものであってもよい。
【0085】
これにより、散水濾床システム100は、例えば、貯留槽15において発生したハエの成虫が誘引ファンFに到達することの防止が可能になり、誘引ファンFの故障、ハエの成虫が系外へ逃げること等を防止することが可能になる。
【0086】
また、ラインL12には、例えば、誘引ファンFの出口側において、貯留槽15から排出されたオゾンを分解する分解装置(図示せず)が取り付けられるものであってもよい。分解装置は、例えば、活性炭の充填槽や紫外線の照射装置である。
【0087】
これにより、散水濾床システム100は、例えば、充填槽12に供給したオゾンの一部が貯留槽15から排出された場合であっても、そのオゾンが外部に放出されることの防止が可能になる。
【0088】
さらに、制御装置30は、例えば、充填槽12に対するオゾンの供給が行われている間、ラインL12と貯留槽15とのうちの少なくとも1つに取り付けられた計測器(図示せず)が計測した値を参照し、貯留槽15内の空気やラインL12を通過する空気に含まれるオゾンの量(すなわち、駆除対象生物の駆除に用いられなかったオゾンの量)が予め定められた閾値以上であると判定した場合、オゾン発生装置20を制御することによって、オゾン発生装置20において生成されるオゾンの濃度を低くするものであってもよい。
【0089】
これにより、散水濾床システム100は、例えば、貯留槽15から排出されるオゾンの量を抑制することが可能になる。
【符号の説明】
【0090】
10:散水濾床装置 11:担体
12:充填槽 12a:空間部
12b:充填部 13:散水管
14:支持部材 14a:孔
15:貯留槽 20:オゾン発生装置
30:制御装置 100:散水濾床システム
200:濾過装置 300:濾過装置
900:散水濾床システム 1000:水処理システム
F:誘引ファン L1:ライン
L2:ライン L3:ライン
L4:ライン L11:ライン
L12:ライン L13:ライン
P1:ポンプ P2:ポンプ
W:被処理水
図1
図2
図3
図4
図5