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特開2023-14049シリコンコアの側面に二酸化ケイ素リブを有する偏光子ワイヤ
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  • 特開-シリコンコアの側面に二酸化ケイ素リブを有する偏光子ワイヤ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014049
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】シリコンコアの側面に二酸化ケイ素リブを有する偏光子ワイヤ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
G02B5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022112857
(22)【出願日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】63/222,592
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505373281
【氏名又は名称】モックステック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Moxtek, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】マシュー シー.ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ベイコン-ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】アール.スチュワート ニールソン
(72)【発明者】
【氏名】ショーン パトリック オグデン
【テーマコード(参考)】
2H149
【Fターム(参考)】
2H149AB01
2H149AB11
2H149BA03
2H149BA23
2H149FA41W
2H149FA41Z
2H149FD25
2H149FD46
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】ワイヤグリッド偏光子10は、基板11上にワイヤ15のアレイを含むことができる。各ワイヤ15は、シリコンコア12と、一対の二酸化ケイ素リブ13とを有することができる。コア12は一対のリブ13の間に挟むことができ、各リブ13はコア12の側壁12sに隣接している。リブ幅W13は、4nm以上とすることができる。各ワイヤ15はまた、二酸化ケイ素キャップ14を含むことができる。コア12は、二酸化ケイ素リング17によって囲むことができる。
【効果】ワイヤグリッド偏光子10、ならびに記載される方法によって製造されるワイヤグリッド偏光子は、(a)広範囲の紫外線スペクトルにわたって高い性能を有し、(b)広い入射角にわたって高い性能を有し、(c)耐久性(熱、湿気、紫外線、および酸化に耐性がある)があり得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤグリッド偏光子であって、
隣接するワイヤの各対の間にチャネルを有する基板上のワイヤのアレイを備え、
各ワイヤが、コアと一対のリブとを含み、前記コアが、90質量パーセント以上のシリコンを含み、各リブが、90質量パーセント以上の二酸化ケイ素を含み、
前記コアが、前記基板に最も近い近位端と、前記基板から最も遠い遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延在する一対の側壁とを含み、各側壁がチャネルに面し、
前記コアが前記一対のリブの間に挟まれ、各リブが前記コアの側壁に隣接し、
リブ幅が4nm以上であり、前記リブ幅が、前記コアの軸に垂直に測定され、前記コアの前記軸が、前記コアの中心で前記近位端から前記遠位端まで延在する、
ワイヤグリッド偏光子。
【請求項2】
前記コアの前記遠位端にキャップをさらに備え、前記キャップが、前記一対のリブを接続し、前記キャップが、90質量パーセント以上の二酸化ケイ素を含む、請求項1に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項3】
T14/W13≧2であり、T14は、前記コアの前記軸に平行に測定された前記キャップの厚さであり、W13は、前記近位端と前記遠位端との間の中間で測定された前記リブの幅である、請求項2に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項4】
前記基板が二酸化ケイ素を含み、前記キャップの密度は前記基板の密度よりも小さい、請求項2に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項5】
前記キャップおよび前記リブが、同じ質量パーセントの二酸化ケイ素を有する、請求項2に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項6】
前記一対のリブ、前記キャップ、および前記基板が、前記コアの周りに二酸化ケイ素のリングを形成する、請求項2に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項7】
前記コアが前記リングを満たす、請求項6に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項8】
最小リブ幅は5nm以上であり、最大リブ幅は12nm以下である、請求項1に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項9】
各ワイヤが、すべての側で前記基板または空気に隣接し、各ワイヤは、90質量パーセント以上のシリコンおよび酸素を含む、請求項1に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項10】
4≦AR12≦60であり、AR12は、コア厚さをコア幅で割ったものとして定義されるコアアスペクト比であり、前記コア幅は、前記コアの前記軸に垂直に測定され、8≦AR13≦60であり、AR13は、前記リブ厚さを前記リブ幅で割ったものとして定義されるリブアスペクト比であり、前記コア厚さおよび前記リブ厚さは、前記コアの前記軸に平行に測定され、両方の幅は、前記近位端と前記遠位端との間の中間で測定される、請求項1に記載のワイヤグリッド偏光子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ワイヤグリッド偏光子に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤグリッド偏光子は、光を2つの異なる偏光状態に分割することができる。一方の偏光状態は、主にワイヤグリッド偏光子を通過することができ、他方の偏光状態は、主に吸収または反射され得る。ワイヤグリッド偏光子の有効性または性能は、主に透過した偏光(Tpと呼ばれることもある)の高い透過率および反対の偏光(Tsと呼ばれることもある)の最小透過率に基づく。
【0003】
高いコントラスト(Tp/Ts)を有することが有益であり得る。コントラストは、主に透過する偏光の透過率を増加させる(例えば、Tpを増加させる)ことによって、および反対の偏光の透過率を減少させる(例えば、Tsを減少させる)ことによって向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図面は、一定の縮尺で描かれていない場合がある。
【0005】
図1】基板11上にワイヤ15のアレイを有するワイヤグリッド偏光子10の側断面図である。各ワイヤ15は、一対のリブ13の間に挟まれたコア12と、コア12の遠位端12dにあるキャップ14とを有することができる。コア12は、シリコンから作ることができる。基板11、一対のリブ13、およびキャップ14は、二酸化ケイ素から作ることができ、コア12の周りに二酸化ケイ素のリング17を形成する。
図2図1のワイヤグリッド偏光子10の斜視図である。
図3】基板11上にワイヤ15のアレイを有するワイヤグリッド偏光子30の側断面図である。各ワイヤ15は、一対のリブ13間に挟まれたコア12を有することができる。コア12は、シリコンから作ることができる。一対のリブ13は、二酸化ケイ素から作ることができる。コア12の遠位端12dには、リブ13がない場合がある。
図4】(a)基板11上にシリコン層45を塗布するステップと、(b)シリコン層45上に低屈折率層46を塗布するステップと、(c)シリコン層45上に、または使用される場合、低屈折率層46上に二酸化ケイ素層42を塗布するステップと、(c)二酸化ケイ素層42上に未硬化層43を塗布するステップとを含む、ワイヤグリッド偏光子を製造する方法におけるステップを示す側断面図である。
図5】上部リブ54のアレイをインプリントし、未硬化層43を硬化させて硬化層53を形成するステップを含む、ワイヤグリッド偏光子を製造する方法のステップを示す側断面図である。
図6】上部リブ54のアレイを使用して、二酸化ケイ素層42にマスクリブ62のアレイをエッチングするステップを含む、ワイヤグリッド偏光子を製造する方法のステップを示す側断面図である。
図7】マスクリブ62のアレイを使用して、低屈折率層46を低屈折率リブ76のアレイにエッチングする、および/またはシリコン層45をシリコンワイヤ75のアレイにエッチングするステップを含む、ワイヤグリッド偏光子を製造する方法のステップを示す側断面図である。
図8】オーブン81内でシリコンワイヤ75のアレイをベーキングするステップを含む、ワイヤグリッド偏光子を製造する方法のステップを示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
定義
以下の定義は、同じものの複数形を含め、本特許出願全体にわたって適用される。
【0007】
本明細書で使用される「細長い」という用語は、ワイヤ長さLがワイヤ幅W15およびワイヤ厚さT15よりも実質的に大きいことを意味する。例えば、ワイヤ長Lは、ワイヤ幅W15、ワイヤ厚さT15、またはその両方よりも、5倍以上、10倍以上、100倍以上、1000倍以上、または10,000倍以上とすることができる。図2を参照されたい。
【0008】
本明細書で使用される「上に」、「上に配置される」、「に配置される」、および「上に配置される」という用語は、直接配置されるか、または何らかの他の固体材料を挟んでその上に配置されることを意味する。「直接配置される」、「隣接する」、「隣接する」、および「隣接する」という用語は、直接かつ直接的な接触を意味する。
【0009】
本明細書で使用される「平行」という用語は、正確に平行、通常の製造公差内で平行、またはほぼ正確に平行を意味し、その結果、正確に平行からのいかなる逸脱も、デバイスの通常の使用において与える影響は無視できる程度である。
【0010】
本明細書で使用される「純粋なシリコン」という用語は、純度が99.9%以上であること、通常の製造公差内で純粋であること、またはほぼ正確に純粋であることを意味し、その結果、厳密に純粋なものからのいかなる逸脱も、デバイスの通常の使用において与える影響は無視できる程度である。
【0011】
本明細書中で使用される「nm」という用語は、ナノメートルを意味する。
【0012】
本明細書に記載されるワイヤグリッド偏光子10および30、ならびに本明細書に記載される方法によって製造されるワイヤグリッド偏光子は、(a)広範囲の紫外線スペクトルにわたって高い性能を有し、(b)広い入射角にわたって高い性能を有し、(c)耐久性(熱、湿気、紫外線、および酸化に耐性がある)があり得る。
【0013】
図1および図3に示すように、ワイヤグリッド偏光子10および30は、基板11上にワイヤ15のアレイを含むように示されている。基板11は、紫外線スペクトルの吸収率が低い材料とすることができる。基板11は、溶融シリカまたは他のタイプのガラスであってもよい。基板11は、以下に説明するように、二酸化ケイ素を含むことができる。
【0014】
ワイヤ15のアレイは、平行で細長くすることができる。ワイヤ15のピッチPは、紫外線スペクトルなどの所望の偏光範囲の最低波長の1/2未満とすることができる。
【0015】
隣接するワイヤ15の各対の間にチャネル16があり得る。チャネル16は、空気または他の気体、真空、液体、固体、またはこれらの組合せで満たされ得る。チャネル16内の任意の固体は、紫外線など所望の偏光に対して透明であり得る。
【0016】
各ワイヤ15は、大部分がシリコンであるコア12と、大部分が二酸化ケイ素である一対のリブ13とを有することができる。コア12は、一対のリブ13の間に挟まれ得る。
【0017】
コア12は、基板に最も近い近位端12pと、基板から最も遠い遠位端12dと、近位端12pと遠位端12dとの間に延在する一対の側壁12sとを有することができる。各側壁12sは、チャネル16に面し得る。
【0018】
各リブ13は、コア12の側壁12sに隣接(adjacent)していても、または隣接(adjoin)しもよい。一対のリブ13は、コア12の近位端12pから遠位端12dまで延在し得る。
【0019】
図1に示すように、ワイヤ15は、コア12の遠位端12dにキャップ14をさらに備えることができる。キャップ14は、一対のリブ13を接続することができる。キャップ14およびリブ13は、同じ質量パーセントの二酸化ケイ素を有することができる。
【0020】
あるいは、キャップ14は、別の材料から作ることができ、リブ13とは異なる材料組成を有することができる。キャップ14は、ワイヤグリッド偏光子の性能を向上させるために、低い屈折率を有することができる。例えば、キャップ14は、紫外線または可視スペクトルにおいて100nm、200nm、または300nmの波長範囲にわたって1.5以下または1.6以下である屈折率nを有する材料を含むことができる。キャップは、フッ化マグネシウム、酸化ハフニウム、二酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム、またはこれらの組合せを含むことができる。キャップは、これらの材料のいずれかを、90質量パーセント以上含むことができる。
【0021】
キャップ14が二酸化ケイ素を含む場合、一対のリブ13、キャップ14、および基板11は、コア12の周りにリング17を形成することができる。リング17は、リング17全体にわたって、50質量パーセント以上、80質量パーセント以上、90質量パーセント以上、95質量パーセント以上、99質量パーセント以上、または99.9質量パーセント以上の二酸化ケイ素を有することができる。
【0022】
コア12は、リング17を満たすことができる。コア12は、リング17の内側の唯一のものとすることができる。この段落では、コア12のものとリング17のものとの間の化学組成を有する任意の遷移領域は、コア12の一部であると見なされる。
【0023】
図3には、キャップ14のないワイヤ15が示されている。各ワイヤ15の一対のリブ13は、コア12の遠位端12dで二酸化ケイ素によって接続されず、互いに分離することができる。コア12の遠位端12dは、空気に隣接することができる。
【0024】
リブ13およびキャップ14は、ワイヤグリッド偏光子のベーク中に同時に形成することができる。次いで、追加の製造ステップによりキャップ14を取り外すことができる。ワイヤグリッド偏光子10および30の性能は似ているので、両方の設計が有用である。しかしながら、キャップ14の除去の付加的な製造ステップを回避するために、ワイヤグリッド偏光子10は好ましい。
【0025】
各ワイヤ15は、基板11または空気にすべての側面で隣接することができる。各ワイヤ15は、90質量パーセント以上、95質量パーセント以上、99質量パーセント以上、または99.9質量パーセント以上のシリコンおよび酸素を含むことができる。
【0026】
コア12は、ほとんどシリコンであってもよい。例えば、コア12は、80質量パーセント以上、90質量パーセント以上、95質量パーセント以上、99質量パーセント以上、または99.9質量パーセント以上のシリコンを有することができる。コアは、ゲルマニウムなどの他の元素を含むこともできる。
【0027】
シリコンコア12を有するワイヤ15は、紫外線スペクトルの広い範囲にわたって高い性能を有することができる。それらは、広い入射角にわたって偏光することができる。それらは、耐久性があり得る(熱、湿気、および紫外線に耐性がある)。
【0028】
リブ13、キャップ14、基板11、またはこれらの組合せは、二酸化ケイ素を含むことができる。リブ13は、80質量パーセント以上、90質量パーセント以上、95質量パーセント以上、99質量パーセント以上、または99.9質量パーセント以上の二酸化ケイ素を有することができる。キャップ14は、80質量パーセント以上、90質量パーセント以上、95質量パーセント以上、99質量パーセント以上、または99.9質量パーセント以上の二酸化ケイ素を有することができる。基板11は、80質量パーセント以上、90質量パーセント以上、95質量パーセント以上、99質量パーセント以上、または99.9質量パーセント以上の二酸化ケイ素を有することができる。基板11、リブ13、キャップ14、またはこれらの組合せは、37~57質量パーセントのシリコンおよび63~43質量パーセントの酸素(全質量パーセントのシリコン+酸素+他の化学元素=100%)を有することができる。
【0029】
基板11は、リブ13、キャップ14、またはその両方とは異なる材料組成を有することができる。この差は、以下に説明する製造方法に起因し得る。この差は、ワイヤグリッド偏光子の性能にとって好ましい。例えば、リブ13、キャップ14、またはその両方の密度は、基板11の密度よりも小さくすることができる。別の例として、リブ13、キャップ14、またはその両方は、基板11よりも高い質量パーセントの二酸化ケイ素を有することができる。
【0030】
一対のリブ13とキャップ14とは、互いに隣接することができる。一対のリブ13とキャップ14とは一体的に形成することができる。一対のリブ13およびキャップ14は、単一のモノリシック構造とすることができる。一対のリブ13およびキャップ14は、同じパーセントの二酸化ケイ素、同じ密度、または両方を有することができる。リブ13とキャップ14とを一体的に形成することにより、ワイヤグリッド偏光子の性能を向上させることができる。この向上は、リブ13とキャップ14との同一の材料組成と、リブ13とキャップ14との間のより良好な接続とに起因する。
【0031】
リブ幅W13、コア幅W12、リブアスペクト比AR13、コアアスペクト比AR12、およびキャップ厚さT14は、ワイヤグリッド偏光子の性能向上のために選択することができる。リブアスペクト比AR13は、リブ厚さT13をリブ幅W13で割った値に等しい。コアアスペクト比AR12は、コア厚さT12をコア幅W12で割ったものに等しい。
【0032】
リブ幅W13およびコア幅W12は、コア12の軸18に垂直に測定される(図1および3を参照)。軸18は、コア12の中心でコア12の近位端12pから遠位端12dまで延在する。リブ幅W13およびコア幅W12は、近位端と遠位端との間の中間で測定される。リブ厚さT13、コア厚さT12、およびキャップ厚さT14は、コア12の軸18に平行に測定される。
【0033】
例えば、リブ幅W13は、3nmを超える、4nm以上、5nm以上、または7nm以上とすることができる。これらのリブ幅W13は、すべてのリブ幅W13の最小値とすることができる。別の例として、リブ幅W13は、7nm以下、10nm以下、12nm以下、または15nm以下とすることができる。これらのリブ幅W13は、すべてのリブ幅W13の最大値とすることができる。リブ幅W13は、ベーク時間および温度によって制御することができる。ワイヤグリッド偏光子の性能を向上させるためには、600℃で8時間ベークすることが好ましい。
【0034】
リブ幅W13とコア幅W12との例示的な関係は、0.2≦W12/W13、1≦W12/W13、2≦W12/W13、または4≦W12/W13、およびW12/W13≦4、W12/W13≦8、W12/W13≦12を含む。例示的なコアアスペクト比AR12は、4≦AR12、10≦AR12、または20≦AR12、およびAR12≦30、AR12≦50、またはAR12≦60を含む。例示的なリブアスペクト比AR13は、8≦AR13、10≦AR13、または20≦AR13、およびAR13≦30、AR13≦50、またはAR13≦60を含む。キャップ厚さT14とリブ幅W13との間の例示的な関係は、T14/W13≧1.5、T14/W13≧2、またはT14/W13≧4を含む。
【0035】
高いコアアスペクト比AR12は、ワイヤグリッド偏光子性能を向上させることができるが、弱いワイヤ13をもたらす可能性もある。一対のリブ13は、高いコアアスペクト比AR12でコア12を強化することができる。
【0036】
ワイヤ15のアレイの例示的なピッチは、P≧20nm、P≧40nm、またはP≧55nm、およびP≦55nm、P≦80nm、P≦110nm、またはP≦150nmを含む。
【0037】
ワイヤグリッド偏光子を製造する方法は、以下のステップのいくつかまたはすべてを含むことができる。これらのステップは、以下の順序で、またはそのように指定された場合は他の順序で実行することができる。特許請求の範囲に明示的に示されていない限り、ステップのいくつかは、同時に実行することができる。ワイヤグリッド偏光子の構成要素は、上述のような特性を有することができる。上述されていない、以下の方法におけるワイヤグリッド偏光子の特性の任意の追加の説明は、上述されたワイヤグリッド偏光子に適用可能である。
【0038】
ワイヤグリッド偏光子を製造する第1の方法は、以下のステップ、
(a)基板11上にシリコン層45を塗布するステップ、
(b)シリコン層45上に低屈折率層46を塗布するステップ(任意のステップ)、
(c)シリコン層45上に、または使用される場合、低屈折率層46上に二酸化ケイ素層42を塗布するステップ、
(d)二酸化ケイ素層42上に未硬化層43を塗布するステップ、
(e)上側リブ54のアレイをインプリントし、未硬化層43を硬化させて、未硬化層43を固体の硬化層53に形成するステップ、
(f)上部リブ54のアレイを使用して、二酸化ケイ素層42をエッチングしてマスクリブ62のアレイを形成するステップ、
(g)マスクリブ62のアレイを使用して、(i)低屈折率層46(使用される場合)を低屈折率リブ76のアレイにエッチングする、および/または(ii)シリコン層45をシリコンワイヤ75のアレイにエッチングするステップ、および
(h)シリコンワイヤ75の外面上の酸化物の厚さを増大させ、一対のリブ13に挟まれたコア12と、基板11から最も遠いコア12の遠位端12dにあるキャップ14とに各シリコンワイヤ75を形成するステップ
のいくつかまたはすべてを含むことができる。
【0039】
ステップ(a)~(d)を図4に示す。ステップ(e)を図5に示す。ステップ(f)を図6に示す。ステップ(g)を図7に示す。ステップ(h)をオーブン81とともに図8に示す。ステップ(h)は図1図3にも示す。
【0040】
シリコン層45は、純粋なシリコンとすることができる。ステップ(a)におけるシリコン層45は、スパッタ堆積または蒸着によって適用することができる。スパッタ堆積が好ましい。99.999原子パーセント以上のシリコンを有するターゲットの使用が好ましい。ワイヤグリッドの性能は、スパッタ堆積から生じるシリコンコア12の純度および密度によって向上させることができる。シリコン層45は、基板11に隣接することができる。
【0041】
低屈折率層46を適用するステップ(b)と、低屈折率層46を低屈折率リブ76のアレイにエッチングするステップ(g)(i)は、この第1の方法では任意である。これらのステップ(b)および(g)(i)が行われる場合、低屈折率リブ76はキャップ14であり得る。低屈折率層46および低屈折率リブ76は、キャップ14について上述したような材料組成を有することができる。
【0042】
ステップ(b)の低屈折率層46およびステップ(c)の二酸化ケイ素層42は、スパッタ堆積によって適用することができる。二酸化ケイ素層42は、低屈折率層46またはシリコン層45に隣接することができる。
【0043】
ステップ(d)における未硬化層43は、連続相全体に分散された固体無機ナノ粒子、例えば二酸化ケイ素ナノ粒子を有する液体とすることができる。
【0044】
ステップ(e)における硬化は、連続相の蒸発を含むことができる。無機ナノ粒子は、有機部分に結合した二酸化ケイ素を含むことができる。有機部分の例には、-SH、-ROH(R=アルキル)、-CH、および-CHCHが含まれる。硬化層53の完全性は、例えば約125℃のような比較的低い温度で硬化することによって向上させることができる。
【0045】
ステップ(d)における上側リブ54のアレイの硬化およびインプリントは、同時であってもよいし、連続的であってもよい。通常、インプリントは、最初に、または部分的に硬化と同時に行われる。
【0046】
低屈折率層46が使用されない場合、シリコン層45は、マスクリブ62のアレイと基板11との間の唯一の固体層とすることができる。低屈折率層46が使用される場合、シリコン層45および低屈折率層46は、マスクリブ62のアレイと基板11との間の唯一の固体層とすることができる。
【0047】
ステップ(h)では、コア12は90質量パーセント以上のシリコンを有することができ、リブ13およびキャップ14は90質量パーセント以上の二酸化ケイ素を有することができる。
【0048】
ステップ(h)において、シリコンワイヤの外面上の酸化物の厚さを増大させることは、シリコンワイヤ上で実行される以下の手順、すなわち、急速熱アニーリング、電磁加熱(例えば、マイクロ波)、酸素プラズマ、水プラズマ、ベーキング、陽極酸化、またはこれらの組合せのうちの1つ以上を含むことができる。これらの方法のいずれも、空気または酸素中で行うことができる。シリコンワイヤの外面上の酸化物の厚さを増大させるための他の可能な方法は、化学酸化、紫外線およびオゾンへの暴露、またはその両方を含む。
【0049】
ステップ(h)において、酸化物の厚さを増大させるためにベーキングが使用される場合、例示的な温度は、400℃以上、500℃以上、または550℃以上、および650℃以下、700℃以下、または800℃以下を含む。ベーク時間は、3時間以上、5時間以上、または7時間以上、および9時間以下、12時間以下、または15時間以下を含むことができる。
【0050】
ワイヤ15をシリコンから製造し、次いでベーキングして二酸化ケイ素のリブ13を形成することにより、より高いコアアスペクト比AR12を得ることができる。このより高いコアアスペクト比AR12は、ワイヤグリッド偏光子の性能を向上させることができる。
【0051】
ワイヤグリッド偏光子を製造する第2の方法は、以下のステップ、
(a)基板11上にシリコン層45を塗布するステップ、
(b)シリコン層45をパターニングし、エッチングして、シリコンワイヤ75のアレイを形成するステップ、および
(c)シリコンワイヤ75の外面上の酸化物の厚さを増大させ、一対のリブ13に挟まれたコア12と、基板11から最も遠いコア12の遠位端12dにあるキャップ14とに各シリコンワイヤ75を形成するステップ
のいくつかまたはすべてを含むことができる。
【0052】
ステップ(a)および(b)を図4図7に示す。パターニングおよびエッチングは、レーザ干渉リソグラフィによって行うことができる。層46、42、および43は任意である。ステップ(c)を、オーブン81とともに図8に、ならびに図1および図3に示す。第1の方法のステップ(b)および(g)(i)は、この第2の方法に追加することができる。第1の方法についての上記の追加の説明も、この第2の方法に適用することができる。第1の方法におけるステップ(a)の説明は、第2の方法におけるステップ(a)に適用することができる。第1の方法におけるステップ(h)の説明は、第2の方法におけるステップ(c)に適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】