(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140495
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 19/06 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
B25J19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046361
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川井田 健太
(72)【発明者】
【氏名】川西 敏次
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS06
3C707BS12
3C707BT05
3C707CT05
3C707CV08
3C707CW08
3C707CX01
3C707CY32
3C707FS01
3C707FT04
3C707FU01
3C707HS27
3C707HT02
3C707HT17
3C707MS02
3C707NS24
(57)【要約】
【課題】ナットランナ側の軸方向に作用する荷重が、支持アームの回動軸(第6軸)に沿って作用してしまう。
【解決手段】ロボット本体2と、支持アーム15に、第1連結具30を介して、着脱自在に取付けられた固定ブラケット60と、固定ブラケット60に固定されたナットランナ40と、ナットランナ40に着脱自在に取付けられ、かつ、締結具Mに係合する工具ユニット50と、を備えており、工具ユニット50は、ナットランナ40により、締結具Mの締め付け方向に回転する回転ロッド51を有しており、回転ロッド51の回転軸JAは、第6軸J6に対して傾斜している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸の周りに旋回する基台と、
前記基台に対して、第2軸の周りに回動自在に枢着されたロアアームと、
前記ロアアームに対して、前記第2軸に平行な第3軸の周りに回動自在に枢着され、長手方向に沿った第4軸の周りに回動自在となるアッパアームと、
前記アッパアームの先端部において、前記第3軸に平行な第5軸の周りに回動自在に枢着され、長手方向に沿った第6軸の周りに回動自在となる支持アームと、を備えたロボット本体と、
前記支持アームに、連結具を介して、着脱自在に取付けられた固定ブラケットと、
前記固定ブラケットに固定されたナットランナと、
前記ナットランナに着脱自在に取付けられ、かつ、締結具に係合する工具ユニットと、を備えており、
前記工具ユニットは、前記ナットランナにより、前記締結具の少なくとも締め付け方向に回転する回転ロッドを有しており、
前記回転ロッドの回転軸は、前記第6軸に対して傾斜していることを特徴とする産業用ロボット。
【請求項2】
前記固定ブラケットは、
前記回転軸に沿った方向に延在したベースプレートと、
前記ナットランナの基端側で、前記ベースプレートに固着され、前記ナットランナを固定する第1エンドプレートと、
前記ナットランナの先端側で、前記ベースプレートに固着され、かつ、前記ナットランナのソケットに、前記回転ロッドを挿通する挿通部が形成された第2エンドプレートと、
前記ナットランナを挟むように、前記第1エンドプレートの縁部と前記ベースプレートの縁部に固着され、前記回転軸に沿った方向に延在する一対の第1補強リブと、
前記ナットランナを挟むように、前記第2エンドプレートの縁部と前記ベースプレートの縁部に固着され、前記回転軸に沿った方向に延在する一対の第2補強リブと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の産業用ロボット。
【請求項3】
前記連結具は、前記固定ブラケットに取付けられた第1コネクタと、前記支持アームに取付けられ、前記第1コネクタに連結される第2コネクタとを備えており、
前記第6軸と前記回転軸は同一の仮想平面上にあり、
前記固定ブラケットは、前記第1コネクタを取付ける取付けプレートと、前記仮想平面上に延在し、前記取付けプレートと前記ベースプレートとを連結する連結リブと、をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の産業用ロボット。
【請求項4】
前記固定ブラケットは、前記連結リブを挟んで、前記連結リブから立ち上り、前記取付けプレートと前記ベースプレートとに固着された一対の第3補強リブをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具ユニットとナットランナが、ロボット本体に装着された産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1には、多関節ロボットからなるロボット本体と、ロボット本体の先端の支持アームに、支持体を介して取付けられたナットランナと、ナットランナにより回転する回転軸と、回転軸に取付けられるビットと、を備えた産業用ロボットが開示されている。
【0003】
支持アームは、アームの長手方向を回動軸(第6軸)として回動しており、回転軸の回転と一致している。回転軸の軸心には、ビットを着脱自在に連結する連結具が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の産業用ロボットでは、ナットランナにより回転する回転軸と、ナットランナにより回転する回転軸が略平行であるため、ナットランナ側の軸方向に作用する荷重が、支持アームの回動軸(第6軸)に沿って作用してしまう。この結果、ロボット本体の損傷、動作不良などが、生じることが想定される。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロボットアームの支持アームに作用する荷重を低減することができる産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を鑑みて、本発明に係る産業用ロボットは、第1軸の周りに旋回する基台と、前記基台に対して、第2軸の周りに回動自在に枢着されたロアアームと、前記ロアアームに対して、前記第2軸に平行な第3軸に回動自在に枢着され、長手方向に沿った第4軸の周りに回動自在となるアッパアームと、前記アッパアームの先端部において、前記第3軸の周りに平行な第5軸の周りに回動自在に枢着され、長手方向に沿った第6軸の周りに回動自在となる支持アームと、を備えたロボット本体と、前記支持アームに、連結具を介して、着脱自在に取付けられた固定ブラケットと、前記固定ブラケットに固定されたナットランナと、前記ナットランナに着脱自在に取付けられ、かつ、締結具に係合する工具ユニットと、を備えており、前記工具ユニットは、前記ナットランナにより、前記締結具の少なくとも締め付け方向に回転する回転ロッドを有しており、前記回転ロッドの回転軸は、前記第6軸に対して傾斜していることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、回転ロッドの回転軸は、第6軸に対して傾斜しているので、工具ユニットの先端において、回転ロッドの長手方向に沿って荷重が作用したとしても、この荷重が、支持アームの軸方向に沿って、作用することを低減することができる。これにより、たとえば、工具ユニットの自動交換、および、工具による締結具の締め付け工程などにおいて、ロボット本体の支持アームに作用する荷重を低減することができる。
【0009】
より好ましい態様としては、前記固定ブラケットは、前記回転軸に沿った方向に延在したベースプレートと、前記ナットランナの基端側で、前記ベースプレートに固着され、前記ナットランナを固定する第1エンドプレートと、前記ナットランナの先端側で、前記ベースプレートに固着され、かつ、前記ナットランナのソケットに、前記回転ロッドを挿通する挿通部が形成された第2エンドプレートと、前記ナットランナを挟むように、前記第1エンドプレートの縁部と前記ベースプレートの縁部に固着され、前記回転軸に沿った方向に延在する一対の第1補強リブと、前記ナットランナを挟むように、前記第2エンドプレートの縁部と前記ベースプレートの縁部に固着され、前記回転軸に沿った方向に延在する一対の第2補強リブと、を備える。
【0010】
本態様によれば、ベースプレートの両端に、第1および第2エンドプレートを固着し、一対の第1補強リブと一対の第2補強リブとにより、回転ロッドの長手方向に沿った剛性を高めることができる。これにより、ナットランナに作用する荷重を低減し、工具ユニットの自動交換、および、工具ユニットによる締結具Mの締め付け工程などを、精度良く行うことができる。
【0011】
より好ましい態様としては、前記連結具は、前記固定ブラケットに取付けられた第1コネクタと、前記支持アームに取付けられ、前記第1コネクタに連結される第2コネクタとを備えており、前記第6軸と前記回転軸は同一の仮想平面上にあり、前記固定ブラケットは、前記第1コネクタを取付ける取付けプレートと、前記仮想平面上に延在し、前記取付けプレートと前記ベースプレートとを連結する連結リブと、をさらに備える。
【0012】
この態様によれば、第1コネクタと第2コネクタとの連結時に、固定ブラケットには、これらを連結する方向に沿って力が作用する。しかしながら、この態様では、ロボット本体の第6軸と回転軸とを含む仮想平面上に延在し、取付けプレートとベースプレートとを連結する連結リブにより、このときに作用する力を受けることができ、固定ブラケットの剛性を高めることができる。
【0013】
より好ましい態様としては、前記固定ブラケットは、前記連結リブを挟んで、前記連結リブから立ち上り、前記取付けプレートと前記ベースプレートとに固着された一対の第3補強リブをさらに備える。
【0014】
第1コネクタと第2コネクタとの連結時に、連結リブに曲げ応力が作用し易いところ、この態様によれば、連結リブから立ち上り、取付けプレートとベースプレートとに固着された一対の第3補強リブが設けられているので、連結リブの剛性をより高めることができる。これにより、第1コネクタと第2コネクタをより正確な位置に配置し、これらを連結する(接続する)ことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ロボットアームの支持アームに作用する荷重を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る産業用ロボットを正面側から視た斜視図である。
【
図2】
図1に示す産業用ロボットを背面側から視た斜視図である。
【
図3】ナットランナと固定ブラケットの側面図である。
【
図4】
図3に示すナットランナと固定ブラケットを正面側から視た模式的斜視図である。
【
図5】
図4に示すナットランナと固定ブラケットを背面側から視た模式的斜視図である。
【
図7】
図9に示すマガジンに工具ユニットを配置した状態の拡大図であり、ナットランナの第2連結具(第1コネクタ)を説明ための模式的斜視図である。
【
図8】
図9に示すマガジンに工具ユニットを配置した状態の拡大図であり、工具ユニットの第2連結具(第2コネクタ)を説明ための模式的斜視図である。
【
図9】マガジンに取付けられた複数種の工具ユニットの模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態に係る産業用ロボット1(以下、ロボット1という)を
図1~
図9を参照しながら詳述する。
【0018】
図1および
図2に示すように、ロボット1は多関節ロボットからなるロボット本体2を含み、ロボット本体2の先端に第1連結具30等を介して、ナットランナ40および工具ユニット50が取付けられたロボットである。
【0019】
1.ロボット本体2について
ロボット本体2は、マニュピュレータである。基台10は、設置面に設置されており、設置面に固定された固定台11と、設置面に対して直交する方向に沿った第1軸J1の周りに旋回する旋回台12と、を備えている。旋回台12は、固定台11に固定された第1モータ21の出力軸(図示せず)が接続されている。これにより、第1モータ21の駆動で、旋回台12(基台10)を固定台11に対して第1軸J1の周りに旋回させることができる。
【0020】
ロボット本体2は、旋回台12に基端が枢着されたロアアーム13と、ロアアーム13の先端に枢着されるアッパアーム14と、アッパアーム14の先端に枢着された支持アーム15と、有している。これらのアームは、金属製であり、たとえば、鋳鉄、またはアルニウム合金鋳物等の鋳物からなる。
【0021】
ロアアーム13の基端は、基台10の旋回台12に軸支されており、第2モータ22を介して、旋回台12に対して第2軸J2の周りに回動自在に枢着されている。ここで、第2軸J2は、第1軸J1と直交する方向に平行となる軸である。第2モータ22の動力により、ロアアーム13は、旋回台12に対して第2軸J2の周りに回動する。
【0022】
ロアアーム13の先端は、アッパアーム14に軸支されており、アッパアーム14は、第3モータ23を介して、ロアアーム13に対して、第2軸J2に平行な第3軸J3の周りに、回動自在に枢着されている。
【0023】
アッパアーム14は、ロボット本体2の腕部に相当し、第4モータ24に接続されており、第4モータ24の駆動により、その長手方向に沿った第4軸J4の周りに回動する。アッパアーム14の先端は、ロボット本体2の手首部に相当する部分であり、エンドエフェクタに相当するナットランナ40等を支持する支持アーム15が取付けられている。
【0024】
本実施形態では、アッパアーム14には、支持アーム15をアッパアーム14に対して枢動させる第5モータ(図示せず)が内蔵されている。第5モータは、アッパアーム14に内蔵された動力伝達ベルト等を介して、支持アーム15に接続されている。
【0025】
これにより、第5モータの動力が、アッパアーム14に内蔵された動力伝達ベルト(図示せず)に伝達されることで、支持アーム15は、アッパアーム14に対して第5軸J5の周りに回動(揺動)する。さらに、アッパアーム14には、支持アーム15の軸心(具体的には第6軸J6)の周りに、支持アーム15の先端部(本体部)を回動させる第6モータ(図示せず)が内蔵されている。本実施形態では、第6軸J6と回転軸JAは同一の仮想平面上にある。
【0026】
本実施形態では、ロボット1は、支持アーム15に、第1連結具30を介して、着脱自在に取付けられた固定ブラケット60と、固定ブラケット60に固定されたナットランナ40と、ナットランナ40に着脱自在に取付けられ、かつ、締結具に係合する工具ユニット50と、を備える。
【0027】
2.ナットランナ40について
ナットランナ40は、工具ユニット50の回転ロッド51を回転軸JA周りに回転させることにより、たとえば六角穴付きボルト、六角ボルト、ネジ、ナットなどを締結する装置である。このナットランナ40は、図示しないが、電源ケーブルが接続されたモータ、モータの出力軸に連結された減速機、工具ユニット50側に工具ユニット50の回転ロッド51を付勢する付勢部材、モータから後述するソケット43の回転を伝達するクラッチなどが、ケーシング41に内蔵されている。ナットランナ40は、一般的に知られた機器であるため、詳細な説明は、省略する。
【0028】
本実施形態では、ナットランナ40は、工具ユニット50の先端側に、ソケット43が取付けられており、ソケット43は、上述の内蔵されたモータ(図示ぜず)により回転するスピンドル42に連結されている。
【0029】
具体的には、
図7に示すように、スピンドル42の先端と、ソケット43とは、回転軸JAに直交する方向に、貫通孔(図示せず)が形成されており、この貫通孔にピン(図示せず)を挿入することにより、ソケット43がスピンドル42に連結されている。さらに、ソケット43の外周面において、ピンの両端が露出する位置に、溝部が形成されており、この溝に、ピンの脱落防止用のOリング44が配置されている。このようにして、ソケット43は、スピンドル42とともに回転軸JAの周りに回動する。
【0030】
ソケット43には、六角孔43aが形成されており、回転ロッド51の基端部51aが挿入されることにより、回転軸JAの周り(具体的には、締結具Mの締め付け方向および緩める方向)に、係止される。このようにして、ナットランナ40をモータ(図示せず)を駆動し、スピンドル42を回転させることにより、
図6に示す工具ユニット50の回転ロッド51(六角柱状の先端)に締結具Mに係合させ、締結具Mを締結することができる。
【0031】
3.工具ユニット50について
工具ユニット50は、
図6に示すように回転ロッド51を備えており、回転ロッド51は、回転軸JA方向に沿って形成されている。回転ロッド51は、支持ベース52に支持されており、さらに先端側において、スプライン53、吸引用リング55、およびシース56に挿通され、その先端が、シース56から露出している。
【0032】
シース56は、筒状であり、回転ロッド51を覆うように、回転ロッド51を挿通している。回転ロッド51とシース56との間には、僅かに隙間が形成されている。吸引用リング55からの吸引により、シース56の先端から空気を吸い込み、これらの隙間に流れる。
【0033】
ここで、回転ロッド51の先端に、締結具Mが係合している状態で、具体的には、締結具Mの六角孔に締結具Mの六角柱状の先端が係合している状態に、シース56の先端が、締結具Mの端面に当接する。したがって、このときに、回転ロッド51とシース56との間に負圧が発生し、工具ユニット50の先端部50aに、締結具Mを吸着させることができる。なお、吸引用リング55には、吸引プラグ55aが取着されており、この吸引プラグ55aは、チューブ(図示せず)を介して、後述する中継バルブ76の中継プラグ76dに接続されている。
【0034】
図1に戻り、本実施形態では、工具ユニット50の回転ロッド51の回転軸JAは、支持アーム15の第6軸J6に対して傾斜している。このように、回転ロッド51の回転軸JAは、第6軸J6に対して傾斜しているので、工具ユニット50の先端において、回転ロッド51の長手方向に沿って荷重が作用したとしても、この荷重が、支持アーム15の軸方向に沿って、作用することを低減することができる。これにより、たとえば、ロボット1による工具ユニット50の自動交換、および、工具ユニット50による締結具Mの締め付け工程などにおいて、ロボット本体2の支持アーム15に作用する荷重を低減することができる。
【0035】
4.固定ブラケット60について
図1~3に示すように、固定ブラケット60は、支持アーム15に、第1連結具30を介して、着脱自在に取付けられている。ここで、第1連結具30と支持アーム15との間には、ナットランナ40を駆動したり、工具ユニット50を自動的に交換したりするための電磁弁、センサ、エア圧の調整弁等の付帯装置が取付けられているが、これらの機器に関しては、一般的に知られたものであるので詳細な説明は省略する。
【0036】
図3~5に示すように、固定ブラケット60は、回転軸JAに沿った方向に延在したベースプレート63と、これらの両端に固着された第1および第2エンドプレート61、62とを備えている。ベースプレート63には、図示の如く、円形状の肉抜き部が設けられていてもよい。
【0037】
第1エンドプレート61は、ナットランナ40の基端側で、ベースプレート63に固着され、ナットランナ40を固定している。第2エンドプレート62は、ナットランナ40の先端側で、ベースプレート63に固着され、かつ、ナットランナ40のソケット43に、回転ロッド51を挿通する切り欠き部(挿通部)62aが形成されている。
【0038】
さらに、固定ブラケット60は、ナットランナ40を挟むように、第1エンドプレート61の縁部とベースプレート63の補強プレート63aの縁部に固着され、回転軸JAに沿った方向に延在する一対の第1補強リブ64、64を備えている。固定ブラケット60は、ナットランナ40を挟むように、第2エンドプレート62の縁部とベースプレートの補強プレート63aの縁部に固着され、回転軸JAに沿った方向に延在する一対の第2補強リブ65、65を備えている。
【0039】
補強プレート63aは、一対の第1補強リブ64、64が固着される部分を補強しており、補強プレート63bは、一対の第2補強リブ65、65が固着される部分を補強している。具体的には、補強プレート63a、63bにより、ベースプレート63は、回転軸JAに沿った両側の肉厚が厚くなっており、補強プレート63a、63bの間のベースプレート63の本体は、肉抜きされている。
【0040】
本実施形態では、ベースプレート63の一対の第1補強リブ64、64と一対の第2補強リブ65、65とにより、回転ロッド51の長手方向に沿った剛性を高めることができる。ナットランナ40に作用する荷重を低減し、工具ユニットの自動交換、および、工具ユニット50による締結具Mの締め付け工程などを、精度良く行うことができる。
【0041】
第1連結具30は、固定ブラケット60に取付けられた第1コネクタ31と、支持アーム15に取付けられ、第1コネクタ31に連結される第2コネクタ32とを備えている。第1コネクタ31と第2コネクタ32は、たとえば、後述する第2連結具70で説明するように、エアにより、自動的にこれらが相互に連結したり、非連結状態にしたりすることができる一般的に知られた機構であってもよく、これらを着脱することが自在にできるものであれば、その機構は特に限定されるものではない。また、第1コネクタ31と第2コネクタ32の連結時に、ロボット本体2側から、電力およびエアを、ナットランナ40側に自動的に供給可能となる接続機構(図示せず)が、設けられていてもよい。
【0042】
固定ブラケット60は、第1コネクタ31を取付ける取付けプレート69を備えている。さらに、固定ブラケット60は、第6軸J6と、回転ロッド51の回転軸JAを含む仮想平面上に延在し、取付けプレート69とベースプレート63とを連結する連結リブ67と、をさらに備えている。取付けプレート69は、ベースプレート63に対して、傾斜しており、取付けプレート69の法線方向が、第1コネクタ31と第2コネクタ32との接続方向Aに一致している。ここで、接続方向Aは、ロボット本体2の先端(具体的には、支持アーム15)を移動させることにより、これらを連結および連結解除する方向である。
【0043】
第1コネクタ31と第2コネクタ32との連結時に、固定ブラケット60には、これらを連結する接続方向Aに沿って力が作用する。ここで、
図1および
図2に示すように、連結リブ67は、ロボット本体20の第6軸J6と回転ロッド51の回転軸JAとを含む仮想平面上に延在し、取付けプレート69とベースプレート63とを連結しているので、このときに作用する力を安定して受けることができ、固定ブラケット60の剛性を高めることができる。これにより、工具ユニット50の自動交換、および、工具ユニット50による締結具Mの締め付け工程などを、精度良く行うことができる。
【0044】
連結リブ67の縁部のうち、ベースプレート63と対峙する縁部と反対側の縁部は、取付けプレート69から延在し、接続方向Aに沿って形成された第1縁部67aと、第1縁部67aに連続し、ベースプレート63が延在する方向に沿って形成された第2縁部67bとで、構成されている。このような第1および第2縁部67a、67bを設けることにより、第1縁部67aを含む部分で、接続方向Aに沿った荷重を受け、第2縁部67bを含む部分で、回転軸JA方向に沿った荷重を受けることができる。
【0045】
さらに、
図5に示すように、固定ブラケット60は、連結リブ67を挟んで、連結リブ67から立ち上り、取付けプレート69とベースプレート63とに固着された一対の第3補強リブ68、68をさらに備える。
【0046】
ここで、第1コネクタ31と第2コネクタ32との連結時に、連結リブ67に曲げ応力が作用し易いところ、本実施形態では、一対の第3補強リブ68、68が設けられているので、連結リブ67の剛性をより高めることができる。これにより、第1コネクタ31と第2コネクタ32をより正確な位置に配置し、これらを連結する(接続する)ことができる。
【0047】
5.第2連結具70について
本実施形態では、
図7および
図8に示すように、本実施形態では、回転ロッド51の回転軸JAから外れた位置において、回転ロッド51がソケット43に係止した状態で、工具ユニット50と固定ブラケット60とを着脱自在に連結する第2連結具70を有する。ここで、本実施形態では、第2連結具70は、回転軸JAを挟んで、一対(2つ)設けられている。なお、第2連結具70が連結した状態で、回転ロッド51の基端部51aは、ソケット43の六角穴(係止穴)43aに対して、回転軸JAに沿った方向に、隙間を形成している。したがって、工具ユニット50の装着時には、回転軸JA方向には、回転ロッド51は、ソケット43に非接触となる。
【0048】
第2連結具70は、第1コネクタ71と、第1コネクタ71に接続される第2コネクタ75とにより、連結されるものであり、エアを駆動源として連結および連結解除が行われる。第1コネクタ71と、第2コネクタ75との接続方向Bは、回転軸JAの方向に一致しており、これらは、連結時に接続方向Bに拘束される。したがって、第2連結具70により、ナットランナ40と、工具ユニット50とは、回転軸JAに沿った方向に拘束される。本実施形態では、
図7に示すように、第1コネクタ71は、第2エンドプレート62に設けられており、
図8に示すように、第2コネクタ75は、工具ユニット50のうち、回転ロッド51を支持する支持ベース52に、設けられている。
【0049】
第1コネクタ71は、エア供給プラグ71bが接続された本体71aと、本体71aから支持ベース52側に突出した突出部71cと、を有している。突出部71cの外周面には、周方向に等間隔に貫通孔71dが形成されており、エア供給時に、エア圧により、貫通孔71dに向かって移動し、貫通孔71dに係止される係止ボール(図示せず)が設けられている。本実施形態では、係止ボールは、エア圧により、貫通孔71dに係止されるが、たとえば、第1コネクタ71と第2コネクタ75とが着脱自在となるのであれば、係止ボールをばね等で、貫通孔71dに向かって付勢されてもよく、これらの構造は一般的に知られた構造である。
【0050】
第2コネクタ75は、リング状の部材であり、第1コネクタ71の突出部71cが挿入される貫通孔75bが形成されている。貫通孔75bを形成する内周壁には、エア供給時に、突出部71cの貫通孔71dに係止される係止溝75aが形成されている。
【0051】
このような結果、ロボット本体2の動作制御することにより、第1コネクタ71の突出部71cを、第2コネクタ75の貫通孔71dに挿入し、エア圧等を駆動源として、第1コネクタ71の係止ボールを、第2コネクタ75の係止溝75aに係合させる。
【0052】
さらに、エア圧を除圧し、第1コネクタ71の突出部71cを、第2コネクタ75の貫通孔71dから引き抜くことにより、係止ボールと係止溝75aとの係合が解除されるので、これらの連結を簡単に解除することができる。
【0053】
本実施形態では、
図7に示すように、第2連結具70の第1コネクタ71は、第2エンドプレート62を挟んで、第2補強リブ65が配置された位置に設けられている。
図9に示すような工具ユニット50を並設したマガジン91に対して、ロボット本体2により、第1コネクタ71を第2コネクタ75に連結する際に、固定ブラケット60に仮に衝撃荷重が作用したとしても、このような配置関係を満たすことにより、固定ブラケット60の変形を抑えることができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、
図7に示すように、固定ブラケット60の第2エンドプレート62には、エアの吸引用の吸引部72aが形成された第1接続部72が設けられている。さらに、
図6および
図8に示すように、工具ユニット50の支持ベース52には、第1接続部72に接続され、吸引部72aと連通する第2接続部(中継バルブ)76が設けられている。第1接続部72と、第2接続部76とは、第2連結具70の第1コネクタ71と第2コネクタ75とが連結された際に、後述する弁体72cと弁体76cとが当接する位置に配置されている。
【0055】
吸引部72aには、吸引ポート72dが設けられており、吸引ポート72dは、配管(図示せず)等を介して、吸引ポンプ(図示せず)に接続されている。さらに、第1接続部72には、接続プラグ72bが設けられており、接続プラグ72bには、吸引部72aの内部に形成された吸引通路(図示ぜず)を封止する球状の弁体72cが設けられている。
【0056】
弁体72cは、吸引部72aの内部からバネ等により、付勢されており、吸引通路を封止しており、第2接続部(中継バルブ)76の接続プラグ76aに設けられた球状の弁体76cと当接することにより、第2接続部76の内部空間と連通する。なお、第2接続部76の構造も、第1接続部72のもと同様の構造である。本実施形態では、第1接続部72は、ベースプレート63の寄りの第2エンドプレート62に固着されている。
【0057】
本実施形態では、第2連結具70の第1コネクタ71と第2コネクタ75とが連結された際に、接続プラグ72bの弁体72cと、接続プラグ76aの弁体76cとが当接し、バネ等で付勢されていた弁体72c、76cがそれぞれの接続プラグ72b、76aの内部に押し込まれる。ここで、第1接続部72は、ベースプレート63の寄りの第2エンドプレート62に固着されているので、固定ブラケット60の回転軸JAに沿った方向の剛性は高い。これにより、接続プラグ72b、76a同士の接触状態を安定して維持することができる。このような結果、第1接続部72および第2接続部76を介して、第2接続部(中継バルブ)76の中継プラグ76dからエアを吸引することができる。このような結果、上述した如く、締結具Mを、工具ユニット50の先端部50aに吸着させることができる。
【0058】
ここで、工具ユニット50と、これを装着したナットランナ40とは、
図9に示すマガジン91を備えた設置台90に配置されている。マガジン91は、設置台90の台座93に取付けられており、台座93は、支持脚94に支持されている。
【0059】
本実施形態によれば、第1連結具30を設けることにより、ロボット本体2の動作を制御し、たとえば、
図9に示すマガジン91に設置された第1コネクタ31に、ロボット本体2の支持アーム15の第2コネクタ32を連結することにより、工具ユニット50を装着したナットランナ40を、ロボット本体2に取付けることができる。このようにして、異なる仕様のナットランナ40であっても、固定ブラケット60に取付けられた第1連結具30を介して接続することができる。さらに、第2連結具70を固定ブラケット60に設けることにより、異なる仕様の工具ユニット50A、50B、50C等を簡単に交換することができる。
【0060】
このようにして、本実施形態では、回転ロッド51の回転軸JAから外れた位置において、回転ロッド51がソケット43に係止した状態で、第2連結具70により、工具ユニット50と固定ブラケット60とを着脱自在に連結することができる。第2連結具70は、ナットランナ40を固定する固定ブラケット60に設けられているので、ナットランナ40に、工具ユニット50を交換する際の力が作用せず、固定ブラケット60に作用する。第2連結具70は、回転軸JAを挟んで、一対(2つ)設けられているので、支持ベース52を介して回転ロッド51を安定して支持することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0062】
1:産業用ロボット、2:ロボット本体、10:基台、13:ロアアーム、14:アッパアーム、15:支持アーム、30:第1連結具、31:第1コネクタ、32:第2コネクタ、40:ナットランナ、43:ソケット、50:工具ユニット、51:回転ロッド、52:支持ベース、56:シース、60:固定ブラケット、61:第1エンドプレート、62:第2エンドプレート、62a:切り欠き部(挿通部)、63:ベースプレート、64:第1補強リブ、65:第2補強リブ、67:連結リブ、68:第3補強リブ、69:取付けプレート、70:第2連結具、71:第1コネクタ、72a:吸引部、75:第2コネクタ、76:第2接続部、M:締結具