(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140497
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】梱包材
(51)【国際特許分類】
B65D 5/12 20060101AFI20230928BHJP
B65D 85/64 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B65D5/12 Z
B65D85/64 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046366
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(71)【出願人】
【識別番号】305006624
【氏名又は名称】ダイナパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大黒 将誉
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 和樹
(72)【発明者】
【氏名】田地川 義隆
(72)【発明者】
【氏名】魚住 和也
【テーマコード(参考)】
3E037
3E060
【Fターム(参考)】
3E037AA20
3E037BA03
3E037BB02
3E037BB09
3E060AA03
3E060AB31
3E060BA03
3E060BB01
3E060BC02
3E060CA12
3E060CA23
3E060DA11
3E060EA20
(57)【要約】
【課題】梱包作業を容易に行うことができる梱包材を提供する。
【解決手段】梱包材1は、内梱包材10と外梱包材20とを備えている。内梱包材10は、底板部31と側板部42とを有している。底板部31は、被梱包物Gが載せられる。側板部42は、底板部31から立ち上がり被梱包物Gの側面を覆う。外梱包材30は、周壁部80とフラップ部90とを有している。周壁部80は上下に開口する。フラップ部90は、周壁部80の上端から延び、内側に折り曲げられることによって周壁部80の上端開口を封鎖する。内梱包材10は、吊り下げ部43を有している。吊り下げ部43は、側板部42の上端部に設けられ、フラップ部90に引っ掛けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被梱包物が載せられる底板部と、前記底板部から立ち上がり前記被梱包物の側面を覆う側板部と、を有する内梱包材と、
上下に開口する周壁部と、前記周壁部の上端から延び、内側に折り曲げられて前記周壁部の上端開口を封鎖するフラップ部と、を有して前記被梱包物を上方から覆う外梱包材と、
を備えており、
前記内梱包材は、前記側板部の上端部に設けられ、前記フラップ部に引っ掛けられる吊り下げ部を有している、梱包材。
【請求項2】
前記フラップ部は、前後一対及び左右一対の2対設けられており、
前記吊り下げ部は、折り曲げられた状態の前後の前記フラップ部に引っ掛けられ、折り曲げられた状態の左右の前記フラップ部に上から覆われる請求項1に記載の梱包材。
【請求項3】
前後の前記フラップ部は、前記吊り下げ部が通される開口を形成している請求項2に記載の梱包材。
【請求項4】
前記側板部は、前記底板部の前後の両端部及び左右の両端部の少なくとも一方に対をなして設けられた第1側板部であり、
前記内梱包材は、対をなす前記第1側板部の間に配置される第2側板部を有している請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の梱包材。
【請求項5】
前記吊り下げ部は、前記内梱包材が前記外梱包材に覆われる前の状態において前記第2側板部に引っ掛けられる引っ掛かり部を有している請求項4に記載の梱包材。
【請求項6】
前記内梱包材は、対をなす前記第1側板部の一方と前記第2側板部とを重ねて配置した状態で位置決めする位置決め部を有している請求項4から請求項5のいずれか一項に記載の梱包材。
【請求項7】
前記側板部は、前記底板部の前後の両端部に対をなして設けられており、
前記吊り下げ部は、対をなす前記側板部の左右両端部から上方に延びている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の梱包材。
【請求項8】
前記側板部は、下端側の部位に対して上端側の部位を内側方向に折曲させた折曲状態に折り曲げ可能な折り曲げ部を有しており、
前記内梱包材は、前記側板部を前記折曲状態で仮止めする仮止め部を有している請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の梱包材。
【請求項9】
前記折り曲げ部には2本の折罫が形成されている請求項8に記載の梱包材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の梱包材を開示している。この梱包材は、底トレイと、外装材と、を備えている。底トレイは被梱包物を載せる。底トレイには前後の側壁部が設けられている。前後の側壁部は被梱包物の側面を覆う。外装材は、前後左右の側壁部と、これら側壁部の上端に設けられた上蓋部とを有している。外装材は、側壁部の上下方向中間部に挿入部を有している。挿入部には、底トレイにおける前後の側壁部に設けられた耳部が挿入される。この梱包材は、耳部を外装材における前後の側壁部に設けられた挿入部に挿入して取り付けることによって、底トレイと外装材とが連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、挿入部は、外装材における前後の側壁部の上下方向の中間部に設けられている。このため、耳部を挿入部に挿入する際には、外装材における上側開口から上下方向の中間部まで手を突っ込んで作業を行う必要がある。このような作業は煩雑である。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、梱包作業を容易に行うことができる梱包材を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る梱包材は、被梱包物が載せられる底板部と、前記底板部から立ち上がり前記被梱包物の側面を覆う側板部と、を有する内梱包材と、上下に開口する周壁部と、前記周壁部の上端から延び、内側に折り曲げられて前記周壁部の上端開口を封鎖するフラップ部と、を有して前記被梱包物を上方から覆う外梱包材と、を備えており、前記内梱包材は、前記側板部の上端部に設けられ、前記フラップ部に引っ掛けられる吊り下げ部を有している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1に係る梱包材を示す斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る内梱包材を示す斜視図である。
【
図3】実施形態1に係る内梱包材を示す分解斜視図である。
【
図4】実施形態1に係る吊り下げパッドを示す展開図である。
【
図5】実施形態1に係る外梱包材を示す斜視図である。
【
図6】実施形態1に係る周壁部、フラップ部、及び吊り下げ部を説明するための斜視図である。
【
図7】実施形態1に係る梱包材による梱包手順を説明するための図であり、側板部が底トレイの前後方向に拡がっている状態を示す。
【
図8】実施形態1に係る梱包材による梱包手順を説明するための図であり、側板部を折曲状態とした状態を示す。
【
図9】
図8の要部拡大図であり、一部を破断して示す。
【
図10】実施形態1に係る梱包材による梱包手順を説明するための図であり、支柱板を底トレイと内トレイの間に差し込んだ状態を示す。
【
図11】実施形態1に係る梱包材による梱包手順を説明するための図であり、支柱板に対して側板部を位置決めした状態を示す。
【
図12】実施形態1に係る梱包材による梱包手順を説明するための図であり、引っ掛かり部を側板に引っ掛けた状態を示す。
【
図14】実施形態1に係る梱包材による梱包手順を説明するための図であり、内梱包材に外梱包材を被せた状態を示す。
【
図15】実施形態1に係る梱包材による梱包手順を説明するための図であり、前後のフラップ部を折り曲げた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
実施形態1に係る梱包材1は、
図1に示すように、被梱包物Gを梱包する。被梱包物Gは、陶器製便器本体等のいわゆる重量物である。梱包材1は、段ボールの板材を折り曲げる等して形成した複数の部材を組み合わせてなる。梱包材1は、
図1に示す被梱包物Gの梱包が完了した状態では、直方体状をなす。被梱包物Gは、PP(ポリプロピレン)バンド等の樹脂製の部材を一切用いることなく、段ボール製の梱包材1等、樹脂製以外の部材のみを用いて梱包される。
【0009】
以下の説明において、梱包材1における前後、左右、及び上下の各方向は、被梱包物Gを梱包した状態で水平面に置かれた梱包材1の方向を基準とする。梱包材1の前後、及び左右の方向は、上方から見た平面視における梱包材1の長手方向、及び短手方向をそれぞれ前後方向及び左右方向とする。各図に示すX軸、Y軸、及びZ軸は、それぞれ前後方向、左右方向、及び上下方向を表す。X軸、Y軸、及びZ軸において、各軸の正方向をそれぞれ前方、左方、及び上方とする。
【0010】
図1に示すように、梱包材1は、内梱包材10及び外梱包材20を備えている。内梱包材10及び外梱包材20は、内梱包材10に対して外梱包材20を上方から被せるようにして互いに組み合わせられる。
【0011】
図2及び
図3に示すように、内梱包材10は、部品構成的には、底トレイ30と、吊り下げパッド40と、内トレイ50と、前後一対の保護パッド60と、左右一対の保護パッド70と、を有している。底トレイ30は、底板部31と、起立部32と、を有している。底板部31は被梱包物Gが載せられる。底板部31は、前後方向に長い平面視長方形状をなしている。起立部32は、底板部31の四方の周縁から上方に立ち上がっている。底トレイ30は、これら底板部31と周囲の起立部32とによって、全体としてトレイ状をなしている。
【0012】
図3に示すように、吊り下げパッド40は一対設けられている。一対の吊り下げパッド40は、同じ形状の2つの部材である。一対の吊り下げパッド40は、前後方向で連結されている。一対の吊り下げパッド40は、底トレイ30の下面に接着によって取り付けられる。一対の吊り下げパッド40は、底トレイ30の前後の端部から前後方向に延伸した部分において、上方に折り曲げられて立ち上がる。
【0013】
図4に示すように、吊り下げパッド40は、下板部41と、側板部42と、吊り下げ部43と、を有している。
図4の展開図中に示す一点鎖線は折罫を示している。吊り下げパッド40は、各折罫において折り曲げ可能である。
【0014】
下板部41は、底トレイ30を構成する底板部31の下面に接着等によって取り付けられている。下板部41は、凹凸部41Aを形成している。凹凸部41Aは、対をなす吊り下げパッド40の他方における凹凸部41Aと互いに嵌合する。一対の吊り下げパッド40は、それぞれに凹凸部41A同士を嵌合させることによって前後方向に連結される。
【0015】
側板部42は、底トレイ30の前後方向の端部から立ち上がって被梱包物Gの側面を覆う。側板部42は、下板部41との間の折罫において下板部41に対して折り曲げられることによって、上方に延びる。
図4に示すように、側板部42は、折り曲げ部42Aと、切り起こし部42Bと、手掛け孔42Cと、を形成している。折り曲げ部42Aは、側板部42の上下方向の中間部に設けられている。側板部42は、この折り曲げ部42Aにおいて折り曲げ可能である。側板部42は、折り曲げ部42Aにおいて折り曲げることで、下端側の部位に対して上端側の部位を内側方向に折曲させた折曲状態にできる。本実施形態の場合、折り曲げ部42Aには、上下に並んだ2本の折罫が形成されている。
【0016】
切り起こし部42Bは、内側に切り起こされることで、前後の保護パッド60における後述する孔部60Aに嵌め込まれる。切り起こし部42B及び孔部60Aは、本開示に係る位置決め部の例示である。
図4に示すように、切り起こし部42Bは、折り曲げ部42Aにおける折罫に上下方向で跨るH字状の切り込みにおいて切り起こされる。手掛け孔42Cは、側板部42の上端部において左右に並んで2つ形成されている。手掛け孔42Cは、前後の保護パッド60における後述する手掛け孔60B及び外梱包材20における後述する手掛け孔80Aと重なる位置に対応して形成されている。
【0017】
吊り下げ部43は、外梱包材20における後述するフラップ部90に引っ掛けられる。
図4に示すように、吊り下げ部43は、側板部42の上端部に設けられている。吊り下げ部43は側板部42の左右の端部に一対設けられている。左右一対の吊り下げ部43は、互いに左右対称である。展開状態の吊り下げパッド40において、吊り下げ部43は、側板部42の上端部における左右の端部から左右方向外側に張り出した形態である。各吊り下げ部43は、側板部42に対して側板部42との間の折罫において折り曲げられることによって、前後方向に沿って延びた形態とされる。
【0018】
吊り下げ部43は、上端部43A及び下端部43Bを有している。上端部43Aは、側板部42の上端よりも上方まで延びている。下端部43Bは、上端において上端部43Aの下端に連続し、前後方向の端部において側板部42の左右の端部に連続している。吊り下げ部43は、上端部43Aと下端部43Bとの間に形成された水平方向に平行な折罫において折曲可能である。
【0019】
図4に示すように、吊り下げ部43は、切欠き部43Cと、引っ掛かり部43Dと、を有している。切欠き部43Cは、吊り下げ部43における上端部43Aの側面に形成されている。切欠き部43Cは、吊り下げ部43の側面をV字状に窪ませた切欠き状に形成されている。切欠き部43Cは、内トレイ50における後述する仮止め部53に仮止め可能である。
【0020】
引っ掛かり部43Dは、吊り下げ部43における上端部43Aの前後の端部であって、側板部42側の端部とは反対側の端部に形成されている。引っ掛かり部43Dは、下方に開口する鈎状に形成されている。引っ掛かり部43Dは、外梱包材20に覆われる前の状態の内梱包材10において、左右の保護パッド70の上端縁に引っ掛けられる(
図2参照)。これによって、内梱包材10は、吊り下げ部43を、側板部42に対して折り曲げて前後方向に沿って延びた状態で保持する。
【0021】
内トレイ50は、底トレイ30内に嵌め込まれる。本実施形態の場合、被梱包物Gは、この内トレイ50を介して底トレイ30における底板部31に載せられる。
図3に示すように、内トレイ50は、内底板部51と、内起立部52と、仮止め部53と、を有している。内底板部51は底トレイ30における底板部31に上から重ねられる。内起立部52は、内底板部51の前後左右の周縁からそれぞれ上方に立ち上がっている。各内起立部52は、底トレイ30における起立部32の内周面側に重なって配置される。内トレイ50が底トレイ30内に嵌め込まれた状態において、各内起立部52と底トレイ30における起立部32との間には、前後の保護パッド60、及び左右の保護パッド70が差し込まれる。内トレイ50が底トレイ30内に嵌め込まれた状態において、内トレイ50の四隅には、底トレイ30における起立部32との間に平面視方形の空間が形成される。この空間には前後の保護パッド60における後述する支柱61が差し込まれる。
【0022】
図3に示すように、仮止め部53は、左右の内起立部52の上端から左右方向外側に凸状に延びている。仮止め部53は、吊り下げ部43における切欠き部43Cが仮止めされる。具体的には、仮止め部53は、折曲状態の側板部42において吊り下げ部43を起立部32と内起立部52との間の隙間に差し込むことによって切欠き部43Cが引っ掛かる。これによって、仮止め部53は、側板部42の折曲状態を保持する。仮止め部53は、吊り下げ部43に対して押し込み方向の力を作用させることによって切欠き部43Cの引っ掛かりを簡単に外すことができる。仮止め部53の基端部には図示しない折罫が入れられている。仮止め部53は、吊り下げ部43に対して上方に引き抜く力を作用させることによって折罫において折れ曲がる。これによって、仮止め部53は、切欠き部43Cの引っ掛かりを簡単に外すことができる。仮止め部53は、吊り下げ部43を押し込んだ場合も引き抜いた場合も切欠き部43Cの引っ掛かりを容易に外すことができ、仮止めとして好適に機能する。
【0023】
前後の保護パッド60及び左右の保護パッド70は、それぞれ本開示に係る第2側板部の例示である。すなわち、保護パッド60,70は、内梱包材10における前後一対の側板部42の間に配置される。保護パッド60,70は、被梱包物Gの側面を覆って被梱包物Gを保護する。保護パッド60,70は、梱包材1における上下方向の圧縮力を受ける補強材としても機能する。前後の保護パッド60と左右の保護パッド70は、互いに交差する方向に延びて配置される。保護パッド60,70は、前後左右の各方向に水平に作用する力に対する補強材としても機能する。
【0024】
図3に示すように、前後の保護パッド60は、左右一対の支柱61と、これら一対の支柱61を連結する連結板62と、を有している。一対の支柱61は、上下方向に延びる柱状をなしている。一対の支柱61は、連結板62における左右の端縁を内側に複数回折り曲げることによって角柱状に形成されている。一対の支柱61は、底トレイ30の内側であって内トレイ50の四隅の空間のうち、左右方向で対をなす空間にそれぞれ差し込まれる。連結板62は、底トレイ30における前後の起立部32と、内トレイ50における前後の内起立部52との間の隙間に差し込まれる。
図2に示すように、底トレイ30と内トレイ50との間に隙間に差し込まれた組み付け状態の前後の保護パッド60の上端の高さは、側板部42の上端の高さと同等である。
【0025】
連結板62は、孔部60Aと、手掛け孔60Bとを有している。孔部60Aは、側板部42における切り起こし部42Bが嵌め込まれる。孔部60Aは、側板部42における切り起こし部42Bの位置に対応して、連結板62における上下方向の中間部に角孔状に形成されている。保護パッド60は、孔部60Aに側板部42における切り起こし部42Bが嵌め込まれることによって、側板部42を保護パッド60に重ね合わせて配置した状態で位置決めする。すなわち、孔部60Aは、切り起こし部42Bとともに本開示に係る位置決め部として機能する。手掛け孔60Bは、側板部42における手掛け孔42Cの位置に対応して形成されている。手掛け孔60Bは、各連結板62の上端部において左右に並んで2つ形成されている。
【0026】
図3に示すように、左右一対の保護パッド70は、それぞれ長方形状の外形形状をなす段ボールの平板である。保護パッド70は、底トレイ30における左右の起立部32と、内トレイ50における左右の内起立部52との間の隙間に差し込まれる。
図2に示すように、底トレイ30と内トレイ50との間に隙間に差し込まれた組み付け状態の前後の保護パッド60の上端の高さは、側板部42の上端の高さと同等である。保護パッド70には、内梱包材10が外梱包材20に覆われる前の状態において、吊り下げ部43における引っ掛かり部43Dが引っ掛けられる。
【0027】
外梱包材20は被梱包物Gを上方から覆う。被梱包物Gを梱包した状態の外梱包材20は、下方に開口する箱状をなす。
図5に示すように、外梱包材20は、周壁部80と、フラップ部90と、を有している。周壁部80は上下に開口する角筒状をなしている。周壁部80は、前後一対の周壁81と、左右一対の周壁82とを周方向に連結した形態である。これによって、周壁部80は、平面視において長方形状の外形形状をなしている。周壁部80は手掛け孔80Aを形成している。手掛け孔80Aは、前後の周壁81のそれぞれに形成されている。手掛け孔80Aは、側板部42における手掛け孔42Cの位置に対応して形成されている。手掛け孔80Aは、各周壁81の上端部において左右に並んで2つ形成されている。
【0028】
フラップ部90は、周壁部80の上端から延びている。フラップ部90は、内側に折り曲げられることによって周壁部80における上端開口を封鎖する。フラップ部90は、前後一対のフラップ91と、左右一対のフラップ92とを有している。各フラップ91,92は、周壁部80における4つの周壁81,82のそれぞれの上端から延びている。フラップ部90は、前後一対のフラップ91が内側、左右一対のフラップ92が外側に配置される形態で折り曲げられる。
図1に示すように、前後のフラップ91は、折り曲げられた状態において吊り下げ部43が引っ掛けられる。左右のフラップ92は、前後のフラップ91に引っ掛けられた吊り下げ部43を上から覆う。
【0029】
図5及び
図6に示すように、前後のフラップ91は開口91Aを形成している。開口91Aは、吊り下げ部43が通される。本実施形態の場合、開口91Aは、前後のフラップ91の先端側の左右の端部を基端側よりも幅狭に切り欠いた形態である。開口91Aは、フラップ91における先端部から、フラップ91と周壁81との間の折罫近傍まで、フラップ91の長さの全体に亘って切り欠いて形成されている。
【0030】
上記構成の梱包材1を用いた被梱包物Gの梱包について説明する。梱包材1によって被梱包物Gを梱包するにあたっては、被梱包物Gを底トレイ30上に載せる。この時、
図7に示すように、側板部42が底トレイ30の前後方向に拡がった状態になっているとスペースをとってしまい、生産ラインでの取り回しがよくない。これに対し、
図8に示すように側板部42を折曲状態にすることで、梱包材1は、側板部42の拡がりを抑えてコンパクトな形態をとることができる。これによって、梱包材1は、梱包時の作業性が良好になる。
【0031】
側板部42を折曲状態にする際は、側板部42の上端側を内側方向に折り曲げて、吊り下げ部43を底トレイ30と内トレイ50との間の隙間に挿入する。この時、
図8に示すように、吊り下げ部43の切欠き部43Cを内トレイ50に設けられた仮止め部53に引っ掛ける。折曲状態における側板部42は、折り曲げ部42Aにおいて折り曲げられている。本実施形態の場合、折り曲げ部42Aには2本の折罫が形成されているため、折罫が1本の場合と比較して折罫1本当たりの折り曲げ角度を小さくできる。これによって、折り曲げ部分において発生する段ボールの弾性反発力が分散される。その結果、仮止め部53と切欠き部43Cとの引っ掛かりによる比較的弱い保持力であってもその状態が解除されることがなく、側板部42を折曲状態で良好に保持することができる。折曲状態にある側板部42は、底トレイ30から立ち上がった起立状態よりも高さが抑えられる。この点においても、梱包材1は、梱包作業のし易さの向上が図られている。
【0032】
被梱包物Gを底トレイ30に載せた後は、仮止め部53と切欠き部43Cとの引っ掛かりを解除し、吊り下げ部43を底トレイ30と内トレイ50との間の隙間から抜き出す。これによって、折り曲げられた側板部42の上側部分によって隠されていた底トレイ30の前後方向の両端部が露出する。底トレイ30の前後方向の両端部を露出させた後は、前後一対の側板部42の間に第2側板部としての前後一対の保護パッド60を配置する。具体的には、
図10に示すように、保護パッド60を、底トレイ30の前後方向の両端部であって、底トレイ30における起立部32と内トレイ50における内起立部52との間に差し込む。
図11に示すように、差し込んだ保護パッド60に向けて側板部42を起立させ、保護パッド60の孔部60Aに切り起こし部42Bを嵌め込む。これによって、側板部42と保護パッド60とが重ね合わされて配置された状態で位置決めされる。この状態において、側板部42は、孔部60Aに嵌め込まれた切り起こし部42Bの作用によって、倒れることなく起立状態で保持される。
【0033】
前後一対の側板部42の間に第2側板部としての左右一対の保護パッド70を配置する。具体的には、
図11に示すように、保護パッド70を、底トレイ30の左右方向の両端部であって、底トレイ30における起立部32と内トレイ50における内起立部52との間に差し込む。保護パッド70の一対の側板部42の間への配置は、保護パッド60の一対の側板部42の間への配置と同じタイミング、すなわち、側板部42における切り起こし部42Bの孔部60Aへの嵌め込みの前であってもよい。保護パッド60及び保護パッド70は、強度を確保するための部材として機能する。
【0034】
図12に示すように、吊り下げ部43における引っ掛かり部43Dを、第2側板部としての保護パッド70に引っ掛ける。これによって、吊り下げ部43は、側板部42との間の折罫において折り曲げられ、側板部42に対して略直交した状態で保持される。引っ掛かり部43Dが保護パッド70に引っ掛けられたことによって、側板部42は、起立状態で一層確実に保持される。吊り下げ部43は、内梱包材10における上端部の四隅において前後方向に沿って延びて配置された状態となる。本実施形態の場合、引っ掛かり部43Dは、
図13に示すように、下方に開口する鈎状に形成されている。このため、引っ掛かり部43Dは、保護パッド70の上端縁部に簡易な作業で引っ掛けることができる。
【0035】
図14に示すように、保護パッド70に引っ掛けた状態で、外梱包材20を内梱包材10に被せる。この時、内梱包材10は、引っ掛かり部43Dが保護パッド70に引っ掛かっていることによって、吊り下げ部43が側板部42に対して折り曲げられて前後方向に延びた状態で保持されている。このため、外梱包材20は、内梱包材10に被せる際、吊り下げ部43に引っ掛かってしまうことが抑制され、容易に被せることができる。
【0036】
外梱包材20を内梱包材10に被せる際、吊り下げ部43は外梱包材20の下端部を案内するガイドとして機能する。上述のように、吊り下げ部43は、側板部42、及び前後左右の保護パッド60,70のそれぞれの上端よりも上方に突出している。このため、外梱包材20を内梱包材10に上から被せる際、外梱包材20の下端部は、吊り下げ部43に最初に接触する。各吊り下げ部43の上端部43Aを外梱包材20の内側に進入させることで、外梱包材20の内周面が各吊り下げ部43に沿って下方に案内され、側板部42、及び前後左右の保護パッド60,70の上端部を外梱包材20内に容易に挿入することができる。
【0037】
外梱包材20は、内梱包材10の全体を覆うように、周壁部80の下端部を底トレイ30及び側板部42の下端部までしっかりと下ろす。周壁部80の下端部を底トレイ30及び側板部の下端部までしっかりと下げた状態において、吊り下げ部43は、
図14に示すように、上端部43Aが外梱包材20における周壁部80の上端縁よりも上側に突出した状態となる。
【0038】
図14に示す外梱包材20が内梱包材10を覆った状態では、外梱包材20における周壁部80に形成された手掛け孔80Aは、側板部42における手掛け孔42C、及び保護パッド60における手掛け孔60Bの位置と一致している。梱包材1は、持ち上げられる際、これら3部材に形成された各手掛け孔42C,60B,80Aに手を差し入れられ、側板部42、保護パッド60、及び周壁部80の3つの部材に手が掛けられる。このため、梱包材1は、持ち上げられる際の負荷が3部材に分散され、破損が抑制される。
【0039】
図15に示すように、フラップ部90における2対のフラップ91,92のうち前後一対のフラップ91を内側に折り曲げる。フラップ91は、開口91Aを形成している。このため、フラップ91を折り曲げる際、吊り下げ部43との接触が回避される。吊り下げ部43は、フラップ91を内側に折り曲げる、という作業によって開口91Aに好適に通され、折り曲げられた状態のフラップ91に対し上下に跨って配置された形態となる。
【0040】
前後一対のフラップ91を内側に折り曲げた後は、左右一対のフラップ92を内側に折り曲げる(
図1参照)。折り曲げられたフラップ92は、前後一対のフラップ91の上側に重ねられる。フラップ92を内側に折り曲げる際、吊り下げ部43は、フラップ92に押さえつけられてフラップ92と一緒に折り曲げられる。折り曲げられた吊り下げ部43は、上端部43Aにおいて前後一対のフラップ91の上面に引っ掛けられる。このため、内梱包材10全体としては、外梱包材20に吊り下げられた状態となっている。
【0041】
左右のフラップ92が折り曲げられた状態において、吊り下げ部43は、フラップ92の下面に押さえつけられ、フラップ91とフラップ92との間で上下に挟まれた形態となる。これによって、吊り下げ部43は、フラップ91とフラップ92に良好に保持される。この状態において、梱包材1は、内外の梱包材10,20が連結された状態となる。これら内梱包材10と外梱包材20との連結を解除するためには、左右のフラップ92を起こし、吊り下げ部43のフラップ91への引っ掛かりを解除する必要がある。このため、梱包材1は、左右のフラップ92の合わせ目にクラフトテープ等の粘着テープを貼り付けて封緘することによって、不正開封を抑止することができる。すなわち、梱包材1は、封緘した粘着テープを剥がすことなく被梱包物Gに接触することが不能となるため、粘着テープを剥がした跡の有無を確認することによって開封、未開封を明確に判別できる。
【0042】
以上のように、実施形態1に係る梱包材1は、内梱包材10と外梱包材20とを備えている。内梱包材10は、底板部31を具備する底トレイ30と、側板部42を具備する吊り下げパッド40とを有している。底板部31は、被梱包物Gが載せられる。側板部42は、底板部31から立ち上がって被梱包物Gの側面を覆う。外梱包材20は、周壁部80とフラップ部90とを有している。周壁部80は上下に開口する。フラップ部90は、周壁部80の上端から延び、内側に折り曲げられることによって周壁部80の上端開口を封鎖する。内梱包材10は、吊り下げ部43を有している。吊り下げ部43は、側板部42の上端部に設けられ、フラップ部90に引っ掛けられる。
【0043】
このように、梱包材1は、フラップ部90に対して吊り下げ部43を引っ掛けることによって、PPバンド等の結束用の部材を用いることなく、内梱包材10と外梱包材20とを容易に連結することができる。したがって、梱包材1は、梱包作業を容易に行うことができる。
【0044】
梱包材1において、フラップ部90は、前後一対のフラップ91と左右一対のフラップ92が設けられている。吊り下げ部43は、折り曲げられた状態の前後のフラップ91に引っ掛けられ、折り曲げられた状態の左右のフラップ92に上から覆われる。このような構成によって、梱包材1は、吊り下げ部43がフラップ91,92によって上下で挟まれた形態である。このため、吊り下げ部43は、フラップ部90に強固に保持され、内梱包材10と外梱包材20との強固な連結を容易に実現することができる。上記構成により、梱包材1は、吊り下げ部43を上から覆う左右のフラップ92を再び起こすことなく開封することが不可能である。このため、梱包材1は、左右のフラップ92の合わせ目を粘着テープで封緘することで、開封の有無を容易に判別することができる。
【0045】
梱包材1において、前後のフラップ91は、吊り下げ部43が通される開口91Aを形成している。このため、梱包材1は、吊り下げ部43をフラップ91に容易に引っ掛けることができる。
【0046】
梱包材1において、側板部42は、底板部31の前後の両端部に対をなして設けられている。内梱包材10は、対をなす側板部42の間に配置される第2側板部としての保護パッド60,70を有している。このため、側板部42のみが設けられ、保護パッド60,70が設けられていない場合と比較して、強度の向上を図ることができる。
【0047】
梱包材1において、吊り下げ部43は引っ掛かり部43Dを有している。引っ掛かり部43Dは、内梱包材10が外梱包材20に覆われる前の状態において、第2側板部としての保護パッド70に引っ掛けられる。このため、梱包材1は、吊り下げ部43を、引っ掛かり部43Dを保護パッド70に引っ掛けた状態で保持することができる。本実施形態の場合、この引っ掛けた状態は、吊り下げ部43を側板部42に対して折り曲げた状態であって、吊り下げ部43に阻害されることなく外梱包材20で内梱包材10を覆うことができる状態である。梱包材1は、この状態を保持できるため、外梱包材20によって内梱包材10を覆う作業を容易に行うことができる。
【0048】
梱包材1において、内梱包材10は位置決め部としての切り起こし部42B及び孔部60Aを有している。切り起こし部42B及び孔部60Aは、対をなす側板部42の一方と、第2側板部としての保護パッド60とを重ねて配置した状態で位置決めする。このため、梱包材1は、側板部42と保護パッド60とを位置決めした状態で容易に重ねて配置できる。
【0049】
梱包材1において、側板部42は、底板部31の前後の両端部に対をなして設けられており、吊り下げ部43は、これら対をなす側板部42の左右両端部から上方に延びている。このため、梱包材1は、吊り下げ部43を容易に設けることができる。
【0050】
梱包材1において、側板部42は、下端側の部位に対して上端側の部位を内側方向に折曲させた折曲状態に折り曲げ可能な折り曲げ部42Aを有している。内梱包材10は、側板部42を折曲状態で仮止めする仮止め部53を有している。このように、梱包材1は、側板部42を折り曲げ部42Aにおいて折曲状態に折り曲げ可能であるため、側板部42を折り曲げることなく作業する場合と比較して、梱包作業時のスペースを小さく抑えることができる。梱包材1は、仮止め部53によって側板部42を折曲状態で仮止めできるため、側板部42の折曲状態を確実に保持できる。
【0051】
梱包材1において、折り曲げ部42Aには2本の折罫が形成されている。このため、折り曲げ部42Aは、折罫が1本の場合と比較して、折曲状態において作用する側板部42が元に戻ろうとする方向の反発力を分散させることができ、側板部42の折曲状態を維持しやすくできる。
【0052】
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0053】
内梱包材及び外梱包材の形状、大きさ、部材構成等は、上記実施形態において例示した構成に限定されない。内梱包材は、例えば、底板部と側板部とが1つの部材として一体に形成されていてもよい。底板部は、上記実施形態のように被梱包物が他部材を介して間接的に載せられるものであってもよいし、被梱包物が直接的に載せられるものであってもよい。
【0054】
吊り下げ部の構成、配置、形状、個数、フラップ部に引っ掛けられる形態等は上記実施形態に限定されない。吊り下げ部は、例えば、側板部の上端から上方に延びて設けられていてもよい。吊り下げ部が引っ掛かり部、仮止め部に仮止めされる部分としての切欠き部等を有することは必須ではない。
【0055】
フラップ部が開口を形成していることは必須ではない。吊り下げ部は、例えば、フラップ部の外縁部において引っ掛けられる形態等であってもよい。フラップ部が開口を形成している場合、開口は、フラップ部に形成されて吊り下げ部が通される限り、その形状、大きさ等は特に問わない。開口は、上記実施形態において例示した切り欠き状の開口に限定されず、例えば、孔、スリット等の閉じた開口であってもよい。
【0056】
内梱包材が第2側板部を有することは必須ではない。内梱包材が第2側板部を有する場合、その形状、構成、個数等は上記実施形態に限定されない。
【0057】
内梱包材が位置決め部を有することは必須ではない。内梱包材が位置決め部を有する場合、その構成等は、上記実施形態において例示した切り起こし部と孔部を有する構成に限定されない。
【0058】
側板部が折り曲げ部を有することは必須ではない。側板部が折罫の形成された折り曲げ部を有する場合、折罫の数は、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…梱包材、10…内梱包材、20…外梱包材、31…底板部、42…側板部、42A…折り曲げ部、42B…切り起こし部(位置決め部)、43…吊り下げ部、43A…吊り下げ部の上端部、43D…引っ掛かり部、53…仮止め部、60…前後の保護パッド(第2側板部)、60A…孔部(位置決め部)、70…左右の保護パッド(第2側板部)、80…周壁部、90…フラップ部(91…前後一対のフラップ、92…左右一対のフラップ)、91A…開口、G…被梱包物