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  • 特開-バイオガス発生装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140498
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】バイオガス発生装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/04 20060101AFI20230928BHJP
   B09B 3/65 20220101ALI20230928BHJP
【FI】
C02F11/04 A
B09B3/65 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046367
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 謙三
(72)【発明者】
【氏名】西野 優希
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
【テーマコード(参考)】
4D004
4D059
【Fターム(参考)】
4D004AA03
4D004AA04
4D004BA03
4D004CA04
4D004CA13
4D004CA18
4D004CB13
4D004CB50
4D004CC03
4D004CC07
4D004DA02
4D004DA09
4D059AA07
4D059BA12
4D059BA21
4D059CA10
4D059CA28
4D059CC10
4D059EA02
4D059EA14
4D059EB01
4D059EB02
4D059EB03
(57)【要約】
【課題】バイオガスを安定して発生させることのできるバイオガス発生装置を提供する。
【解決手段】バイオガス発生装置(1)は、ディスポーザから供給された固形分および液分を含む有機物を貯留し、固形分を沈降させることで固形分と液分とを分離する固液分離槽(3)と、固液分離槽の下端部に設けられた流路開閉ゲート(4)と、流路開閉ゲートを経由して固液分離槽から排出された有機物をバイオガス発生槽に送り込む、ポンプを含む有機物供給路(5)と、固液分離槽内に沈降した固形分の高さが所定位置に達したことを検出する第1センサ(61)と、第1センサよりも上方位置に設けられ、固液分離槽から液分を排出する液分排出路(7)と、第1センサの検出信号を受け、流路開閉ゲートを開状態にもたらす制御手段とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を原料としてバイオガスを発生させるバイオガス発生装置であって、
ディスポーザから供給された固形分および液分を含む有機物を貯留し、前記固形分を沈降させることで固形分と液分とを分離する固液分離槽と、
前記固液分離槽の下端部に設けられた流路開閉ゲートと、
前記流路開閉ゲートを経由して前記固液分離槽から排出された有機物をバイオガス発生槽に送り込む、ポンプを含む有機物供給路と、
前記固液分離槽内に沈降した固形分の高さが所定位置に達したことを検出する第1センサと、
前記第1センサよりも上方位置に設けられ、前記固液分離槽から前記液分を排出する液分排出路と、
前記第1センサの検出信号を受け、前記流路開閉ゲートを開状態にもたらす制御手段とを備える、バイオガス発生装置。
【請求項2】
前記第1センサは、圧力センサである、請求項1に記載のバイオガス発生装置。
【請求項3】
前記液分の液面高さを検知する第2センサをさらに備える、請求項1または2のいずれかに記載のバイオガス発生装置。
【請求項4】
前記液分排出路は、前記固液分離槽に対して高さ位置変更可能に設けられている、請求項1~3のいずれかに記載のバイオガス発生装置。
【請求項5】
前記固液分離槽の少なくとも下方領域は、前記流路開閉ゲートに向かって先細りとなるテーパー形状を有している、請求項1~4のいずれかに記載のバイオガス発生装置。
【請求項6】
前記流路開閉ゲートを通過する有機物の含水率が90~97%となるように、前記第1センサの高さおよび前記液分排出路の少なくともいずれか一方が調整されている、請求項1~5のいずれかに記載のバイオガス発生装置。
【請求項7】
前記固液分離槽に供給する追加固形分を貯留する貯留部および前記貯留部の下方に位置し、前記貯留部から前記固液分離槽に通じる追加固形分供給路を開閉する第2開閉ゲートを含む追加固形分フィーダをさらに備える、請求項1~6のいずれかに記載のバイオガス発生装置。
【請求項8】
前記流路開閉ゲートを駆動するゲート開閉手段と、
前記ポンプを駆動するポンプ駆動手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1センサからの検出信号を受けて前記ゲート開閉手段に開状態となるように指令信号を送信し、続いて前記ポンプ駆動手段に駆動指令信号を送信する、請求項1~7のいずれかに記載のバイオガス発生装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記ポンプ駆動手段に所定の時間だけ駆動指令信号を送信し、前記所定の時間経過後に前記ゲート開閉手段に閉状態となるように指令信号を送信する、請求項8に記載のバイオガス発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスポーザ排水を利用するバイオガス発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境への配慮の観点および居住者の生ごみ処理への負担軽減の観点から、キッチンにディスポーザを備える集合住宅が知られている。ディスポーザへ投じられた生ごみは、排水処理装置によってて好気処理等されることで下水へ排水されることが一般的である。
【0003】
ここで、ディスポーザに投じられた生ごみ(有機物)を利活用する装置が知られている。たとえば、特開2013-27851号公報(特許文献1)には、集合住宅のディスポーザから提供された生ごみを用いて、バイオガスを取得することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-27851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のディスポーザからバイオガス発生装置へ供給される有機物は、固形分および液分の量が一定でない。また、集合住宅の居住者がディスポーザに生ごみを供給しないと装置は有機物を得られないことから、バイオガス発生装置への有機物の供給が不安定であるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、バイオガス発生量を安定させることのできるバイオガス発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るバイオガス発生装置は、有機物を原料としてバイオガスを発生させるバイオガス発生装置であって、ディスポーザから供給された固形分および液分を含む有機物を貯留し、固形分を沈降させることで固形分と液分とを分離する固液分離槽と、固液分離槽の下端部に設けられた流路開閉ゲートと、流路開閉ゲートを経由して固液分離槽から排出された有機物をバイオガス発生槽に送り込む、ポンプを含む有機物供給路と、固液分離槽内に沈降した固形分の高さが所定位置に達したことを検出する第1センサと、第1センサよりも上方位置に設けられ、固液分離槽から液分を排出する液分排出路と、第1センサの検出信号を受け、流路開閉ゲートを開状態にもたらす制御手段とを備える。
【0008】
好ましくは、第1センサは、圧力センサである。
【0009】
好ましくは、液分の液面高さを検知する第2センサをさらに備える。
【0010】
好ましくは、液分排出路は、固液分離槽に対して高さ位置変更可能に設けられている。
【0011】
好ましくは、固液分離槽の少なくとも下方領域は、流路開閉ゲートに向かって先細りとなるテーパー形状を有している。
【0012】
好ましくは、流路開閉ゲートを通過する有機物の含水率が90~97%となるように、第1センサの高さおよび液分排出路の少なくともいずれか一方が調整されている。
【0013】
好ましくは、固液分離槽に供給する追加固形分を貯留する貯留部および貯留部の下方に位置し、貯留部から固液分離槽に通じる追加固形分供給路を開閉する第2開閉ゲートを含む追加固形分フィーダをさらに備える。
【0014】
好ましくは、流路開閉ゲートを駆動するゲート開閉手段と、ポンプを駆動するポンプ駆動手段とを備え、制御手段は、第1センサからの検出信号を受けてゲート開閉手段に開状態となるように指令信号を送信し、続いてポンプ駆動手段に駆動指令信号を送信する。
【0015】
好ましくは、制御手段は、ポンプ駆動手段に所定の時間だけ駆動指令信号を送信し、所定の時間経過後にゲート開閉手段に閉状態となるように指令信号を送信する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、有機物の供給が不安定であってもバイオガス発生量を安定することのできる、バイオガス発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るバイオガス発生装置を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態における流路開閉ゲートの制御システムを示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態における流路開閉ゲートの制御システムを示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係るバイオガス発生装置を利用したバイオガス発電システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0019】
〈バイオガス発電システムについて〉
図4を参照して、本発明の一実施形態に係るバイオガス発生装置を利用したバイオガス発電システム100(以下、「システム100」とも言う)について説明する。バイオガス発電システム100は、各戸にキッチンを有する集合住宅に備えられ、キッチンに備え付けられたディスポーザ2と、ディスポーザ2から供給される有機物を利用してバイオガスを生成するバイオガス発生装置1と、バイオガス発生装置1で生成されたバイオガスを利用して発電し、電気を共用施設102の電気機器に給電する発電装置とを備える。なお、バイオガス発生装置1の詳細については後述する。
【0020】
ディスポーザ2は、典型的にはキッチンの流し台に設けられ、調理時に発生する野菜かすなどの食品系廃棄物を粉砕する。粉砕された食品系廃棄物は、ディスポーザ排水として各住戸101から排出される。各住戸101から排出されたディスポーザ排水は、ディスポーザ2に接続されたディスポーザ排水供給路21を介して、バイオガス発生装置1に送り込まれる。なお、ディスポーザ排水は、ディスポーザ排水供給路21上に設けられた貯留槽(図示せず)に一旦集められてもよい。これにより、バイオガス発生装置1の許容する排水量を超過した分を貯留しておくことができる。
【0021】
図1を参照して、バイオガス発生装置1は、たとえばメタンガスなどの可燃性ガスの生成を主目的とする、バイオガス発生槽を備える。バイオガス発生槽は、典型的には1以上のメタン生成菌を含む発酵液が予め貯留されている。バイオガス発生槽内部は、使用する菌の活動に好適な温度域(30~42℃)に維持される。なお、本実施の形態では、メタン生成菌が嫌気発酵によりメタンガスを発生させるものとして説明する。
【0022】
図1,4を参照して、バイオガス発生槽で発生したバイオガスは、バイオガス発生槽の上方領域に設けられた供給路を介して、発電設備にまで導かれる。なお、供給路は発電設備で利用されるバイオガスを一時的に溜めておくことのできるバイオガス貯留部(図示せず)を含んでいてもよい。これにより、バイオガス発生装置1は、発電設備に供給されるバイオガス量を安定させることができ、発電量を安定させることができる。
【0023】
発電設備に導かれたバイオガスは、バイオガス発電に利用される。バイオガス発電とは、バイオガスを燃料としてたとえば発電機、ボイラーなどにより電気と熱を生成する発電方法であり、副産物として排ガス(二酸化炭素および熱)が発生する。発生した電気は、集合住宅の共用施設102に送電され、たとえば照明や空調機などの電気機器に利用される。また、排ガスは、バイオガス発生装置1における菌類の培養に利用され、好ましくはバイオガス発生槽の加温に利用される。
【0024】
このように、本実施の形態に係るシステム100は、集合住宅内で発生した食品系廃棄物を使用してバイオガスを発生し、発生したバイオガスを利用して発電し、発電された電気を集合住宅の共用施設102で利用することを特徴とする。
【0025】
〈バイオガス発生装置について〉
次に、図1を参照して、本実施の形態に係るバイオガス発生装置1について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るバイオガス発生装置1を示す概略図である。本実施の形態のバイオガス発生装置1は、有機物を原料としてバイオガスを発生させるものであって、ディスポーザ2から供給された固形分および液分を含む有機物を貯留し、固形分を沈降させることで固形分と液分とを分離する固液分離槽3と、固液分離槽3の下端部に設けられた流路開閉ゲート4と、流路開閉ゲート4を経由して固液分離槽3から排出された有機物をバイオガス発生槽に送り込む有機物供給路5と、固液分離槽3内に沈降した固形分の高さが所定位置に達したことを検出する第1センサ61と、固液分離槽3から液分を排出する液分排出路7と、流路開閉ゲート4を開状態にもたらす制御手段6とを備える。
【0026】
固液分離槽3は、沈降する固形分を蓄積する下方領域31と、液分排出路7よりも上方に位置する上方領域32と、上方領域32に設けられ、各住戸から集められたディスポーザ排水を供給するディスポーザ排水供給口33とを含む。
【0027】
固液分離槽3は、固形分が重力に従って沈降する性質を利用して、供給された有機物を固形分および液分に分離する。なお、本実施の形態の有機物は、調理時に発生する野菜かすなどの食品系廃棄物であり、キッチンに設けられたディスポーザ2を介して供給されるディスポーザ排水である。ディスポーザ排水は、典型的にはキッチンの流し台から供給される排水であり、固形分量に対し液分量が非常に多いという特徴がある。本実施の形態の固液分離槽3は、固形分を下方領域31に蓄積させつつ、液分を液分排出路7から排出することを繰り返す。これにより、液分量が非常に多い有機物から効率よく固形分を回収することができる。
【0028】
本実施の形態の固液分離槽3は、少なくとも下方領域31が流路開閉ゲート4に向かって先細りとなるテーパー形状を有している。これにより、固液分離槽3内の固形分および液分を含む有機物を、効率よく流路開閉ゲート4に送り込むことができる。
【0029】
本実施の形態の流路開閉ゲート4は、制御手段6によって開閉が制御される。所定の含水率の有機物をバイオガス発生槽へ供給する観点から、流路開閉ゲート4が開状態の間は、ディスポーザ排水供給口33は閉状態となることが好ましい。なお、ここで言う「含水率」とは、固液分離槽3内の固形分および液分の割合であり、含水率(%)=(液分量)/(固形分量+液分量)で表すことができる。本実施の形態のバイオガス発生装置は、固液分離槽3内において、有機物を所望の含水率に調整してからバイオガス発生槽へ投入することを特徴とする。
【0030】
本実施の形態の第1センサ61は、圧力センサである。圧力センサ61は、所望の固形分量が蓄積されたことを検知するように設置されることが好ましい。圧力センサ61は、メンテナンス容易の観点から、固液分離槽3の壁面に差込むように設置されることが好ましい。
【0031】
本実施の形態のバイオガス発生装置1は、より正確に含水率を測定する観点から、液分の液面高さを検知する第2センサ62をさらに備える。第2センサ62は、たとえば固液分離槽3内の上方領域32に設けられる汚泥界面計であるが、液分量を測定できるものであれば特に限定されない。
【0032】
なお、本発明のバイオガス発生装置1は、第1センサ61または第2センサ62のいずれか一方が固形分量を測定するセンサであればよく、第2センサ62が固形分量を測定するセンサの場合、第2センサ62のみを備える構成としてもよい。
【0033】
液分排出路7は、第1センサ61よりも上方位置に設けられ、固液分離槽7内の余剰液分を排出する。すなわち、液分排出路7は、所定位置まで蓄積される固形分の高さよりも高い位置に設けられる。本実施の形態の液分排出路7は、固液分離槽3に対して高さ位置変更可能に設けられている。これにより、使用する環境に応じて、固形分と液分との比率(含水率)が所望の値となるよう設定することができる。なお、液分排出路7には、固形分の流入を防ぐためのフィルタ等が設けられていてもよい。
【0034】
バイオガス発生装置1は、第1センサ61および液分排出路7の設けられる高さ位置のうち、少なくともいずれか一方が調整されていることが好ましい。本実施の形態のバイオガス発生装置1は、流路開閉ゲート4を通過する有機物の含水率が90~97%となるように高さ位置が調整されることが好ましい。また、使用するメタン菌の活動を促進する観点から、含水率は92~95%となるように各高さ位置が調整されることがさらに好ましい。
【0035】
有機物供給路5は、固液分離槽3とバイオガス発生槽との間に設けられ、固液分離槽3内の固形分および液分の含水率が調整された有機物をバイオガス発生槽へ供給する。有機物供給路5の上部は、有機物を受け入れるように固液分離槽3と接続され、有機物供給路5の他方端は、有機物を供給するようにバイオガス発生槽と接続される。また、有機物供給路5は、有機物をバイオガス発生槽へ送り込むためのポンプ51を含み、典型的には一方端部から他方端部に送り込むように設けられる。
【0036】
ポンプ51は、気密性の高いポンプを用いることが好ましく、たとえば容積式のスラリーポンプを用いることができる。これにより、バイオガス発生槽の液面高さが何らかの理由で下がった場合でも、発生したバイオガスが固液分離槽3へ逆流してしまうことを防止できる。
【0037】
図2を参照して、本実施の形態のバイオガス発生装置1の制御手段6について説明する。図2は、本発明の一実施形態における流路開閉ゲート4の制御システムを示すブロック図である。本実施の形態のバイオガス発生装置1は、流路開閉ゲート4を駆動するゲート開閉手段41と、ポンプ51を駆動するポンプ駆動手段52とを備える。
【0038】
制御手段6は、第1センサ61および/または第2センサ62からの検出信号を受けて、ゲート開閉手段41の開閉を指示する指令手段63を備える。流路開閉ゲート4を開状態とする場合、流路開閉ゲート4を開状態としつつ、ポンプ51が駆動するように指令する。すなわち、ゲート開閉手段41に開状態を指令する指令信号s1を送信し、続いてポンプ駆動手段52に駆動を指令する駆動指令信号s2を送信する。なお、ここでいう「続いて」とは、指令信号s1,s2を同時に送信する場合と、時間を前後にずらして送信する場合とを含むものとする。
【0039】
また、流路開閉ゲート4を閉状態とする場合、流路開閉ゲート4を閉状態としつつ、ポンプ51の駆動を停止するように指令する。ここで、制御手段6は、流路開閉ゲート4を閉じるタイミングと、ポンプ51の駆動を停止するタイミングとをずらすように設定されてもよい。すなわち制御手段6は、ポンプ駆動手段52に所定の時間だけ駆動する駆動指令信号s2を送信し、所定の時間経過後にゲート開閉手段41に閉状態となるように指令信号s1を送信することとしてもよい。これにより、有機物を供給し終えた後にもポンプが駆動してしまうことを防止できる。
【0040】
また、本実施の形態のバイオガス発生装置は、ディスポーザ排水供給口33の開閉を制御する供給口開閉手段(図示せず)を備えていてもよい。この場合、供給口開閉手段は、制御手段6の指令手段63からの指示を受けて開閉し、流路開閉ゲート4が開状態の時に閉じるように、流路開閉ゲート4が閉状態の時に開くように制御される。
【0041】
本実施の形態のバイオガス発生装置1は、固液分離槽3に供給する追加固形分を貯留する貯留部81および貯留部81の下方に位置し、貯留部81から固液分離槽3に通じる追加固形分供給路82を開閉する第2開閉ゲート83を含む、追加固形分フィーダ8をさらに備えていてもよい。
【0042】
追加固形分フィーダ8は、ディスポーザ排水から得られる固形分が不足する場合またはバイオガス発生量が不足している場合に、第2開閉ゲート83を開くことで追加固形分を供給する。第2開閉ゲート83の開閉は、バイオガス発生槽におけるガス発生量を検知する手段によって制御され、センサ等に基づく電気的な手段で制御されてもよいし、センサ等を用いない機械的な手段により制御されてもよい。これにより、ディスポーザ排水から供給される固形分量が少なくても、バイオガス発生槽内(または固液分離槽3内)における固形分量を適正量に保つことができ、バイオガスを安定して発生させることができる。
【0043】
(自動制御手段について)
次に、本実施の形態における流路開閉ゲート4の自動制御機構について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の一実施形態における流路開閉ゲート4の制御システムを示すフローチャートである。
【0044】
はじめに、第1センサ61の数値に基づいて、固液分離槽3内の液面高さが設定値に到達しているか否かを確認する(ステップS1)。設定値に到達していない場合(S1で「NO」の場合)、液面高さが設定値に到達するまで測定を繰り返す。
【0045】
液面高さが設定値に到達している場合(S1で「YES」の場合)、固液分離槽内に沈降した固形分の高さが設定値に到達したか否かを確認する(ステップS2)。設定値に到達していない場合(S2で「NO」の場合)、沈降した固形分の高さが設定値に到達するまで測定を繰り返す。
【0046】
固形分の高さが設定値に到達している場合(S2で「YES」の場合)、流路開閉ゲートが開かれ(ステップS3)、続いてポンプが駆動される(ステップS4)。ここで言う「続いて」とは、略同時に起こることも含む。これにより、固液分離槽内の有機物は、バイオガス発生槽へ送り込まれる。
【0047】
次に、ポンプの駆動がT1時間経過したか否かを確認する(ステップS5)。T1時間とは、ポンプが固液分離槽内の有機物全てをバイオガス発生槽へ送り込むのに要する時間である。T1時間未経過(S5で「NO」の場合)の場合、ポンプの駆動は継続される。
【0048】
T1時間経過後(S5で「YES」の場合)、ポンプの駆動は停止し(ステップS6)、続いて流路開閉ゲートが閉じられる(ステップS7)。ここで言う「続いて」とは、略同時に起こることも含む。これにより、固液分離槽は、再び有機物を蓄積することができるようになる。
【0049】
ステップS1~ステップS7を1サイクルとし、現在までに行われたサイクル数nが、設定したサイクル数N(n,Nは、共に1以上の整数)に到達したか否かを確認する(ステップS8)。N>nの場合(ステップS8で「NO」の場合)、ステップS1に戻り、サイクルを繰り返す。N=nの場合(ステップS8で「YES」の場合)、バイオガス発生装置のメンテナンス時期であることを外部に通知して、運転が停止する。
【0050】
なお、ステップS8で計測するサイクル数は、メンテナンス時期によるものに限定されない。たとえば、バイオガス発生装置や、発電設備の1日の許容量に基づいたサイクル数としてもよい。
【0051】
(効果について)
本実施の形態のバイオガス発生装置1は、集合住宅のキッチンに備え付けられるディスポーザ2から供給される有機物を利用する。ディスポーザ排水は、固形分に対して液分が非常に多い。これに対しバイオガス発生槽は、主に固形分を原料としてバイオガスを生成する。したがって、ディスポーザ排水をそのままバイオガス発生槽に供給すると、非常に効率が悪くなる。本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、バイオガス発生槽へ固形分を安定して供給することを目的とするものである。
【0052】
本実施の形態のバイオガス発生装置1は、第1センサ61および/または第2センサ62に基づく情報のみで運転を制御することができる。これにより、日々の管理が不要になり、常に管理を行うことが困難な集合住宅にもバイオガス発生装置および発電設備を設置することができる。
【0053】
本実施の形態のバイオガス発生装置1は、接続される発電設備が必要とする量だけバイオガスを発生できればよい。本発明で用いる発電設備は、1.2~1.5kW程度の出力量を備えるものであり、必要量とするバイオガス量が少ない小型のものである。したがって、本実施の形態のバイオガス発生装置1は、従来よりも発生量が少なくてよく、装置全体の大きさを小型化しながらも、効率よくバイオガスを発生させることができる。
【0054】
なお、本実施の形態に係るバイオガス発生装置1は、典型的には集合住宅に備えられるが、複数の調理スペースを備える建物であればよく、たとえば、商業施設、宿泊施設などにも採用することができる。この場合であっても、施設内で供給される食品系廃棄物を利用した発電を行い、発電された電気を施設内の設備で利用することができ、エコフレンドリーな建物を提供することができる。
【0055】
また、本実施の形態に係るバイオガス発生装置1は、建物に複数備えられることとしてもよい。これにより、必要に応じて発電量を調整することができる。
【0056】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0057】
1 バイオガス発生装置、2 ディスポーザ、3 固液分離槽、4 流路開閉ゲート、5 有機物供給路、6 制御手段、7 液分排出路、8 追加固形分フィーダ、41 ゲート開閉手段、51 ポンプ、52 ポンプ駆動手段、61 第1センサ、62 第2センサ、63 指令手段、81貯留部、82 追加固形分供給路、83 第2開閉ゲート。
図1
図2
図3
図4