(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140505
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】ワイヤレス電力伝送デバイス
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230928BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20230928BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20230928BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J50/10
H02J50/90
H02J7/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046375
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】梶木屋 翔磨
(72)【発明者】
【氏名】吉田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】得居 通久
(72)【発明者】
【氏名】神山 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】千代 憲隆
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA10
5G503DA04
5G503FA01
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】ノートPCを操作しながら同時に充電する際に、ノートPCの操作性や信頼性の低下を招くことなく、充電対象機器を安定的に充電することを可能にする。
【解決手段】ワイヤレス電力伝送デバイス1は、キーボード部11及びディスプレイ部12を有するノートPC本体10と、ディスプレイ部12に設けられると共に、ディスプレイ部12と重なる部分に位置する第1ポジションとディスプレイ部12の外側に位置する第2ポジションとを変更可能に構成されたコイルユニット20と、キーボード部11に設けられ、第2ポジションに位置するコイルユニット20に立て掛けられた充電対象機器の下端部に当接するストッパー30とを備えている。コイルユニット20は、第2ポジションのときにディスプレイ面側を向く第1主面と、第1主面と反対側の面である第2主面を有し、コイルユニット20は、第1主面と対向するコイル21を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーボード部及びディスプレイ部を有するノートPC本体と、
前記ディスプレイ部に設けられると共に、前記ディスプレイ部と重なる部分に位置する第1ポジションと前記ディスプレイ部の外側に位置する第2ポジションとを変更可能に構成されたコイルユニットと、
前記キーボード部に設けられ、前記第2ポジションに位置する前記コイルユニットに立て掛けられた充電対象機器の下端部に当接するストッパーとを備え、
前記コイルユニットは、前記第2ポジションのときにディスプレイ面側を向く第1主面と、前記第1主面と反対側の面である第2主面を有し、
前記コイルユニットは、前記第1主面と対向するコイルを含むことを特徴とするワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項2】
前記ディスプレイ部は、第1方向の一端側において、ヒンジ部を介して前記キーボード部に連結されており、
前記コイルユニットは、当該コイルユニットの前記第1方向における中央が前記ディスプレイ部の前記第1方向における中央よりも前記ヒンジ部に近い位置となるように配置されている、請求項1に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項3】
前記コイルユニットは、前記第1ポジションと前記第2ポジションをスライド可能に構成される、請求項1又は2に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項4】
前記コイルユニットは、前記第1ポジションと前記第2ポジションを回転移動可能に構成され、前記第1ポジションの際に前記第2主面が前記ディスプレイ部の背面側と対向する、請求項1又は2に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項5】
前記コイルユニットは、前記第1ポジションの際に前記ディスプレイ部に設けられた収容スペースに収容される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項6】
前記ストッパーは前記キーボード部に収容可能に構成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項7】
前記ストッパーは、前記充電対象機器の下端部に当接する際の姿勢を調整可能に構成されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項8】
前記コイルユニット内の前記コイルの長手方向は前記コイルユニットの長手方向を向いている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤレス電力伝送デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどのモバイル機器のバッテリーを充電する充電器としてワイヤレス充電器が知られている。ワイヤレス充電器によれば、ケーブル接続なしで電子機器を充電することができるので、非常に便利である。
【0003】
ワイヤレス充電器に関し、例えば特許文献1には、非接触給電機能を備えたPC(パーソナルコンピュータ)等の電子機器が記載されている。この電子機器は、筺体に収納および、引き出しまたは押し出し可能に構成される送電コイル部と、送電コイル部が予め設定された状態まで引き出されたか、または押し出されたかを検出する検出部を備え、送電コイル部が予め設定された状態まで引き出されたかまたは押し出された場合に、送電コイルを用いて非接触給電を行うものである。この電子機器によれば、電子機器の使用中においても送電コイルからの発熱を特に気にせず非接触給電を行うことができ、ユーザの利便性を向上させることが可能である。
【0004】
また特許文献2には、無線充電機能付き電子ブックが記載されている。この電子ブックは、本体に設けられた収納部内にキャリアプレートが収納され、キャリアプレートには交流電力を無線伝送するための発射回路が設けられている。電子装置(例えば、携帯電話)を充電しようとする場合には、本体から離れるようにキャリアプレートを回転させることで、本体とキャリアプレートとが開き状態となり、これにより電子機器を充電できる。
【0005】
特許文献3には、充電式電気機器用ホルダ装置が記載されている。この装置は、電気機器を両側から把持する一対の把持突起と、一対の把持突起を互いに近接する方向へ付勢する付勢部材とを有し、充電時には一対の把持突起が電気機器の両側面を把持するとともに、充電表面が載置表面に向かって押圧されるように構成されている。すなわち、縦置き状態で充電される電子機器の倒れ込みを一対の把持突起で阻止する構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-143849号公報
【特許文献2】実用新案登録第3169709号公報
【特許文献3】特開2013-93973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された電子機器は、キーボード部から水平方向に引き出された送電コイル部を用いて非接触給電を行うので、非接触給電を行いながらのキーボードの入力操作がしにくく、作業性が悪いという問題がある。また、送電コイル部がキーボード部から水平方向に引き出され、送電コイル部上に充電対象機器が載置されるので、送電コイル部には充電対象機器の重量に耐え得る強度が必要であり、送電コイル部の薄型軽量化を図ることが難しい。また、送電コイル部上に充電対象機器が平置きされるので、充電対象機器を縦置きの状態で充電することができない。
【0008】
したがって、本開示の目的は、ノートPCを操作しながら同時に充電する際に、ノートPCの操作性や信頼性の低下を招くことなく、充電対象機器を安定的に充電することが可能なワイヤレス電力伝送デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本開示の一実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイスは、キーボード部及びディスプレイ部を有するノートPC本体と、ディスプレイ部に設けられると共に、ディスプレイ部と重なる部分に位置する第1ポジションとディスプレイ部の外側に位置する第2ポジションとを変更可能に構成されたコイルユニットと、キーボード部に設けられ、第2ポジションに位置するコイルユニットに立て掛けられた充電対象機器の下端部に当接するストッパーとを備え、コイルユニットは、第2ポジションのときディスプレイ面側を向く第1主面と、第1主面と反対側の面である第2主面を有し、コイルユニットは、第1主面と対向するコイルを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ノートPCを操作しながら同時に充電する際に、ノートPCの操作性や信頼性の低下を招くことなく、充電対象機器を安定的に充電することが可能なワイヤレス電力伝送デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイスの構成を模式的に示す略平面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイスの構成を示す図であって、(a)は上面図、(b)は正面図である。
【
図3】
図3は、ワイヤレス電力伝送デバイスの側面図であって、充電対象機器を充電中の状態を示すものである。
【
図4】
図4は、本開示の第2の実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイスの構成を示す図であって、(a)は上面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の好ましい実施態様について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本開示の第1の実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイスの構成を模式的に示す略平面図である。また
図2は、第1の実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイスの構成を示す図であって、(a)は上面図、(b)は正面図である。
【0014】
図1及び
図2(a)及び(b)に示すように、このワイヤレス電力伝送デバイス1は、ノートPC組み込み型の充電デバイスであって、キーボード部11及びディスプレイ部12を有するノートPC本体10と、ディスプレイ部12に設けられたコイルユニット20と、キーボード部11に設けられ、充電中の充電対象機器(不図示)の姿勢を保持するストッパー30とを備えている。一般的に、ノートPC本体10は、ディスプレイ部12がヒンジ部13を介してキーボード部11に連結された構造を有している。すなわち、ディスプレイ部12は、ディスプレイ部12を開いているときの上下方向(第1方向)の一端側において、ヒンジ部13を介してキーボード部11に連結されている。これにより、不使用時にはディスプレイ部12を折り畳むことができ、また使用時にはディスプレイ部12を立ち上げてキーボード部11に対する角度を任意に変更できるようになっている。
【0015】
本実施態様によるノートPC本体10は、通常のノートPCとしての機能に加えて、スマートフォン等の充電対象機器のワイヤレス充電する機能を兼ね備えている。そのため、ノートPC本体10のディスプレイ部12の背面12b側には可動式のコイルユニット20が設けられている。また、ノートPC本体10は、コイルユニット20内の送電コイルを駆動する駆動回路(不図示)を含む。この駆動回路はノートPCの電源機能の一部を利用することで容易に実現できる。
【0016】
コイルユニット20は、コイル21を内蔵する略矩形の薄型の可動部材である。コイルユニット20はスライド機構を有しており、ノートPC本体10側に設けられたガイドレール23に沿って横方向にスライド移動し、ディスプレイ部12と重なる位置である格納ポジション(第1ポジション)とディスプレイ部12の外側に位置する使用ポジション(第2ポジション)とを変更可能に構成されている。充電対象機器を充電する場合には、コイルユニット20を収容スペース25から引き出して使用し、充電機能を使用しない場合には、コイルユニット20を収容スペース25内に退避させる。なお、コイルユニット20の使用ポジションは、ノートPCを使用するためにディスプレイ部12を開いているときに、ディスプレイ面と直交する方向から見て、ディスプレイ部12の横方向における側部の外側に位置するポジションである。本実施態様では、コイルユニット20の使用ポジションは、ディスプレイ部12の右側側部の外側に位置しているが、ディスプレイ部12の左側側部の外側に位置していても構わない。
【0017】
コイルユニット20内のコイル21はワイヤレス給電用の平面ループコイル(送電コイル)である。コイルユニット20は、ディスプレイ部12のディスプレイ面12a側を向く第1主面20aと、第1主面20aと反対側の面である第2主面20bを有し、コイル21は第1主面20aと対向するように設けられている。
【0018】
本実施態様において、コイルユニット20の形状は縦長の矩形であり、コイルユニット20の長手方向は、ディスプレイ部12を開いているときに上下方向を向くように縦向きに配置される。コイルユニット20は、コイルユニット20の長手方向における中央がディスプレイ部12のディスプレイ部12を開いているときの上下方向における中央よりもヒンジ部13に近い位置となるように配置されていることが好ましい。これにより、スマートフォン等の充電対象機器をノートPC本体10が置かれる同じテーブル面(設置面)上に置いた状態で充電することができる。
【0019】
本実施態様において、コイル21は平面視で縦横寸法が異なる概略的に長円形状又は楕円形状の平面ループコイルからなり、平面ループコイルの長手方向はコイルユニット20の長手方向を向いている。スマートフォン等の充電対象機器のサイズは様々であるが、コイル21を縦長となる向きで配置した場合には、スマートフォンのサイズ違いによる位置ずれに対応できる。したがって、充電時に充電対象機器に対するコイル21の位置合わせを容易に行うことができ、充電効率の低下を防止することができる。なお、コイル21は長円形状又は楕円形状以外の平面視で縦横寸法が異なる形状であっても構わない。
【0020】
キーボード部11には充電対象機器の姿勢を保持するストッパー30が設置されている。ストッパー30はキーボード部11に収容可能に構成されており、必要に応じて収容位置から突出させて使用する。本実施態様において、ストッパー30は棒状の部材であり、その基端部はキーボード部11側に軸支されており、回転軸31を中心に先端部が回転するように構成されている。これにより、ストッパー30は、使用時、使用ポジションに位置するコイルユニット20に立て掛けられた充電対象機器の下端部に当接する。なお、ストッパー30は、ノートPCを使用するためにディスプレイ部12を開いているときに、キーボード面と直交する方向から見て、キーボード部11の横方向における側部から突出させて使用する。ストッパー30は、コイルユニット20の使用ポジションに対応している必要があり、本実施態様では、キーボード部11の右側側部から突出している。
【0021】
図3は、ワイヤレス電力伝送デバイスの側面図であって、充電対象機器を充電中の状態を示すものである。
【0022】
図3に示すように、充電対象機器2を充電する場合には、ノートPC本体10の側部から横方向に突出したコイルユニット20に充電対象機器2を立て掛けて充電を行うことができるが、ノートPC本体10が置かれるテーブル面3が平滑面である場合には、自重により充電対象機器2が滑りやすく、コイルユニット20に立て掛けた状態を維持することができない。充電対象機器2が垂直に置かれる場合には滑りが発生しにくく、直立姿勢を維持しやすい。しかし通常、ノートPCはディスプレイ部12が90度よりも開いた状態で使用され、コイルユニット20も同じ角度で斜めに傾斜するため、充電対象機器2を垂直に置くことはできない。そのため、充電対象機器2の滑りによる倒れ込みが発生しやすい。しかし、本実施態様においては、ストッパー30が充電対象機器2の下端部に当接してその滑り方向への移動を制限するので、充電対象機器2の適切な充電姿勢を保持することができる。
【0023】
本実施態様において、ストッパー30は棒状の部材であり、キーボード部11から突出するストッパー30の先端部の向きを変えることができるように構成されている(
図1参照)。このような構成により、充電対象機器2を保持する際の位置を調整することができる。すなわち、ストッパー30は、充電対象機器2の下端部に当接する際の姿勢が調整可能に構成されている。充電対象機器2を立て掛けた際にその起立角度を大きくしたい(より立てたい)場合には、ストッパー30の先端部をコイルユニット20側に近づければよい。また充電対象機器2の起立角度を小さくしたい(より寝かせたい)場合には、ストッパー30の先端部をコイルユニット20から遠ざければよい。また、厚みの異なる様々な充電対象機器2に対しても、ストッパー30の先端部の向きを調整することで、充電対象機器2の適切な充電姿勢を保持することができる。ストッパー30は手先で容易に回転させることができるが、充電対象機器2を立て掛けても動くことがないように、回転力に対して適切な摩擦抵抗力を有することが必要である。
【0024】
以上説明したように、本実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイス1は、ノートPC本体10のディスプレイ部12に設けられたコイルユニット20と、ノートPC本体10のキーボード部11に設けられたストッパー30とを備えているので、ノートPCを使用しながらコイルユニット20に充電対象機器2を立て掛けた状態でワイヤレス充電を安定的に行うことができる。例えばスマートフォンを充電する場合、コイルユニット20に立て掛けられたスマートフォンのディスプレイがノートPCのディスプレイ面と同じ方向を向くので、スマートフォンの画面を見たり操作したりしながらノートPCの操作を行うことができる。また充電対象機器2の自重の大部分はテーブル面3によって支えられ、コイルユニット20にかかる負荷はわずかであるため、コイルユニット20の薄型軽量化が可能である。
【0025】
また、本実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイス1は、コイルユニット20がノートPC本体10のディスプレイ部12と重なる第1ポジションとディスプレイ部12の外側に位置する第2ポジションとを変更可能に構成されているので、充電時のコイルからの発熱を気にすることなくノートPCを使用することができ、ノートPCを使用しながら充電対象機器2のワイヤレス充電を行うことが可能である。また、充電していないときにはディスプレイ部12の背面12b側に収容することでコイルユニット20が邪魔にならず、充電時にはディスプレイ部12から取り出すことで充電対象機器2を縦置きの状態で充電することができる。したがって、利便性および機能性に優れたワイヤレス充電デバイスをノートPCに追加することができる。
【0026】
図4は、本開示の第2の実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイスの構成を示す図であって、(a)は上面図、(b)は正面図である。
【0027】
図4(a)及び(b)に示すように、このワイヤレス電力伝送デバイス1の特徴は、ディスプレイ部12側に配置されたコイルユニット20がスライド式ではなく回転移動可能に構成されている点にある。コイルユニット20がディスプレイ部12の側部と平行な回転軸24を中心に回転することにより、ディスプレイ部12と重なる位置である格納ポジション(第1ポジション)とディスプレイ部12の外側に位置する使用ポジション(第2ポジション)とを変更可能に構成されている。充電対象機器を充電する場合には、コイルユニット20を収容スペース25から使用ポジションに回転移動させて使用し、充電機能を使用しない場合には、コイルユニット20を収容スペース25に退避させる。その他の構成は第1の実施態様と同様である。
【0028】
コイルユニット20が格納ポジションに退避しているときには、コイルユニット20の第2主面20bがディスプレイ部12の背面12bと対向する方向を向いており、逆にコイルユニットの第1主面20aはディスプレイ部12の背面12bと同じ方向を向いている。そのため、ノートPC本体10を使用していないスタンバイ状態でもワイヤレス充電が可能な動作モードにしていれば、ディスプレイ部12を閉じた状態でも充電対象機器をコイルユニット20上に載置して充電を行うことができる。
【0029】
以上、本開示の好ましい実施態様について説明したが、本開示は、上記の実施態様に限定されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本開示の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0030】
例えば、上記実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイスは、最初からノートPC本体10にコイルユニット20が組み込まれたものであるが、既存のノートPCにコイルユニット20を後付けすることも可能である。例えば、ノートPCのディスプレイ部の背面に可動式のコイルユニット20を張り付けて固定し、USBポートなどの電源ポートから電力供給を受けるように構成してもよい。
【0031】
本開示に係る技術には、以下の構成例が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0032】
本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスは、キーボード部及びディスプレイ部を有するノートPC本体と、ディスプレイ部に設けられると共に、ディスプレイ部と重なる部分に位置する第1ポジションとディスプレイ部の外側に位置する第2ポジションとを変更可能に構成されたコイルユニットと、キーボード部に設けられ、第2ポジションに位置するコイルユニットに立て掛けられた充電対象機器の下端部に当接するストッパーとを備え、コイルユニットは、第2ポジションのときにディスプレイ面側を向く第1主面と、第1主面と反対側の面である第2主面を有し、コイルユニットは、第1主面と対向するコイルを含むことを特徴とする。
【0033】
上述のワイヤレス電力伝送デバイスによれば、ノートPCを操作しながら同時に充電する際に、ノートPCの操作性や信頼性の低下を招くことなく、充電対象機器を安定的に充電するができる。
【0034】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、ディスプレイ部は、第1方向の一端側において、ヒンジ部を介してキーボード部に連結されており、コイルユニットは、当該コイルユニットの第1方向における中央がディスプレイ部の第1方向における中央よりもヒンジ部に近い位置となるように配置されていてもよい。これによれば、充電対象機器をノートPC本体が置かれる同じテーブル面(設置面)上に置いた状態で充電することができる。
【0035】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、コイルユニットは、第1ポジションと第2ポジションをスライド可能に構成されていてもよい。これによれば、簡便にコイルユニットのポジションを変更できる。
【0036】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、コイルユニットは、第1ポジションと第2ポジションを回転移動可能に構成され、第1ポジションの際に第2主面がディスプレイ部の背面側と対向するようにしてもよい。これによれば、簡便にコイルユニットのポジションを変更でき、ディスプレイ部を閉じた状態でも充電対象機器をコイルユニット上に載置して充電を行うことができる。
【0037】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、コイルユニットは、第1ポジションの際にディスプレイ部に設けられた収容スペースに収容されていてもよい。これによれば、充電していないときにはコイルユニットが邪魔にならないようにすることができる。
【0038】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、ストッパーはキーボード部に収容可能に構成されていてもよい。これによれば、充電していないときにはストッパーが邪魔にならないようにすることができる。
【0039】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、ストッパーは、充電対象機器の下端部に当接する際の姿勢を調整可能に構成されていてもよい。これによれば、充電対象機器の適切な充電姿勢を保持することができる。
【0040】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、コイルユニット内のコイルの長手方向はコイルユニットの長手方向を向いていてもよい。これによれば、充電時に充電対象機器に対するコイルの位置合わせを容易に行うことができ、充電効率の低下を防止することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ワイヤレス電力伝送デバイス
2 充電対象機器
3 テーブル面
10 ノートPC本体
11 キーボード部
12 ディスプレイ部
12a ディスプレイ面
12b 背面
13 ヒンジ部
20 コイルユニット
20a コイルユニットの第1主面
20b コイルユニットの第2主面
21 コイル
23 ガイドレール(スライド機構)
24 回転軸
25 コイルユニットの収容スペース
30 ストッパー
31 回転軸