(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140506
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20230928BHJP
【FI】
G16H50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046376
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小菅 みのり
(72)【発明者】
【氏名】武田 淑
(72)【発明者】
【氏名】山本 奈々美
(72)【発明者】
【氏名】今井 渓太
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】生体パラメータの予測精度の傾向を把握することが可能な情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】セントラルモニタ200は、患者に関する情報および医療従事者に関する情報の少なくとも一方を含む対象者情報と、前記患者の生体パラメータに関する測定情報と、前記医療従事者が予測した前記患者の前記生体パラメータに関する予測情報とを取得する取得部211と、前記対象者情報と、前記予測情報および前記測定情報の乖離度との関係を解析する解析部215と、前記対象者情報と前記乖離度との関係を表す解析情報を出力する出力部216とを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に関する情報および医療従事者に関する情報の少なくとも一方を含む対象者情報と、前記患者の生体パラメータに関する測定情報と、前記医療従事者が予測した前記患者の前記生体パラメータに関する予測情報とを取得する取得部と、
前記対象者情報と、前記予測情報および前記測定情報の乖離度との関係を解析する解析部と、
前記対象者情報と前記乖離度との関係を表す解析情報を出力する出力部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記予測情報は、基準日時から第1の時間後の第1予測情報および第2の時間後の第2予測情報を含み、
前記測定情報は、前記基準日時から前記第1の時間後に測定された第1測定情報および前記第2の時間後に測定された第2測定情報を含み、
前記解析部は、前記対象者情報と、前記第1予測情報および前記第1測定情報の第1乖離度との関係を解析するとともに、前記対象者情報と、前記第2予測情報および前記第2測定情報の第2乖離度との関係を解析する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記対象者情報を複数のカテゴリーに分類する分類部をさらに有する請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記解析部は、前記カテゴリー毎に、前記対象者情報と前記乖離度との関係を解析する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記分類部は、ユーザーからの指示に基づいて、複数の前記カテゴリーを決定する請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記分類部は、前記解析部により解析された前記対象者情報と前記乖離度との関係に基づいて、複数の前記カテゴリーを決定し、
前記出力部は、前記カテゴリー毎に前記解析情報を出力する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記生体パラメータの種類を指定する種類指定部をさらに有し、
前記解析部は、前記対象者情報と、指定された前記種類の前記生体パラメータに関する前記予測情報および前記測定情報の前記乖離度との関係を解析する請求項1~6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記乖離度は、前記予測情報と前記測定情報との差分である請求項1~7のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記解析情報は、前記乖離度の信頼区間に関する情報を含む請求項1~8のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記解析情報は、前記乖離度の程度に応じた段階評価に関する情報を含む請求項1~9のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
患者に関する情報および医療従事者に関する情報の少なくとも一方を含む対象者情報と、前記患者の生体パラメータに関する測定情報と、前記医療従事者が予測した前記患者の前記生体パラメータに関する予測情報とを取得することと、
前記対象者情報と、前記予測情報および前記測定情報の乖離度との関係を解析することと、
前記対象者情報と前記乖離度との関係を表す解析情報を出力することと
を含む情報処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載の情報処理方法をコンピューターに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院等の医療機関では、たとえば、心拍数等の患者の生体パラメータの経時変化が測定される(特許文献1等)。医師等の医療従事者は、たとえば、この生体パラメータの変化を確認しながら、今後の患者の状態を予測して各患者の治療を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生体パラメータの変化の予測精度は、患者の年代および疾患等によって異なり、さらに、医療従事者の診療科および経験年数等によっても異なる。このような予測精度の傾向を把握することにより、医療機関は、各患者により適切な治療を施すことが可能となる。
【0005】
そこで本発明では、生体パラメータの予測精度の傾向を把握することが可能な情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0007】
本発明に係る情報処理装置は、患者に関する情報および医療従事者に関する情報の少なくとも一方を含む対象者情報と、前記患者の生体パラメータに関する測定情報と、前記医療従事者が予測した前記患者の前記生体パラメータに関する予測情報とを取得する取得部と、前記対象者情報と、前記予測情報および前記測定情報の乖離度との関係を解析する解析部と、前記対象者情報と前記乖離度との関係を表す解析情報を出力する出力部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る情報処理装置では、対象者情報と、予測情報および測定情報の乖離度との関係が解析され、解析情報が出力されるので、医療従事者等のユーザーは、患者および医療従事者の少なくとも一方と、乖離度の大きさとの関係を確認することができる。よって、生体パラメータの予測精度の傾向を把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの全体構成の一例を表す図である。
【
図2】
図1に示したベッドサイドモニタの構成の一例を表すブロック図である。
【
図3】
図1に示したセントラルモニタの構成の一例を表すブロック図である。
【
図4】
図3に示した表示部に表示される画面の一例を表す図である。
【
図5】
図3に示した制御部の機能の一例を表すブロック図である。
【
図6】(A)(B)は、
図4に示した出力部から出力される解析情報の一例を表す図である。
【
図7】
図1に示したセントラルモニタの処理の一例を表すフローチャートである。
【
図8】変形例1に係るセントラルモニタの処理の一例を表すフローチャートである。
【
図9】(A)(B)は、
図8に示したセントラルモニタから出力される解析情報の一例を表す図である。
【
図10】変形例2に係る情報処理システムの全体構成の一例を表す図である。
【
図11】
図10に示した情報処理システムの全体構成の他の例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る情報処理装置および情報処理システムについて詳細に説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
<実施形態>
[情報処理システム1の構成]
図1は、情報処理システム1の概略構成図である。情報処理システム1は、たとえば、ベッドサイドモニタ100およびセントラルモニタ200を含んでいる。セントラルモニタ200およびベッドサイドモニタ100は、有線または無線のネットワークにより相互に通信可能に接続されている。ネットワークは、たとえばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等である。ネットワークの通信規格として、たとえば、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、または5Gを利用し得る。たとえば、一のセントラルモニタ200に、複数のベッドサイドモニタ100が接続されている。ここでは、セントラルモニタ200が、本発明の情報処理装置の一具体例に対応する。
【0012】
(ベッドサイドモニタ100)
図2は、ベッドサイドモニタ100のハードウェア構成のブロック図である。ベッドサイドモニタ100は、たとえば、制御部110、記憶部120、通信部130、センサ140、表示部150および入力部160を含んでいる。これらの構成要素はバスにより相互に接続されている。なお、一部の構成要素は、無線通信によりバスに接続され得る。ベッドサイドモニタ100は、たとえば、患者のベッドごと、または患者の部屋ごと等に設けられ得る。
【0013】
制御部110は、たとえばCPU(Central Processing Unit)およびRAM(Random Access Memory)により構成され、ベッドサイドモニタ100の各構成要素を制御するとともに、各種演算を行う。制御部110は、センサ140により測定された生体パラメータをセントラルモニタ200へ通信部130により送信する。センサ140により測定される生体パラメータは、たとえば、心臓、血圧、呼吸、循環、脳、体温および血液等に関するパラメータであり、具体的には、心拍数(HR)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、非観血式血圧(NIBP)、呼吸数(rRESP)、観血式血圧(ART)、中心静脈圧(CVP)、局所脳酸素飽和度(rSO2)、吸入中酸素濃度(FiO2)、呼気二酸化炭素分圧(RR(CO2))、呼気終末二酸化炭素分圧(etCO2)、動脈血酸素分圧(PaO2)、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)、P/F比(P/F Ratio)、酸性度(PH)、連続心拍出量(CCO)および体温等である。
【0014】
制御部110は、センサ140により測定された生体パラメータに異常が検出されたとき、当該異常を報知するアラームをセントラルモニタ200へ通信部130により送信してもよい。アラームが報知する異常には、たとえば、測定された生体パラメータの異常、センサ140を構成する測定機器(デバイスや素子)を含む装置等の異常、患者に装着されたセンサ140が外れた等の装着状態の異常、および電波切れやノイズ混入等の測定環境の異常等が含まれる。
【0015】
制御部110は、センサ140により測定された各患者の生体パラメータに関する測定情報をセントラルモニタ200へ送信する。この測定情報は、たとえば、患者を特定する特定情報と関連付けられている。特定情報には、たとえば患者のベッド番号、患者のID、およびベッドサイドモニタ100のIPアドレス等が含まれる。
【0016】
記憶部120は、たとえばSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラムおよび各種データを記憶する。
【0017】
通信部130は、ベッドサイドモニタ100とセントラルモニタ200とを通信可能に接続するためのインターフェースである。通信部130は、たとえば入力端子、アンテナ、およびフロントエンド回路等により構成され得る。
【0018】
センサ140は、生体パラメータを検出するデバイスまたは素子である。センサ140には、たとえば、心電図測定用電極、およびSpO2プローブ等が含まれる。ベッドサイドモニタ100は、複数のセンサ140を有していてもよい。センサ140は、ベッドサイドモニタ100に着脱可能に構成されていてもよい。
【0019】
表示部150は、センサ140により測定された患者の生体パラメータを視覚により認識可能に表示(出力)する。生体パラメータは、たとえば、表示部150に数値、波形およびグラフ等により表示される。表示部150は、たとえば液晶ディスプレイ等により構成され得る。
【0020】
入力部160は、ユーザーからの各種入力を受け付ける。入力部160を介して、たとえば、医師および看護師等の医療従事者がベッドサイドモニタ100に各種情報を入力する。入力部160は、たとえば、操作ボタン、マウス、またはキーボード等により構成されている。表示部150および入力部160は一体的に構成されていてもよく、たとえば、これらがタッチパネル式のディスプレイ等により構成されていてもよい。
【0021】
(セントラルモニタ200)
図3は、セントラルモニタ200のハードウェア構成のブロック図である。セントラルモニタ200は、制御部210、記憶部220、通信部230、表示部240、および入力部250を含む。これらの構成要素はバスにより相互に接続されている。これらの構成要素の基本構成は、ベッドサイドモニタ100の対応する構成要素の基本構成と同様であるため重複する説明は省略する。セントラルモニタ200は、たとえば、各ベッドサイドモニタ100から受信された複数の患者の生体パラメータを集約して表示可能に構成されており、ナースステーション等に配置されている。
【0022】
制御部210は、各ベッドサイドモニタ100から、センサ140により測定された患者の生体パラメータに関する測定情報および患者の特定情報を通信部230により受信する。具体的な制御部210の機能については、後述する。制御部210は、各ベッドサイドモニタ100から、アラームを受信し、このアラームに関するアラーム情報を表示部240等に出力してもよい。
【0023】
記憶部220は、測定情報および特定情報を、受信した時間と対応付けて記憶する。測定情報は、特定情報と対応付けて記憶され得る。また、記憶部220は、医師等の医療従事者が予測した患者の生体パラメータに関する予測情報を記憶する。予測情報は、たとえば、入力部250により、医療従事者から入力される。医療従事者は、たとえば、現在の患者の状態に基づいて、予測情報を入力する。医療従事者は、センサ140により測定された患者の現在の生体パラメータの値を参照して、予測情報を入力してもよい。
【0024】
図4は、予測情報が表示された画面(画面241)の一例を表している。この画面241には、医療従事者である医師Aが患者Bの各生体パラメータを予測した予測情報が表示されている。医師Aは、8月31日7時にセンサ140により測定された患者BのART、CVP、PaO2およびPaCO2の値に基づいて、9月1日7時、9月2日7時および9月3日7時における患者BのART、CVP、PaO2およびPaCO2を各々予測している。即ち、医師Aは、基準日時である8月31日7時の24時間後、48時間後および72時間後の患者Bの生体パラメータに関する予測情報(予測値)を入力している。たとえば、画面241には、この予測情報に対応する日時(以下、予測日時という。)に測定された患者Bの生体パラメータに関する測定情報が表示される。
図4では、9月1日7時、9月2日7時および9月3日7時に、センサ140により測定された患者BのART、CVP、PaO2およびPaCO2の値(実測値)が表示されている。
【0025】
記憶部220には、各患者に関する患者情報が記憶されていてもよい。患者情報は、たとえば、患者の状態および経歴等に関する情報であり、患者の性別、年齢、体形、喫煙歴、基礎疾患、既往歴、身長、体重、入院理由、集中治療室等への入室理由、病名、投薬状況、肺炎の発症状況および手術の実施状況等である。記憶部220には、各医療従事者に関する医療従事者情報が記憶されていてもよい。医療従事者情報は、たとえば、医療従事者の状態および経歴等に関する情報であり、医療従事者の診療科および経験年数等である。
【0026】
通信部230は、各ベッドサイドモニタ100に接続するためのインターフェースである。通信部230により、セントラルモニタ200がさらに他の装置に接続可能に構成されていてもよい。
【0027】
表示部240は、複数のベッドサイドモニタ100から制御部210が受信した各患者の生体パラメータを集約して表示(出力)する。入力部250は、医療従事者等のユーザーからの各種入力を受け付ける。医療従事者は、この入力部250を介して、各患者の予測情報を入力する。ユーザーは、たとえば、予測情報としてキーボード等から数値を入力してもよく、マウス等を使用してグラフ等の所定の位置または領域を選択してもよい。
【0028】
図5は、制御部210の機能構成の一例を示すブロック図である。セントラルモニタ200では、たとえば、制御部210が記憶部220に記憶されたプログラムを読み込んで処理を実行することによって、取得部211、分類部212、種類指定部213、算出部214、解析部215および出力部216として機能する。
【0029】
取得部211は、対象者情報、測定情報および予測情報を取得する。対象者情報は、患者に関する患者情報および医療従事者に関する医療従事者情報の少なくとも一方を含んでいる。患者情報は、センサ140により生体パラメータが測定された患者、即ち、測定情報の被測定者(たとえば、
図4の患者B)に関する情報である。医療従事者情報は、この被測定者の所定の日時の測定情報に基づいて、将来の生体パラメータの予測を行った医療従事者、即ち、予測情報の予測者(たとえば、
図4の医師A)に関する情報である。対象者情報は、患者情報および医療従事者情報を含んでいることが好ましい。これにより、取得する情報量が増え、より精度の高い解析を行うことが可能となる。
【0030】
測定情報は、上記のように、センサ140により測定された患者の生体パラメータに関する情報であり、たとえば、生体パラメータの測定値(実測値)である(
図4参照)。取得部211が取得する測定情報は、たとえば、測定日時(または測定時刻)等の情報を含んでいる。この測定情報は、取得部211が取得する予測情報の予測日時近傍に測定された生体パラメータに関する情報を含んでいることが好ましい。
【0031】
予測情報は、上記のように、医療従事者が予測した患者の生体パラメータに関する情報であり、たとえば、生体パラメータの予測値である(
図4参照)。取得部211が取得する予測情報は、たとえば、基準日時(または基準時刻)等に関する情報を含んでいる。基準日時は、たとえば、入力部250により予測情報が入力された日時である。基準日時は、予測の根拠となる患者の生体パラメータの測定日時であってもよい。予測情報は、予測日時に関する情報を含んでいてもよい。予測情報は、患者の将来の状態を表す生体パラメータの指標であればよく、たとえば、臨床のガイドラインの値などの目標値であってもよい。ガイドラインの目標値は、各種学会のガイドラインの値であってもよく、各施設がこの各種学会のガイドラインの値を変更した値であってもよい。
【0032】
この予測情報は、生体パラメータの経時変化の予測に関する情報を含んでいることが好ましく、たとえば、基準日時から第1の時間後の第1予測情報および第2の時間後の第2予測情報を含んでいることが好ましい。第1の時間は、たとえば24時間であり、第2の時間は、たとえば72時間である(
図4参照)。このとき、測定情報は、基準日時から第1の時間後に測定された第1測定情報および第2の時間後に測定された第2測定情報を含むことが好ましい。即ち、取得部211が取得する測定情報は、第1予測情報および第2予測情報の予測日時に測定された第1測定情報および第2測定情報を含むことが好ましい(
図4参照)。これにより、測定情報および予測情報の乖離度の経時変化を確認することが可能となる。予測情報は、さらに、他の予測日時の予測情報を複数含んでいてもよく、測定情報は、さらに、他の日時に測定された測定情報を含んでいてもよい。
【0033】
取得部211は、複数の種類の生体パラメータに関する測定情報および予測情報を取得することが好ましい。これにより、取得する情報量が増え、より精度の高い解析を行うことが可能となる。
【0034】
取得部211は、たとえば、複数の対象者情報、複数の測定情報および複数の予測情報を取得する。対象者情報、測定情報および予測情報は、生体パラメータが測定される患者(たとえば、
図4の患者B)および予測を行う医療従事者(たとえば、
図4の医師A)の関係に基づいて、互いに関連付けられている。
【0035】
分類部212は、取得部211により取得された対象者情報を複数のカテゴリーに分類する。分類部212は、たとえば、複数の対象者情報各々に含まれる患者情報を複数のカテゴリーに分類し、複数の対象者情報各々に含まれる医療従事者情報を複数のカテゴリーに分類する。分類部212は、たとえば、患者の性別、年齢、体形、喫煙歴、基礎疾患、既往歴、身長、体重、入院理由、集中治療室等への入室理由、病名、投薬状況、肺炎の発症状況および手術の実施状況等に応じて、患者情報を複数のカテゴリーに分類する。分類部212は、たとえば、医療従事者の診療科および経験年数等に応じて、医療従事者情報を複数のカテゴリーに分類する。
【0036】
分類部212は、たとえば、ユーザーからの指示に基づいて、対象者情報を分類するためのカテゴリーを決定する。ユーザーは、たとえば、入力部250を介して指示を入力する。これにより、ユーザーは、用途に応じて自在にカテゴリーを決定することができる。カテゴリーは、予め決定されていてもよく、分類部212が、統計学または機械学習等を用いて、カテゴリーを決定してもよい。分類部212は、対象者情報に含まれる数値または属性等に応じてカテゴリーを決定してもよい。数値は、たとえば、患者の年齢および医療従事者の経験年数等であり、属性は、患者の疾患および医療従事者の診療科等である。
【0037】
種類指定部213は、取得部211により取得された測定情報および予測情報について、生体パラメータの種類を指定する。種類指定部213は、たとえば、ユーザーからの指示に基づいて、生体パラメータの種類を指定する。ユーザーは、たとえば、入力部250を介して指示を入力する。種類指定部213により指定された種類の生体パラメータに関する測定情報および予測情報を取得部211が取得するようにしてもよい。生体パラメータの種類を指定することにより、よりユーザーの用途に沿った解析を行うことが可能となる。
【0038】
算出部214は、取得部211により取得された予測情報および測定情報の乖離度を算出する。乖離度は、医療従事者による患者の生体パラメータの予測精度を表す指標である。乖離度が大きいとき、予測精度が低いことを表し、乖離度が小さいとき、予測精度が高いことを表す。乖離度は、たとえば、予測情報および測定情報の差分である。複数の差分が算出可能であるとき、乖離度は、複数の差分の中央値および平均値等であってもよい。算出部214は、たとえば、種類指定部213により指定された種類の生体パラメータに関する予測情報および測定情報の乖離度を算出する。
【0039】
算出部214は、たとえば、所定の予測日時の予測情報と、この予測日時に測定された測定情報との乖離度を算出する。たとえば、算出部214は、予測日時9月1日7時のARTの予測値110と、9月1日7時に測定されたARTの測定値102との差分(+8)を算出する(
図4参照)。上記のように、取得部211が第1予測情報および第2予測情報と、第1測定情報および第2測定情報とを取得したとき、算出部214は、第1予測情報および第1測定情報の第1乖離度と、第2予測情報および第2測定情報の第2乖離度とを算出する。
【0040】
算出部214は、生体パラメータ毎に正規化して乖離度を算出してもよい。算出部214は、各生体パラメータに重みづけを行い、複数種類の生体パラメータの乖離度が考慮された複合乖離度を算出してもよい。この複合乖離度は、たとえば、以下のように算出する。まず、各生体パラメータについてベクトル空間の重みを設定した後、各生体パラメータ軸の単体乖離度を算出し、単体乖離度からベクトル空間上における点を求める。この点から原点までのベクトル長が、複合乖離度として算出される。
【0041】
セントラルモニタ200は、算出部214により算出された乖離度の大きさが所定の値を超えるときに報知する機能を有してもよい。当該機能は、たとえば、ユーザーの設定によりオン/オフを切り替えられ、このオン/オフは、たとえば、生体パラメータ毎に設定可能に構成されている。これにより、ユーザーは、特に注目したいパラメータのみにアラートを設定することができる。また、少なくとも一つの生体パラメータの乖離度の大きさが所定の値をこえるときに、報知を行うようにしてもよい。このような報知機能より、医療従事者は、予測情報と測定情報との乖離に気が付きやすくなり、早期に治療計画の変更等の対応を行うことができる。報知がなされる乖離度の大きさおよびスレッショルド(閾値)は、たとえば、生体パラメータ毎に設定される。
【0042】
上記の報知は、たとえば、表示部240に注意喚起のメッセージを表示、または、当該乖離度の表示方法(たとえば数値の色を変える、背景色を変える、等)の変更等によりなされてもよい。関係者の端末に注意喚起のメールを送信することにより報知がなされてもよく、あるいは、スピーカー等からアラーム音を発することにより報知がなされてもよい。
【0043】
解析部215は、取得部211により取得された対象者情報と、算出部214により算出された乖離度との関係を解析する。具体的には、解析部215は、対象者情報に含まれる患者情報および医療従事者情報と、乖離度の大きさとの関係を解析する。解析部215は、たとえば、分類部212により分類された対象者情報のカテゴリー毎に、対象者情報と乖離度との関係を解析する。これにより、患者または医療従事者の各カテゴリーと、予測精度との関係を解析することができる。算出部214により、第1乖離度および第2乖離度が算出されたとき、解析部215は、対象者情報と第1乖離度との関係を解析するとともに、対象者情報と第2乖離度との関係を解析する。これにより、対象者情報と、短期的な予測および長期的な予測各々の精度との関係を解析することができる。
【0044】
出力部216は、解析部215により解析された対象者情報と乖離度との関係を表す解析情報を出力する。出力部216は、たとえば、分類部212により分類されたカテゴリー毎に、解析情報を出力する。この解析情報を確認することにより、医療従事者等のユーザーは、対象者情報の属するカテゴリー毎に予測精度の高低を把握することが可能となる。解析情報は、たとえば、乖離度の信頼区間に関する情報を含んでいる(たとえば、後述の
図6(A))。信頼区間は、たとえば、95%信頼区間である。解析情報は、乖離度の程度、即ち、予測精度に応じた段階評価に関する情報を含んでいてもよい(たとえば、後述の
図6(B))。
【0045】
図6(A)(B)は、出力部216により出力される解析情報の一例を示している。
図6(A)(B)では、カテゴリー1の患者の生体パラメータに対するカテゴリー2,3の医療従事者の予測精度が示されている。予測された生体パラメータの種類は、ART、CVP、PaO2およびPaCO2である。
図6(A)では、この生体パラメータについて、基準日時から24時間後および72時間後の予測情報および測定情報の乖離度が示されている。
図6(A)中、かっこ外の値は、予測情報および測定情報の差分の中央値であり、かっこ内の値は、この差分の95%信頼区間である。
図6(B)中、評価A,Bは、乖離度の程度に応じた段階評価であり、評価Aの方が評価Bよりも乖離度の程度が小さい、即ち、予測精度が高いことを表す。段階評価は、たとえば、5段階でなされる。評価は、たとえば、解離度の中央値および95%信頼区間に基づいて決定される。
【0046】
患者のカテゴリー1および医療従事者のカテゴリー2,3は、たとえば、下記である。
【0047】
(患者のカテゴリー1)
年齢:65才以上
性別:男性
集中治療室等への入室理由:心臓系の手術後
投薬状況:所定薬剤
基礎疾患:高血圧
(医療従事者のカテゴリー2)
診療科:心臓外科医
経験年数:10年以上
(医療従事者のカテゴリー3)
診療科:集中治療医
経験年数:10年以上。
【0048】
本実施形態のセントラルモニタ200では、このように対象者情報と乖離度との関係を表す解析情報が出力されるので、医療従事者等のユーザーは、患者および医療従事者の少なくとも一方と、乖離度の大きさとの関係を確認することができる。詳細は後述するが、これにより、生体パラメータの予測精度の傾向を把握することが可能となる。
【0049】
セントラルモニタ200は、出力する解析情報において、乖離度が大きいとき、報知を行ってもよい。上記の報知は、たとえば、表示部240に注意喚起のメッセージを表示、または、当該乖離度またはカテゴリーの表示方法(たとえば数値の色を変える、背景色を変える、等)の変更等によりなされてもよい。報知がなされる乖離度の大きさおよびスレッショルド(閾値)は、たとえば、生体パラメータ毎に設定される。
【0050】
[セントラルモニタ200の処理方法]
次に、
図6(A)とともに
図7を用いて、セントラルモニタ200による対象者情報、測定情報および予測情報の解析処理、即ち、セントラルモニタ200による情報処理方法について説明する。
【0051】
図7は、セントラルモニタ200の解析処理を示すフローチャートである。本フローチャートは、セントラルモニタ200の制御部210により、プログラムに従い実行され得る。
【0052】
まず、制御部210は、対象者情報、測定情報および予測情報を取得する(ステップS101、S102)。制御部210は、対象者情報、測定情報および予測情報を同時に取得してもよく、測定情報および予測情報を取得した後に、対象者情報を取得してもよい。
【0053】
次に、制御部210は、生体パラメータの種類の指定を受け付ける(ステップS103)。たとえば、制御部210は、ユーザーから入力部250を介して、ART、CVP、PaO2およびPaCO2の指定を受け付ける(
図6(A))。
【0054】
次に、制御部210は、ステップS103で指定された種類の生体パラメータについて、ステップS102で取得した測定情報および予測情報の乖離度を算出する(ステップS104)。制御部210は、たとえば、基準日時から24時間後および72時間後各々のARTの予測値から、基準日時から24時間後および72時間後各々のARTの測定値を引き、これらの差分を算出する(
図6(A))。この乖離度の大きさが所定の値を超えるとき、制御部210は、たとえば、表示部240を用いて報知する。
【0055】
次に、制御部210は、複数のカテゴリーを決定し、この複数のカテゴリーに対象者情報を分類する(ステップS105)。制御部210は、たとえば、ユーザーからの入力部250を介した指示に基づいて、患者情報を、年齢、性別、集中治療室等への入室理由および投薬状況に応じて分類し、医療従事者情報を、診療科および経験年数に応じて分類する。
【0056】
次に、制御部210は、ステップS105で分類したカテゴリー毎に、対象者情報と乖離度との関係を解析する(ステップS106)。乖離度は、ステップS104で算出されたものを用いる。制御部210は、たとえば、カテゴリー毎に乖離度の中央値および95%信頼区間を求めて解析する(
図6(A))。
【0057】
この後、制御部210は、ステップS106で解析した解析情報を出力し(ステップS107)、処理を終了する。制御部210は、たとえば、
図6(A)に示した画面を表示部240に表示させることにより、解析情報を出力する。
【0058】
[セントラルモニタ200および情報処理システム1の作用効果]
本実施形態のセントラルモニタ200および情報処理システム1では、このように対象者情報と乖離度との関係を表す解析情報が出力されるので、医療従事者等のユーザーは、患者および医療従事者の少なくとも一方と、乖離度の大きさとの関係を確認することができる。よって、生体パラメータの予測精度の傾向を把握することが可能となる。以下、この作用効果について説明する。
【0059】
たとえば、72歳、男性、心臓バイパス手術後の患者、即ち、患者のカテゴリー1に属する患者が集中治療室に入室し、主治医(心臓外科医)と集中治療医との間で、集中治療室からの退室日について意見の相違があったとき、医療従事者等のユーザーは、
図6(A)に示した解析情報を利用することができる。たとえば、主治医は、基準日時から24時間後に患者の集中治療室からの退室を提案し、集中治療医は、基準日時から48時間以上は、集中治療室で呼吸管理をしながら患者の様子を観察することを提案している。
【0060】
図6(A)に示した解析情報から、ユーザーは以下のことを確認できる。ARTの予測については、心臓外科医(カテゴリー2)が低め、集中治療医(カテゴリー3)が高めに予測する傾向があり、予測のばらつき(95%信頼区間)は心臓外科医の方が小さい。CVPの予測は、基準日時から24時間後では、心臓外科医と集中治療医との間に差は見られないものの、基準日時から72時間後では、心臓外科医の方が乖離度およびばらつきが大きくなる。PaO2の予測は、心臓外科医および集中治療医ともに、基準日時から24時間後ではばらつきが大きいが、基準日時から72時間後では、ばらつきが小さくなる。ここでは、集中治療医の方が、ややばらつきが小さい。PaCO2の予測は、基準日時から24時間後では、心臓外科医の方が集中治療医に比べて、乖離度およびばらつきが大きいが、基準日時から72時間後では、心臓外科医と集中治療医との間に差は見られない。セントラルモニタ200は、乖離度の大きさが所定の値を超えるとき、たとえば、表示部240を用いて報知する。
【0061】
このような
図6(A)に示した解析情報から、カテゴリー1に属する患者の呼吸状態(たとえば、PaO2およびPaCO2)については、心臓外科医よりも集中治療医の方が、予測精度が高くなる傾向が把握できる。また、血圧(ART)については、集中治療医よりも心臓外科医の方が、予測のばらつきが小さい。したがって、ユーザーは、この解析情報を用いることにより、たとえば、呼吸管理については集中治療医の意見を尊重し、血圧管理については主治医(心臓外科医)の意見を尊重するなど、適切な方針を見出しやすくなる。
【0062】
また、このように患者のカテゴリー毎および医療従事者のカテゴリー毎に予測精度を導くことにより、予測精度の高い患者のカテゴリーおよび医療従事者のカテゴリーを見つけやすくなる。たとえば、この予測精度の高いカテゴリーのデータを教師データとして用いることにより、AI(Artificial Intelligence)技術を利用した患者の状態の予測にも役立てることが可能となる。
【0063】
さらに、予測精度の高いカテゴリーに属する医療従事者から、他の医療従事者へと、生体パラメータの変化の着眼点などの教育が可能となり、各医療機関全体の予測精度を効果的に向上させることが可能となる。また予測精度の低いカテゴリーに属するパラメータ(ex. 医療従事者)については、予測精度に関するレポートを自動又は手動で作成することにより、スタッフ教育に役立てることや院内プロトコルの改善に役立てることもできる。また、予測値、実測値、及びその乖離度に関するデータを蓄積し、蓄積したデータを用いて解析アルゴリズムの改良を図り、予測精度を向上することもできる。
【0064】
また、乖離度の大きくなる傾向のある患者のカテゴリー、つまり、医療従事者による予測が困難な患者のカテゴリーを確認しておくことにより、医療従事者は、患者により適切なケアを行うことが可能となる。たとえば、このようなカテゴリーに属する患者については、より入念に患者の急変に備える、あるいは、経験豊富なスタッフ(例えば看護師)を担当させるなどの対応を行うことができる。特に、集中治療室など、あらゆる疾患および年齢の患者が入室する医療現場では、この解析情報を有効利用することができる。
【0065】
さらに、乖離度の小さくなる傾向のある患者のカテゴリー、つまり、医療従事者が比較的高い精度で予測可能な患者のカテゴリーを確認しておくことにより、たとえば、医療機関内で適切な人員配置を行うことが可能となる。たとえば、このようなカテゴリーに属する患者については、若手の医師に判断権限を委譲し、より予測が困難なカテゴリーの患者にベテランの医師を割り当てることができる。また、病態等によっては医師から看護師や薬剤師へのタスクの委譲を行っても良い。また、予測が非常に困難なカテゴリーの患者については、看護師についてもベテランを割り当てたり、複数人でのアセスメントを行える体制を整えても良い。
【0066】
加えて、各医療機関の解析情報を比較することにより、各医療機関での予測精度の偏りを発見しやすくなり、他施設の解析情報を有効に利用することが可能となる。
【0067】
以上説明したように、セントラルモニタ200では、対象者情報と乖離度との関係を表す解析情報が出力されるので、医療従事者等のユーザーは、患者および医療従事者の少なくとも一方と、乖離度の大きさとの関係を確認することができる。よって、生体パラメータの予測精度の傾向を把握することが可能となる。
【0068】
以下、上記実施形態で説明した情報処理システム1の変形例を説明する。なお、以下では、説明の重複を避けるため、上記実施形態で説明した情報処理システム1の各構成と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0069】
<変形例1>
図8は、上記
図7で説明した制御部210による解析処理の他の例を表すフローチャートである。この制御部210は、対象者情報と乖離度との関係を解析した後(ステップS205)、対象者情報を分類するカテゴリーを決定する(ステップS206)。この点において、変形例1に係る情報処理システム1は、上記実施形態で説明した情報処理システム1と異なる。
【0070】
まず、制御部210は、上記
図7で説明したステップS101~S104と同様にして、ステップS201~S204の処理を行い、乖離度を算出する。次に、制御部210は、対象者情報と乖離度との関係を解析する(ステップS205)。
【0071】
次に、制御部210は、ステップS205で解析された対象者情報と乖離度との関係に基づいて、複数のカテゴリーを決定する(ステップS206)。換言すれば、分類部212は、解析部215により解析された対象者情報と乖離度との関係に基づいて、複数のカテゴリーを決定する。分類部212は、たとえば、乖離度の大きさと相関を有する対象者情報の特性を見つけ、この特性に応じて複数のカテゴリーを決定する。分類部212は、たとえば、機械学習または統計学等を用いて複数のカテゴリーを決定する。
【0072】
次に、制御部210は、ステップS206で決定した複数のカテゴリーに、複数の対象者情報各々を分類する(ステップS207)。この後、制御部210は、ステップS205で解析した解析情報をカテゴリー毎に出力して(ステップS207)処理を終了する。
【0073】
このようなセントラルモニタ200を有する情報処理システム1でも、上記実施形態で説明したのと同様に、対象者情報と乖離度との関係を表す解析情報が出力されるので、医療従事者等のユーザーは、患者および医療従事者の少なくとも一方と、乖離度の大きさとの関係を確認することができる。よって、生体パラメータの予測精度の傾向を把握することが可能となる。
【0074】
図9(A)(B)は、上記変形例1に係るセントラルモニタ200により出力された解析情報の一例を示している。
図9(A)では、年代および集中治療室への入室理由の異なる各カテゴリーの患者について、予測精度が比較されている。
図9(B)では、集中治療室への入室理由の異なる各カテゴリーの患者について、集中治療医および外科医の予測精度が比較されている。予測された生体パラメータの種類は、SpO2、PaO2、PaCO2、PH、etCO2およびRRである。
図9(A)(B)中、評価A~Eは、乖離度の程度に応じた段階評価であり、評価Aが最も乖離度の程度が小さい、即ち、予測精度が高く、評価Eが最も乖離度の程度が大きい、即ち、予測精度が低いことを表す。
【0075】
このような
図9(A)(B)に示した解析情報から、医療従事者等のユーザーは、患者の年代、患者の集中治療室への入室理由および医療従事者の診療科に起因する予測精度の高低を把握することが可能となる。換言すれば、ユーザー自身が、患者および医療従事者のどのような特性によって、予測精度の高低が左右されるのかの見当がつかない場合であっても、対象者情報のカテゴリー毎に、予測精度を比較することができる。
【0076】
<変形例2>
図10および
図11は、上記
図1で説明した情報処理システム1の他の例を示す概略構成図である。情報処理システム1は、さらに、生体情報管理サーバ300および電子カルテサーバ400を含んでいてもよく(
図10)、さらに、呼吸器500を含んでいてもよい(
図11)。
【0077】
生体情報管理サーバ300および電子カルテサーバ400は、有線または無線のネットワークによりベッドサイドモニタ100およびセントラルモニタ200に接続されている。生体情報管理サーバ300および電子カルテサーバ400に、複数のセントラルモニタ200が接続されていてもよい。
【0078】
生体情報管理サーバ300は、たとえば、各ベッドサイドモニタ100で測定された患者の生体パラメータに関する測定情報を取得し、記憶する。この生体情報管理サーバ300が、上記実施形態で説明したセントラルモニタ200の取得部211、分類部212、種類指定部213、算出部214、解析部215および出力部216の機能を有していてもよい。即ち、生体情報管理サーバ300が、本発明の情報処理装置の一具体例であってもよい。なお、各装置間の通信を中継する図示しない任意の装置が適宜含まれてもよく、当該中継装置が送信データを適宜変換などしてもよい。
【0079】
電子カルテサーバ400には、複数の患者の電子カルテ情報が記憶されている。電子カルテサーバ400は、たとえば、生体情報管理サーバ300に患者情報を送信する。
【0080】
呼吸器500は、いわゆる人工呼吸器であり、各ベッドサイドモニタ100に接続されている。呼吸器500は、セントラルモニタ200、生体情報管理サーバ300および電子カルテサーバ400と直接通信可能に接続されていてもよい。呼吸器500で測定された生体パラメータ、呼吸器500の設定および呼吸器500のアラーム情報等は、生体情報管理サーバ300に送信される。呼吸器500が、上述のセントラルモニタ200の入力部250と同様に機能してもよい。情報処理システム1は、呼吸器500に加えて、血液ガスの測定装置およびスポットチェックモニタ等の測定装置を有していてもよく、呼吸器500に代えて他の生体パラメータを測定する測定装置を有していてもよい。
【0081】
このような情報処理システム1でも、上記実施形態で説明したのと同様に、対象者情報と乖離度との関係を表す解析情報が出力されるので、医療従事者等のユーザーは、患者および医療従事者の少なくとも一方と、乖離度の大きさとの関係を確認することができる。よって、生体パラメータの予測精度の傾向を把握することが可能となる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。たとえば、上述した実施形態においてプログラムにより実現される機能の一部または全部を回路等のハードウェアにより実現してもよい。
【0083】
また、上述した制御部210は、全ての機能を有していなくてもよく、他の機能を有していてもよい。上述した制御部210の取得部211、分類部212、種類指定部213、算出部214、解析部215および出力部216の機能の一部または全部が、生体情報管理サーバ300または電子カルテサーバ400に設けられていてもよい。
【0084】
また、生体情報管理サーバ300、電子カルテサーバ400または呼吸器500が、上述したセントラルモニタ200の制御部210、記憶部220、通信部230、表示部240、および入力部250の一部または全部と同様の機能を有していてもよい。
【0085】
また、上述した実施形態では、セントラルモニタ200が本発明の情報処理装置の一具体例に対応する例を説明したが、ベッドサイドモニタ100が本発明の情報処理装置の一具体例に対応してもよい。たとえば、ベッドサイドモニタ100の制御部110が、上述の制御部210と同様に機能してもよい。ベッドサイドモニタ100およびセントラルモニタ200がともに、本発明の情報処理装置の一具体例に対応してもよい。
【0086】
また、上述したフローチャートは、一部のステップを省略してもよく、他のステップが追加されてもよい。また、各ステップの一部は同時に実行されてもよく、一つのステップが複数のステップに分割されて実行されてもよい。さらに、各ステップの順序が異なっていてもよい。たとえば、
図7のステップS102の処理の前にステップS103の処理が実行されてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 情報処理システム、
100 ベッドサイドモニタ、
110 制御部、
120 記憶部、
130 通信部、
140 センサ、
150 表示部、
200 ベッドサイドモニタ、
210 制御部、
220 記憶部、
230 通信部、
240 表示部、
250 入力部。