(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014053
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】状態監視装置及び状態監視プログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20230119BHJP
H05B 45/50 20220101ALI20230119BHJP
H05B 47/175 20200101ALI20230119BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20230119BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
G08B25/00 510L
H05B45/50
H05B47/175
G08B25/00 510F
G08B21/00 A
G01N21/27 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113018
(22)【出願日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2021116848
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521313739
【氏名又は名称】株式会社リサシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100141106
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 清志
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 忠生
【テーマコード(参考)】
2G059
3K273
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
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3K273PA02
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5C087GG08
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5C087GG66
5C087GG67
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】ランプの点灯または点滅を正確に検出して機器の状態を適切に監視する。
【解決手段】点灯または点滅により監視対象機器2の状態を示すランプ21の近傍に配置され、ランプ21が点灯した点灯色を検知する光センサ部10と、ランプ21の色の色空間における座標を基準色座標として記憶する記憶部13と、光センサ部10により検知した点灯色の色空間における座標を検出色座標として算出する算出部14と、色空間における算出部14により算出された検出色座標と記憶された基準色座標との距離が閾値以下であるか否かを判定する判定部15と、判定部15により閾値以下であると判定された場合に、監視対象機器2がアラームを発報したことを通知する通知部16と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点灯または点滅により機器の状態を示すランプの近傍に配置され、前記ランプが点灯した点灯色を検知する光センサ部と、
前記ランプの色の色空間における座標を基準色座標として記憶する記憶部と、
前記光センサ部により検知した点灯色に基づいて、前記点灯色の前記色空間における座標を検出色座標として算出する算出部と、
前記色空間における前記算出部により算出された検出色座標と前記記憶された基準色座標との距離が閾値以下であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により閾値以下であると判定された場合に、前記機器がアラームを発報したことを通知する通知部と、
を備えたことを特徴とする状態監視装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記光センサ部の周囲の環境光の色空間における座標を環境光色座標としてさらに記憶しており、
前記算出部は、前記光センサ部により検知した点灯色の前記色空間における座標と、前記記憶部に記憶された環境光色座標との差分を前記検出色座標として算出する
ことを特徴とする請求項1記載の状態監視装置。
【請求項3】
前記色空間は、RGB色空間であり、
前記算出部は、前記算出した検出色座標であるRGB値のうち最大値の色を、前記RGB色空間における最大値へ変換し、RGBのうち残りの色を前記最大値へ変換した変換率で変換する
ことを特徴とする請求項2記載の状態監視装置。
【請求項4】
前記色空間は、RGB色空間であり、
前記算出部は、前記算出した検出色座標であるRGB値のうち最大値が、前記基準色座標のRGB値のうち最大値に所定割合を乗算した値以下である場合、前記検出色座標を原点座標とする
ことを特徴とする請求項2記載の状態監視装置。
【請求項5】
前記通知部は、前記判定部により閾値以下であると所定回数連続して判定された場合に、前記機器がアラームを発報したことを通知する
ことを特徴とする請求項1記載の状態監視装置。
【請求項6】
前記通知部は、前記アラームを発報した後、所定期間継続して、前記判定部により閾値を超えると判定され続けた場合に、前記機器がアラームの発報を停止したことを通知する
ことを特徴とする請求項1記載の状態監視装置。
【請求項7】
前記アラームが発報していない期間における直近所定回数分の前記検出色座標の平均値を検出色平均値として算出し、直近所定回数分の前記検出色座標の中で、前記検出色平均値との差分の絶対値の最大値を振れ幅として算出し、前記検出色平均値に所定割合を乗算した値を振れ幅閾値として算出する振れ幅算出手段と、
前記振れ幅算出手段により算出された前記振れ幅が前記振れ幅閾値以下である場合に、前記検出色平均値を前記環境光色座標として前記記憶部に記憶させる環境光更新手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の状態監視装置。
【請求項8】
前記光センサ部により検知した点灯色は、RGB値と赤外線強度とを含んでおり、
前記算出部は、前記RGB値を前記赤外線強度で除算した値に基づいて前記検出色座標を算出する
ことを特徴とする請求項1記載の状態監視装置。
【請求項9】
前記判定部は、
前記色空間における前記算出部により算出された検出色座標と前記記憶された基準色座標との距離が、前記色空間における原点から前記基準色座標へ向かって伸びる線上に長軸をとったときの長球において、基準色座標から前記長球の表面までの距離である閾値以下であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1記載の状態監視装置。
【請求項10】
前記光センサ部により検知されたランプの点滅パターンの時間軸を周波数変換する周波数変換部、をさらに備え、
前記記憶部は、周波数変換された前記ランプの基準点滅パターンをさらに記憶し、
前記通知部は、
前記判定部により閾値以下であると判定され、かつ、前記周波数変換部により周波数変換された点滅パターンと、前記記憶部に記憶された基準点滅パターンとが略一致する場合、前記機器がアラームを発報したことを通知する
ことを特徴とする請求項1記載の状態監視装置。
【請求項11】
点灯または点滅により機器の状態を示すランプの色の色空間における座標を基準色座標として記憶部に記憶させる記憶ステップと、
前記ランプの近傍に配置された光センサ部により検知された点灯色に基づいて、前記点灯色の前記色空間における座標を検出色座標として算出する算出ステップと、
前記色空間における前記算出ステップにより算出された検出色座標と前記記憶された基準色座標との距離が閾値以下であるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより閾値以下であると判定された場合に、前記機器がアラームを発報したことを通知する通知ステップと、を、
コンピュータに実行させる状態監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプの点灯または点滅を検出して機器の状態を正確に監視する状態監視装置及び状態監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療現場で用いられる人工呼吸器やパルスオキシメータなどの医療機器は患者の異常を検出すると、ランプを点灯または点滅することにより異常を通知することが多い。
【0003】
ここで、患者により良い医療サービスを提供するためには、医療機器の周囲だけでなく医療機器から離れた場所で、患者の家族や医療スタッフなどにランプの状態を通知できることが好ましい。
【0004】
特許文献1には、点灯により医療機器Eの状態を示すランプLの近傍に配置され、ランプLの点灯を検知する光センサ部4と、光センサ部4を医療機器Eに取り付ける取付部2と、光センサ部4の検知信号Sを機器状態監視端末102に送信する無線送信部6とを備えた機器状態監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の機器状態監視装置では、ランプの色を考慮することなくランプLの点灯を検知するので、医療機器Eが設置されている外部環境の影響で誤検出が多くなる可能性がある。
【0007】
例えば、医療機器が設置された病棟において他の照明器具が用いられることもある。この場合、医療機器のランプの色が赤色で、照明器具の照射光は青(B)の光成分が多かったとしても、照明器具の照射光を検出することにより医療機器のランプが点灯したと誤検知してしまう可能性がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ランプの点灯または点滅を正確に検出して機器の状態を適切に監視する状態監視装置及び状態監視プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を解決するため、本発明に係る状態監視装置の第1の特徴は、
点灯または点滅により機器の状態を示すランプの近傍に配置され、前記ランプが点灯した点灯色を検知する光センサ部と、
前記ランプの色の色空間における座標を基準色座標として記憶する記憶部と、
前記光センサ部により検知した点灯色の前記色空間における座標を検出色座標として算出する算出部と、
前記色空間における前記算出部により算出された検出色座標と前記記憶された基準色座標との距離が閾値以下であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により閾値以下であると判定された場合に、前記機器がアラームを発報したことを通知する通知部と、
を備えたことにある。
【0010】
本発明に係る状態監視装置の第2の特徴は、
前記記憶部は、前記光センサ部の周囲の環境光の色空間における座標を環境光色座標としてさらに記憶しており、
前記算出部は、前記光センサ部により検知した点灯色の前記色空間における座標と、前記記憶部に記憶された環境光色座標との差分を前記検出色座標として算出する
ことにある。
【0011】
本発明に係る状態監視装置の第3の特徴は、
前記色空間は、RGB色空間であり、
前記算出部は、前記算出した検出色座標であるRGB値のうち最大値の色を、前記RGB色空間における最大値へ変換し、RGBのうち残りの色を前記最大値へ変換した変換率で変換する
ことにある。
【0012】
本発明に係る状態監視装置の第4の特徴は、
前記色空間は、RGB色空間であり、
前記算出部は、前記算出した検出色座標であるRGB値のうち最大値が、前記基準色座標であるRGB値のうち最大値に所定割合を乗算した値以下である場合、前記検出色座標を原点座標とする
ことにある。
【0013】
本発明に係る状態監視装置の第5の特徴は、
前記通知部は、前記判定部により閾値以下であると所定回数連続して判定された場合に、前記機器がアラームを発報したことを通知する
ことにある。
【0014】
本発明に係る状態監視装置の第6の特徴は、
前記通知部は、前記アラームを発報した後、所定期間継続して、前記判定部により閾値を超えると判定され続けた場合に、前記機器がアラームの発報を停止したことを通知する
ことにある。
【0015】
本発明に係る状態監視装置の第7の特徴は、
前記アラームが発報していない期間における直近所定回数分の前記検出色座標の平均値を検出色平均値として算出し、直近所定回数分の前記検出色座標の中で、前記検出色平均値との差分の絶対値の最大値を振れ幅として算出し、前記検出色平均値に所定割合を乗算した値を振れ幅閾値として算出する振れ幅算出手段と、
前記振れ幅算出手段により算出された前記振れ幅が前記振れ幅閾値以下である場合に、前記検出色平均値を前記環境光色座標として前記記憶部に記憶させる環境光更新手段と、
をさらに備えたことにある。
【0016】
本発明に係る状態監視装置の第8の特徴は、
前記光センサ部により検知した点灯色は、RGB値と赤外線強度とを含んでおり、
前記算出部は、前記RGB値を前記赤外線強度で除算した値に基づいて前記検出色座標を算出する
ことにある。
【0017】
本発明に係る状態監視装置の第9の特徴は、
前記判定部は、
前記色空間における前記算出部により算出された検出色座標と前記記憶された基準色座標との距離が、前記色空間における原点から前記基準色座標へ向かって伸びる線上に長軸をとったときの長球において、基準色座標から前記長球の表面までの距離である閾値以下であるか否かを判定する
ことにある。
【0018】
本発明に係る状態監視装置の第10の特徴は、
前記光センサ部により検知されたランプの点滅パターンの時間軸を周波数変換する周波数変換部、をさらに備え、
前記記憶部は、周波数変換された前記ランプの基準点滅パターンをさらに記憶し、
前記通知部は、
前記判定部により閾値以下であると判定され、かつ、前記周波数変換部により周波数変換された点滅パターンと、前記記憶部に記憶された基準点滅パターンとが略一致する場合、前記機器がアラームを発報したことを通知する
ことにある。
【0019】
上記目的を解決するため、本発明に係る状態監視プログラムの第1の特徴は、
点灯または点滅により機器の状態を示すランプの色の色空間における座標を基準色座標として記憶部に記憶させる記憶ステップと、
前記ランプの近傍に配置された光センサ部により検知された点灯色の前記色空間における座標を検出色座標として算出する算出ステップと、
前記色空間における前記算出ステップにより算出された検出色座標と前記記憶された基準色座標との距離が閾値以下であるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより閾値以下であると判定された場合に、前記機器がアラームを発報したことを通知する通知ステップと、を、
コンピュータに実行させることにある。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る状態監視装置及び状態監視プログラムによれば、ランプの点灯または点滅を正確に検出して機器の状態を適切に監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例1に係る状態監視システムの構成を説明した図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る状態監視システムの算出部および判定部による判定処理を模式的に説明した説明図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る状態監視システムの処理内容を示したフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例2に係る状態監視システムの処理内容を示したフローチャートである。
【
図5】本発明の実施例3に係る状態監視システムの判定部による判定処理を模式的に説明した説明図である。
【
図6】本発明の実施例5に係る状態監視システムの構成を説明した図である。
【
図7】本発明の実施例5に係る状態監視システムの通知部による処理内容を模式的に説明した説明図である。(a)は、記憶部に記憶された周波数変換後の基準点滅パターンを生成する元となる判定部による判定結果(点滅パターン)の一例であり、(c)は、判定部による判定結果(点滅パターン)の一例である。(b)は、(a)に示した判定結果(基準点滅パターン)の時間軸を周波数軸に変換した図であり、(d)は、(c)に示した判定結果(点滅パターン)の時間軸を周波数軸に変換した図である。
【
図8】本発明の実施例5に係る状態監視システムの処理内容を示したフローチャートである。
【
図9】本発明の実施例6に係る状態監視システムの構成を説明した図である。
【
図10】本発明の実施例6に係る状態監視システムの処理内容を示したフローチャートである。
【
図11】本発明の実施例6に係る状態監視システムの処理内容を示したフローチャートである。
【
図12】本発明の実施例6に係る状態監視システムの環境光座標の更新処理内容を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0023】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0025】
<実施例1>
図1は、本発明の実施例1に係る状態監視システム100の構成を説明した図である。
【0026】
図1に示すように、状態監視システム100は、状態監視装置1と、監視対象機器2と、サーバ4と、端末5と、携帯端末6とを有している。
【0027】
状態監視装置1は、監視対象機器2が発報するアラームを正確に検出して機器の状態を適切に監視する装置である。詳細は後述する。
【0028】
監視対象機器2は、人工呼吸器やパルスオキシメータなどの医療機器である。監視対象機器2の筐体前面には、ランプ21と、モニタ画面22とが設けられている。
【0029】
ランプ21は、特定の色を発色する発光素子を有している。
【0030】
モニタ画面22は、バイタルセンサなど各種センサにより測定された測定値のトレンドデータや、患者の詳細情報など各種情報などを表示する液晶パネルである。
【0031】
監視対象機器2は、図示しないバイタルセンサなど各種センサにより測定された測定値に基づいて患者の異常を検出すると、ランプ21を点灯または点滅することによりアラームを発報することで監視対象機器2の状態を示すと共に、モニタ画面22に患者の詳細な状態を表示させる。
【0032】
サーバ4は、ネットワーク3を介して状態監視装置1と接続されており、状態監視装置1から、監視対象機器2によるアラームが発報されたことが通知されると、予め設定された端末5や携帯端末6にその旨を通知する。また、サーバ4は、状態監視装置1から送信されてきたモニタ画面22の撮像画像を予め設定された端末5や携帯端末6に送信する。
【0033】
また、サーバ4は、アラーム発報を検出した発報時刻、監視対象機器、ユーザ名、モニタ画面22の撮像画像などをログ情報として、図示しない記憶媒体に記憶している。
【0034】
端末5は、ネットワーク3を介して状態監視装置1と接続されており、サーバ4から監視対象機器2によるアラームが発報されたことが通知されたり、モニタ画面22の撮像画像が送信されたりする。また、端末5は、後述する各種閾値の設定やランプの基準色設定などの初期設定を実行する。
【0035】
携帯端末6は、スマートフォンなどの携帯電話であり、サーバ4から監視対象機器2によるアラームが発報されたことが通知されたり、モニタ画面22の撮像画像が送信されたりする。また、携帯端末6は、後述する各種閾値の設定やランプの基準色設定などの初期設定を実行する。
【0036】
状態監視装置1は、光センサ部10と、本体部11とを備えている。
【0037】
光センサ部10は、色センサ部10aと、撮像部10bとを備えている。
【0038】
色センサ部10aは、ランプ21の近傍に配置され、ランプ21が点灯した点灯色を検知するデジタルカラーセンサである。色センサ部10aは、検出した点灯色を、R(赤)、G(緑)、B(青)と、赤外線強度と含む検出信号として状態監視装置1へ送信する。
【0039】
撮像部10bは、モニタ画面22の近傍に設けられている。撮像部10bは、撮像素子を有しており、本体部11により監視対象機器2のアラームが発報されたと判定されると、モニタ画面22を撮像し、撮像画像を本体部11へ送信する。
【0040】
本体部11は、演算装置やメモリなどで構成されており、インタフェース部12と、記憶部13と、算出部14と、判定部15と、通知部16とを有している。
【0041】
インタフェース部12は、通信機能を有しており、光センサ部10からの検出信号および撮像画像を受信する。また、インタフェース部12は、判定部15の判定結果に基づいて、光センサ部10に対して撮像指示信号を送信する。
【0042】
記憶部13は、ランプ21の色のRGB色空間における座標を基準色座標として記憶する。基準色座標は、初期設定として予め設定されている値であり、例えば、暗室において測定されたランプ21の座標を、検出信号に含まれる赤外線強度で除算し、この除算した値に基づいて基準色座標を算出し、予め記憶されている。
【0043】
また、記憶部13は、状態監視プログラムを記憶しており、状態監視プログラムが本体部11により実行されることにより、インタフェース部12と、記憶部13と、算出部14と、判定部15と、通知部16とが実装される。
【0044】
算出部14は、光センサ部10により検知した点灯色のRGB色空間における座標を検出色座標として算出する。具体的には、算出部14は、光センサ部10より受信した検出信号に含まれるRGB値を、検出信号に含まれる赤外線強度で除算し、この除算した値に基づいて検出色座標を算出する。
【0045】
判定部15は、RGB色空間における算出部14により算出された検出色座標と記憶された基準色座標との距離が距離閾値以下であるか否かを判定する。
【0046】
図2は、本発明の実施例1に係る状態監視システム100の算出部14および判定部15による判定処理を模式的に説明した説明図である。
【0047】
図2には、記憶部13に記憶された基準色座標P0を示している。基準色座標P0から距離d1以下である範囲、すなわち、基準色座標P0を中心とした半径が距離d1(距離閾値Th1)である球体C1の内側にある色は、ランプ21の色に近いと判定できる。
【0048】
そこで、判定部15は、RGB色空間における算出部14により算出された検出色座標と記憶された基準色座標P0との距離が距離閾値Th1以下であるか否かを判定する。
【0049】
図2に示した例では、検出色座標P1は、球体C1の内側、すなわち、検出色座標P1と基準色座標P0との距離d11が距離閾値Th1以下であると判定される。一方、検出色座標P2は、球体C1の外側、すなわち、検出色座標P2と基準色座標P0との距離d12が距離閾値Th1を超えていると判定される。
【0050】
通知部16は、判定部15により距離閾値Th1以下であると判定された場合に、ネットワーク3を介して、サーバ4に対して、監視対象機器2によるアラームが発報されたことを通知する。
【0051】
図3は、本発明の実施例1に係る状態監視システム100の処理内容を示したフローチャートである。
【0052】
図3に示すように、光センサ部10が測定周期に達すると(ステップS101;YES)、算出部14は、インタフェース部12を介して、R(赤)、G(緑)、B(青)と、赤外線強度(IR値)と含む検出信号を取得する(ステップS103)。
【0053】
ステップS105において、算出部14は、受信した検出信号に含まれるR(赤)、G(緑)、B(青)を、それぞれ赤外線強度で除算することにより除算値を算出する。
【0054】
外乱となる自然光には、赤外線が多く含まれているので、R(赤)、G(緑)、B(青)を、それぞれ赤外線強度で除算することにより、自然光の影響を低減することができる。
【0055】
ステップS107において、算出部14は、除算値が上限閾値Th2より大きいか否かを判定する。
【0056】
R(赤)、G(緑)、B(青)それぞれについて、除算値が上限閾値Th2より大きいと判定された場合(ステップS107;YES)、算出部14は、除算値に上限閾値Th2を代入する(ステップS109)。例えば、上限閾値Th2を「10」と予め設定しておき、除算値が「10」を超えている場合には、除算値に「10」を代入する。
【0057】
ステップS111において、算出部14は、除算値に上限設定値を乗算し、補正値を算出する。ここでは、上限設定値は、除算値が「10」の場合、検出色座標の補正値が「255」となるように、「25.5」としている。これにより、R(赤)、G(緑)、B(青)それぞれについて、検出色座標の補正値を「255」を超えない範囲内の値として算出することができる。
【0058】
ステップS113において、算出部14は、検出色座標の補正値と、記憶部13に記憶された基準色座標とのRGB色空間における距離を算出する。
【0059】
ステップS115において、判定部15は、検出色座標の補正値と記憶部13に記憶された基準色座標とのRGB色空間における距離が、距離閾値Th1以下であるか否かを判定する。
【0060】
検出色座標の補正値と基準色座標とのRGB色空間における距離が、距離閾値Th1を超えていると判定された場合(ステップS115;NO)、判定部15は、検出色座標の補正値は、アラーム色ではないと判定する(ステップS119)。
【0061】
一方、検出色座標の補正値と基準色座標とのRGB色空間における距離が、距離閾値Th1以下であると判定された場合(ステップS115;YES)、判定部15は、検出色座標の補正値は、アラーム色を示していると判定する(ステップS117)。
【0062】
ステップS121において、通知部16は、ネットワーク3を介して、サーバ4に対して、監視対象機器2によるアラームが発報されたことを通知する。さらに、通知部16は、インタフェース部12を介してアラームが発報されたことを光センサ部10に通知し、光センサ部10から受信したモニタ画面22の撮像画像を、ネットワーク3を介してサーバ4に対して送信する。
【0063】
以上のように、本発明の実施例1に係る状態監視システム100によれば、算出部14が、光センサ部10により検知した点灯色のRGB色空間における座標を検出色座標として算出し、判定部15が、RGB色空間における算出部14により算出された検出色座標と記憶された基準色座標との距離が距離閾値Th1以下であるか否かを判定する。そのため、周辺環境における光の影響を受け難くなるので、ランプ21の点灯または点滅を正確に検出して監視対象機器2の状態を適切に監視することができる。
【0064】
<実施例2>
本発明の実施例1に係る状態監視システム100では、算出部14が、光センサ部10より受信した検出信号に含まれるRGB値を、検出信号に含まれる赤外線強度で除算し、この除算した値に基づいて検出色座標を算出した。
【0065】
本発明の実施例2では、算出部14が、RGB値をHSV値に変換し、変換したHSV値のうちS値をH値及びV値より強調するように重み付けすることにより検出色座標を算出し、判定部15が、HSV色空間における算出部14により算出された検出色座標と記憶された基準色座標との距離が距離閾値以下であるか否かを判定する状態監視システム100を例に挙げて説明する。
【0066】
図4は、本発明の実施例2に係る状態監視システム100の処理内容を示したフローチャートである。なお、本発明の実施例2に係る状態監視システム100の構成は、
図1に示した本発明の実施例1に係る状態監視システム100の構成のうち、算出部14および判定部15の構成が異なるため、その他の構成については説明を省略する。
【0067】
図4に示すように、光センサ部10が測定周期に達すると(ステップS101;YES)、算出部14は、インタフェース部12を介して、R(赤)、G(緑)、B(青)と、赤外線強度と含む検出信号を取得する(ステップS103)。
【0068】
ステップS201において、算出部14は、受信した検出信号に含まれるRGB値を、HSV値に変換する。
【0069】
ステップS203において、算出部14は、H(色相)、S(彩度)、V(明度)のうち、S(彩度)を上げるように重みづけし、補正値を算出する。特に、光センサ部10の光が赤、緑、または青色であり、外乱が自然光のように白に近い光の場合、この影響を受けで変換したHSV値はS(彩度)が低下する傾向にある。そのため、S(彩度)を上げるように重みづけすることで、外乱の影響をより低減させることができる。例えば、S値としては、記憶されたHSV色空間における基準色座標のS値をそのまま代入することにより、S(彩度)を上げるように重みづけするようにしてもよい。
【0070】
ステップS205において、算出部14は、検出色座標の補正値と、記憶部13に記憶された基準色座標とのHSV色空間における距離を算出する。
【0071】
ステップS205において、判定部15は、検出色座標の補正値と記憶部13に記憶された基準色座標とのHSV色空間における距離が、距離閾値Th11以下であるか否かを判定する。HSV色空間において、基準色座標を中心とした半径が距離閾値Th11である球体の内側にある色は、ランプ21の色に近いと判定できる。
【0072】
検出色座標の補正値と基準色座標とのHSV色空間における距離が、距離閾値Th11を超えていると判定された場合(ステップS207;NO)、判定部15は、検出色座標の補正値は、アラーム色ではないと判定する(ステップS211)。
【0073】
一方、検出色座標の補正値と基準色座標とのRGB色空間における距離が、距離閾値Th11以下であると判定された場合(ステップS207;YES)、判定部15は、検出色座標の補正値は、アラーム色を示していると判定する(ステップS209)。
【0074】
ステップS213において、通知部16は、ネットワーク3を介して、サーバ4に対して、監視対象機器2によるアラームが発報されたことを通知する。このとき、通知部16は、インタフェース部12を介してアラームが発報されたことを光センサ部10に通知し、光センサ部10から受信したモニタ画面22の撮像画像を、ネットワーク3を介してサーバ4に対して送信する。
【0075】
以上のように、本発明の実施例2に係る状態監視システム100によれば、算出部14が、RGB値をHSV値に変換し、変換したHSV値のうちS値をH値及びV値より強調するように重み付けすることにより検出色座標を算出し、判定部15が、HSV色空間における算出部14により算出された検出色座標と記憶された基準色座標との距離が距離閾値Th11以下であるか否かを判定する。そのため、周辺環境における光の影響を受け難くなるので、赤外線強度の情報を用いることなく、ランプ21の点灯または点滅を正確に検出して監視対象機器2の状態を適切に監視することができる。
【0076】
なお、本発明の実施例2では、算出部14が、RGB値をHSV値に変換し、変換したHSV値のうちS値をH値及びV値より強調するように重み付けすることにより検出色座標を算出し、判定部15が、HSV色空間における検出色座標と記憶された基準色座標との距離が距離閾値Th11以下であるか否かを判定する状態監視システム100を例に挙げて説明したが、これに限らない。
【0077】
例えば、算出部14が、RGB値をHSV値に変換し、変換したHSV値のうちS値をH値及びV値より強調するように重み付けした後に、HSV値をRGB値に逆変換することによりRGB色空間における検出色座標を算出し、判定部15は、RGB色空間における算出部14により算出された検出色座標と記憶された基準色座標P0との距離が距離閾値Th1以下であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0078】
<実施例3>
本発明の実施例1に係る状態監視システム100では、判定部15が、RGB色空間における算出部14により算出された検出色座標と記憶された基準色座標との距離が距離閾値Th1以下であるか否かを判定したが、これに限らない。
【0079】
本発明の実施例3に係る状態監視システム100では、判定部15が、RGB色空間における算出部14により算出された検出色座標と記憶された基準色座標との距離が、予め計測された実測値に応じてRGBのバランスを保つように変動値として定められた距離閾値Th12以下であるか否かを判定する。
【0080】
図5は、本発明の実施例3に係る状態監視システム100の判定部15による判定処理を模式的に説明した説明図である。
【0081】
図5には、記憶部13に記憶された基準色座標P0が示している。原点Qから基準色座標P0へ向かって伸びる線S1上に長軸をとったときに、判定部15は、長軸上の半径d22と、長軸と基準色座標P0で直交する短軸上の半径d21にて構成される長球C2の内側の座標が、ランプ21の色に近いと判定する。この半径d21、半径d22の長さは、予め実験値に応じて定めている。
【0082】
すなわち、判定部15は、RGB色空間における算出部14により算出された検出色座標と記憶された基準色座標P0との距離が、原点Qから基準色座標P0へ向かって伸びる線S1上に長軸をとったときの長球において、基準色座標P0から長球表面までの距離である距離閾値Th12以下であるか否かを判定する。
【0083】
図5に示した例では、検出色座標P11は、長球C2の内側、すなわち、検出色座標P11と基準色座標P0との距離が距離閾値Th12以下であると判定される。一方、検出色座標P12は、長球C2の外側、すなわち、検出色座標P12と基準色座標P0との距離が距離閾値Th12を超えていると判定される。
【0084】
このように、本発明の実施例3では、判定部15が、RGB色空間における算出部14により算出された検出色座標と記憶された基準色座標P0との距離が、原点Qから基準色座標P0へ向かって伸びる線S1上に長軸をとったときの長球において、基準色座標P0から長球表面までの距離である距離閾値Th12以下であるか否かを判定する。
【0085】
そのため、短軸方向であるRGBのバランスについては狭い範囲を設定し、長軸方向である明度・彩度については比較的広い範囲として設定することができるため、周辺環境における光の影響を受け難くなるので、ランプ21の点灯または点滅を正確に検出して監視対象機器2の状態を適切に監視することができる。
【0086】
<実施例4>
本発明の実施例1に係る状態監視システム100では、算出部14が、光センサ部10より受信した検出信号に含まれるRGB値を、検出信号に含まれる赤外線強度で除算し、この除算した値に基づいて検出色座標を算出した。
【0087】
本発明の実施例4に係る状態監視システム100では、自然光や室内灯の光など外乱となるRGB値を差し引くことで外乱の影響をさらに低減させる。
【0088】
具体的には、光センサ部10から受信したRGB値を記憶部13に記憶しておき、算出部14が、直近10点のRGB値の平均値を算出し、算出した平均値を外乱RGB値とする。そして、算出部14は、算出された検出色座標から外乱RGB値をR、G、Bごとに減算し、減算した値を赤外線強度で除算し、この除算した値に基づいて検出色座標を算出する。
【0089】
これにより、自然光や室内灯の光など外乱となるRGB値を差し引くことで外乱の影響をさらに低減させることができる。
【0090】
<実施例5>
本発明の実施例1に係る状態監視システム100では、通知部16が、判定部15により距離閾値Th1以下であると判定された場合に、ネットワーク3を介して、サーバ4に対して、監視対象機器2によるアラームが発報されたことを通知した。
【0091】
監視対象機器2は、ランプ21の点滅パターンにより何等かのメッセージを発報する場合もある。そこで、本発明の実施例5に係る状態監視システム100では、通知部16が、判定部15により閾値Th1以下であると判定され、かつ、周波数変換されたランプの点滅パターンと、記憶部に記憶された点滅パターンとが略一致する場合、監視対象機器2によるアラームが発報されたことを通知する。
【0092】
図6は、本発明の実施例5に係る状態監視システム100の構成を説明した図である。
【0093】
図6に示すように、状態監視システム100は、状態監視装置1と、監視対象機器2と、サーバ4と、端末5と、携帯端末6とを有している。このうち、監視対象機器2と、サーバ4と、端末5と、携帯端末6については、
図1に示したそれぞれの構成と同一であるので説明を省略する。
【0094】
状態監視装置1は、光センサ部10と、本体部11とを備えている。光センサ部10は、
図1に示した構成と同一であるので説明を省略する。
【0095】
本体部11は、インタフェース部12と、記憶部13と、算出部14と、判定部15と、通知部16と、周波数変換部17とを有している。これらの構成うち、インタフェース部12と、算出部14と、判定部15とについては、
図1に示した構成と同一であるので、説明を省略する。
【0096】
記憶部13は、周波数変換されたランプの点滅パターンをさらに記憶している。
【0097】
周波数変換部17は、光センサ部10により検知されたランプ21の点滅パターンの時間軸を周波数変換する。
【0098】
そして、通知部16が、判定部15により閾値Th1以下であると判定され、かつ、周波数変換部17により周波数変換された点滅パターンと、記憶部13に記憶された点滅パターンとが略一致する場合、機器がアラームを発報したことを通知する。
【0099】
図7は、本発明の実施例5に係る状態監視システム100の通知部16による処理内容を模式的に説明した説明図である。(a)は、記憶部13に記憶された周波数変換後の基準点滅パターンを生成する元となる判定部15による判定結果(点滅パターン)の一例であり、(c)は、判定部15による判定結果(点滅パターン)の一例である。ここでは、距離閾値Th1以下であると判定された場合を「オン」としている。(b)は、(a)に示した判定結果(基準点滅パターン)の時間軸を周波数軸に変換した図であり、(d)は、(c)に示した判定結果(点滅パターン)の時間軸を周波数軸に変換した図である。
【0100】
図7(a)に示すように、判定結果101は、0時点で「オン」であり、t1時点で「オフ」となっている。t1時点から時間間隔T1が経過したt2時点に「オン」となり、t3時点で「オフ」となっている。t3時点から時間間隔T2が経過したt4時点に「オン」となり、t5時点で「オフ」となっている。
【0101】
このように、
図7(a)に示した例では、時間間隔T1および時間間隔T2を交互に設けられた基準点滅パターンとなっている。
【0102】
また、
図7(c)に示すように、判定結果102は、0時点で「オン」であり、t11時点で「オフ」となっている。t11時点から時間間隔T2が経過したt12時点に「オン」となり、t13時点で「オフ」となっている。t13時点から時間間隔T1が経過したt14時点に「オン」となり、t15時点で「オフ」となっている。
【0103】
このように、
図7(c)に示した例でも、時間間隔T1および時間間隔T2を交互に設けられた点滅パターンとなっている。
【0104】
しかしながら、
図7(a)に示した判定結果101と、
図7(c)に示した判定結果102とでは、「オン」、「オフ」のタイミングが異なるので、従来技術のように単純に比較すると、異なる点滅パターンと判定される可能性がある。
【0105】
そこで、周波数変換部17は、この判定部15による判定結果(点滅パターン)の時間軸を周波数変換する。
【0106】
図7(b)に示すように、基準点滅パターンである周波数変換された判定結果201は、1.0(Hz)および2.0(Hz)において、縦軸の頻度がプラスの値となっている。
【0107】
また、同様に、
図7(d)に示すように、測定された点滅パターンである周波数変換された判定結果202についても、1.0(Hz)および2.0(Hz)において、縦軸の頻度がプラスの値となっている。
【0108】
このように、記憶部13に記憶された周波数変換された基準点滅パターンと、周波数変換部17により周波数変換された点滅パターンとを比較することにより、「オン」、「オフ」のタイミングが異なったとしても、同一の点滅パターンと判定することができる。
【0109】
図7(b),(d)に示した例では、判定結果201の1.0(Hz)および2.0(Hz)における頻度の値に対して所定の範囲を予め設定しておき、判定結果202の1.0(Hz)および2.0(Hz)における頻度が、いずれも所定範囲内にある場合、この点滅パターンは基準点滅パターンに略一致すると判定する。
【0110】
図8は、本発明の実施例5に係る状態監視システム100の処理内容を示したフローチャートである。ここで、ステップS101~S119までの処理は、
図3に示した処理と同一であるので、説明を省略する。
【0111】
図8に示すように、ステップS117において、判定部15により検出色座標の補正値は、アラーム色を示していると判定された場合、または、ステップS119において、判定部15により検出色座標の補正値は、アラーム色ではないと判定された場合、ステップS301において、周波数変換部17は、記憶部13に所定時間分の判定結果のデータが蓄積されたか否かを判定する。
【0112】
記憶部13に所定時間分の判定結果のデータが蓄積された場合(ステップS301;YES)、周波数変換部17は、この判定結果のデータ、すなわち、光センサ部10により検知されたランプ21の点滅パターンの時間軸を周波数変換する(ステップS303)。
【0113】
ステップS305において、通知部16は、周波数変換部17により周波数変換された点滅パターンと、記憶部13に記憶された基準点滅パターンとが略一致するか否かを判定する。例えば、周波数変換部17により周波数変換された点滅パターンの周波数ごとの頻度が、記憶部13に記憶された周波数変換された基準点滅パターンの周波数ごと所定の範囲内にある場合、通知部16は、この点滅パターンは基準点滅パターンに略一致すると判定する。
【0114】
点滅パターンは基準点滅パターンに略一致すると判定すると判定された場合(ステップS305;YES)、通知部16は、ネットワーク3を介して、サーバ4に対して、監視対象機器2によるアラームが発報されたことを通知する。
【0115】
以上のように、本発明の実施例5に係る状態監視システム100によれば、通知部16が、判定部15により閾値Th1以下であると判定され、かつ、周波数変換されたランプ21の点滅パターンと、記憶部13に記憶された点滅パターンとが略一致する場合、監視対象機器2によるアラームが発報されたことを通知する。
【0116】
そのため、ランプ21の点滅パターンにより何等かのメッセージを発報する場合にも、ランプ21の点滅を正確に検出して点滅パターンを判定することができるので、監視対象機器2の状態を適切に監視することができる。
【0117】
<実施例6>
本発明の実施例1に係る状態監視システム100では、算出部14が、光センサ部10より受信した検出信号に含まれるRGB値を、検出信号に含まれる赤外線強度で除算し、この除算した値に基づいて検出色座標を算出した。
【0118】
本発明の実施例6では、算出部14が、光センサ部10より受信した検出信号に含まれるRGB値と、環境光のRGB値との差分を検出色座標として算出する状態監視システム100を例に挙げて説明する。
【0119】
図9は、本発明の実施例6に係る状態監視システム100の構成を説明した図である。
【0120】
図9に示すように、状態監視システム100は、状態監視装置1と、監視対象機器2と、サーバ4と、端末5と、携帯端末6とを有している。これらの構成のうち、監視対象機器2と、サーバ4と、端末5と、携帯端末6については、本発明の実施例1に係る状態監視システム100が備える構成と同一であるので説明を省略する。
【0121】
状態監視装置1は、光センサ部10と、本体部11とを備えている。
【0122】
光センサ部10は、色センサ部10aと、撮像部10bとを備えている。
【0123】
色センサ部10aは、ランプ21の近傍に配置され、ランプ21が点灯した点灯色を検知するデジタルカラーセンサである。色センサ部10aは、検出した点灯色を、R(赤)、G(緑)、B(青)それぞれ0~65,535の値で表現した検出信号として状態監視装置1へ送信する。
【0124】
撮像部10bは、モニタ画面22の近傍に設けられている。撮像部10bは、撮像素子を有しており、本体部11により監視対象機器2のアラームが発報されたと判定されると、モニタ画面22を撮像し、撮像画像を本体部11へ送信する。
【0125】
本体部11は、演算装置やメモリなどで構成されており、インタフェース部12と、記憶部13と、算出部14と、判定部15と、通知部16と、振れ幅算出部18と、環境光更新部19とを有している。
【0126】
インタフェース部12は、通信機能を有しており、光センサ部10からの検出信号および撮像画像を受信する。また、インタフェース部12は、判定部15の判定結果に基づいて、光センサ部10に対して撮像指示信号を送信する。
【0127】
記憶部13は、ランプ21の色のRGB色空間における座標を基準色座標として記憶する。基準色座標は、初期設定として予め設定されている値であり、例えば、暗室において測定されたランプ21の座標を基準色座標として算出し、予め記憶されている。ここでは、基準色座標は、R(赤)、G(緑)、B(青)それぞれ0~65,535の値と、変換された0~255の値で表現されている。ここでは、後述する検出色座標と同様に、R(赤)、G(緑)、B(青)それぞれ0~65,535で表された基準色座標であるRGB値のうち最大値の色を、0~255で表されたRGB色空間における最大値へ変換し、RGBのうち残りの色を最大値へ変換した変換率で変換された値である。
【0128】
また、記憶部13は、光センサ部10の周囲の環境光の色空間における座標を環境光色座標として記憶している。この環境光色座標は、後述する環境光更新部19により更新される。ここでは、環境光色座標は、R(赤)、G(緑)、B(青)それぞれ0~65,535の値で表現されている。
【0129】
また、記憶部13は、状態監視プログラムを記憶しており、状態監視プログラムが本体部11により実行されることにより、インタフェース部12と、記憶部13と、算出部14と、判定部15と、通知部16とが実装される。
【0130】
算出部14は、光センサ部10により検知した点灯色に基づいて、点灯色のRGB色空間における座標を検出色座標として算出する。具体的には、算出部14は、光センサ部10により検知した点灯色のRGB色空間において0~65,535で表された座標と、記憶部13に記憶された環境光のRGB色空間において0~65,535で表された色座標との差分を検出色座標として算出する。
【0131】
また、算出部14は、算出した0~65,535で表された検出色座標であるRGB値のうち最大値が、0~65,535で表された基準色座標のRGB値のうち最大値の所定の足切り割合R1を乗算した値以下である場合、検出色座標を原点座標とする。ここでは、基準色座標が(R,G,B)=(100,4,2)であり、足切り割合R1は、50(%)とする。
【0132】
例えば、検出色座標が(R,G,B)=(2550,200,100)である場合、検出色座標であるRGB値のうち最大値は2550となる。基準色座標であるRGB値のうち最大値は100であり、足切り割合R1を乗算すると50となる。2550は50より大きいので、算出部14は、検出色座標を原点座標とはしない。
【0133】
一方、検出色座標が(R,G,B)=(25,20,10)である場合、検出色座標であるRGB値のうち最大値は25となる。基準色座標であるRGB値のうち最大値は100であり、足切り割合R1を乗算すると50となる。25は50より小さいので、算出部14は、検出色座標を原点座標、すなわち(R,G,B)=(0,0,0)とする。これにより、ノイズを除去することができる。
【0134】
また、算出部14は、算出した0~65,535で表された検出色座標であるRGB値のうち最大値の色を、0~255で表されたRGB色空間における最大値へ変換し、RGBのうち残りの色を最大値へ変換した変換率で変換する。これは、色センサ部10aにより検出した点灯色が、R(赤)、G(緑)、B(青)それぞれ0~65,535の値で表現されているため、これを0~255の値に変換する処理である。
【0135】
例えば、検出色座標が、(R,G,B)=(2550,200,100)であったとする。このとき、R(赤)、G(緑)、B(青)のうち、最大値の色はR(赤)となる。そこで、R(赤)の値を255とすると、変換率は0.1(=255/2550)となるので、G(緑)、B(青)についても、変換率0.1を乗算する。これにより、変換後の検出色座標として、(R,G,B)=(255,20,10)を得ることができる。
【0136】
変換前の値は環境光との差分であるため、たとえランプ21が点灯するような大きな変化があったとしても、それは“100”程度しか値が変化せず、単純に“0”~“255”に変換すると“0.4”程度の変化にしかならない。そのため、ほとんどの色はほぼ黒に近い値となってしまい、その間に閾値を設定するのが困難となり、全体的に大変扱いにくくなる。そのため、算出部14は、算出した検出色座標であるRGB値のうち最大値の色を、基準色座標のRGB色空間における最大値へ変換し、RGBのうち残りの色を最大値へ変換した変換率で変換するようにしている。
【0137】
なお、環境光は直射日光でも“10,000”程度であるので、色としては“0”~“255”まで扱えるはずが“0”~“40”程度までしか使用しないことになる。すなわち、単純に“0”~“65,535”を“0”~“255”に変換していないので、ランプ21と光センサ部10との距離による影響を軽減できることになる。例えば、(R,G,B)=(1000,0,0)である場合、何らかの要因でランプ21と光センサ部10との距離が半分になった場合は、(R,G,B)=(2000,0,0)となる可能性がある。これを単純に、“0”~“255”に変換すると、ランプ21と光センサ部10との距離が変更されただけであるのに、異なる色として認識される場合がある。
【0138】
なお、ここでは、算出部14は、算出した0~65,535で表された検出色座標であるRGB値のうち最大値の色を、0~255で表されたRGB色空間における最大値(=255)へ変換し、RGBのうち残りの色を最大値へ変換した変換率で変換したが、これに限らない。例えば、算出部14は、算出した0~65,535で表された検出色座標であるRGB値のうち最大値の色を、0~65,535で表されたRGB色空間における最大値(=65,535)へ変換し、RGBのうち残りの色を最大値へ変換した変換率で変換するようにしてもよい。
【0139】
判定部15は、RGB色空間における算出部14により算出された0~255で表された検出色座標と記憶された0~255で表された基準色座標との距離が距離閾値Th1以下であるか否かを判定する。
【0140】
通知部16は、判定部15により距離閾値Th1以下であると所定回数連続して判定された場合に、ネットワーク3を介して、サーバ4に対して、監視対象機器2によるアラームが発報されたことを通知する。ここで、所定回数は、例えば、3(回)と予め設定されている。これにより、例えば、直射日光などのように光量が大きくバラツキの影響が大きい光は、連続することが少ないので、アラームとして誤検知することを防止できる。
【0141】
通知部16は、アラームを発報した後、所定期間継続して、判定部15により距離閾値Th1を超えると判定され続けた場合に、監視対象機器2がアラームの発報を停止したことを通知する。
【0142】
振れ幅算出部18は、アラームが発報していない期間における直近所定回数分の検出色座標の平均値を検出色平均値として算出する。そして、振れ幅算出部18は、直近所定回数分の検出色座標の中で、検出色平均値との差分の絶対値の最大値を振れ幅として算出し、検出色平均値に所定割合を乗算した値を振れ幅閾値として算出する。
【0143】
環境光更新部19は、振れ幅算出部18により算出された振れ幅が振れ幅閾値Th4以下である場合に、検出色平均値を環境光色座標として記憶部に記憶させる。
【0144】
図10及ぶ
図11は、本発明の実施例6に係る状態監視システム100の処理内容を示したフローチャートである。
【0145】
図10に示すように、光センサ部10が測定周期に達すると(ステップS401;YES)、算出部14は、インタフェース部12を介して、R(赤)、G(緑)、B(青)それぞれ0~65,535の値で表現した検出信号を取得する(ステップS403)。
【0146】
ステップS405において、算出部14は、光センサ部10により検知した点灯色のRGB色空間における0~65,535の値で表現した座標と、記憶部13に記憶された環境光のRGB色空間における0~65,535の値で表現した色座標との差分を算出し、この差分を検出色座標とする。
【0147】
ステップS407において、算出部14は、算出した検出色座標であるRGB値のうち最大値を色明度として算出する。
【0148】
ステップS409において、算出部14は、算出した色明度が、基準座標であるRGB値のうち最大値に所定割合R1を乗算した値である色明度閾値Th3以下か否かを判定する。
【0149】
色明度が色明度閾値Th3以下である場合(ステップS409;YES)、ステップS411において、算出部14は、検出色座標を原点座標とする。
【0150】
ステップS413において、算出部14は、差分を色に変換する。具体的には、算出部14は、算出した検出色座標であるRGB値のうち最大値の色を、RGB色空間における最大値へ変換し、RGBのうち残りの色を最大値へ変換した変換率で変換する。
【0151】
ステップS415において、算出部14は、変換した検出色座標と、記憶部13に記憶された基準色座標とのRGB色空間における距離を算出する。
【0152】
図11に示すステップS417において、判定部15は、検出色座標と記憶部13に記憶された基準色座標とのRGB色空間における距離が、距離閾値Th1以下であるか否かを判定する。
【0153】
検出色座標と基準色座標とのRGB色空間における距離が、距離閾値Th1を超えていると判定された場合(ステップS417;NO)、判定部15は、検出色座標は、アラーム色ではないと判定する(ステップS419)。
【0154】
一方、検出色座標と基準色座標とのRGB色空間における距離が、距離閾値Th1以下であると判定された場合(ステップS417;YES)、判定部15は、検出色座標は、アラーム色を示していると判定する(ステップS421)。
【0155】
ステップS423において、通知部16は、アラームカウントをインクリメントし、ステップS425において、通知部16は、アラームカウントがカウント閾値Cth以上となったか否かを判定する。
【0156】
アラームカウントがカウント閾値Cth以上となったと判定された場合(ステップS425;YES)、ステップS427において、通知部16は、アラームを発報する。ここで、カウント閾値Cthは、例えば、「3」(回)に予め設定しておく。この場合、測定周期は、0.1(秒)であったとすると、0.3(秒)の間、アラーム色を示していると判定し続けた場合、ステップS427において、通知部16は、ネットワーク3を介して、サーバ4に対して、監視対象機器2によるアラームが発報されたことを通知する。さらに、通知部16は、インタフェース部12を介してアラームが発報されたことを光センサ部10に通知し、光センサ部10から受信したモニタ画面22の撮像画像を、ネットワーク3を介してサーバ4に対して送信する。
【0157】
ステップS429において、通知部16は、アラームカウントをリセットする。
【0158】
ステップS431において、通知部16は、最後のアラームの発報から、所定時間経過したか否かを判定する。具体的には、通知部16は、所定期間継続して、判定部15により距離閾値Th1を超えると判定され続けたか否かを判定する。例えば、所定時間を2(秒)であるとすると、通知部16は、最後のアラーム発報から2(秒)が経過したか否かを判定する。
【0159】
最後のアラームの発報から、所定時間経過したと判定された場合(ステップS431;YES)、ステップS433において、通知部16は、監視対象機器2がアラームの発報を停止したことを通知する。
【0160】
ステップS435において、光センサ部10により検知した点灯色のRGB色空間における座標を履歴データとして記憶する。ここでは、履歴データは、R(赤)、G(緑)、B(青)それぞれ0~65,535の値で表現した値である。履歴データは、少なくとも直近5回分は蓄積するものとし、6回分以上蓄積した場合には、古いデータから削除するようにしてもよい。
【0161】
図12は、本発明の実施例6に係る状態監視システム100の環境光座標の更新処理内容を示したフローチャートである。
【0162】
図12に示すように、アラームが発報してない場合(ステップS501;NO)、振れ幅算出部18は、アラームが発報していない期間における直近所定回数分の検出色座標の平均値を検出色平均値として算出する(ステップS503)。
【0163】
ステップS505において、振れ幅算出部18は、直近所定回数分の検出色座標の中で、検出色平均値との差分の絶対値の最大値を振れ幅として算出する。
【0164】
ステップS507において、振れ幅算出部18は、検出色平均値に所定割合R2を乗算した値を振れ幅閾値Th4として算出する。ここでは、実験データなどに基づいて、所定割合R2を1(%)として予め設定しておく。
【0165】
ステップS509において、環境光更新部19は、振れ幅算出部18により算出された振れ幅が振れ幅閾値Th4以下であるか否かを判定する。
【0166】
振れ幅算出部18により算出された振れ幅が振れ幅閾値Th4以下である場合(ステップS509;YES)、環境光更新部19は、検出色平均値を環境光色座標として記憶部に記憶させる。振れ幅が振れ幅閾値Th4以上のとき、例えば、近傍に人がいて働いているなどにより影ができ光の値が大きく変動しているときの値を環境光色座標に入れると、環境光色座標が大きく乱れることで検出色座標も大きく乱れる可能性がある。これを防止するため、振れ幅が振れ幅閾値Th4以下である場合のみ、環境光色座標を記憶する。これにより、適切な環境光色座標を記憶することができる。
【0167】
以上のように、本発明の実施例6に係る状態監視システム100によれば、算出部14が、光センサ部10により検知した点灯色に基づいて、点灯色のRGB色空間における座標を検出色座標として算出し、判定部15が、RGB色空間における算出部14により算出された検出色座標と記憶された基準色座標との距離が距離閾値Th1以下であるか否かを判定する。そのため、周辺環境における光の影響を受け難くなるので、ランプ21の点灯または点滅を正確に検出して監視対象機器2の状態を適切に監視することができる。
【0168】
特に、本発明の実施例6では、算出部14は、光センサ部10により検知した点灯色のRGB色空間における座標と、記憶部13に記憶された環境光のRGB色空間における色座標との差分を検出色座標として算出する。そのため、特に、環境光の影響を排除することができるので、よりランプ21の点灯または点滅を正確に検出して監視対象機器2の状態を適切に監視することができる。
【0169】
本発明の実施例1~6では、監視対象機器2のランプ21が点灯しているか否かを判定するため、元となるランプの色を基準色座標として記憶する必要があるが、監視対象機器2のランプ21は点滅することもあるため、ユーザーにランプが点灯している瞬間に測定して貰うことは難しい。
そこで、例えば、2秒間色を測定し続け(1回の測定は0.1(秒)秒なので、20回分の検出値が手に入る)、その中でRGBの分散が1番大きいものを基準色座標として採用するようにしてもよい。なお、分散の計算式は、例えば、以下の(数式)を用いる。
(分散) = {R - (RGB の平均)}^2 + {G - (RGB の平均)}^2 + {B - (RGB の平均)}^2 (数式)
【0170】
例えばランプ消灯中の測定値は(R, G, B) = (20, 20, 20)などとなり、分散は“0”となる。ランプ21の点灯時の測定値は(R, G, B) = (80, 20, 20)などとなり、分散は“2400”となる。ランプは人の目に付くよう赤などRGBのどれかが特化した鮮やかな色になるので、この方法を採用している。
【符号の説明】
【0171】
1 状態監視装置
2 監視対象機器
3 ネットワーク
4 サーバ
5 端末
6 無線送信部
6 携帯端末
10 光センサ部
10a 色センサ部
10b 撮像部
11 本体部
12 インタフェース部
13 記憶部
14 算出部
15 判定部
16 通知部
17 周波数変換部
18 幅算出部
19 環境光更新部
21 ランプ
22 モニタ画面
100 状態監視システム